WWA COLLECTION

【だぶりゅーだぶりゅーえー これくしょん】

ジャンル RPG
対応機種 Nintendo Switch
発売・開発元 PLiCy
発売日 2018年12月20日
定価 1,527円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 シリーズファンから不評
ポイント あんまり懐かしくない 懐かしRPGコレクション
なぜかセーブ不可
ボリューム面は十分だが……


概要

2000年代前半までインターネット上で流行していたRPGコンストラクションソフト「WWA」を用いて作成されたゲーム41作品45本(4章仕立ての作品が存在するため)を収録したオムニバスソフト。


WWAとは?

  • 「World Wide Adventure」の略称であり「キャラバンサークル」というサイトで配布されている無料のコンストラクションソフトである。
    • 無料であるため、『RPGツクール』などの有償ソフトと比べると機能面では大幅に制限されているが、その代わり作成のハードルも段違いに低く、自分で素材を用意することも簡単だったため、2000年代前半頃までのインターネットでは個人のホームページなどに掲載される形で流行していた。
      • 流行こそ当時に比べると落ち着いているが、2025年現在でも活動しているクリエイターは存在しており、息の長いコンテンツである。
  • 基本的にはRPGを作るためのソフトであり、見下ろし視点の固定画面をいくつも繋げてマップを作成する。原則的にスクロールはせず、画面切り替えは画面端に触れた場合に行われる。
    • プレイヤーは基本一人旅(一応擬似的にパーティーメンバーを再現することもできなくはない)で、ステータスはHP、攻撃力、防御力、所持金の4種類(作品によっては名前や役割が変わる)のみ。アイテム欄は12箇所までととことんシンプル。
  • 敵キャラに触れると戦闘開始。戦闘はプレイヤー先攻で、互いに自分の攻撃力-相手の守備力の差分となるダメージをひたすら与え合うだけのシンプルなものが自動進行する。戦闘において魔法やアイテムを使用する概念はない。
    • このシステム上、相手の守備力が自分の攻撃力を上回っている場合1ポイントもダメージを与えられなくなる。相手がこちらにダメージを与えられるならそのまま一方的にボコられて死ぬし、互いに相手にダメージを与えられない場合は戦闘が強制終了する。
    • また、敵のHP+守備力を上回るだけの攻撃力を持っていれば、相手に一切の行動を許さずにワンパン可能。
    • このシステム上戦闘結果は戦闘に入る前に確定している。Aボタンを押すと画面内にいる全ての敵のステータスと「戦闘になった場合どれだけダメージを受けるか」を確認することができる。ほとんどの作品において極めて重要な機能である。
      • ただし、「会話イベントをこなした後に戦闘になる」タイプの敵の場合、イベントを起こすまで敵とは判定されないため、ステータスを確認できない。
    • 経験値という概念はない(作品によっては所持金を経験値に置き換えていることもあるが)ため、敵を倒した場合「所持金が増えてアイテムが買える」「ステータスアップアイテムをドロップする」などの形で擬似的に報酬を再現していることが多い。
  • やろうと思えば複雑な作品も作れるが、「基本的に出現する敵の総数が決まっている」「手に入るアイテムの総量も決まっている」「戦闘結果に乱数の入る余地がない」などの理由から、RPGの体裁にはなっているものの、作品ごとの最適手順を割り出すパズルとしての側面が強かったりする。
    • 実際公式でも「パズルRPG」という呼び方が使われることも。

本作の特徴

  • 全45本のWWAが収録されているが、最初から全ては遊べず、基本的に難易度の低い作品から順番にクリアしていくことで新しい作品が開放される形式となっている。
    • 連作である『HEART』だけは例外で、1章から順番にクリアすることで次の章が開放される。
  • クリアするとスコアが記録される。スコアの算出方法は作品によって異なる。

問題点

  • 収録されている作品が2008年〜発売当時までの作品に限られている 。つまり、WWA全盛期だった2000年代前半までの作品が一本たりとも収録されていない。
    • 当時WWAに熱中していたユーザーからすると一番のガッカリだろうポイント。全盛期のWWAは無料ソフトとは思えないほどの熱量で凝った作品も多数作成されていたため、当時の作品に全く触れられていないのは残念極まりない。
      • ただ、当時のクリエイターの多くは個人ホームページで活動していたため、ホームページが消滅していた場合連絡しようもないし、仮に連絡が取れてもWWAのデータが残っているとも限らない。また当時は著作権違反上等な作品(ピチューカービィが主人公の作品が多かった)も多数あったため、その辺りで難しかった可能性はある。
      • ……それでも、WWAの公式サイトにリンクが残っている作品も存在するため、その辺りだけでもなんとか連絡は取れなかったものか、と思われるところ。
    • 本作の公式サイトでは「2000年代前半に一大ブームを巻き起こした「あの」ブラウザゲームが、Nintendo Switchで大復活!」と書かれており、いかにも当時の作品が復活したように見えるが……。
  • パスワードセーブ機能撤廃 。公式曰く、「セーブなしでもクリアできる程度のボリュームだから」とのことだが……。
    • WWAはブラウザ上で起動するソフトなので、基本的にセーブ機能はない(画面を閉じるまで有効なクイックセーブとクイックロードはある)。その代わり、パスワードを表示してメモ帳などに記録しておくことで、同じ状況を再現して擬似的にセーブできる機能がある。
      • 状況再現として有用な機能なのだが、なぜか本作にはこれに準じる機能が存在しない。クイックセーブとクイックロードはあるのだが、当然1枠だけだし、ゲームを終了すると消えてしまう。
    • この手のオムニバス系ソフトなら今どき「どこでもセーブ&ロード」があって当たり前だが……。しかも、元々それに近い機能があったのにわざわざ削ってしまっている。
      • パソコンなら文字列をコピペしてメモ帳に貼り付けられるが、Switchには当然そんな機能はない。そのためパスワードセーブがなくなること自体は仕方ないと言えるが、それなら代替できる機能は欲しかった。
    • 一応公式の言う通り各作品は長くて30分程度でクリアできるボリュームなので、クイックセーブだけでもなんとかなる程度ではある。それでも、「この作品の攻略はひとまず置いておいて、他の作品をプレイしよう」というようなことも気軽にできないのはやはり引っかかる。
  • 一応、ゲームジャンルは幅広く取り揃えられてはいるが、大半がダンジョンRPGであり「どれだけ無駄なく敵を倒してアイテムを集めれるか?」に攻略の肝が集約されている作品がほとんど。
    • 前述のようにRPGよりはパズル寄りな部分が強く、このような作風が苦手だとなかなかとっつきづらいかもしれない。
    • 素材の使い回しが多く、同じ素材を流用しているゲームがかなり多い。ゲームごとに凝った素材が用意されていた名作と比べると、手抜き感が否めない。
  • 流石にこれだけの本数があるだけあって、明らかな駄作も少なからず含まれる。
    • 特に『魚釣り』は酷い。店で餌を買って、釣り場で魚を釣って売るを繰り返す だけ 。3箇所ある釣り場で全10種類の魚を全部釣り上げたらあっさりゲームクリア。特定の釣具でないと釣れない魚がいるとか、時間帯によって釣れない魚がいるとかの凝った要素は一切ない。
    • 『クリムゾン・スライドパズル』も正直WWAでわざわざスライドパズルをやる意味合いが薄い。仕組みそのものはWWAという制約の中でかなり工夫されて作られているのだが、肝心のパズルが単なる数字のピース並び替えであり、イラストなどになっていないのも寂しい。
  • ゲームをクリアすると、一覧のカーソルが未クリアのゲームに強制的に移動する。
    • 全部のゲームをクリアすることを目的とするなら親切な仕様ではあるが、同じゲームを連続でプレイしたい時には不便である。
  • スコアはどれだけ稼いでも記録されるだけで、「何点以上取ったらメダル」のようなご褒美は特にない。完全な自己満足である。
    • 一部作品では作者が「〇〇点以上でAランク」のような基準を示してくれるが、それだけである。

評価点

  • 1500円代で45本もの短編ゲームが収録されており、ボリューム面では破格。
  • 制約の中で頑張って凝ったゲームを作ろうという意気込みは感じられ、個々のゲーム自体は前述の例外を除けばそれなりに遊べるクオリティ。
    • 問題点で述べたように、ダンジョン探索系のゲームが多すぎる感はあるが、同じような作品でも「満腹度の概念を盛り込む」「スイッチを切り替えながら進む」「敵を倒すたびにアイテムがランダムに消滅する」など、一風変わったシステムが多く差別化はされている。
    • また、「かくれんぼ」「大砲でふっとばされながらアイテムを集めるローグライク」「推理要素のあるブラックジャック風ミニゲーム」「疑似横スクロール風アクション」などダンジョンRPGに留まらない作品自体は結構ある。
  • BGMは370曲も収録されている。低価格帯のゲームとしてはかなりの量。
    • ただし、場面ごとのBGM切り替えは存在せず、一本のゲームにつきBGMは最初に決めた曲で固定。0番にしておくとゲームごとのデフォルト楽曲になる。
      • というのも、元々WWAにはBGM再生機能というものが存在せず、「無限ループBGMをページ背景で流して擬似的にBGMとする」というのが一般的なやり方だったため。つまり不便な仕様に見えるが立派な原作再現である。
  • Switchのキーを活かして、便利機能が搭載されており、操作性は良い。
    • クイックセーブ&ロード、リスタートはいずれもワンボタンで可能。
    • 移動速度調整機能あり。速すぎて操作ミスが起きるなら遅くすることもできる。
    • 携帯モードならアイテム欄をタッチで使用できる。元々パソコン版ではテンキーを用いてアイテム使用のショートカットができていたため、その再現と言える。

賛否両論点

  • 全体的に作風のセンスが古い……というか厨二臭い。
    • 台詞回しやシナリオ、グラフィックデザインなどが非常に……アレな作品が多い。
      • ただし、全盛期のWWAの主流クリエイター及びプレイヤーが中高生だったことを考えると、むしろ当時の雰囲気を可能な限り再現していると言えなくもない。

総評

コレクション系ゲームとしては、個々のクオリティ・全体のボリュームともに及第点。
ただ、あくまで懐かし「風」であり、本当の意味で懐かしいWWAが収録されているわけではないかなり残念な側面もある。
機能面でも本家に比べて劣化している点があり、移植度・再現度という面で首をかしげざるを得ない。
パズル系の頭を使う作品が多いため、短時間でサクッとプレイできるパズル系作品のオムニバスを求めるなら十分遊べる作品である。


余談

  • 価格に対して容量が6.4GBと異様にデカい。
    • 前述のBGMで容量を食っているためと思われる。
  • 続編として『WWA COLLECTION2』も発売された。
    • 楽曲が絞られて容量が改善された他、ランキング機能に対応してスコアに意味ができている。
最終更新:2025年01月20日 13:54