ASMRスライス
【えーえすえむあーるすらいす】
| ジャンル | シミュレーション |  | 
| 対応機種 | Nintendo Switch | 
| 発売元 | QubicGames | 
| 開発元 | Crazy Labs | 
| 発売日 | 2024年2月8日 | 
| 定価 | 735円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | IARC3+ | 
| 備考 | DLCあり | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ゲーム性はほとんど無く、文字通りASMRがメイン | 
 
概要
色々なものをカットする音を聞いて楽しむゲーム。
ASMRの詳細はWikipediaを参照。
娯楽分野においては、耳で心地よいと感じられる動画が多くアップロードされており、本作のような物を切断するコンテンツも多く存在する。
特徴・システム
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切りたいオブジェクトを選ぶと、そのオブジェクトが少しずつ前進してくるので、好きなタイミングで刃を下ろす。
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Aボタン長押し、左スティックを下方向へ入力、画面を上から下へなぞる、といった操作のどれでも可能。
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オブジェクトに硬さの概念はなく、どんなものも一定の速度で切れる。
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オブジェクトに少しでも切れ目が入ると、切断されるまでオブジェクトの移動が停止する。
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一定条件を満たすと、そのステージ(レベルと呼ばれる)はクリアとなる。クリアするとコインが手に入る。
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特にクリア条件が存在しないレベルも多く、その場合は何をどうやっても必ずクリアできる。
 レベルによっては、何も切らないで眺めているだけでクリアになることもある。
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オプションで「チャレンジモード」をONにしていると、「決められた量を切り落とす」「同じ幅に切る」などのクリア条件が追加されることがある。デフォルト状態でONになっている。
 
 
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クリア時に手に入れたコインで、ナイフを購入することができる。
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ナイフによって切断時の音だけでなく切れ味も異なる。切れ味は見た目や価格に概ね準じる。
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斧やチェーンソーだけでなくクレジットカードやゼムクリップといった変わり種、さらにはドットでできた剣やバスターソードなどもありバリエーションは豊富。
 
評価点
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ASMRを謳うだけあって「ズーッ…」と刃がオブジェクトに食い込んでいく音、オブジェクトを切り落として刃が机に当たった時の「タンッ」という音などは聞き心地がよい。
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(一部例外はあるが)オブジェクトは薄切りすると めくれるように丸まって切れるなどの変化が生じる。いろいろな厚みで切ってみたいという好奇心がそそられる。
賛否両論点
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レベルをクリアした際に「ピロン」という音が鳴る。
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カッティング音に集中したい場合は邪魔に感じることがあるかもしれない。
 
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上記にも付随することだが、素材をエンドレスに切り続けられるモードは無い。
 オブジェクトのサイズは総じてあまり大きくはなく、すぐに切り終えてしまう。
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ひたすら薄切りし続けることでプレイ時間を延ばすことはできるが、オブジェクトは自動的に進む仕様なので薄切りしようと思うと手を休めることなく切り続けなければならない。
 
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以上2点についてはどちらも、この作品を「ゲーム」として見るか「ASMR」として見るかの違いである。
 ゲームとして見るならばステージクリアやクリア時の効果音は必要になってくるし、ASMRとして見るとクリア時の音やステージクリアそのものが不要になってくる。
問題点
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カッティング音は使用したナイフにのみ準拠し、オブジェクトによる違いはない。クロワッサンもマグカップも同じ音で切れるようになる。
 ASMRを謳うゲームとして、何を切っても同じ音がするというのは痛い問題点。
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オブジェクトの内部は正確に描写されておらず、たいていはただの平面になる。
 例えば、洗濯機を切断したとしても中の部品が見えるということはなく、断面は虹色の平面になっている。
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レベルによっては金色の動物がオブジェクトの中に埋もれており上手にカットすると取り出すことができる
(この黄金像はなぜか刃が透過し切断されない)が、これ自体はクリア条件と何ら関係ない。
 
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上記2点(オブジェクトによるカッティング音や断面の変化に乏しい)から、各レベルの違いはただの外見の違いでしかない。
 強いて言えばオブジェクトの厚みによって切断されるまでの時間が、オブジェクトの長さによってクリアまでにかかる時間が異なる程度。
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ナイフを素早く下ろすことはできないので、リズミカルな千切りなどはできない。
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切断したオブジェクトが机の下に落ちないレベル(まな板の上の野菜を切るレベル15など)で薄切りを繰り返すと、処理が重くなりフレームレートが落ちる。
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基本的にオブジェクトはどんな形状であっても1つの物体として扱われるため、ものによっては不自然な挙動を取る。
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例えばレベル56は取っ手のついた電子ジャーのような形状のオブジェクトが出てくるが、中央部分に薄く切り込みを入れるとすでに切断され切り離されているはずの取っ手の部分が空中に浮いたまま残る。
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同じような理由で、上部と下部に空白が存在するオブジェクトに刃を入れると、何もない空間に刃を下ろしている最中にもカッティング音が鳴るので少々不自然。
 
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レベル45はたくさんの穴から棒状のオブジェクトが多数伸びてくるステージだが、ここではオブジェクトの1本1本に判定があり刃を真ん中まで下ろせば上半分だけが切断されて落ちるようになっている。しかし、こういった処理がされているオブジェクトは稀。
 
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レベルをクリアしていくと「謎のオブジェクト」という追加レベルが解放されるが、謎のオブジェクトのほとんどは専用のナイフの使用を強制され、好きなナイフを自由に使うことができない。
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チャレンジモードをオンにすると一部のレベルでクリア条件が設定されるというのは先述した通りだが、大半のクリア条件が「ひたすら薄切りする」だけで完了できてしまう。
 元々がゲーム性ではなくASMRがゲームの主旨なのだからそれで良いと言えば良いのだが、「ゲームとして遊びたいならチャレンジモードON、ASMRを楽しみたいならチャレンジモードOFF」という住み分けをした方がメリハリがつく。
 チャレンジモードというオプションを作っておきながら雑なプレイングでクリアできてしまうのは何とも中途半端。
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例えば「決められた量を切り落とす」というクリア条件の場合、仮に50gを切り落とさなければならない場合、一度で50gちょうどを切り落とさなければいけないというわけではなく、5gずつ等間隔に切っていけば「累計50g」でクリアになる。
 もちろん、いったん40gくらいのところで切り落としてから少しずつ薄切りしていくみたいな方法でもクリア可能。
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また、ベルトコンベアで流れていく皿の上にカットしたオブジェクトを載せていくというレベルがあるが、皿に載せるサイズが決まっているわけでもなければ、皿に載らなかったからといってミスプレイになるわけでもない。
 適当に薄切りを繰り返していけば、皿からいくらこぼれようとそのうち皿に載るのでいずれクリアできる。
 それどころか、切り落として皿からこぼれたオブジェクトの上にさらにオブジェクトが載ると、皿に載ったのと同じように成功扱いになる。
 
総評
DLCを含めずに80のレベルが存在するとはいえ、概ね1レベル1分以内で終わるため1時間前後で遊び終えてしまう。
全てのナイフをコンプリートするにはもう少しプレイを要するが、結局のところ「何を切っても同じ音と平坦な断面図しか出てこない」ということが早々に分かってしまうため、そこまで遊びつくしたいと思うだけの訴求力があるかというとかなり怪しい。
DLCでオブジェクトとナイフがアンロックされるが、そちらについても同様である。
ゲーム性ではなくASMRが主体であること、735円の低価格ゲームであることの2点を考慮して「一応、低価格なASMR作品として成立しては居る」と判断して筆者はクソゲー判定を付けなかったものの、問題点や賛否両論点に記した通りASMR作品としてもクオリティは微妙で、価格に関してもボリュームや内容を考慮すると少々割高な印象は否めない。
余談
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2024年5月20日に『ASMR Slicing』のタイトルでSteamでも配信されている。
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本作以前にもアダルトゲーム「Audiloveシリーズ」など、ASMRを取り入れたゲームは存在している。
最終更新:2025年02月08日 16:38