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新創世記ラグナセンティ

【しんそうせいきらぐなせんてぃ】

ジャンル アクションRPG
対応機種 メガドライブ
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 ネクステック
発売日 1994年6月17日
定価 8,800円
判定 なし
ポイント ほぼゼルダ
世界観、ストーリーは独特
クオリティそのものは低くない

概要

SEGAがRPGのソフト層が貧弱だったメガドラ向けにRPGソフトをリリースする、という目論見で立ち上げた「メガロープレプロジェクト」の第一弾。

主人公(デフォルトネーム:コロナ)が魔物はびこる世界に剣と盾を手に立ち向かう、という一見王道風のRPG作品だが……。

特徴

  • 1991年に発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』と酷似しまくったゲームデザイン。
    • ……ゲームシステムよりも何よりも先にこれを特徴として挙げるのもいかがなものか、と思われるかもしれないが、大体のプレイヤーがゲームを始めて真っ先に抱く感想がこれなのだから仕方ない。あれ?メガドラと間違えてスーファミ起動したかな?
      • 実際、「ラグナセンティ」で検索しようとすると、大体の検索エンジンで「ラグナセンティ ゼルダ 」と出る始末。ある意味サジェスト汚染が深刻。
    • そもそもの主人公が「緑系の服に剣と盾を装備した剣士」である。流石にデザインこそ違うが帽子を被っているのも同じ。
      • 「主人公に経験値の概念がなく、ダンジョンボスを倒したり各地に隠されたアイテムを手に入れることでライフを強化する」というのも同じ。ただし、ライフはリンゴになっている。
      • 草を剣で刈ってお金(マリン)を手に入れるという些細なところまで酷似。ただし、ゼルダと違ってどの草からどのアイテムが出るかは固定である。
    • おそらくライトゲーマーにプレイ動画だけ見せて「ゼルダの伝説シリーズの一作だよ」と言えば普通に信じさせることができるレベルである。
  • 基本のシステムは、攻撃アクションの剣攻撃に、ジャンプや物を押したり持ち上げたりといった要素が組み込まれた、オーソドックスなアクションRPG。
    • 攻撃ボタンを長押しすると、剣を飛ばして攻撃する「剣飛ばし」という攻撃ができる。序盤で習得して以降、戦闘でも謎解きでも終始活躍する重要アクション。
    • 『ゼルダ』との大きな違いとして、本作には使用可能なアイテムが存在しない。その代わり、冒険の先々で様々な動物を仲間にすることができ、動物を二匹まで連れ歩くことができる。
      • 装備品の代替のような存在であり、動物を仲間にしておくことで、剣飛ばしに属性を付与させたり、足が速くなったりといった恩恵を受けられる。

評価点

  • グラフィックレベルは非常に丁寧で細かいところまでよく描かれている。
    • 全体にメルヘンチックでほのぼのとした世界観ながらも、海岸や火山、氷の島といった多種多様なフィールドを巡って冒険している感は十分にある。
      • 砂浜では足跡が残る、という細やかな演出も。
    • 特にボス戦は迫力満点で、とあるボスに至っては疑似3Dでフィールドを傾けて転落させてこようとするなど、かなり凝った演出も見られる。
  • 主人公のスペックがべらぼうに高く、爽快感抜群。
    • 装備する動物によっては、移動速度大幅アップや、飛ばした剣を自在に操作などのかなりチートじみた能力を普通に使用可能。特に終盤、移動速度を3倍に上げられるようになると、平然と1画面分以上の長距離の穴をロングジャンプできてしまうようになる。この手のジャンルの主人公としては規格外なスペックの持ち主。
      • 謎解き自体は、このスペックを前提に組まれているのでそこまで簡単ではない。「ゼルダ」っぽい画面ではあるが、むしろリンクのスペックに慣れていると思いつかない謎解きが正攻法であることもしばしば。
  • アクションアドベンチャーとしてのクオリティは時代を考えれば十分高い。
    • 難易度はそこまで高くはなく、謎解き・戦闘共に比較的正統派のスタンダードなものとなっている。ゲーム中のヒントは乏しいが、基本的にその時点で手に入っている手札を全て駆使すれば突破できることが前提となっているため、諦めずに色々試せば十分自力攻略できる範疇。
    • 動物の組み合わせで新たな能力が発揮されることもあり、組み合わせて色々と試す楽しみがある。
      • 「剣を操作する」能力に「剣にアイテムをくっつける」能力を足して離れたところのアイテムを持ってきたり、炎と氷を足し合わせてメドローア強力な魔法の剣を作ったりなど。
  • フィールドマップでは通過済みのマップを自由に行き来できる、ボスを倒したあとはボス部屋から出るだけで途中のダンジョンを省略して出られるなど、細かいところでは配慮が行き届いていて遊びやすい。

賛否両論点

  • シナリオについて。
    • 「一捻り加えられていて感動した」という意見もあれば、「説教臭いし説明不足なので普通の勧善懲悪もので良かったのでは?」という意見もある。
+ 詳細
  • 序盤は、「14歳になると戦士として旅立ち修行に出ること」と言われたコロナが、訓練所でチュートリアルを受けながら魔物を倒して村人を救う、といういかにも王道なファンタジーなのだが、序盤のイベントをこなすと コロナが人間の言葉を奪われる こととなる。人間と話せなくなったかわりに動物と話せるようになったコロナは、動物たちの助けを借りながら人間の言葉を取り戻すべく奔走することとなる。
    • そして、言葉を奪われたのは神から与えられた試練だったことが明かされるが、言葉を奪われても魔物と共存できなかったコロナは試練に失格してしまい、言葉こそ戻されたが世界に神の裁きが訪れる。
      • 各地を巡り時を遡る力を手にしたコロナは、過去に戻り人間同士の醜い争いにより滅びた都市や、魔物たちの本当の思いを知ることになる。「魔物は魔物というだけで迫害されているが、実際には善良なものもいる」「魔物たちは人間と共存したかっただけ」という事実が明らかになり、さらに「魔物は本来この世界にいるべき存在ではないのに、元の世界に戻る扉が強大なエネルギーにより塞がれているため魔界に帰ることができない」ことを知ったコロナは、過去の世界でエネルギー体を打ち破り、魔物たちを元の世界に帰すことに成功した。
    • 現代に戻ると、そこは元から魔物が存在しないことになった平和な世界になっており、誰もコロナが世界を救ったことなど知らないのであった。……飼い犬と共に散歩に出かけるコロナ。しかし、その周りには次々と冒険の旅路で出会った動物たちが集まってくる。 彼らはコロナの冒険と優しい心をちゃんと覚えていたのだった
  • 「単純な勧善懲悪で終わらせないストーリーはよくできている」と評価することはできるが、特に終盤、魔物に関する設定やエネルギー体に関する設定のほとんどがナレーションで解説されているだけで、細かい演出に乏しくその割に情報量が多すぎてザッとプレイしただけではシナリオがつかみにくい。
    • 勝手に試練とか言って言葉を奪っておきながら、冒険の途上で何かしら誘導をかけることを一切せず、その癖「失望した」とか言い出して世界を滅ぼそうとする神のキャラクターはかなり不愉快である。
    • また、コロナのキャラクターが全体的に弱く、「心優しい」とは繰り返し言われるのだが、自発的に何か行動を起こす場面がほとんどなく、基本的に言われるままに動いているうちにいつの間にかストーリーが動いている、と言った感じでプレイしていてイマイチ共感しづらい。反感を抱かれるタイプの主人公ではないが……。
    • 説明書にも載っている一見ヒロインのアリスは、実際のところ冒険の大半主人公が人間の言葉を喋れないせいで まともな会話シーンすら皆無に近い 。ストーリーにも当然ほぼ無関係。
  • BGMについて
    • クオリティが低いわけではなく、音質は良いし場面に合わせた楽曲が十分な数用意されているが、特に耳に残るほどの良曲には乏しい。ループも短め。
      • また、ラスボス戦に固有のBGMがないのもこの時代としては少々寂しいところか。

問題点

  • 全体的に当たり判定がわかりにくい。
    • 剣を振ってもどのあたりまでが攻撃判定なのかがわかりにくい。また、足場からずり落ちる判定もぱっと見で判断しにくい。
      • ボス敵に攻撃が当たっても、ヒットエフェクトがないことが多くダメージが通っているのかも分かりづらい。ボスの体力は可視化されているので、よく見ればわかるが……。
  • 本編以外の寄り道要素は乏しい。
    • 体力を強化する「命のリンゴ」を獲得する楽しみはあるが、世界全体でそこまで多く隠されているわけではなく、命のリンゴ以外の隠し要素は精々サブイベントで仲間になる動物ぐらいなもの。全体的にさっぱりしている。
      • またお金の使い道にも乏しく、序盤で剣飛ばしを教えてもらうのにお金がかかることとちったを仲間にするイベントで使う以外は基本的にほぼ必要ない。あとは傭兵として動物を雇うのに使うぐらい。その傭兵も、一度死んでも復活できる「みけ」以外は使い捨ての割に効果が乏しく値段も高いのでイマイチ使い勝手が良くない。
      • 命のリンゴを購入するイベントでも必要になるが、このイベントではかなりとんでもない金額が要求される。実質、本作でお金を稼ぐ必要があるのはこのイベントのためだけである。
  • 動物の使い勝手の差が激しい。
    • 移動速度を強化する「ちった」の利便性が極めて高い。基本的に、ちった加入以降は他の動物が必須の場面以外は一枠はほぼちったで固定になるほど。
    • 攻撃に魔法を付与する「ぺんぎー」「りおん」も、弱点を突けばスムーズに敵を倒せることもあり、便利。
    • 一方必ず最初に加入する「ぽち」は「敵に噛み付いて麻痺させる」という効果で、射程も短く謎解きに必要な場面もない(一箇所だけあるが、能力が必要な訳では無い)と、主人公の相棒ポジションの割に不遇。
    • 「りば」はそのいかにも強そうな外見に反して「剣を振る速度を早くする」というだけ。便利そうだが、本作のメインの攻撃は剣飛ばしなので、近接攻撃の速度が上がってもイマイチ恩恵に乏しい。
    • 動物を盾にする「アニマルガード」というアクションがあるが、一部動物の特殊能力を発動させるのに使う以外はほぼ使う必要なし。戦闘のメインが剣飛ばしなので、防御アクション自体が不遇である。
      • なお、防御がこのアニマルガードなので、ゲーム冒頭に剣と一緒に贈られる父の形見の盾は 一度たりとも使われることはない 。剣のパワーアップイベントはあるが、盾のパワーアップイベントはないのでスタッフからも普通に忘れ去られているようである……。
  • ラスボスが弱い…弱いというほど極端に弱くはないが、少々肩透かし感がある。
    • まず五感のそれぞれを模した前座ボスに挑むことになるが、「聴覚」「触覚」辺りはそこそこ手強いが、「視覚」は単に隠れているボスをパネルをめくりながら殴っていくだけで、「味覚」に至っては単なるドットイートアクションである。ドットイートとして見ても、敵があまり攻撃的ではなくここまでで鍛え上げた体力があればゴリ押しでも割となんとかなる。
      • 全体的に言うとこの前座についてはそこまで弱くはないが、一戦終えるたびにすぐそばにある全回復ポイントで回復できるため、結局大して危険とも言えないレベルである。
    • 五感全てを倒すと本命のラスボスが出てくる。通常状態では一切攻撃が通じず、条件を満たさないと攻撃が通らないのだが、その条件が完全にノーヒント。
      • 必ず仲間になっているとある動物を組み合わせて攻撃するだけなのだが、その動物の能力説明からすると、その能力で攻撃が通るようになることが微妙に釈然としないものがある。手当たり次第やっていけば答えに辿り着けるだろうが、突き放し感は否めない。
      • 攻撃が通るようにしてしまいさえすれば、ラスボスの攻撃自体は決して激しい方ではないのでさほど難しくはない。足場を切り崩してくるのが厄介な程度。
  • ゲーム終盤、過去の世界に移動するイベントがあるが、その演出が乏しい。
    • 過去へと自由自在に移動できるわけではなく。「竜巻」があるフィールドに移動すると自動的に過去のその世界へと飛んでいる……というものなのだが、タイムスリップの描写がなく、基本地形も全く同じなので、過去の世界と言っても実感がわかない。
      • 具体的に何年ぐらい前なのかもよくわからない状況。ラストダンジョンも過去の世界らしいが……。
    • そもそも終盤になるにつれて、全体的にイベントの進行が駆け足になっていき、演出がザックリとしたものになっていく。この辺りも前述したストーリーの煮え切らなさに繋がっているのだが。
  • 会話ウィンドウが透過しているため、文字が背景に埋もれて読みづらい。
    • これは『神々のトライフォース』でも指摘されていた問題点である。何もこんなところまで律儀に真似しなくても……
      • また、文章自体が中途半端にかな漢字混じりでやや読みづらい。「ほののまほう」なんていう誤字も見受けられる。

総評

ぱっと見の印象は「セガ版ゼルダの伝説」としか言いようがない代物だが、パクリ云々は置いておけばクオリティそのものは十分高い。
オリジナリティを出そうと努力している部分はキチンと理解できるし、グラフィックやBGMなども手は抜かれていない。
また、シナリオについても大人になってから遊べばまた違った印象を受ける人もいるかもしれない。

移植

余談

  • とある場所でソニックがバカンスしているというファンサービスがある。
最終更新:2023年11月28日 07:54