この記事では、ファミリーコンピュータソフト『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』とそのゲームボーイ版続編『熱血高校サッカー部 ワールドカップ編』について扱う。判定は前者が良作・後者が劣化。



熱血高校ドッジボール部 サッカー編

【ねっけつこうこうどっじぼーるぶ さっかーへん】

ジャンル スポーツ(サッカー)
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 テクノスジャパン
発売日 1990年5月18日
定価 5,900円(税別)
配信 バーチャルコンソール(FC版)
【Wii】2008年10月7日/500円
【3DS】2013年5月22日/500円
【WiiU】2014年3月19日/514円
判定 良作
ポイント ルール無用のハチャメチャケンカサッカー
くにおくんシリーズ

概要

くにおくんシリーズの第4作目。『熱血高校ドッジボール部』以来の二作ぶりのスポーツゲームとなる。
全国大会を控えていた熱血高校サッカー部の部員のほとんどが食中毒に倒れ、その代理を「くにお」率いるドッジボール部員がつとめるというもの。
くにお以外の部員たちはやる気がなかったが、サッカー部のマネージャーの「みさこ」の○○○○*1を条件に、全国大会優勝を目指すことになる。
題名こそドッジボール部だが、ジャンルは純粋なサッカーとなっている。

特徴

  • メインモードにあたる、「トーナメントモード」ではサッカー部に代わってトーナメントを勝ち抜いて全国大会優勝を目指すのが目的となる。
    初期メンバーは「くにお」とドッジボール部員の「ひろし」「こうじ」「しんいち」「みつひろ」、そして唯一食中毒を免れたサッカー部員「たかし」の6名だが、特定の試合に勝つ事でサッカー部員である「すすむ」「あつし」「まさ」「げんえい」が復帰し、選手として合流する形となっている。
    • サッカー部員は本業だけあって能力が高く、後半になるにつれてサッカー部員に頼る事が多くなる。
  • ダウンタウン熱血物語』の次作となる為、くにお達のグラフィックはダウンタウンシリーズのグラフィックが使用されており、前々作の『熱血高校ドッジボール部』とは異なる。
    • 「みつひろ」「たかし」以外のドッジボール部員とサッカー部員は「熱血物語」における雑魚キャラのグラフィックから流用されており、以後のシリーズでも同様のグラフィックで登場する。
      対戦チームの中にも「優秀院付属高校」と「堀々学園」に雑魚キャラから流用されている選手(後者はキャプテンのほりばた)がおり、顔だけで全員集合している。
      • ドッジボール部員の「いちろう」だけがなぜかハブられている。彼は後作でもハブられ続け、復活には長い年月が必要となった*2
      • 「ひろし」も後に『時代劇』の「つるまつ」から有名になる「そのかわ」と同様の顔グラフィック(角刈りに眼鏡をかけた顔)で、しかも「そのかわ」とはくにおを慕うキャラクター性が被っている事から登場しない事が多くなってしまったが、『熱血硬派くにおくん すぺしゃる』で新たな顔グラフィックを獲得して以降は再び出番に恵まれるようになった。

ルール

  • 現実のサッカーと異なり、1チーム6人で構成される。プレイヤーはMFを操作する。(2人プレイ時はFWになる)
  • 試合時間は01:30の前後半戦となり、ロスタイムはない。
  • 反則は基本的に存在せず、ボールを持っている選手に後ろからスライディングしてもお咎め無し。オフサイド等もない。ただしキーパーチャージはできない*3
    • キーパーがボールをキャッチしたり、ボールがコートからはみ出た場合は現実のサッカー同様、相手チームからのボールになり、コーナーキックやスローイング、ゴールキックが行われる。なお、前述の通り反則は存在しないので自分がスローインしたボールを自分で拾ったり、ゴールキック時に相手キーパーの目の前で待機してオーバーヘッドキックでゴールに捻じ込んだりしても一切お咎めなし
  • PKも存在せず、同点のまま試合を終えた場合、プレイヤーチームの負けとして扱われる。
  • コートは6種類。滑りやすい氷のコートや、つまづいて転んでしまうつまずき石、シュートが転がらない砂のコート等が存在する。

システム

  • 試合前に作戦会議が行われ、非操作キャラは作戦に従って動く。プレイヤーがボールを持っていない時はABボタンで、ボールの近くにいる選手に指示を出す事が出来る。
    • 味方がボールを持っている時はパスかシュート、敵がボールを持っている時はタックルかスベレ(スライディング)を指示できる。
      • 指示に従うときは「OK」のサインが返ってくる。ただし、状況次第では「ムリ」と出て指示が無効になる事も。
  • シリーズ恒例の「必殺シュート」も様々なものが存在する。
    • オーバーヘッドキック(ニュートラル+AB)による必殺シュート:最もオーソドックスな出し方。出している最中に上下を押す事で軌道を変更可能。
    • ダイビングヘッド(方向キー+AB)による必殺シュート:こぼれ球を狙うプレイに最適。軌道変更可能だが低い高度で飛ぶのでキーパーに取られやすい。
    • 歩数による必殺シュート:キャラ毎に決められた歩数のドリブル後にシュートすると必殺シュートになる。
      • 熱血高校以外のチームは全員が同一の必殺シュートを放つ。必殺シュートはチーム毎に異なる。なおCPUには歩数の制限がないため拾った瞬間に必殺シュートを使ってくることも。
      • 必殺シュートは高い確率でキーパーを吹き飛ばすので最大の得点ソースとなる。ややコツがいるが、慣れれば派手な必殺シュートで次々に得点を決める爽快感が味わえる。
  • 選手には速力や体力などの様々なマスクパラメーターが存在する。
    • …というよりも名前以外のパラメーターは全てマスクとなっており、選手の能力を見る事は不可能。その為、実際に使用するまでは全くわからない手探りな状況となっている。
    • 体力差がある選手にタックルを仕掛けても逆に吹き飛ばされてしまう。体力はタックルやスライディングを当てる事で減っていき、体力が無くなると一切起き上がらなくなる*4ので有利に試合運びが出来る。
    • キーパーには必殺シュート防御率が設定されている。意外な選手が上手だったりする。

評価点

  • オフサイドなど、サッカー未経験者にとって難解なルールがない為、気軽に遊べる。
  • 反則こそ存在しないが、相手がいない所を攻めに行ったり、アシストシュート等のサッカーらしさはしっかりと表現されている。
    • ボールを奪われない為にわざとボールを人にぶつけるのも立派な戦略*5レッドカード? そんなものはありません
      • ボールを持っていない選手に対してのタックルもOK。これで一人の体力を集中的に減らして立ち上がれなくさせてしまえる。
  • グラフィックやBGMは良好
    • 『ダウンタウン熱血物語』のグラフィックがベースとなっており、個性的なキャラが多数登場する。またちらつきや処理落ちも比較的抑えられておりゲームのテンポも良い。
    • 同様にBGMのクオリティも高く、サッカーらしいかはともかくとしてひたすら熱い曲が多い。特に「服部学園」戦のBGMは服部学園の実力(後述)も相まってサッカー編の代表曲となり、後のシリーズでも使用されている。
  • CPUアシストシステムが秀逸
    • プレイヤーは一人しか操作できないが、こちらから味方へパスし、指示を出す事でアシストしてもらい、オーバーヘッドで必殺シュートにするといったプレイがメインになる。
      • 非常に直感的であり、キャプテンが選手に指示を出す感じがよく出ている。
  • 「トーナメントモード」では2P同時プレイも可能。非操作キャラはそれぞれの指示に従ってくれるので現実さながらに指示を出し合いながら試合を進める事が出来る。
    • 後作の『いけいけ熱血ホッケー部』や『熱血サッカーリーグ』では2Pはキーパーの操作に当てられているので、二人ともフィールドプレーヤーを操作できるのは本作のみとなっている。
  • 対戦チームが個性的
    • ガリ勉ばかりで構成された「優秀院付属高校」からはじまり、お坊さんが集まる「七福学園高校」、全員が元暴走族*6の「死愚魔高校」、火消し集団の「江戸華高校」、霊媒師集団の「恐山商業高校」といった、何故かサッカーとは全く無縁そうな外見を持ったチームばかりとあたる。このシリーズではよくある事
      • 対戦前の学校の特徴を示した一枚絵も秀逸。猟師の学園らしく熊と戦っている「マタギ学園」、お笑い芸人養成校らしく大阪が背景となる「吉本工業」などのほかに、どう見ても「その筋」の学園を思わせる「山本興業」などもある。また一枚絵と同時に流れる音楽もその学校の特徴によくマッチしたものとなっている。
      • 全員が素早い上につまずき石を踏んでも飛び越えてしまう「服部学園」、ひたすらパスで繋げる「吉本工業」等、各チームにパラメーター以外にも強い個性が与えられている。
      • 専用の必殺シュートも脅威ながらそのチームの特色がよく出ている。
      • ハーフタイムには控室の様子が映し出されるが、それぞれの高校がユニークな休憩をとっている(鍋を食っているマタギ学園、金魚鉢で釣りをする一本釣水産高校、控室を掘り返す掘々学園等)
    • 後半になるに連れて、こちらよりはるかにステータスが高いチームが相手となるが、相手の作戦を読んで対応すればしっかり勝てるバランスに仕上がっている。

問題点

  • パスワードが不便
    • 試合にわざと負けてコンティニューせずにゲームオーバーにならない限りは中断用のパスワードを見る事が出来ない。
      • 海外版『Nintendo World Cup』や後作の『熱血高校サッカー部 ワールドカップ編』で試合勝利時に次の試合のパスワードが表示されるようになった。
      • 一応パスワードそのものは数字4桁だけなので、覚えやすく入力も簡単。
  • ラスボスを務める「四満忠実業高校(しまんちゅうじつぎょうこうこう)」が相対的に弱く感じてしまう。
    • キーパーのセーブ力が飛びぬけて強いなど一応単純な能力としては最強に違いないが、この試合ではこちらにも作中No.1キーパーの「げんえい」が加わる。げんえいはゴールキーパーとしてはもちろん、フィールダーとして起用しても全能力に優れた選手となり、必殺のメガドライブシュートが強力すぎてバカスカゴールを決められる。これには先述のキーパーといえど手も足も出ない。
      げんえいの加入抜きにしても、くにおの必殺シュートでも3本に1本ぐらいは決められるので強いとはいえ鉄壁というわけではない。そのためドッジボール部員+「たかし」の初期メンバーで挑んでも勝つのはそれほど難しくない。
    • 一方で準決勝である「服部学園」は「つまずき石」グラウンド*7に嵌ったところを全チーム中最強のスピード+当たりの強さであっという間に抜かれ、強力無比なブーメランシュートをバシバシ打たれてなすすべなく大量失点する*8脅威を感じた後だけに、四満忠戦はそんなに厄介な要素もないため、あまり強さを感じない。
      • まるで『熱血物語』での山田(ラスボス)と竜一竜二(準ラスボス)の関係そのもの。
      • 問題というほどではないが、なぜ「サッカー強豪県のイメージがない沖縄の学校がラスボス*9」なのかという疑問も残る。
  • エンディングが不自然
    • ドッジボール部員は「みさこ」の○○○○が目的で出場したにもかかわらず、受け取れるのは最終試合のスタメンだけ。ほとんどは復帰したサッカー部員で構成されるため、ドッジボール部員ではなくノンキに寝ていたサッカー部員が受け取ることになりがち(大抵は「サッカー部5人+くにお」で一番最後の特上の○○○○は決勝戦でプレイヤーが操作したキャラで2P協力したなら2人とも対象になる)。
      サッカー部が出られないピンチを救ったにもかかわらずこの扱いはあんまりではないか…この一件でヘソを曲げてドッジボール部員たちは後の運動会出場をボイコットしたとしか思えない。*10
      • PCエンジンSUPER CD-ROM版ではアニメでの描写になった事もあってちゃんとドッジボール部員が○○○○を受け取っているように変更された。
  • 必殺シュートが強すぎる
    • 出すと高い確率でゴールになる為、確実に出せるようになると作業感が漂う大味なバランスとなっている。
      • また、必殺シュートの格差も健在。上下にジグザグの軌道をする「すすむ」のチョモランマシュートは外れやすい*11一方、「こうじ」のかっくんシュートはコートのどこから放っても必ずゴールへ直進する為、非常に強い。本業のドッジボールではアレなのに
      • かっくんシュートは途中で敵選手を吹き飛ばすと、何故かきびすを返して自軍ゴールに向かう仕様がある。説明書にも書かれている始末。それを差し引いても優秀だが…
      • 準決勝の対戦相手となる服部学園の必殺シュート「ブーメランシュート」も、弧を描いている途中で当たると同様に自軍ゴールに向かう仕様がある。
    • 相手チームに必殺シュートを撃たれると為す術もなく得点になってしまう事も多い。最後の方は必殺シュートの撃ち合いになってしまう。
      • ただし服部学園戦では上記の通りオウンゴールになる仕様があるため、必殺シュートにわざと当たるという攻略法がある。準決勝チームという強敵なので、ゴール前での必殺シュート率も高いので狙いやすい。とはいえこれも先述の通り、服部学園の選手は瞬足と石に躓かないというアドバンテージが強すぎて、それに慣れるまでは難しいが。
  • 主人公なのに「くにお」の決定力が今一つ。
    • 基本ステータス面での地力こそ強いものの必殺技の「ナッツシュート」はスピードがそこまで速くなく、しかも中盤戦以降は相手キーパーにもキャッチされることも珍しくない。
    • しかも熱血高校の初期メンバー中だけなら最強というわけでもなく、上記の通りどこから打っても相手ゴールの枠内にちゃんと向かうかっくんシュートを持つ「こうじ」や、スピードも最速級に速く強力なガダルカナルシュートを使える「しんいち」などもいるので、ストライカーとしての活躍では彼らの足元にも及ばない。そして地力に関しても中盤に加入する「まさ」に劣る。
      • 一応フォローすると地力が強いのは間違いないので、ゴールキーパーとして起用すればかなり活躍できる。が、仮にも主人公なのでちょっと寂しい起用法である。
      • また前述の通り決勝の四満忠は体感的な強さはそれほど強くないので、くにおをマイキャラにしてもさほど苦もなく勝てる。エンディングを最も盛り上がるものにしたいならこれは欠かせない。
  • 対戦プレイが不完全
    • 「トーナメントモード」以外は対戦用の「れんしゅうじあい」があるが、選べるチーム数が少なく、かつハーフタイムがない前半戦しか行えない不完全なものとなっている(一応試合時間は長めに取られているが)。
      • しかも熱血高校以外はみな必殺シュートが全選手で均一で選手の個性も薄い。
    • 同チーム戦はできるが、キックオフが必ず1Pから始まるなど対等とは言えない。
  • 1P側と2P側でキーパーの性能が違う
    • 必殺シュートを正面からキャッチする際にキャッチ判定が失敗すると吹っ飛ぶはずが、1P側のみ吹っ飛ばない。しかもボールがキーパーと重なっている間は何度もキャッチ判定が行われるため、遅いシュートはキャッチに成功する確率が上がる。
      • トーナメントモードではこれで助かることもあるのだが、対戦ではバランスを崩す要因となっている。
  • ボリューム不足
    • メインモードの「トーナメントモード」には難易度設定もなく、三種類もの難易度が用意されていた前々作に比べると飽きが早い
      また、モードも上述の「れんしゅうじあい」しかない為、大人数でプレイをするにしてもボリューム不足に感じてしまう。
  • バグ
    • ボールをドリブルで自陣ゴールに押し込んでしまう直前まで運び、そこからゴールに向けてパスすると、なぜか得点となってしまうことがある。
    • そのままオウンゴールとなることもままあるため、どうしても勝てない時にダメもとでやってみてもいいかもしれない?

総評

ドッジボールに続き、簡単な操作で爽快感のあるスポーツゲームとして仕上がっている。
選手の数が少ない、反則がない、といったサッカーとしては疑問点のある部分もあるが
その分、シリーズ特有のハチャメチャぶりでカバーしている。
また、1選手の視点で指示を出しながら試合を作っていくCPUアシストシステムも
他のサッカーゲームでは中々見られない独特なシステムであり、本作特有の魅力となっている。


移植・続編

本作はシリーズの中でも様々なアレンジや続編がある。
本作のアレンジである『熱血高校ドッジボール部 PCサッカー編(PCE)』『熱血高校ドッジボール部 MDサッカー編(MD)』*12
グラフィックやサウンドを強化し、またそれぞれのハードで追加チームが存在するなどのパワーアップを遂げている。
続編として『熱血高校サッカー部 ワールドカップ編(GB)』(後述)と『熱血サッカーリーグ(FC)』が存在する。
『熱血サッカーリーグ』では本作で戦った敵チームのキャプテン達を率いて全日本として世界に挑む内容となっており、
様々なアクションや要素が追加され、よりサッカーゲームとしての完成度が上がった良作となっている。
いずれの作品にも本作に登場した「みさこ」とサッカー部員達が登場し、シリーズの常連キャラとなっている。

余談

  • 試合に勝った時などのデモでは食中毒で倒れているはずのサッカー部員がすでにいたり、同じキャラが何故か分裂していたりとかなりいい加減な表現がされている。
    • 同様にエンディングでも相手チームのキャプテンがユニークに紹介されるが、名前とキャラがあっているものがほとんどいないという有様。
  • 本作をはじめとしたサッカーシリーズにはおなじみの「りき」が登場していない。
    • 一応、『りき伝説』では「かつてサッカー部に入っていたが、ある理由から部を除名された」事が語られる。
  • オープニングでは「しんいち」が「俺は、あんまりやりたくないな!」と露骨にやる気無さげなセリフを発するが、後の『ホッケー部』『乱闘行進曲』でもこのやり取りが継承されている。
    その後「ひろし」と「こうじ」から「運動会はどうするんだよ」、「それはまだ先だぜ」という次回作に向けてのメタ発言が飛び出している。しかしみさこに約束の○○○○をブッチされたことからヤル気をなくして……いや同作はダウンタウンシリーズなのでドッジボール部員は出場せず。
  • 北米では『Nintendo World Cup』としてローカライズされている。こちらは世界が舞台となっており、日本チームが熱血高校にあたる。*13対戦選手も日本版の高校紹介音楽や顔をアレンジしたものが登場している。なおカップリングソフトとして『Super Spike V'Ball(海外版US ChampionShip V'Ball)』と本作の2作を収録及び欧州では『スーパーマリオブラザーズ』と『テトリス(任天堂版)』と本作の3作を収録したものが発売されている。
    • GB版『ワールドカップ編』は本作を元にしている、こちらではアメリカチームが本作の主人公にあたる。
    • FC版オムニバス作品『くにおくん ザ・ワールド クラシックスコレクション』では海外版も収録されている中、本作のみ収録されなかった。*14
  • 「服部学園」はダブルドラゴン兄弟の服部竜一&竜二の元出身校であり、彼らの父親が理事長を務めていることが後に判明した。さらに、冷峰四天王の一人である「望月駿」の弟「望月司」もこの学園の1年生となっている。
    • この点からしても上記の服部学園は準決勝なのにラスボスよりも相対的に強く感じるバランスは意図的に設定された可能性も否定できない。
  • サッカーシリーズにおいて「死愚魔高校」のキャプテンを務める「さじ」は、テクノスジャパン倒産以降に出たくにおくんシリーズへのゲスト出演が何故か他キャラと比べてやたらと多く*15、特に『乱闘行進曲』と『マッハ』ではダウンタウンシリーズのキャラクターである「ごうだ」を慕う設定が追加されたり、同じ『サッカー編』出身の恐山商業高校キャプテン「うがじん」や『乱闘協奏曲』出身の関東獅子連合メンバー「ぎんじし」との絡みが用意されるほどの優遇ぶりを受けている。
  • サッカー部員とドッジボール部員はその後も幾つかの作品に登場している。
    • 時代劇だよ全員集合!』熱血物語と同様に顔が雑魚キャラに使いまわされている。
    • 初代熱血硬派くにおくん』熱血高校の生徒として「こうじ」、サッカー部の「まさ」と「げんえい」が登場。見せ場も用意されている。なぜか関西弁でケンカしているが
    • いけいけ熱血ホッケー部』ドッジボール部員が選手として登場。しかし、最初の紅白戦のみで本作のように定着しない。*16
    • ドッジボールだよ全員集合!』ダウンタウンキャラメインとなった為、ドッジボール部員がまさかのリストラ。サッカー部員の顔があるので代わりにサッカー部員を作る事が可能
    • くにおたちの挽歌くにおの彼女としてみさこ*17が登場、くにおと同レベルの格闘が出来るプレイヤーキャラになっており、性格もかなり強気。ちなみに「ひろし」はくにおの舎弟分になっている。
    • 『くにおのおでん』学園祭で「みさこ」が営業するおでん屋を助けるために「くにお」がおでんを食べ続けるというストーリーになっている。しかし他の登場人物は全員ダウンタウンキャラであり、シリーズとしての立ち位置は曖昧な作品となっている。なお「しんいち」らしき人物もモブとして登場している。
    • すぺしゃる』『乱闘協奏曲』「みさこ」が熱血高校のマドンナとして登場するが、サッカー部との絡みは無くなっている。また、「こうじ」がドッジボール部キャプテンとして登場。『乱闘協奏曲』のミニゲームには「しんいち」と本作以降ハブられ続けた「いちろう」が対戦相手として登場している。
    • 『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会 ~オールスタースペシャル~』『ダウンタウン乱闘行進曲』『マッハ』ドッジボール部員全員が「熱血ドッジ部」として参戦し、サッカー部の「げんえい」が「じゃぱん選抜」の一員として登場。「ひろし」は『すぺしゃる』の顔グラフィックで登場している他、「みつひろ」「しんいち」は珍しくドッジボール部時代の顔グラフィックに準拠している(『マッハ』ではサッカー編以降の顔グラフィックに差し替えられた)。
    • 『実写ドラマ版』「みさこ」が熱血高校生徒会長兼演歌歌手という設定を引っ提げてヒロインを務めた。ドッジボールの回では「こうじ」も登場。しかしサッカーの回にサッカー部員が登場する事は無かった
    • 『舞台版』「こうじ」と「みさこ」が登場。ドラマ版よりもデザインがゲームに近くなっている。
  • サッカー部員の一人、「たかし」の名前の由来は当時テクノスジャパン社員(現アトラス社員)の半谷孝志から来ている。
    • 余談だが「ダウンタウン熱血物語」では雑魚キャラの1人「はんや」の元ネタとなっており、移籍後のアトラスでは『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2 罪/』の「ハンニャ教頭(ハンニャ校長)」の元ネタとなっている。
  • パッケージイラストのくにおくんをよく見ると、右手であるはずが、左の握りこぶしになっている
    • イラストレーターの失策であるのは間違いないのだが、発売前に誰も確認しなかったのだろうか…?

熱血高校サッカー部 ワールドカップ編

【ねっけつこうこうさっかーぶ わーるどかっぷへん】

ジャンル スポーツ(サッカー)
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 テクノスジャパン
発売日 1991年4月25日
定価 3,500円
プレイ人数 1~2人
判定 劣化ゲー
ポイント ドッジボール部サッカー編じゃなくサッカー部
スピードがゆっくりすぎて爽快感激減
まさかの世界進出に飛躍するも日本国内より弱い?
くにおくんシリーズ

概要(サッカー部 ワールドカップ編)

1991年4月に発売されたテクノスジャパンの看板「くにおくんシリーズ」のサッカーゲーム。
ファミコンで1990年5月に発売された『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』(上述)の続編にあたるが、内容的には海外NES版『Nintendo World Cup』ベースの移植である。
前作は「ドッジボール部員がサッカーに参戦」という形だったが、本作ではくにお以外はサッカー部であるためタイトルも正式に「サッカー部」となっている。
また本作はゲームボーイでは初となる『くにおくんシリーズ』のスポーツゲームである。

根本的なゲームシステムは上記作品から受け継がれているので、前作から引き継がれた部分は省略し、主に変更点のみにとどめるものとする。


変更点(サッカー部 ワールドカップ編)

  • 上記作品の全国大会でくにおたちドッジボール部の力を借りて見事優勝を果たした熱血高校サッカー部が、今度は日本代表としてワールドカップを舞台に世界の強豪を相手に世界一を目指す。
    • ストーリー設定はこのようになっているが、中身は相手がそれまで学校だったのが、外国になったというだけで何ら変わりないものになっている。
  • メンバーはくにおとサッカー部5名(たかし・すすむ・あつし・まさ・げんえい)は上記ファミコン版から続投で新登場のサッカー部員まさひろ・ひろゆきが加わり8名。
    • 最初から最後までこの8人で戦う。スタメンはファミコン版から続投の6人。くにお・げんえい以外必殺技は変わっている。
    • タイトルが『ドッジボール部サッカー編』ではなく『サッカー部』のためか、くにお以外のドッジボール部員はもう登場しない。
      優勝したのにマネージャーに約束のご褒美○○○○を反故にされたのだから当然と言えば当然だが…くにおだけは約束通り○○○○してもらえたので出場したのだろう。
    • 本作では外国人ばかりが相手のためか名前表記がすべてカタカナになっている。これは日本(熱血高校)も例外ではなく「クニオ」「アツシ」と珍しくカタカナ表記。
  • グラウンドのバリエーションは「芝」「砂」「つまづき石」「氷」の4通りに減っている。
    • 「コンクリート」と「土」がなくなった。
  • チームの作戦パターンは2通りのみになった。
    • オフェンス「パスでつなぐ」or「ドリブルで抜く」
    • チームメイトのシュート「がんがんうつ」or「うたない」
      • ファミコン版にあったディフェンスはなくなり、常にプレイヤーが「タックル」「スベレ」を指示することになる。またキーパーがオーバーラップしての攻撃参加もなくなった。
  • ハーフタイムのデモが相手チーム選手のキャラ絵(1人のみ)になった。
  • ハーフタイムでの作戦変更ができなくなった。
  • ファミコン版では負けなければ見られなかったパスワードが次の相手と戦う前に見ることができる。
  • 2P対戦時はファミコン版では熱血高校と決められた一部の他校しか選べなかったが、本作では対戦相手全てを選ぶことができるようになった。

評価点(サッカー部 ワールドカップ編)

  • 対戦は全ての登場チームから選べる。
    • ファミコン版では熱血高校を含む13校中5校しか使えなかったので、すべてのチームが対戦で使えるのは良い。
  • パスを回してシュートへの流れはファミコン版そのままの感覚でできる。
  • ゲームボーイになってもBGMの質は良い。
    • ファミコン版でのBGMがさほど劣化した印象もなく、新規で追加された試合開始前の各国のイメージサウンドもよくできている。
      • 特にソ連の「コロブチカ」はもっと長曲で作ってもらいたかったと思いたくなる。

賛否両論点(サッカー部 ワールドカップ編)

  • カタカナの名前。
    • くにおくんシリーズらしくないが、やっぱり外国人選手にはカタカナを使ってくれた方が読みやすいことには違いない。
    • 日本(熱血高校)までカタカナは全然良くは感じないが一応珍しいと言えば珍しい。

問題点(サッカー部 ワールドカップ編)

  • ゲームボーイ化したことで、ハードの性能が落ちた都合上すべてに亘って劣化している。
    • わかりやすい例が、チーム戦術のパターンが大幅に少なくなっている。キーパーのオーバーラップしての攻撃や、ディフェンスのタックルの指示がなくなりキーパーは常にゴールを出ずタックルは全て指示必須になり、ハーフタイムでの作戦変更ができなくなった。
    • グラウンドパターンも6種類あったのが4種類に減っている。
    • ハーフタイムのそれぞれ相手の特徴を演出したデモもない。相手選手1人の小さなキャラグラだけでは、イマイチ雰囲気が出ない。
  • 試合中のシステムの大幅に劣化。
    • タックルとスライディングの差がほぼなくなってしまった。
      • ファミコン版ではタックルは吹っ飛ばしてボールを確保しやすい代わりに命中精度が低く、スライディングは命中しやすい反面、相手はひるむだけでしかなくボールを一瞬離しても再度奪われやすいという一長一短な性能だったが、命中した瞬間にボールをキープしてしまうため、この両者の絶妙な差を殺してしまっている。
    • 必殺シュートがダイビングヘッドからでなくなりオーバーヘッドキックは、タイミングを考えずボールにカスった程度でも必殺シュートが出るなど、かなり大味なバランスになった。
  • スピード面が全体的にダウン。
    • これもハードの性能上仕方ないが特にわかりやすいのが「げんえい」の「メガドライブシュート」であのスクロールがついていけない超速スピードはどこへやら。くにおの「ナッツシュート」と大差ないスピードに大幅劣化。
    • また、そのSEの「バシューン!」と鋭い音の片鱗もなく「ガタンガタン」とまるで列車の走行音のような爽快感がまるでないものになった。
  • エンディングがくにおくんらしくない当り障りないものになって面白味がなくなった。
    • 単純に表彰式で優勝トロフィーを受け取るだけ。それが終わればボールが片隅に残ったグラウンドで「The End」のみと、それまでのような笑えるドタバタ劇やドラマチックなものを微塵も感じない。

総評(サッカー部 ワールドカップ編)

ゲーム性そのものはファミコン版から引き継いでいるとはいえゲームシステムにしてもサウンド面などの演出にしても見るからに大幅劣化しているのが隠せない内容。エンディングさえもくにおくんシリーズらしい良さをまるで出せていない。
クソゲーと呼ぶほどひどくはないが劣化の激しさは否定できず、一応対戦で全チームが使えるのでファミコン版よりは対戦の幅こそ広いものの肝心の爽快感が失われていては、その魅力も十分に引き出せたものではない。
当時日本は出場すらしたことがない憧れの舞台「ワールドカップ」を設定に持ってきただけに、その中身がこれでは「ワールドカップ」が完全に看板倒れも甚だしく「嘘・大袈裟・紛らわしい」に近いものになってしまった。


余談(サッカー部 ワールドカップ編)

  • イギリス代表に「ジェームス」と「ジョージ」がいるのだが彼らがかつてドッジボールで戦った「じえむす」と「じおじ」であるか否かはさだかではない。
    • ドッジボールで戦った国々は他にアメリカとソ連が出ているが、ドッジボールで顔を合わせた名前は1人もいない。
  • ドッジボールでは最強国がアメリカだったが、サッカーではさすがに現実の勢力図を反映させなければまずいと思ったか、最強はドイツ、次いでアルゼンチン、それに次いでイタリアとなっている。
    • これは前年行われたワールドカップの優勝が西ドイツ*18と準優勝がアルゼンチン、3位がイタリアだったので、ある意味現実通りではある。
    • しかし、それはここまでで4位のイングランド(イギリス)がかなり弱い扱いになっている*19。また予選敗退で出場権を取れなかったポーランドが出ている。
    • アメリカはまんざらザコの扱いではなく4番目(因みに5番目がブラジル)という現実に反してありえないほど強豪の扱いを受けている。
      • アメリカは前年のワールドカップは1950年のブラジル大会以来10大会ぶりの出場で結果は1次リーグ全敗で敗退し得失点差で-6と本来ならば全然弱いはずなのだが、やっぱりドッジボール部でのイメージもある程度盛り込みたかったのだろう。
  • ファミコン版では『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』本作では『熱血高校サッカー部 ワールドカップ編』なのだが、パッケージで見るロゴの「サッカー」の部分が大きくデザインされ色が違うだけで形はまったく同じ。
    • そのためかどっちも「熱血サッカー」といっしょくたに呼ばれる傾向にあった。

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最終更新:2023年08月22日 19:16

*1 ハートマークで伏せられており、エンディングで判明する……のだがPCエンジンSUPER CD-ROM版ではボイスが追加されたため思いっきりここでネタバレしてしまう

*2 しかも『超ドッジ』はリメイク作品なので復活とは言い難く、真に復活となるのはさらに後の作品である『乱闘協奏曲』になる。

*3 キーパーに攻撃すると逆に跳ね返される。ただしペナルティエリア外に引きずり出せば攻撃が通用する。

*4 プレイヤー操作のキャラは体力ゼロでも起き上がる。また得点で試合が再開されたり、スローインする際には起き上がる。

*5 ただしボールを直接ぶつけても体力は減らない。

*6 暴走族繋がりか、紹介時のBGMは『熱血硬派くにおくん』の2面BGM(対暴走族戦)となっている。

*7 服部学園の選手は影響を受けずプレイヤー側だけ石に躓き転ぶため、こちらは慣れるまで満足に動けない

*8 慣れるまではオウンゴール狙いもままならない。ボールにぶつかろうとしたらその前に石で躓いてパーなんてことも。

*9 サッカーの全国高校大会(インターハイ・選手権大会双方)で、沖縄県の校が優勝した事はこのゲームの発売時点までで一度もない。ちなみにゲーム発売前年の89年はインターハイ・選手権大会双方とも静岡県の清水商業高校が優勝している。(直近の89年度選手権大会の優勝校は愛媛県の南宇和高校だが、90年1月の大会なので開発時期考えると参考にできるか微妙。)

*10 後の運動会は6人チーム構成だが3年生はくにお1人だけで、あとはシリーズ初登場の後輩(しかも3人もが1年生)というやや頼りなさげなメンバーで出場している。

*11 ただし、序盤から登場する割に体力が高く敵選手を次々吹っ飛ばせるという長所もあるため地力要員としては普通に使える。

*12 MD版は当初の発売元であったパルソフトが発売前に倒産してしまった影響で「株式会社S.M.S.」という別の会社から発売された。

*13 初期6人のメンバーが対戦相手として挑戦を挑んでくる、なお「こうじ」の名前が本作未登場だった「りき」に、「ひろし」の名前が「こうじ」に、「みつひろ」の名前が「すすむ」となっている。

*14 コレクションはマルチプラットフォーム展開しているため、海外版のタイトル名や権利が障害となったと考えられる。

*15 ガラケー版『熱血格闘伝説』、『熱血行進曲DX』、『ダウンタウン熱血物語SP』など

*16 裏技で最後まで使うことは可能。

*17 髪の色が同じで口癖も「びきびき」であるので同一人物の可能性が高い。

*18 統一されたのは1990年10月なので、本作発売時点では既に統一された後だが、前年のワールドカップではまだ東西分断状態のままだった。

*19 ドッジボールではイギリスは外国勢の中で最弱だった。