サッカー
【さっかー】
| ジャンル | スポーツ(サッカー) |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | トンキンハウス | 
| 開発元 | トーセ | 
| 発売日 | 1991年6月7日 | 
| 定価 | 3,500円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ゲームボーイでお手軽にサッカー この時期にもなって7人制の簡略変則サッカー
 一見地味でも中身は細かく本格的
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概要
1991年にトンキンハウスから発売されたゲームボーイソフトのサッカーゲーム。
現実で行われているスポーツそのままの無印なタイトルだが、残念ながら本作自体はゲームボーイ初のサッカーゲームではない。
メーカーは違うもののファミコンの同名タイトル『サッカー』(任天堂)と同様、簡略化しながらもオフサイドがあるなどルールは本格的という点は共通している。
内容
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その名の通りサッカーのゲームだが、1チーム7人制という簡略化した方式が取られている(因みに任天堂のファミコン版では6人制)。
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しかし、ちゃんとしたサッカーゲームなのでオフサイドもあり、本作ではキッキングの反則も搭載している。
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キッキングは後ろからや、至近距離でタックルをすると取られる。この時、画面では「YELLOW CARD」と出るが相手のフリーキックになるだけで、特にカウントはされていない(退場になることはない)。
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自陣ペナルティエリア内でキッキングを取られた場合、相手のPKとなる。
 
 
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PKは上下左右に判定がある。
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キッカーもキーパーも同じなので、完全にヤマカンでの勝負になる。
 
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キックは強いキックのA、ゴロを蹴るBの2つを使い分ける。
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主にAはシュートやクリアー、Bはパスだがゴールとの距離次第ではBのキックをシュートに使うことも必要(Aのキックでゴールの枠上を越してしまったりバーに当ったりもするので)。
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他に空中に浮いたボールの下に来た時はAと方向ボタンでヘディングやオーバーヘッドキックもできる。
 
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プレイモードは2通りある。
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テストマッチ………いわゆる練習試合で、8国の中から好きな国を選んで1試合を行う。対戦も可能。
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ワールドカップ………いわゆるステージクリアのモードで、1国を選んで残りの7国に全勝すればクリアとなりエンディングが見られる。
 
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8国それぞれ実力が異なっており、そのパラメータの内訳は下記5通り。これが全員共通ではなく個々に持っている。
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スピード………ボールを持っていないときの走る速さ。
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ドリブル………ボールを持ってドリブルするスピード。ただし、これの最速でも普通に走るスピードを超えることはない。
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タックル………タックルをかけた時にボールを奪う成功率。相手の「キープ力」との兼ね合いで決まる。
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キープ力………タックルを受けた時ボールを維持する能力。相手の「タックル」との兼ね合いで決まる。
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キーパー………キーパーのキャッチング力で、これが低いとキャッチしきれず後逸しやすくなる。
 
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選択できるチームは以下の8か国。
 それぞれの能力値は8国中の順位(つまり小さいほど強い)、フォーメーションはCPUが使用した場合。
| 国名 | フォーメーション | スピード | ドリブル | タックル | キープ力 | キーパー | 特徴 |  
| ドイツ | 2-2-2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | すべてに亘ってトップクラスの最強国。 |  
| イタリア | 1-3-2 | 1 | 4 | 4 | 4 | 3 | 足の速さは最速だが、DFがタックル、キープ力が日本バリに弱い。 MFの1人が強い。
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| フランス | 1-3-2 | 5 | 5 | 6 | 3 | 5 | ワントップFWのワンマンチームで他の選手が弱い。 |  
| スペイン | 2-2-2 | 6 | 6 | 5 | 5 | 6 | 能力はそれほど高くないが巧みなパスを多用して攻めてくる。 |  
| イングランド | 2-2-2 | 4 | 3 | 3 | 6 | 4 | 全選手がバランスの取れた能力を持ち、特に守備は強い。 攻めはスピードを活かしたロングパスによる速攻。
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| ブラジル | 1-3-2 | 3 | 1 | 7 | 2 | 2 | ドリブルを活かした個人技が強い。 |  
| 日本 | 2-2-2 | 8 | 7 | 8 | 8 | 8 | 残念ながらほとんどが最低クラスで特に光るものもなく弱い。 |  
| アメリカ | 1-3-2 | 7 | 8 | 2 | 7 | 7 | 全体的には弱いがディフェンス陣のタックルは強力。 トップの選手のみドリブルがある程度上手い。
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国を選んだら、フォーメーションと試合時間を決める。
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フォーメーションは上記の通り「2-2-2」「1-3-2」の2通り。
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時間の「3」・「5」・「8」はそのままストレートに「分」単位。
 
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残り時間が30秒を切るとBGMがテンポアップし、10秒からは0.5秒後ごとにカウント音が鳴る。
評価点
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とにかくお手軽さがウリ。それでいてスピードもありスムーズな操作性。
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グラフィックも非常にチープでまるでファミコン草創期にも及ばないほどだが、それだけに性能で劣るゲームボーイでも非常にスムーズにスピード感あるゲーム性を実現できている。
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たいていのゲームでは、操作やアクションの滑らかさやスピードが殺され気味だったので、表現をシンプルにしたことでそれを維持できたのは大きい。
 
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ちゃんと国ごとに選手のステータスが割り振られており、ファミコン版のようなガワだけの選手ではない。
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単にステータスの違いだけでなく、思考のロジックもそれぞれで持っている。
 
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キャラグラはかなり簡素だが、アクションはヘディングしたり、スライディングしたりとかなり豊富にできている。
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画面レイアウトを2通りからいつでも切り替えが可能。
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ゲームボーイでは、どうしても可視範囲が狭くなってしまうので、広範囲の動きが把握しにくいが、こうすることでそれをしっかりカバーできている。
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ズームした画面での緻密なプレーが必要な場合にはすぐ切り替えられる。
 
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エンディングの1枚絵の数々はなかなかの出来。
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無印なタイトルなので、サッカーができればいいだけかと思いきやこういった所もちゃんと時代に合わせて抜かりがない。
 
問題点
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せっかちなオフサイド演出。
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そこまで致命的なものではないが、オフサイドはBボタンを押した瞬間(対象のパスを蹴ろうとした瞬間)に取られてしまう。
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パスのシーンはデモで見せるとはいえ、プレー画面ではパスを出す瞬間すら見られず、いきなり取られるのもどうか。
 
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グラフィックのボールが小さく、仕方ないがボールを誰が持っているか、わからなくなることが多々ある。
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弱小国のCPUのロジックがお粗末で不自然に感じることも。
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例えば、攻められている時、自陣内から全選手を出した状態ならパスすればオフサイド確定なのに、それを平然とやってしまう。
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スローインやフリーキックをあさっての方向に飛ばしてしまい、みすみす相手ボールにすることもしばしば。
 
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時間がいつも表示されていないので、残り時間の確認が不便。
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サイドラインやタッチラインの判定が遅く、一瞬割ったぐらいでは取られず、すぐライン内に戻れば何事もなかったようにインプレーが継続される。
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ハーフでサイドチェンジしない。
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風の概念があるわけではないので、そこまで気にする必要もないのだろうがここも、しっかりチェンジした方がリアルに近づけたはず。
 
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スピードの代償というのもあるだろうが、やはりサッカーは11人である。そのためゲームボーイとはいえ、この時期にもなって7人の簡略化はサッカーらしさを損ねている。
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それに伴って、スペースが広いのでパスワークの重要性も薄れていることには変わりない。
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またワールドカップなのに1試合1試合で試合時間を選択するのもらしくない部分である。
 
総評
グラフィックは非常に簡素で1991年のゲームにしては、さすがに前世代的でそれこそ電子ゲームクラスだがゲームボーイが苦手とするスピードやスムーズなアクションの処理が実現できている。
普通に対戦で楽しむゲームとしては充分で、しかもちゃんと国ごと選手ごとに強さも違うなど、この当時のゲームとして必要な条件も無視はしていない。
しかし見た目に反して3,500円と当時のゲームボーイにしては高値なのがネックか。見た目の地味さに反して中身はしっかり作り込まれているのでやむなしと言えばやむなしだが。
余談
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トンキンハウスは前年発売の『ボクシング』のように、ゲームボーイでは初年を除いて、こういった無印系タイトルのスポーツゲームを発売していた。本作もまさにその1つである。
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後年に『スポーツコレクション』としてそれら5本をまとめたオムニバスタイトルが発売された。一部に内容変更が見られ、サッカーに関しても通信対戦モードが削除されている。
 
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偶然か意図的かは定かではないが、サッカー漫画の金字塔『キャプテン翼』が1994年に新シリーズ『キャプテン翼 ワールドユース編』をスタートさせることになるが最初に全日本と戦う影の全日本「RJ7(リアルジャパンセブン)」とのテストマッチは7対7の変則で行われた。
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そのフォーメーションも全日本ユースが「2:2:2」、RJ7が「1:3:2」と本作のフォーメーションそのままである。
 
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ファミコンでは中期ごろまで現実に反してイギリスをそのまんま「イギリス」と表記したものになっていた。
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イギリスは連合王国となる前のイングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズがそれぞれで代表権を持っているので「イギリスの代表」なるものは存在しない。
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本作では「ENGLAND(イングランド)」という表記になっているが国旗はモロにイギリスであり、説明書では「イギリス」となっている。
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日本の一般の感覚では世界のサッカー事情に疎いからわかりやすさに配慮したのか、あるいは開発担当自身も知らなかったのかは不明。
 
 
最終更新:2023年04月03日 14:05