この項目では『Jリーグ ウィニングゴール』のゲームボーイ版・ファミリーコンピュータ版を取り扱っています。
判定は前者はなし、後者は
良作
です。
Jリーグ ウィニングゴール
【じぇいりーぐ うぃにんぐごーる】
| ジャンル | スポーツ(サッカー) |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | エレクトロニックアーツ・ビクター | 
| 発売日 | 1994年4月2日 | 
| 定価 | 5,980円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | MFがない7人制サッカー キックするまでの反応がやや鈍い
 リーグ戦は本格仕様で細かく設定されたステータス
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概要
1994年にエレクトロニックアーツ・ビクターから発売されたゲームボーイソフトのサッカーゲーム。
その名の通り前年に開幕した日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」のゲーム化作品。
Jリーグのゲーム作品はゲームボーイでは2本目で『Jリーグ ファイティングサッカー』(IGS・1992年12月27日)以来となる。
内容
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スタンダードなクォータービュー視点のサッカーゲーム。
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Jリーグ公認のゲーム化作品で、選手は実名(ただし表記はアルファベット)。
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当時のJリーグ加盟12チームが収録されている。
 
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根本的にはスタンダードなサッカーだがハード性能の関係で11人制が実現できずフィールダー6人とキーパーの7人制になっている。
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他にベンチメンバーが4人登録されている。
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人数の都合でMFがカットされFWとDFのみに二極化されている。
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収録された選手の中で本来MFの選手は、ゲームメーカー等の攻め型はFWに、ボランチ等の守り型はDFとして登録されている。
 
 
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試合は45分(表示上)ハーフの前後半方式。
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前後半で決着がつかない場合15分(表示上)ハーフで延長戦を行う。
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延長戦は上記の時間制だが、どちらかが先に点を入れれば残り時間に関係なく打ち切りのゴールデンゴール(別名「Vゴール」)方式。
 
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延長戦で点が入らず前後半が終わるとPK戦に入る。
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PKは5人制で5人が終わって同点だった場合は、差が付くまで延長するサドンデスに入る。
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PK戦のゴールは「左・中・右×上・下」で6区分にわかれており、キーパーが予測した場所に飛んでいればパンチングで防げるがジャンプのタイミングが外れてゴールを許す場合もある。
 
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システム上ではオフサイドは実装されていない。
 
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試合中にゴールを決めた場合、その後のデモでゴールを決めた選手の名前が表示される。
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自殺点(オウンゴール)の場合は表示されない(記録上チームの得点のみで個人では誰の得点にもならないため)。
 
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選手の途中交代は不可。
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そのため、スタメンを決めたら最初から最後までそのメンバーで試合を行う。
 
リーグ戦
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自チーム以外の11チームと2試合ずつ総当りの計22試合を行う。
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これは当時のJリーグのルール、ホームとアウェーで1試合ずつ総当たりに準じている。
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上記のような試合方式のため引分けはない。
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順位は「勝ち数」>「得失点差」>「総得点」で決める。
 
エキジビション
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プレイヤー同士、またはプレイヤーとCPUと単発試合でフリー対戦を行う。
オプション
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試合時間(6分・9分・18分・30分)やCPUの強さ(NOMAL・HARD)を選択。
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ただし表示上の時間は常に45分でその減りの速さが変わって上記時間になる。
 
評価点
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ゲームボーイながらもスピーディーなゲーム展開。
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過去例として3年前の『サッカー』(トンキンハウス)がゲームボーイながらスピーディーなサッカーを実現していたが、より大きなキャラクターでそちらと同等のスピーディーな展開が実現できており、進化を感じられる。
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もちろん選手も個人差があり均一能力のガワだけ選手ではない。
 
賛否両論店
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難易度も調整できるので、サッカーゲーム初心者でも勝つ達成感が味わえる。
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その一方で既に始まったリーグで負けが込んで優勝が危うくなったら難易度を落とすといったインチキができてしまう。
 
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リアルなプレイ時間を選択できるのは良いが長い時間を選択する意味があまりない。
問題点
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ボタン反応が少々鈍く感じられる。
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それに付随してA・Bボタン反応も少々鈍く、ワンテンポ遅れて押したような感覚である。
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つまり押してからゲーム中で蹴るまでにはツーテンポほどの遅れになる。
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片やCPUの方はスイスイとパスを回してくる。
 
 
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現実のサッカーの取り込みが不十分。
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MFがカットされたことで中盤が飛ばされがちなバランスになりサッカーとしては少々大味なものとなった。
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中盤を軸としたパス回し展開ができなかったり中盤でのボールの奪い合いもあまりなく、大体ロングキックで一気にFWに飛ばすパターンになりがち。
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7人制と簡略化したため仕方ないと思えるかもしれないが前述のトンキンハウス版『サッカー』のようにフォーメーションを「2-2-2」「1-3-2」にすることで維持した前例もある。
 
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システム上でオフサイドが組み込まれていないのはゲームでは特定選手以外(オフェンス時はボールを持っている者)をCPUが動かす都合上、待ち伏せさせるのは難しいのでそこまで致命的ではないがやはりサッカーの象徴的なルールなので物足りなさがある。
 
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アウトオブプレーの間でも時間が経過するので悪質な時間稼ぎができてしまう。
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選手の交代ができない。
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実際の試合では、アウトオブプレー時に選手の交代が3人までできるのだが、それができないのはリアルさに欠ける。
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もっともケガやイエローカード、レッドカードでの退場もないので致命的になるものではないが。
 
 
総評
ゲームそのものはスタンダードなサッカーゲームでゲームボーイが苦手とするスピードの感あるゲーム性を実現できているものの、プレイヤー操作ではキック反応の鈍さがサッカーゲームとして残念なところ。
またMFがカットされていることで本来重要な位置付けにある中盤がほとんどスルーされる空間になっているのもサッカーの魅力を削いでいる。
Jリーグのゲームとしても選手を十分に取り込めておらずJリーグチームのファン目線ではちょっと物足りなさを感じる。
その後の展開
余談
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後述のFCは現在ではちょっとしたレアモノで、カセット単体でも数千円の出費は必要だがGB版は非常に安価な入手が可能。
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とはいえ後述の通りクオリティは圧倒的にFC版が優れているので、そちらを入手する価値は充分ある。
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このように現在ではお手軽なGB版、中身ならFC版と中古市場できれいにバランスが取れている。
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なお当時目線では現在とは反対に5,980円とGBソフトとしてはかなり割高だった。
 
 
Jリーグ ウィニングゴール(FC)
【じぇいりーぐ うぃにんぐごーる】
| ジャンル | スポーツ(サッカー) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | エレクトロニックアーツ・ビクター | 
| 発売日 | 1994年5月27日 | 
| 定価 | 7,980円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | GB版よりも大幅進化し現実通り11人制に スタンダードながらバランスの取れたスピーディなサッカー
 最後から2番目のファミコン公式ソフト
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概要(FC)
上記サッカーゲーム『Jリーグ ウィニングゴール』のファミリコンピュータ版。
ゲームボーイ版から少し遅れて1994年5月27日に発売された。
発売元はゲームボーイ版と同じエレクトロニックアーツ・ビクター。
基本的なゲーム性は上記ゲームボーイ版に準ずるため、本項目では相違点を中心に扱う。
変更点(FC)
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GB版で省略されていたMFが実装され、現実のルール通り11人制になった
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また、ベンチの控え要因もキーパー(1人)が加わって5人になった。
 
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選手名の表記がカナになった。
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ただし最大8字までなので、日本人選手は基本的にフルネーム表記だが枠が足りない選手は名前などがカットされている。
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例えば浦和レッズの柱谷幸一(はしらたに こういち)は「ハシラタニ」のみ。ヴェルディ川崎に所属する実弟の柱谷哲二(はしらたに てつじ)は「ハシラタニテツジ」と表記。
 
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キーパーが持っている間やスローインなどのアウトオブプレー時は、プレー再開まで試合の時間経過が止まるようになった。
評価点(FC)
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スムーズになった操作性。
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GB版にあったツーテンポ遅れの感覚は解消され、キック動作などはほとんどタイムラグがなくなった。
 
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ハード性能の向上により、よりリアルに近づいたクォータービュー。
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ボールの動きも滑らかになり、バウンドなどもより自然な表現に近づいている。
 
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選手名がカタカナ表記になり、試合中でも誰なのかがわかりやすくなった。
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完全ではないものの選手名も基本的にフルネームになった。
 
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改善されたシステム。
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GB版ではできてしまったキーパーが持っている間やアウトオブプレー時にボールを持ち続ける悪質な時間稼ぎができなくなった。
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ロスタイムがないのは残念なところだが、ファミコンのハード性能やこれまでのサッカーゲームの慣例を考えれば無難な形ではある。
 
 
問題点(FC)
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GB版の難点はいくらか解消しておりFC版で増えた問題点などは特にない。
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それでも、選手の交代が出来ない、オフサイドがないなど現実のサッカーを意識すると気になる点はある。
 
総評(FC)
ゲームボーイ版はボールをキックするまでに間があったり1994年にして7人制の簡略サッカーになっていたりと、いろいろ難点があったものの、そういったものは解消された。
これにより派手さはないもののサッカーゲームとしては無難に楽しめるものとなり、グラフィックの質こそ劣るもののSFC『Jリーグサッカー プライムゴール』(ナムコ)のようなスピーディーでスムーズなゲーム性が実現した。
細かい操作ができない点はスーパーファミコンが標準レベルな時代としては不満があるかもしれないが、スペックで劣るファミコンでありながら長い歴史を紡いで進歩を繰り返し末期になってその蓄積が生んだ完成度は高いと言えるだろう。
余談(FC)
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Jリーグは1993年5月に開幕したばかりで、その当時ゲーム市場ではスーパーファミコンへの世代交代も終わっており、ファミコンはいよいよ終焉へと向かう頃だった。
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Jリーグは開幕した1993年こそ、それまでの少年層のスポーツ人気で常にトップだった野球を逆転したが間もなく始まったアメリカワールドカップ予選での期待されながらの敗退(俗に言う「2-2の悲劇」)の屈辱を味わったあたりがピークとなった。その直後、イチロー・松井秀喜の登場や「10.8ナゴヤ決戦」、野茂英雄のメジャー挑戦で一気に野球が盛り返した。
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プレイステーションが主役となった時代には上記の影響でJリーグのゲーム作品はリリースが大幅に落ちている。
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そのためJリーグ系のサッカーゲームはスーパーファミコンでの発売が多い。
 
 
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ファミコンのスポーツゲームでサッカーゲームはプロリーグのなかった頃でも野球やゴルフに次ぐぐらい多く発売されているのだがJリーグとなると本作と『Jリーグ ファイティングサッカー』(1993年6月19日発売・IGS)『J-LEAGUEスーパートッププレイヤーズ』(1994年4月22日発売・バンダイ・『データック』専用ソフト)の3本しかない。
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とはいえ1993~1994年のわずか1年半程度で3本。発売タイトルベースで見れば1993年は48本、1994年は5本と、わずか53本中の3本なら充分多いぐらいで更に「引退間近のハードにまで出した」ということを考えると、むしろ当時のJリーグ人気の異常な高さが感じられるほどだろう。
 
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1983年に発売されたファミコンことファミリーコンピュータの最後の公式ソフトとなったのは『高橋名人の冒険島IV』(直後の6月24日に発売)であることは有名だが、本作はそれに次ぐものでありサッカーに限らずファミコン最後のスポーツゲームでもある。
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しかし上記作品はテレビ東京系で放送されていたゲーム番組『スーパーマリオスタジアム』のコーナー「ファミコン王に挑戦」で勝者に貰えるソフトのリストに名を連ねていたのに対して本作はその対象とならなかったため知名度という点ではかなり低かった。
 
最終更新:2025年06月23日 10:04