Call of Duty: Advanced Warfare
【こーる おぶ でゅーてぃー あどばんすど うぉーふぇあ】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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プレイステーション4 Xbox One プレイステーション3 Xbox 360 Windows
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発売元(海外)
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Activision
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発売元(日本)
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スクウェア・エニックス
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開発元
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Sledgehammer Games Raven Software (マルチプレイ) High Moon Studios (PS3/360版)
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発売日
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【PS4/PS3/360 字幕】2014年11月13日 【One/Win】2014年11月13日 【PS4/PS3/360 吹替】2014年12月4日
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レーティング
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CERO:Z(18才以上のみ対象)
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備考
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One吹き替え版は事実上の発売中止
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判定
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良作
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シリーズファンから不評
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ポイント
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舞台は企業支配型近未来SFへ 未来兵器盛り沢山のゲームプレイ またもや続編前提の結末で続編なし
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Call of Dutyシリーズ
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概要
『Ghosts』に続いて発売された、『Call of Duty』シリーズ11作目。
メイン開発は前作のInfinity Wardに代わり、『MW3』での参加実績のあるSledgehammer Gamesが新たに担当することとなった。
なお、マルチプレイヤーパートは前作から引き続きRaven Softwareが開発を担当している。
海外での販売はActivisionが、日本でのCS機版販売はスクウェア・エニックスが行っている。
ストーリーに大きく関わるため家庭用機版であっても主人公の腕切断シーンがバッチリ映っており、カットシーンでの死亡・死体描写といったゴア表現も多い。
そのため、前作ではCERO:D(17歳以上対象)だったレーティングも、CERO:Z(18歳以上のみ対象)に戻っている。
エンジンはIWエンジンの改良型であるSledgehammerエンジンを採用している。
ストーリー
西暦2054年7月10日、韓国・ソウル。
弱体化した国家や軍隊に代わり、巨大民間企業がインフラや軍事力を担うことで世界を牛耳るようになった未来。
国家間のパワーバランスの崩壊により、世界各地でテロリズムや紛争が多発。民間軍事会社(PMC)はそれらに対応することで、影響力を着々と広げていた。
新米のアメリカ合衆国海兵隊員ミッチェルは親友ウィルと共に、北朝鮮の侵攻を受けた韓国・ソウルの市街地へと降下する。
ウィルと共に大型兵器に爆薬を仕掛けたミッチェル達だったが、起爆直前の事故によりウィルが爆死。彼に突き飛ばされて生き残ったミッチェルも、飛んできた破片によって左腕を失ってしまう。
戦死したウィルの葬儀に参加したミッチェルは、彼の父であり世界最大の民間軍事会社「アトラス・コーポレーション」の社長ジョナサン・アイアンズに出会う。
亡き息子の親友であるミッチェルが退役することを知ったジョナサンは、彼をアトラスの社員として勧誘。
失った左腕をアトラス製の高性能義手で補ったミッチェルは、同僚のギデオンやジョーカー、イロナらと共に先鋭特殊部隊の一員となるのだった。
アトラス社の傭兵として反西欧テロ組織「KVA」の大規模テロに立ち向かうミッチェル達は、次第にその裏に潜む巨大な陰謀に巻き込まれていく。
シングルプレイ
ゲーム進行
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米軍からアトラス社専属の傭兵部隊となった男「ミッチェル」となり、世界規模のテロ事件とその裏の陰謀を阻止すべく活動していくFPS。
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シリーズ過去作同様の形態のシングルプレイを採用しており、基本的な内容や操作システムに目立った変化はない。ただし未来が舞台なのもあり、前作とは異なり架空銃・架空兵器の割合が高め。
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主人公が複数存在した過去作とは異なり、本作のキャンペーンは終始ミッチェル視点で進む。また、基本的に無言だった過去作主人公とは異なりムービーシーンなどでミッチェルが喋るようになった。
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銃器からの特殊グレネードを始め、後述の「エグゾスケルトン」や、重装甲パワードスーツ「A.S.T」など、さまざまな未来兵器が登場。過去作とは感覚の異なる、未来感溢れる戦闘が楽しめる。
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前作に引き続き、ダッシュ中に伏せることでスライディングが可能。
エグゾスケルトン
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アトラス社が開発・製造を行う強化外骨格であり、本作の目玉要素。腕や足に沿って装着し、兵士の運動能力を大幅に向上させる。
戦闘に適したアサルトタイプと潜入工作に適したエキスパートタイプの2種類が存在する。
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単純な腕力・脚力補助だけでなく、ブーストを使用した高いジャンプやクローキング(光学迷彩)、シールド発生、速度が上昇するオーバークロック、宙を浮くホバーなど多種多様なエクソアビリティを有する。
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また、シングルプレイ・マルチプレイ共にポイントを稼ぐことでスーツ性能を強化することが可能。ダッシュやリロードの動作を向上させるものや、グレネードの所持量増加、付近の爆発物の範囲表示などさまざま。
マルチプレイヤー
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これまでのシリーズ同様に、ネットワークによるマルチプレイモードを搭載。開発はRaven Softwareが担当。
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世界中のプレイヤーとオンラインで協力・対戦を行うモード。本編同様にエグゾスケルトンを装備でき、縦横無尽に移動して家屋の屋根に登ったりできる。
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シリーズでは初めてのルートボックスとなる「サプライドロップシステム」が実装される。
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他にも『BO2』で実装され好評だったPick10システムを拡張、スコアストリークまで含めて13ポイントでカスタムできるようになった。
エグゾサバイバル
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ソロ若しくはCO-OP用のゲームモード。4種類のエグゾから1つを選んで装着し、敵を倒しつつ生き残るのが目的。
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基本的な内容は同社開発の『MW3』におけるサバイバルと似た内容となっている。
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アイテム回収や爆弾解除、拠点防衛などのチャレンジがあり、失敗すると各種ペナルティが課せられ不利になる。
エグゾゾンビ
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DLCで追加されたCO-CP用モード。システムは『BO』『BO2』のゾンビモードを受け継いでいるが、世界観やゲームシステムに合わせ強化外骨格で武装したゾンビが相手となる。
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ラウンド制を採用しており、生き残るほど敵が強化され難易度が上昇していく。
評価点
クオリティの高いグラフィック
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Sledgehammerエンジンによるグラフィックは非常に高品質で、未来の風景を説得力のある質感で描くことに成功している。
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特に人間の表現は非常に繊細で、細かな表情や質感がきちんと再現されており非常にリアル。
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なお、アトラス社CEOのジョナサン・アイアンズはハリウッド俳優のケヴィン・スペイシー氏が演じている。
メリハリのあるストーリー展開
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シリーズおなじみの派手な演出も未来設定により更に強化。全世界を舞台としており、同シリーズ内では『MW3』に近い非常にスケールの大きい物語が展開される。
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ミッチェルの周囲で展開される戦闘も怒涛の連続であり、韓国のビル街からアフリカの新興都市、ギリシャの観光地、南極、森林、サンフランシスコや空母までメリハリのあるステージが続く。
大盤振る舞いの未来的ガジェット
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本作での目玉要素であるExo(エグゾ)スケルトンは、全身の骨格に沿って装着し、兵士の運動能力を向上させる強化外骨格。
現実でも研究が進められているものだが、本作ではその驚異的な運動性能を要所で遺憾なく発揮してくれる。
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ジェット噴射によるブーストジャンプで高くジャンプするだけでなく、左右のブースト移動、クローキング、強力なパンチを繰り出しての格闘やドアの破壊といったストレスフリーな動作を実現しており、操作感は非常に優秀。
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エグゾスケルトン以外にも多目的グレネード、起動すると自動で付いてきてくれるシールドドローン、一枚で性能を発揮する布状の防弾バリケード、起動すると周囲の音を全てかき消すミュートチャージ、ステルス迷彩、高所へ張り付いて登るグローブ、高所への移動だけでなく敵のステルスキルも可能なフックショットと数えきれないほどの装備が登場。
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シリーズおなじみの車両・ドローン系も更に充実しており、ホバーバイクやドローン、砲台、戦闘機、強力な武装を搭載した多目的戦車、過酷な環境も耐え抜く鉄壁のASTスーツなど場面に応じて多様な装備を運用していく。
カスタマイズ性の高いマルチプレイ
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未来ガジェットが多く実装されたことで、現代戦よりも更に戦略の幅が広がった。武器の挙動も単なる実弾兵器に留まらず、特殊な挙動のエネルギー兵器やリロードの不要な火器などどれも個性的。
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また、エグゾスケルトンの恩恵により縦方向の自由度が飛躍的に向上した。これまでのシリーズでは飛び越えられなかった場所をスイスイと登り、様々なルートから敵の裏を掻いていくことができるようなマップデザインとなっている。
賛否両論点
未来戦という舞台設定
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同シリーズは4作目に当たる『CoD4』の絶大な評価もあり、現代戦を題材にした内容を求める声が高い。このため、本作も前作と同様に未来を舞台にしたことに対してのシリーズファンからの評判はあまり良くない。
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「架空の企業の製品をその企業に所属する主人公が使用する」という物語の構図上、本作は銃火器やそこに装着するアタッチメント、装備などの多くが現実に存在しない内容となっており、過去作の現代戦の忠実さを評価していた一部ミリタリー愛好家にとってもマイナスポイントに働いてしまっている。
一部キャンペーン中で急に年代が飛びがち
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序盤~中盤にあたるテロ組織KVAを掃討するアトラス編では、1ミッション終了後に一瞬で4年後に場面が移り変わるなど非常に展開が断片的。
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物語上大きく関わる部分ではないものの、あまりの唐突さに時間経過の実感が湧きづらくなってしまっている。
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アトラス編終了後は時系列的に連続したミッションとなり、違和感は無くなる。
問題点
キャンペーン
続編ありきのエンディング
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前作同様、エンディングは続編を意識した雰囲気で終わる。しかし結局製作されなかったため、クリアしたプレイヤーにとってはモヤモヤ感の残る内容のままとなってしまった。
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とはいえ、前作とは異なりラスボスとなる人物を倒すことで物語上はきちんと一区切り付いた状態のまま終わる。マルチプレイの背景にも関わる要素であり、前作ほどの露骨な違和感はない。
マルチプレイヤー
新しく追加されたが故の不評
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今作より、サプライドロップが追加されこの中には既存武器の性能違いやすでにアタッチメントが付いているものなども封入されていた。これがちょっとの性能差であればよかったのだが…
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中にはそのちょっとで劇的に武器の使用感が変わるものが入っていたため、その強い一部の武器を持っているかどうかで大きく差がでることとなってしまった。
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とりわけ、全距離3発キルが可能なLMGのAmeli Heavyやサイト着用不可と操縦性の1段階低下というほぼデメリットとは言えないデメリットと引替えにダメージの1段階増加と発射レート2段階増加の圧倒的な火力を持つアサルトライフルのHBRa3 Insanity 通称「インサニ」は猛威を奮った。
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基本は試合時間などで入手できるのだが、課金でこのサプライドロップが購入可能だったため、「Pay to Win(金を支払った者が勝者になる)」だとして大きく批判されることとなった。
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またExoスケルトンによるブースト移動は、発砲と同様に使用時に相手レーダーに映る仕組みであった。
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一方でPerkで相手レーダーに映ることを無効化は可能でもあり、ブースト前提のマップ構成・ステップを駆使してエイム外しをするなどが悪い方向で噛み合ったため、この無効化Perkは半ば必須となり、Pick11システムと揶揄されることとなってしまった。
総評
マンネリ打破に至らず不評となった前作『Ghosts』の反省点を踏まえ、ポストアポカリプスから軍事SFへと方向性を大きく変えて再登場した未来戦『CoD』作品。
ただ戦場を未来兵器が闊歩するだけでなく、架空銃器やエグゾスケルトン、多目的手榴弾、A.S.T.といった超兵器をプレイヤー自ら使用可能となったことでより未来戦らしい戦いを堪能できるようになった。
そもそも未来戦路線自体がシリーズファンからは相当不評であり、現代戦や過去戦を望むファンからは前作同様にあまり支持を得ることは出来なかった。
だが、シリーズではない独立した一作としてキャンペーンの内容を評価する声は少なくない。
前作同様に続編の計画は途絶えてしまったものの、『CoD』シリーズ特有の高いクオリティはしっかりと保たれた一作となっている。
余談
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リリース前には続編計画もあったものの、未来戦への不評が多数寄せられたことから計画は消失してしまった。
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その後、他開発である『BO3』『IW』を経て、Sledgehammer Gamesは約10年ぶりに第二次世界大戦を題材とした『Call of Duty: WWII』の開発を担当することとなった。
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日本においてはパブリッシャーであるスクウェア・エニックスの発売時の対応に問題があり、本編内容には関わらないものの本作の不評の一端となってしまっていた。
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また、本作はOneでも吹き替え版の発売が予定されていたが、音沙汰が無いまま結局発売されなかった。
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そして今作を機にスクウェア・エニックスは『CoD』フランチャイズのパブリッシング事業から撤退し、次回作の『BO3』からはソニー・インタラクティブエンタテインメントが担当することになった。
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長らく続いていたPS3/360との縦マルチは本作で終了となり、12作目である『BO3』ではマルチプレイのみ収録、13作目の『IW』からはPS4/Oneのみとなった。
最終更新:2025年05月05日 16:05