最終更新日時 2011年03月04日 (金) 21時55分04秒
代数的整数論 #003 (166-235)
元スレ: http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/166-235
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science4.2ch.net_math_1141019088/166-235
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166 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/19(水) 16:41:25
次の命題は周知だが、証明しておく。
補題 p を素数とすると 1 ≦ k ≦ p - 1 のとき [p,k] ≡ 0 (mod p) である。 ここで [p,k] は p個のものから順序を無視して k 個取り出す組み合わせの数である。 つまり、[p,k] = p(p - 1)...(p - k + 1)/k! である。
証明 [p,k]k! = p(p - 1)...(p - k + 1) だから [p,k]k! ≡ 0 (mod p) である。 1 ≦ k ≦ p - 1 のとき k! は p で割れない。 [p,k] ≡ 0 (mod p) である。 証明終
167 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 13:01:58
>>163 の別証として Eisenstein の既約性定理を使用した証明を行う。
命題(Eisenstein の既約性定理) A を一意分解整域とし、K をその商体とする。 p を A の素元とする。 f(X) = a_0X^n + a_1X^(n-1) + ... + a_n を A 係数の多項式とする。
ここで、a_0 は p で割れない。 1 ≦ i ≦ n のとき a_i ≡ 0 (mod p) とし、 a_n は p^2 で割れないとする。
このとき f(X) は K で既約である。
証明 周知なので省略。
168 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 13:08:05
>>163 の別証
命題(>>163と同じ) λを奇素数としたとき、有理数体上の多項式 1 + X + ... X^(λ-1) は 既約である。
証明 h(X) = 1 + X + ... X^(λ-1) とおく。 h(X + 1) が既約であることを示せばよい。
h(X) = (X^λ - 1)/(X - 1) だから h(X + 1) = ((X + 1)^λ - 1)/X = X^(λ-1) + ... + [λ,k]X^(λ- k -1) + ... + [λ,λ-1] である。 ここで [p,k] は p個のものから順序を無視して k 個取り出す組み合わせの数である。 >>155 より [λ,k] はλ で割れる。 [λ,λ-1] = λ である。
よって、Eisenstein の既約性定理(>>167)より h(X + 1) は既約である。 証明終
169 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 13:10:35
>>168
訂正
>>>155 より [λ,k] はλ で割れる。
>>166 より [λ,k] はλ で割れる。
170 :132人目の素数さん:2006/04/20(木) 14:56:28
ばか
171 :ゆんゆん ◆kIuLDT68mM :2006/04/20(木) 15:09:31
9208さんて、改名、トリ変えしたの?
172 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 15:26:06
円分整数環 Z[ζ] (>>147)の元は >>163 により
(形式1) a_0 + a_1ζ + ... + a_(λ-2)ζ^(λ-2)
の形に一意に表される。 ここで、各a_i は有理整数である。
関係式 1 + ζ + ... + ζ^(λ-1) = 0 より、 ζ^(λ-1) = -1 -ζ- ... -ζ^(λ-2) となることを使って、 Z[ζ] の2元の積は、(形式1)の形に求まる。
しかし、この計算はやや面倒なので、 Z[ζ] の元を
(形式2) a0 + a_1ζ + ... + a_(λ-1)ζ^(λ-1)
の形に表すほうが便利である。 この形の2元の積は、関係式 ζ^λ = 1 を使って (形式2)の形に求める。
Z[ζ] の元を (形式2) に表示するのは一意ではないが、
a0 + a_1ζ + ... + a_(λ-1)ζ^(λ-1) = b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1)
なら、a_0 - b_0 = a_1 - b_1 = ... = a_(λ-1) - b_(λ-1) という関係が成立ち、逆も言える。
(形式2)の元を f(ζ), g(ζ) ... などと書く。
173 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 16:01:43
λ= 5 として Z[ζ] における2元の積の計算の例を挙げる。
f(ζ) = 1 + 2ζ + 3ζ^2 + 4ζ^3 + 5ζ^4 と g(ζ) = 1 + 3ζ + 2ζ^2 + ζ^3
の積は下図のように通常の10進数の計算と同様にする。 ただし、ζ^5 = 1 だから、ζ^6 = ζ、ζ^7 = ζ^2 などを考慮して 左に伸びず循環的になっている。
5 4 3 2 1 0 1 2 3 1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5 4 3 2 1 12 9 6 3 15 6 4 2 10 8 2 1 5 4 3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 25 18 16 19 27
よって f(ζ)g(ζ) = 27 + 19ζ + 16ζ^2 + 18ζ^3 + 25ζ^4 である。
各項の係数から 16 を引いて
f(ζ)g(ζ) = 11 + 3ζ + 2ζ^3 + 9ζ^4
ともなる。
174 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 17:33:16
1 ≦ i ≦ λ-1 のとき、Z[ζ] (>>147)の元 f(ζ) に対して、 f(ζ^i) は 一意に決まる。 つまり、f(ζ) = g(ζ) なら f(ζ^i) = g(ζ^i) である(確かめよ)。
f(ζ) のノルム Nf(ζ) を Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) で定義する。
175 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 17:52:22
Nf(ζ) が有理整数であることは体論で周知だが、次のように してもわかる。
Nf(ζ) = b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) とする。 右辺を g(ζ) とおく。 1 ≦ i ≦ λ-1 のとき、 g(ζ^i) = f(ζ^i)f(ζ^2i)...f(ζ^(λ-1)i) = g(ζ) である(確かめよ)。
よって、 b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) = b0 + b_1ζ^i + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1)i である。
ij ≡ 1 (mod λ) となる整数 j をとれば、 ζ = (ζ^i)^j だから b_0 - b_0 = b_1 - b_j である(>>172)。 よって b_1 = b_j となる。
i を変化させて、
b_1 = b_2 = ... = b_(λ-1)
となる。
よって、
Nf(ζ) = b0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) = b_0 + b_1(ζ+ ζ^2 + ... + ζ^(λ-1))
であるが、ζ+ ζ^2 + ... + ζ^(λ-1) = -1 だから、 Nf(ζ) = b_0 - b_1 ∈ Z である。
176 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/20(木) 18:25:10
いつものように、λを奇素数としてζを X^λ = 1 の原始根の1つとする。 複素数 z の共役を z~ と書く。
ζ(ζ~) = |ζ|^2 = 1 だから ζ~ = ζ^(-1) = ζ^(λ-1) である。
1 ≦ i ≦ λ-1 のとき、 (ζ^i)~ = ζ^(-i) である。
よって、f(ζ^i)~ = f((ζ^i)~) = f(ζ^(-i)) である。 よって、f(ζ), f(ζ^2), ... f(ζ^(λ-1)) は互いに共役な (λ-1)/2 個のペアから構成される。
互いに共役な複素数の積は正だから、 Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) ≧ 0 となる。
明らかに、Nf(ζ) = 0 が 0 となるのは f(ζ) = 0 のときに限る。
177 :132人目の素数さん:2006/04/20(木) 18:54:55
>>171 スレ嫁タコ
178 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/21(金) 11:11:23
円分整数のノルムが常に正である(>>176)というのは 複素数の性質(具体的には複素変数の指数関数の性質)、 遡れば実数の連続性から出たわけで、簡単に見えるが わりと深い結果である。
円分整数環 Z[ζ] は Z[X]/(1 + X + ... + X^(λ-1)) として 代数的にも定義出来る。 しかし、上記の結果を実数の連続性を使わずに代数的に証明するのは 不可能だろう(たぶん)。
179 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:02:11
Eisenstein の既約性定理(>>167)の証明をしよう。 これは次の自明な原理に基づいている。
補題 A を整域とする。 f(X), g(X) を A[X] の 0 でない元として、 f(X) の最低次の項を a_rX^r g(X) の最低次の項を b_sX^s とすると h(X) = f(X)g(X) の最低次の項は a_rb_sX^(r+s) である。
180 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:04:17
>>179から次の補題が直ちに得られる。
補題 A を整域とする。 f(X), g(X) を A[X] の元として、 cX^n = f(X)g(X) とする。ここで、c ≠ 0、n > 0 であり、 f(X), g(X) の次数はそれぞれ1以上とする。 このとき、適当な A の元 a, b があって f(X) = aX^r、g(X) = bX^s となる。
181 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:09:43
>>180から次の補題が直ちに得られる。
補題 A を環とし、P をその素イデアルとする。 h(X) = a_0X^n + a_1X^(n-1) + ... + a_n を A 係数の多項式とする。 ここで、a_0 は P に含まれず、 1 ≦ i ≦ n のとき a_i ≡ 0 (mod P) とする。
f(X), g(X) を A[X] の元として、h(X) = f(X)g(X) とする。 ここで、f(X), g(X) の次数はそれぞれ1以上とする。
このとき、a_n ≡ 0 (mod P^2) となる。
証明 仮定より、h(X) ≡ a_0X^n (mod P) となる。 よって、a_0X^n ≡ f(X)g(X) (mod P) である。 f(X)、g(X) のそれぞれの定数項を b, c とする。 >>180 より、b ≡ 0 (mod P), c ≡ 0 (mod P) となる。 よって a_n = bc は P^2 に含まれる。 証明終
182 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:21:54
>>181より、Eisenstein の既約性定理(>>167)におけるf(X)は f(X) = g(x)h(x) と分解されない。 ここで、g(X), h(X) は A[X] の元でともに次数が1以上である。 これから原始多項式の積が原始多項式になるというGaussの補題を使う よく知られた論法で f(X) が K で既約であることが出る。
183 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:34:51
ついでだから、>>182で言及したGaussの補題の証明をしよう。 これもEisenstein の既約性定理の証明(>>181)と同様の論法、 つまり mod p での還元(reduction)を使う。
Gaussの補題は次の自明な原理に基づいている。
補題 A を整域とすると A[X] も整域である。
184 :132人目の素数さん:2006/04/22(土) 12:42:39
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185 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:46:44
>>183 を mod P で言い換えると次の補題となる。
補題 A を環とし、P をその素イデアルとする。 f(X), g(X) を A[X] の元として、f(X) ≡ 0 (mod P) でも g(X) ≡ 0 (mod P) でもないとする。 このとき、f(X)g(X) ≡ 0 (mod P) とならない。
186 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 12:54:48
定義 A を一意分解整域とし、 f(X) = a_0X^n + a_1X^(n-1) + ... + a_n を A 係数の 0 でない 多項式とする。ここで、n > 0 とする。 a_0, a_1, ..., a_n の公約元が A の可逆元以外ないとき、 f(X) を原始多項式という。
187 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 13:03:30
補題 A を一意分解整域とし、 f(X) を A 係数の次数が1以上の多項式とする。 f(X) が原始多項式(>>186)でないなら、A の素元 p で f(X) の各係数を 割るものがある。
証明は明らかだろう。
188 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 13:13:13
補題(Gauss) A を一意分解整域とし、f(X), g(X) を A 係数の原始多項式とする。 このとき、f(X) と g(X) の積 h(X) も原始多項式である。
証明 p を A の任意の素元とする。 f(X) は原始多項式だから f(X) ≡ 0 (mod p) でない。 同様に、g(X) ≡ 0 (mod p) でない。 よって、>>185 より h(X) ≡ 0 (mod p) とならない。 よって >>187 より h(X) は原始多項式である。 証明終
189 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 15:04:21
ここで本題に戻って、円分整数環 Z[ζ] (>>147)における 整除の判定方法について述べる。
Z[ζ] の 非零元 f(ζ) と g(ζ) が与えられたとき、 g(ζ) = f(ζ)h(ζ) となる h(ζ) が存在するとき、 g(ζ) は f(ζ) で割れるといい、この事実を記号 f(ζ)|g(ζ) で表す。
f(ζ) が 有理整数 a のときは、この判定は簡単である。
g(ζ) = b_0 + b_1ζ + ... + b_(λ-1)ζ^(λ-1) とし、 h(ζ) = c_0 + c_1ζ + ... + c_(λ-1)ζ^(λ-1) とする。
g(ζ) = ah(ζ) より、 b_0 - ac_0 = b_1 - ac_1 = ... = b_(λ-1) - ac_(λ-1) となる。
よって、この等式の等しい値を k とおけば、
b_0 = ac_0 + k b_1 = ac_1 + k . . . b_(λ-1) = ac_(λ-1) + k
となる。
つまり、b_0 ≡ b_1 ≡ ... ≡ b_(λ-1) (mod a) となる。 逆に、この関係が成立すれば、g(ζ) = ah(ζ) となる h(ζ) が求まる。
190 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 15:13:02
f(ζ) が一般のときは、f(ζ) のノルム Nf(ζ) を使うことにより、 >>189に帰着出来る。
g(ζ) = f(ζ)h(ζ) なら、 この等式の両辺に f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) を掛けて f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1))g(ζ) = (Nf(ζ))h(ζ) となる。 よって、f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1))g(ζ) は (Nf(ζ)) で割れる。 逆も成立つことは明らかだろう。
191 :132人目の素数さん:2006/04/22(土) 16:12:45
Kummer ◆g2BU0D6YN2しね
192 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/22(土) 18:45:57
初等整数論においては素数が重要な役割をもつ。 よって Z[ζ] において素数にあたるものが何かを考えよう。
まず考えられるのは既約元、つまり可逆元でない元の積に分解されない 元である。しかし、一意分解整域、例えば有理整数環では既約元は 素元でもある。一般に整域 A の元 p ≠ 0 に対して pA が素イデアルと なるとき p を A の素元という。つまり可逆元でない元 p ≠ 0 が 次の性質(*)を満たすとき p を素元という。
(*) p|ab なら p|a または p|b である。
整域において素元は既約元である(確かめられたい)。 既約元が素元になるとは限らないが、一意分解整域ではそれが成立つ。 つまり、次の命題が成立つ。
命題 整域 A において、可逆元でない任意の非零元が既約元の積に 分解されるとする。 このとき、A の既約元が常に素元なら、A は一意分解整域である。
証明 a ≠ 0 を A の可逆元でない元とし、 a = (p_1)...(p_r) = (q_1)...(q_s) となるとする。 ここで、各p_i, q_j は既約元である。 仮定より p_1 は素元だから p_1|q_j となる j がある。 必要なら q_1, ..., q_s の順序を入れ替えて j = 1 と仮定してよい。 q_j は既約だから p_1 と q_1 は可逆元の積による違いを除いて一致する。 よって、可逆元の積による違いを除いて (p_2)...(p_r) = (q_2)...(q_s) となる。以上を繰り返して(正確には数学的帰納法を使って) 本命題の主張が得られる。 証明終
193 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 09:42:12
円分整数 f(ζ) が可逆元のとき、つまり f(ζ)g(ζ) = 1 となる g(ζ) があるとき、f(ζ) を円分単数、略して単数と呼ぶ。 Nf(ζ)Ng(ζ) = 1 だから Nf(ζ) > 0 (>>176)に注意して Nf(ζ) = 1 である。
逆に Nf(ζ) = 1 なら f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) = 1 だから f(ζ) は単数である。
194 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 09:45:57
円分整数環 Z[ζ] (>>147)における素元(>>192)を円分素数と呼ぶ。 f(ζ) を円分素数とする。定義より f(ζ) は単数でないから Nf(ζ) ≠ 1 である。
f(ζ) で割れる有理整数全体は有理整数環のイデアル I となるが、 Nf(ζ) はf(ζ) で割れるから、Nf(ζ) ∈ I である。 Nf(ζ) ≠ 0 だから I ≠ 0 である。
I は単項だから I = (m), m ≧1 となる有理整数 m がある。 m が合成数、つまり m = ab, a ≧ 1, b ≧ 1 と仮定する。 m は f(ζ) で割れるから、f(ζ)は a または b を割る。 よって、a または b が I に含まれることになり矛盾する。 よって m は素数 p である。
p は f(ζ) で割れるから p = f(ζ)g(ζ) となる円分整数 g(ζ) がある。 この両辺のノルムをとると、p^(λ-1) = Nf(ζ)Ng(ζ) となる。 よって Nf(ζ) は素数べき p^k, k ≧1 である (円分整数のノルムが常に正である(>>176)ことに注意)。
195 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 10:46:53
>>194
訂正:
>I は単項だから I = (m), m ≧2 となる有理整数 m がある。 >m が合成数、つまり m = ab, a ≧ 1, b ≧ 1 と仮定する。
I は単項で I ≠ (1) だから I = (m), m ≧ 2 となる有理整数 m がある。 m が合成数、つまり m = ab, a ≧ 2, b ≧ 2 と仮定する。
196 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 11:24:02
奇素数λが具体的に与えられたとき、円分整数環 Z[ζ] (>>147)における 円分素数(>>194)を具体的に見つけるにはどうするか?
>>194より、円分素数のノルムは素数べきだから、まずノルムが素数の 円分整数を見つけようと考えるのは自然だろう。
ここでまず問題になるのはノルムが素数の円分整数は円分素数かどうか ということである。これは可換代数を知っていれば簡単な問題だが、 ここでは、Kummerの方法に近いやり方で、この問題を解いてみよう。
197 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 11:56:28
まずノルムが素数の円分整数を具体的にみつけよう。 最も簡単でしかも有理整数でない円分整数は ζ の一次式 a + bζ だから、 このノルムを計算する。
N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2)...(a + bζ^(λ-1)) である。
b = -1 の場合を考えれば、次の恒等式を思い出すだろう。
X^λ - 1 = (X - 1)(X - ζ)(X - ζ^2)...(X - ζ^(λ-1))
ここで、X を X/Y で置き換える。
(X/Y)^λ - 1 = (X/Y - 1)(X/Y - ζ)(X/Y - ζ^2)...(X/Y - ζ^(λ-1))
この両辺に Y^λ を掛けると、
X^λ - Y^λ = (X - Y)(X - Yζ)(X - Yζ^2)...(X - Yζ^(λ-1))
Y を -Y で置き換えると、λは奇数だから、
X^λ + Y^λ = (X + Y)(X + Yζ)(X + Yζ^2)...(X + Yζ^(λ-1))
これから、a ≠ -b のとき、
N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2)...(a + bζ^(λ-1)) = (a^λ + b^λ)/(a + b) となる。
198 :132人目の素数さん:2006/04/24(月) 12:47:10
ニートヒッキー役たたず、脳内のみの数学者 そのままパソコン前で氏ね。
199 :GiantLeaves ◆6fN.Sojv5w :2006/04/24(月) 12:55:44
人の脳を読む能力を悪用する奴を潰せ。
200 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 13:18:46
>>197で除外した a = -b の場合を考える。
この場合、a + bζ = a - aζ = a(1 - ζ) である。 よって、N(1 - ζ) が求まればよい。
1 + X + ... + X^(λ - 1) = (X - ζ)(X - ζ^2)...(X - ζ^(λ-1))
において、 X = 1 と置けば、 λ = N(1 - ζ) となる。
1 < k ≦ λ - 1 のとき、 (ζ^k - 1)/(ζ - 1) = 1 + ζ + ... + ζ^(k-1)
だから、ζ^k - 1 は ζ - 1 で割れる。
kj ≡ 1 (mod λ) となる j をとる。
(ζ^j - 1)/(ζ - 1) = 1 + ζ + ... + ζ^(j-1)
この式のζをζ^k で置き換えて
(ζ^(kj) - 1)/(ζ^k - 1) = (ζ - 1)/(ζ^k - 1) = 1 + ζ^k + ... + ζ^k(j-1)
だから、ζ - 1 は ζ^k - 1 で割れる。 よって、(ζ^k - 1)/(ζ - 1) は単数(>>193)である。 つまり、ζ - 1 と ζ^k - 1 は、Z[ζ] における整除関係を考えるとき、 同じものと考えてよい。
λ = N(1 - ζ) = (1 - ζ)(1 - ζ^2)...(1 - ζ^(λ-1)) より、λ = ε(1 - ζ)^(λ-1) となる。 ここでεは単数である。
201 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 13:58:00
円分整数 f(ζ) が 1 - ζ または同じことだが ζ - 1 で割れるか どうかを判定するのは簡単である。
ζ ≡ 1 mod (ζ - 1) だから f(ζ) ≡ f(1) mod (ζ - 1) となる。 よって、f(ζ) が ζ - 1 で割れるなら、 f(1) ≡ 0 mod (ζ - 1) である。 よって f(1) = (ζ - 1)g(ζ) となる円分整数 g(ζ) がある。 両辺のノルムをとって、 f(1)^(λ-1) = λNg(ζ) よって、f(1) ≡ 0 mod λ となる。
逆に、f(1) ≡ 0 mod λ なら、 f(1) ≡ 0 mod (ζ - 1) である。 よって、f(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) となる。
202 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 14:07:33
>>201 から ζ - 1 が円分素数であることはすぐ出る。
つまり、 f(ζ)g(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) なら >>201 より、f(1)g(1) ≡ 0 mod λ となる。 よって、f(1) ≡ 0 mod λ または g(1) ≡ 0 mod λとなる。 再び、>>201 より f(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) または g(ζ) ≡ 0 mod (ζ - 1) となる。
203 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 15:00:01
>>201 と同様の論法で円分整数 f(ζ) のノルムの重要な性質が得られる。
ζ ≡ 1 mod (ζ - 1) だから Nf(ζ) = f(ζ)f(ζ^2)...f(ζ^(λ-1)) ≡ f(1)^(λ-1) mod (ζ - 1) よって Nf(ζ) ≡ f(1)^(λ-1) mod λ となる。
Fermatの定理から f(1)^(λ-1) ≡ 0 または ≡ 1 mod λ となる。 よって、Nf(ζ) ≡ 0 または ≡ 1 mod λ となる。
204 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 15:19:54
>>197 の場合を考えよう。 この場合、N(a + bζ) = (a^λ + b^λ)/(a + b) は素数とは限らない。 例えば、λ = 5 のとき、N(4 + ζ) = (4^5 + 1)/5 = 1025/5 = 205 = 5・41 は素数ではない。
N(a + bζ) が素数 p になる場合を考える。 このとき b は p で割れない。
なぜなら、b ≡ 0 mod p とすると、 p ≡ 0 mod (a + bζ) だから bζ ≡ 0 mod (a + bζ) となる。 一方 a + bζ ≡ 0 mod (a + bζ) だから a ≡ 0 mod (a + bζ) となる。 よって、a^(λ-1) ≡ 0 mod p となる(a と a + bζのノルムを考える)。 よって、a ≡ 0 mod p となる。 よって、a + bζ = p(c + dζ) となる。ここで c, d は整数。 この両辺のノルムをとると、 p = p^(λ-1)N(c + dζ) となる。 よって、p が p^(λ-1) で割れることになって矛盾。
205 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 15:41:06
>>204 の続き:
b は p で割れないから bc ≡ 1 mod p となる有理整数 c がある。 p ≡ 0 mod (a + bζ) だから bc ≡ 1 mod (a + bζ) でもある。 a + bζ ≡ 0 mod (a + bζ) の両辺に c を掛けて ac + ζ ≡ 0 mod (a + bζ) となる。 よって ζ ≡ -ac mod (a + bζ) となる。 k = -ac とおく。
>>201と同様にして円分整数 f(ζ) が a + bζ で割れるかどうかを 判定するのは簡単である。
ζ ≡ k mod (a + bζ) だから f(ζ) ≡ f(k) mod (a + bζ) となる。 よって、f(k) ≡ 0 mod p となるかどうかを判定すればよい。 これから >>202 と同様にして a + bζ が円分素数であることが分かる。
206 :132人目の素数さん:2006/04/24(月) 15:43:19
読みたい奴は下がっていても読みにくるから、sageろ。 そして氏ね。
207 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/24(月) 16:23:07
円分整数 f(ζ) が ζ の一次式とは限らない場合で、Nf(ζ) が 素数となる場合を考える。
まず Nf(ζ) = λの場合。
>>200 より N(ζ - 1) = λ だから Nf(ζ) は ζ - 1 で割れる。 >>202より ζ - 1 は円分素数だから、ある f(ζ^i) が ζ - 1 で割れる。 ここで 1 ≦ i ≦ λ- 1 である。 ij ≡ 1 mod λ とし、ζ → ζ^j による同型を 整除関係 (ζ - 1)|f(ζ^i) に作用させれば、 f(ζ) は ζ^j - 1 で割れることがわかる。 f(ζ) と ζ^j - 1 のノルムは λ だから 両者は単数の違いを除いて一致する。
208 :132人目の素数さん:2006/04/24(月) 17:03:20
>>206
どうでもいいけど、ageるとなぜ駄目なんだ?
209 :132人目の素数さん:2006/04/24(月) 19:41:29
┌-―ー-';
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210 :132人目の素数さん:2006/04/24(月) 20:21:11
>>208 sage厨は気にしなくていいよ。
211 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 15:48:04
今度は、円分整数 f(ζ) のノルムがλと異なる素数 p の場合を考える。
>>203 より p ≡ 1 mod λ である。
>>205 のように ζ ≡ k mod f(ζ) となる有理数 k があれば都合がいい。 実際、そのような k があることを示そう。
まず、このような k があったと仮定して、k が満たす条件を求めよう。
ζ ≡ k mod f(ζ) より f(ζ) ≡ f(k) mod f(ζ) となる。 勿論、f(ζ) ≡ 0 mod f(ζ) だから f(k) ≡ 0 mod f(ζ) となる。 よって、f(k) ≡ 0 mod p となる。
また ζ ≡ k mod f(ζ) より、ζ^λ ≡ k^λ mod f(ζ) となる。 ζ^λ = 1 だから k^λ ≡ 1 mod f(ζ) よって k^λ ≡ 1 mod p である。
等式 k^λ - 1 = (k - 1)(1 + k + ... + k^(λ-1)) より、(k - 1)(1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p である。
ここで、k ≡ 1 mod p とはならない。 何故なら、もしそうなら ζ ≡ 1 mod f(ζ) となり、 ζ - 1 が f(ζ) で割れるから N(ζ- 1) = λ が Nf(ζ) = p で割れることになり、 λ ≠ p という仮定に反する。
よって、(1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p である。
(続く)
212 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 17:39:07
>>211 の続き
逆に、次の条件(ⅰ), (ⅱ) を満たす有理数があったとする。
(ⅰ) (1 + k + ... + k^(λ-1)) ≡ 0 mod p (ⅱ) f(k) ≡ 0 mod p
このとき、ζ - k が f(ζ) で割れることを示そう。 >>190 より、(ζ - k)f(ζ^2)...f(ζ^(λ - 1)) が N(f(ζ)) = p で 割れることを示せばよい。
条件(ⅱ) の f(k) ≡ 0 mod p より f(X) ≡ (X - k)Q(X) mod p となる Q(X) ∈ Z[X] がある。 よって、2 ≦ i ≦ λ - 1 となる i に対して、 f(ζ^i) ≡ (ζ^i - k)Q(ζ^i) mod p である。 よって、 (ζ - k)f(ζ^2)...f(ζ^(λ - 1)) ≡ N(ζ - k)R(ζ) mod p となる。ここで R(ζ) はある円分整数。
ここで、N(ζ - k) ≡ 0 mod p を示せばよい。
>>197 の公式 N(a + bζ) = (a^λ + b^λ)/(a + b) より、 N(ζ - k) = (k^λ - 1)/(k - 1) = 1 + k + ... k^(λ - 1) である。 よって 条件(ⅰ) より N(ζ - k) ≡ 0 mod p となる。
(続く)
213 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 18:03:11
>>212 >逆に、次の条件(ⅰ), (ⅱ) を満たす有理数があったとする。
次のように訂正する:
逆に、次の条件(ⅰ), (ⅱ) を満たす有理整数があったとする。
214 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/25(火) 18:13:45
>>212 の条件(ⅰ), (ⅱ) を満たす有理整数 k が存在することを 示そう。
p ≡ 1 mod λ だから λ|(p - 1) である。 有限体 Z/pZ の乗法群は、位数 p - 1 の巡回群だから、 その約数 λ を位数とする部分群が一個だけある。 よって、Z 上の 合同方程式 X^λ ≡ 1 mod p の 根となる剰余類の数は λ個である。 さらに、X^λ ≡ 1 mod p の根 a で a ≡ 1 mod p とはならないものを 任意にとれば、a, a^2, ..., a^(λ - 1) が X^λ ≡ 1 mod p の 根となる剰余類すべての代表となる。
ここで、g(X) = f(X)f(X^2)...f(X^(λ - 1)) とおく。 g(ζ) = Nf(ζ) である。 よって g(ζ) - p = 0 となる。 よって g(X) - p = h(X)q(X) となる q(X) ∈ Z[X] がある。 ここで、h(X) = 1 + X + ... + X^(λ - 1) である。
g(X) ≡ h(X)q(X) mod p だから g(a) ≡ h(a)q(a) mod p となる。 h(a) ≡ 0 mod p だから g(a) ≡ 0 mod p となる。 つまり、f(a)f(a^2)...f(a^(λ - 1)) ≡ 0 mod p よって f(a^i)) ≡ 0 mod p となる i がある。 k = a^i とおけばこれが求めるものである。
215 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/26(水) 08:26:47
以上をまとめる。
円分整数 f(ζ) のノルムがλと異なる素数 p とする。 >>203 より p ≡ 1 mod λ である。 >>214 より >>212 の条件(ⅰ), (ⅱ) を満たす有理整数 k が存在する。 >>212 より ζ ≡ k mod f(ζ) となる。
>>201と同様にして円分整数 g(ζ) が で割れるかどうかを 判定するのは簡単である。 ζ ≡ k mod f(ζ) だから、任意の円分整数 g(ζ) にたいして、 g(ζ) ≡ g(k) mod f(ζ) となる。 よって、g(k) ≡ 0 mod p となるかどうかを判定すればよい。 これから >>202 と同様にして f(ζ) が円分素数であることが分かる。
216 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/26(水) 08:31:15
>>215
訂正
>>>201と同様にして円分整数 g(ζ) が で割れるかどうかを >判定するのは簡単である。
>>201と同様にして円分整数 g(ζ) が f(ζ) で割れるかどうかを 判定するのは簡単である。
217 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/26(水) 08:38:04
1つの素数 p が二つの円分整数 f(ζ) と g(ζ) のノルムとなるとき、 すなわち Nf(ζ) = Ng(ζ) = p となるとき、f(ζ) と g(ζ) は 単数の違いしかない。これは f(ζ) と g(ζ) が円分素数であることから 簡単にでる。
218 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/27(木) 15:11:12
今度は、今までと逆に次の問題を考える。 p ≡ 1 mod λ となる素数 p をとる。 円分素数 f(ζ) が p を割るとき Nf(ζ) = p となるか? この答えはYESである。 これは、代数的整数論の初歩を知っていれば簡単にわかるが、 今までの方法で証明しよう。
219 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/27(木) 15:16:03
p ≡ 1 mod λ だから ζ^(p-1) = 1 となる。
ここで、恒等式 X^(p-1) - 1 ≡ (X - 1)(X -2)...(X - (p-1)) mod p を利用する。
X に ζ を代入して、 ζ^(p-1) - 1 ≡ (ζ - 1)(ζ -2)...(ζ - (p-1)) mod p となる。
左辺は0だから (ζ - 1)(ζ -2)...(ζ - (p-1)) ≡ 0 mod p となる。
f(ζ) は p を割るから (ζ - 1)(ζ - 2)...(ζ - (p-1)) ≡ 0 mod f(ζ) となる。
f(ζ) は円分素数だから、 ζ - k ≡ 0 mod f(ζ) となる、k がある。ここで、1 ≦ k ≦ p - 1 である。
220 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/04/27(木) 15:27:53
1 ≦ i < j ≦ p - 1 のとき f(ζ^i) と f(ζ^j) が同伴つまり f(ζ^i) = εf(ζ^j) となるとする。 ここで ε は単数である。
ζ - k ≡ 0 mod f(ζ) だから ζ^i - k ≡ 0 mod f(ζ^i) ζ^j ≡ k mod f(ζ^j) である。
f(ζ^j) は f(ζ^i) で割れるから、 ζ^j ≡ k mod f(ζ^i) である。
よって、 ζ^j - ζ^i ≡ 0 mod f(ζ^i) となる。 よって、 ζ^i(ζ^(j-i) - 1) ≡ 0 mod f(ζ^i) となる。
ζ^i は単数だから、 ζ^(j-i) - 1 ≡ 0 mod f(ζ^i) よって、 N(ζ^(j-i) - 1) は N(f(ζ^i)) で割れる。
ところが N(ζ^(j-i) - 1) = λ であり(>>200)、 N(f(ζ^i)) は p の冪だからこれは有り得ない。 よって、f(ζ^i) と f(ζ^j) は同伴でない。
p は f(ζ), f(ζ^2), ..., f(ζ^(λ-1))でそれぞれ割れ、 これらは互いに同伴ではない円分素数だから、 p はこれ等の積つまり、Nf(ζ) で割れる。 つまり、p = (Nf(ζ))g(ζ) となる円分整数 g(ζ) がある。 g(ζ) は有理整数でなければならない。 よって、Nf(ζ) = p となる。
221 :tama:2006/04/28(金) 00:53:03
Kummmerさん、教えて以下。マジです・・ ある有限群Gの自己同型は、Sn(n次の対称群)の中で Φー1・G・Φ=G となるようなΦによって引き起こされる。 そのような置換の全体がGの自己同型群A(G)である。 Φー1・G・Φ=GとなるΦの全体をBとする。Bの中でGの各々の要素 を動かさないものをCとする。任意のg∈Gに対し Φー1・g・Φ=g、g・Φ=Φ・g であるから、Bの中でgの各々の要素と 交換可能な要素となる。つまり C⊆B このときBの任意の要素をbとすれば (b-1・c・b)-1・g・(b-1・c・b) =b-1・c-1・b・g・b-1・c・b =b-1・c-1・(b・g・b-1)・c・b となり、b・g・b-1はGの要素であるから、cとは交換可能。 よって =b-1・(b・g・b-1)・b=g の、cとは交換可能の理由および最後の一行の変形良く解りません。 数学が好きで群論の自己同型独習してます。お願いします・・ <記号の-1は、逆写像 or 逆元の意です>
222 :tama:2006/04/28(金) 00:59:48
mmm・m-1 ごめんなさい
223 :132人目の素数さん:2006/04/28(金) 11:44:32
>>221 >cとは交換可能の理由および最後の一行の変形良く解りません。
Cの定義がわかる? つまり、Bの中でGの各々の要素を動かさないものをCとする。 このことの意味がわかる?
224 :tama:2006/04/29(土) 00:06:41
すいません素数さん(and Kummerさん)/ GΦ=ΦGを成り立たせるΦは、Φ∈B⊆Snで、そのようなBの中には (群)演算によりGの各々の要素を動かさないようなCがあるのだ、と自分なりに 解釈しました。でも「Gの各々の要素を動かさない」というのは具体的にはどんな 意味なんでしょう・・ 読んでいる本の前の章に、正規部分群Hのことが書かれてあり ある有限群の剰余類(いずれは剰余群)を作る素となる正規部分群は、準同型写像により その写像先の群の単位元に写されるとありました。 そのことが気持ちの中にあったので まてよ・・動かさないというのは単位元的なことだから
H → e(単位元) : 準同型写像による C → 動かさない : 自己同型での写像による などと、漠然と考え無理矢理に暗記しようとしてました。が、どうもしっくりいかず このサイトを偶然見つけ、質問した次第です ただ、正規部分群は写像前の始域の群の中で Hx=xHを満たす部分群だしなぁ・・ このCがGの各々の要素を動かさないというのもGの中での話で、写像後の行った先で 要素を動かしてないとか、そういう話でもないだろう・・ などとetc わかんないです。 もっとも代数自体言ってることが抽象的すぎますが、でも好きなんですよね そこがまた よろしくお願いします。
225 :132人目の素数さん:2006/04/30(日) 23:52:24
? !(゚Д゚≡゚Д゚)? !
226 :tama:2006/05/01(月) 00:20:10
>>223 感謝します 例題に 有限群G={e,g,g^2},g^3=e のときGの自己同型群を求めよ というのがあり模範解答を221の証明に照らして考えてたとき、ふいに ∀g∈G、cg=gc なんだ・・って理解できました
227 :132人目の素数さん:2006/05/01(月) 00:39:36
225の絵文字の配置、深いですね・・ 群論の「奥義」みたいな
228 :132人目の素数さん:2006/05/01(月) 00:41:38
悟ったな
229 :132人目の素数さん:2006/05/01(月) 08:14:15
>>224 >そこがまた よろしくお願いします。
>>223 は例外的サービスのつもり。 基本的には、このスレに関係ない質問はそれに関係した別スレに お願いします。
230 :132人目の素数さん:2006/05/01(月) 08:57:19
λ = 3 として Z[ζ] における素元分解を調べよう。
ζ は X^2 + X + 1 = 0 の根だから ζ は (-1 ±√(-3))/2 のどちらか である。ζ = (-1 + √(-3))/2 としよう。
Z[ζ] の元は a + bζ, a ∈ Z, b ∈ Z と一意に書ける。
N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2) = a^2 + abζ^2 + abζ + b^2 = a^2 - ab + b^2 となる。
231 :Emperor:RootOfAnarchyConversion ◆2i2T.RCSQo :2006/05/01(月) 09:00:19
revelation:>>230 何を言っているのですか?
232 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 09:09:05
>>230 に名前とID(Kummer g2BU0D6YN2)を入れるの忘れていた。
a, b が有理数のときにも、N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2) によって、a + bζのノルムを定義する。
>>230 の式 N(a + bζ) = (a + bζ)(a + bζ^2) = a^2 + abζ^2 + abζ + b^2 = a^2 - ab + b^2 は明らかに a, b が有理数でも成立つ。
233 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2006/05/01(月) 09:15:28
λ = 3 のとき、Z[ζ] は、Euclid環であることを証明する。
f(ζ) ≠ 0 と g(ζ) を円分整数とする。 g(ζ)/f(ζ) = r + sζ とする。 r と s は有理数である。 |r - m| ≦ 1/2, |s - n| ≦ 1/2 となる整数 m, n がある。
円分整数 q(ζ) = m + nζ に対して
N(r + sζ - (m + nζ)) = N(r - m + (s - n)ζ) = (r - m)^2 - (r - m)(s - n) + (s - n)^2 ≦ 1/4 + 1/4 + 1/4 = 3/4 つまり、N(g(ζ)/f(ζ) - q(ζ)) < 1 である。
ρ = g(ζ)/f(ζ) - q(ζ) とおく。 f(ζ)ρ = g(ζ) - f(ζ)q(ζ) ∈ Z[ζ] よって、f(ζ)ρ = r(ζ) は円分整数である。
g(ζ) = f(ζ)q(ζ) + r(ζ) N(r(ζ)) < N(f(ζ)) である。 よって、Z[ζ] は、Euclid環である。
234 :132人目の素数さん:2006/05/01(月) 11:41:20
>>231の別名は「ハエ」
235 :Emperor:RootOfAnarchyConversion ◆2i2T.RCSQo :2006/05/01(月) 12:02:31
revelation:>>234 それはあなたの事ではないのですか?
タグ: Eisenstein の既約性定理 一意分解整域 円分整数環 初等整数論 原始根 奇素数
- ヾ(゚∀゚)ノ ハイハイ! (2011-03-04 21:55:04)
