探しものは、夏ですか。

【さがしものはなつですか】

ジャンル ノベルアドベンチャー
対応機種 Nintendo Switch
PlayStation 5
PlayStation 4
Xbox Series X/S
Xbox One
Windows(Steam/Microsoft Store)
発売元 ケムコ
開発元 スタジオワンダーフォーゲル
発売日 【各CS機】2023年8月25日
【Steam】2023年9月20日
定価 1,430円
プレイ人数 1人
レーティング IARC 3+(3歳以上対象)
判定 なし
ポイント ひと夏のひと時を描いた短編青春ノベル
ケムコノベルアドベンチャーシリーズ


概要

スタジオワンダーフォーゲルが開発したスマートフォン向けノベルアドベンチャーの移植版。
ケムコによるパブリッシングに辺り、後日談エピソードやボイス、イベントスチルなどが追加されている他、UIも他のケムコノベルとほぼ同等のものに置き換えられた。
ストーリーに分岐点はあるが、謎を多く残したままエンディングを迎えるパターンがほとんどで、周回し新たな分岐に行く事を繰り返す事で全貌が明かされていくなど、実質的に一本道の構造となっている。


あらすじ

2018年8月、平成最後の夏の日に大学生の空木恭平は母方の実家がある田舎町「天川町」へと帰省する。
恭平は数年前に店主が亡くなった思い出の駄菓子屋に立ち寄った際に不思議な少女・織原真琴と出会い、半ば強引に彼女の無くしたビー玉探しに付き合わされる事となる。
町が七夕祭りの準備に追われる一方で、一人の少女が失踪する事件も発生し、話を耳にした恭平は子供の頃に一人の少女と喧嘩別れしていた事を思い出す。


登場人物

  • 空木恭平
    • 主人公。内向的な性格の大学生であり、当たりの強い言葉を使ってしまう事が多い。両親が離婚しており、現在は父親と暮らしている。
  • 織原真琴
    • ヒロイン。駄菓子屋に住み着いていた少女。高校生程の年齢で駄菓子屋の店主とは昔馴染みだったとの事。強引な性格であり、物語では恭平を引っ張っていく場面が多い。
  • 橋爪久美子
    • 恭平の母親。離婚後は天川町の実家へと戻っている。小言が多い昔ながらのお母さんキャラ。
  • 橋爪清
    • 祖父。昔気質であり、はっきりしない物言いを嫌う。恭平は苦手意識を持っている。
  • 橋爪節子
    • 祖母。温厚な性格のおばあさんであり、清や久美子のクッション役となる事が多い。
  • 本原かをり
    • 駄菓子屋の店主。恭平とは面識があったが、現在は故人。
  • 館長
    • 濃いヒゲが特徴的な図書館の館長。恭平の相談相手となる。

評価点

  • 夏の空気を感じさせるビジュアルやサウンド面
    • 立ち絵やイベントスチルは水彩画タッチで描かれ、ストーリーでもラムネ瓶が頻繁に出てくる他、メッセージ欄のカーソルアイコンもビー玉になっているなど、清涼感を強く感じさせる。
    • BGMも主題歌を初め、良曲が揃っている。セミの鳴き声など環境音も抜かりは無い。
  • シナリオもあらすじから察せるような王道のストーリー
    • コンセプトからしても「ひと夏のボーイミーツガール」といった趣であり、ヒロインとの喧嘩や家族との不和を乗り越え、成長するといった展開が描かれる。
      • 短いゲームだけにある程度シナリオ展開を察しやすいが、短いストーリーで上手くまとまったシナリオである。
  • 柔らかいタッチのグラフィック
    • 絵柄は少々癖のある絵柄だが、田舎の素朴さを描く作風には合っており、ヒロインも可愛らしく描かれている。
    • なお、背景は実写取り込みのフリー素材が使われているが、水彩画風の立ち絵と程良くマッチしている。

問題点

  • 低価格ソフトにしてもかなり短いシナリオ
    • 追加要素も含めて一通り読み切るのに10時間もかからない程度であり、システム的にも選択肢による分岐がある程度なのでシステムで遊びの幅があるという事もない。
      • 低価格ソフトだからといえばそれまでだが、それにしても1000円を超えるソフトとしてはやはりシナリオの短さを感じる。
  • せっかく追加されたボイスだが、少々棒読みな所がある。
    • 特にヒロインである真琴は頻繁に声を耳にするため、気になりやすい。
  • 後半で、ある人物の生い立ちが語られるのだが、そこに至るまでの伏線がほとんど無く、やや唐突に感じやすい。

総評

田舎を舞台にしたボーイミーツガール物として短くまとめられた短編シナリオ。 王道的な展開ではあるが、言い換えれば無難に安定した内容でもあり、絵柄やあらすじを見て気になった人は手に取ってみて損のないゲームである。 ただ元がフリーゲームだけにかなり短めのシナリオであり、ヒロインがやや棒読みな所もある等、多少は割り切った上で購入すべきだろう。


余談

  • 元々はフリーゲームとしてブラウザ向けに公開されていたが、スマホアプリ化の際に公開停止となっている。
    • 原作となるスマホ版は現在も無料アプリとして配信されている。こちらを先にプレイしてみるのも良いだろう。
      • ちなみにゲーム中に広告が流れる仕様であり、その際には告知も入る。
  • 現時点では海外向けのローカライズが行われておらず、Steamでも日本語対応のみにとどまっている。アドベンチャーポータル更新停止後以降の作品では、個人販売のSteam版「春待ちトロイダル」を除き唯一となる。
最終更新:2025年01月26日 17:17