りゅうおうのおしごと!
【りゅうおうのおしごと】
ジャンル
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将棋が学べるアドベンチャー
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4
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発売・開発元
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エンターグラム
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発売日
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2020年12月17日
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定価
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完全生産限定版:11,000円 通常版:7,700円 DL版:7,150円
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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ポイント
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人気ラノベ作品のゲーム化 本編と別の本作限定オリジナルストーリー 作中のキャラとの対局が可能 将棋部分のおかしな点が目立つ(一部修正)
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GA文庫シリーズ
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エンターグラム作品
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ストーリー
玄関を開けるとJSがいた———
「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」
16歳にして将棋界の
最強タイトル保持者『竜王』となった
九頭竜八一の自宅に押しかけてきたのは、
小学三年生の雛鶴あい。九歳
「え?・・・弟子?え?」
「・・・おぼえてません?」
覚えてなかったが
はじまってしまったJSとの共同生活。
ストレートなあいの情熱に、
八一も失いかけていた
熱いモノを取り戻していくのだった。
(ゲーム公式サイト(http://www.entergram.co.jp/ryuoh-game/story/)より引用)
概要
白鳥士郎氏による将棋を題材とした人気ラノベ作品『りゅうおうのおしごと!』のゲーム。
ストーリーを見たり、作中の女性キャラと対局したりできるほか、作品や将棋に関する問題や詰将棋を解くクイズがある。
また、本作でしか見れないイラストやストーリーも多数収録されている。
モード
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ストーリー
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メインストーリーとオリジナルストーリーの二種類がある。
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メインストーリーは、アニメ全12話の内容をまとめたものとなっており、全部で10話ある。
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オリジナルストーリーは、本編とは別の本作限定ストーリーで、内容は肝試しやクッキングなど様々。全部で12話あり、メインストーリー内での選択肢によって解放される。
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クイズ
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将棋に関する問題、詰将棋、りゅうおうのおしごと!関係の三種類のクイズが用意されている。
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「JS研のおべんきょう」と「JS研のおさらい」の二つのモードがある。
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「JS研のおべんきょう」は、ランダムで出題される問題を10問連続で解くもの。
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「JS研のおさらい」は、「JS研のおべんきょう」で一度プレイした問題をもう一度解けるモードとなっている。
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全164問を全て正解すると、ゲーム内のアルバム(後述)で限定イラストが見れるようになる。
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対局
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作中の女性キャラ(通常9人+隠しキャラ1人)との対局を楽しめるモード。JS研の子達や、女流棋士の方々などと対局できる。原作に合わせる形でキャラごとに強さが異なっており、中でも本作の最強キャラである銀子は
現実の女流棋士の方でも苦戦するほど
に強く、アマチュア六段程度の棋力はあると思われる。
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JSたちはガチ対局、女流棋士たちは指導対局という位置づけになっている。
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このゲームの思考AIは、「銀星将棋」や「リアルタイムバトル将棋」を製作した「株式会社シルバースタージャパン」のものが搭載されており、結構本格的なものになっている。
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設定
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音量調整やメッセージウィンドウの透過度の設定など、色々細かく設定できる。
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マニュアル
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操作方法やモードの説明、キャラクター紹介などが見れる。要は説明書である。
評価点
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本編とは別の、本作限定オリジナルストーリーが見れる。
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アニメ本編のメインストーリーとは別に、本作限定のオリジナルストーリーが12話収録されており、あいたちの一風変わった日常を楽しむことができる。
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各話30分〜1時間ほどと長めだが、全て一話完結型で様々な内容を楽しめることに加え、豪華なフルボイスとなっており飽きにくい。
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対局モードでの原作反映。
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対局モードのキャラクターたちは、先述の通り原作に準拠する形で強さがそれぞれ異なっており、"原作反映"という点で見ればここは評価点である(詳細は後述)。
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キャラの強さは1〜3でのみ表記されているため、外見上は同じ強さに見えるキャラ同士も存在するが、その中でもキャラごとに強さが異なる。
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得意戦法もそれぞれ設定されており、こちらも原作に準拠している。
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優勢/劣勢になった時や手を指した際にキャラクターの表情が変化したり、セリフを発したりというキャラゲーならではの演出もある。
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例えば、あいであれば作中でも有名な「こう、こう、こう…」と発したりする。
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将棋初心者にも優しいシステム。
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「作品は好きだけど将棋は全くわからない」といった人でもクリアできるよう、隠し要素の解放条件や全クリ条件は優しめになっており、お助けシステムもしっかり用意されている。
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メインストーリー中にプレイヤーが自分で手を指さないといけない場面があり、これは特定の手を指さないとストーリーが進まない仕様になっているのだが、正解するまで何度でも指し直せるようになっており、またヒント機能も備わっているので、将棋初心者でも安心してプレイできる。
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クイズの詰将棋にも同様にヒント機能が備わっており、問題も一〜三手詰(三手詰は一問のみ)の簡単なものとなっている。
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対局モードでは、回数制限ありの待った/ヒント機能に加え、定跡や悪手の表示をしてくれる機能もある。
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隠し要素の解放条件や全クリ条件に、対局の勝敗がらみのものはないのでその点も安心できる。
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豊富なイラストと音楽。
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条件を満たすことで見れるようになるイラストの種類が多く、ファンとしては嬉しい限り。
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音楽も多数収録されており、これらはアルバムから聞けるだけでなく対局中に流すことも可能。対局中は任意のタイミングで音楽を変えることができる。
賛否両論点
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メインストーリーがフルボイスじゃない。
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オリジナルストーリーの方が(主人公含めて)フルボイスなのに対し、メインストーリーの方は時々キャラクターが一言発する程度。
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とはいえ、メインストーリーの内容はアニメの内容と基本的な流れは同じ。身も蓋もない見方になるがフルボイスで楽しみたいならアニメを見ればいいとの見方もある。
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対局モードのCPUが強すぎる。
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将棋の腕に自信のある人はともかく、本作で二番目に弱いシャルロットでもアマチュア5級程度の棋力はあると見られ、初心者では勝てない。
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一応、先述のヒント/待った機能や定跡/悪手表示機能といった救済措置も設けられているが、やはり限度がある。
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先述の通り、原作反映という点で見れば評価点だが、ゲームクリアに関係ないとはいえ難易度という点で見ると賛否が分かれる部分である。
肯定的な意見の一つに「少女に将棋でボコボコにされたい。煽られたい。」という紳士の方々の歓迎的な意見もある。
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駒落ちの種類が少ない。
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飛車落ち、角落ち、飛車角落ち、香落ち(左一枚のみ)の4種類しかなく、最大で二枚落ち。四枚落ち以上での駒落ち対局を行いたい人には物足りないと感じる部分。
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ストーリー内では四枚落ちの対局も出てくるにもかかわらず、対局モードではできないのは少々不自然。
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先述のCPUの強さと合わせて考えても、もう少し種類があっても良かったのではないか。現実の駒落ち対局でも四枚以上落とすことは普通にある。
問題点
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クイズのロード時間が長い。
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「JS研のおべんきょう」の方は一度読み込めば一気に10問出してくれて、その間にロードが入ることはないので比較的テンポよくプレイできるのだが、「JS研のおさらい」は一問ずつしか解けないにもかかわらず、その一問を読み込むのに毎回15秒かかるため、テンポが悪い。
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先述の通り、ご褒美イラストを見るためには全164問の問題を全て正解する必要があるのだが、このテンポの悪さのせいで間違えた問題を一問ずつやり直すのが面倒。
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メインストーリー中の駒落ち対局で、なぜか全ての駒が存在している。
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メインストーリー第五話「夜叉神邸訪問〜最初の天衣との対局」で、八一と天衣が八一側の四枚落ちで対局する場面。八一が落としている飛車、角、香車二枚は存在しないはずなのだが、プレイヤーが桂馬を打つ操作を求められる盤面でのみ、なぜか天衣の駒台にそれらの駒が乗っている。
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メインストーリーに出てくる局面に王手放置がある。
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メインストーリー第六話「あいvs天衣〜八一vs月光会長」で、夜叉神天衣と清滝桂香が桂香側の駒落ちで対局する場面。下手(天衣)側の7八の馬で2三にいる上手(桂香)側の玉に王手がかかっているにもかかわらず、次のシーンでは☗2一香、☖2二歩と馬の王手および王手放置をガン無視で両者が対局を進めていくというめちゃくちゃっぷりである。
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ちなみにこの局面は、アニメとは全く別の局面になっているため、アニメや原作の時点で既にめちゃくちゃだったわけではない。よってこの局面は開発側が新しく作ったものであり、王手放置は開発側のミスである。
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メインストーリー内の表記に不自然な点がある。
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メインストーリーでは、前にも書いた通りプレイヤーが自分で手を指さないといけない場面があるのだが、相手玉を詰ませるわけではない(というかそもそも詰まない)にもかかわらず、画面左上に「1手詰め」と表記してあり、紛らわしい。
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感想戦ができない。
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ソフト検討ができないのはいいとして、棋譜を見返すくらいはできても良かったのではないか。
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ストーリモードでバックログ機能がない。
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ストーリー閲覧中に前の会話などを見返したい時は最初から再生し直さなければならず、一話が長いものだとなおさら見返すのが大変。
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スキップ(早送り)機能はあるので、読み返したい部分を飛ばさないようこまめにスキップしていくと良い。
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修正済みの問題点
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メインストーリーに出てくる局面に二歩がある。
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メインストーリー第五話「夜叉神邸訪問〜最初の天衣との対局」で、八一と天衣が八一側の駒落ちで対局する場面。下手(天衣)側が4筋と6筋の二箇所も二歩をしており、さらに4筋の方は4三に歩があるにもかかわらず、その一マス前である4四にもう一枚歩があるという、初心者でもやらないレベルの二歩をしている。
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後のパッチで修正されている。
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クイズの詰将棋で詰まない問題がある。
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局面としては、攻め方が3四角、4五金、4六桂、5四飛、5五銀、6五歩、6六桂、7四角で、持ち駒なし。玉方が4三銀、4七歩、5六玉、5七歩、6三香、6七歩で、持ち駒は残り全部。
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一手詰の問題として出題されているのだが、どう考えても詰まない。
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見落としの可能性も考えてソフトでの検討も行なったが、やはり詰まない。
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一応、特定の手を指せば正解の扱いになるが、やはり詰んでいない。
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後のパッチで詰むように修正された。
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対局モードで、先後の決め方を「振り駒」にした状態で同キャラと連戦していると、フリーズすることがある。
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対局モードでは、対局終了後に「再戦」を選ぶと、同じキャラともう一度対局できるのだが、ここで先後の決め方を振り駒に設定した状態で何度も連戦をしていると、なぜか手番がどちらも先手になってフリーズしてしまうことがある。
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現在も両方先手と表示されるバグは残っているものの、表示がバグっているだけでフリーズバグは解消されており、振り駒で先手になった方から正常に対局が始まるようになっている。
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総評
発売当時は肝心の将棋面におかしな部分が多数存在し、将棋を理解している人からは不評を買うことも多く、それ以外にもフリーズバグが存在するなど、色々不安定な部分が見受けられた。
後のパッチでフリーズバグや詰まない詰将棋など、致命的な部分やその他一部局面は修正されたものの、まだ一部おかしな局面が残っており、将棋面には相変わらず作り込みの甘い部分が見受けられる。
ただ、ゲームの進行やプレイに支障をきたすようなものはないので、ゲーム自体は問題なく遊べる。
将棋を題材にした作品のゲームということで、全クリを目指す中で将棋の操作を求められる場面も存在する。
だが、「作品は好きだけど将棋はわからない」という人でも安心して最後まで遊べる作りになっており、全クリを目指すにあたって棋力が問われないのは評価点。
また、本作のみのオリジナルストーリーが収録されているなど、将棋以外にも作品を楽しめる要素が用意されているのは原作ファンにはうれしい。
対して、将棋パートはCPUが非常に強く初心者お断りレベルなのは賛否両論点。感想戦ができないなどの気になる部分も見受けられる。
また本格的に将棋を学べる要素はないので、あくまで作品が好きな人や、ある程度将棋の腕に自信のある人にお勧め。
余談
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完全生産限定版では登場人物「空銀子」のタペストリーのほか、ポータブル将棋セットがついてくる。
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本作のオープニングテーマ「ソノサキへ」および、エンディングテーマ「one's heart」は、アニメと同様にオープニングをMachico氏、エンディングを伊藤美来氏が歌っている。
最終更新:2025年02月16日 17:02