アニマス
【あにます】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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Windows(Steam) Nintendo Switch Xbox One
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発売元
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【Switch】トローゼ 【Steam/One】10Birds
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開発元
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トローゼ 10Birds
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発売日
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【Switch】2018年12月6日 【Steam】2019年7月22日 【One】2019年8月7日
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定価(10%税込)
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【Switch】960円 【Steam】1,010円 【One】1,150円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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備考
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ダウンロード専売
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判定
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なし
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ポイント
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モンハン+ダークソウル 値段を考えればボリュームは十分 難易度バランスは少々歪
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アニマスシリーズ アニマス / ハービンジャー / レヴェナント
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概要
元々は韓国で配信されていた『Ire: Blood Memory』というダークファンタジー系ソーシャルゲームの外伝作である買い切り型スマホゲーム『アニマス アイア番外編』をSwitchに移植した、という少々複雑な経緯の作品。後にSteamでも配信されている。
本稿では主に移植版であるSwitch版をベースに解説する。
なお、元となった『Ire』については既にサービス終了している。
また、アニメ版『アイドルマスター』の非公式の略称として「アニマス」という呼称が使われることもあるが、もちろん何の関係もない。
ユング心理学のANIMUS(アニムス)でもない。(ただし下記と語源は同じ)
「ANIMUS」は憎悪や敵対心などの意味合いがある英単語である。
特徴
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基本的にはハクスラ要素強めなダークファンタジー系アクションRPG。一応世界観のベースは北欧神話っぽいが、どう見ても中世ヨーロッパ風の騎士や違和感バリバリの侍が登場したりする。まぁよくあるごった煮系のファンタジーである。
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複数用意されたクエストをクリアすることで、装備を集めたり、キャラクターをレベルアップさせたりする。
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クエストのクリア条件は基本的にシンプルに「クエスト毎に設定されたボスキャラを倒す」だけである。逆に失敗条件も「プレイヤーの体力が尽きる」オンリー。時間制限などはない。
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クエストは配置されたザコ敵をすべて倒す→先に進む→新たなザコ敵出現……を繰り返してボスに挑む形が多い。
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時間をかけすぎると評価が下がるペナルティはあるが、通常攻略の範疇ではさほど気にする必要はない。
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装備はD〜S+までの等級が存在し、ゲームを進めることでより上の等級の装備が手に入る。無論、上のものほど強い。
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同じ銘の装備でも等級違いが存在する。さらに同じ銘・等級の装備でも、細かいステータス配分や追加スキルが異なることもあるため、厳選要素もある。
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手に入れた装備は該当する等級の強化石とお金を消費して強化可能。逆に余った装備を強化石やお金に変換することもできる。インベントリがいっぱいだとクエストに挑めないため、適宜処分する必要がある。
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武器には属性や状態異常が設定されており、防具にも耐性がある。相手の弱点属性や使用属性を見極めて装備を選ぶ必要がある。
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操作は回避やガードに加えて、弱攻撃と強攻撃、それを組み合わせたコンボ攻撃、ゲージが貯まると使用できる特殊攻撃を組み合わせて戦うオーソドックスなもの。なお、魔法や飛び道具の概念は一切ないストイック極まりない仕様となっている。
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画面下のゲージがいっぱいになると、特定のコンボ攻撃が強力になる「致命の一撃」というシステムがある。どのコンボ攻撃が選ばれるかはゲージがいっぱいになるたびにランダムで決まる。
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消費アイテムは体力を回復する「妖精の血」をクエスト毎に3回使用できる以外には存在しない。
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なぜか使用可能武器はモンスターハンターシリーズをやり込んでいると既視感満点のチョイスとなっている
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大剣の特殊攻撃が溜め斬りだったり、ランスがガードしながら攻撃でき特殊攻撃が突進だったり、双剣の特殊攻撃が乱舞もどきだったり、片手剣やハンマーまで使える。状態異常値を貯めきると爆発して相手にダメージを与えるどう見ても「爆破属性」っぽい状態異常まであったりする。
本家の爆破属性ほど強力じゃないが
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一方、篭手は双剣にガンランスっぽい砲撃を加えたハイブリッド武器であるし、片手剣の特殊攻撃が盾から刃を生やしてヨーヨーのようにぶん回すスタイリッシュなものであったり、刀はモンハンの太刀とは違いごく常識的な長さの一般的な日本刀だったりと、細かいところを見ると違う点も多い。
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各武器の特徴的なモーションがモンハンと酷似しているため既視感こそ強めだが、実際の立ち回りのメインとなる基本モーションがまるで別物であるため、実際に使うとパクリ臭はそこまで感じない。オマージュの範疇だろう。
評価点
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シンプルなハクスラ系ARPGとして見ると、ボリュームは十分。
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ステージ数は一見そこまで多くないが、一度クリアすると二周目に突入。単に敵が強くなるだけでなく、一周目には出なかった敵も出てくるため飽きにくい。もちろん新たな強力な装備も手に入る。
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ラスボス撃破には三周目までクリアする必要がある。値段を考えれば十分なボリュームである。
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その一方で個々のクエストは5分程度と短く設計されており、繰り返し挑戦しやすい。
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ゲームオーバーになってもチェックポイントから即座に再開できるため、やり直しの意欲が削がれにくい。
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総じて、装備を吟味し、強化し、強敵に立ち向かう……というハクスラとしてのベースのクオリティは高い。
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操作に使用するボタンの数は少なめながら、各武器ごとに重厚感ある技が用意されており、お手軽に爽快感あるアクションが楽しめる。
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基本攻撃に使うボタンは2つだけだが、弱→強だけでなく強→弱でもコンボ攻撃が発生し、別種の技を使うことができる。適当にガチャガチャやってもそれなりに立ち回ることができる。
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もちろん攻略の上では各技の特性を知ることも大事になってくる。
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グラフィックはダークな雰囲気が表現されており、退廃的な世界観によく噛み合っている。
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敵撃破時は血しぶきを上げながら砕け散る。とはいえ、極端なグロ描写というほどでもなく、ゲーム進行を阻害するようなテンポの悪さもない。爽快感とテンポを両立した絶妙なバランスの演出になっている。
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武器や装備も色々と用意されているため、着せ替え的な楽しみも一応できなくはない、のだが……(詳細は賛否両論点にて)
賛否両論点
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ストイック極まる演出。
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キャラメイクのような要素が皆無……なのは低価格なので納得できるとしても、装備デザインも含めてとにかくストイックでプレイヤーに媚びている部分がほとんどない。ある意味硬派。
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ほとんど全ての兜がフルフェイスなせいで、
プレイヤーキャラの顔が見える場面すら皆無
という点で色々と察せられるだろう。リアルと言えばリアルであるが、外見が極端に変わることがないため、せっかく色々な装備があるのに少々もったいない。
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とはいえ、これらも世界観表現の一端と見れば納得できる点ではあるだろう。
問題点
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アクションゲームとしては色々と雑。
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全体的にラグが酷く、操作を受け付けない場面が頻発する。処理落ちも気になる頻度で起きる。
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敵の攻撃範囲がやたら広く、回避の性能も高くないので基本的に無被弾プレイは困難。被弾前提でゴリ押しするのが正攻法となる場面が多い。
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「コンマ1秒、数センチの間合いを読み切る」と大層な謳い文句が宣伝で出されているが、実際のところそこまで緻密なプレイングは困難である。
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ABボタンで攻撃、Xが回避、Yがガード、Rが特殊技という独特なボタン配置。
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慣れればなんとかなるが、一般的なアクションゲームではあまり見ない独特な指使いを要求されるためアクション慣れしていると逆にやりづらい面がある。
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緊急用のアクションである回避とガードのために指を上に動かさないといけないのが意外なほどやりづらい。回避の使いづらさは単純な性能の低さもあるがこのボタン配置の影響もある。
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武器バランスは悪い。
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一撃が重い大剣か、ガードが固くリーチが長いランスが大体の場面で正解となる。他の武器でも攻略できないことはないが、楽に進めるならこの2種のどちらかをメインに据えるのが無難。
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篭手はなぜか火力が異様に低く、双剣の劣化版となってしまうことが多い。
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状態異常は何種類かあるが、一定時間相手の攻撃力と防御力を激減させる「呪い」が非常に凶悪で、これが付いた武器を当てられると難易度が激減する。
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一応呪いが効かないボスもいるため、これだけでゴリ押しは難しいが……。
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歪な難易度調整。
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序盤はともかく、中盤を過ぎる辺りから相手の属性などを考慮しないと攻略が難しくなってくる。それ自体は難易度調整として納得できるが、問題なのは装備を整えると一気に楽になりすぎてしまう点にある。
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ワンランク下の装備ではフルボッコにされた相手が、少し装備を整えるだけで逆に一蹴できてしまうこともザラ。「時間をかければ強くなれる」は確かに間違いではないとはいえ、それがあまりに極端である。
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中盤以降は雑魚とボスで弱点属性・使用属性が異なる、という形で難易度を跳ね上げてくるクエストが出てくる。
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中型雑魚は普通に手強いため、ボスに合わせた属性の装備で挑むと途中の雑魚戦で詰む可能性がある。かといって、雑魚を楽に倒せる装備ではボス戦がキツイ……というバランス。難易度調整としてはストレスを感じやすい仕様。
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シンプル極まりないマップ。
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マップの外見自体が谷や遺跡、洞窟ぐらいしかなく変わり映えがしない。基本一本道で雑魚を倒して進んでボス戦、という構造なのもシンプルに拍車をかける。
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迷わなくていい、と言えなくもないが寄り道要素はせいぜいちょっとしたお金や素材が入っている宝箱が落ちているぐらいで、探索の楽しみもない。
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説明されない要素が多い。
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各武器の特性や操作についての説明は一切ない。TIPSで多少は説明されるが、実際の操作は自分で使って慣れる他ない。
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特定のマップでは仲間を召喚して一緒に戦ってもらうことができるが、その際入手機会がほぼ有限のアイテムを消費する。そのことについても、仲間召喚時にどのぐらいアイテムを消費するのかについても、説明は一切ない。
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このアイテムはサブクエストで消費することで報酬量を増やすという使い道もあるが、そちらの説明も一切ない。
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翻訳が直訳すぎてストーリーは理解困難。
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そもそも断片的に流れるムービーと、各クエストの依頼文・クリア時メッセージぐらいしかストーリー描写はないのだが、意味深かつ詩的で固有名詞が入り乱れる文章が直訳されているため、本気で何を言っているのか理解困難な文章と化している。
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理解できなくとも特別困らないゲーム性なのが救いではある。
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風属性の武器が「風邪」という銘になってしまっている箇所もあるため、おそらく誤訳も入り混じっていると思われるが、どこまでが直訳でどこからが誤訳なのか判別するのも困難なレベルである。
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Switch版は割と洒落にならない頻度でエラー落ちが発生する。
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ある意味商品としては一番マズイ問題点か。どうやら処理落ちしすぎるとエラーが起きやすくなる模様。
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クエストが短いため、エラーで強制終了しても被害はさほど大きくはない……が、前述の方法で報酬量を増やしていた場合消費したアイテムは返ってこない。
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だいたい2〜3時間くらいぶっ放しで遊んでるとエラーが起きやすいので、定期的に再起動すればある程度は防げる。
総評
低価格のハクスラメインのゲームとしては、やりこみ・ボリュームともに十分なレベル。
ただ、アクションゲームとしては色々と目につく問題点が多く、その方面ではあまり期待はできない。
黙々と装備を集めてキャラクターを強化していくプレイ感が好きな人ならば楽しめる部分はあるだろう。
その後
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割と好評だったのか、以降本作は『Ire』を題さずアニマスシリーズとして展開されていく。
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『アニマス ハービンジャー』『アニマス レヴェナント』と展開されている。ただ、世界観は受け継がれているものの、システムは別物となっている。
最終更新:2024年04月27日 20:11