【てっけん】
ジャンル | 3D格闘アクション | ![]() |
対応機種 |
アーケード(SYSTEM11) プレイステーション(*1) |
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発売・開発元 | ナムコ | |
稼動開始日 | 1994年12月 | |
発売日 | 1995年3月31日 | |
定価 | 5,800円 | |
廉価版 |
PlayStation the Best 1997年3月28日/2,940円 |
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配信 |
ゲームアーカイブス 2011年7月6日/600円 |
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判定 | なし | |
ポイント |
ナムコ初の3D格闘ゲーム 四肢を当て嵌めた攻撃ボタンを始め独特なシステム 濃い&イロモノ&パロディキャラの宝庫 当時は周囲から期待されていなかった |
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鉄拳シリーズ |
3D格闘ゲームを代表する『鉄拳』シリーズの第1作。
今ではアーケードにおける3D格闘ゲームの金字塔にしてナムコ・バンダイナムコの顔とも言うべきシリーズだが、その生い立ちについてはあまり明るい話はない。
当時は『バーチャファイター2』という規格外の怪物が鉄拳デビュー1か月前に稼働開始したばかりであった。
そしてそれは、ACゲーム業界に『ストリートファイターII』以来となる格闘ブームを巻き起こすことになる。
だが、当時セガと同等の3D技術を持っていたナムコの最新基板「SYSTEM22」はコスト面で使えず(*2)、さらに格闘ゲーム自体のノウハウも無し(*3)、開発コンセプトも要約すると「バーチャのおこぼれ狙い」という志の低さ(*4)、そして当の『バーチャ2』の勢いは他メーカーには追随できないほどに強烈であり…。
――と、本作は正に「誰にも期待されていない」中でリリースされた作品であった。
だが、これが後に大人気シリーズとなるまでに発展し、ましてや15年後にはバーチャをも上回る一大勢力を築くシリーズになるとは、この時点では誰も想像し得なかったであろう。
世界に名だたる大財閥「三島財閥」の頭首にして、「鉄拳王」の異名をとる最強の格闘家「三島平八」。
その長男として生まれた「三島一八」は、財閥の後継ぎとなるべく父からスパルタ教育を受けて育った。
幼少期に心の支えとしていた母を失い、さらに平八によって修行の一環として崖から落とされ胸に傷を負わされた一八は
いつか自らの実力で平八に復讐し、全てを奪うという誓いを立てた。一八が26歳になった時、平八は私設部隊「鉄拳衆」の戦力強化を目的として、
格闘大会「The King of Iron Fist Tournament」を開催。 優勝者には財閥の全ての権利を譲るというもので、多くの腕に覚えのある者たちが集った。
一八はこれを利用し、平八から全てを奪い尽くそうと、主催財閥の御曹司でありながら一人の選手として参加するのであった。
プレイヤー側で8人、敵専用で9人の合計17人。CPU専用キャラは家庭版でプレイアブル解禁が可能。
各デフォルトキャラには対応するライバルキャラクターが設定されており、使用キャラ毎に異なる相手が中ボスとして立ちはだかる。
+ | プレイアブルキャラクター |
+ | 中ボスキャラ(CPU専用、家庭用で使用可能) |
+ | 最終ボスおよび隠しキャラ |
今でも通じる部分もあるが、現在の感覚ではまともな対戦は出来ない。
主な違いとしては以下のものがあるが、もっと詳しく知りたいのであればこちらのサイト(リンク切れによるネット魚拓)が参考になるだろう。
+ | 主なパロディ元のあれこれなど |
現在の『鉄拳』シリーズとは全く別物ではあるものの、格闘ゲームの根本である「読み合い」の基礎は十分形になっている(*19)。アーケード史及び格闘ゲーム史における貢献度は非常に高い。
フレーム計算や軸移動などといった、悪い言い方をすれば小手先のテクが通じにくい、原始的な読み合いの勝負がここには詰まっている。
アーケード版稼働・PS発売から僅か3か月ほどでスピード移植された。PS用の3D格闘としては既に『闘神伝』が発売されていたが、フルフレーム(60fps)の3D格闘は本作が初となった。
アーケード層では『バーチャ』のパチモノ扱いで終わったが、これによりコンシューマー層での大きな支持を得ることに成功し、以降の基盤となっていく。
家で練習してゲームセンターでデビューするという流れが活発化し始めたのもこの時代からである。
ちなみに、ナムコのCS機用ソフトのブランドである「namcot」が使われた最後の作品でもある(*20)。
*1 PS2ソフト『ナムコレクション』にもPS版が収録されている。
*2 主に『リッジレーサー』などの大型筐体に使われていた。
*3 実際にはこの点でもセガと同等であった。
*4 その分、見た目は明らかにバーチャと区別がつくように大きく異なるテイストとなっていた。
*5 おそらくは平八の趣味「ゲタ集め」に合わせたものと思われる。
*6 いわゆる昇龍拳+右パンチコマンドに似ているが、右方向に入れた後一旦ニュートラルに戻さないと成立しない。
*7 通称「風神ステップ」と言われていたが、後に正式名称となった。
*8 通称・崩拳ステップ、鉄拳8にて「潜りステップ」という正式名称が付いた。
*9 このため、プレイヤーからは前述の「三島家」として扱われていない。
*10 なお、英語表記もシリーズ一貫して「KUMA」で、日本語以外で会話するキャラも全員「クマ」と呼称している。
*11 ゲーム中では「デビル」がつかない「一八」である。
*12 正確にはスプリングキックやクロスチョップで攻撃するものがあるのだがキャラクター限定だったりする。
*13 当時の格闘ゲームでは珍しいことでもなく、『バーチャファイター』や『DEAD OR ALIVE』なども、当時のアーケード版ではストーリデモがほとんど存在しなかった。
*14 なおこの髪型は『ストリートファイター』のガイルや『THE KING OF FIGHTERS』の二階堂紅丸など格ゲーキャラ造形の鉄板ネタと化していたが、ポールの場合は顔立ちまでポルナレフそっくりである(次回作以降は髪型以外少しずつかけ離れていった)。
*15 初期のAMショーでは吉光の代役として王(ワン)がイメージボードで紹介されていた。
*16 しかも開発途中の頃は「ロウ・ザ・ドラゴン(AC版サントラのアレンジトラックにキャラクターコールの没ボイスが収録されている)」とあからさまな名前だった。
*17 2D格闘ゲーム『バーニングライバル』を爆死させたセガ同様、ナムコもまた2D格闘ゲーム『ナックルヘッズ』を爆死させている。
*18 その後はむしろ格ゲーのCPU戦の中では強すぎず弱すぎずの絶妙な難易度調整が(一部例外もあれど)シリーズの特徴として定着していった。
*19 この部分で既に破綻していた『ナックルヘッズ』とは大違いであった。
*20 以後は社名と同じ「namco」に統一された。
*21 サウンドトラックや『鉄拳2』での流用など、以降も本作のAC版BGMに関しては家庭用準拠のものが使用されている。
*22 先の『リッジレーサー』でも起動時に『ギャラクシアン』を遊べた要素と同じ方式。この技術はナムコから特許申請されていた。
*23 PSのロンチタイトルである『リッジレーサー』は「縦横の解像度半減」「色深度のビット数半減」「フレーム数半減」と、本当にSYSTEM22の半分のスペックで製作された。
*24 SYSTEM22に搭載されているものと同一のナムコ製カスタムチップ。ただしサウンドプロセッサの性能が異なるためSYSTEM22と同じパフォーマンスは出ない。
*25 尤も、当時の汎用筐体という分野において、格ゲーが一強といえるほど、他ジャンルが追随できないほど市場を掌握していた背景と、その中でナムコは中々格ゲーをリリースに漕ぎ着けることができなかった諸事情もあった。また本作の前年に稼働開始したイルカなど可愛いキャラが特徴的なパズルの『エメラルディア』や、本作と同年に稼働開始した、ナムコ40周年記念作でもあった『ティンクルピット』など、完成度は高かったものの出た時期が悪かったせいで埋もれてしまった作品も幾つか存在した。
*26 PS本体の発売日は12月3日、鉄拳の稼働開始も12月である。
*27 一方、後にSCEもこのノウハウを活かしたAC向けPS互換基板である「ZN-1」を開発している。
*28 VF2はドル箱商品だったので、色々と抱き合わせにしないと売ってもらえなかった。
*29 特に四国をはじめ、西日本や北日本などの「1番店と大学近くの2番店が何キロも離れている所が顕著。
*30 後に「バーチャ3を入れるから鉄拳TTはいらないでしょ?」的な状態。
*31 「DEMO DEMO プレイステーション 第2号」に収録されている動画はこのバージョンである。
*32 綴りがPAULではなくPOLEだった。
*33 この頃は「ロウ・ザ・ドラゴン」という名前だった。