Fight for Life

【ふぁいとふぉーらいふ】

ジャンル 3D対戦格闘ゲーム
対応機種 ATARI Jaguar
発売・開発元 ATARI Corporation
発売日 1996年1月15日
レーティング ESRB:T
プレイ人数 1~2人
判定 クソゲー
ポイント アタリ最後のJaguarソフト
劣悪なカメラワークと低すぎる攻撃力


概要

バーチャファイター』や『鉄拳』などの3D対戦格闘が流行りとなった90年代中期に、それらの影響を受けて作られたATARI Jaguar専用の3D対戦格闘ゲーム。
本作の開発には本家『バーチャファイター』(AC版)のプログラマーとして参加した開発者フランソワ・イブ・バートランド氏が携わっている。
また、本作はアタリ社が最後に開発・発売したJaguarのゲームソフトであり、この半年後アタリはJTSに合併されることになる。


特徴

  • 概要に書いた通り『バーチャファイター』や『鉄拳』のような3D対戦格闘ゲーム。
    • ラウンド制で、先に2ラウンド取得した方が勝利。
    • フィールド外に出ると電撃の柵に当たって強制的に負けとなる、リングアウトシステムも搭載。
    • 制限時間の類は存在しない。
  • ストーリー
    • 大雑把に説明すると、死亡している8人の死者がトーナメントで勝ち抜き、残った1人がゲートキーパーに生き返らせてもらえる、というもの。

問題点

  • 1試合に時間がかなりかかる
    • ファイターの攻撃力が低く、相手のライフを削り切るのに余裕で2~3分はかかる。
    • 前述したように制限時間が無い上に、2ラウンド先取であるため、1試合にかなり時間がかかってしまう。
    • しかもCPUは変に賢く、リング端に追いやられると、ジャンプで位置を変えるということをしてくるため、CPU相手にリングアウト勝ちはほぼ狙えない。
  • 劣悪なカメラワーク
    • カメラが戦闘中結構な頻度で回転するため、相手との距離感が掴みづらい。
    • 酷い時にはフィールドの端でいきなり180度回転して、左右の入力が逆になって、うっかりリングアウトしてしまう……なんてことも。
    • このカメラワークの悪さには理由があり、デフォルト設定の「ROLLING CAMERA」が、常に1Pが左側になるようにカメラを移動させるため。
      • そのため、もう一つの設定である「STATIC CAMERA」にすれば解決する……かと思いきや、そちらではキャラが奥や手前に移動しても全く移動しないため、戦っている最中に、自キャラが奥で相手キャラが手前に位置取る、なんてことが起こる。
  • 3D格闘として足りない部分がある
    • ガードが存在しない。敵の攻撃はステップで避けるしかない。
    • しゃがんでも立っていても出る攻撃は変わらない。つまり下段技が存在しない
  • モーションはコンパチだらけ
    • キャラクターのモーションがどのキャラでも同じモーションとなっている。尤も、上記の数々の問題点と比べたら些細なことだが。
  • Jaguarのスペックでは限界があったのか、パフォーマンスやグラフィックも悪め
    • グラフィックはJaguarということを考慮すれば頑張っている方ではあるが、それでも『バーチャファイター』や『鉄拳』等には遠く及ばず、キャラクターデザインの印象のなさも相まって、スーパー32X版『バーチャファイター』よりも劣っている。
    • fpsも25と、30を切っている始末。

評価点

  • トーナメントモードでは、勝利するごとに相手の技を奪うことができる、という他の3D格闘には無いオリジナルのシステムが存在する。
    • ちなみに勝利時にパスワードが表示されるため、これをメモしておけば技を奪ったキャラを対戦モードで使用することも可能。ゲームバランスが取れるのかは不明だが。

総評

『バーチャファイター』や『鉄拳』の後追いとして作られた本作であるが、その完成度はまさに月とスッポン。
まず、ライフ量に対して攻撃力が低すぎるせいで、1試合に時間がかかりすぎる上に、ガードや下段が存在しないせいで駆け引きも上記2作と比べて弱い。
後述するように少人数で開発したという事情を顧みれば、このような出来になってしまうのは必然かもしれないが、ユーザーにとってはそんな裏事情はお構いなし。本作は3D格闘ゲームの中でも屈指の出来の悪さを誇る一作となってしまった。


余談

  • 本作の開発に携わったフランソワ・イブ・バートランド氏は、本作のプロデューサー・ディレクター・デザイナー・プログラマーを、全て兼任している。
    • 本作の開発はかなり小規模で行われたらしく、開発スタッフは合計12人(キャラクターの声優を除く)。しかも、そのうちの半分近くがテスターと広報であり、テスターを除いたゲーム開発に携わった人数は、バートランド氏を含めて僅か4人と、かなりの少人数での開発を強いられていたようだ。
最終更新:2025年07月20日 06:45