リグロードサーガ
【りぐろーどさーが】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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セガサターン
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メディア
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CD-ROM
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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マイクロキャビン
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発売日
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1995年7月21日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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概要
セガサターン初期に行われた、ハマるロープレプロジェクトの第1弾ソフト。
RPGラインナップ強化プロジェクト「ロープレ
王国
」の一作であり、他に『シャイニング・ウィズダム』『魔法騎士レイアース』が発売された。
システム
システム的にはシャイニングフォースシリーズに準じたシミュレーションRPG。最大レベルや所持技数など、大まかなシステムは開発元が前年に出したSRPG『パワーズキングダム』の物を継承している。
特筆すべき点としては以下の要素がある。
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各メンバーはそれぞれ固有の系列のスキルを持っており、使い続けてスキルのレベルを上げることで新たな技を習得する「技ひらめきシステム」を採用。
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また、習得したスキルは同系列の技を使うことのできる別の味方にも自動で伝授されるが、その場合は使用可能になるレベルに到達することで使用可能となる。
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一部のスキルは閃くことが無く、習得している敵から味方の盗賊が「技を盗む」で盗むことで初めて使用可能になる。スキル収集のやり込み度は高い。
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行動力の概念があり、行動力は移動を行うと1マスごとに1消費する。物理攻撃のスキルはMPを消費しないが、多くのスキルは行動力が必要なので移動する間隔を調整しながら使うことになる。一方で魔法の使用はMPを消費するが行動力の影響を受けないので、敵の攻撃範囲外からの攻撃が行いやすい。
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高低差の概念があり、これによって移動の際の行動力消費コストや一部の技の威力・成功率にも影響を与える。
評価点
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3D効果を効果的に使った演出は初期作品ながらなかなかのもの。
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技の種類も豊富でなかなかに見ごたえはある。前述の通り技ひらめきシステムとの相性も良いため、技収集のやりこみのいいモチベーションにもなる。
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ストーリーは比較的奇をてらわない王道展開でありとっつきやすい。
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中世ファンタジーな世界観のリグロード大陸に東方のヤマタイ大陸から和風の敵が攻めてくるという、オリエンタルな雰囲気もごちゃ混ぜになったようなシナリオ設定。しかしこれが上手いことキャラクターのユニークな個性を醸し出す要素として作用している。これは続編の『2』でも踏襲されている。
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キャラクターも没個性かといえばそうでもなく、女系社会で育てられたために優柔不断に育ってしまった王子である主人公のアーサーに、アーサーとは逆に清楚そうな外見で割と毒舌で気の強い僧侶エリーゼ、やや堅物な少年忍者ムサシに仕える無邪気な式神アケビと寡黙な鷹忍者クロヤシャなどキャラ立ちはしっかりしている。
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敵陣営側のキャラもムサシの師匠のジュウザ、アーサー陣営の女海賊に関わる過去を持つ戦士ベルザリオン、とある人物として暗躍し不死の二つ名を持つ魔術師ラミューレなど個性が強い。問題点で触れている通り、描写不足でキャラクターをいかんせん活かし切れていないのが惜しまれる。
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妖精のメッセージが楽しい。
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アーサー達には説明役兼、フレーバーテキスト役として妖精が付いてきている。基本的には物腰の柔らかい敬語でアイテムやスキルの説明をしたり、アーサー陣営のキャラクターの説明を客観的に説明してくれるが、唐突に毒舌気味だったり皮肉全開の台詞を吐くこともあり、単なる堅苦しい説明役のキャラではなく不快にならない範疇で個性的なキャラ付けがされている。
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とっつきやすい難易度
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元々がセガサターンにおけるRPGの数を補完する目的の作品であるためか、シミュレーションRPGの中でも難易度は低めでとっつきやすい。
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ただし序盤の難易度はやや高めで、「自分が攻撃できない状況で、敵に隣接されないように特定の位置までたどり着く」というSRPG初心者が頭を悩ませるような場面もある。
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BGMも秀逸
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全体的にゲームの雰囲気にふさわしい重厚な曲が多く、聞きごたえは抜群。最初のマップのイントロで流れているメインフレーズが、要所要所の別の曲でも上手く使用されているのも見事。
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敵の首領であるゲンユウサイの居城などでは和風のベースが強い曲が流れたり、雰囲気に沿ったBGMが使われる。
問題点
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全体的にボリューム不足
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フィールドがあまり広くないうえにストーリー自体も短め。
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攻略本に書かれているサイドストーリーを読まないと詳細を把握できないキャラがかなり多い。キャラ同士の関連性を匂わせる必要最低限の描写はゲーム中でもされているが、過去に何があったかというところまでは語られない。
その内の一名は過去について「いずれ話す時が来る」と語るが、エンディングであっさり失踪するため結局ゲーム中では話さず終いである。
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難易度が低めなことも相まってなおのことボリューム不足を感じやすい。
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中盤以降の味方の火力のインフレが激しい。
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特に味方の竜騎士エヴァンが顕著で、最強の竜の技「アークブレス」はクリティカルヒットを出せばラスボスを瞬殺可能。
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この火力インフレを逆手に取るが如く、終盤の敵は攻撃魔法そっちのけで範囲混乱魔法カオスサイトを連発してくる。
エヴァンでなくとも混乱したアタッカーに味方が攻撃されればまず即死するため、混乱魔法のターゲットを別の味方に引かせるなど工夫が必要になってくる。後述の待ち伏せ戦法の強さを助長しているとも言える。
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メンバーの参戦制限が厳しい
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中盤までは最大7人まで強制出撃という状況はあるものの、それ以降はなぜか6人までしか参加できない。
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プレイヤーキャラは最大12人加入する。この内、アーサーとムサシは基本的に固定で出撃。序盤の内はまだ余裕があるが、エヴァン、前述の盗賊のアッシュ、全ての魔法スキルが使える賢者ウィスコが加入してしまうと、効率重視で考えればこの3人も実質固定になるので、最後の枠を残りの7人で奪い合うことになる。
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ただし味方がスキルを閃けば、レベルが追いつくことで他のキャラもそのスキルを使えるようになるシステムや、そもそもが低めの難易度である関係上、他のキャラクターでも最後まで戦える性能にはなっているため、唯一無二の性能のアッシュはともかく、エヴァンやウィスコを敢えて使わない選択肢もあるにはある。
ただし回復魔法を使えるのがエリーゼとウィスコしか居ないため、ウィスコを使わない場合はエリーゼを採用するか、回復魔法が必要になるほどの消耗を回避するために後述の待ち伏せ戦法を強いられる。
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ワールドマップで地域を跨いだ時に起こる国境戦は仲間になっているキャラからランダムで3人出撃なので、序盤の内は全員ある程度鍛えておく必要はある。とはいえ、弱いキャラばかり選ばれた時に最悪詰みも有り得る仕様でもあるためか、国境戦でそこまで強い相手も出てこない。
しかもウィスコの加入と同時にワールドマップ上を飛行する移動手段を獲得してしまうので、国境戦の出番もそこで終わりである。
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終盤、ラストダンジョンに突入する6名(アーサー、ムサシ固定)とラストダンジョンの入り口を敵から防衛する6名に分ける場面があり、この時の防衛側の戦闘は国境戦とは違いそれなりに難易度があるので、1軍の戦力を維持するために2軍のキャラを育てる意義はある。
もっとも難易度があると言っても強いキャラが1人居ればどうにかなる程度のものなので、2軍をほとんど育てていなくても1軍の自由枠で戦っていた誰かを防衛側チームに入れればいいだけだが。
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なおアーサーは序盤こそ頼りないが剣の技を鍛えれば強くなるし、ムサシは前衛としてはトップクラスに強く、メインスキルの忍道も範囲攻撃から物理が通りにくい相手に対する対霊攻撃まで揃っていて単純に使い勝手が良い上に、サブ的に使える体術も鍛えると敵の立ち位置を調整する技を習得するので、固定出撃でも足を引っ張ることはまずない。
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プレイヤー側は基本的に待ち伏せ戦法、及び牛歩戦法をするしかない。
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この手のSRPGは「その場で待機して敵をおびき寄せて袋叩きにする」という戦法に対して何かしらの対策が取られてしかるべきなのだが、このゲームではそれがない。
キャラ単位で行動順が回るシャイニングフォースとは違い味方陣営と敵陣営でターンを交代する交互ターン制で、相手の攻撃に対して反撃が発生しないのでやっつけ負けが発生せず、逆に先行すると危険なことになるので基本的には待ち伏せ戦法か、ジリジリと前進する牛歩戦法を使うことになる。
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中盤までは敵の火力が高めで突出した味方がやられやすいこと、行動力の仕様上待ち伏せした方が強いスキルを使いやすいこと、エヴァンはHPが半分以下だと竜の技を使うのに必要な竜変化が使えなくなること、
補助魔法の中に指定した範囲の地形にボス敵以外からの攻撃ダメージを軽減するシールド(対物理の「保護シールド」と対魔法の「魔法シールド」)を張るものがあるのも、この問題に拍車をかけている。
せめてこのシールドの射程が長ければもう少し急ぎ足でも進軍できたのだが、術者から3マス以内にしか張れないのでは、最前線で唱えてしまうと術者が狙われてしまい本末転倒になる。
なお、このシールド魔法が使えるキャラはアケビとエヴァンとウィスコだけであり、出撃枠の固定化にも悪影響を及ぼしている。
弓兵のアケビと魔法系のウィスコは単純に打たれ弱く、エヴァンも戦士系のキャラではあるが竜変化を考えると敵の攻撃をあまり受けたくないので、結局待ち伏せ戦法を行うことに。
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行動力を必要とせず、敵の攻撃を回避したり魔法攻撃を無効化する防御態勢を取れる「防御の技」というのを味方全員が使えるので、これを鍛えることで突出してもそうそうやられなくなるが、高度な防御の技でないと無効化まで行えないため中盤以降限定かつ意図的な稼ぎが必要。
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アーサーの魔法剣技が不遇。
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アーサーは剣の技と攻撃魔法のスキルを鍛えると、アーサー専用の魔法剣技を習得するようになる。
…のだが、すべての技が賢さ依存の単体攻撃であり、アーサーは賢さが大して成長しないので全体的に性能が微妙で普通に剣の技で斬った方が早い。
そもそも賢さ依存というのは攻撃魔法と変わらない仕様で差別化が出来ていない上に、範囲攻撃ができる攻撃魔法の方がまだ使い勝手が良い。
更にアーサーは最大MPがあまり成長しないため、魔法同様に行動力を消費しないという利点こそあるもののMPを消費する魔法剣技はすぐにガス欠を起こす上、鍛える段階での攻撃魔法の使用にも向いておらず、実戦で鍛えていくのが難しい。
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魔法剣技で覚えるドレインソードは威力自体は悪いものではなく、アッシュの「HP盗む」と並ぶ希少なHP吸収攻撃なので、相手を選んで使えば回復役の手間を省けたりはするが…
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似たようなシステムがあるゲームと違って行動後に閃きが発生し、直後にデモンストレーションとしてその辺の空き地に閃いたスキルをぶっ放す(効果無し)。演出としては違和感が強い。
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キャラクターの名前を変更できる機能があるが、老弓騎士「ヘクター卿」の名前を変更する際に、「卿」の文字を消してしまうと二度と再入力できなくなる。
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初期作品故に3Dキャラの造形はまだ粗削りな部分が多い。
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とはいえ、当時としては水準以上の造形はクリアしている。
総評
ハード立ち上げ時の初期作品というだけあって若干実験的な試みがあるが、ゲーム自体の出来は手堅くまとまっている。
ただ、大作然としている割には若干ボリューム不足な面もあったり初期作品ゆえにビジュアル面でもまだまだ粗削りで、さらに生産数が多い関係でワゴンの主となることも多く、作品の評価は若干今一つなところに落ち着いてしまった感はある。
しかし決してつまらないわけでもなくゲームの全体的な完成度としても悪くないので、セガサターンでのSRPGの入門作として手に取るのも悪くはないだろう。
その後の展開
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本作の続編として『リグロードサーガ2』が1996年11月9日に発売されている。今作では直接向かうことがなかったヤマタイ大陸をメインの舞台として、本作のキャラの子孫達が活躍する。
余談
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本作は先述の「ロープレ
王国
」プロジェクトの三作品の中では実は売上本数が最も多かった作品である。
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アッシュの「技を盗む」の演出はアッシュが敵の懐に入り、「
WA
技
ZA
」と書かれた箱を奪うというもの。シュール。
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戦闘マップに時々置かれている「投げられる岩」という障害物オブジェクトは、「(本来であれば体術で位置を動かすために)スキルをいくら当てても壊れず無敵」という特性を持っているため、スキルレベル稼ぎに最適。
特に2軍キャラを育てる際は普通に戦うより岩を殴り続けた方が育成の手間が省けるため、岩相手に延々とシャドーボクシングを繰り返して稼ぐことを岩道場と揶揄された。
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海外版は『Mystaria: The Realms of Lore』というタイトルで発売されたが、北米版のみ著作権問題の発生から出荷停止となり、ほぼ一年後の再発売時に『Blazing Heroes』と改題されている。
最終更新:2023年11月19日 09:22