スーパー桃太郎電鉄III

【すーぱーももたろうでんてつ すりー】

ジャンル ボードゲーム

対応機種 スーパーファミコン
ゲームギア
発売元 ハドソン
開発元 【SFC】ハドソン、メイクソフトウェア
【GG】シムス
発売日 【SFC】1994年12月9日
【GG】1995年12月15日
定価 【SFC】9,500円
【GG】5,800円
周辺機器 同時対戦時:マルチタップ対応
判定 良作
ポイント すべてにわたってグレードアップ
桃太郎シリーズリンク


概要

ハドソン製作のRPG『桃太郎伝説』のスピンオフ作品としてシリーズ化されたすごろく型のボードゲームの第4作目。
無印の『桃太郎電鉄』は1作限りで2作目が『桃太郎電鉄II』ではなく『スーパー』を付けて『スーパー桃太郎電鉄』とし、以後は『スーパー』をベースにナンバリング展開されたため3作目ということで『III』となっている。
全般的にはグレードアップしているが、路線図自体は前作『スーパー桃太郎電鉄II』をほぼそのまま持ち越している。
1994年12月にスーパーファミコンで発売され、まる1年後の1995年12年にゲームギアでも発売された。

ゲーム性も前作を引き継いでいるため変更点にとどめるものとする。


内容(主に前作からの変更点)

  • 基本的には前作のゲーム性をそのまま引き継いでおり、全体マップの路線構成自体はほとんど変わりない。

キャラクター

  • 前作におけるCOM側の対戦相手の1人だった夜叉姫がCOMキャラから外れ、本作以降、PBSニュースのアシスタントとして桃太郎とともに進行役を務めるようになった。
    • これに伴って、新たに「かぐや姫」がCOM時代の夜叉姫の思考ルーティン「貧乏神嫌い*1」を引き継いで新たにCOMの五段枠に入った。
      • この都合で、人間プレイヤー4人で行う場合「ふうじん」に変わって「やしゃ姫」が4Pのデフォルト名となった。

若干の仕様変更されたイベント

  • F1レース
    • これ自体は前作から続投。前作では10月の鈴鹿(名古屋から3つ左にある黄色駅)のみだったが、4月の英田(岡山の1つ上にある赤駅)でも発生するようになった。
      • 英田が追加されたのは、この年4月に実際にTIサーキット英田(岡山国際サーキット)でパシフィックグランプリが行われたことに由来するものと思われる。
    • 2億円で誰か1人のレーサーに賭けて1着になれば臨時収入が得られるのは従来通り。レーサーは当時の花形ラインナップに交代している。
    • 鈴鹿に限り「音速の貴公子」の異名で知られる「アイルトン・セナ」をモデルとする「へな」が登場する可能性がある。
      + ドライバー及びオッズ
      名前 オッズ
      通常時 へな登場
      へな - 2
      しゅまは 3 24
      でえもん 5 32
      きれじ 12 34
      はきねん 15 34
      うきよ 20 34
      あーぐり 32 -
  • 選挙
    • これも前作同様、100ポイントを振り分けてバトルロイヤルというゲーム性は変わりないが対戦相手のバリエーションが豊富になった。
    • 戦う相手も「はまごー(浜田幸一)」「とのさま(細川護熙)」「ぱた(羽田孜)」「みっちい(渡辺美智雄)」「いもやん(江本孟紀)」「まきこー(田中眞紀子)」「おざわあ(小沢一郎)」の7通りになり、その中から3人がランダムで選ばれる。
  • おもちゃ工場の開発イベント
    • 新製品開発で成功すれば投資額の4倍の収入が得られ、失敗すればおもちゃ工場が倒産というイベントだが、その成功に8倍の収入が得られる「大成功」が追加。
  • スリの銀次
    • これも前作から続投だが今回は変装によって奪われる額が異なり、従来の4分の1、半分に加え、全額盗られる可能性が生じた。
    • 本作から時事ネタやその年の流行に関するものに変身するようになる。
    • セーラームーンなら1/4、車掌又はラモスなら半分、坊主ならなんと全部奪われる(もちろん滅多に出ない)。
  • ドジラとモモトラマンの仕様変更
    • ドジラは出現すると同時に襲った都市の物件をすべて破壊するが、本作では襲われるまで4ヶ月の猶予ができ、カードを準備する余裕が与えられるようになった(モモスラは従来通り8ヶ月)。ただし、どの都市をターゲットにするかは出現の翌月までわからない(慣れたプレイヤーならば出現月の時点で、ドジラの動きから襲われる都市を予測する事は可能)。
    • 怪獣退治に必要な「モモトラマンカード」も仕様変更され、持っているだけで効果を発揮するが、出動させるかどうかは任意で決められるようになった(COMPは狙われた都市に自分の物件が存在しない場合は必ず出動を拒否する)。
      • これにより、自分と他プレイヤーが同時に物件を所有する都市が襲われた際に物件の所有状況に応じてあえて見捨てる、他プレイヤーが独占した高額都市を狙われた際に見捨てて独占を崩すなどの戦略性が生まれた。
      • また前作ではカードが使用された時点で必ずモモトラマン側が勝利→カードが消滅となっていたが、本作では一定確率で負ける可能性が生じるようになった。代わりに勝てばカードは手元に残る。

新規イベント

  • Sリーグ(元ネタは前年に開幕した日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」)
    • 「プロ野球団」とは違い、浦和・川崎・鹿島・清水・磐田・名古屋・大阪・広島の近くの特定の駅(いずれも青・赤・黄色の一般駅)で5億円以上持っているとスポンサードできる。
      • 初年度のJリーグは10チームだが本作には横浜を本拠地とするチームは2チーム*2もあったのに登場しない。
      • 片や1994年に加入したばかり(初年度には未加入)のジュビロ磐田モデル「ピロピロ磐田」がゲームでも登場している。
    • 球団を購入するのではなく最大8口枠でスポンサードする形で、各球団1口あたり1~10億円で8年間有効。
      • 誰かがすでに1口でもスポンサードしている場合、そのプレイヤーしか追加で購入できない。
    • プレイヤーがスポンサードしている場合、11月に優勝決定戦が発生する可能性がある。この試合はPKによるサドンデス方式で勝てばスポンサードしている金額により収入が入る。
      • プレイヤーはキックのみ左・中・右で選択する。キーパーは自分のチームの時でも操作できない。
    • プレイヤー同士の球団になることもあるが、双方が条件を満たさなかった場合CPU専用チーム「ポプラ札幌」が相手となる。
  • シードームのライブ
    • 宮崎の物件「シードーム」(32億円)を誰かが持っていて、それ以外のプレイヤーが宮崎に止まるとランダムで発生する。
    • 止まったプレイヤーがバンド「ましら&ブルーモンキーズ」*3というのライブをシードームで開催するもののその演奏が酷いためシードームの持ち主に賠償金を払うというもの。
      • つまり誰かがシードームを買っていると他のプレイヤーはうかつに宮崎に止まれなくなる。
  • 闘牛場の大盛況
    • 宇和島の物件「闘牛場」を持っていると確率でイベントが発生するようになり臨時収入。
  • 豊作・凶作
    • 「水田」(新潟など)を持っていると確率で発生する。豊作なら臨時収入が入り、凶作なら損害が出る。
  • お笑い劇場のコント
    • 1Pのみでプレイヤーが大阪の物件「お笑い劇場」(3億円)を買っていると、持ち主が大阪に止まるごとに発生。
    • 特に利益や損益はない。
  • 好景気・不景気
    • 決算後の4月に好景気、又は不景気のニュースが流れ、次の決算まで続く。
    • 好景気はプラス駅や目的地の収入が倍になり、マイナス駅での損益が半分になる。不景気はその逆でプラス駅や目的地の収入が半分になり、マイナス駅での損益が倍になる。
    • 好景気時はウインドウ枠が黄色になり、不景気時は紫。

カード関連

+ 新規登場のカード
名称 効果
のぞみカード 進行サイコロを5つ振れる(かつての「リニアカード」と同じ)。
みなぶっとびカード 全員がヘリで同時にぶっ飛ぶ。
充電カード 3~5か月の間動けないが、それが終われば20マス一気に進める。
「おひるねカード」と違って動けない間も貧乏神やデビルのイタズラはされる。
カードが消費されるのは溜め終わって進む時なので、溜めている間に奪われたりすると溜めたのがパーになる。
スペシャルカード 「1進める」~「6進める」の機能を1枚にしたようなカード。
1~6の中で好きな数を選んで進むことができる。
地域系カード 北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の8通りがあり、その対象地区内の物件駅にヘリでぶっ飛ぶ。
特定駅のカード(「東京」「仙台」など)と違って、その中に目的地が含まれる場合でも使うことができる。
ただし、目的地に入っても、到着にはなるが、ぶっとびカードの場合と違ってホールインワン副賞のカードもらえない。
赤ぶっとびカード マイナスの駅のどこかへヘリでぶっ飛ぶ。
イエローカードの影響下ではマイナス駅がないので使えない(「青ぶっとび」も同様)。
テレポートカード 誰かの近くへ移動できる。
イエローカード 一定期間プラス駅(青)とマイナス駅(赤)をすべてカード獲得駅(黄色)に変える。
有効期間は「青ぶっとびカード」「赤ぶっとびカード」は使えない。
レッドカード 一定期間プラス駅(青)とカード獲得駅(黄色)をすべてマイナス駅(赤)に変える。
有効期間は「青ぶっとびカード」は使えない。
かくれみのカード 数か月有効で貧乏神を通過したりされたりしてもうつられなくなる。
キングボンビーには無効。
ふみたおしカード ローンの残り支払いを踏み倒せる。
666カード 悪魔に憑りつかれ数か月の間6マスずつ勝手に動かされてしまう。
6マスとはいえマイナスにばかり止まったり目的地から離れたりと自損行為になるものばかり。
独占禁止カード 買い占められた都市すべてが対象でルーレットで1つが選ばれそのうちの物件1つが解体され独占が崩れる。
解体される物件は一番安いもの。またカードを使った本人の都市も対象。
江戸っ子カード 自分も含めて誰か1人の持ち金がゼロになってしまう。
借金状態では使えない。
とっかえっこカード 他のプレイヤーと持ち金額がそっくり入れ替わる。
スリの銀次カード スリの銀次が誰かをマークし、数ヶ月後に現れていつも通り所持金の半分、または1/4奪っていく。
駅などで出くわした場合と違ってブロックカードでガードできる。
借金状態なら借金を半分にしてくれて、ピッタリ0円ならば年数×1億円をくれる。
参勤交代カード 誰か1人、毎月ムダ使いで金が減っていく。
誰かしらが目的地に着くまで持続。
とびちりカード 場所はランダムで4つのうんちを降らせる。前作にあった「やけくそカード」の強力バージョン。
わからずやカード 目的地を勝手にランダムで変える。
ダイヤモンドカード 使えないが高額で売れる。売値は毎月変動する。
カメレオンカード 使うと何らかのカードの効果が発動するが実際使うまでわからない。
「ぱろぷんてカード」との違いは、実在カードの何かの効果であること。
偽造カード 確率依存で様々なカードに作りかえられる(偽造することができる)。
リニアカードも可能だがその成功率は10%と低い。
天運カード 他の誰かと金を賭けてサイコロ3本勝負をする。大きい出目を出した方が勝ちというシンプルなルール。
掛け金は99億9990万まで賭けられる。自身が1億円以上持っていないと使えない。
リストラカード 使うと自分の物件を1つ処分しなければならない。
売ったり捨てたりができないので基本的には使うしかない*4
+ 仕様変更されたカード
名称 本作での効果 IIでの効果
リニアカード 30マス固定で進める。 進行サイコロを5つ振れる。
乗っ取りカード 確率依存で誰かが持っている物件を奪うのは変わらないが、2倍の金額が必要になった*5
成功した場合は、その金は元の持ち主に入る。桃太郎ランドも金さえあれば可能に。
成功すれば(確率依存)誰かが買っている物件をタダで奪うことができる(桃太郎ランドは対象外)。
イトーヨーカード 根本的な効果は変わらないが「安い方からまとめ買い」が強制で自由に買えない。 物件を買う時に25%引きの値段で買える。
おまもりカード 貧乏神の最もスタンダードなイタズラ「物件を売る」が発生すると阻止してくれる。
前作では100%使い捨てだったが、今作では効果発動時に3/4の確率で消滅せず残る。
似たような新イタズラ「増資物件のランクダウン」には無効。
貧乏神の物件売りを1回だけ防ぐ。
なすりつけカード 自分の借金を誰かにそのままなすりつける効果は変わらないが失敗時のペナルティが「1回休み」になった。 借金状態のときの使える。自分の借金を誰かにそのままなすりつける(肩代わりさせる)。
失敗すると借金が倍増する。
もうかりまっカード 根本的には変わらないが、確率依存で失敗するようになった(その場合使った本人が浪速のあきんどに足代を払うことになる)。 他の誰かが持っている物件を格安で買える。
あまのじゃくカード 根本的な効果は変わらないが、憑りつかれている間はカードが使えなくなった。 サイコロが1か2しか出なくなる。
おひるねカード 根本的な効果は変わらないが、キングボンビーにのみ通用しなくなった。 その場で自分が4~6ヶ月寝る。自損行為に思えるがその間は貧乏神に悪さをされないという利点がある。
モモトラマンカード ドジラがいよいよ街を襲おうとする時に効果が発動する。使用するか否かは任意で選択可能。
確率で勝敗が変動し、負けるとカードが消滅する。
ドジラ出現時に誰かが持っていれば自動的に消費され、撃退して事なきを得られる(必勝)。
複数人が持っていた場合、誰のカードが使われるかはランダム。
+ 廃止されたカード
名称 IIでの効果 理由
なきおとしカード ローン支払いを6ヶ月停止する。 ローンをまとめて帳消しにする「ふみたおしカード」の登場でほとんど意味を成さなくなった。
やけくそカード ランダムで1つうんちを落とす。 ランダムで4つうんちを落とす「とびちりカード」が登場した。SFC版・GB版のみ登場したカード。
ぶっとばしカード 自分以外の誰か1人をヘリでぶっとばせる。 自分も含めて全員に有効な「みなぶっとびカード」が登場。

その他

  • 物件の多数ある特別な駅が大幅に増加。
    • 例えばハワイや沖縄は前作普通に5件だったが、8件に増えている。
    • 物件名に漢字表記が使われるようになった。
  • 所有できる物件の上限がなくなった。
    • これにより全国物件独り占めもできるようになった。
  • 増資時の収益率アップが2通りに。
    • 安い物件は旧来通り5%(50%→55%→60%)、高額な物件は2%になった(10%→12%→14%)。
  • メカボンビーの登場。
    • 前作でカード売り場だった駅が一部、メカボンビーの工場になっており、1億円単位の積み立て方式でメカボンビーを購入できる。4機までストックが可能。
    • キングボンビーが出現すると、メカボンビーを持っている場合それを出撃させて戦わせることができる。勝つ確率は1/2。勝てばキングボンビーは普通の貧乏神に戻り、負けた場合メカボンビーは1/2の確率で廃棄処分になる。
    • 前作から続投の「おもちゃ工場」(静岡)の新製品開発で大成功した場合メカボンビー(のプラモか超合金あたりか)が発売される。
  • キングボンビーのパワーアップ。
    • 本作からハワイか沖縄に強制的に連れて行かれるという悪行が加わった(ハワイが目的地の場合は強制的に沖縄に飛ばされる。)
    • 強力な妨害技のラインナップはほぼ前作通りだが、年月が進むごとにその度合いを更に増していくようになった。
      • 「サイコロを10個振ってお金を捨てる」は今までは出目1あたりの金額が増えるだけだったが、年を重ねるとサイコロを振る回数も「1回or2回」「2回or3回」になる。
      • 「サイコロを2個振って物件を処分」が、32年目からは3個になり、64年目からは4個にまで増える。さらに、前作ではサイコロ2個にしても独占都市にしても「物件を売る」(現金としていくらか還元される)だったが、今作では捨てる形になり、1円の金にもならなくなったため、本当に容赦が無い。
    • パワーアップとはちょっと違うが、前作では「貧乏神は伝説の貧乏神キングボンビーに変身しようとしているのでは!?」が出ることでキングボンビーになる先バレがあったが、本作ではミニボンビーになる場合でもこれが出るのでギリギリまでわからなくなり出現時のインパクトが強くなった(3年目までは絶対にキングボンビーにはならないがメッセージではこれが必ず出る)。
    • キングボンビーが攻撃に入る前にお金を捨てるなら青いボンビーム、物件を捨てるなら赤いボンビーム、カードを捨てるならサイクロンといったアクション演出が挿入されるようになった。
  • ノーマルの貧乏神もパワーアップ。
    • 「勝手にカードを買ってくる」というイタズラは前作でもあったが、本作では2倍の値段で買ってくるようになった。
    • 新しいイタズラが増えた。
      • 「増資物件の格下げ」…貧乏神が仕事を手伝いに来た結果業績がみるみる悪化して増資したランクが1つ下がってしまう(増資した物件のみが対象)。
      • 「爆弾」…爆弾をどこかから見つけてきて、しばらく抱えて数ヶ月後に爆発。爆発すると3画面分飛ばされてしまう(海路から陸路、陸路から海路に飛ばされることもある)。
        画面内に他のプレイヤーがいると巻き添えになる。ある意味、時限式+自分をも巻き込むオナラ。
        これを持った状態でミニボンビーやキングボンビーに変身した場合でも無効にはならず元に戻ればまた持っている。
      • 「友達と言ってデビル系を連れてくる」…リトル~キングまでのデビルをランダムで1匹入れてくる。カードのそれと同じ扱いで、当然カード欄を1つ埋められてしまう。
      • 「海外支社を勝手に作る」…ペルリン(ベルリン)ポンコン(香港)など、勝手に海外支社を作るが何の収益にもならない。
      • 「贅沢な買物をする」…年数が長期化すると発生。社長を気取って何十億クラスの買い物をする。
  • 目的地のハワイが更に優遇された
    • ハワイは到着時の賞金が2倍とはいえ、サイパンやグアムといったついでの買い物も大したうま味のないものばかりで行く価値が薄かったため優遇が更に強化された。
    • まず副賞として新登場の「ダイヤモンドカード」が付いてくるようになった。
    • 物件構成も3000万と安価な上に収益率100%の「免税店」が3件加わったことで序盤では重宝する。更に前作から続投のリゾートホテル20億円の2件も収益率が20%と高額物件の割にはかなり高くなった(前作は普通に5%)。
      • こうすることで、序盤でも中盤以降でも目指す価値が高くなり「目的地ハワイはガン無視されて進行が滞る」という事態は解消された。
  • 地域データにお遊びが追加。
    • 駅だけでなく、それぞれの地域のマップを調べると隠しメッセージなどが見られる。
    • 旧来から恒例の音楽室や美術室も、これのバリエーションとなった。女湯もこれに含まれる。
    • キングボンビー出現でマップチップが炎に変わってもポイントさえ合っていれば有効。
  • 年数15年以上にすると「地域王」「高額物件所持ランキング」が表示される。
    • 「地域王」北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州それぞれの地域での物件所有数。
    • 「高額物件所持ランキング」プレイヤー4人が所有する物件で高額なものからランキングされる(1億円以上のもののみ)。
  • 物件の工業、食品の区分が若干変更。
    • 主にラストの3賞に関わる部分で、前作ではなんでも「工場」と名前が付いていれば「工業」に分類されたが、一部の工場は「工業」ではなくなった。
      • 代表的なものは水戸の「納豆工場」(5000万)で「食品」の部類に変更になった。

評価点

  • 前作の難点が解消。
    • 特に物件の上限数がなくなったことは非常に大きく、序盤から買いまくって問題なくなった。
    • 大抵は自分で名前を付けるので特に難点と言うほどでもないが、デフォルトのプレイヤー名が「ももたろ」(桃太郎)「きんたろ」(金太郎)「うらしま」(浦島太郎)ときて唯一浮いていた「ふうじん」(風神)がなくなった。
  • 新イベントの数々。
    • 当時人気のJリーグを模した「Sリーグ」は、システムも「球団物件を買う」ではなく「スポンサード」という形を取ったりするなど、しっかり野球と差別化されている。
    • 単なるサイコロの大小勝負の天運カードも、賭ける金額の幅が広く、序盤から終盤にかけてまで白熱したものになる。
  • 既存だったものも全般的にグレードアップしていて、前作から悪化したようなものは限りなくゼロに近い。
    • 前作の時点でも充分楽しめるものだったが、それが更に新イベントなどが加わって、より楽しめるようになった。
    • 物件の多数ある駅が多くなったことで、一層ゲームでの収益の伸びが速くなった。
      • これにより高額物件に手を出せるタイミングも早くなり、よりモチベーションを高められる。
    • F1や選挙など続投のイベント内容に関しても、中身は更に充実したものになっている。
    • 貧乏神やキングボンビーまでパワーアップといったマイナスな要素も、それの対抗策まで充実したことでより面白味が増している。
  • 本堂の収益とは違った形で盛り上がれる「地域王」「高額物件ランク」。
    • ローカルルールで、これの数を競ったりするといった楽しみ方もでき、盛り上がれる幅を広げている。
  • 地域データのお遊びも、ちょっとした気分転換になる。
    • 1つだけポツンと違ったマップチップがあったりして、それを調べたりすると思わぬアクションがあったりするのはゲーム本編とは違った面白味がある。
  • 更に地域色が濃くなった物件の数々。
    • 前作になかったラーメン記念館(横浜)なども加わって、より地域の特徴がわかるようになった。
  • 対人戦ではバランスブレイカー同士の戦いになるような要素は少なくなった。

問題点

  • 物件の中には不利な仕様変更を受けてその価値が相対的に低下したものもある。
    • 東京「貸しビル」の基本収益率が40%から20%に半減。
      • 本作でも修繕費5000万がランダム発生するイベントはそのままなので、少々割が合わないものになった。増資でカバーしようにも元々高額なので序盤では難しい。
    • 水戸の納豆工場などが「工業」から「食品」に変更されたことで、5年程度の短期年数のゲームでは「工業王」の空位が出やすくなった。
      • 資産増加のスピードが増したとはいえ10億20億は難しく、本作の工業部門は総じて高額で比較的安価なのは収益マイナスな鉱山ぐらいしかない。
      • 一応プラス面として仙台の無所属物件「たんす屋」が「たんす工場」と工業物件に変更され、5000万と安価なので、短期間でも手が出やすい。
      • 20億円と高額な札幌のビール工場まで食品部門へ変更されている。高額で低収益物件なので存在価値は「数少ない工業物件」ぐらいしかなかったこともあって、それを失って何の価値もないものになった。10億円のはっか工場(網走)も同様。
  • 「○進めるカード」の利用価値が激減。
    • 「○進めるカード」がカード売り場で買えなくなったせいで入手方法が偶然に頼るしかなくなり、仕様機会に恵まれない限りカード欄を圧迫するだけになってしまう。
      • 偶然手に入るだけなら上位互換の新登場カード「スペシャルカード」がある。
    • 「○進めるカード」は小さいものほど高額で最安値の「5進める」「6進める」でも4000万とそこそこ高値で売れるため、単なる金策カードになりがち。
  • 選挙における「おざわあ」の過剰な能力値設定。
    • 彼ひとりだけカリスマ(体力)・政党(攻撃力)・演説(守備力)が各50にポスター(素早さ)0でトータルで150ポイントも使っている。
    • 彼が出てくるとプレイヤーを含めた他の3人で袋叩きにする展開にならないとまず勝ち目はない。
    • 一部が多少多く持つぐらいは許容できるにしても、さすがにこれはバランスブレイカーがすぎる。
    • 一応選挙イベント自体が元々相当余裕がある時しか発生しないので負けても致命的な事態になりにくいのが幸い。
  • SリーグのPK戦で時間が相当長くかかることも。
    • PKのサドンデス方式のため片方が決めて、片方が外すまで続くため1ゲームあたり決着する可能性は44.4444……%と半分以下なので決着がなかなかつかずかなりモタついた5ゲームを超える展開になることもしばしば。
      • 2.3ゲームぐらいなら盛り上がりになるが、5.6ゲームともなると交代動作など繋ぎのアクションも繰り返されさすがにダレる。
    • ゲームとして問題にはならないが、試合をしているのは選手なのにアナウンサーを台詞からして社長自身がいつのまにかPKをやっているのもヘン。

総評

前作の時点で元々多人数で楽しめるパーティボードゲームとして完成されていたゲーム性が難点をしっかり解消し更に全体的なグレードアップを果たした完全上位互換バージョンと言い切っていい出来。
このようなゲームの続編にありがちな「行き過ぎなグレードアップで、ややこしすぎるシステム」になるようなこともなく前作を飛ばして本作から入っても存分に楽しめるバランスが維持されている点も評価できる。


余談

  • 地域データのお遊びで、北海道のやや右上(東北東)に国後島が見え、そこにある牛舎に合わせてAを押すと「あなた ここはまだ日本じゃないですよ!早く日本に戻ってくださいな!」という隠しメッセージが出る。
    • 諸外国の見解はともかくとして、日本国政府が「この島を含む北方四島は、あくまでも日本の領土*6」と今もなお主張を続けている現状で、子供たちが触れるゲーム作品上で「日本ではないと言い切ってしまうのは」教育上まずいだろう。
      • まだ日本ではない」は「いつかは日本になる」とも取れるので「早く日本に戻ってください」は「早く日本の領土に戻ってくれ」という暗喩なのかもしれないが……。
  • 本作のF1イベントの勝率は、しゅまは(ミハエル・シューマッハ)>でえもん(デーモン・ヒル)>きれじ(ジャン・アレジ)>はきねん(ミカ・ハッキネン)>うきよ(片山右京)>あーぐり(鈴木亜久里)という順に下がるが、後にワールドチャンピオンを2回獲得することになるハッキネンがずいぶん弱い扱いなのは時代を感じる部分ではある*7
    • この当時で見るとアレジ以下はいずれも未勝利だがアレジはルーキーイヤーのティレル時代から2位を何度か取っている。ハッキネンは前年に初の3位入賞、この年初めて2位入賞。片山右京と鈴木亜久里が逆転しているのは謎であるが…*8
      • 実績の出揃った現在からみれば、シューマッハ>ハッキネン>ヒル>アレジ>鈴木>片山あたりの順列が妥当。
    • この年はアイルトン・セナがレース中に事故死する悲劇があり、ある意味で彼が伝説となった年でもある。本作でも特別な形で登場し、その勝率も普通にレギュラーで登場した前作の50%(本作の「しゅまは」と同じ)をはるかに上回る84.3%となっており、まさにその世相が出ている。
      • 上記の通り鈴鹿でのみ登場するのだが、この年に彼が事故死したのはサンマリノグランプリのため英田では実際に走ったが*9鈴鹿では走っていない。恐らくこれまで彼が残してきた実績からその象徴的な鈴鹿を選んだのだろう。
  • 前作同様、大阪のプロ野球団は「通常の収益はマイナス」+「優勝時の臨時収入が特大」という特徴が引き継がれている。
    • モデルと思しき阪神タイガースは前作の時点(1991年)では直近の5年で最下位4度、唯一免れた1989年でさえ5位とまさしく最悪の時期だったが、1992年はヤクルト・巨人とギリギリまで優勝争いを繰り広げての2位、1993年・1994年は4位ながらシーズンでの負け越しは少なく勝率で.480前後と上記の時期を思えば低迷を脱しつつあったのだが前作での特徴が引き継がれている。
    • 1995年から再び最下位常連の暗黒期を迎えることになり、今度は2001年までの7シーズンで6度の最下位、唯一免れた1997年も5位と更なる惨状を呈する。まるで「暗黒の長期低迷は脱していなかった」という事実を予見していたかのようだ。
    • 言うまでもなく、そんな頃でも人気はトップクラスでゲームに反して球団そのものの収益面ではとことん潤っており赤字にはまるで無縁だった。
最終更新:2024年07月05日 18:48

*1 自身に貧乏神がついた場合に他キャラへのなすりつけを優先して動くようになる。

*2 マリノス及びフリューゲルス(現在の横浜F・マリノス)

*3 『桃太郎伝説2』に登場した敵。下手な演奏を聴かせて村人を苦しめるが、本人には下手だという自覚は無い。

*4 「刀狩りカード」の効果やキングボンビーの悪行等で手放せる可能性もあるにはある。

*5 増資していればその分も倍になる。例えば10億円の物件が最大増資してあれば10億×3×2で60億が必要。

*6 江戸時代にロシア帝国と国境を定めて以来、太平洋戦争までは一貫した日本領だったが、太平洋戦争における日本降伏後の1945年8月18日~9月5日に、ロシア帝国の後継国家であるソ連の軍が侵攻して占領した。その後ソ連は崩壊したが後継国家のロシア連邦が実効支配を続け、返還されないまま現在に至っている。

*7 ハッキネンは後にワールドチャンピオンを1998・1999と2度取っているが初勝利は1997年と非常に遅く、この当時はアレジだけでなくチャンピオンを取れずじまいに終わったベテランのゲルハルト・ベルガーや2年遅れてデビューした若手ハインツ=ハラルド・フレンツェンなどの後塵を拝することが圧倒的に多かった。

*8 鈴木亜久里は一度のみながら3位入賞を果たしている。F3000でも鈴木亜久里は5勝に対して片山右京は3勝というだけでなく全体的なリザルトでも上回っている。

*9 結果はポールポジションを獲得するもリタイア。