海戦ゲーム レーダーミッション
【かいせんげーむ れーだーみっしょん】
ジャンル
|
シミュレーション・シューティング
|
|
対応機種
|
ゲームボーイ
|
発売元
|
任天堂
|
開発元
|
任天堂 パックスソフトニカ
|
発売日
|
1990年10月17日
|
プレイ人数
|
1~2人
|
定価
|
3,200円
|
配信
|
バーチャルコンソール 【3DS】2011年10月5日/300円(税5%込)
|
書換
|
ニンテンドウパワー 2000年8月1日/800円/F×1・B×0
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
1本で2つの異なるゲームが楽しめておトク お手軽路線な海戦ゲーム ムービーはゲームボーイにしてはハイクオリティ
|
概要
1990年に任天堂がゲームボーイで発売した海戦のゲーム。
既に同様のゲームは『海戦ゲーム NAVY BLUE』(ユース)や『パワーミッション』(バップ)といったものが出ているが任天堂からは初となる。
一般的なグリッドで交互に撃ち合う海戦ゲーム(レーダー作戦ゲーム)だけでなく、潜水艦でリアルタイムに魚雷を撃って敵艦船を撃沈するシューティングの2通りの異なるスタイルのゲームが楽しめる。
内容
GAME-A
一般的なグリッドに艦船を配置してお互いに撃ち合って敵艦隊を全滅させれば勝利という典型的な「レーダー作戦ゲーム」のモード
-
艦の種類は下記の通り。()はその占有マス数で全マス分に命中すると沈没する。
-
空母(5)
-
戦艦(4)
-
巡洋艦(3)
-
潜水艦(3)
-
駆逐艦(2)
-
艦載機(1)
以下は敵のみ
-
司令部(7)
-
戦車(2)
-
全部で3ステージあり、ステージクリア時には喪失した艦艇から1隻のみ補充される。
-
優先順位は空母>戦艦>巡洋艦>潜水艦>駆逐艦
-
艦載機のみが残った場合、次は空母1隻のみで戦うことになる。
-
2P対戦を行う場合はステージの概念はなく1戦限りの勝負となる(上記6艦1隻ずつ)。
-
基本は一発ずつ撃ち合うが特定条件のラッキースターを獲得することで一気に大量発射、または特殊な攻撃ができる。
-
敵艦が残りが1隻になればBGMが、明るいものに変わる。逆に自軍が残り1隻になればBGMが緊迫したものに変わる。
-
艦載機は上記にカウントされない(つまり、艦載機のみが残っている場合、敵なら表示は「ENEMY 00」となる)。
-
敵も残り1隻以下だが、自軍も1隻以下と両方の条件が被った場合後者(不利な方)のBGMが優先される。
GLID(8×8・10×10・12×12)
-
戦場となるグリッドの広さで8×8、10×10、12×12から選択できる。
AIR CLUFT(ON・OFF)
-
15ターン目に空母が残存している場合、艦載機が飛び立って戦列に加わる(陸軍構成となる1Pモードの3ステージ目の敵は「司令部」に空母機能がある)。
-
艦載機は空母の周囲を1ターン毎に1マスずつ移動する(攻撃済みのマスはスキップ)ので攻撃を当てにくい。
-
しかし、移動する範囲はわかっているので空母の回りをしらみつぶしに攻撃していけばいつかは撃墜できる。
-
もし空母の周囲にスペースがなかった場合、飛び立つデモは発生するものの、消滅してしまう。
NEAR MISS(ON・OFF)
-
敵艦船に当てられなくても、外したのがすぐ隣だった場合、高い水しぶきが上がりアラートが鳴る(艦載機のみ対象外)。
-
つまり「ON」にして上記が起きなかった場合、少なくともその隣を攻撃する意味はない。
LUCEY SHOT(ON・OFF)
-
グリッドの中に隠しアイテム「ホワイトスター」「ブラックスター」が隠れており、その地点を攻撃すると獲得でき次のターンでは強力な特殊攻撃ができる。
-
ホワイトスター
-
中心点のその斜め上下左右を含む5発同時発射(×字状)ができる。12×12の場合だと、斜め2マス先まで有効(大きな×字状)で9発同時発射になる。
-
ブラックスター
-
有効範囲は1マスだが、命中させれば一撃で対象の艦を撃沈できる。また、その艦に接している艦があれば、それにも有効。
敵の司令官
-
ブービィ大佐
-
オールズ少将
-
ボルカノ大将
-
強さはそれぞれの階級通り。
-
1Pも2通り顔から選択できるが、どちらを選んでも特に強さなどはない。
-
2P対戦時は上記の1P時のプレイヤー用2人と敵3人、計5通りの中から自由に選択できるが、もちろんどれを選んでも同じ。
GAME-B
コントロール重視のシューティングのモード
潜水艦を操作して主に魚雷を駆使して敵艦隊を全滅させる、または敵の司令部にあたる潜水艦を撃沈すれば勝利
-
Aボタンで魚雷を発射、Bボタンでバルカン砲を発射
-
バルカン砲はオート連射だが魚雷は発射後一定時間を経て再度装填されるまで発射できない。
-
バルカン砲は敵の潜水艦にのみ有効で、他の艦艇は魚雷でなければならない。また空母付近を飛んでいる艦上攻撃機はこちらの攻撃が一切通じない事実上の無敵キャラ。
-
下ボタンで潜ることができる。
-
潜航状態では敵の攻撃を受けないが、こちらも攻撃はできずレーダーで敵や味方の状況を見るのみ。
-
敵潜水艦も潜航状態になることがあり、レーダーでその真正面に来ても攻撃できない。
-
自軍が残り3隻になると「GAME-A」での不利状態のBGMに変わる。
-
ゲームのレベルは「PRACTICE」「NOAMAL」「HARD」
-
「PRACTICE」艦艇7隻で、敵艦艇は最終の3ステージ目以外攻撃してこない(敵潜水艦のみ例外でステージ1から攻撃してくる)。
-
「NORMAL」艦艇9隻
-
「HARD」艦艇12隻
アイテムは下記3種類。
-
POWER SONER
-
潜航時でのレーダーで敵艦の進行方向が▲の向きで表示される。装備していないと■で場所のみ。
-
開始時は$袋が3つあり、上記アイテムを購入(装備)するのに1つ消費する。
-
上記アイテムは後方、中央、前方それぞれの部位に装備され、その箇所が被弾すると装備を失う。
-
被弾しないままクリアすれば、次のステージで$袋が維持される。
-
被弾して失った場合、次のステージでは残った数だけになる。
-
被弾直後含め、$袋が3つない状態では足らない分だけ水平線に$袋が漂っており、それに魚雷を命中させると次のステージのポイントとして復活する。
-
2P対戦モードでは「GAME-A」とは違い5本勝負で3本先取した方が勝ちとなる。
-
1戦終わるごとに『対戦型テトリス』のような画面で星取り状況が見られる。
-
このモードでは味方の艦艇もちゃんと攻撃してくれる。
-
レベルは3段階から選べて$袋の数が変動する。艦艇数はレベルに関係なく潜水艦(司令部)+8隻で同じ。
-
「PRACTICE」$袋3つ
-
「NORMAL」$袋2つ
-
「HARD」$袋1つ
-
1P時同様に被弾してアイテムを失ったまま終えると、水平線に漂う$袋を取り返さないと次の戦いでも、それを失った状態でスタートすることになる(失った分が水平線に漂った状態でスタート)。
-
また、この数は初期数というだけでなく最大数も上記となる(例えば「HARD」で始めた場合、1つ持っていて2つが漂っているわけではない)。
-
これによりハンデをつけることも可能。
評価点
-
異なる2つのゲームが楽しめる。
-
しかも全く異なるゲーム性なので、まさに1本で2つのゲームが楽しめるおいしいソフトと言えるだろう。
-
それぞれのゲームモード単体で見ても下記の通り、非常に質の良い出来になっている。
-
GAME-Aは特に細かいカスタマイズができる。
-
単にCPUの強さだけでなく、相手のみエアクラフトやニアミスをなしにしたり、片や自分にのみ同じようなことを課して敢えて苦難な戦いをするなど、プレイヤーのレベルに合わせたカスタマイズが細かい。
-
ゲームを盛り上げる演出もバッチリ。
-
艦砲発射時や、相手のエアクラフト、エンディングなどゲームボーイのモノクロ画面ながら、その演出ムービーの美麗さが光っている。
-
艦載機が一発毎に移動する艦載機が高速で移動したり、その艦載機に命中して堕とされる様子まで描写される。
-
BGMによる優勢やピンチの演出も、その雰囲気を的確に盛り上げている。
-
ゲーム自体は非常に出来が良いものの、どちらも3ステージのみと少々ボリュームで物足りなく思えるが、実はやり込み要素まで網羅。
-
特に「GAME-B」では、ハイスコアを目指す上では「HARD」モードのクリアーが必須に近く、当該のモードでは単純に艦艇の数が多いだけでなく、一発のミスで命取りになるようなバランスなのでやりごたえも抜群。
-
また当時はまだゲームボーイ初期で、そのソフトに求められていた手軽さ路線も両立できている。
-
双方ともゲームボーイの強みをしっかり生かした対戦モードまで網羅されている。
問題点
-
GAME-Aでは空母と艦載機以外に個性がない。
-
一応駆逐艦は小さい分見つけにくく、戦艦は4マスある分当っても撃沈まで時間が掛かるのが特徴と言えば特徴だが、際立つものではなく特に空母のような特殊な能力は何も持たないので個性に欠ける。
-
「エアクラフト」をなしにすれば空母も全く個性がなくなる。
-
GAME-AでニアミスをONにしても、グリッド上ではそれがニアミスなのかドハズレなのか記録が残らない。
-
単発の攻撃では頭で憶えておけば済む話だが、ホワイトスターによる複数発発射の場合、どれがどれなのかわかりにくい。
-
GAME-Bでは自軍の味方が全く頼りにならない。
-
敵は司令部である潜水艦以外も魚雷で攻撃してくるが、自軍の味方は一切攻撃をしてくれない。
-
大体ゲームではそんなもので、とりわけ珍しくもないがやっぱり不公平に感じられる。
総評
海戦ゲームの定番「レーダー作戦ゲーム」のモードと、本作オリジナルとも言える潜水艦によるシューティングモードの全く異なる2つのゲームが楽しめる点は非常におトクなもの。
しかも、それぞれ単独でお手軽に楽しむことから、やり込みまでバッチリ網羅され1本で広い用途で楽しめる。まさに1つのカセットで2つのゲームが楽しめる「1粒で2度おいしい」アーモンドグリコのような美味しいソフトである。
更にカスタマイズの幅が広さから、入門層にとっては勝つ喜びを体感しながら徐々にレベルアップして行けるため、その間口も広い。
ボリューム面での不足感は多少あるもののゲームボーイ初期作品によくあった「手軽に楽しめるゲーム」として幅広く楽しませることが可能な秀逸なシステムは、任天堂作品らしい良さがしっかり出ていると言えるだろう。
余談
-
この後も「レーダー作戦ゲーム」は12月の『海戦ゲーム NAVY BLUE 90』(ユース)など、少ないながらも発売されたが任天堂からは出ておらず、後のGBAやDSでも発売されなかった。
-
しかし『ゼルダの伝説 風のタクト』で「サルバトーレ」というキャラクターが行うミニゲームとして同様のゲームは実装されており、そちらで海戦ゲームを初めて知ったユーザーも少なくないとは思われる。
最終更新:2023年11月11日 14:01