本記事はメガドライブ版の記述となります。アーケード版は『究極タイガー』の記事を、ファミコン版は『究極タイガー (FC)』の記事を参照してください。
究極タイガー
ジャンル
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縦シューティング
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対応機種
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メガドライブ
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発売元
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トレコ
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開発元
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グラフィックリサーチ
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発売日
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1991年2月22日
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定価
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7,500円
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判定
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劣化ゲー
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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無理弾多数 外見とBGMは頑張っているが… PCエンジン版にはるかに及ばず
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東亜プランSTGシリーズ
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概要
家庭用移植としては、PCE、FC版に次ぐ3作目。PCE版から約2年後にリリースされた。
今作がリリースされた頃のメガドライブでは、東亜プランが製作したアーケード作品が多数移植されていた経緯があり、
いずれも原作と遜色の無い完成度という事もあり人気を博していた。
そんな中、特に人気の高かった究極タイガーがメガドライブに満を持して移植。
移植される作品が作品という事もあり、発売前は注目度も高かったのだが…
いざ蓋を開けてみると、アーケード原作どころか、それを上回る理不尽な高難易度ゲームとしてプレイヤーの記憶に残る事に…
特徴
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ゲームのルールや自機のパワーアップといった大まかなゲーム内容は移植元と同様なので割愛。
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プレイヤーとなる「バトル・タイガー」の操作は十字パッドで自機の移動、Bボタンでショット、A及びCボタンでボンバーを投下。
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連射装置の標準搭載
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過去に発売された家庭用移植作品ではショットの連射機能が存在せず、連射の際には外付けの連射パッドが必要だった。だが、今作ではメガドライブで発売されたシューティングゲームにおけるお約束としてショット連射機能が標準で搭載。これにより、今作は外付けの連射装置無しでショットの高速連射が可能になっている。
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タイトル画面
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メガドライブ版の特徴の一つとして、以下のタイトル画面での操作が追加されている。
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クレジット投入の再現
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他の移植版とは異なり、スタートボタンを押しても即ゲーム開始にならず、クレジット投入音と共に待機画面になる。更にスタートボタンを押すとゲームが開始するという仕様になっている。
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コンフィグレーションモード
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メガドライブ版ではさらに、クレジット投入前のタイトル画面でBボタンを押す事により「コンフィグレーションモード」に入る事が出来る。
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このモードはゲーム内の様々な設定を変更できる所謂「オプション画面」に当たる。
変更できる項目はプレイヤーの残機数やゲームの難易度、自機の攻撃ボタンの変更などが可能。
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また、このモードではゲームで使われている楽曲を自由に聞く事ができるサウンドテスト機能も備えている。
問題点
ゲームバランスは大分改悪されている。
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アーケードそのままの仕様で移植してしまったために、とにかく序盤から敵弾が尋常ではない速さでプレイヤーを襲いにかかってくる。
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しかも、「自機が戦車やヘリなどの雑魚敵の至近距離にいる時は、その雑魚敵は弾を撃たない」という東亜プラン製STGではお約束の仕様が搭載されていない。加えて、画面が横画面という事もあり、かの雷電の雑魚戦車の如く、真横などのプレイヤーの死角から敵弾を狙い撃たれるケースもしょっちゅう発生する。
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一応だが、オプション画面で難易度をデフォルトのHARDからEASYに下げる事で敵弾の速度を他機種移植版の様な速度に下げる事自体は出来る。それでも無理弾は収まらないので、結局のところは焼け石に水程度にしかならない。
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敵自体もアーケードほぼそのままのサイズで移植された為、終始画面が狭い状態で戦わなければならない。
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AC版では非常に強力だった青ショットも画面が狭くなった関係でショット間の広さが目立つ様になり、雑魚処理はともかく主にアイテムキャリアーに当たりづらくなってしまった。加えて、広範囲に分散して飛んでいく関係上まとめて当てにくくなってしまい、耐久力のある敵に対しての火力が減少…等々、装備しても全く気が休まらない程度の弱体化を施されてしまった。
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一方、赤はほぼそのままな性能…どころか、連射力の高さも相まって、青ショットとは真逆に前方一直線のダメージが鬼の様に強化。それにより、緑が劣化版赤という立ち位置になってしまい、結果的に罠武器も増えてしまう事に…
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「青の大幅な弱体化」「赤の超強化」という点が重なった結果、今作は結果的に「主に横方向からの猛攻をしのぎつつ、前方一直線に対して超強力な攻撃を使いこなしながらステージを進める」という「究極タイガーらしくない」戦術を大半で求められる事になってしまった… ここまで来るともはや前作「タイガーヘリ」の様な内容へと先祖返りしてしまっているのも同然である。
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これらのせいで難易度が異常な高さとなり、アーケードや他の家庭用移植版に慣れたプレイヤーですら悪戦苦闘するレベルのものに仕上がってしまった。
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普通は縦長画面から横長画面へ画面サイズの変更にあたり、通常は縦方向の移動速度を遅くするなどで画面が狭くなってもプレイに支障が出ないように調整する。
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自機ショット音が出ない
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STGといえば迫力のあるショット音でゲームを盛り上げている筈なのだが、本作では何故か音を立てずにショットを撃つというSTG界隈から見れば非常に不自然な現象が起こっている。
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一応、ショットが敵に当たった際のヒット音だけはきっちりと継続しているのだが、何故自機のショット音をカットしてしまったのだろうか。
評価点
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独特なオプション面
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過去に発売された「究極タイガー」の移植版では、オプションモードが存在しなかったのだが、メガドライブオリジナルのモードであるコンフィグレーションモードでゲーム内の様々な要素を変更する事により、他機種以上に遊びの幅が広がりやすいのは良い。
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難易度面に関してはゲーム仕様の関係で勿体なくなってしまったものの、デフォルトの「HARD A」から「EASY A」に変える事により、多少は遊べる程度に改善される。
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連射機能が標準で搭載されている点も、外付けの連射装置いらずになるのも嬉しいところ。
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グラフィックは少ない色数ながらそれなりに似せようと努力している。
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ただし敵戦車のグラフィックパレット設定が間違っているのか、何故か全身オレンジ色になってしまっている。そのため「みかん色タイガー」などと呼ばれることも……。
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クレジット投入の疑似再現
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この時代の移植作品でクレジット投入まで再現するケースはかなり稀である。移植の際に削除されがちなクレジット投入音も再現されてるので粋な演出と言えよう。
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BGMの評価は高い。
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MD用に若干のアレンジが施されているが、おおむねオリジナルの雰囲気を壊さない程度に留めているのは好感が持てる。
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加えて、今作はデフォルトでサウンドテストが搭載されている事から、誰でも容易にクオリティの高い楽曲を聞ける様になっているのは良い。
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追加エンディングの存在。
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MD版も他機種同様に周回ループが廃止され1周エンドに変更されている。MD版のエンディングはかなり力の入った出来で、全機種の中でも最も高い評価を受けた。
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ラスボスを撃破すると画面全体がホワイトアウトし「グラディウス」の様なデモ画面へ移行する迫力のある演出が挿入される。スタッフロールもセピア色で書き下ろされた一枚絵が戦場の悲壮を漂わせる。
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ラスボス撃破シーンで追加された新曲も評価が高い。同シーンではシチュエーションと相まって盛り上がること間違いなし。
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ただ、このシーンではゲーム本編よろしく爆発のSEが流れない点は賛否が分かれている。
総評
メガドライブの東亜プラン製ゲームの移植作としては「数少ない失敗作」ともいうべき例。
「開発元が東亜プラン製STGの基本仕様を理解していなかった」等により、ゲームバランスが崩壊。
アーケード原作を上回る理不尽高難度ゲーへと変貌を遂げてしまったものの、ゲーム性自体はそれなりに再現されているので遊べなくはない。
だが、約2年前に発売されたPCE版よりもはるかに出来の悪い移植となってしまったことに、当時のメガドライブユーザーは落胆したはずである。
余談
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海外のジェネシスでは海外アーケード同様に『TWIN COBRA』名義での発売。
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アーケード原作は海外版では様々な仕様変更が施された上で発売されていたのだが、ジェネシス版での今作の内容はタイトル以外は国内版と同様。すなわち、ジェネシス版では海外アーケード版の様な2人協力プレーなど出来ず、結果的に国内版以上にアーケードからかけ離れた内容と化している。海外ハードで国内版と同内容のソフトが出来るのは評価できるのだが…
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今作は前述の『究極タイガーヘリ』にてAC原作やPCE版、FC版と同時収録されているため、現在は比較的プレーが容易。
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しかし、今作は数あるバージョンの中でも最も難易度の高いバージョンになっているので、余程の自信が無ければ他のバージョンから触れるのが無難。
最終更新:2025年02月15日 20:16