Turok: Dinosaur Hunter / 時空戦士テュロック

【てゅろっく だいなそー はんたー】

ジャンル FPS
対応機種 【オリジナル版】
NINTENDO64
Windows 95
【リマスター版】
Windows 7/8/10(Steam)
Macintosh(Steam)
Xbox One(海外のみ)
PlayStation 4(海外のみ)
Nintendo Switch(海外のみ)
発売元 Acclaim Entertainment
【Steam】Nightdive studios
開発元 Iguana Entertainment
Nightdive studios(移植)
発売日 【N64】1997年3月4日(北米)
1997年5月30日(日本)
【Win】1997年11月26日
2015年12月17日(リマスター版)
定価 【Steam】1,980円
配信 Steamにてダウンロード販売中
判定 良作
ポイント アメコミ原作のFPS
新旧文明の混じった多彩な銃撃戦
N64版は描画距離に難あり
Turokシリーズ
時空戦士テュロック / バイオノザウルスの戦い / バイオレンスキラー
Rage Wars / 3:Shadow of Oblivion / Evolution / Turok(2008)


概要

1954年から始まったアメリカの人気コミック『テュロック』を題材にしたN64向けの3DFPS。
基本的に『QUAKE』譲りの撃って走る豪快な銃撃戦が特徴だが、キーやクロノセプター集めといった探索要素も重要な位置を占めている。

開発を担当したのは『Batman Forever:The Arcade Game』を手掛けたアクレイム傘下のIguana Entertainmentで、本作が同社初のFPSとなっている。 北米では『Turok: Dinosaur Hunter』のタイトルで発売されたが、日本N64版では『時空戦士テュロック』に改題されて販売された。
またリマスター版のストア表記は『Turok』のみとなっている。


ストーリー

古代、現代、未来の文明が混在する他の時空から隔離された台地、ロストランド。

ここでは、人と共に恐竜や巨大昆虫が闊歩し、数多くの太古の文明跡がその形を留めていた。

ある時、邪悪なサイボーグ戦士キャンペイナーが強力な軍隊を結成し、その力を恐れた人々により各地へ隠された古代兵器「クロノセプター」を見つけ出すため、徹底した捜索を開始する。

キャンペイナーは時空に干渉するほどの能力を持つ「クロノセプター」の力を要塞のフォーカシングアレイで増幅し、時空から隔離されたロストランドの障壁を破壊して宇宙を支配しようとしていた。

かつてキャンペイナーに深手を負わせたサークイン族出身の初代テュロックことタル・セットは、キャンペイナーよりも先に「クロノセプター」を奪取し野望を粉砕すべくパーツの眠る各地へと向かう。


ゲームシステム

ゲーム進行

  • 「ハブレベル」を中心にワープゲートで相互に接続された全8つのレベルを探索し、先に進むための鍵とクロノセプターの破片を捜す銃撃&探索メインのFPS。
    • プレイヤーの機動力は高めで、落下ダメージや酸素メーターなども存在しないなど探索向きに調整されている。
  • ゲーム開始時はステージ1から始まり、ステージ1の最後に複数のワープゲートが設置されたハブレベルに辿り着く。各ゲートは3つ(レベル8のみ5つ)の鍵を集めることで開き、飛び込むと該当のレベルへと転送される疑似オープンワールド仕様。
    • 各ステージには平均3つの鍵と確定で1つのクロノセプターの破片が配置されており、マップ内をくまなく探索してこれらを収集していくのが基本的なゲームの流れとなる。収集した鍵と破片はメニュー画面から閲覧可能。
    • また、ステージごとに青いゲートがランダムで出現することがあり、うまく飛び込むとアイテムが配置されたボーナスステージに転送される。
  • 通常ステージの最後に2体、ラスボスの前座に1体、合計4体のボスが登場し、専用ステージで戦うことになる。
    • 登場するボスは装甲車、巨大昆虫、サイボーグ恐竜などさまざま。
  • 残機&チェックポイント機能を有しており、最大で9つの残機を保持可能。道中に散らばる逆三角のアイテム(ライフフォース)を100個獲得するごとに残機が1増える。
    • 死んだ場合は、残機を1消費して各地のチェックポイントまたはセーブポイントで復活する。残機がなくなるとゲームオーバー。
    • 各所に配置された巨大な金色の柱で進行状況をセーブすることができ、ロード時は残機は減少しない。
  • 敵は初期配置キャラクターとリスポーンキャラクターの2種類が存在し、前者は強いが一回倒せば復活せず、後者は一定時間で何度でも再配置されるが初期装備で倒すか徒歩で回避できる程度の弱さを持つ。
  • 操作を一通り学びたい場合は、本編とは別に用意されたチュートリアルステージでジャンプや遊泳、射撃といった一通りの動作を練習することができる。
    • 通常通りの練習に加えてタイムアタック機能も付いており、リマスター版では02:45以内にクリアすると実績が貰える。完全なオマケ要素ではあるが、無駄のない射撃や精密なジャンプが要求されるため難易度はかなり高め。

武器

  • ナイフ、クロスボウといった原始的なものから、自動拳銃、ショットガン、アサルトライフルといった現代的なもの、ロケットランチャー、フュージョンキャノン、パルスライフルといったSF火器まで、通常火器は全13種類。
    • また、入手できるようになるのはラスボス直前だが、最強武器としてクロノセプターが登場。クロスボウとショットガンには爆発弾も用意されており、合計バリエーションは16種類と豊富。
  • ただ銃弾を発射するものだけでなく、爆風に巻き込む、ビームで貫く、分子レベルで破壊する、小型原子爆弾を射出するなど各武器の使い勝手はかなり異なる。

評価点

爽快感の高い銃撃戦

  • 全体的にプレイヤーの火力は高く、迫りくる敵をなぎ倒して先に進んでいくゲームプレイはかなり爽快。
    • 武器種も豊富で、さまざまな兵器を使い分けての多彩な戦闘を繰り広げることができる。

豊富な敵キャラクター

  • ファンタジー色が強く世界観も独特なため、武装した人間から巨大なモンスター、恐竜、昆虫、魔術師、巨大ロボット、果てはエイリアンまで多種多様な敵キャラクターが登場。
    • 各キャラの行動パターンも差別化されており、ただ撃てばいいわけでなくきちんと考えて立ち回る必要がある。

雰囲気を盛り上げるBGM

  • ロストランドの部族的イメージを強調する太鼓を基調としたトライバルなBGMはどれも完成度が高く、雰囲気を盛り上げてくれる。

チート搭載

  • チートコマンド入力機能が搭載されており、ゲーム内で一定条件を満たすとパスワードが開示される。
    • 無敵や体力無限、全武器取得、ワープ、ビッグヘッドモードなど種類は様々。最初からクロノセプターが撃てるようになるなど、本編ではありえないプレイも存分に楽しめる。
    • 中にはグラフィックがサイケに変色しまくり、敵が全員踊り出すディスコモードなどの遊び要素も。

賛否両論点

変わった操作性

  • 本作はニンテンドウ64で初めて発売されたFPSであり、変わった形状をしているN64コントローラーのボタン配置に関して一定の基準は確立されていなかった。『ゴールデンアイ 007』は優秀な操作性が絶賛されたが、対して本作の操作性はやや不満点として挙げられることが多い。
    • 現在配信されているリマスター版ではWASD+マウスの現代的操作に対応しているため、そちらを購入する場合は特に支障はない。

やや浮きすぎな現代要素

  • さまざまな文明の入り混じったロストランドだが、本作においてはSF超文明と古代文明の占める割合が多く現代文明のレベルがないため現代火器の存在がやや浮いている。
    • 最初のボスは米陸軍のハンヴィーとの連戦なのだが、作中一回も自動車らしき存在が登場しないにもかかわらず唐突に表れるため違和感が大きい。

一部マップのかなり早い敵リスポーン

  • 一部マップではリスポーン速度がかなりえげつないことになっており、倒したはずの敵に何度も追いかけまわされることになる場面が頻発する。
    • 特にダッシュで接近してくる敵が湧くステージは通常プレイ中も苦しめられることが多く、一回で破片やキーを集められないと再走時にかなり厄介。
    • 基本的に敵からの弾薬ドロップはほぼないため、いちいち対処していてもうま味がない。クリア済みのマップにアイテムが再配置することもないため、無限湧きする敵に対して武器を使えば使うほど後の攻略に影響が出てくる。

簡素なエンディング

  • 当時の洋ゲーにはよくあることではあるが、エンディングはやたら簡素。
    • ラスボス破壊後に脱出ムービーが入り、以後要塞前に佇むテュロックを背景にスタッフロールが流れるだけ、という構成なのだが、その間ラスボス戦の緊迫したBGMが流れ続けるためエンディングっぽさがなくなっている。

問題点

遅すぎ・強すぎのクロノセプター

  • 作中最強武器であるクロノセプターはバラバラの状態で各ステージに配置され、全8つのパーツを揃えなければ武器として使えない。
    • しかし、最後のパーツが集まるのはラスボスの前座であるTレックスの撃破後に飛ばされる補給エリアで、パーツをしっかり集めたとしても撃ちこめる敵は実質的にラスボスのみ。
    • 似たようなシステムを採用している『DOOM 64』のアンメイカーのように、徐々に強化されていくのであればより強さも実感しつつ武器数を増やせたのだろうが…。
  • 実際に完成させてみると、所持弾数3発&補給無し&2秒ほどのチャージが必要だが直撃3発でラスボスのHPを全て削り切るとんでもないバランスブレイカー。
    • 爆風にも高いダメージ判定が存在し、なおかつ本作のラスボスであるキャンペイナーは一定ダメージごとにサイボーグ体が露になるアニメーションが入るためラスボスが立ち止まって苦しんでいる間にリチャージが完了してしまう。

描画範囲が狭い

  • N64の性能不足によるものだが、通常レベルは描画範囲がかなり狭く常時霧がかかったような風景となっている。
    • 狙撃系キャラはほぼいないため戦闘面では大きな支障はないが、探索中は不便。リマスター版では大幅に改善され、かなり遠くまで見渡せるようになった。

総評

N64黎明期のFPSタイトル、そして同社のテュロックシリーズ最初の作品ではあるが、グラフィックや音楽、ゲームプレイなど健闘し同ハードの性能を引き出した良作。
特に北米での人気は非常に高く、批評家・ゲーマー共に高い支持を得ることに成功、北米におけるN64で最も成功したゲームの一つに数えられるほどの人気を博した。

ややキーやクロノセプターの隠し場所に洋ゲー特有のいやらしさはあるが、続編と比較すると全編を通じてクリアが困難なほど難しいわけではない。
日本では発売が遅れた結果『ゴールデンアイ 007』と被ってしまったためやや知名度に欠けるが、リマスター版は手軽に購入可能なため同時代の洋FPSに興味があるのならば触ってみる価値は十分にあると言えるだろう。


余談

  • 本作が北米で高い評価を獲得したのをきっかけに、同路線を受け継いだFPSとして『バイオレンスキラー(Turok 2)』と、マルチ対戦特化のスピンオフ『Rage Wars』『Turok 3』とN64での続編が製作された。また、携帯機による横スクロールアクションも複数発売されている。
  • 北米地域では本作とほぼ同時期に『DOOM 64』が発売されており、N64のローンチからまだ半年でなおかつソフトの数も少ない中、甲乙つけがたいFPSが続けて出たことから比較されることも多かった。
  • 2015年に北米N64版準拠のリマスター版が発売された。新たにWASD+マウスの現代的操作に対応しているほか、高解像度・描画範囲拡大・実績などに対応している。
    • 移植を担当したのは、『DOOM 64』など数多くのレトロFPSの復刻を手掛けるNightdive Studios。他のタイトルと同じく高い精度でリマスターがなされており、オリジナル版同様評価は高い。
    • 敵の配置などは日本版と異なっているため、プレイ感覚はやや異なる。N64版と1997年版Win版ではチートコードが異なるが、リマスター版のチートコードはN64版と同一となっている。
  • 本作で大群を率いてクロノセプターの破片を捜している設定のキャンペイナーだが、彼の要塞であるレベル8以外の全てのレベルではそのままの状態で眠っている。
    • そのため、実質的に彼が集められたクロノセプターの破片はほっそいバレルが1本だけ、という悲しい結果となっている。結局残りの全ての破片はテュロックが先に回収し、彼の望みは即座に挫かれることとなった。
      • しかし、キャンペイナー討伐後にテュロックがクロノセプターの抹消を図ったことが、後のとある事件を引き起こすことに…。

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最終更新:2021年11月22日 22:22