がんばれゴエモン さらわれたエビス丸

【がんばれごえもん さらわれたえびすまる】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイ
メディア 2Mbit ROMカートリッジ
発売・開発元 コナミ
発売日 1991年12月25日
定価 3,689円(税別)
プレイ人数 1人
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2012年6月27日/419円(税10%込)
判定 ゲームバランスが不安定
がんばれゴエモンシリーズリンク


概要

ゲームボーイ初となるがんばれゴエモンシリーズの一作。
基本システムはファミコン版の『からくり道中』や『』の作風を踏襲している。


ストーリー

いつも平和な江戸の外れのはぐれ町。家で昼寝をしていたゴエモンの元に、肥前国からの手紙が届く。

『私の名はヤギ・ジュウベェ。貴殿の仲間のエビス丸は我らが預かった。無事返してほしくば肥前まで来るがよい。さもなければエビス丸の命はないと思え!』

「なにー!! あの間抜けヤローが何で肥前なんかに! しかも妙なヤツらに捕まりやがって。何でオレが助けにゃならねーんだ! ったくもぉしょーがねーなーエビス丸! この貸しはでかいぜっ!」

さてさて、嫌々ながらも肥前に向かうゴエモンであった。がんばれゴエモン!!

(プロローグより要約)


主要登場人物

  • ゴエモン:華のお江戸の伊達男で、本作の主人公。
  • エビス丸:ゴエモンの相棒。今回は囚われの身であるため、使うことはできない。
  • おみっちゃん:ゴエモンの恋人。時々お助けキャラとしてステージ中に登場し、触れたらお金がもらえる。逆に叩いたら罰金。
  • ヨロズヤ:和泉国の商人。ゴエモンとは何かしらの因縁があるようだが…。
  • ヤギ・ジュウベェ:エビス丸をさらった張本人。何やら目的があるらしいのだが…。
  • みこ:ステージ8において、倒れたゴエモンの代わりにプレイヤーキャラとなる少女。性能はゴエモンと同等。

ゲームシステム

  • 見下ろし視点でゴエモンを8方向に操り、さらわれたエビス丸を助けるため、ゴエモンが全国を駆け巡る。
    • ステージ内で起こるイベントをこなした上で、関所などのゴール地点に到達すればステージクリア。制限時間は無い。
    • ステージクリア時にいわゆるパスワードコンティニューである「あいことば」が与えられる。タイトル画面で「あいことば」を選び、正しく入力できればクリアした次のステージから再開できる。
  • 残機&ライフ制。ライフは最大9メモリで、敵に触れるか、敵の攻撃を受けるかするとライフが減る。ライフが無くなるか、水に落ちるか、炎に触れるかのいずれかでミス。残機0の状態でミスするとゲームオーバーになる。
    • コンティニューは無限に行えるが、再開はそのステージの最初からになり、所持金、所持品も初期化される。
  • 十字ボタンで移動し、Aでジャンプ、Bで攻撃。敵を倒すとその場でお金が手に入る。所持金は最高9999両まで増やせる。
    • ジャンプすると隠し階段が出現することがある。道中で隠し部屋に入ることができる他、牢などから脱出する際には隠し階段を見つけて入る必要がある。
    • ステージ2~8の道中にある隠し部屋には「宝石」が隠されていることがある。全て回収するとエンディングが若干変化する。
      • 入手した重要アイテムはセレクトボタンを押して確認することができる。
  • 道中には招き猫かおかめが入っているひょうたんと、お金が入手できる壺が置いてある。どちらも側でジャンプすると中身が飛び出す。
    • 招き猫は武器がキセルから飛び道具の小判になる。黒い招き猫を取ると一定時間ゴエモンの周囲を小判が飛び交うようになる。
    • おかめはスピードアップの効果がある。黒いおかめを取ると一定時間大幅にスピードアップする。
      • 招き猫とおかめの効果は一度ダメージを受けると効果が切れてしまう。
  • 道中にはヒントをもらえる民家の他、様々なお店がある。
    • よろず屋:ライフが無くなったときにその場で一定量回復するおにぎり、敵の飛び道具によるダメージを一定回数防ぐ三度笠、敵との接触ダメージを一定回数防ぐ鎧を売っている。下、中、上の3種類の性能があり、ステージが進むほど性能のいいものが売られるようになる。
    • 飯屋:その場でライフを回復できる。高いものほど回復量は多い。
    • 宿屋:30両でライフを全快できる。
    • 銭湯:30両で入れる。男湯で湯船につかるとライフが全快するが、女湯に入ると…?
    • サブゲーム:ステージ3以降の民家に登場。お金を増やすことができる5種類のサブゲームが遊べる。ステージによって遊べるサブゲームは決まっているが、ステージ9では全てのサブゲームが遊べる。
+ サブゲーム紹介
  • 丁半ばくち:サイコロ2個の出目の和が丁(偶数)か半(奇数)かを当てる。掛け金は10両からで、ゲーム毎に倍々に増えていく。
  • カブ:親である天狗との勝負。一から九までの札が2枚配られ、必要であれば3枚目を引く(親も3枚目を引くことがある)。手札の合計の一の位が9に近い方が勝ち。掛け金は10両からで、ゲーム毎に10両ずつ増えていく。
  • カメレース:200両必要。3匹のカメの中から1着でゴールするカメを予想する。的中すれば倍率に応じた払戻金が得られる。外れたら200両没収。
  • 弓矢:100両必要。上から下に移動する的目がけて矢を発射する。4回の試技で得た点数に応じた賞金を獲得できる。試技ごとに上部2か所の通風孔が開くことがありその場合風が吹いて(矢印で示される)矢の軌道が変わる。全部中央に当てることができればパーフェクトボーナスとして300両得られる。
  • かけっこ:100両必要。スタートからゴールまで、水に落ちないように注意しながら走り抜ける。途中に黒いおかめが隠されているポイントがある。ゴールまでのタイムに応じ、最高700両の賞金が獲得できる。水に落ちたらその場で失格だが、残機は減らない。
  • 全9ステージ構成。最初は肥前に向かうはずだったが、いつの間にか全国を一周することになる。
+ ステージ紹介
ステージ1 駿河 スタートからゴールまで、必須イベントはなく一本道。基本的な操作の仕方を一通り学べる。
ステージ2 和泉 肥前に向かう船着き場に向かう途中、ヨロズヤを巡る事件に巻き込まれる。
ステージ3 肥前 海の上の小島を渡り、手紙の主、ヤギ・ジュウベェの元に乗り込む。
ステージ4 長門 このステージからボスが登場。因幡で「ひのかみ」を手に入れてボスに挑む。
ステージ5 山城 誘拐されたヤギ・ジュウベェの娘、オサキを救出すべく、迷路状のダンジョン、御所に乗り込む。
ステージ6 越後 雪国のステージ。高い年貢で私腹を肥やす悪代官のからくり屋敷に乗り込む。
ステージ7 出羽 黒幕を倒すカギを握る宝玉を求め、蝦夷地を目指す。
ステージ8 陸奥 団子の毒にやられたゴエモンに代わり、介抱した少女「みこ」がゴエモンの毒を治す薬草を入手すべく、金華山に挑む。
ステージ9 江戸 江戸城を占拠した黒幕を倒し、エビス丸を救出する。

評価点

  • 白黒画面のゲームボーイでありながらの秀逸なグラフィック
    • メッセージウィンドウに時折見せるゴエモンの笑顔、驚き顔、怒り顔の他、ストーリーに登場するキャラのグラフィックがよく描き込まれている。
    • ステージに登場する雑魚敵も浪人から役人、スリや相撲取りなど様々おり、それぞれに対してやられた時のグラフィックも用意されている。
    • 道中、駿河国には富士山が描かれていたり、サブゲームの丁半とばくで他の客が丁半の結果で一喜一憂していたりなど、背景も細かいところまで描き込まれている。また、雪国のステージ6と7ではボーナスキャラのおみっちゃんがゆきんこの姿で登場したりなど、芸が細かい。
    • 白黒画面でありながら、グラフィック面はむしろファミコンの『からくり道中』『2』に比べてパワーアップしていると言っていいだろう。
  • ファミコンの2作に比べて遊びやすくなったこと
    • 何より、あいことばの存在が大きい。記録されるのはステージの進行状況とエンディングの分岐に関わる宝石の収集数だけだが、それでも長丁場になりやすい中で中断ができるのは嬉しい限りである。あいことば自体も「もち」「たけのこ」「たこ焼き」「おでん」「ちくわ」「すし」「ふぐ」の7種類のアイコンを4つ並べただけなので、メモも暗記もしやすい。
    • 他にも、防御アイテムが2種類とシンプルにまとめられ、値段もそこまで高くはなくなった。また、ライフ回復のための施設も最大30両と安価である。そして関所を通るための通行手形を集める必要も無くなった。これにより、アイテム入手のための金策や探索も必要なくなり、ステージ攻略がスムーズになった。
  • 豊富なサブゲーム
    • 5種類のサブゲームは発売当時からすればかなり多い方である。その種類も、運だけで決まるものからプレイヤーの腕前がものを言うものまで様々。
      • カメレース、弓矢、かけっこはある程度の種銭が必要だが、上手くはまれば大儲けできる。ステージ攻略そっちのけで夢中になった人もいるのではないだろうか。
  • 秀逸なBGM
    • ファミコンの2作に負けないぐらいの和風テイスト全開のサウンドはどの曲も聴き応え抜群で、中には『からくり道中』のメインBGMのアレンジもある。ゲームボーイはイヤホンで聴くとステレオ音源になるため、さらに迫力のあるサウンドが楽しめるだろう。
    • さらに本作にはウラ技扱いながらサウンドモードも搭載されている。ゲームオーバーになり、コンティニュー画面でコナミコマンドを入力すればエンディング以外の全てのサウンドが試聴できる。

問題点

  • 一部ステージの難易度の異常な高さ
    • 特にステージ8のダンジョンである金華山では、落ちたら一発でアウトになる海の上に浮かぶ非常に狭い足場を頼りに進むことになる。その足場も一定時間ごとに出現と消滅を繰り返すものもあり、悪い足場をさらに不安定にしている。さらに、薬草を手に入れるためには海の主の好物である真珠を4個入手しなければならない。このため、攻略のためにはジャンプ中に進行方向と逆に十字ボタンを入れるとジャンプ距離が調整できる、というテクニックを駆使する必要がある。
      • やっとの思いでダンジョンの最奥に到達して海の主に会い、キーアイテムの薬草を入手しても、来た道を逆戻りしてゴエモンの元まで戻らなければならない。もし帰り道で海に落ちて残機を全て使い果たしたら、当然ステージ8の最初からやり直しになってしまう。
      • その難しさたるや、本作はもちろん、がんばれゴエモンシリーズでも一、二を争うほどで、 みこを何人も泣かせた挙げ句、 ここで投げ出してしまった人も多いことだろう。ボス戦がないとは言え、せめて海の主が出現する地点から何らかの形ですぐゴエモンの元まで戻ることができればまだ何とかなったところである。
    • 一方、ステージ4の因幡国には触れただけで一撃即死となる炎があちこちにある。その炎に触れないように細心の注意を払いながらひのかみを探さなければならない。時には炎の上をジャンプで越さなければならないところもあるため、難易度が高い。前半の大きな壁として立ちはだかることになるだろう。
      • こちらはひのかみを入手した時点で炎は全て消えるので、ステージ8の鬼畜さに比べたらまだましである。
    • いずれのステージもバーチャルコンソール版だったら「まるごとバックアップ機能」があるので、それを上手く活用して攻略したい。それぐらい難易度が高いステージである。
  • 残機を増やす手段が無いこと
    • 『からくり道中』の大入り袋、『2』のさあびすちゃんに相当する1UPアイテムは無く、残機は2で固定となっている。そのため、前述のステージ4や8を大量の残機でごり押しする、という手段が封じられている。
      • 本作では物価の安さやサブゲームの存在も相まってお金は非常に貯まりやすいので、少々高くてもいいから1UPアイテムを店売りしてほしかったところである。
  • ラスボスの倒し方のわかりにくさ
    • ラスボスは7回ダメージを与えれば倒せるのだが、ゴエモンでいくら攻撃してもダメージは全く通らない。唯一ダメージを与える手段は投げてくる扇を攻撃してはね返し、ラスボスに当てることである。ただし、投げてくる扇は軌道が不規則なため、攻撃を与えるのが若干難しい。特に小判を持っているときは尚更である。
      • 本作でのボス戦は基本的に直接攻撃するものばかりなので、ラスボスだけカウンターでダメージを与える必要がある、というのは初見ではまずわからないだろう。
  • グラフィックと当たり判定のずれ
    • こちらから敵を攻撃するとき、明らかに敵のグラフィックとずれたところに攻撃の当たり判定が生じたり、逆に敵のグラフィック上にもかかわらず当たり判定が生じなかったりする場合がある。

総評

ゲームボーイというハードであるにもかかわらず、ファミコンで発売された『からくり道中』や『2』に負けないぐらいのグラフィックやサウンドは賛辞に値する。さらにパスワードコンティニュー搭載により中断もしやすくなり、ぐっと遊びやすくなったのも大きな評価点と言える。
しかし、一部ステージの難易度の異常な高さが評価を押し下げてしまっているのが非常にもったいないところだろう。残機を増やしてのごり押しが許されない点や、ステージ8で目的を果たした後のファストトラベルすら用意されていない不親切さもあるため、尚更である。

難易度の高さという大きな問題点故に万人に手放しでおすすめすることはできないものの、そんなのはものともしない、という猛者は是非とも迫力ある和風コナミサウンドを堪能しながら通しでのクリアに挑戦していただきたい。


移植

  • 今作は1997年に発売されたオムニバスGBソフト『コナミGBコレクションVOL.2』にも収録されている。一応スーパーゲームボーイに対応しているが、タイトル選択後は終始カラーは変化しない*1
    • また、同作の欧州版はGBCで発売されており、今作もカラー化が施されている。
+ タグ編集
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  • コナミ
  • がんばれゴエモン

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最終更新:2023年11月13日 23:54

*1 この点は他にも「ドラキュラ伝説」や「ツインビーだ!!」など、コナミGBコレクションに移植されたGBソフト全般に当てはまる。