忍者らホイ! 痛快うんがちょこ忍法伝!!
【にんじゃらほい つうかいうんがちょこにんぽうでん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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3MbitROM+64kRAMカートリッジ
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発売元
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アスキー
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開発元
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ログインソフト
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発売日
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1990年8月8日
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定価
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7,800円(税別)
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周辺機器
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ターボファイル対応
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判定
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なし
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ポイント
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アスキー版『桃太郎伝説』 桃伝譲りのギャグ要素 手裏剣が当たらない
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概要
『ドラゴンクエスト』タイプの和風RPG。
ゲームデザイン、キャラクターデザイン、音楽がハドソンの『桃太郎伝説』と共通のメンバーとなっており、作風もそちらを踏襲したギャグRPGとなっている。
その為か、一部地域で貧乏神や天邪鬼といった敵が出現する。
ストーリー
おぬしは、平和を愛する正義の忍者集団「風一族」の少年忍者でござる。
ドクロ将軍ひきいる悪の忍者軍団を倒し、平和な世界をとりもどすのが使命でござる。
そのためには、隠された5つのまきものの謎を解き、最強の忍術を身につけなければならぬ。
さあ、ともに戦う仲間と力をあわせ、必ずやドクロ将軍を倒してくだされ!お願いしましたぞ!
(取扱説明書より抜粋)
特徴
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パーティメンバー
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かぜまる(名前は変更可能)
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このゲームの主人公。『ドラゴンクエスト』で例えると「勇者」ポジションで肉弾戦も術もこなせるオールラウンド型。ただし素早さが低め。
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ゲーム中では一切喋らないが、取説内の漫画での台詞を見る限りお調子者の模様。
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みそにこみうどんが好物で、彼のみ食べた時の回復量が多いのも特徴。
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たかまる
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忍者犬。術は一切使えないが攻撃力が高いパワー型。素早さも高いがやや撃たれ弱い。
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犬であるからか、装備品の制限が厳しく足袋を身に着けられない。体防具も1つを除いて装備不可。
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あかね
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かぜまるの妹。力は低いが優秀な補助術を多く覚えるサポート型。
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とりわけ彼女が持つ「げんき(味方全員の回復術)」は加入直後からパーティの生命線になる事だろう。
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これらのパーティメンバーの他に一時加入するNPCも存在する。
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術は2種類あり、天狗から教わるものと忍者の里(町や村のような施設)の修行忍者と戦って勝利する事で体得できるものがある。
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修行忍者から学ぶ術は一部を除いて一定数使用すると成長する。ノーマル→ハイパー→スーパー→ウルトラ→ミラクルの5段階となる。
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大半の雑魚敵は出現時に「ドクロいちぞく ●●ぐみ ▲▲ けんざん!」といった具合に名乗りを上げる。
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セーブは忍者の里や村にいる記録地蔵に話す事で行え、死者蘇生もしてくれる。
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また、主人公のHPが0になると最後に記録した所の地蔵まで戻され、所持金が半分になる。
評価点
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BGMが良い。
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通常戦闘曲は1ループが短いがなかなか緊迫感のある曲調。ラスボス戦も迫力があってかっこいい。
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町や村は長閑なBGMで雰囲気に合っている。
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利便性が良好なシステム。
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用途がわからない道具は使用時に「?」で説明してくれる。
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天狗から習う術「いだてん」で移動速度を上げる(所謂ダッシュ移動)事が出来る。これは『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』よりも先になる。
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個性的なキャラクターがゲームを盛り上げてくれる。
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ゲーム開始直後、何故か「たかしまだいらただお」の解説から始まる。とある村でも住民の一人として登場する。
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ドクロ軍団四天王は「びゃっこ」など本作では珍しくシリアス一徹な者が多いが、「げんぶ」だけは言動がコミカルであり、どこか憎めないところがある。
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前述した貧乏神や天邪鬼の他に「にんじゃハッタリくん」や「ネズミーランド」、「ビキニんじゃ」といったパロディ雑魚も出てくる。
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雑魚敵も「反芻の術」「お色気の術」等の個性的な攻撃手段を有しており、見ていて飽きない。
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「よっぱらいドクロ」「よいどれドクロ」「へべれけドクロ」という雑魚3種は色違いだが、よく見ると手の形がそれぞれでグー、チョキ、パーの形になっている。こういった点も抜かりがない。
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遊び要素が多い。
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回復道具「おにぎり」や「みそにこみうどん」等は「たべる」でないと使用出来ないが「つかう」だと「それは たべるものだ!」と怒られる。
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逆もしかりで、「つかう」で使用するものを「たべる」と「●●なんかたべたら おなかを こわすぞ!」というメッセージが出る。
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イベントアイテムに「炎」が存在するが、これを食べようとしても上記のメッセージが出る。
お腹壊すどころじゃ済まないと思いますが
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お遊び道具の存在。
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「うつるんですホイ」「きれるんですハイ」と、ユニークな名前の道具が多い(前者は立ち寄った村に移動、後者は固定ダメージの攻撃アイテム)。
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「ぐちゃぐちゃアメ」はしばらくの間画面の色がおかしくなる。
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「つきのあゆみ」はしばらくの間うしろ向きに歩くようになる。ムーンウォークという事だろうか?
賛否両論点
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ゲームバランスを崩しかねない要素がいくつかある。
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序盤のとある施設で利用可能な「つづらカジノ」という店があり、1個100両で好きなつづらを開けられるというものだが、中身が100両以上で売れるものが半分以上を占める。最高額が「むげんかやく(敵1体に中ダメージ、何度でも使用可)」の4725両。
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ここで金を増やしまくると以降は金に困らなくなり、全滅時のリスクもほぼ無くなる。
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超強力デバフ道具「とりもち」の存在。
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敵一体の素早さを下げる効果のある道具で行動順を遅くする事が可能。しかも必中+永続+重複可と至れり尽くせりな性能。ボス戦ではこれを買い込んで投げまくると先読み回復などの駆け引きが一切なくなり、ヌルゲー化する。
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下ネタがいくつかある。
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住民が全員排泄物で構成された「う●ちの村」という施設が存在する。住民の会話のネタも漏れなく糞関連。
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かぜまるの育ての親である「雲谷斎」は事あるごとに放屁する(ご丁寧に効果音付き)。後にドクロ将軍の力で石化させられてしまうのだが、それでもお構いなしに放屁する。
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こういったおバカなノリも本作の魅力の一つであるが、人を選ぶきらいがある。
問題点
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エンカウント率が高い。酷い時は2~3歩でエンカウントする。
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仲間が死んでいる時の雰囲気が怖い
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仲間が死んでいるとどこに行っても悲しい曲が流れ続け、水の色も血の池のように真っ赤になるという恐ろしさ。ここまでする必要はないだろう。
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術を成長させるのに必要な使用回数が多すぎる。
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HP回復術である「ぴろりん」や「げんき」等は使用頻度が高いので意識せずともゲームの進行度合いに応じて成長していくが、それ以外の攻撃術や補助術は戦闘中しか使用できない為、成長に時間がかかる。頑張っても「スーパー」辺りが限界。
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例として、攻撃術である「ひばしり」は最高段階のミラクルまで成長させるのに300回以上使用しなければならない。主人公は分身して使いまくることで稼げるとはいえもはや苦行である。
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さらに、終盤はかぜまるが雑魚敵を一掃する術「どっかん」を覚えられるので、他の攻撃術を鍛える意義が薄くなってしまう。
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あかねは加入が遅く分身も使えないため、普通に進めているとゲームクリアまで「げんき」以外はろくに育てられない。
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全体的にゲームバランスが雑。
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敵から得られる経験値の上昇度合いが緩やか+人数割りシステムのせいでレベルが上がりにくい。そのくせ敵はどんどん強いものが出てくる。
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上述したように攻撃術は成長させるのに手間がかかり過ぎる為、全体攻撃には攻撃道具の「なげふうしゃ(敵全体に40ダメージ、使い捨て)」や「むげんしゅりけん(敵全体に20ダメージ、何度でも使用可)」に頼りたいところだがよく外れる。酷い時は敵が4~5体いても一度も当たらない事がある。
とりもちは100%当たるのに。
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当たらなかった時に表示される「ねらいが はずれた! むねん!」というダイアログメッセージが外れやすさと相まってこれまたプレイヤーの神経を逆撫でする。あたかもこちら側の命中精度に問題があるかのような言い方である。何故「避けられた」「かわされた」といった、相手の回避行動に起因する表現にしなかったのだろうか。
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後半「すいとん」の術で浅瀬を渡っていく場面があるが、ここで敵の強さが突然跳ね上がる。
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敵が強い上にサイズが小さいものが多く、画面びっしり出現してくるのも辛いところ。逃走しながら進まないととてもやってられない。
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イベントで使用する事になる術「なみこし」の技消費量が110と異様に高い。
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必要となるのが一度だけとは言え、そこまで高く設定する必要はあっただろうか?
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ラストダンジョンの最深部ではラスボスであるドクロ将軍が村人のようにうろうろしており威厳がない。頼むからどっしり構えていてくれ。
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起動時のタイトル画面が出るまでのロード時間がやや長めで接触不良と勘違いされがち。
総評
ユニークなキャラクターや道具説明、ダッシュ等の便利な要素でユーザーを楽しませようとする姿勢は大いに評価できるだろう。
術が使用回数で成長するというシステムも悪くはない。
一方で、暴力的なエンカウント率、報酬がしょっぱい敵、役に立たない攻撃道具の存在で、戦闘面ではストレスの溜まる作品となってしまった。
術の成長に必要な使用回数の多さも、もう少しどうにかならなかったのだろうか?
この辺りがもう少し丁寧に作りこまれていたならば良作に成りえただけに、惜しい作品と言える。
余談
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ドクロ将軍を倒すには巻物の謎を解いてアイテムを手に入れる必要がある、と言われるが実際はそんなことはなくアイテムを無視しても攻略が可能。
最終更新:2025年04月10日 03:12