魔導物語I

【まどうものがたりわん】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 メガドライブ
発売・開発元 コンパイル
発売日 1996年3月22日
定価 7,800円(税別)
プレイ人数 1人
配信 プロジェクトEGG:2024年1月30日
判定 なし
ポイント 魔法を使うのに格ゲーの如きコマンドが必要
魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク

概要

魔導物語1-2-3』のエピソード1を大幅にアレンジしてメガドライブに移植した作品。
本作より前に同じセガハードで1993年に発売されたゲームギア版『魔導物語I 3つの魔導球』がベースになってる部分も多い。

ちなみに日本で発売された最後のメガドライブ用ソフトとなっている。


特徴・システム

3Dダンジョン、ファジー・パラメーターシステムはほぼ原作通り。
以下は追加、変更点。

  • 戦闘は真横視点になり、アルルも敵もアニメーションでよく動くようになった。
  • 戦闘はターン制だった原作とは異なり、シリーズ初の「リアルタイム制」を採用。
  • 魔法を使うにはまずAボタンを押し続けて「魔導状態」になり、そこで格闘ゲームのように方向キーによるコマンドを入力し、Aボタンを離すと発動するという独特のシステムを採用。上下左右の4方向のみで、斜めは使用しない。
  • マップが10×10マスになり、純粋に広くなった。
  • 新アイテムとして「アミーゴカプセル」が登場。モンスターを捕まえて仲間に出来る。*1
  • 先に発売されたSFC版『魔導物語 はなまる大幼稚園児』と同様、2つのアイテムを合成できる施設が新たに追加された。
    • 「同じアイテムの組み合わせであれば同じ結果になる」という合成システムこそ『はなまる』と同様だが、登場アイテムの違いもあって組み合わせは本作の方が非常に複雑である。

シナリオ面も大きく変更されている。

  • ゲームギア版オリジナルキャラだった「カミュ」がアルルの先輩に設定が変更されて本作でも登場。さらに本作オリジナルキャラの「ラーラ」が追加。
  • 3つの魔導球を集めるという要素は完全にカット、かわりに塔の中でのアルルの行動で採点されるという内容になった。
    • 塔の中にある全40問の問題に正解する事、塔の中にある全40個の宝箱の中身を回収する事、塔の中でいろいろサブイベントをクリアする事で点数が加算され、満点は100点となる。
    • 点数によってエンディングが変化する。点数が低いと不合格になってしまうバッドエンド。
  • ラスボスがPC-98版やGG版の「腐導師」ではなく、MSX2版と同様の「まもの」に原点回帰している。

評価点

  • ゲームのグラフィックや演出はゲームギア版より、かなり豪華になっている。
  • 新システムの導入により、過去作の魔導1プレイ経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる。
  • マップが広くなった影響か全体的にボリュームアップ。ゲームギア版よりも格段に長くなっている。

賛否両論点

  • 一部の設定変更
    • 従来の『魔導物語I』におけるアルルは「卒園試験を唯一受けることができた優秀な実力を持つ園児」のような立ち位置だったのだが、この作品でのアルルは「試験にやる気がなく、苦手な筆記試験を鉛筆転がしで適当に答えを入れたら合格してしまい、卒園試験に挑むことになった」というかなり不真面目な園児として描かれている。
      • ただし、同時に「物覚えは悪いが潜在能力は高い」とされており、経緯はどうあれ彼女が卒園試験に挑むこと自体に関しては問題がないようになっている。
      • この設定変更により、「一定の点数以上を獲得しないと合格できない(合格点を下回ると塔を脱出しても落第する)」というマルチエンドが採用されたため、従来とは異なる本当に試験らしい仕組みの緊張感が導入されたという利点もある。
    • 「カミュ」もGG版から大きく設定が変わり、本作ではアルルの2歳上の先輩で、非常に優秀な成績で魔導幼稚園を卒業した天才児となっている。園長先生(老婆)の孫で、優秀なためか試験官として抜擢された。
      • そしてカミュの祖母として登場する「園長先生」は、SFC版『はなまる』の若い美青年とは全く異なる老婆となっている。*2
    • あくまでも「過去作とは設定が異なる」というだけで、そもそも『魔導物語』シリーズ自体が同時期のストーリーでも機種によって設定がそれぞれ細かに異なるパラレルワールドであるため、本作単体で見れば特に設定に問題がある訳では無い。

問題点

  • 魔法を使うために格ゲーのようなコマンド入力がいちいち必要な事。魔導物語シリーズでは魔法が通常攻撃に相当するため、最初は物珍しいが慣れてくるとちょっと面倒になってくる。(参考:魔法コマンドの一覧)
    • そもそもコマンドを覚えるのが難しい。幸い基本魔法のファイヤー(↑←↓→)とアイスストーム(↓←↑→)は比較的簡単なコマンドだが…*3
    • 戦闘中はスタートボタンを押す事でコマンドを確認できるが、移動中はコマンドを確認できないのも問題。移動中でも魔法を使う機会はそこそこあるのでコマンドを忘れると面倒。
  • 相変わらずマップに階段やお店など重要な場所は記されない。
    • 特に本作は40問の問題も存在する。答えるために必要なアイテムを後で持って来ようとして問題の場所を忘れがち。
  • アミーゴカプセルが扱いにくい。
    • 仲間にしたモンスターの行動はアルルのコマンドに対応しているが、どのコマンドで行動できるかは知らされないので自分で調べるしかない。結局アルルで戦った方が楽という結論になりがち。
  • アイテム合成の施設へのアクセスが悪い。
    • 初めて登場するのがゲームが中盤に差し掛かる6階なのだが、この場所はかなり行きにくい場所にあり、あまり気軽に行ける所ではない。
    • ゲームもそろそろ終盤となる地下1階にも同施設があり、こちらはわりと行きやすい。そのためアイテム合成はそれまでほとんどやらないプレイになってしまう事が多い。
  • 9階にアイテム預かりの施設があるがほとんど役に立たない。
    • なにしろ9階にしかないので必要なアイテムを引き出すためにはいちいち9階まで行かなくてはいけなくて面倒。
  • 本作オリジナルキャラ「ラーラ」の存在意義。
    • カミュに憧れている、アルルを敵対視している、という設定だが大体のイベントではカミュを追いかけてばかりでストーリーの根幹にはほぼ関わらない。アルルの邪魔になるような事もほぼしてこないのでいささか拍子抜け。
  • アイテム「いだてん草」の扱いを間違うと100点がほぼ不可能になる。
    • このいだてん草、店で買えるアイテムなのだが個数限定品。そして一部の問題でいだてん草が必要になるのだがその前にいだてん草を使い切ってしまうと問題に答えられなくなる。
    • 実はアイテム合成でいだてん草を作る事は可能、なのだがその組み合わせを自力で見つけるのは至難である。
  • ラスボスがかなりの強敵。それまでの敵とは明らかに別格の強さで急激に難しくなる。

総評

意欲的な新システムを導入したものの、かなりクセの強い作品になってしまった感のあるゲーム。
とはいえ他の魔導にはない独自の色が出せたのも確かでゲームとしても特に破綻しているわけでもない。
魔導ファンならプレイしてみる価値はある作品だと言える。


移植

  • 2016年5月20日にはD4エンタープライズよりWindows版『魔導物語 きゅ~きょく大全 通 -MD&DS-』の収録作品の1つとして限定復刻された。在庫完売のため2017年5月22日をもって販売終了。
    • 2023年に限定発売の『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』にも再録。こちらも2023年12月31日販売終了。
  • 2019年9月19日発売のメガドライブミニに収録されている。
    • 幼稚園児のアルルが酒を飲むのは流石にまずいと判断されたのか、酒系アイテムは名称のみ「ももも酒」→「ももも水」のように置き換えられている。また、ジョッキに注がれて泡が出ているグラフィックのちゃんぽん酒は「3色サイダー」となった。ご丁寧に公式サイトの取扱説明書も該当箇所の説明文が差し替わっている。
  • 2024年1月30日よりプロジェクトEGGにて配信開始。
最終更新:2025年06月23日 05:31

*1 ちなみに本作発売の前月には『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されている。

*2 ただし『はなまる』のオリジナルキャラクターは徳間書店との版権絡みで他作品に登場が難しいという事情もあったため、別人に設定変更された可能性が高い。

*3 それぞれ上から左回り、下から左回りと覚えれば良い