本項目ではアーケード版『特殊部隊 ジャッカル』と、そのアレンジ移植のファミコンディスクシステムソフト『ファイナルコマンド 赤い要塞』について併記します。



特殊部隊 ジャッカル

【とくしゅぶたい じゃっかる】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 コナミ
稼働開始日 1986年10月
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント 撃つだけでなく体当りで轢いていく爽快感
撃墜、破壊だけにとどまらない捕虜を救出する戦略性

概要

1986年10月にアーケードに導入されたコナミのシューティングゲーム。
ジープを駆って、敵陣を突破しながら人質を奪還しヘリに乗せて救出しながら敵の本拠地を目指す。


ストーリー

やつらはジゴクをつれてくる。

過酷な訓練をこなし、あらゆる条件下でのサバイバルを可能にしてしまう男たち、ジャッカル。 よほどのことがなければ、この名を耳にすることはない。 捕虜救出の特殊指令を受けた彼らの大胆な計画は、敵地のド真ン中を2台の装甲ジープで突破しようというものだ。しかも、たった4人で。

ジャッカルが通る道は地獄になると言われているが、こんどの戦いもおそらく………。

命知らずの男達の壮絶なドラマが繰り広げられる。


内容

  • ジープを操作して敵を倒しながら、捕虜が収容されている施設を破壊して捕虜を救出する。
    • 一度に乗れるのは8人まで。
    • ジープに乗せた捕虜はヘリポートで待機している味方のヘリに乗せて救出する。
      • 連続で乗せるほど得点も高くなる(一度でも途切れるとまた100点から)。
      • ヘリに乗せると、その分が空くので新たに乗せることができる。
  • 武器はマシンガンと手榴弾(orミサイル)がある。
    • 捕虜の中には光っている者がおり、それを乗せると手榴弾の武器がパワーアップする。
      1人乗せる・手榴弾ボタンで使える武器がミサイルに変化(弾のスピードがアップ)。
      2人乗せる・ミサイルの飛距離が伸びる。
      3人乗せる・ミサイル着弾点から2方向(\状)に爆風が飛ぶようになり攻撃範囲が拡大。
      4人乗せる・ミサイル着弾点から4方向(×状)に爆風が飛ぶようになり攻撃範囲が更に拡大。
    • やられると再開時はパワーアップが1段階ダウンする。
    • 威力では手榴弾(ミサイル)の方が高いが連射ができない。
    • マシンガンは攻撃のみだが、手榴弾やミサイルはゲート(破壊することで進行する道を開く)や収容所を破壊する役目も持っている。
  • 敵は武器で攻撃して倒すのが基本だが、敵兵士のみジープで轢き殺すこともできる。
    • 車両系の敵はぶつかると破壊される。
    • 破壊されると、乗っている捕虜が右往左往する。その捕虜は再開したジープで再度乗せることができる。

評価点

  • シューティングだけでなく、捕虜を救出する+αのゲーム性。
    • それまでのシューティングは大体ぶつかった場合は一方的に負けて即ミスだったが、敵の兵士に関しては突っ込んで体当りで轢くという、一般的なシューティングとは違った爽快感が味わえる。
    • 本作を語る上で欠かせないのが「人質救出」で、後述のファミコンと違って人数の制限があるが、裏を返せば、それがまたゲームに一味加えている。
      • 単にやみくもに乗せるだけでなく、できる限り多くの人数を同時に乗せるほど1人あたりの得点も上がるなど、目的意識を高める仕様になっている。
  • パワーアップによる爽快感の増大。
    • パワーアップにより攻撃範囲がどんどん広がっていき、後半になるほど敵の数も増大していくことに伴って、撃破の爽快感もどんどん増していく。
  • BGMや効果音など、いずれもハイレベルな出来。
    • コナミの強みの1つであるそれらは本作でも健在で、爆発が多い本作では特にその爽快感を高めている。
      • またグラフィックは後述のファミコン版での再現がしきれていない点でも、その秀逸さが出ている。

問題点

  • 全5ステージながら、シームレスに繋がれているため、ステージを突破した実感を感じにくい。
    • 特にエリアボスがいるわけではないので、ハイスコアを突き詰めていくゲームとはいえ実質1ステージのような感覚で、少々物足りなさがある。
    • とはいえ敵の攻撃は熾烈さがあるので、ゲーム自体はハードな部類に入る。

総評

シューティングの醍醐味である撃ちまくって破壊する爽快感に加え、捕虜を救出し可能な限り多く乗せていくために必要な状況を作るなど戦略的要素もあり。
捕虜を乗せている時ほど、やられてはいけない緊張感や、スコアを上げるにもそのような工夫が大事になるなど、破壊一辺倒ではできない面白さが実現できている。
爽快感を演出するサウンドやエフェクトによる後ろ盾もしっかりしており、クオリティそのものは当時のシューティングの中でも高い部類に入る。
あとはボリュームさえあれば文句なしだったのだが、そこは非常に残念なところ。


その後の展開

  • 本作をアレンジしてファミコン用に移植したものが『ファイナルコマンド 赤い要塞』で、ディスクシステム用ソフトとして1988年5月に発売(後述)。
    • RPG時代の本格化に加え、シューティングブームの一角を担っていたハドソンの「全国キャラバン」がPCエンジンに移行し*1ファミコンでのシューティングは衰退著しい時期という不遇な時代にあって、その中で高い評価を得た。

ファイナルコマンド 赤い要塞

【ふぁいなるこまんど あかいようさい】

ジャンル シューティング
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売・開発元 コナミ
発売日
()は書換開始日
1988年5月2日(1988年6月28日)
定価 3,200円
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント 移植と呼ぶには進化しすぎている
各ステージにボスが用意され内容はより濃密に
違った2つのスタイルの2Pモード

概要(FC・赤い要塞)

『特殊部隊 ジャッカル』(上記)のアレンジ移植で、ファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして1988年5月にコナミから発売された。
オリジナルのステージも多く「アレンジ移植」というよりは「続編」に近い。

システム自体はアーケード版から引き継がれているため、本項目では変更点のみにとどめるものとする。


ストーリー(FC・赤い要塞)

19XX年のある日、緑に包まれた平和な国の政府本部に不吉な情報が飛び込んできた。

そこには独裁政治をくわだてている他国が軍事関係の重要人物を人質として誘拐したことを告げていた。

政府本部は人質救出と敵本部を壊滅するために、過酷な訓練を受けた4人の男たちからなる特殊部隊ブラッディローズを編成し、送り込んだ。

鍛えぬいた微躯体と精神力で戦え。与えらえた武器を駆使して突き進め。そして平和だった日々を一刻も早く取り戻せ。

キャラクター

デッカー

士官学校を首席で卒業し、数々の人質救出作戦において輝かしい実績を積み上げてきた。
まさに人質救出作戦のエキスパート。

クイント

若き天才メカニックで、あらゆるマシンを乗りこなす。
マシンの操縦では彼の右に出るものは存在せず、どんな悪路も行く手を阻むことはできない。

グレイ

あらゆる武器を自在に使いこなし、ジープや戦車の操縦テクニックも抜群。
4人の中では最年少だが、その大胆な行動力は頼もしい。

ボブ

常に最前線で戦ってきた歴戦の勇者で、狙った獲物は絶対に逃がさない凄腕。
その優れた敏捷さが自慢。


変更点(FC・赤い要塞)

  • 2つのモードでの2人プレイ。
    • 1つは普通に2台のマシンで2人がそれぞれ戦うスタイル。もう1つは、マシンは1P同様1台で、片方がマシンの操縦とマシンガン、もう1人が手榴弾(ミサイル)で射撃をメインに担当する。
  • ジープに乗せられる捕虜の上限がなくなった。
    • それに併せてヘリポートでの捕虜をヘリに乗せる時のボーナス点も均一になった。
  • 光る捕虜を乗せることでするパワーアップが3段階に(初期を含めて4段階)。
    初期状態・弾のスピードが最も遅いが唯一障害物を通過できるので壁の向こう側に攻撃できる。
    1人乗せる・手榴弾ボタンで使える武器がミサイルに変化(弾のスピードがアップ)。
    2人乗せる・ミサイル着弾点から2方向(-状)に爆風が飛ぶようになり攻撃範囲が拡大。
    3人乗せる・ミサイル着弾点から4方向(+状)に爆風が飛ぶようになり攻撃範囲が更に拡大。
    • アーケードでは、着弾点から爆風の飛び方が斜めだったのが、上下左右になった。
    • ミスから再開した時のペナルティであるパワーダウンはアーケードでは1段階だったが、一気に初期状態までパワーダウンする仕様に。
  • マシンガンの発射は常にステージに進行方向(画面上)のみになった。
  • シームレスに繋がっていた5ステージが分離された(それぞれにボスがいる)。
    • 分離されたことで、それぞれのステージのBGMが個別で用意された。
    • アーケードには存在しなかった新しいラスボスが登場。
  • 新規追加アイテム「スター」。
    • ミサイル(爆風含む)や手榴弾を特定の場所に打つと出現する。
    • 緑色は画面内の敵が全滅し、光るのは一気に最強状態(ミサイル+爆風4方向)までパワーアップする。

評価点(FC・赤い要塞)

  • 異なるスタイルの2Pモード。
    • 単に2人でプレーするだけでなく、1台の中で役割を分担すると言う、本当に登場人物になり切ったプレイができる。
      • これによりプレイスタイルの幅も広げている。
  • パワーアップで着弾時の拡散が斜めではなく、その上下左右になったことで、目標を定めやすくなった。
    • 特にファミコンは低年齢層のプレイが多いので、感覚の掴みやすさにもつながっている。
  • ステージボスが登場したことで、メリハリがついた展開に。
    • しかも各ステージのボスがそれぞれ個性を持っていて、いずれも手応えがある。
      • 更に、敵の本部を撃破した後に、更なる追加ボスまで登場。
      • 空から襲ってきたり、戦車と1対1の戦いを繰り返したりと、それぞれ個性ある違った展開が用意されている。
  • アーケードも含めて元々コナミのサウンド自体秀逸なものが多いが、本作も例外ではなく秀逸。
    • 更に実質ステージが増したことに伴って新規追加したものまで加わっている。因みにこれらはアーケードで採用されなかったものである。
    • それぞれがいずれも重厚感があり戦いの気分を盛り上げてくれる。

賛否両論点(FC・赤い要塞)

  • マシンガンの発射方向が固定。
    • アーケードではジープの向いている方向に発射していたので、向いている方向に発射しないのは少々違和感があるが、必要に応じて即座に使い分けることも可能となった。
  • パワーアップの段階が1つ減少
    • バリエーションが少なくなったのは劣化に違いないが、やられて再開時のパワーダウンが「一気に最低まで」になったため無難な調整ではある。
    • また、やられて乗っていた捕虜が投げ出された中にも、パワーアップの光る捕虜が混じるようにもなったので多少は救済になっている。

問題点(FC・赤い要塞)

  • 捕虜救出の仕様が劣化。
    • アーケードでは8人までしか乗せられず、またヘリに乗せる時も大勢の捕虜を同時に乗せるほど得点がアップしていたが、それも固定になったため「安全を確保してからヘリにまとめて一気に乗せる」という工夫も必要なくなった。
      • 乗せられる人数が無制限になったのは便利になったと言えなくもないが、どちらかといえば単調化した一面の方が強い。

総評(FC・赤い要塞)

表向きは「アレンジ移植」という扱いでシステムは引き継がれているものの、その中身は完全に発展形であり事実上の続編。
ステージが増えたことで、新しいBGMまでできたことでコナミの強みであるサウンド面の良さもより一層押し出されているなど全体的にグレードアップしたものになっている。
当時アーケードのファミコン移植にありがちなグラフィックやサウンドの劣化は多少あるが事実上の別作品ということでそれを感じにくく、実質独自のファミコン作品として秀逸なものになっている。


余談(FC・赤い要塞)

  • この年は前年RPGブームが一気に開花し、更に加速度的に盛り上がっていった時期でもある。
    • その反面、アクションやシューティングは時代遅れと見られる傾向にあった。アクションはこの年話題になった『スーパーマリオブラザーズ3』もあり、ある程度の人気は保っていたものの、シューティングは人気の主柱の1つとも言うべきハドソンが事実上の自社ハードであるPCエンジンへ移行したため、ファミコンで出さなくなったこともありファミコンではジャンルそのものが賑わず、ユーザーにも過小評価されるなど、いろいろな意味で不遇な時代であった。
    • またディスクシステムも、ロムカセットが2メガ3メガと大容量化し容量の上で不利になってきたことや、ディスクならではの強みを生かした『ディスクファクスイベント』がこの年の5月一杯で終了したことなどもあって後半期には衰退しはじめていくことになる*2
    • そんなディスクソフト+シューティングという極めて不遇な状況下でありながら、1988年度のファミマガゲーム大賞(1987年12月~1988年11月が対象)では40位とギリギリ同然ながらベスト50以内に食い込んで、底力を見せた。また、ロムカセットのシューティングでの最上位『1943』(44位)をわずかながら上回った。
  • 同年9月にはNESにも『Jackal』のタイトルで移植されている。
    • ステージが追加されている他、横にもスクロールするようになりステージ構成が大きく変更されている。
    • また、ステージクリア時に一枚絵やステージの全体図が表示される。

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最終更新:2022年10月03日 22:43

*1 例外的にこの年は野球ゲーム『パワーリーグ』で開催された。

*2 ただし書換により500円という安価で新しいゲームが遊べるという強みだけはスーパーファミコン発売直後ぐらいまでは残っていたため、この年から既存カセットタイトルの書換専用販売が始まった。以後ユーザーにとってディスクは書換が主流となる。