ATRI -My Dear Moments-

【あとり まい でぃあ もーめんつ】

ジャンル ノベルゲーム
画像はWindows版
対応機種 Windows 8.1/10 (Steam、DMM、DLsite)
Nintendo Switch
iOS (9.2.1以上)
Android (6.0.1以上)
メディア ダウンロード専売ソフト*1
発売元 【Windows】アニプレックス
【Switch/iOS/Android】iMel
開発元 FrontWing
発売日 【Windows】2020年6月19日
【Switch/iOS/Android】2021年12月16日
定価 2,000円(税別)
プレイ人数 1人
セーブ数 150個
レーティング 【Switch】CERO:C(15才以上対象)
コンテンツアイコン 【Switch】セクシャル、暴力、犯罪、言葉・その他
判定 良作
ポイント 無駄のないストーリー
個性的で魅力的なキャラクター
クオリティの高い演出
FrontWing作品リンク


概要

アニプレックスのノベルゲームブランドである「ANIPLEX.EXE」の第1弾。アダルトゲームブランドのFrontWingと枕が開発を担当。
キャッチコピーは「沈みゆく世界で、君を見つけた。」。

ストーリー

原因不明の海面上昇によって、地表の多くが海に沈んだ近未来。
幼い頃の事故によって片足を失った少年・ 斑鳩 (いかるが) 夏生 (なつき)は、都市での暮らしに見切りを付け、海辺の田舎町へと移り住んだ。
身よりのない彼に遺されたのは、海洋地質学者だった祖母の船と潜水艇、そして借金。
夏生は“失った未来”を取り戻すため、謎の借金取り・キャサリンと共に、祖母の遺産が眠るという海底の倉庫を目指して潜る。

そこで見つけたのは、棺のような装置の中で眠る不思議な少女――アトリ。
彼女は、人間と見紛うほどに精巧で感情豊かなロボットだった。海底からサルベージされたアトリは言う。
「マスターが残した最後の命令を果たしたいんです。それまで、わたしが夏生さんの足になります!」
海に沈みゆく穏やかな町で、少年とロボットの少女の、忘れられない夏が始まる――。

(公式サイトより引用)

特徴

  • 画面下に設けられたテキストウィンドウに表示される文字を読むシンプルなノベルゲーム。
  • 選択肢は全体で3つしかない上にいずれも2択であり、こまめにセーブしなくても比較的容易にクリアできる。
    • ただし序盤に出てくる2つの選択肢で正しい選択肢を選ばないと、最後の選択肢は強制的に1択となる。
    • 2種類あるエンディングを両方とも見ると、TRUE ENDがタイトル画面に登場する。

評価点

  • 低価格ソフトとは思えないほど読み応えのあるストーリー。
    • クリア時間は10時間程度のボリュームだが、文章や設定に一切無駄がない丁寧なストーリー構成となっている。
      • 特に終盤の伏線回収や怒涛の展開には驚かされるであろう。
    • 辛い過去を背負っている主人公・斑鳩夏生や感情豊かなロボット・アトリなど、魅力的なキャラクターも多い。
  • 演出面もすばらしく、アニメを見ているかのような没入感がある。
    • 総CG数自体はそこまで多くないが、CG自体は作りこまれており絵柄も癖が少ない。
    • BGMは明るさを演出しながらも哀愁も感じられるものが多く、作品に合っている。
    • ほとんどのメインキャラは豪華声優によるキャラクターボイスが付いており、質の高い演技が楽しめる。
  • システムもしっかり作りこまれており、バックログジャンプやオートモードなども実装されている。
    • 設定画面などで何らかの操作するたびにアトリがしゃべるという演出もある。
    • 対応言語も日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)と少ないが、2カ国語の字幕を同時に表示する機能もあり、外国語学習にも使える。

難点

  • 残酷なシーンがいくつかあるため、やや人を選ぶ。
    • 描写自体は間接的だが、キャラの表情なども相まって却って恐ろしく感じられるかもしれない。
  • キャラクターボイスが導入されているが、主人公=プレイヤーと言う捉え方のためか主人公の斑鳩夏生だけ声が付いていない。
    • 本作のキャラクターは主人公を含め魅力的な上、キャラクターボイスも総じて質の高い演技であるため、主人公だけキャラクターボイスがないのが実に惜しい。
    • 2024年放送予定のアニメ版では小野賢章氏のCVがつくことが発表されている。
  • 「次の選択肢へのジャンプ」が物語の節目節目で止まってしまうため、やや使い辛い。
    • 前述の通り、本作は選択肢が片手で数えられるくらい少ないので仕方ないのかもしれないが。

総評

無駄のないストーリー、個性的で魅力的なキャラクター、クオリティの高い演出など低価格ソフトとは思えないほど完成度が高いノベルゲームである。
特に伏線の張り具合と終盤の伏線回収は見事の一言に尽き、好きな人は非常に好きになる作品であることは間違いない。


余談

  • 2020年10月28日にサウンドトラックが発売されている。
    • 初回生産限定盤にはゲーム本編ディスクやキャラクター&ビジュアル資料が付いている。
  • 2022年9月24日にアニメ化されることが発表された。アニメは2024年7月中旬に放送開始された。
    • またアニメ化発表の際に、本作が30万ダウンロード以上を突破していることも発表されている。さらに2024年8月には40万本を突破した。
  • テレビアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』に本作が登場している。

関連作品

  • 「ANIPLEX.EXE」の第1弾タイトルとして同時に『徒花異譚』も発売された。こちらはライアーソフト開発。
    • 第3弾の『ヒラヒラヒヒル』は2023年11月17日に発売された。
  • 2023年10月26日発売の『GINKA』は『ATRI -My Dear Moments-』のコンビが製作するとして宣伝されていた。こちらはFrontWingブランドでの発売。(GAME Watchインタビュー
最終更新:2024年12月10日 11:10

*1 ただしWindows版のみサウンドトラック初回生産限定盤の特典という形でDVDディスク版も出ている。