最終更新日時 2011年03月09日 (水) 22時33分55秒
代数的整数論 007 (376-450)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1187904318/376-450
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1187904318/376-450
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376 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 12:57:40
補題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。
M_1, . . ., M_n を Φ の任意の有限な集合列とする。
このとき、互いに交わらない N_1, . . ., N_m ∈ Φ があり、 任意の M_i はいくつかの N_j の合併となる。
証明 n に関する帰納法を使う。 n = 1 のときは明らかである。
n (n ≧ 1)のとき補題が成り立つと仮定する。 n + 1 のとき補題が成り立つことを証明すればよい。
M_(n+1) ∩ N_i (1 ≦ i ≦ m) の中で N_1, . . ., N_m と異なるものがあれば、 それら全てを、N_(m+1), . . ., N_(m+k) とする。
N_(m+k+1) = M_(n+1) - (N_1 ∪. . .∪ N_m) とおく。 N_(m+k+1) は空集合かもしれないが、それはそれでよい。
N_1, . . ., N_(m+k+1) は互いに交わらない Φ の集合列である。
M_(n+1) = ∪N_i, (m+1 ≦ i ≦ m+k+1) である。
従って、N_1, . . ., N_(m+k+1) は補題の条件を満たす。 証明終
377 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 13:04:59
定義 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の単関数(>>371)全体を E(Φ) と書く。
378 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 13:16:46
命題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 M を X の部分集合とする。
χ_M ∈ E(Φ) なら M ∈ Φ である。
証明 >>374 より、 M_1, . . . , M_n を互いに交わらない Φ に属す集合とし、 χ_M = Σ(a_i)χ_(M_i) (1 ≦ i ≦ n) と書ける。 ここで、a_i ≠ 0 で、i ≠ j なら a_i ≠ a_j である。
従って、n = 1, a_1 = 1 であり、M = M_1 ∈ Φ である。 証明終
379 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 13:24:24
定義 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 Φ 上で定義され R = (-∞, +∞) に値をとる関数 λ は Φ に属し、交わらない M, N に対して常に λ(M ∪ N) = λ(M) + λ(N) となるとき、有限加法的と言う。
380 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 13:51:57
命題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 λ : Φ → R = (-∞, +∞) を有限加法的(>>379)な関数とすると、 E(Φ) (>>377) から R への R 上の線形写像 ψ で 任意の M ∈ Φ に対して ψ(χ_M) = λ(M) となるものが 一意に存在する。
証明 >>371 より、E(Φ) の任意の元 f は f = Σ(a_i)χ_(M_i) と書ける。 ここで、a_i は有限実数、M_i ∈ Φ である。
ψ が存在するなら、ψ(f) = Σ(a_i)λ(M_i) である。 これで、ψ の一意性が証明された。
ψ の存在を言うには、 f = Σ(a_i)χ_(M_i) = Σ(b_j)χ_(N_j) と2通りの表現に対して、 Σ(a_i)λ(M_i) = Σ(b_j)λ(N_j) を示せばよい。 即ち、Σ(c_i)χ_(M_i) = 0 のとき Σ(c_i)λ(M_i) = 0 を 証明すればよい。
>>376 より、互いに交わらない N_1, . . ., N_m ∈ Φ があり、 各 M_i はいくつかの N_j の合併となる。 よって、χ_(M_i) = Σa_(i,j)χ_(N_j) と書ける。 ここで、a_(i,j) は 0 または 1 である。
よって、Σ(Σ(c_i)a_(i,j))χ_(N_j) = 0 ここで、Σ(c_i)a_(i,j) は i を変化させた和である。 よって、各 j に対して、Σ(c_i)a_(i,j) = 0
λ の有限加法性より、λ(M_i) = Σa_(i,j)λ(N_j) よって、Σ(c_i)λ(M_i) = Σ(Σ(c_i)a_(i,j))λ(N_j) = 0 証明終
381 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 14:21:31
定義 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の単関数(>>371)全体を E(Φ) と書
E(Φ)+ = { f ∈ E(Φ) | 任意の x ∈ X に対して f(x) ≧ 0 }
と書く。
382 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 14:31:11
補題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 E(Φ)+ (>>381) の任意の元 f は f = Σ(a_i)χ_(M_i) (1 ≦ i ≦ n) と書ける。 ここで、M_1, . . . , M_n は互いに交わらない Φ に属す集合であり、 各 a_i は有限実数で、a_i ≧ 0 である。
証明 >>373 より明らかである。
383 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 15:25:39
補題 X を集合とする。 A, B, C, D を X の部分集合とすると、 (A - B) - (C - D) = (A - (B ∪ C)) ∪ (A - (D - B))
証明 一般に X の部分集合 E に対して X - E = E^c と書く。 ド・モルガンの公式と分配法則より、
(A - B) - (C - D) = (A - B) ∩ (C - D)^c = (A ∩ B^c) ∩ (C ∩ D^c)^c = (A ∩ B^c) ∩ (C^c ∪ D) = (A ∩ B^c ∩ C^c) ∪ (A ∩ B^c ∩ D) = (A ∩ (B ∪ C)^c) ∪ (A ∩ (D - B)) = (A - (B ∪ C)) ∪ (A - (D - B))
証明終
384 :132人目の素数さん:2007/09/01(土) 15:36:43
>>383
Kummer さん、こんにちは。
> (A ∩ (B ∪ C)^c) ∪ (A ∩ (D - B)) > = (A - (B ∪ C)) ∪ (A - (D - B))
とありますが、 A ∩ (D - B) = (A ∩ D) - B で、一方で、 A - (D - B) = A ∩ (D ∩ B^c)^c =A ∩ ( D^c ∪ B ) =(A ∩ D^c) ∪ (A ∩ B) となって、なんか、おかしくないですか?
385 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 15:50:50
>>384
はい、おかしいですね。 有難うございます。
何をやろうとしているかと言うと、 集合 X の有限個の部分集合全体で生成される集合環を決定しようと しています。
386 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 16:00:04
訂正
>>369 >x ∈ X - A のとき χ_A(x) = 1
x ∈ X - A のとき χ_A(x) = 0
387 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 16:36:17
補題 X を集合とする。 A, B, C, D を X の部分集合とすると、
(A - B) ∩ (C - D) = (A ∩ C) - (B ∪ D)
証明 両辺の意味をそれぞれ考えてもわかるが、形式的に次のように 計算してもよい。
一般に X の部分集合 E に対して X - E = E^c と書く。 ド・モルガンの公式より、
(A - B) ∩ (C - D) = (A ∩ B^c) ∩ (C ∩ D^c) = (A ∩ C) ∩ (B^c ∩ D^c) = (A ∩ C) ∩ (B ∪ D)^c = (A ∩ C) - (B ∪ D)
証明終
388 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 16:38:32
補題 X を集合とする。 A, B を X の部分集合とすると、
A ∩ B = A - (A - B)
証明 自明である。
389 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 16:45:04
補題 X を集合とする。 A_1, . . ., A_n B_1, . . ., B_m を X の部分集合からなる二つの有限列とする。
各 i (1 ≦ i ≦ n) に対して j を変化させたとき、 E_i = ∩(A_i - B_j) とおく。
∪A_i - ∪B_j = ∪E_i である。
証明 C = ∪B_j とおく。
∪A_i - ∪B_j = ∪(A_i - C)
A_i - C = A_i - ∪B_j = ∩(A_i - B_j) = E_i よって、∪A_i - ∪B_j = ∪E_i 証明終
390 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 17:18:34
補題 X を集合とする。 A, B, C, D を X の部分集合とすると、 (A - B) - (C - D) = (A - (B ∪ C)) ∪ ((A ∩ D) - B))
証明 一般に X の部分集合 E に対して X - E = E^c と書く。 ド・モルガンの公式と分配法則より、
(A - B) - (C - D) = (A - B) ∩ (C - D)^c = (A ∩ B^c) ∩ (C ∩ D^c)^c = (A ∩ B^c) ∩ (C^c ∪ D) = (A ∩ B^c ∩ C^c) ∪ (A ∩ B^c ∩ D) = (A ∩ (B ∪ C)^c) ∪ ((A ∩ D) - B)) = (A - (B ∪ C)) ∪ ((A ∩ D) - B))
証明終
391 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 18:26:47
X を集合とする。
Ψ_0 = {A_1, . . ., A_n} を X の部分集合の有限集合とする。
Ψ_0 を含む最小の集合環(>>189)を Ψ とする。
>>376 を Ψ に適用すると、 互いに交わらない X の部分集合 N_1, . . ., N_m ∈ Ψ があり、 任意の A_i はいくつかの N_j の合併となる。
いくつかの N_j の合併となる集合全体を Φ とする。 E, F ∈ Φ とする。
E ∪ F ∈ Φ は明らかである。 任意の i, j に対して、N_i - N_j は空集合か N_i である。 従って、>>389 より E - F ∈ Φ である。 よって、Φ は集合環である。 Ψ_0 ⊂ Φ ⊂ Ψ だから Φ = Ψ である。
392 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 18:34:15
>>385 >何をやろうとしているかと言うと、 >集合 X の有限個の部分集合全体で生成される集合環を決定しようと >しています。
>>387, >>388, >>390 はこのために用意したんですが、 >>391 により不要になりました。
393 :132人目の素数さん:2007/09/01(土) 18:40:08
>>392
なるほど。でも、そういう意味での「無駄」って、 どんな勉強にも不可欠では?
私も自分の勉強では、暗中模索が続いています。
それでは、続きを楽しみにしています。
394 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 18:47:36
命題 (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。 >>373 より、E(Φ) (>>372) の任意の元 f は f = Σ(a_i)χ_(M_i) と書ける。 ここで、各 a_i は有限実数で、M_i ∈ Φ である。 i ≠ j のとき M_i と M_j は交わってもよいとする。
f = Σ(b_j)χ_(N_j) を別のこのような表現とする。
各 μ(M_i) と各 μ(N_j) が有限のとき、 Σ(a_i)μ(M_i) = Σ(b_j)μ(N_j) となる。
証明 >>380 と同様にしても証明出来るが次のようにしてもいい。
i と j を変化させたときの M_i と N_j 全体で生成される 集合環(>>189)を Ψ とする。
>>391 より、任意の E ∈ Ψ に対して μ(E) は有限である。 従って、μ の定義息を Ψ に制限したものは R = (-∞, +∞) に値を とる有限加法的(>>379)な関数である。
従って、本命題の主張は >>380 から直ちに得られる。 証明終
395 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 18:56:37
>>393
そうですね、失敗も無駄になるとは限りません。 というか失敗を重ねてから正解に到達すると簡単に成功した場合より、 理解が深まるかも知れません。
396 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 18:58:26
>>394 >従って、μ の定義息を
従って、μ の定義域を
397 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 19:34:58
命題 (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
Ψ は集合環(>>189)である。
証明 空集合は Ψ に含まれるから、Ψ は空ではない。
A, B ∈ Ψ とする。 >>329 より、μ(A ∪ B) ≦ μ(A) + μ(B) < +∞ よって、A ∪ B ∈ Ψ
A - B ⊂ A だから >>321 より μ(A - B) ≦ μ(A) < +∞ よって、A - B ∈ Ψ 証明終
398 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 19:40:50
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
>>397 より Ψ は集合環(>>189)である。
E(Ψ) (>>377) から R への R 上の線形写像 ψ で 任意の M ∈ Φ に対して ψ(χ_M) = μ(M) となるものが 一意に存在する。
証明 μ の定義域を Ψ に制限したものは R = (-∞, +∞) に値を とる有限加法的(>>379)な関数である。
従って、本命題の主張は >>380 から直ちに得られる。 証明終
399 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 19:48:07
>>394 は >>398 から直ちに得られる。
実は、>>391 は >>394 を証明しようとして用意したんですが これも不要でしたね(苦笑)。 しかし、>>391 はそれ自体面白いし、いづれ何かの役に立つかも しれません。
400 :132人目の素数さん:2007/09/01(土) 20:16:23
>>399
>>376 がキーになっていますね。
ところで、M_1,..., M_n に対応する N_1,..., N_m
は、m = 2^n - 1 とできますよね?
ブルバキの積分・第4章の、集合環に関する記述(§4, no.9 の補第1)
によると、各 N_k は、次のようにして得られますから:
いくつかの添え字に対しては、 P_i = M_i
残りの添え字に対しては、 P_i = X - M_i
(少なくとも一つの添え字に対しては、P_i = M_i とする)
として、N_k = ∩{ P_i ; 1 ≦ i ≦ n }.
(既にご存知と思われますが。)
こういう風に (N_j) を構成すれば、 族 (N_j) を「無限個」選択する必要に駆られたときに、 選択公理を使わずに済ませられます。
私には、これくらいの利点しか、思いつきませんが A^ ^;)
401 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 20:56:38
>>400 >(既にご存知と思われますが。)
はい。
>>376 の命題自体は Bourbaki から拝借しました。 証明は少し変えてますが。
>>380 も Bourbaki から拝借しました。
>>188 に書いたように、今後も Bourbaki は部分的に参考にする予定です。
402 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 21:28:52
過去スレの総和可能族、一様空間、完備化、ノルム空間などの 一般論は、Bourbaki からほとんど借りています。
Bourbaki を見てくださいと言えば済むんでしょうが、手元にない読者も 多いでしょうから。それと私の勉強も兼ねてます。
ただし、このスレの測度論に関しては Bourbaki を参考にしている 部分は、今のところ少ないです。 後で局所コンパクト空間上の測度をやりますが、そこではもっと 参考にする頻度は高まるでしょう。
今の所、参考にしているのは、Bourbaki の他に Halmos, Rudin, 現代数学概説 II、伊藤清三などです。
403 :132人目の素数さん:2007/09/01(土) 21:48:38
Kummerおやすみー びろろ~ん べろーん びろんぬ ∩___∩ ∩___∩ ∩___∩ ∩___∩ | ノ ヽ/⌒) ヽ/⌒) ヽ/⌒) ヽ/⌒) /⌒) (゚) (゚) | .| (゚) | .| (゚) | .| (゚) | .| / / ( _●_) ミ/ ( _●_) ミ/ ( _●_) ミ/ ( _●_) ミ/ .( ヽ |∪| / |∪| / |∪| / |∪| / \ ヽノ / ヽノ ./ ヽノ / ヽノ / / / ./ / ./ / ./ / | _つ / | _つ / | _つ / | _つ / | /UJ\ \.| /UJ\ \| /UJ\ \.| /UJ\ \ | / ) )| / ) )| / ) )| / ) ) ∪ ( \ ( \ ( \ ( \ \_) \_) \_) \_)
404 :132人目の素数さん:2007/09/01(土) 23:08:47
┏/ >>>>ゝヽ'人∧━∧从〈〈〈〈 ヽ.━┓。
┏┓ ┏━━┓ < ゝ{ ⊂>’ 、 ' 〃Ν ; 〈⊃ }..ゝ '┃. ┏┓┏┓┏┓
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405 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 00:48:16
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Y を X の部分集合とする。
>>260 より Φ|Y = { A ⊂ Y; A ∈ Φ} は σ-集合環(>>197)である。
μ を Φ|Y に制限したものを μ|Y と書く。
(Y, Φ|Y, μ|Y) は測度空間になる。
406 :132人目の素数さん:2007/09/02(日) 00:51:18
おじさん仕事ないのー? びろろ~ん べろーん びろんぬ ∩___∩ ∩___∩ ∩___∩ ∩___∩ | ノ ヽ/⌒) ヽ/⌒) ヽ/⌒) ヽ/⌒) /⌒) (゚) (゚) | .| (゚) | .| (゚) | .| (゚) | .| / / ( _●_) ミ/ ( _●_) ミ/ ( _●_) ミ/ ( _●_) ミ/ .( ヽ |∪| / |∪| / |∪| / |∪| / \ ヽノ / ヽノ ./ ヽノ / ヽノ / / / ./ / ./ / ./ / | _つ / | _つ / | _つ / | _つ / | /UJ\ \.| /UJ\ \| /UJ\ \.| /UJ\ \ | / ) )| / ) )| / ) )| / ) ) ∪ ( \ ( \ ( \ ( \ \_) \_) \_) \_)
407 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 00:55:48
>>398 を次のように修正する。
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
>>397 より Ψ は集合環(>>189)である。
E(Ψ) (>>377) から R への R 上の線形写像 ψ で 任意の M ∈ Ψ に対して ψ(χ_M) = μ(M) となるものが 一意に存在する。
証明 μ の定義域を Ψ に制限したものは R = (-∞, +∞) に値を とる有限加法的(>>379)な関数である。
従って、本命題の主張は >>380 から直ちに得られる。 証明終
408 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 01:18:49
定義 (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。 >>405 より、E ∈ Φ に対して、(E, Φ|E, μ|E) は測度空間になる。
Ψ|E = { A ∈ Φ|E | μ(A) < +∞ } とおく。
>>397 より Ψ|E は集合環(>>189)である。
>>407 より、E(Ψ|E) (>>377) から R への R-線形写像 ψ_E で 任意の M ∈ Ψ|E に対して ψ_E(χ_M) = μ(M) となるものが 一意に存在する。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
s = Σ(a_i)χ_(M_i) を E(Ψ) (>>377)の元とする。
(χ_E)s = Σ(a_i)(χ_E)χ_(M_i) = Σ(a_i)χ_(E ∩ M_i) ∈ E(Ψ|E) となる。
ψ_E((χ_E)s) = Σ(a_i)μ(E ∩ M_i) を s の E における (μ に関する)積分と言い、∫[E] s dμ と書く。
409 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 01:43:11
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
(1) E ∈ Φ に対して、∫[E] s dμ (>>408) は E(Ψ) (>>377) から R への R-線形写像である。
(2) s ≧ 0 なら ∫[E] s dμ ≧ 0
証明 (1) >>408 の記号で、∫[E] s dμ = ψ_E((χ_E)s) である。 s → (χ_E)s は E(Ψ) から E(Ψ|E) への R-線形写像である。 ψ_E は、E(Ψ|E) (>>377) から R への R-線形写像 である。 よって、この二つの写像の合成写像である ∫[E] s dμ も R-線形写像である。
(2) >>373 より、M_1, . . . , M_n を互いに交わらない Ψ に属す集合とし、 s = Σ(a_i)χ_(M_i) と書ける。
s ≧ 0 だから各 a_i ≧ 0 である。 よって、∫[E] s dμ = Σ(a_i)μ(E ∩ M_i) ≧ 0 である。 証明終
410 :132人目の素数さん:2007/09/02(日) 02:37:33
クマのAAは、一つの区切りになっているのですかw
411 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 02:54:11
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
(E_n), n = 1, 2, ... を Φ の集合列で、 n ≠ m のとき E_n と E_m は交わらないとする。 E = ∪E_n とおく。
s ∈ E(Ψ) (>>377) に対して、 ∫[E] s dμ = Σ∫[E_i] s dμ
証明 s = Σ(a_i)χ_(M_i) とする。
∫[E] s dμ = Σ(a_i)μ(E ∩ M_i)
= Σ(a_i)(μ(E_1 ∩ M_i) + μ(E_2 ∩ M_i) + . . .)
= Σ{(a_i)μ(E_1 ∩ M_i) + (a_i)μ(E_2 ∩ M_i) + . . .)}
= Σ(a_i)μ(E_1 ∩ M_i) + Σ(a_i)μ(E_2 ∩ M_i) + . . .
= ∫[E_1] s dμ + ∫[E_2] s dμ + . . .
上の等式の説明をする。 μ(E_1 ∩ M_i) + μ(E_2 ∩ M_i) + . . . は絶対収束するから (a_i)μ(E_1 ∩ M_i) + (a_i)μ(E_2 ∩ M_i) + . . . も絶対収束する。 よって、総和可能(過去スレ006の25)である。 よって、過去スレ006の58 より 2重級数 ΣΣ(a_i)(μ(E_j ∩ M_i) は総和可能である。 よって、過去スレ006の43 より Σ(a_i)μ(E_1 ∩ M_i) + Σ(a_i)μ(E_2 ∩ M_i) + . . . は総和可能で ΣΣ(a_i)(μ(E_j ∩ M_i) に等しい。 証明終
412 :132人目の素数さん:2007/09/02(日) 02:55:15
>>401 >>>376 の命題自体は Bourbaki から拝借しました。 >証明は少し変えてますが。 わかりにくくなっとるがなwwwww
413 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 03:03:12
>>411 の補足。
Σ∫[E_i] s dμ は総和可能だから、過去スレ006の66 より 絶対収束する。
414 :132人目の素数さん:2007/09/02(日) 03:17:41
過去スレ見れないんだが。
415 :132人目の素数さん:2007/09/02(日) 03:18:50
>>1 おいチンカス! 過去スレみれねえそ!
416 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 03:59:23
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
s, t ∈ E(Ψ) (>>377) で s ≧ t なら ∫[E] s dμ ≧ ∫[E] t dμ
証明 s - t ∈ E(Ψ) で s - t ≧ 0 であるから、 >>409 の (2) より、∫[E] (s - t) dμ ≧ 0 >>409 の (1) より、 ∫[E] (s - t) dμ = ∫[E] s dμ - ∫[E] t dμ よって、 ∫[E] s dμ ≧ ∫[E] t dμ 証明終
417 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 04:06:18
定義
(X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)で X ∈ Φ とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) (>>377) を、R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
f : X → [0, +∞] を可測とする。
∫[E] f dμ = sup {∫[E] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) }
を f の E における(μ に関する)積分と言う。
∫[E] f dμ < +∞ のとき f を積分可能または可積分と言う。
418 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 04:19:18
>>417
f ∈ E(Ψ) のときは、0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) なら >>416 より ∫[E] s dμ ≦ ∫[E] f dμ であるから >>417 の定義は、>>408 の定義の拡張になっている。
419 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 04:21:21
>>417 を次のように修正する。
定義
(X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)で X ∈ Φ とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) (>>377) を、R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
f : X → [0, +∞] を可測とする。
∫[X] f dμ = sup {∫[X] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) }
を f の X における(μ に関する)積分と言う。
∫[X] f dμ < +∞ のとき f を積分可能または可積分と言う。
420 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 04:25:37
>>419
f ∈ E(Ψ) のときは、s ∈ E(Ψ), 0 ≦ s ≦ f なら >>416 より ∫[X] s dμ ≦ ∫[X] f dμ であるから >>419 の定義は、>>408 の定義の拡張になっている。
421 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 04:29:34
>>419
X ∈ Φ でないときの ∫[X] f dμ も定義出来るが、今のところ 必要がない。
422 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 04:40:50
定義 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f : X → [0, +∞] を可測関数とする。
>>405 より、E ∈ Φ に対して、(E, Φ|E, μ|E) は測度空間になる。
>>357 より、f の E 上への制限 f|E は E において可測(>>356)である。 E ∈ Φ|E であるから、>>419 より ∫[E] f|E d(μ|E) が定義出来る。
∫[E] f|E d(μ|E) を ∫[E] f dμ と書き、 f の E における(μ に関する)積分と言う。
∫[E] f dμ < +∞ のとき f を E において積分可能 または可積分と言う。
423 :Kummer ◆p5Ne5aK0Lg :2007/09/02(日) 06:54:36
∩___∩ | ノ ヽ / ● ● | おはよう Kummer──!! | ( _●_) ミ 彡、 |∪| 、`\ / __ ヽノ /´> ) (___) / (_/ | / | /\ \ | / ) ) ∪ ( \ \_)
424 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 09:00:23
>>408 の ∫[E] s dμ と >>422 の意味の ∫[E] s dμ は明らかに一致する。
425 :132人目の素数さん:2007/09/02(日) 09:03:39
さすがに2ちゃんで積分は無理があるな
426 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 09:38:03
命題
(X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) を R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
f : X → [0, +∞] を可測関数とする。
任意の E ∈ Φ に対して、
∫[E] f dμ = sup {∫[E] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) }
証明 s = Σ(a_i)χ_(M_i) を E(Ψ) の元とする。 s の E への制限 s|E は Σ(a_i)χ_(E ∩ M_i) に等しい。 従って、s|E は (E, Φ|E, μ|E) における可積分(>>419)な 単関数である。 明らかに、0 ≦ s ≦ f のとき 0 ≦ s|E ≦ f|E である。
逆に、A_1, . . ., A_n を E に含まれる測度が有限の可測集合とし、 a_1, . . ., a_n を有限実数としたとき、 t = Σ(a_i)χ_(A_i) は、(E, Φ|E, μ|E) においても、 (X, Φ, μ) においても可積分な単関数である。
明らかに、0 ≦ t ≦ f|E のとき 0 ≦ t ≦ f である。
以上から、
∫[E] f dμ = sup {∫[E] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) }
証明終
427 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 09:46:16
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f と g を可測関数で、0 ≦ f ≦ g とする。
E ∈ Φ のとき、 ∫[E] f dμ ≦ ∫[E] g dμ
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) を R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
s ∈ E(Ψ) で 0 ≦ s ≦ f なら、s ≦ g であるから、 >>426 より ∫[E] s dμ ≦ ∫[E] g dμ である。 この左辺の sup をとれば、>>426 より ∫[E] f dμ ≦ ∫[E] g dμ 証明終
428 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 09:57:37
命題
(X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
s ≧ 0 である s ∈ E(Ψ) (>>377) を任意に固定する。
E ∈ Φ に ∫[E] s dμ を対応させる写像は (X, Φ) における 測度(>>316)である。
証明 明らかに、E が空集合のとき ∫[E] s dμ = 0 である。
よって、>>409 の (2) と >>411 から E → ∫[E] s dμ は測度である。 証明終
429 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 10:03:50
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f を可測関数で、0 ≦ f とする。
A, B ∈ Φ で A ⊂ B のとき、 ∫[A] f dμ ≦ ∫[B] f dμ
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
>>428 より 0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) に対して、 E → ∫[E] s dμ は測度である。
よって、>>321 より A, B ∈ Φ で A ⊂ B のとき、 ∫[A] s dμ ≦ ∫[B] s dμ である。
この両辺の sup を取れば、 ∫[A] f dμ ≦ ∫[B] f dμ 証明終
430 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 10:27:05
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f を可測関数で、0 ≦ f とする。 0 ≦ c < +∞ と E ∈ Φ に対して、
∫[E] cf dμ = c∫[E] f dμ
証明
c = 0 なら両辺は 0 である。
よって、 c ≠ 0 と仮定する。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、
0 ≦ cs ≦ cf だから ∫[E] cs dμ ≦ ∫[E] cf dμ
>>408 より、s → ∫[E] s dμ は線形写像だから、 ∫[E] cs dμ = c∫[E] s dμ
よって、c∫[E] s dμ ≦ ∫[E] cf dμ 左辺の sup を取ると、c∫[E] f dμ ≦ ∫[E] cf dμ
逆に、0 ≦ s ≦ cf となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、 0 ≦ (1/c)s ≦ f
よって、∫[E] (1/c)s dμ ≦ ∫[E] f dμ ∫[E] (1/c)s dμ = (1/c)∫[E] s dμ だから (1/c)∫[E] s dμ ≦ ∫[E] f dμ
よって、 ∫[E] s dμ ≦ c∫[E] f dμ 左辺の sup を取ると、∫[E] cf dμ ≦ c∫[E] f dμ 証明終
431 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 10:33:54
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f を可測関数とし、E ∈ Φ とする。
全ての x ∈ E で f(x) = 0 なら、 ∫[E] f dμ = 0
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、
s は E で 0 である。
よって、∫[E] s dμ = 0
即ち、∫[E] f dμ = 0
証明終
432 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 10:38:48
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f : X → [0, +∞] を可測関数とする。
E ∈ Φ で μ(E) = 0 なら、 ∫[E] f dμ = 0
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、
μ(E) = 0 だから ∫[E] s dμ = 0 である。
よって、∫[E] f dμ = 0
証明終
433 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 10:53:55
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)で、X ∈ Φ とする。 f : X → [0, +∞] を可測関数とする。
E ∈ Φ に対して、 ∫[E] f dμ = ∫[X] (χ_E)f dμ
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、
0 ≦ (χ_E)s ≦ (χ_E)f だから
∫[X] (χ_E)s dμ ≦ ∫[X] (χ_E)f dμ
明らかに ∫[X] (χ_E)s dμ = ∫[E] s dμ だから、 ∫[E] f dμ ≦ ∫[X] (χ_E)f dμ
逆に、0 ≦ s ≦ (χ_E)f となる s ∈ E(Ψ) (>>377) に対して、 0 ≦ s ≦ f だから、 ∫[E] s dμ ≦ ∫[E] f dμ よって、 ∫[X] (χ_E)f dμ ≦ ∫[E] f dμ 証明終
434 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 11:11:41
>>419 の積分の定義は普通と少し違う。 普通は、積分の定義に使う単関数 Σ(a_i)χ_(M_i) は μ(M_i) = +∞ の場合も許している。 しかし、両者の定義は同値である。
普通と少し違う定義を採用した理由は、>>398 を利用したいのと、 0×(+∞) = 0 の規約を取り入れたくないこと (規則が少ないほうが良いでしょう)、積分可能な単関数の ほうが扱いやすいだろうという素朴な考えなどから来ています。 まあ、好みの問題と言えるかもしれません。
435 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 12:08:56
定理(Lebesgue の単調収束定理) (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)で、X ∈ Φ とする。 (f_n), n ≧ 0 を可測関数の列で次の条件を満たすとする。
(1) 0 ≦ f_0 ≦ f_1 ≦ . . . ≦ +∞ (2) 任意の x ∈ X において n → ∞ のとき f_n(x) → f(x)
このとき、 f は可測であり、 n → ∞ のとき ∫[X] f_n dμ → ∫[X] f dμ
証明(Rudin) >>427 より ∫[X] f_n dμ ≦ ∫[X] f_(n+1) dμ 従って、α ∈ [0, +∞] があり、 n → ∞ のとき ∫[X] f_n dμ → α
f = lim sup f_n = lim inf f_n であるから、>>295 より f は 可測である。
任意の n ≧ 0 に対して f_n ≦ f だから >>427 より ∫[X] f_n dμ ≦ ∫[X] f dμ である。 よって、α ≦ ∫[X] f dμ である。
(続く)
436 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 12:09:49
>>435 の続き。
s を 0 ≦ s ≦ f となる任意の積分可能な単関数とする。 c を 0 < c < 1 となる任意の定数とする。
E_n = {x ∈ X | f_n(x) ≧ cs(x) } (n = 0, 1, . . .) とおく。
f_n ≦ f_(n+1) だから E_0 ⊂ E_1 ⊂ . . .
X = ∪E_n (n = 0, 1, . . .) が次のようにわかる。 f(x) = 0 なら f_n(x) = 0 だから s(x) = 0 である。 よって x ∈ E_0 である。 f(x) > 0 なら c < 1 より cs(x) < f(x) である。 よって、cs(x) < f_n(x) ≦ f(x) となる n がある。 即ち、x ∈ E_n
一方、任意の n ≧ 0 に対して、>>429 と >> 427 と >430 より、 ∫[X] f_n dμ ≧ ∫[E_n] f_n dμ ≧ ∫[E_n] cs dμ ≧ c∫[E_n] s dμ
即ち、∫[X] f_n dμ ≧ c∫[E_n] s dμ >>428 より A → ∫[A] s dμ は測度だから >>323 より n → ∞ のとき c∫[E_n] s dμ → c∫[X] s dμ
よって、α ≧ c∫[X] s dμ c は 0 < c < 1 となる任意の定数だから α ≧ ∫[X] s dμ s も 0 ≦ s ≦ f となる任意の積分可能な単関数だから、 α ≧ ∫[X] f dμ よって、α = ∫[X] f dμ である。 証明終
437 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 12:18:11
>>435 は Lebesgue 積分の力の源泉である。 その証明のキーは >>428 である。
438 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 14:03:27
>>434 >しかし、両者の定義は同値である。
同値でないかもしれない。 しばらく、検討させてください。
439 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:16:32
>>421
X ∈ Φ でないときの ∫[X] f dμ を定義する。
定義
(X, Φ, μ) を 測度空間(>>317) とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) (>>377) を、R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
f : X → [0, +∞] を可測とする。
∫[X] f dμ = sup {∫[X] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) }
を f の X における(μ に関する)積分と言う。
∫[X] f dμ < +∞ のとき f を積分可能または可積分と言う。
440 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:26:44
>>439 の前に次の定義が必要だった。
定義
(X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
>>398 より、 E(Ψ) (>>377) から R への R 上の線形写像 ψ で 任意の M ∈ Φ に対して ψ(χ_M) = μ(M) となるものが 一意に存在する。
s = Σ(a_i)χ_(M_i) を E(Ψ) (>>377)の元とする。
ψ(s) = Σ(a_i)μ(M_i) を s の X における (μ に関する)積分と言い、∫[X] s dμ と書く。
441 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:29:05
>>427 に対応する命題
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f と g を可測関数で、0 ≦ f ≦ g とする。
∫[X] f dμ ≦ ∫[X] g dμ
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) を R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
s ∈ E(Ψ) で 0 ≦ s ≦ f なら、s ≦ g であるから、 ∫[X] s dμ ≦ ∫[X] g dμ である。 この左辺の sup をとれば、∫[X] f dμ ≦ ∫[X] g dμ 証明終
442 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:34:56
>>430 に対応する命題
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f を可測関数で、0 ≦ f とする。 0 ≦ c < +∞ に対して、
∫[X] cf dμ = c∫[X] f dμ
証明
c = 0 なら両辺は 0 である。
よって、 c ≠ 0 と仮定する。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、
0 ≦ cs ≦ cf だから ∫[X] cs dμ ≦ ∫[X] cf dμ
>>440 より、s → ∫[X] s dμ は線形写像だから、 ∫[X] cs dμ = c∫[X] s dμ
よって、c∫[X] s dμ ≦ ∫[X] cf dμ 左辺の sup を取ると、c∫[X] f dμ ≦ ∫[X] cf dμ
逆に、0 ≦ s ≦ cf となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、 0 ≦ (1/c)s ≦ f
よって、∫[X] (1/c)s dμ ≦ ∫[X] f dμ ∫[X] (1/c)s dμ = (1/c)∫[X] s dμ だから (1/c)∫[X] s dμ ≦ ∫[X] f dμ
よって、∫[X] s dμ ≦ c∫[X] f dμ 左辺の sup を取ると、∫[X] cf dμ ≦ c∫[E] f dμ 証明終
443 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:36:54
>>431 に対応する命題
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f を可測関数とする。
全ての x ∈ X で f(x) = 0 なら、 ∫[X] f dμ = 0
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) (>>377)に対して、
s は X で 0 である。
よって、∫[X] s dμ = 0
即ち、∫[X] f dμ = 0
証明終
444 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:51:24
>>429 に対応する命題
命題 (X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)とする。 f を可測関数で、0 ≦ f とする。
A ∈ Φ のとき、 ∫[A] f dμ ≦ ∫[X] f dμ
証明
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
0 ≦ s ≦ f となる任意の s ∈ E(Ψ) に対して、
∫[A] s dμ ≦ ∫[X] s dμ
である。
この両辺の sup を取れば、 ∫[A] f dμ ≦ ∫[X] f dμ 証明終
445 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:55:06
>>435 の X ∈ Φ とは限らない場合。
定理(Lebesgue の単調収束定理) (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。 (f_n), n ≧ 0 を可測関数の列で次の条件を満たすとする。
(1) 0 ≦ f_0 ≦ f_1 ≦ . . . ≦ +∞ (2) 任意の x ∈ X において n → ∞ のとき f_n(x) → f(x)
このとき、 f は可測であり、 n → ∞ のとき ∫[X] f_n dμ → ∫[X] f dμ
証明(Rudin) >>441 より ∫[X] f_n dμ ≦ ∫[X] f_(n+1) dμ 従って、α ∈ [0, +∞] があり、 n → ∞ のとき ∫[X] f_n dμ → α
f = lim sup f_n = lim inf f_n であるから、>>295 より f は 可測である。
任意の n ≧ 0 に対して f_n ≦ f だから >>441 より ∫[X] f_n dμ ≦ ∫[X] f dμ である。 よって、α ≦ ∫[X] f dμ である。
(続く)
446 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 16:55:36
>>445 の続き。
s を 0 ≦ s ≦ f となる任意の積分可能な単関数とする。 c を 0 < c < 1 となる任意の定数とする。
E_n = {x ∈ X | f_n(x) ≧ cs(x) } (n = 0, 1, . . .) とおく。
f_n ≦ f_(n+1) だから E_0 ⊂ E_1 ⊂ . . .
X = ∪E_n (n = 0, 1, . . .) が次のようにわかる。 f(x) = 0 なら f_n(x) = 0 だから s(x) = 0 である。 よって x ∈ E_0 である。 f(x) > 0 なら c < 1 より cs(x) < f(x) である。 よって、cs(x) < f_n(x) ≦ f(x) となる n がある。 即ち、x ∈ E_n
一方、任意の n ≧ 0 に対して、>>444 と >>427 と >>430 より、 ∫[X] f_n dμ ≧ ∫[E_n] f_n dμ ≧ ∫[E_n] cs dμ ≧ c∫[E_n] s dμ
即ち、∫[X] f_n dμ ≧ c∫[E_n] s dμ >>428 より A → ∫[A] s dμ は測度だから >>323 より n → ∞ のとき c∫[E_n] s dμ → c∫[X] s dμ
よって、α ≧ c∫[X] s dμ c は 0 < c < 1 となる任意の定数だから α ≧ ∫[X] s dμ s も 0 ≦ s ≦ f となる任意の積分可能な単関数だから、 α ≧ ∫[X] f dμ よって、α = ∫[X] f dμ である。 証明終
447 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 18:10:42
>>419 の積分の定義はちょっとおかしいですね。
例えば X として任意の空でない集合。 Φ として X の部分集合全体。
X の部分集合 A が空でないとき常に μ(A) = +∞ とし、 A が空集合のとき μ(A) = 0 と定義する。
(X, Φ, μ) は測度空間になる。
>>419 の積分の定義によると、∫[X] 1 dμ = 0 になる。 しかし、常識的には ∫[X] 1 dμ = μ(X) = +∞ となるべきでしょう。
>>419 の方向で行くとしたら、次のように定義したらどうだろう。
.
f : X → [0, +∞] を可測とする。
S(f) = {x ∈ X ; f(x) ≠ 0 } とおく。
S(f) が σ-有限、即ち、可算個の測度有限の集合に直和分割され、
sup {∫[X] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) } が有限のときに
f は積分可能または可積分と言う。
そうでないときは ∫[X] f dμ = +∞ とする。
この定義だと、上記の例で ∫[X] 1 dμ = +∞ となる。
448 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 18:24:56
定義 (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
A ∈ Φ に対して Φ の集合の列 (A_n), n = 1, 2, . . . で A ⊂ ∪A_n となり、各 μ(A_n) < +∞ となるものがあるとき、 A は σ-有限な測度をもつと言う。 略して、A は σ-有限とも言う。
Φ の各集合の測度が σ-有限のとき、μ は σ-有限と言う。
449 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 18:35:38
>>419 を次のように修正する。
定義
(X, Φ, μ) を 測度空間(>>317)で X ∈ Φ とする。
Ψ = { A ∈ Φ | μ(A) < +∞ } とおく。
E(Ψ) (>>377) を、R = (-∞, +∞) に値をとる
Ψ 上の単関数(>>371)全体とする。
f : X → [0, +∞] を可測で、S(f) = {x ∈ X ; f(x) ≠ 0 } の
測度は σ-有限(>>448) とする。
∫[X] f dμ = sup {∫[X] s dμ | 0 ≦ s ≦ f, s ∈ E(Ψ) }
を f の X における(μ に関する)積分と言う。
∫[X] f dμ < +∞ のとき f を積分可能または可積分と言う。
450 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/02(日) 18:37:04
>>449 の補足。
S(f) = {x ∈ X ; f(x) ≠ 0 } の測度が σ-有限(>>448) でないときは
∫[X] f dμ は定義しない。
