ダービースタリオンIII

【だーびーすたりおんすりー】

ジャンル シミュレーション
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 アスキー
発売日 1995年1月20日
定価 12,800円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 操作性やテンポが大幅改善
お任せ厩舎導入で初心者にもやさしいシステムに
初期牝馬と無料種牡馬の伝説
ダービースタリオンシリーズ


概要

1995年に発売した競馬シミュレーションゲーム「ダビスタシリーズ」の5作目(「全国版」を2作目とみなせば6作目)*1
ファミコン系ハードでは3作目(『全国版』はナンバリングに含めない)としてナンバリングを『III』としている。
基本的なシステムは前作から引き継がれているため、本項では変更点のみにとどめるものとする。


変更点

  • 更に現実の中央競馬に近づいた再現。
    • レースプログラムが1995年準拠になった。
    • 1ヶ月に最大3場開催と現実同様になり、札幌・函館競馬場も導入された。これによりローカル競馬場は現実同様6つ(札幌・函館・新潟・中京・福島・小倉)になった。
      • 現実同様7月は札幌のシリーズが開幕し新馬戦が他より1ヶ月早く開催され、馬齢区分も1ヶ月分早い(つまり古馬は賞金次第で降格扱いになる)。
    • 現実にも存在した「マルチチ」コト「父内国産馬」区分が導入され限定レース区分が追加となった*2
    • 現実同様に中央4場(東京・中山・京都・阪神)の開催に伴って1場のローカル開催が行われるようになった。
      • これにより現実同様福島10月・11月開催も導入され、当該の開催で4歳未勝利戦が行われゲームでは未勝利馬の猶予が2ヶ月伸びたことにもなった*3
  • ローカル6場は距離により遠征と滞在が選択可能に。各々の競馬場に滞在用の厩舎が設けられた。
    • 美浦と栗東だけでなく、それぞれの競馬場に遠征用の厩舎が設けられ、そこに滞在できるようになった。
    • 競馬場付けの厩舎では、調教がダートと芝のみに限られる。
    • その競馬場に前もって輸送して長期滞在するか、当日輸送して遠征(レースが終わったらトレセンに戻る)を選択することもできるようになった。
      • 当日輸送の遠征が不可(滞在必須)なのは札幌と函館。さらに美浦所属馬なら小倉、栗東所属なら福島。
        それ以外なら登録前に調教した場合は当日輸送(当日帰厩)となり、調教をせず登録すると滞在の扱いとなる。
  • 去勢イベントが発生し(後述)プレイヤーがセン馬を得る機会が発生した。
  • 騎手の新要素
    • 騎手名が漢字表記になった。同時に騎手の得意戦法が明記されるようになり、顔グラフィックも用意された。
    • 柴田政人騎手(ゲーム名柴多摩)*4と安田隆行騎手(安田高)*5が94年に引退のために、さらに大崎昭一騎手(大咲)*6がプレイヤー馬への騎乗が不可に。替わりに加藤和宏騎手(加登)*7が騎乗可能になった。
    • 見習騎手が登場。技術は低いが斤量が軽くなる上、どんな馬でも乗ってくれる(乗り替わりが発生しない)メリットがある。
      • ゲームの仕様上、何年経っても見習いのままなのはご愛嬌。
    • 外国人騎手が登場。短期免許という扱いなので特定の期間にしかいないが、お手馬を持たないので高ランクの割には騎乗依頼しやすくなっている。
      • 本作ではムンロ騎手*8とリサ騎手*9が該当。このうち後者はシリーズ初の女性騎手でもある。
  • パドックでの横断幕で自分の馬を応援するものが登場。
    • ライバル馬の横断幕に負けない文字数に応じた様々なデザインが施されている。
  • 伝説の種牡馬サンデーサイレンスが初登場
    • 初年度から産駒が次々と活躍し、日本の競馬界の歴史や勢力図・血統表*10を塗り替えてしまった種牡馬で、当時はまだ産駒が活躍し始めのころだったためリストの一番上より少し下におりパラメーターもやや弱い。
    • そもそも有用なインブリードがほとんど成立しないので、インブリードが強力な本作の仕様上あまり強くない。次作『96』で最上位*11となり、パラメータ強化のみならず新たな配合理論の採用によりパワーアップしている。
  • 配合時「インブリード」が5代先(父父父父~母母母父)まで有効になった。
    • しかし血統表で見られるのは今まで通り4代先(父父父~母母父)までのまま。
    • また、種牡馬一覧でインブリード対象は赤文字で表示されるようになった。これに関しては血統表で見えない5代先まで感知している。
    • そもそも前作ではインブリード自体が機能していなかったのだが、本作においては非常に効果的。しかし今作では少々強すぎたきらいがあり…(後述)
  • 成長型に新しく「持続」が追加。
    • これは早熟の発展形で単にデビューが早いだけでなく、衰えが遅いと言う上位互換である。
      • この成長型を持つ種牡馬はノーザンテースト、リアルシャダイ、ミスターシービー等の高額馬に限られている。
      • 「晩成」ほどの長い活躍はできないが「早熟」並みに早期にデビューでき、顕著な衰えが見えるのは「普通」よりも後という優秀なもので、クラシックを狙いつつ古馬として円熟してブリーダーズカップ起用もありという非常に良好なパターンと言えるだろう。
      • また、オークス・ダービー時は「早熟」の方がピークなので、そちらの強みも失われない。
  • 牧場の展示室にGIレイだけでなく、GIIやGIIIのカップも展示されるようになった。
    • G1と違いGIIやGIIIは一度でも制覇したことがあるかないかのみ(優勝カップが表示)で回数は記録されない。
  • おまかせ厩舎(通称「おま厩」「おまQ」)の導入。
    • 関東(美浦)、関西(栗東)にそれぞれ5厩舎あり、旧来通り自分で調教、出走登録する「自厩舎」を最初に選ぶ。
      「自厩舎」には6頭預けられ、選ばなかった残りの4厩舎が「おまかせ厩舎」となり、ここに預けられるのはそれぞれ2頭ずつと少ないが、コンピュータが調教、出馬等すべて行ってくれるので楽。
      プレイヤーは調教には関与できないが、登録したレースをキャンセルすることは可能(もちろん再度登録はできない)。また放牧もプレイヤーの判断でのみ可能で、たとえ故障しても勝手に放牧することはない。
    • ゲーム開始時に、地方ごとに5つの厩舎の中から1つの自厩舎を選び、それ以外が「おまかせ厩舎」になる。 このときに厩舎ごとの説明が表示されるので、「おまかせ厩舎」にした場合に役に立たないと思われる厩舎を「自厩舎」に選ぶのがセオリー。
    • 関東(美浦)
      • 藤枝厩舎…馬に無理をさせず高勝率を誇る。
      • 河原厩舎…じっくりと馬を育て長距離が得意。
      • 奥田厩舎…休み明けでもきっちりと仕上げる。
      • 加橋厩舎…逃げ先行馬を育てるのが得意。
      • 吉松厩舎…どちらかといえばローカルに強い。
    • 関西(栗東)
      • 森山厩舎…ハード調教で馬を鍛えて強くする。
      • 山藤厩舎…仕上げが早く3歳戦には特に強い。
      • 古窪厩舎…レースを使いながら馬を仕上げる。
      • 鶴鍋厩舎…体調管理がうまく牝馬戦に強い。
      • 池永厩舎…馬を大事に使うので故障が少ない。
  • 牧場のセーブ枠が2枠になった(前作は3枠)。
    • 牧場データの外部保存には新型の「ターボファイルツイン」が必要。旧来のターボファイルにも対応しているが、レースVTRとブリーダーズカップ登録馬の保存にしか使用できない。
  • 矯正器具の導入や、去勢イベントの発生。
    • ブリンカー
      • 視界の一部を遮り、ほとんど前しか見えなくなるメンコの一種。
        本来ならばレースに集中できない馬に使用するがゲームでは気性を良化させる効果がある。そのため気性難が災いして負けた後に発生する可能性がある。
    • シャドーロール*12
      • 明治製菓のスナック菓子「カール」のような形で、それをバカでかくしたようなアクリル製のもの。
        本来ならば目の下に付けて自分の影を恐がってレースに集中できない馬に装着する。ゲームでは勝負根性を上げる効果がある。そのため根性なしが災いして負けた後に発生する可能性がある。
    • 去勢イベント
      • 牡馬の性器を取り払ってしまうというもので、気性を大幅に良化する効果がある。そのためブリンカー同様気性難が災いして負けた後に発生する可能性がある。このイベント発生率は調教師によってムラがあり、非常に発生しやすいのが「ハード調教」で名を馳せる森山調教師である。
        このイベントが発生すると、一旦牧場に強制的に戻され性別は「牡」から「セン」になる*13
        当たり前だが、セン馬になると種付けができないので、いくらGIを勝とうが引退時は乗馬(タダでの引き取り)にしかなれない。また、牝馬になったわけではないので牝馬限定レースには出られないしそれ以外でもクラシックや天皇賞に出られなくなると少々制約を受ける。
  • レースでの除外条件がリアルな出走登録数になり、格上挑戦の制限がなくなった(新馬・未勝利馬は対象外で500万への挑戦すらできない)。
    • それに付随して3歳の新馬でも未勝利戦でデビューが可能になった。
      • 未勝利戦は新馬戦に対して賞金で若干劣るためあまり意味はなさそうに思えるだろうが、新馬戦はごく稀にGI・重賞クラスのライバルホースが出てくるリスク(3歳表記だが普通に8大競走で戦う時とステータスが変わるわけではない)があるが未勝利戦ならば、その恐れはゼロ。
        また同日開催の未勝利戦の方が馬にとっての適正距離だったりした場合も、敢えて未勝利戦デビューを利用する価値がある。賞金が少ないとはいえ微々たるものだし本賞金で見ればどっちも400万なので全く変わらない。
    • 除外されるか否かは再度「出馬」を選んで出走登録状況を見て確認することができ、調教師が「除外の心配はないようです」「除外の可能性がありそうです」「このままでは除外が確実です」など助言をくれる。
    • また基準を満たしていても除外されることもあり1500万下のレースなどでは、普通にそのクラスの本賞金を持っていても除外されることがままある。
      • 特に勝った900万下条件が平場だった場合、本賞金が若干少なくなるのでそれが災いするケースがある。
    • 新馬戦、未勝利戦、500万や900万下の平場では出走登録の確認はできないが、普通に自分のクラスで出走する分には100%除外されない。この場合、確認しようとしても登録状況の表が出ず、「除外の心配はないようですが出走を取りやめますか?」と聞かれる。
      • と思いきや、500万が900万の平場競走に登録すると確認できない(「除外の心配はない」と言われる)のに除外される可能性がある。
    • またGIは前作では1500万下であれば一部を除いて格上挑戦で出走できたが、本作ではGIの出走登録数は必ずビッシリになるので「格上挑戦でGI」は実質できなくなった(トライアルで出走権を得ている場合を除く)。同時に天皇賞やマイルチャンピオンシップなど特に条件がない場合*14ギリギリオープン程度では容赦なく除外されることが多い。
  • 牧場の拡張工事が4段階(初期を含めると5段階)になり、飼養頭数だけでなくいろいろオマケも付いてくる。
    • 初期状態では繁殖牝馬2頭、競走馬6頭までと狭いものだが、3月1週時点である程度の資金と、滞在している馬の頭数で拡張イベントが発生する。
      • 2段階目…繁殖牝馬4頭、競走馬10頭
      • 3段階目…繁殖牝馬8頭、競走馬20頭
      • 4段階目…上記に加えて馬の療養用温泉が増設。温泉治療は回復が早く、再発を抑える効力があるとされるが……(後述)。
      • 5段階目(最終)…上記に加えて引退後の功労馬10頭を残しておける。
        GI馬の場合本来ならば引退して種牡馬売却ができるのだが、ここに残す場合、その権利を放棄することになる。また牝馬をここに入れたとしても繁殖牝馬枠に後で移したりはできない。功労馬はあくまで「いるだけ」である。もちろん費用が掛かる。
        また功労馬は死没しても「今朝亡くなりました。」までで「たいへんショックですが」以降の下りはない。出費になるだけで収入には全くつながらないからだろう。
  • パドックはBボタンを押すことで次の馬へ飛ばせるようになった。
    • 前作でのスキップはそれ以降全部飛ばすのみ。
  • 骨折が2段階コメントになり、新しい骨折パターンが追加。前作までの「骨折」はいわゆる軽傷の類になる。
    • まず「歩様に異常が見られます。念のためレントゲンを撮ってみましょう。」が出て、次にコメントを出すと下記いずれかになる。②③は左記を介さずいきなり出る場合もある(予後不良以外でレース中の故障の場合特に)。
      • ①「検査の結果骨折していることが判明しました。非常に残念です。」
        軽度の骨折なので、数か月程度。
      • ②「かなりの重症です。復帰には相当の日数がかかりそうです。」
        完治までに1年以上かかり、以後は骨折しやすくなる(つまり屈ケン炎のようなおまけがついてくる)。
      • ③「なんとか命はとりとめましたが競走馬としての復帰はちょっと難しいかもしれません。」
        上記よりもさらに重症で完治にはさらに時間がかかる。現実でいう競争能力喪失の状態。
        幸い引退扱い(予後不良による安楽死処分ではない)ためGI馬なら種牡馬売却の対象にはなるし、牝馬なら繁殖に上げられる。
  • 故障休養中の馬が牧場滞在中は、完治した時に告知されるようになった。
    • これにより牧場と厩舎を行き来して、いちいちステータス画面を開いて確認する手間がなくなった。
  • ブリーダーズカップが進化。
    • 完全登録制になった。1つのカセットにはパスワード含めて60頭まで登録可能。さらにターボファイルに丸ごと保存することも可能。
      • 前作のように牧場からの出走はできないが、それぞれ好きなタイミングで登録できる。
        そのため、絶好調且つベストな馬体重、更に追切を行った状態で行うがベスト。
    • 前作同様東京での「マイル」「クラシック」「ダート」「ディスタンス」だけでなく、10の競馬場と対象の距離すべてから自由に選択できる「エクストラ」が誕生。
    • 前作である『2』及び『EX』のパスワードも入力可能。ただし旧PC-98版は非対応。
  • 予後不良時の背景と音楽の変更。
    • レース後に予後不良の診断が下されたとのメッセージがフーガ調の音楽と共に現れ、生涯成績としてその馬が出走した全レースの着順がスクロールし、最後に*戦*勝と表示される。
    • 前作は夕日に照らされた墓標らしき場所に馬の顔が残像のように浮かび上がっている背景に白文字(文字の大きさはすべて同じ)でスクロールしたが、本作では夕日に照らされた空き馬房を背景に白文字でスクロールする。いずれにせよトラウマチックであることには変わりないが、フーガ調の音楽がよりトラウマを抉りに来るので余計にたちが悪い。

評価点

  • 全体的な操作のスムーズ化。
    • カレンダーによる月単位のスキップが前作よりもスピーディーになった。
      • またその月開催の重賞まで書かれている。
    • パドックに関しても、馬番順に紹介されるのは変わらないがBボタンで次の馬へ飛ばせるようになり自分の馬や目的の馬へのコメントだけを見られるようになった。
  • おまかせ厩舎システムで序盤の資金稼ぎなどがだいぶやりやすくなった。また新規プレイヤーの障壁も下がった。
    • 当面の資金稼ぎは弱いなりにそこそこのレースに勝たせて稼ぐにしろ、馬を売って稼ぐにしろどうしても最初は作業化しがちなところであったが、それが解消された。
    • 出走させるまでは放牧経由で転厩できるので、自分で育てる予定の馬でもデビュー前の調教を任せる手もある。
    • また、ダビスタ初心者にとっては体重管理やレースの間隔を自分の調教の参考にするという点でも大いに役に立つ。
      • 丁度この頃は少年ジャンプで『みどりのマキバオー』が連載開始されたり、前年に「ナリタブライアン」がクラシック三冠制覇を達成しスター的な存在となったことなどもあって、これから競馬ブームが本格化する頃でもあったので、そんな層が新規プレイすることも多かったことを考えれば初心者にやさしいシステムの導入は良い選択をしたと言える。
    • 自動で調教してくれるのは楽だが、併せ調教をあまり行わないので勝負根性が伸びにくく、調子の変動も緩やか。不調のまま重要レースを見送ることも多い。出走取り消しや放牧をうまく使って目標レースに照準を合わせる必要がある。
  • 功労馬の導入で愛着のある馬を死ぬまでではあるが残しておける。
    • もちろん維持に金がかかるとはいえ、功労馬のスペースまで拡張できるような時点ではダダ余りになっていることが多いため大して気にならない。
  • ブリーダーズカップが遊びやすくなった上に規模が大幅拡大。
    • 前作は東京のみで、距離も限られたった4種類だったが、それが全通りのレースが可能でより盛り上がる対戦が可能に。
    • パスワードも一度入力すれば登録されるのでプレイ自体が非常にやりやすくなった。
  • ニックスとインブリードが正式に機能するようになった上、インブリードの有効範囲が拡大。
    • これにより、一層血統の楽しみが広がった。

賛否両論点

  • 格上挑戦と未勝利馬の扱い。
    • 前作では10月を迎えた時点で強制引退だったが、本来は11月まで福島で4歳未勝利戦は行われていた(当時)。しかしゲームではその間の福島開催が取り込まれていないため10月を迎えた時点でアウトだった。
      • 本作では、現実同様10月11月の福島開催が導入され、そこで未勝利戦が行われるので、未勝利馬の猶予が伸びたことになる。
    • その一方で格上挑戦の登録が無制限になり、除外基準もリアルな登録状況次第になったので未勝利馬の500万下への格上挑戦を許容しても良かったのではという声も。
      • 「未勝利馬=獲得賞金ゼロ」=「500万以下」には変わりない。現実では東京・中山・京都・阪神では不可なので遠征が必須だが登録自体は可能。とはいえ登録過多で本来の500万の馬(1勝している馬)との枠の取り合いになると優先的に除外される*15
  • 配合時、ちょっとでもマイナス要因があると困った顔をして紛らわしいコメントをする牧場長。
    • よくあるのがインブリード対象の種牡馬を選ぶと大体「ちょっとナスルーラのクロスが気になりますが」と言われるのが恒例で、このナスルーラとは気性難を引き起こすリスクがあるもののスピード大幅アップの効果もあるため、かなり爆発力を秘めたインブリードだったりする*16。大多数の馬が5代以内にこの血を持っている。
      • 「無料」で名を馳せていたマチカネイワシミズが、このナスルーラを自身の中で3×4のクロスを持っており血統表にも堂々と出て、それがまさかの活躍をしてくれることも有名なので、無視してガンガン使ううちに気にならなくなるとは言え、有効な面を無視してマイナスだけ取り上げるのもどうかと思われる。
      • しかし、裏を返せば初心者はこれだけで嫌うが、こういう部分を理解していれば有効利用できるという奥深さを実現しているとも取れる。
  • インブリードのペナルティに対してメリットが強すぎる。
    • 例えば上記のナスルーラだが、スピードアップの効果は累積するのに対して気性難の効果は累積しない。毒を食らわば皿まで、とばかりに重ねがけをするのが効果的である。
    • さらに、血が濃くなると気性と体質に大きなマイナスが入るのだが、気性については矯正イベントで緩和でき、体質についてもターボファイルを用いたリセットプレイなら無視できる。
    • そのため後期には、有益なインブリードを多数発動できるノーアテンションを父と母父にする外道配合が有力な配合として横行した。
  • ライバル馬たちが大幅強化された。それに伴い有力騎手に依頼するハードルも高くなった。
    • アグリキャップ(オグリキャップ)、アイリスフウジン(アイネスフウジン)、コウカイテイオー(トウカイテイオー)らがそのまま持ち越され、新たにビアハヤヒデ(ビワハヤヒデ)、ナルタタイシン(ナリタタイシン)、ウィナーズチケット(ウイニングチケット)といった1993年クラシック勢の面々が追加されかなり層が厚くなった。
      • これらは上位騎手のお手馬でもあるので、彼らに騎乗依頼するハードルがかなり高まった。特に小田部は82頭、次点の滝でも66頭ものお手馬がいるので、なかなか乗ってくれない。
    • とはいえプレイヤー側も前作と比べると強力な馬を生産しやすくなったので、順当な強化とも言える。
      • ライバル馬の出走基準は「現実で出走したレース」というのが条件なだけなので、現実ではナリタタイシンは菊花賞では17着と大敗したものの*17ゲームでのナルタタイシンは普通に菊花賞でも強敵。
      • 一方で、こういった最強格のライバルは実際に出走した中でも重賞以外では出てこないのでゲームとしてのバランスも取っている。例えばウイニングチケットは葉牡丹賞*18とホープフルステークス*19に現実では出走して勝っているがゲームでのウイナーズチケットはどちらにも出走しない。

問題点

  • 成長型が「持続」であるかどうかがわかりにくい。
    • 牧場長のコメントでは「早熟」と区別がつかない。父親の成長特性が「持続」であれば産駒も大体そうなるが、必ずとは限らない。
    • もちろん、ただの早熟でも前述の通り「最高峰格のオークス・ダービー時にピークを迎える」という強みはあるのでダメダメではない。
  • 去勢拒絶の扱いにくさ。
    • 本作で導入されたイベントだが、一度その条件フラグが立ってしまうと、これを断りたくても毎回毎回「どうも気性に問題がありすぎて能力をフルに発揮できていません。」と去勢選択コメントを言われ続けてしまう。
      • 一杯調教をとことん施して矯正しようが、それが功を奏してレースを勝とうが変わることはない。
    • そのため、調子のコメントが見れなかったりする不便さがあるので、シブシブ受け入れざるを得なくなる。
      • 特に自分のこだわりある名前をつけた牡馬に関しては思い入れが強いだろうし、ブラッドスポーツとも言われる競馬で引退後血を残せず(特に当時は)乗馬になる他ないというセン馬自体イメージがあまり良くない面もあるため、気分のいいものではないだろう。
  • 温泉の効果
    • 牧場拡張で新設される温泉は「馬の故障を早く治す」「再発しにくくなる」という触れ込みだが、実はそんな効果はない。故障が治る時期は故障した時点で決まっており、放牧しようが温泉に入れようが厩舎で放置しようが治る時期は一緒であり、再発にも影響しない。早い話が温泉は放牧となんら変わりがないのだ…。
      • 同機種の続編である『96』や『98』でもそのまま。上記の効果説明はあくまで攻略本のもので、ゲーム内ではあくまで「ゆっくり休ませる」としか表示されないので、そもそもどういう仕様なのかも不明である。
      • PS版以降では「根性がわずかに下がる代わりに(本来は大きく下がる)スタミナが下がらない」という有用な効果が発揮されるようになった。
    • 休養中の現役馬(温泉)とデビュー前の馬(通常牧場)を分けられるのは、費用に見合うかはさておきそれなりに便利ではある。ここまでに達する頃には資金的にも余裕があることが多い。
  • 調教バグ(体重回転・木曜併せ一杯)
    • 調教を繰り返して馬体重が下減値(256kg)を下回るといきなり上限値(766kg)になってしまうバグがある。これにより厳しい調教を繰り返して能力を上げ、馬体重も適正に戻してしまえる。
    • その週の2回目(木曜日)に併せ一杯調教をすると能力値が限界を超えて上昇してしまうバグがある。上記のバグを行うためには馬体重を大幅に減らす必要があるため、ほぼこのバグも発生する。
      • このバグにより、雑誌などで開催されたブリーダーズカップでは本来あり得ない能力値を持った不正バグ馬*20が多数集まることになってしまい大混乱に陥った。
      • 普通にプレイする限りはバグとは気付きようがないのが厄介。木曜に激しい調教をするのは故障リスクが高いのでタブーとされるがゲーム内では何の説明もない上、攻略本でも「芝の併せ一杯を続けると新馬戦で有利」などと書かれていた例もある。
      • ゲームバランスが崩れるとはいえ、よほど極端な調教をしない限りは影響は少なく、いずれにしても(知らずに大会に出して不正扱いされるなどの例を除けば)プレイヤーに不利なバグではないのが救いである。
  • おまかせ厩舎の使い勝手の悪さ
    • ゲーム開始時の選択の時点でわかりにくい。普通に考えると厩舎ごとの特徴のうち一番使えそうなものを選んでしまいがちだが、前述のようにおまかせ厩舎になるのは「選んだもの以外」なので、選んだ厩舎の特性は発揮できない。
      • 特に美浦においてリストの一番上にある藤枝厩舎は「馬に無理させずに高勝率を誇る」の説明で無難に強そうに見えるし、実際優秀なのだが、自厩舎に選んでしまうとその能力を発揮できない。
      • 自厩舎として選んだ場合でも個性が残るのは去勢イベントを起こしやすい森山厩舎*21のみで、それ以外の厩舎の個性は完全になくなってしまう。
      • そもそも全体的に個性が薄い。説明通りの効果をはっきり実感できるのは「じっくりと馬を育て長距離が得意」な河原厩舎と「どちらかといえばローカルに強い」の通りにローカル遠征を多用する吉松厩舎くらいである。
    • おまかせ厩舎に入厩させると自分での調教ができなくなりローテーションへの介入も出走取り消しや放牧指示しかできなくなる。その一方でおまかせ厩舎はスタミナが育ち切っていない状況だと短距離のレースに出走登録する思考ルーチンを持っていたようで特に4歳春にクラシック競走ではなく短距離重賞に登録してしまうケースが続発するうえ、「馬を大事に使うので故障が少ない」が特徴であるはずの池永厩舎でさえ当たり前のように連闘しまくる。
      • 特に当時ネタにされていたのが藤枝厩舎が桜花賞や皐月賞を無視してクリスタルカップ*22に登録することで、「今週のクリスタルカップに登録しています」はプレイヤーの間で定番フレーズの一つとして定着してしまっていた。

総評

北海道の競馬場が加わって3場開催、更に未勝利でさえなければ登録状況次第ではいくらでも格上挑戦できたりと自由度が大幅に増した。
おまかせ厩舎により初心者へのハードルが下がった上、上級者にもインブリード有効範囲の拡大により、血統を作り上げる楽しみもより深まった。
操作性もスムーズになりサクサク進める点も見逃せないポイントで、ここにきてやっと1つの完成形になったと言えるだろう。


その後の展開

  • 1996年3月15日に『ダービースタリオン96』がスーパーファミコンで発売。
    • 本作のマイナーチェンジだが、ライバル馬や騎手の名が実名になり、ファンファーレも本物が使われるようになるなど非常に現実の競馬を意識したものになっている。
    • また衛星放送「サテラビュー」*23にも対応し、その配信によるデータを受け取ることができた。更に牧場にポストが設置されパスワードを入れることで他のカセットからのデータを受け取ることもできるようになった。
      • そのためマイナーチェンジとはいえかなり進化したものになっている。

余談

  • 本作の栗東の調教師「森山」のモデルは「ハード調教で馬を鍛えて強くする」という方針が示している通り、ハード調教で名を馳せ準三冠馬ミホノブルボン*24を育て上げた戸山為夫師である。
    • 名前はその後任となった森秀行師とくっつけたような名前になっているが、去勢に積極的だったり、じいさんっぽい見た目といい戸山師単独モデルである(後任の森師は1995年当時36歳と非常に若い調教師)。
      • 戸山師自身は本作は元より前作の発売当時でも既に死去(1993年5月29日没)していたがゲームでは「去勢大好き調教師」として名を馳せていく。
      • PS版からは「森山」の名前や個性はそのままに、森秀行師に似た若い見た目になっている。
  • ダビスタファンでもある藤田伸二騎手(ゲーム中での登録名は「不二田」)は本作をプレイしながら「なんで僕がCランクやねん。次に出るゲームでまだCのままだったら、アスキーに抗議に行ってくる」とぼやいていたのを厩舎スタッフに聞かれ、ファミ通の攻略本に載せられてしまった。
    • そのせいかどうかは不明だが、次回作の『96』ではBランクになっている。
      • これが本人の向上心を刺激したか否かは定かではないが、奇しくも1996年は第63回日本ダービーをフサイチコンコルドで制しダービージョッキーとなり、年間成績でもキャリアハイをマークするなど彼自身現実でもゲームでのランクアップ相応な実績を上げた。
  • ライバル馬には前作から続投で「サッカーボール」「サクマチヨノオー」がいるが、種牡馬にも本来の名前「サッカーボーイ*25」「サクラチヨノオー*26」で登録されダブッた形になっている。
    • 凱旋門賞のライバル馬である「アサティス」や「キャロルハウス」も同様。こちらは変名ですらないので、親子対決になる場合もある。
  • 前作から登場の無料種牡馬・マチカネイワシミズは本作で一層の飛躍を遂げる。主に、ナスルーラの多重クロスが非常に強力なため。
    • 中でも初期牝馬「オオシマナギサ」や「タケノマジック」との相性は抜群で、初期牝馬と無料種牡馬で屈指のリーズナブル黄金配合として有名になった。それに付随して初期牝馬が「オオシマナギサ」や「タケノマジック」になるまでリセマラするプレイヤーもいた。
      • このマチカネイワシミズとオオシマナギサ産駒はダビスタコミックでも使われるほど有名となった*27
    • そもそも、自身にナスルーラのクロスを持つ上に安定Cの種牡馬は、マチカネイワシミズとグレートローマン*28しかいない。スタミナや根性の点から最強馬には届かないものの、通常攻略においては極めて有用。
      • マチカネイワシミズ×タケノマジック、グレートローマン×オオシマナギサなどは、ぎりぎりで危険配合にならない上にスピードが確実に爆発するので、通常攻略において非常に有用な配合である。
  • 実は隠語としての「乗馬」を有名にしたのも本作である。
    • 前作までは引退馬の行く末については何も言われない。他のゲームでも、例えば光栄の『ウイニングポスト』では「引退後:乗馬」と出ることもあったが、他にも「誘導馬」「競技馬」など様々なパターンがあったため「乗馬」ばかりではなかった。
    • だが本作ではセン馬やGI勝鞍のない牡馬を引退させると全て「乗馬として引き取られることになりました。」と表示されて否応なく純粋な少年少女たちはこの「乗馬」という単語を何度も何度も見せられる。
      • 競馬用に調教された馬を民間用の乗用馬にすることはなかなかに難しく、そもそも生まれながらに乗馬用として育てられた馬もいるなかで年間あたり数千頭と大量に生産される競走馬のうち、その9割以上を占める「種牡馬にも繁殖牝馬にもなれず引退する馬」を全て引き受けることが出来るほど乗馬クラブの懐も暖かくはないし、我が日本はそこまで乗馬が盛んではないのでクラブそのものの数も多くはない。
        現代は本当に再訓練後乗馬クラブで暮らしている馬も居るが、この場合の「乗馬」とはあくまで表向きの隠語であり、実際は「廃棄処分」扱いで屠殺や肥育場を経て肉にされることを意味していると考えられる*29
      • 純粋な少年少女たちは最初はそんな事情を察することはなく、例えば、彼の様に必ず乗馬になると思っていた。最初は純粋に典型的な乗馬クラブをイメージするが、そのうちに「そんなにたくさんの馬を乗馬クラブで飼えるの?」という素朴な疑問を抱き、調べたり聞いたりでやがて上記のような事情を知る*30
      • ちなみに当時の引退馬ではマチカネイワシミズの一つ上にいるステートジャガーといった変わった例も。産駒の成績が伸び悩んだため一度種牡馬から乗馬になったが、メルシーステージの活躍により再度種牡馬になった。気性面などが理由で種牡馬引退後にセン馬にされることが多い中でそのまま乗馬になり、さらにもう一度種牡馬になるとは非常に珍しい。
  • ブリーダーズカップに自家生産牝馬の産駒をパスワード入力で登録すると、本来なら「母父」となる種牡馬が表示されるべきところに、無関係な繁殖牝馬が「母」として表示されるバグがある。あくまでも表示上のみであり能力には影響しない。
    • 例えば「母父:リアルシャダイ」の場合、「母:ポテトグラタン」になってしまう。両者の内部IDが共通しているためである。
      • 本作において初期のブリーダーズカップ最強馬として有名な「サイキョウクラウド」が上記の例であり、攻略本などで実情を知らないと表示通りに「母:ポテトグラタン」だと誤解してしまう。実際のポテトグラタンは最弱クラスの繁殖牝馬であり、このような産駒はまず出ない。
    • 後期出荷版で取得したパスワードでは正常に表示されるが、既に出力されたパスワードはどのバージョンに入力しても表示がおかしいままである。
最終更新:2024年03月09日 15:23

*1 前年にPC版『ダービースタリオンEX』が発売されている。

*2 当該レースで代表的なのはカブトヤマ記念(福島)と中日新聞杯(中京)。父内国産区分は後の2007年に廃止された。その背景として内国産種牡馬の能力が追い付いてきたため。

*3 前作では2場までしか開催できなかったため都合上、夏以外にローカル開催ができなかった。そのため未勝利の限界は4歳9月だった。

*4 同い年の岡部幸雄騎手と並ぶトップジョッキー。引退一年前に44歳で悲願のダービー制覇(騎乗馬:ウイニングチケット)を成し遂げた。

*5 91年トウカイテイオーで皐月賞・ダービーの二冠に勝利。

*6 70年代から90年代初頭にかけてダービーと天皇賞2勝、有馬記念などに勝利。美浦(関東)の所属だったが「新潟事件(1985年)」により騎乗機会を大きく失い一度は引退の憂き目に遭うも、それまでの実績から栗東(関西)からの騎乗依頼を受けることが多くなり1994年からは正式に栗東に移籍した。まだまだ現役なのに(後の1999年2月に引退)ゲームでオミットされた理由はこの移籍に絡むものと思われる。97年発売のPS版では所属関東で騎乗可能

*7 80年代にダービーなど複数の大レースに勝利。直近では93年エリザベス女王杯で久々にG1レースに勝利した際、カンテレ実況アナの「ベガはベガでもホクトベガ」のフレーズで有名。

*8 イギリスのアラン・ムンロ。

*9 ニュージーランドのリサ・クロップ。

*10 後の世では活躍して種牡馬・繫殖牝馬になった馬のほとんどがサンデーサイレンスの血が入った馬ばかりになり、交配相手を探すのにも苦労するという状況にもなったと言われる。これが緩和されるのはさらに後になって活躍するキングカメハメハなどが登場してからのことである。

*11 本作時点での最上位は相変わらずノーザンテースト。因みにこれは『ウイニングポスト』などでも同じで1996年のゲームあたりから最上位扱いになった。

*12 奇しくも前年、圧倒的な強さで三冠を制したナリタブライアンがこれを付けていたため、一躍その存在は有名となった。

*13 それまで大レースでセンは勝てないジンクスがあったが、1993年にレガシーワールド、1994年はマーベラスクラウンといったセン馬がジャパンカップを制したことで注目され始めた。

*14 三冠など4歳GIや宝塚記念、有馬記念、ジャパンカップは本賞金が特定額以上という条件があるが、それさえ満たせば100%除外されることはない。

*15 このように出走のチャンス自体が少ないこともあって現実では地方や障害へ転向することが多い要因になっている。なお競馬場の縛りは2024年に解禁され東京・中山・京都・阪神でも登録だけならば可能になり登録状況次第で出走できるようになった。

*16 テューダーミンストレルやグリーンダンサーといった勝負根性ダウンはもちろん論外。

*17 ただこれは原因もはっきりしていて、夏のGII高松宮杯に出走するなどして無茶なローテーションが祟ってやっとこ出走にこぎつけるだけが精いっぱいのぶっつけ本番で明らかにベストには程遠い状態だった。夏に休養してトライアルを挟む王道なローテーションを踏んでいれば勝ちは難しかった(勝ったビワハヤヒデの強さが盤石過ぎたため)にしてもこれほどの大敗はなかったと言われている。

*18 中山2000mで行われる。単なる3歳(現2歳)の500万下条件(1勝クラス)の特別戦

*19 中山2000mで行われる3歳のオープン特別。現在GIになっている同名レースはこの当時の「ラジオたんぱ杯3歳ステークス(阪神2000m)」が前身となっているため実質別物。2014年に阪神から中山に移り、当時のオープンだった同名レースに重なった形になった。因みに関西馬のウイニングチケットがわざわざオープンのために関東の同レースを選んだ理由として「皐月賞と条件が同じだから場馴れ」「拠点が関東の柴田政人騎手を主戦騎手に据えるために配慮した」などと言われている。

*20 馬体重を回転させて作成した事から「回転馬」と呼ばれる。

*21 モデルの戸山為夫師も去勢に積極的で初のセンによるGI制覇(1993年・ジャパンカップ)を成し遂げたレガシーワールドなどは有名(もっともそれが実現したのは彼の死後、後任の森秀行師に引き継がれてからのことだったが…)。

*22 当時春にあった4歳馬向けの芝1200mのGIIIで現在のファルコンステークスの前身に相当。史実での主な勝ち馬としてはダイタクヘリオスやサクラバクシンオーが挙げられる。

*23 1995年4月から始まった任天堂の衛生データ放送サービス。当時はほとんど普及していなかった衛星放送環境が必須なため利用者は少なく2000年6月一杯で終了した。

*24 菊花賞ではライスシャワーに差されて2着。皐月・ダービーの二冠馬は腐るほど存在するが、菊花賞には故障で出走できなかったり惨敗した馬が多く、菊花賞2着の準三冠馬はクモノハナ、ボストニアンに次ぐ当時3頭目(後のことだが他に準三冠馬はダービーのみ2着に敗れた2000年の皐月賞・菊花賞馬エアシャカールがいる)。

*25 オグリキャップらと同世代にあたる短距離馬で1988年のマイルチャンピオンシップを制した。1番人気に支持されたダービーの惨敗や気性が悪さで有名。1987年の阪神3歳ステークスも制している。

*26 オグリキャップらと同世代にあたる第55代(1988年)ダービー馬。他に1987年の朝日杯3歳ステークスも制している。

*27 実際にやると「危険な配合」に加えナスルーラクロスによって気性に相当な悪影響が出るため、まともに走れない馬も少なくない。もっともスピードだけはあるので高額で売却できる。

*28 地方競馬で25勝を挙げる活躍。無料ではないが、種付け料50万円という安価な種牡馬。

*29 一応、中央競馬会からの直接の引き取り手が「乗馬クラブ」の扱いで、それを介して処分業者に回されるので中央競馬としての扱いは「乗馬」ということになる(「あとのことは中央競馬会はあずかり知らぬ」という建て前でもある)。

*30 もちろん当時でもわずかながら本当に民間用の乗用馬になったものもいる。またレガシーワールド、マーベラスクラウンなどといったGI勝ちのセン馬などは民間乗用馬にはならなくても引退後天寿を全うするまで暮らせる場を与えられることが多く、この場合も表向きは「乗馬」とされていた。