最終更新日時 2011年03月09日 (水) 22時49分30秒
代数的整数論 007 (711-810)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1187904318/711-810
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1187904318/711-810
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711 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 12:38:26
命題 X を局所コンパクト空間とする。 K(X) (>>708) の各元 f は有界である。
さらに、f は X のある点で最大値をもつ。 同様に、f は X のある点で最小値をもつ。
証明 A = Supp(f) とおく。
f(X) = f(A) ∪ {0}
または
f(X) = f(A)
である。
A はコンパクトであるから f(A) もコンパクトである。 よって、f(X) もコンパクトであり有界である。
f(X) は閉集合だから sup f(x) ∈ f(X), inf f(x) ∈ f(X) となる。 よって f は X のある点で最大値をもち、X のある点で最小値をもつ。 証明終
712 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 12:41:55
定義
X を局所コンパクト空間とする。
K(X) (>>708) の元 f に対して
|f|_b = sup{|f(x)| | x ∈ X } と書く。
>>711 より |f|_b は有限である。
明らかに |f|_b は線形空間 K(X) のノルム(過去スレ006の561)である。
713 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 13:03:17
定義 X を局所コンパクト空間とする。
K+(X) = {f ∈ K(X, R) | f ≧ 0 } と書く。
714 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 13:08:25
定義 X を局所コンパクト空間とする。
K(X, R) 8>>708) から R への(必ずしも連続とは限らない)線形写像 L で f ≧ 0 なら L(f) ≧ 0 となるもの全体を M+(X) と書く。
715 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 13:09:28
>>714 を次のように修正する。
定義 X を局所コンパクト空間とする。
K(X, R) (>>708) から R への (必ずしも連続とは限らない) 線形写像 L で f ≧ 0 なら L(f) ≧ 0 となるもの全体を M+(X) と書く。
716 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 13:22:44
補題 L を M+(X) (>>715) の元とする。
K(X, R) (>>708) の任意の元 f に対して |L(f)| ≦ L(|f|) である。
証明 -|f| ≦ f ≦ |f| より、
L の線形性と正値性を使って、 -L(|f|) ≦ L(f) ≦ L(|f|) となる。
即ち、 |L(f)| ≦ L(|f|) である。 証明終
717 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 13:38:46
命題 L を M+(X) (>>715) の元とする。 K を X の任意のコンパクト部分集合とする。
K のみによって決まる定数 M(K) ≧ 0 が存在し、 Supp(f) ⊂ K なら
|L(f)| ≦ M(K)|f|_b
ここで、|f|_b は f のノルムである(>>712)。
証明 >>706 より、連続関数 h : X → [0, 1] で コンパクトな台を持ち、K の上で 1 となるものが存在する。 h ∈ K+(X) である。
Supp(f) ⊂ K だから、 |f| ≦ (|f|_b)h
よって、 L(|f|) ≦ (|f|_b)L(h)
>>716 より |L(f)| ≦ L(|f|)
よって |L(f)| ≦ (|f|_b)L(h)
M(K) = L(h) とすればよい。 証明終
718 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 13:42:12
命題 X をコンパクト空間とする。 M+(X) (>>715) の任意の元 L は K(X) のノルム | |_b に関して 連続である。
証明 >>717 より明らかである。
719 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 14:03:02
X を局所コンパクト空間とする。 M+(X) (>>715) の任意の元 L を固定する。
K を X の任意のコンパクト部分集合とする。
>>706 より、連続関数 h : X → [0, 1] で コンパクトな台を持ち、K の上で 1 となるものが存在する。 h ∈ K+(X) である。
従って、集合 {f ∈ K+(X) | f ≧ χ_K} は空ではない。
ここで、χ_K は K の特性関数である。
μ(K) = inf { L(f) | f ≧ χ_K} と書く。
720 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 14:16:16
命題 >>719 において、
(1) 0 ≦ μ(K) < +∞
(2) K_1 ⊂ K_2 なら μ(K_1) ⊂ μ(K_2)
(3) μ(K_1 ∪ K_2) ≦ μ(K_1) + μ(K_2)
(4) K_1 ∩ K_2 = φ なら μ(K_1 ∪ K_2) = μ(K_1) + μ(K_2)
証明 (1) と (2) は自明である。
(3) と (4) は別々に証明する。
721 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 16:01:55
>>720 の (3) の証明
任意の ε > 0 に対して f_1 ≧ χ_(K_1) L(f_1) < μ(K_1) + ε
f_2 ≧ χ_(K_1) L(f_2) < μ(K_2) + ε
となる K+(X) の元 f_1 と f_2 がある。
f_1 + f_2 ≧ χ_(K_1 ∪ K_2) であるから μ(K_1 ∪ K_2) ≦ L(f_1 + f_2) < μ(K_1) + μ(K_2) + 2ε
よって、 μ(K_1 ∪ K_2) ≦ μ(K_1) + μ(K_2) 証明終
722 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 16:13:37
>>720 の (4) の証明
任意の ε > 0 に対して f ≧ χ_(K_1 ∪ K_2) L(f) < μ(K_1 ∪ K_2) + ε となる f ∈ K+(X) がある。
>>706 より、連続関数 h : X → [0, 1] で コンパクトな台を持ち、K_1 の上で 1 となり、 K_2 の上で 0 となるものが存在する。
f_1 = fh とおく。 f_1 ∈ K+(X) で f_1 ≧ χ_(K_1) である。
f_2 = f - f_1 とおく。 f_2 ∈ K+(X) で f_2 ≧ χ_(K_2) である。
f = f_1 + f_2 であるから μ(K_1) + μ(K_2) ≦ L(f_1) + L(f_2) = L(f) < μ(K_1 ∪ K_2) + ε
よって μ(K_1) + μ(K_2) ≦ μ(K_1 ∪ K_2)
>>720 の (3) と合わせて μ(K_1 ∪ K_2) = μ(K_1) + μ(K_2) 証明終
723 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 16:20:45
定義 X を局所コンパクト空間とする。 X のコンパクトな部分集合全体を Γ(X) と書く。 Γ(X) から R への写像 μ で >>720 の (1) ~ (4) を満たすものを 容量(content)と言う。
724 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 16:28:47
定義 X を局所コンパクト空間とする。
X の部分集合 A は X のコンパクトな部分集合 K が存在して A ⊂ K となるとき有界と言う。
コンパクトな部分集合の可算列 (K_n), n ≧ 0 が存在して A ⊂ ∪K_n となるとき A は σ-有界と言う。
725 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 16:37:09
X を局所コンパクト空間とする。 X の容量(>>723) μ を一つ選び、固定する。
σ-有界(>>724)な開集合 U に対して
μ(U) = sup {μ(K) | K はコンパクトで K ⊂ U }
と書く。
U がコンパクトな開集合であれば、明らかに μ(U) = μ(K) であるから この定義は矛盾しない。
726 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 16:49:51
命題 >>725 の条件を仮定する。
U, U_n, n = 0, 1, 2, . . . は σ-有界(>>724)な開集合とする。
(1) 0 ≦ μ(U) ≦ +∞
(2) U が有界なら μ(U) < +∞
(3) U_1 ⊂ U_2 なら μ(U_1) ⊂ μ(U_2)
(4) μ(∪U_n) ≦ Σμ(U_n)
(5) i ≠ j なら U_i ∩ U_j = φ なら μ(∪U_n) = Σμ(U_n)
証明 (1) は明らかである。
(2) U が有界なら U ⊂ K となるコンパクト集合 K がある。
K_1 がコンパクトで K_1 ⊂ U なら K_1 ⊂ K だから μ(K_1) ≦ μ(K_2) < +∞
よって、 μ(U) ≦ μ(K_2) < +∞
(3) は明らかである。
(4) と (5) は別々に証明する。
727 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 17:22:31
補題 X を局所コンパクト空間とする。 K を X のコンパクトな部分集合とする。
K ⊂ U_1 ∪ U_2 となる X の開集合 U_1, U_2 があるとする。
K = K_1 ∪ K_2 K_1 ⊂ U_1 K_2 ⊂ U_2
となるコンパクトな K_1, K_2 が存在する。
証明 A = K - U_1 と B = K - U_2 は交わらず、それぞれコンパクトである。
A ⊂ X - B だから >>704 より A ⊂ U_3 ⊂ (U_3)~ ⊂ X - B となる 開集合 U_3 がある。 U_4 = X - (U_3)~ とすれば B ⊂ U_4 で U_3 ∩ U_4 = φ である。
K_1 = K - U_3 K_2 = K - U_4 とすれば
K = K_1 ∪ K_2 となり(何故なら U_3 ∩ U_4 = φ)、 K_1 ⊂ U_1 となり(何故なら K - U_1 = A ⊂ U_3)、 K_2 ⊂ U_2 となる(何故なら K - U_2 = B ⊂ U_4)。 証明終
728 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 17:38:03
>>726 の (4) の証明
まず μ(U_1 ∪ U_2) ≦ μ(U_1) + μ(U_2) を証明する。
K ⊂ U_1 ∪ U_2 となる任意のコンパクトな K に対して、 >>727 より
K = K_1 ∪ K_2 K_1 ⊂ U_1 K_2 ⊂ U_2
となるコンパクトな K_1, K_2 が存在する。
μ(K) ≦ μ(K_1) + μ(K_2) ≦ μ(U_1) + μ(U_2) よって、μ(K) の sup をとって、 μ(U_1 ∪ U_2) ≦ μ(U_1) + μ(U_2)
これから、任意の有限列 U_1, . . . , U_n に対して μ(U_1 ∪ . . . ∪ U_n) ≦ μ(U_1) + . . . + μ(U_n)
無限列 (U_n) に対しては、ある m が存在して K ⊂ ∪U_n となる任意のコンパクトな K に対して、 K ⊂ U_1 ∪ . . . ∪ U_m となる。
μ(K) ≦ μ(U_1 ∪ . . . ∪ U_m) ≦ μ(U_1) + . . . + μ(U_m) ≦ Σμ(U_n)
よって、μ(K) の sup をとって、 μ(∪U_n) ≦ Σμ(U_n) 証明終
729 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 17:49:42
>>728
n が 1 から始まっているが、番号を付け替えれば同じことだろう。
730 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 18:07:40
>>726 の (5) の証明
ある m に対して μ(U_m) = +∞ なら
U_m ⊂ ∪U_n だから μ(∪U_n) = +∞ となる。 Σμ(U_n) = +∞ だから μ(∪U_n) = Σμ(U_n)
よって、各 n に対して μ(U_n) < +∞ としてよい。
任意の ε > 0 と各 n に対して μ(U_n) < μ(K_n) + ε/2^n となるコンパクトな K_n がある。
Σ1/2^n = 1 + 1/2 + 1/4 + . . . = 1/(1 - 1/2) = 2 よって Σε/2^n = 2ε
i ≠ j なら K_i ∩ K_j = φ だから >>720 の (4) より、
μ(U_0) + . . . + μ(U_m) < μ(K_0) + . . . + μ(K_m) + 2ε = μ(K_0 ∪ . . . ∪ K_m) + 2ε ≦ μ(∪U_n) + 2ε
m → ∞ として Σμ(U_n) ≦ μ(∪U_n) + 2ε
ε > 0 は任意だから Σμ(U_n) ≦ μ(∪U_n)
逆向きの不等号は >>728 で証明済みだから μ(∪U_n) = Σμ(U_n) 証明終
731 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 18:15:26
このあたり現代数学概説 II ( 岩波書店) を参考にしている。 しかし Halmos とだぶっている箇所もある。
局所コンパクト空間における Riesz の表現定理に関しては 現代数学概説 II と Halmos は方法がほとんど同じである。 しかし、現代数学概説 II のほうがややわかりやすいと思う。
732 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 18:24:46
命題 X を局所コンパクト空間とする。 X のσ-有界(>>724)な部分集合全体 Ψ は σ-集合環(>>197)である。
証明 明らかだろう。
733 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 18:31:44
命題 X を局所コンパクト空間とする。 A を X の任意のσ-有界(>>724)な部分集合とする。
A ⊂ U となる σ-有界な開集合 U が存在する。
証明 K を X の任意のコンパクト集合とする。
A はσ-有界だから、コンパクトな部分集合の可算列 (K_n), n ≧ 0 が 存在して A ⊂ ∪K_n となる。
>>703 より、各 n に対して、 K_n ⊂ U_n ⊂ (U_n)~ となる開集合 U_n で (U_n)~ がコンパクトと なるものが存在する。
U = ∪U_n が求めるものである。 証明終
734 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 18:37:07
>>725 の条件を仮定する。
>>732 より、X のσ-有界(>>724)な部分集合全体 Ψ は σ-集合環(>>197)である。
A ∈ Ψ に対して
μ^*(A) = inf {μ(U) | A ⊂ U, U はσ-有界な開集合}
と定義する。
>>733 より {μ(U) | A ⊂ U, U はσ-有界な開集合} は空でない。
735 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 18:46:56
残念なことに >>734 の μ^* は測度(>>316)とは限らない。 この μ^* の定義域を狭めて測度を構成するのが Caratheodory の 方法(の一種)である。
736 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 19:39:33
736
737 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:25:04
a
738 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:25:34
b
739 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:26:04
c
740 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:26:35
d
741 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:27:06
e
742 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:27:36
f
743 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:28:06
g
744 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:29:07
h
745 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:29:38
i
746 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:30:08
j
747 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:30:38
k
748 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:31:08
l
749 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:31:38
m
750 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:32:08
n
751 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:32:46
o
752 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:33:16
p
753 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:33:46
q
754 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:34:16
r
755 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:34:46
s
756 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:35:17
t
757 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:35:48
u
758 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:36:19
v
759 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:36:49
w
760 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:37:19
x
761 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 20:37:23
命題 >>734 の条件を仮定する。
A, B, A_n, n = 0, 1, 2, . . . は σ-有界(>>724)な部分集合とする。
(1) 0 ≦ μ^*(A) ≦ +∞
(2) μ^*(φ) = 0
(3) A ⊂ B なら μ^*(A) ⊂ μ^*(B)
(4) μ^*(∪A_n) ≦ Σμ^*(A_n)
証明 (1) は明らかである。
(2) >>720 の (4) より μ(φ) = μ(φ) + μ(φ)
>>720 の (1) より μ(φ) < +∞ であるから μ(φ) = 0 である。 よって μ^*(φ) = 0 である。
(3) B ⊂ U, U はσ-有界な開集合とする。 A ⊂ U だから μ^*(A) ≦ μ(U) である。 右辺の inf をとって μ^*(A) ≦ μ^*(B)
(4) の証明は別にする。
762 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:38:34
y
763 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 20:39:06
z
764 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 20:51:45
>>761 の (4) の証明
ある m に対して μ^*(A_m) = +∞ なら
A_m ⊂ ∪A_n だから >>761 の (3) より μ^*(∪A_n) = +∞ となる。 Σμ^*(A_n) = +∞ だから μ^*(∪A_n) = Σμ^*(A_n)
よって、各 n に対して μ^*(A_n) < +∞ としてよい。
任意の ε > 0 と各 n に対して μ(U_n) < μ^*(A_n) + ε/2^n A_n ⊂ U_n となるσ-有界な開集合 U_n がある。
Σ1/2^n = 1 + 1/2 + 1/4 + . . . = 1/(1 - 1/2) = 2 よって Σε/2^n = 2ε
∪A_n ⊂ ∪U_n だから >>726 の (4) より μ^*(∪A_n) ≦ μ(∪U_n) ≦ Σμ(U_n) ≦ Σμ^*(A_n) + 2ε ε > 0 は任意だから μ^*(∪A_n) ≦ Σμ(A_n) 証明終
765 :132人目の素数さん:2007/09/07(金) 21:00:18
a
766 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 21:03:11
定義 集合 X の上の σ-集合環(>>197) Ψ が、条件 A ∈ Ψ, B ⊂ A なら B ∈ Ψ を満たすとする。
Ψ から補完数直線 R~ (>>7) への写像 μ^* が次の条件を満たすとき μ^* を外測度と言う。
A, B, A_n, n = 0, 1, 2, . . . は Ψ に属す集合とする。
(1) 0 ≦ μ^*(A) ≦ +∞
(2) μ^*(φ) = 0
(3) A ⊂ B なら μ^*(A) ⊂ μ^*(B)
(4) μ^*(∪A_n) ≦ Σμ^*(A_n) (劣加法性)
767 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 22:15:43
定義 集合 X の部分集合からなる集合 Ψ が、条件 A ∈ Ψ, B ⊂ A なら B ∈ Ψ を満たすとする。
このとき、Ψ を遺伝的であると言う。
768 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 22:25:01
定義 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度(>>766)とする。 E ∈ Ψ が任意の A ∈ Ψ に対して
μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c)
となるとき、E を (μ^*)-可測と言う。 ここで、E^c は E の補集合 X - A を表す。
769 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 22:35:21
測度論の初期の段階において、>>768 のこの定義が一番わかりにくいと 思う。 高木の解析概論では、R^n における Lebesgue 積分の場合にある程度 納得のいく説明をしている。
しかし、積分を使う立場からは、この定義を鵜呑みにして先に進むのが 得策だろう。
770 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 22:59:43
命題 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度(>>766)とする。
E と F が (μ^*)-可測(>>768)なら E ∪ F も (μ^*)-可測である。
証明(Halmos) 任意の A ∈ Ψ に対して
(1) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c) (2) μ^*(A ∩ E) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c) (3) μ^*(A ∩ E^c) = μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c) である。
(1) の右辺に (2) と (3) を代入して、
(4) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
(4) の A を A ∩ (E ∪ F) で置き換えると、右辺の最後の項が消えて、
(5) μ^*(A ∩ (E ∪ F)) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F)
(4) の右辺に (5) を代入して、
(6) μ^*(A) = μ^*(A ∩ (E ∪ F)) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c) = μ^*(A ∩ (E ∪ F)) + μ^*(A ∩ (E ∪ F)^c)
よって E ∪ F は (μ^*)-可測である。 証明終
771 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 23:17:59
>>770 の別証(高木)
任意の A ∈ Ψ に対して
(1) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c) (2) μ^*(A ∩ E^c) = μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
よって、 (3) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
(1) の A を A ∩ (E ∪ F) に置き換えて、
μ^*(A ∩ (E ∪ F)) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F)
(3) から μ^*(A) = μ^*(A ∩ (E ∪ F)) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c) 証明終
772 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 23:19:27
>>771
高木の証明のほうがわかり易いようだ。
773 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 23:33:29
命題 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度(>>766)とする。
E と F が (μ^*)-可測(>>768)なら E - F も (μ^*)-可測である。
証明 任意の A ∈ Ψ に対して >>770 の
(4) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
が成り立つ。
A を A ∩ (E - F)^c = A ∩ (E^c ∪ F) に置き換えると、
μ^*(A ∩ (E - F)^c) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
これを (4) に代入して、
μ^*(A) = μ^*(A ∩ E ∩ F^c) + μ^*(A ∩ (E - F)^c)
よって、E - F は (μ^*)-可測である。 証明終
774 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 23:48:36
>>773 の別証(高木の>>771を応用)
任意の A ∈ Ψ に対して、>>771 の
(3) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
が成り立つ。
A を A ∩ (E - F)^c = A ∩ (E^c ∪ F) に置き換えると、
μ^*(A ∩ (E - F)^c) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
μ^*(A ∩ E) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c) だから (3) より
μ^*(A) = μ^*(A ∩ E ∩ F^c) + μ^*(A ∩ (E - F)^c) 証明終
775 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/07(金) 23:54:01
>>770 の (4) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
と >>771 の (3) μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F) + μ^*(A ∩ E^c ∩ F^c)
は、ほとんど同じことに気づいた。 何故なら、 μ^*(A ∩ E) = μ^*(A ∩ E ∩ F) + μ^*(A ∩ E ∩ F^c)
776 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 00:28:07
補題 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度(>>766)とする。
E_1, . ., E_n が (μ^*)-可測(>>768)で i ≠ j のとき E_i ∩ E_j = φ とする。 S_n = E_1 ∪ . . . ∪ E_n とおく。
任意の A ∈ Ψ に対して
μ^*(A) = μ^*(A ∩ E_1) + ... + μ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ (S_n)^c)
証明 n に関する帰納法を使う。 n = 1 のときは μ^*(A) = μ^*(A ∩ E_1) + μ^*(A ∩ (E_1)^c) だからよい。
μ^*(A) = μ^*(A ∩ E_1) + ... + μ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ (S_n)^c) が成り立つとする。
μ^*(A ∩ (S_n)^c) = μ^*(A ∩ (S_n)^c ∩ E_(n+1)) + μ^*(A ∩ (S_n)^c ∩ E_(n+1)^c) = μ^*(A ∩ E_(n+1)) + μ^*(A ∩ (S_(n+1))^c)
μ^*(A) = μ^*(A ∩ E_1) + ... + μ^*(A ∩ E_(n+1)) + μ^*(A ∩ (S_(n+1))^c) 証明終
777 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 00:49:00
命題 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度(>>766)とする。 (E_n), n = 1, 2, ... を (μ^*)-可測(>>768)な集合列で、 i ≠ j のとき E_i ∩ E_j = φ とする。 E = ∪E_n とおく。
E は (μ^*)-可測であり、 μ^*(E) = Σμ^*(E_n) となる。 さらに、任意の A ∈ Ψ に対して μ^*(A ∩ E) = Σμ^*(A ∩ E_n) となる。
証明 任意の A ∈ Ψ に対して、>>776 より μ^*(A) = μ^*(A ∩ E_1) + ... + μ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ (S_n)^c) ≧ μ^*(A ∩ E_1) + ... + μ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ E^c)
n は任意だから μ^* の劣加法性(>>766 の (4))より、 μ^*(A) ≧ Σμ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ E^c) ≧ μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c) 逆向きの不等式は μ^* の劣加法性より成り立つから μ^*(A) = Σμ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ E^c) = Σμ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c) よって E は (μ^*)-可測である。
μ^*(A) = Σμ^*(A ∩ E_n) + μ^*(A ∩ E^c) の A を A ∩ E で置き換えれば μ^*(A ∩ E) = Σμ^*(A ∩ E_n) この A を E で置き換えれば μ^*(E) = Σμ^*(E_n) 証明終
778 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 01:09:02
命題 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度とする。
(μ^*)-可測(>>768)な集合全体 Φ は σ-集合環であり、 μ^* を Φ に制限したものは Φ における測度(>>316)である。
証明 E が空集合なら、任意の A ∈ Ψ に対して μ^*(A) = μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c) よって、空集合は (μ^*)-可測である。
よって、>>770 と >>773 より Φ は集合環(>>189)である。
(A_n), n = 1, 2, ... を (μ^*)-可測な集合列とする。
E_1 = A_1 E_2 = A_2 - A_1
一般に、 E_n = A_n - (A_1 ∪ . . . ∪ A_(n-1)) とおく。
各 E_n は (μ^*)-可測であり、 ∪E_n = ∪A_nで、 n ≠ m のとき E_n と E_m は交わらない。 よって、>>777 より ∪A_n は (μ^*)-可測である。 よって、Φ は σ-集合環である。
>>776 の (2) より μ^*(φ) = 0 であるから、 >>777 より μ^* を Φ に制限したものは Φ における測度である。 証明終
779 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 01:16:26
定義 測度空間 (X, Φ, μ) が完備とは、任意の零集合のすべての部分集合が 零集合となることを言う。
780 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 01:18:58
定義 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度とする。 >>778 より、 (μ^*)-可測(>>768)な集合全体 Φ は σ-集合環であり、 μ^* を Φ に制限したものは Φ における測度(>>316)である。
この測度を外測度 μ^* により誘導された測度と言う。
781 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 01:31:35
命題 Ψ を集合 X 上の遺伝的(>>767)なσ-集合環(>>197)とする。 μ^* を Ψ で定義された外測度とする。 外測度 μ^* により誘導された測度(>>780)は完備(>>779)である。
証明 E ∈ Ψ で、μ^*(E) = 0 とする。
任意の A ∈ Ψ に対して、μ^*(A ∩ E) = 0 であるから μ^*(A) ≧ μ^*(A ∩ E) + μ^*(A ∩ E^c) よって、E は (μ^*)-可測である。
F ∈ Ψ で F ⊂ E なら μ^*(F) = 0 である。 よって F は (μ^*)-可測である。 証明終
782 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 02:49:34
訂正
>>781 >F ∈ Ψ で F ⊂ E なら μ^*(F) = 0 である。
Ψ は遺伝的(>>767)だから F ⊂ E なら F ∈ Ψ で μ^*(F) = 0 である。
Ψ が遺伝的であることを使っているのは今のところ ここだけである。
783 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:34:19
a
784 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:34:49
b
785 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:35:19
c
786 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:35:49
d
787 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:36:21
e
788 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:36:51
f
789 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:37:22
g
790 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:37:57
h
791 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:38:27
i
792 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:38:57
j
793 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:39:27
k
794 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:39:58
l
795 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:40:28
m
796 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:40:58
n
797 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:42:01
o
798 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:42:32
p
799 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:43:02
q
800 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:43:33
r
801 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:44:03
s
802 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:44:34
t
803 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:45:04
u
804 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:45:34
v
805 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:46:12
w
806 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:46:43
x
807 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:47:43
y
808 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 03:48:13
z
809 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/08(土) 07:41:37
定義 X を局所コンパクト空間とする。 >>732 より、X のσ-有界(>>724)な部分集合全体 Ψ は σ-集合環(>>197)である。 明らかに Ψ は遺伝的(>>767)である。
μ を X の容量(>>723) とする。
開集合 U ∈ Ψ に対して
μ(U) = sup {μ(K) | K はコンパクトで K ⊂ U }
と書き、
A ∈ Ψ に対して
μ^*(A) = inf {μ(U) | A ⊂ U, U はσ-有界な開集合}
と書く。
>>761 より μ^* は Ψ で定義された外測度(>>766)である。 μ^* を容量 μ から誘導された外測度と言う。
810 :132人目の素数さん:2007/09/08(土) 09:41:18
a
