サッカー

【さっかー】

ジャンル スポーツ(サッカー)

対応機種 ファミリーコンピュータ
ファミリーコンピュータ ディスクシステム
メディア 320KbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 【FC】1985年4月9日
【FCD】1986年2月21日
価格 【FC】4,500円
【FCD】2,500円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2006年12月22日
【WiiU】2014年12月3日
判定 なし
ポイント 無印タイトルスポーツで初ゲーム中BGM搭載
6人制だけどオフサイドまでしっかりある


概要

任天堂が1985年に発売したファミリーコンピュータ用のサッカーゲーム。
現実で行われているスポーツをそのままタイトルにした、ファミコン初期に代表される無印系タイトルゲームの1つである。
家庭用機のサッカーゲームとしてはセガSG-1000の『チャンピオンサッカー』が先に出ている。

同じく無印系タイトルの『麻雀』『ベースボール』『テニス』『ゴルフ』とともに1986年2月に発売された周辺機器「ディスクシステム」のローンチの1つにもなっている。


内容

  • 『ベースボール』と同じく1試合を行うのみで、ゲームクリアの概念はない。
    • 基本対戦ありきで対戦できる人間がいない場合、CPUがそれを補填する形。
  • タイトルでのBGMがそれまでの無印系タイトルのスポーツゲームとは異なっている*1
    • 初めてゲーム中にもBGMが導入された。
  • 本物のサッカーと違って1チーム6人制(フィールダー5人とキーパー)と、後のフットサルに近いが、それ以外はサッカーの当時のルールに準拠しておりオフサイドも実装。フィールダーの動き方も攻守分担のような形になっている*2
    • 同点のままタイムアップになるとPK合戦になる。PK5回で同点に終わった場合、サドンデスはなく引き分けになる。
  • 試合時間は15分ハーフ、30分ハーフ、45分ハーフから選択できる。ただし実際の時間は大体1/4程度(カウントの減りが速い)。
    • ハーフタイムにはチアガールによる簡単なショータイムが挟まれる。
  • プレイヤーのチームはアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、ブラジル、日本、スペインの7ヶ国。
    • 「イングランド」「ウェールズ」等ではなくそのまんま「イギリス」なのは、当時の日本はFIFAワールドカップやイギリスのサッカー事情の認知度が低く*3当時の日本でも馴染み深いオリンピック基準でチームを選んだためと思われる。*4
    • そもそもサッカーでは当時から弱小国のアメリカ*5を入れている時点で、当時のサッカー情勢には詳しくなかったことがうかがえる。アルゼンチン、ウルグアイ、ユーゴスラビア、イタリアあたりが妥当な線。
  • CPUはレベルのみでチーム選択の概念はない。
    • レベルは5段階。
  • 操作は至ってシンプルでボールにさわっていればドリブル。奪うにしてもスタンディングタックルやスライディングタックルのようなアクションはなく、走ってボールにさわることで直立姿勢から奪うだけ(このあたりはフットサルに近い)。
    • ボールを持っていない場合はBでボールに近いフィールダーに操作を移す。
    • ボールを持っていればAでロングキックやシュート、Bでショートパスという非常にシンプルなもの。
  • キーパーはパンチングがなく、触れたらキャッチするのみ。

評価点

  • 非常にシンプルながら早くも完成形に近い操作。
    • Bボタンで操作キャラを変更(ボールに近い者にカーソル移動、ボールを持っている場合はパス)という概念が簡単に飲み込める。
    • 以後登場するサッカーゲームのほとんども、操作配置こそ一定しなかったがこの切り替え方式は踏襲している。
    • スライディングこそできないが、基本的にサッカーでは立ったままパスなどをカットしてボールを奪うことが多いので、あまり気にならない。
  • 細かいオフサイドのルールまで完備されている。
    • その後発売されたサッカーゲームはしばらく、オフサイドが実装されていないことが多かった。
    • もっとも、他の選手をCPUが動かすうえにスルーパスもなかったので都合上「1人だけ前方に置いて待ち伏せ」が難しかったというのもあるが。
  • 入門からやり込み層までプレイヤーのレベルに合わせて楽しめる。
    • レベル1はシュートさえ打てればバカスカ入るほど弱い一方、レベル5はかなり鉄壁の守りで、ゴールが極端に割れないほど強い。

問題点

  • サッカーらしくない一面もある。
    • ファミコン初期なだけに仕方ないといえば仕方ないが、サッカーとは本来11人でやるものである。
    • また、人数が少ないため空いたスペースが多く、ドリブルで切り込んでもさほどカットされないのと、CPU思考の単調さでポジショニングが良くないため、あまりパスワークが重視されないゲーム性。
  • PKを止めるのが簡単すぎる。
    • PKシーンではシュートの弾速が遅く、キーパーの飛びつくのは速い。ボールの向かう方向がわかってから飛んでも間に合ってしまい間が抜けた展開になりがち*6
  • チアガールのデモがスキップできない。
    • 30秒程度の簡単なデモとはいえ、試合時間との対比で考えるとそこそこの長さ。
      • 1、2試合程度ならともかく、友達同士で何戦も対戦していると毎回見せられるのは少々鬱陶しく思える。

総評

無印なタイトルが示している通りまだ草創期のゲームということで、ビデオゲームとしてサッカーを楽しめるという可もなく不可もなしといった作り。
6人制と簡略化してこそいるものの、この当時としては珍しいオフサイド実装、また難易度の幅が広く、プレーする年齢層に合わせて楽しめる点は非常にしっかりしている。


その後の展開

  • 無印タイトルのスポーツゲームはロムカセットとしてはこれが最後だが上記の通りディスクシステム片面ソフトとして移植されローンチとなる。

余談

  • 本作以降、ファミコンでのサッカーゲームは1988年2月の『エキサイティングサッカー コナミカップ』(コナミ)まで発売されなかった。実に3年近くファミコンでのサッカーとして唯一の存在でありつづけたことになる。
  • ゲームボーイでも同名のゲームが発売されているが、トンキンハウス発売の無関係なものである。
    • ただ、このゲームも7人制と簡略化しながらも、オフサイドがあるなど細かい所までシステムは構築されている。
    • 更に1991年ということもあって、各国、各選手に強さのステータスが設けられている。
  • ケイブンシャ(頸文社)の攻略本は同じ無印タイトル系スポーツゲーム『ゴルフ』『ベースボール』と同載で刊行された。
    • 当時すでに『キャプテン翼』が人気だったこともあってか表紙イラストのサッカーのキャラは左記作の主人公「大空翼」そっくりな髪型でデザインされていた。
      また同書に掲載された漫画では、キーパーが上記作品の主人公のライバル若林源三にそっくりで、上記作品を少なからず意識しているのが垣間見える。
最終更新:2024年09月07日 01:33

*1 それまでの無印系タイトルのスポーツではすべて「スポーツ行進曲」のアレンジで統一されていた。また、『ゴルフ』のみタイトル含めBGMは一切ない。

*2 フットサルの場合、コートが狭いこともあってオフサイドがなく、攻めも守りも常にフィールダー4人全員で行う(キーパーも混じってきて5人でフィールドプレイすることも珍しくない)。

*3 一口に「ワールドカップ」と言っても、当時一般の日本人はサッカー(FIFA)ではなくバレーボール(FIVB)の方を連想した。

*4 説明書のチーム欄には「各国のチームの略号は、IOCの表記に基づいています。」と書かれている。

*5 ワールドカップには1950年に出場して以来、予選敗退を繰り返し大ブランクの真っ只中だった(1990年に10大会ぶり出場)。

*6 プロの試合などでは、ある程度ヤマをはって飛ばなければ間に合わない弾速がある。