本項目では2016年に配信された3DS版と、それをベースに2021年から配信された複数の家庭用据置機版とWin版を取り扱う。


聖戦クロニクル

【せいせんくろにくる】

ジャンル ロールプレイング
対応機種 ニンテンドー3DS
Windows(Steam)
プレイステーション4
プレイステーション5
Xbox One
Xbox Series X/S
Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売元 ケムコ
開発元 ヒットポイント
発売日 【3DS】2016年1月13日
【2021年版*1】2021年12月3日
【2021年版Switch】2022年1月6日
定価 【3DS】1,100円
【2021年版】1,320円
備考 PS4『ケムコRPGセレクション Vol.8』に収録
プレイ人数 1人
レーティング 【3DS】CERO:B(12才以上対象)
【2021年版】IARC:7+(7才以上対象)
判定 良作
ポイント 低価格ながら丁寧な作り
魅力的なストーリーと戦略性がある戦闘
クリア後のやり込みも充実
追加要素が薄い2021年版


概要

ヒットポイントが開発し、ケムコから発売されたRPGの1つ。
大元は2014年にスマホ向けに配信されており、その2年後の2016年に遊びやすい調節を加えて3DS向けに移植されたものが本作となる。

ストーリーとしては、主人公であるクラインが倒れていた一人の少女アリアと幻獣に出会ったところから始まり、仲間と共に様々な障害を乗り越えつつ冒険していく。

販売がケムコ、元がスマホ向け、ということから不安があると思われがちなタイトルであったが、
いざ蓋を開けると念入りに作られたRPGとなっており、その魅力に憑りつかれたプレイヤーが多く存在する。

3DS版の配信から約5年後の2021年にはPS4やWinなど、多数のプラットフォームにも移植された(多すぎるため、以下「2021年版」と記する)。
Switchでは1か月程ずれて翌年に配信となっているが、内容は他の機種で配信された2021年版と同じである。


システム

  • フィールドと戦闘
    • 戦闘はオートゾックスなフロントビューになっており、最初にコマンドを選んで戦う形式。
      • 特技や魔法の他に、合体技を使用することができる。合体技はキャラの組み合わせて効果が変わる上に、ターンの初めに発動する強力な技となっている。
      • 整列変更で控えと入れ替わることが出来たり、倍速機能や通常攻撃のみのオート攻撃と言ったシステムも用意されている。
    • エンカウントは基本的にランダムエンカウントのみとなっている。
      • シンボルエンカウントも存在するが、動くことはなくその場に立ち止っているだけ。特定のエリアへの入り口を塞いでいる敵、クエストで登場するボスが該当する。
    • フィールドでは青色に泡に触れると素材を採取できる。素材は装備品を作製するのに必要になる。
    • メニュー画面から選ぶことによって、任意のタイミングでワールドマップへすぐに戻ることができる。ただし、一時的に使えない場合もある。
  • スキルと魔星石
    • 大まかにキャラごとに使用できる固有スキル、魔星石を装備すると使えるスキルの2種類が存在する。魔星石で使えるスキルは一部を除き、消費SPの数は少ない。
      • 魔星石は人間キャラに装備させることで使用可能になる。スロット数はレベルが上がると増え、最大4つまで増加する。
    • スキルは一定回数使用するとレベルが上がり、より強力になっていく。固有スキルに限り、レベルアップで成長することもある。
      • レベルが上がらないスキルや最高まで上がったスキルは、レベルの表記が黄色になり、判別しやすくなる。
    • 魔星石は自由に付け替えができる。他のキャラにも装備できるので、臨機応変に変えることが可能。
    • スキルには協力技もあり、キャラの組み合わせによって属性や効果も違う。
  • 装備品
    • ツリー形式で成長・強化していく形となっており、一定数鍛えることで次の段階へ成長させることができる。
    • 宝箱から手に入るレシピが増えると、強化先が徐々に増えていく。属性がついた武器や、物理に特化した杖など種類は豊富。
    • 強化とは逆に退化させることもできる。こちらは専用のアイテムが必要となる。
    • また、各所にいるペンギンを救出すると、各地の宿から素材アイテムの採集を依頼することができる。採集してくる数は、話しかけるまでに行った戦闘回数に依存している。
  • クエスト
    • 各地の依頼所で受けることができ、基本的には特定の素材を規定数渡す、特定のモンスターを規定数といった物が大半となる。
      • これらの依頼は繰り返し受けることができるため、上位のアイテムを入手したり金策にもなる。
    • それ以外に、特定のボスモンスターを倒すという依頼も用意されており、それを倒すと貴重な装備品などを入手出来る。こちらは1回限り。
      • いずれも通常の敵よりも強めに設定されている。該当するボスはその場所にシンボルで居座っており、調べるまで戦闘に入らないし戦闘に入っても必ず逃げられる。
  • 幻獣
    • 本作のキーパーソンとなる要素の一つ。各キャラ毎に1体だけパートナーとして選択できる。幻獣は戦闘に参加し、攻撃や補助を行ってくれたり、パートナー元のダメージの肩代わりをしてくれる。
    • 幻獣はアイテムを装備させることができ、ステータスの上昇やパッシブを付与することができる。
      • 装備させるアイテムによって効果は違うので、どう組み合わせるかはプレイヤー次第となっている。
    • ターゲットに対して先に攻撃するタイプや追撃するタイプと言った感じに、行動順の傾向を決めることができる。
      • 幻獣を付けずに戦闘することも可能なので、魔星石の育成や一種の縛りプレイにも使える。
  • 難易度はノーマルとハードの2種類。戦闘中以外は自由に切り替えが可能。
    • ノーマルの場合は、全滅した際に所持金の半分を消費することで、全回復して復活できる救済処置が用意されている。
    • ハードにした場合は、敵のステータスが高くなる代わりに、通常の敵がアイテムを落とす確率がアップする。
      • 自由に変更できるため、アイテム稼ぐ為に一時的に難易度を上げるということもできる。また、実績獲得には左右されない。
  • 2021年版では3DS版をベースにした移植であるが、3DS版から以下のような変更点がある。
    • 画面構成が一画面になったことにより、全体的な画面構成やUIが大きく変更。
    • スキルのレベルを表す数字が星に変更。成長しない、レベルが最大の場合は金色になるのは同じ。
    • 言語切り替え、各機種依存の実績・トロフィーへの対応。実績の内容・獲得条件自体には変更点はない。
    • 有料DLCへの対応。システムが追加されるのみで、購入限定要素はない。
      • DLCの内約は「魔星石成長3倍」(330円)、「獲得経験値3倍」「与ダメージ2倍」(各550円)の三種類。切り替えはオプションから任意のタイミングで可能なため、その都度に応じて切り替えることができる。

評価点

  • 丁度いい戦闘難易度と戦略性
    • 先制・奇襲攻撃がないため、敵にいきなり襲われて体制を崩される、と言うことが発生しない。逆に言えば、こちらも先制することもできないので、じっくりと考えて戦闘できる。
    • 有効な攻撃はダメージが赤、不利な場合は青と分かりやすく表示してくれる。
    • 魔星石や幻獣は自由に付け替えが可能なため戦略性を練りやすい。
      • 例えば、素早いキャラに魔法が使える魔星石を持たせて早期撃破を狙ったり、逆に素早さが低いキャラに回復系の魔星石を使わせて安全に回復する、といった使い方もできる。
      • メンバーの方も平均的なステータスのクライン、素早さが高いフレッド、魔法攻撃に特化しているが素早さを始めとして能力が低いパオラなど、ステータスもしっかり差がつけられている。
    • 難易度ノーマルでもそれなりに歯ごたえがあるが、ハードにすればよりスリリングな戦闘が楽しめるため、「ノーマルでは物足りない」と言う層にも楽しめる。
      • 全滅時の復活も救済処置として十分機能しており、たとえラスボスや裏ボスでも通用するため、金に物を言わせて強引に突破することも可能である。
  • 良好な演出面
    • SFC時代を思い出させるようなドットや戦闘演出になっており、昔ながらなテイストになっている。
      • 攻撃時にモーションをする敵を始め、協力技もカットインが表示されるなど、戦闘での演出面も忘れていない。
    • 盛り上がる戦闘BGM、ワールドマップ後半の「仲間と共に」などといったBGMも評価が高い。
      • 基本的に何度も聞くことになる、通常戦闘BGM「戦い」も飽きが来ないいい曲に仕上がっている。
    • 一度エンディングを見ると、「コレクション」の項目に「BGM」が追加され、自由に聞くことができる。
    • 低価格のRPGとしては珍しく、ボーカル付きのOP映像が用意されている。
    • キャンプメニューでは、焚き火を囲むようにキャラが座り込む姿が描かれている。これに関しては、スマホ版では立っているドットのまま表示されていたため、3DS版で新たに描き直された要素となっている。
      • こう言った細かい所に力を入れている点は、開発のヒットポイントならではともいえる要素であり、同社が他に開発したゲームにも多く見られている。
  • 惹かれるやや重めなストーリー
    • 序盤にやや重めな描写はあるが、それを乗り越えた後のストーリーは良好。
      • 中盤以降は比較的明るめな感じで進行していき、困難に立ち向かうパーティメンバーについては力強く描かれている。
      • 詳細はネタバレなので伏せるが、特にクラインやフレッドの成長する様は強く描かれているし、とあるキャラクターの複雑な心境もストーリーを進めていくうちに明らかになったりする。
    • エンディング後のストーリーではエンディング直前から始まり、あるキャラの詳細や救う展開になっており、熱い展開や掘り下げとしても一役買っている。
  • やり込み要素が多め
    • エンディング後もストーリーは続き、裏ダンジョンやボスに挑戦することもできる。
      • 裏ダンジョンやボスも強いため、通常のストーリーで戦った敵に物足りなさを感じていた人も楽しめる。
    • クエストの限定ボスも強敵揃いのため、腕試しには持ってこいな内容となっている。
    • モンスター・アイテム図鑑と言った要素や、実績も用意されているので、それらを埋めるやり込みもある。
      • 基本的に一周クリアするだけでも全て埋まるように設計されている。また、図鑑と実績のセーブデータは本編のセーブデータとは別に用意されているので、ニューゲームで新しく始めても残ったままとなっている。
  • 詰みにくい配慮や救済処置
    • 全滅しても、お金を消費して戦闘を続行できるため、レベル上げ不足でもストーリーが進みづらくなることがない。
      • 基本的に使用制限はなくお金が尽きるまで利用できるため、強すぎるボスを無理矢理突破したいときにも利用できる。
    • HP・SPが少ない時でもメニューから「脱出」と選ぶだけで、一瞬でワールドマップに戻ることができる。ピンチになって帰れなくて全滅…と言うことにはならないような作りになっている。
    • 一時的にワールドマップに戻れない時期が存在するが、ダンジョン内で無料で利用できる回復ポイントとショップが用意されているため、アイテム不足や詰みに至ることは少ない。ただし、このショップでは装備品と魔星石は買えないので要注意。
      • 終盤辺りで発生する方は入る前に警告してくれるので、非常に分かりやすくなっている。
    • シンボルエンカウントはこちらから調べない限り戦闘に入ることもなく、万が一入ったとしても奇襲もされない上に必ず逃げられる。このことについてはゲーム序盤で「今は戦う必要がない」という形で説明されており、ヘルプ内の解説も必ず逃げられると書いてあるため、かなり親切。
    • 2021年版では、有料DLCでの追加に限られるが「与えるダメージが2倍」のコンテンツが存在しており、これを導入すればある程度難易度は緩和される。
  • 細かな評価点
    • 元々スマホ向けにリリースされていたこともあり、3DS版ではキー操作だけではなくタッチ操作にも対応している。
    • ゲーム内ヘルプも充実しており、キャンプメニューを開ける状態ならいつでも確認できる。
      • それ以外にも、ストーリーの大まかなあらすじを振り返る機能があり、久しぶりにやっても大丈夫な配慮も用意されている。
    • 基本的にどこでもセーブできるうえに、オートセーブにも対応。携帯機である3DSとはとても相性が良い。
    • 携帯機の3DSに加え、2021年版は様々なプラットフォームで配信されているため大画面でのプレイはもちろんの事、自分に合った機種を選べるのも利点である。
      • 2021年では処理の関係で各種画面の切り替え速度が3DS版と比べて早くなっており、より快適にプレイができる。

賛否両論点

  • 一部のストーリー描写について
    • 詳しい内容はネタバレになるため避けるが、突如狂いだす人々や村の壊滅など、序盤から恐ろしい展開が繰り広げられる。黒幕についても、意外な人物が実は黒幕だったという展開も多い。
      • 特に黒幕の親玉は意外な人物であり、衝撃的な展開にびっくりしたプレイヤーは多い。
      • とあるキャラに対しては、身体が欠損するという悲惨的な被害を受けてしまう描写がある。こちらはストーリーを進めると意外な形で取り戻すことにはなるので、ある程度緩和されている。
    • 逆に言えばインパクトがあるストーリーを展開して興味を引かせる、という表現にもなっているため、一概に悪いとは言えない。
  • 一部演出面の劣化
    • スマホ版と異なる点として、アンネの立ち絵の露出が変更されており、胸元に黒いインナーが追加されている。
      • また、入浴シーンではバスタオルを巻いた専用の立ち絵が用意されていたが、これも削除されている。そのため、不自然な演出となってしまった。
    • 残してほしかったという声もあったが、レーティングの関係なので仕方がなかった部分もある。
      • これについては移植版での復活を期待していた人もいたが、結局変更されずそのままとなっていおり、コンシューマではこの姿を拝むことができなかった。

問題点

  • 一部使い勝手の悪いインターフェイス
    • 戦闘中の使用スキルのカーソル位置の記憶機能がなく、毎回行動選択時にカーソル位置がリセットされる。
      • スキルのレベル上げをしているときはバーストスキルの誤爆の可能性もあり、不便となる。バーストスキルの使用確認も用意されていない。
    • 装備品を一気に強化・退化ができず、1回ずつしていく必要がある。
    • 3DS版では下画面に地図が表示されるのだが、スペースの大きさに反して拡大縮小の幅が大きすぎて、一部では見づらくなっている。
      • 2021年版では左上に少し小さめに表示されるので、拡大縮小の幅は気にならない。
  • スキルレベルアップが面倒
    • スキルのレベルアップは、魔晶石スキルの場合は各レベル毎に15回で済むのに対し、キャラ特有のスキルに関してはレベルアップ以外では50回近くも使用しないとレベルが上がらない。
      • スキル成長率をアップさせる装備品があるので入手できれば楽になるが、キャラ特有のスキルはそれを使っても厳しい状況には変わりない。
    • レベルアップが困難になっているスキルがあり、戦闘不能から復活するスキル「(オル)リザレクション」を持つ「吹き返す息吹の石」と、アリアの「蘇生手当」が該当する。
      • これらは戦闘不能のキャラがいないと使用できない性質上、最大のレベル8に上げるには非常に困難。「蘇生手当」はアリア自身のレベルアップに頼れるのでまだいい方だが、「(オル)リザレクション」の方はどうしようもない。
      • ただ、後になるとレベルアップ不要で自動蘇生を付与する「(オル)リバース」という上位互換のスキルを持つ「蘇る生命の石」があるため、これが入手できる頃にはあまり活用されなくなる。
  • やり込みに関する問題点
    • 図鑑では敵の姿が表示されない。一度しか戦えないボスでも見ることはできない。同じモデルで色変えしただけの敵も多いので、特に問題という訳ではないが。
    • ボスから盗めるアイテムには、貴重でステータスアップに必要な種が入っている場合もある。機会を逃してしまうと、そのデータでは二度と手に入る機会がない。
    • クリア後のやり込み要素は充実しているものの、強くてニューゲームなどと言った周回できる要素がない。
    • 難易度ハードによるアイテムドロップ率の増加は上がってるかどうかわかりづく、元々確率が低いステータスアップする種のドロップは気休め程度にしか上がっていない。
      • 2021年版でも、アイテムドロップ率をアップするような類の補助DLCは登場しなかった。
  • 負けイベントが用意されていることが分かりづらい
    • 極一部のボスに限り戦闘に負けてもストーリーが進む仕様が用意されているが、本当に極一部しかいない為か存在の有無やどんなボスが対象かが分かりづらい。
    • そのボスはその時点で戦えるにしては強めに設定されているので、大体予測はできるのだが倒せないと進めないと勘違いすることもあり得る。
      • その説明(存在)があるのは、ヘルプのエンカウントについての解説で「稀に敗北しても物語が進行するものもいる」という一文のみ。
    • 一応そのボスは倒せない訳ではない為、能力・戦略次第で倒すことは可能。勝ってもストーリーは問題なく普通に進行するため、挑戦的なプレイヤーはぜひ挑戦して欲しい。

2021年版のみの問題点

  • 一部UIの劣化や不便な点が増えた
    • キャンプメニューからアイテムやスキルを使用する際や、パーティの編成変更時に誰を選択しているかが分かりづらくなった。
      • 選択中のキャラは僅かに明るくなるが、非常に分かりづらい。3DS版では非選択のキャラは暗くなる、並び番号が振られるなど工夫がされていた。
    • スキルとアイテムを使用する際、その名前や消費SP・個数が表示されなくなった。
    • パーティ変更時も控えとの入れ替えや外したりと自由にできた3DS版とは違い、順番に最大3人を選ぶだけになってしまった。
      • そのため3人以上いる場合で1~2人以下のパーティにするには戦闘中に「隊列」を選び、外したいメンバーに対して「はずす」を選んで抜けてもらう必要がある。
  • 3DS版と比較すると、追加要素が殆どない
    • 2021年版では3DSから移植されるにあたり、画面構成の調整などが行われているものの、ゲーム内の追加要素などは殆ど存在しない。
      • 3DS版から5年ほど経っていたり本体価格も少しだけ高くなっているため、移植にあたって一部システム面ややり込み要素の強化を期待している声もあったが、特に追加されていない。
    • 各機種依存の機能*2を除けば、日本語・英語の切り替えが可能なのと有料DLCが導入された程度なので、内容的には3DS版に毛が生えた程度しかない。
    • とはいえ、現行機種への移植が期待されていたゲームだったため、それらでプレイできる様になったのは良い点ではある。また、ベースとなった3DSから出来は安定しているし、DLC以外のゲーム内要素の改変要素も無い。
  • 有料DLCの導入
    • 3DS版にない要素として、補助的な有料DLCが導入されているが、いずれも値段が若干高めであり、すべて揃えるとゲーム本体を上回る値段となっている。
      • セットのバンドルや割引きも用意されていない為、基本的には安く購入することはできない。
    • 経験値・魔星石成長3倍については、キャラの最大レベルが99と低めだったり、レベル上げや種を稼ぐなどやり込みをしている間に自然に溜まっていくことが多いので、活用できる点は少ない。手短にプレイしたい人向けと言う所か。
    • 与えるダメージ2倍については、ストーリー進行や裏ボスへの救済処置としても成り立っているため、活用できる点は少しある。
    • アイテムドロップ確定や強くてニューゲームなどの機能追加など、やり込みに関する有能なDLCがあれば良かったかもしれない。
      • ただし、必ずしもクリアには購入は必須ではなく、購入しないと解放できない要素があるわけではない。そういった点では良心的ともいえる。あくまで補助、救済処置的な物と捉えた方がよいだろう。
    • これついては、近年に他機種移植された他のケムコ販売の多くのRPGにも当てはまる要素なので、別に本作に限った問題ではない。
  • Steam版限定の問題点
    • 3DS版のタッチ操作対応とは異なり、マウス操作は非対応となっている。これについてはSteam版ストアページのシステム要件の項にも書かれている。
      • 元々スマホや3DSで配信されたこともあり、いかにもスマホ向けのUI調整がされたのにマウスで操作できないことは違和感を感じる。
    • タイトル画面から、画面表示をウインドウ表示かフルスクリーン表示に変更にできるが、ウインドウ表示の場合解像度(ウィンドウサイズ)の変更が不可能かつ固定になっている。
    • 実績の獲得状況がゲーム内では一切確認できない。
      • 確認したい場合は、Steamのクライアントなどから自分の実績データをアクセスする必要がある。

総評

スマホからの移植でありながらも、元の出来が良い上に、遊びやすくしっかりとした調節を加えてより遊びやすくなった。
低価格ながらもストーリーや戦略性など、原作スマホ版から数年経った現在でも通用するゲーム内容はプレイヤーを魅力する。
演出やシステムにこだわりを持つ開発が繰り出す、隠れた良作RPGともいえる。

低価格でしっかりとしたRPGを遊んでみたい方や、「販売がケムコだから、どうせ…」などと思う方にも、是非プレイして欲しい一本である。
幅広い機種に移植されているため、気になったら自分に合った機種でプレイしていただきたい。


余談

  • 海外でも「Justice Chronicles」と言うタイトルで配信されている。2021年版では各機種の言語切り替えなどでプレイすることができる。
  • 本作前に同じ開発からPSP等で配信していた「幻想クロニクル」との共通点が存在する。
    • 単体でも問題なく仕上がっているが、知っていればニヤリとする要素が少しだけある。
      • この「幻想クロニクル」は長らく移植されていなかったが、2024年2月16日に各プラットフォームで配信され、両方の作品を同一プラットフォームで楽しめるようになった。
  • よく言われるが、ゲーム自体の開発はヒットポイントによるもの。ケムコはあくまでパブリッシャー(販売元)なので直接開発には関与していない。
    • 開発である「ヒットポイント」は『ねこあつめ』と同じ開発ではあるものの、RPGではそこまで知名度がないことも相まって勘違いされやすい。
  • PS4版に限り、2021年12月16日にPS4で発売した『ケムコRPGセレクション Vol.8』に、他のヒットポイント開発のRPG三作*3と一緒に収録されている。
    • 単体の配信よりも、オムニバスである本作への収録の方が先に告知されており、本作の単体版については後に正式告知された。
      • 同じような傾向は『同Vol.9』に収録されている、エグゼクリエイト開発の「アンビションレコード」でも見られており、こちらでもオムニバス収録の方が先に告知されていた。

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2016年 3DS RPG ケムコ
最終更新:2024年09月27日 18:19

*1 Switch以外

*2 スクリーンショット機能やトロフィー・実績機能など

*3 収録作品の内約は「魔想のウィアートル」「クリスタルオーサ」「アームド&ゴーレム」の3本と本作