NinNinDays
【にんにんでいず】
ジャンル
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恋愛アドベンチャー
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対応機種
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Windows(Steam/GOG.com) Nintendo Switch
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発売元
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【Steam/Switch】qureate 【Steam】DLsite
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開発元
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iMel qureate
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発売日
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【Steam/GOG】2019年8月9日 【Switch】2020年3月12日
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定価(10%税込)
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【Steam】1,280円 【Switch】800円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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80個(+クイックセーブ1箇所)
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レーティング
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CERO:D(17歳以上対象)
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備考(Switch版)
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ダウンロード専売
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判定
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良作
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ポイント
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天然ドジっ子くノ一がヒロイン 共感しやすい主人公 ボリュームは価格相応
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qureate作品
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概要
qureate(キュリエイト)の臼田裕次郎氏が送る低価格恋愛ADV・でいずシリーズの第1弾。
キャラクターデザインはホロライブ所属のVTuber「宝鐘マリン」をデザインした事で有名なあかさあい氏が担当している。
Win版は公式サイトでR18化パッチが無料配信されており、DLsiteでも18禁Ver.単体で販売されている。
ただし、本稿ではR18表現の無い「パッチ未適用のSteam版」と「Nintendo Switch版」に限定して記載する都合上、R18部分や価格格差については評価の考慮に入れないものとして扱う。
あらすじ
その昔、歴史の影で暗躍していた忍びの者『忍者』。忍者は諜報活動、謀術、暗殺などを仕事し大名や領主を影で支え繁栄していた。
時は現代― 忍者の末裔達が住む里では、昔同様に修行を行っているが、昔ほど依頼はなく山奥にある小さな集落になっている。
そんな中、里の頭領の父からある修行を命じられ、山奥にある忍者の里から街に出てきた“すみれ”。
しかし、すみれはお金も食料も持たずに山から下りてきたため、道中空腹で倒れてしまう。
そこに偶然通りかかった主人公に助けられ、恩義を返すために押しかけ同然で主人公の家で居候することに……
冴えない主人公とドジなくの一との ちょっとHな同棲生活がはじまる!
(公式サイトより引用)
システム
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ADVゲーム
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ストーリーは主人公の目線で語られて、かつ原則1本道。ストーリー中は選択肢が7回出る。
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エンディングが3種類あり、「最後の選択肢で何を選んだか」「それまでの選択肢で何を選んだか」という条件で展開が分岐し、グッドエンドA、グッドエンドB、バッドエンドのどれに到達できるかどうかが判定される。
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選択肢には正解不正解が設定されており、2回分間違った選択肢を選ぶとグッドエンドにたどり着けないようになっている。
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その他
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バックログ表示、メッセージボックスの非表示、クイックセーブ・ロード、早送り、メッセージのスキップといった一通りの機能が搭載されている。
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システム画面から、文章の表示速度や言語を操作できる。BGMの音量、ヒロインの声量なども操作可能。
評価点
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ヒロインの描写
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本作のヒロイン・すみれは
「天然」「ドジっ子」「世間知らず」
という特徴を持つ。
そしてそのバストは豊満である。
炊飯器すら知らない
状態の彼女に一から教えつつ現代社会に溶け込めるようになっていく描写が丁寧に描かれていることもあり、成長していくのを見守っていく内にプレイヤー達にも庇護欲が沸いてくる。
「ドジなせいで自己肯定感が低い」と言うこともなく、明るい性格のため素直に好感が持てる他、担当声優の野中みかん/尾野山みか氏の演技も非常によく合っている。
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なお、立ち絵はキャラクターアニメーションツールE-mote(エモート)によって、状況に合わせてぬるぬる動く仕様。かなり細かく動くので、「本当にこの値段でいいの?」と思わず予算の心配をしてしまう程。
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主人公の描写
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現実世界にも見られる「明確な目標を持たずにフリーターで活動している」タイプの社会人であり、定職に就かないことを心配する親から小言を言われている……という設定。
この境遇故に耳が痛いと感じるユーザーも少なくないが、一人暮らしが立派に出来ている事や常識的な思考をしている事もあってかなり現実的に描写されており、共感や感情移入がしやすい。
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なお、シナリオ中に現れる選択肢の中には「挨拶をする」なんて物も用意されている。
ドーモ、すみれ=サン。
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あかさあい氏のこだわりが詰まりに詰まったイベントスチルも好評
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あかさあい氏の特徴と言えば、
なんといってもその”肉感”。
かなり細かく表現されており、氏のファンであるのならイベントスチルはどれも一見の価値がある。
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システム面が充実している
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他の低価格恋愛ADVでは、このシステム面すら満足に揃っていないものもある。しかし、本作並びにでいずシリーズでは必要な機能が全て揃っている。
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特にスキップ・ジャンプ機能が好評で、選択肢のあるシーンに到達するまでもの凄いスピードで文章を送ることが出来る他、バックログを開いて過去のシーンにジャンプすることも可能。
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また、Switch版は画面のタップ機能でも操作が可能である。
賛否両論点
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二枚ほど、気になるイベントスチルが存在する。
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一枚目はすみれが料理を作ってくれるシーン。フライパンの中身と作中で出てくる料理が一致していないため、修正に割く費用を予算から捻出できなかったという事が窺い知れてしまう一枚となっている。
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二枚目は、ちょっとHなハプニングシーン。次回作以降は胸部に下着を装着するなどの規制による措置が取られているのだが、
本作のみブラジャーや煙の類が一切描かれていない。
すみれの浮世離れぶりからして持っていなくても別に不思議ではなく、背面からの構図のため直接は見えなくなっているが、シリーズの他作品を知っていると「大丈夫なのか」と思わずにはいられない。
しかしそのお陰であかさあい氏の真骨頂でもある肉感をじっくり堪能できる。眼福。
問題点
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ボリュームは少な目。数時間で遊びきれてしまう。
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シナリオは基本的に一本道で、最後以外の選択肢は直後の台詞が変わる程度の変化しか無い。
ただ、展開そのものは綺麗に纏まっているので、値段相応と割り切れば納得はできる。
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若干の矛盾とご都合主義的な要素
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具体的に言うと、「作中の主人公の行動から、今までモテなかった理由が分からない」「すみれの下着が現代的」「すみれの意図せぬ犯罪」の三点。
特に最後については住居侵入罪、銃刀法違反、器物損壊、放火と4つもやらかしてしまっている。
しかし、幸い(?)最後まで警察にお世話になる事にはならない。
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英語表記のオプションUI
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価格を考えると妥協するほかないが、コンフィング一覧が日本語で書かれていることもあり、初見だと面食らってしまう上に分かりづらい。
この仕様はでいずシリーズ第4弾『異世界酒場のセクステット』まで流用されることになるが、項目自体は全て同じなので、複数作品遊ぶ前提なら覚えてしまえば問題ない。
総評
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若干気になる要素はあるものの、主人公への共感のしやすさやヒロインの魅力が作中でしっかりと描かれており、初見では値段に反比例しているかのようなクオリティの高さに驚くこと間違いなし。
シリーズ作品を初めてやるというユーザーにも特にオススメできるタイトルである。
余談
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でいずシリーズは世界観を共有しており、後のシリーズでもすみれの事を示唆する描写が存在する。
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次作となる『とらぶるでいず』では本作の出来事をモデルとしたライトノベルが刊行されている他、その宣伝を手伝うためにヒロインがすみれのコスプレをする展開も用意されている。
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シリーズ第4弾『異世界酒場のセクステット』では、Vol.1の冒頭でメイド喫茶の厨房担当である主人公が同じ職場に勤めていたすみれの事を思い出すシーンが存在する。
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また2021年11月4日には、qureate初の続編タイトルとなる『NinNinDays2』が発表された。
キャラクターデザインは本作と同じくあかさあい氏で、同月18日に発売。
新たなくノ一「鈴蘭」と「桔梗」の他、本作の特定のエンディング後の時系列のすみれも登場。
また、上述したライトノベルが大賞を取り、書籍化が発表されたという描写も存在する。
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尚、Switch版の価格は1000円。今までのでいずシリーズと比べてやや高くなっているが、qureateの商業デビュー作『NekoMiko』もダブルヒロインの作品で1000円だったため、そう驚くことでもない。
最終更新:2023年08月26日 11:49