最終更新日時 2011年03月05日 (土) 21時38分04秒
代数的整数論 004 (761-850)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1164286624/761-850
ログ元: http://yomi.mobi/read.cgi/science6/science6_math_1164286624/761-850
ログ元: http://yomi.mobi/read.cgi/science6/science6_math_1164286624/761-850
761 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/25(日) 20:40:48 ]
訂正 >>758 >よって p = x^2 + y^2 の解は (u, r), (-u, -r), (-r, u), (r, -u) >の4個である。
よって (p, l, k) に対応する p = x^2 + y^2 の解は (u, r), (-u, -r), (-r, u), (r, -u) の4個である。
他方 x^2 ≡ -4 (mod 4p) の別の解 -l には 2次形式 (p, -l, k) が対応する。
R = (1, 0)/(0, -1) とすると (p, l, k)R = (p, -l, k) (1, 0, 1)R = (1, 0, 1) である。
よって (1, 0, 1)RσR = (p, l, k)R = (p, -l, k) U = RσR とおく。 det(U) = det(σ) = 1 だから U ∈ SL_2(Z) である。 U = (u, -q)/(-r, s) である。 >>758 と同様に (1, 0, 1)τ = (p, -l, k) となる τ は U, -U, TU, -TU の四個である。 即ち (u, -q)/(-r, s),(-u, q)/(r, -s),(r, -s)/(u, -q),(-r, s)/(-u, q) である。 よって (p, -l, k) に対応する p = x^2 + y^2 の解は (u, -r), (-u, r), (r, u), (-r, -u) の4個である。
>>758 と合わせて p = x^2 + y^2 の解は (u, r),(-u, -r),(-r, u),(r, -u),(u, -r),(-u, r),(r, u),(-r, -u) の8個である。
762 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/25(日) 20:46:27 ]
p を奇素数とする。 >>163 より (-1/p) = (-1)^((p-1)/2) だから (-1/p) = 1 であるためには p ≡ 1 (mod 4) が必要十分である。
これと、>>757, >>758, >>761 より以下の定理が得られる
定理(Fermat-Euler) p を奇素数とする。 p = x^2 + y^2 が有理整数解を持つためには p ≡ 1 (mod 4) が必要十分である。 さらに、このとき解は順序と符号を除いて一つである。
763 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/25(日) 20:47:49 ]
>>762の定理は Fermat により明言され Eulerにより証明された。
764 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/26(月) 11:10:00 ]
29
765 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/26(月) 11:11:00 ]
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766 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/26(月) 11:12:00 ]
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767 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/26(月) 11:13:00 ]
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768 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/26(月) 11:14:00 ]
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769 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/26(月) 11:15:00 ]
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770 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/26(月) 21:11:27 ]
>>367 の原始解の定義は >>701 の固有な解と同じものだった。 今後、固有な解に統一する。
さらに、>>717 は >>368 で証明してあった。
771 名前:132人目の素数さん [2007/02/26(月) 21:17:03 ]
/⌒ヽ, ,/⌒丶、 ,- `,ヾ / ,;;iiiiiiiiiii;、 \ _ノソ´ iカ / ,;;´ ;lllllllllllllii、 \ iカ iサ' ,;´ ,;;llllllllllllllllllllii、 fサ !カ、._ ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fカヘ. / `ヾサ;三ミミミミミK彡彡彡ミヾサ`´ 'i、 i' ,._ΞミミミミミミI彡/////ii_ | | ;カ≡|ヾヾヾミミミミミN、//巛iリ≡カi | | iサ |l lヾヾシヾミミミミG|ii//三iリ `サi | | ,カ ,カll|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリllカ、カi | | ;iサ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ サi サi | | iカ ;カ, |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ ,カi カi | | iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,サi サi | | iサ ;iカ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,カi :サ、 | ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,サi `ヘ、 ,√ ,:カ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ ,カi `ヾ ´ ;サ, |彡彡彡彡川川リゞミミリ ,サi ;カ, |彡彡彡彡リリリミミミシ ,カi ,;サ, |彡彡ノリリリリミミミシ ,サi ;メ'´ i彡ノリリリリリゞミミシ `ヘ、 ;メ ヾリリリリノ巛ゞシ `ヘ、 ;メ ``十≡=十´ `ヘ、 ┃ ┃ | | / \ / \ / \
772 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/01(木) 04:09:00 ]
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773 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/01(木) 04:10:00 ]
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774 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/01(木) 04:11:00 ]
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775 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/01(木) 04:12:00 ]
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776 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/01(木) 04:13:00 ]
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777 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/01(木) 04:14:00 ]
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778 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 12:28:08 ]
>>733 において合同方程式 x^2 ≡ D (mod 4m) の解法が必要であった。 この問題について考える。
m > 1 を有理整数で、m = (p_1)^(k_1)...(p_r)^(k_r) を m の素因数分解とする。
a を有理整数として合同方程式 x^2 ≡ a (mod m) を考える。 この解は、明らかに各 i に対して x^2 ≡ a (mod (p_i)^(k_i)) の 解でもある。
逆に各 i に対して x^2 ≡ a (mod (p_i)^(k_i)) の解を b_i とする。 中国式剰余定理(前スレ1の341)より c ≡ b_i (mod (p_i)^(k_i)) となる c ∈ Z がある。 c^2 ≡ a (mod (p_i)^(k_i)) だから c^2 ≡ a (mod m) である。
以上から x^2 ≡ a (mod m) の解の mod m の個数を N とし、 x^2 ≡ a (mod (p_i)^(k_i)) の解の mod (p_i)^(k_i) の個数を N_i とすると、 N = Π N_i となる(>>100)。
以上から x^2 ≡ a (mod m) は m が素数 p のべき p^n のときに 解ければよい。 この問題は a が p と素なときが本質的であるが、そのときは 環 Z/p^nZ の可逆元のなす群 (Z/p^nZ)^* (>>516) の構造と関係する。 よって、この問題を解く前に (Z/p^nZ)^* の構造について述べる。
779 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 13:17:04 ]
(Z/p^nZ)^* の構造定理の証明に入る前に有限アーベル群について 復習しておく(これは後にも必要になる)。
G を位数 N の有限アーベル群とする。 N = (p_1)^(k_1)...(p_r)^(k_r) を N の素因数分解とする。 このとき各 p_i に対して G の位数 (p_i)^(k_i) の部分群 G_i が 唯一つ存在し、G は G_i の直積となる。
この事実は、有限群論のSylowの定理からも出るし、アーベル群の 基本定理からも出る。 さらに、単項イデアル環上の有限生成束縛加群の一般論からも出る。
これ等について説明しよう。
780 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 13:42:03 ]
Sylowの第一定理を証明する前に簡単な定義をする。
G を群とする。 G の元 g に対して G から G への写像 σ(g) を σ(g)(x) = gxg^(-1) で定義する。 この σ により G は G-集合 (>>388) となる。
G を σ により G-集合と見たときの軌道(>>390)を共役類と呼ぶ。 ひとつの軌道に属す2元は互いに共役という。
x ∈ G のとき x の安定化部分群(>>392)を N(x) と書き、
x の正規化群と呼ぶ。
N(x) = {g ∈ G;gxg^(-1) = x } である。
G が有限群のとき x の属す共役類の元の個数は [G : N(x)] である (>>394)。
781 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 14:04:15 ]
G を群とする。 G の元 x に共役(>>780)な元が x のみのとき x を自己共役元という。 G の自己共役元全体 Z は G の正規部分群である。 Z を G の中心と呼ぶ。
782 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 14:08:49 ]
G を有限群とする。G の中心(>>781)を Z とする。 G の共役類(>>780) C で |C| > 1 となるもの全体を C_1, ..., C_r とする。 h_i = |C_i| とおく。 このとき、 |G| = |Z| + h_1 + ... + h_r である。
この等式を G の類等式と呼ぶ。
783 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 15:44:44 ]
補題 G を有限アーベル群とする。 p を素数とし、 G のすべての元の位数は p のべきだとする。 このとき G の位数も p のべきである。
証明 G の位数に関する帰納法を使う。 x を G の位数 p の元とする。 x で生成される G の部分群を H とする。 G/H の各元の位数は p のべきだから G/H は帰納法の仮定を満たす。 よって |G/H| は p のべきである。 よって |G| も p のべきである。 証明終
784 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 15:45:40 ]
補題 G を有限アーベル群とする。 |G| = (p^n)(q^m) とする。 ここで p と q は素数で p ≠ q である。 n ≧ 1, m ≧ 1 である。
このとき G には位数がそれぞれ p と q の元が存在する。
証明 G には位数 p の元が存在しないと仮定する。 これから矛盾を導けばよい。
G の任意の元 x ≠ 1 の位数の素因数は p または q である。 しかし仮定より x の位数は p では割れない。 よって x の位数は q のベキである。 >>783 より G の位数は q のベキであるが、これは仮定に反する。 証明終
785 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 16:12:34 ]
補題(Burnside) G を有限群とする
|G| = (p^m)q とする。 ここで p と q は素数で p ≠ q である。 m ≧ 1 である。 さらに G の中心 K に位数 q の元があるとする。 このとき K は位数 p の元ももつ。
証明 G の共役類(>>780) C で |C| > 1 となるもの全体を C_1, ..., C_r とする。 h_i = |C_i| とおく。 このとき、G の類等式は |G| = |K| + h_1 + ... + h_r である(>>782)。
各 C_i から代表元 x_i をとる。 h_i = [G : N(x_i)] である(>>780)。
K ⊂ N(x_i) で |K| は仮定により q で割れるから h_i は p のベキ である。 よって G の類等式から |K| は p で割れる。 よって >>784 より K は位数 p の元をもつ。 証明終
786 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 16:36:42 ]
命題(Sylowの第一定理) G を位数 N の有限群とする。 p を素数とし、p^m が N を割るとする。ここで m ≧ 1 である。 このとき G の部分群 H で |H| = p^m となるものが存在する。
証明 G の位数に関する帰納法を使う。
G の中心(>>781)を K とする。 G の共役類(>>780) C で |C| > 1 となるもの全体を C_1, ..., C_r とする。
G の類等式は |G| = |K| + |C_1| + ... + |C_r| である。
|K| = 1 なら、ある C_i に対して |C_i| は p で割れない。 x ∈ C_i のとき |C_i| = [G : N(x)] である(>>780)。 よって N(x) は p^m で割れる。 帰納法の仮定から N(x) の部分群 H で |H| = p^m となるものが 存在する。
よって |K| > 1 と仮定する。 K に位数 p の元 x があるなら x で生成される部分群を L とすると、 L は G の正規部分群で |G/L| は p^(m-1) で割れる。 帰納法の仮定から G/L の部分群で位数が p^(m-1) となるものがある。 よって G の部分群で位数が p^m となるものがある。
(続く)
787 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 16:41:42 ]
>>786 の証明の続き。
q を p と異なる素数とし、K に位数 q の元 y があるとする。 このとき y で生成される部分群を M とすると、 |G/M| は p^m で割れるから、帰納法の仮定から G/M は位数 p^m の 部分群をもつ。 よって G は位数 (p^m)q の部分群 T をもつ。 G ≠ T なら T に帰納法の仮定を使えて、T は位数 p^m の部分群 H を もつ。
残るのは G = T 即ち |G| = (p^m)q の場合である。 >>785 より K は位数 p の元 z をもつ。 これから前と同様にして G は位数 p^m の部分群 H をもつ。 証明終
788 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 16:54:01 ]
>>786 の証明は Burnside の Theory of groups of finite order から 借りた。
Sylowの第二、第三定理もあるがさしあたって必要ないので 今は述べないことにする。
>>786 の証明はアーベル群の基本定理を使えばもっと簡単になる。 それは後で述べる。
789 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 17:08:47 ]
>>779 で述べた命題を >>786 を使って証明する。
命題 G を位数 N の有限アーベル群とする。 N = (p_1)^(k_1)...(p_r)^(k_r) を N の素因数分解とする。 このとき各 p_i に対して G の位数 (p_i)^(k_i) の部分群 G_i が 唯一つ存在し、G は G_i の直積となる。
証明 >>786 より G_i の存在がわかる。 G_i の元の位数は p_i のベキだから G_1 × ... × G_r は直積 (アーベル群だから直積と直和は同じもの)である。 位数を比較して G = G_1 × ... × G_r となる。 これから各 G_i は G の元で位数が p_i のベキとなるもの全体で あることがわかる。よって G_i は一意に定まる。 証明終
790 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 17:15:39 ]
G を有限群とする。 p を |G| を割る素数とし、 |G| = (p^m)r とする。 ここで r と p は素である。 >>786 より G は位数 p^m の部分群をもつ。 このような部分群を p-Sylow 部分群と呼ぶ。
791 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 17:29:50 ]
命題(Cauchy の定理) G を有限群とする。 p を |G| を割る素数とすると G は位数 p の元をもつ。
証明 >>786 より G は位数 p の部分群 H をもつ。 H の 1 以外の元の位数は p である。 証明終
792 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 17:58:37 ]
前スレ1の669を引用する。
命題
A を単項イデアル整域、M を A 上有限生成の捩れ加群とする。
A の素元 p に対して M(p) = {x ∈ M; (p^n)x = 0 となる n > 0 がある}
とおく。M = ΣM(p) (直和) となる。ここで p は、Ann(M) を割る素元
全体を動く。
793 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 18:00:06 ]
>>789 は >>792 と >>783 から直ちに出る。
794 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/03(土) 18:02:49 ]
>788 >>786 (Sylow's theorem)の証明は >>Burnside の Theory of groups of finite order から借りた。 Wielandtの(帰納法を使用しない)証明の方が、分かりやすいと思うんが… ま、手段であって目的ではないから良いのかな。
795 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 18:10:40 ]
命題(Cauchy の定理(>>791)のアーベル群版) G を有限アーベル群とする。 p を |G| を割る素数とすると G は位数 p の元をもつ。
これは、Sylowの第一定理(>>786)を使わなくても >>789 から 直ちに出る。>>789 は >>792 から出るからやはりSylowの第一定理 はいらない。
逆に、この命題からSylowの第一定理が出る。 それを次に述べる。
796 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 18:22:08 ]
>>786(Sylowの第一定理)の>>795を使った証明
G の位数に関する帰納法を使う。
G の中心(>>781)を K とする。 G の共役類(>>780) C で |C| > 1 となるもの全体を C_1, ..., C_r とする。
G の類等式は |G| = |K| + |C_1| + ... + |C_r| である。
ある C_i に対して |C_i| は p で割れないとする。 x ∈ C_i のとき |C_i| = [G : N(x)] である(>>780)。 よって N(x) は p^m で割れる。 帰納法の仮定から N(x) の部分群 H で |H| = p^m となるものが 存在する。
よって、この場合は定理は証明された。
次に、すべての |C_i| は p で割れるとする。 このとき上の類等式から |K| は p で割れる。 K はアーベル群だから >>795 より K は位数 p の元をもつ。 この元で生成される K の部分群を L とする。 L は G の正規部分群で |L| = p だから |G/L| は p^(m-1) で割れる。 よって帰納法の仮定から G/L に位数 p^(m-1) の部分群が存在する。 よって G に位数 p^m の部分群が存在する。 証明終
797 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 18:25:38 ]
アーベル群の基本定理からも>>789 したがって >>795 が出ることは明らかだろう。
798 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 18:30:41 ]
>>797 >アーベル群の基本定理からも>>789 したがって >>795 が出ることは >明らかだろう。
しかし >>789 の証明にアーベル群の基本定理をもちだすのはやや 大げさだろう。実際、>>789 は >>792 からすぐ出るが >>792 は前スレ1の669でみたように簡単に証明される。
799 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 18:43:20 ]
>>794
Burnsideの証明を改良した >>796 は十分わかりやすいと思うけど。 これは >>792 を使っているが、>>792 は単項イデアル整域上の 有限生成捩れ加群の基本であり、初等代数では常識と言えるもの。 証明も簡単だし。
800 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 19:56:51 ]
命題 G を位数 N の有限アーベル群とする。 N の任意の約数 n ≧ 1 に対して x^n = 1 となる G の元 x の個数は n 以下だとする。 このとき G は巡回群である。
証明 >>789 より N が素数 p のベキ p^m の場合に証明すればよい。 G の元 g ≠ 1 の位数を p^s とする。 g で生成される G の部分群を H とする。 |H| = p^s である。 H の任意の元 h に対して h^(p^s) = 1 となるから 仮定より x^(p^s) = 1 の解は H の元のみである。
G = H なら G は巡回群である。 G ≠ H なら H に含まれない G の元 y がある。 y^(p^s) ≠ 1 だから y の位数は p^s より大きい。
G が y で生成されなければ、同様にして y の位数より大きい位数 の元がある。 このような手続きを繰り返せば G の生成元が必ず見つかる。 証明終
801 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 20:06:45 ]
命題 F を有限体とする。 F^* (>>516)は巡回群である。
証明 有限体 F においては、任意の有理整数 n ≧ 1 に対して x^n = 1 の解の個数は n 以下である。 よって >>800 より F^* は巡回群である。 証明終
802 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 20:08:17 ]
命題(mod p の原始根の存在定理) p を素数とする。 (Z/pZ)^* は巡回群である。
証明 >>801 より明らかである。
803 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 20:28:56 ]
p を素数としたとき、(Z/pZ)^* の生成元またはその代表元を mod p の原始根という。
原始根を求めるには >>800 の証明方法が使える。 しかし、これは |(Z/pZ)^*| = p - 1 の素因数分解が必要だし、 (Z/pZ)^* の各 Sylow 部分群(>>790)を求める必要がある。
もっと簡単な方法を高木の本から紹介しよう。
804 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 21:00:11 ]
補題 n ≧ 1, m ≧ 1 を有理整数とする。 l を n と m の最小公倍数とする。 このとき n の約数 a と m の約数 b で l = ab, gcd(a, b) = 1 となるものがある。
証明 n と m の素因数分解を n = Π (p_i)^(n_i) m = Π (p_i)^(m_i) とする。
l = Π (p_i)^(max(n_i, m_i)) である。
m_i ≧ n_i なら a_i = 1, b_i = (p_i)^m_i m_i < n_i なら a_i = (p_i)^(n_i), b_i = 1 とし、
a = Π a_i b = Π b_i とすればよい。 証明終
805 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 21:19:18 ]
補題 G を群とする。 x を G の元で位数が n とする。 y を G の元で位数が m とする。 gcd(n, m) = 1 で、xy = yx なら z = xy の位数は nm である。
証明 xy = yx だから z^(nm) = (xy)^(nm) = (x^(nm))(y^(nm)) = 1 である。
r ≧ 1 を有理整数として z^r = 1 とする。 r が nm で割れることを示せばよい。
z^(rm) = 1 だから (x^(rm))(y^(rm)) = 1 ここで y^(rm) = 1 だから x^(rm) = 1
よって rm は n で割れる。gcd(n, m) = 1 だから r は n で割れる。 同様に、r は m で割れる。 gcd(n, m) = 1 だから r は nm で割れる。 証明終
806 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 21:29:29 ]
補題 G を群とする。 x を G の元で位数が n とする。 y を G の元で位数が m とする。 l を n と m の最小公倍数とする。 xy = yx なら G には位数 l の元が存在する。
証明 >>804 より n の約数 a と m の約数 b で l = ab, gcd(a, b) = 1 となるものがある。 x^(n/a) の位数は a である。 y^(m/b) の位数は b である。
>>805 より (x^(n/a))(y^(m/b) の位数は ab = l である。 証明終
807 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 21:41:46 ]
>>800 の別証
G の元 x ≠ 1 の位数を n とする。 |G| = n なら x は G の生成元である。
|G| ≠ n とする。 x の生成する G の部分群を H とすると、G ≠ H である。 G の元 y で H に含まれないものがある。 y の位数を m とする。 l を n と m の最小公倍数とする。 n = l とすると m は n の約数となり、y^n = 1 となる。 これは X^n = 1 の解が n 個以下という仮定に反する。 よって l > n である。
一方、>>806 より G には位数 l の元 z が存在する。 |G| = l なら z は G の生成元である。 |G| ≠ l なら、以上の手続きを繰り返せばよい。 証明終
808 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 21:52:21 ]
Cohen の A course in computational algebraic number theory の p.25 に
"Let p be a prime. To find a primitive root modulo p there seems to be no better way than to proceed as follows. Try g = 2, g = 3, etc... until g is a primitive root."
とある。
>>807(高木の方法) がその a better way だと思うんですが。
809 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/03(土) 21:57:04 ]
百日。
810 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/03(土) 23:27:00 ]
Gauss による >>800 の別証(Disquisitiones の art. 54) を紹介 する(高木の初等整数論講義の補遺にもある)。
>>800 の別証: d ≧ 1 を N の約数としたとき、G の位数 d の元の個数をψ(d) と 書くことにする。G に関する仮定より ψ(d) = 0 または ψ(d) = φ(d) である。 ここで φ(d) は Euler の関数である。 つまり φ(d) は位数 d の巡回群の生成元の個数である。 よって φ(d) = |(Z/dZ)^*| である。
明らかに、N = Σ ψ(d) である。 ここで d は N の約数 d ≧ 1 全体を動く。
一方、位数 N の巡回群を考えることにより、N = Σ φ(d) となる。 よって N の任意の約数 d に対して ψ(d) = φ(d) でなければ ならない。 特に、ψ(N) = φ(N) である。 よって ψ(N) ≠ 0 だから G は巡回群である。 証明終
811 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 00:23:44 ]
p を素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 (Z/(p^n)Z)^* が巡回群のときにその生成元またはその任意の代表元を mod p^n の原始根という。
812 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 00:27:39 ]
p を奇素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 g ∈ Z を mod p^(n+1) の原始根(>>811)とする。 g mod p^n の (Z/(p^n)Z)^* における位数を r とする。
g^r ≡ 1 (mod p^n) である。 g^r = 1 + h(p^n) となる h ∈ Z がある。
二項定理より g^(rp) = (1 + h(p^n))^p = 1 + h(p^(n+1)) + (p(p - 1)/2)(h^2)(p^(2n)) + ... = 1 + h(p^(n+1)) + ((p - 1)/2)(h^2)(p^(2n + 1)) + ...
p は奇数だから (p - 1)/2 は有理整数である。
よって g^(rp) ≡ 1 + h(p^(n+1)) (mod p^(n + 2))
よって g^(rp) ≡ 1 (mod p^(n + 1))
rp は φ(p^(n+1)) = (p^n)(p - 1) で割れる。 よって r は φ(p^n) = (p^(n-1))(p - 1) で割れる。 よって r = (p^(n-1))(p - 1) である。 よって g は mod p^n の原始根である。
g^r = 1 + h(p^n) において h は p で割れない。 何故なら h ≡ 0 (mod p) なら g^r ≡ 1 (mod p^(n+1)) となって g が mod p^(n+1) の原始根という 仮定に反するからである。
813 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 00:41:25 ]
補題 p を奇素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 g を mod p^n の原始根(>>811)とする。 g は mod p の原始根でもあり g^p - 1 は p^2 で割れない。
証明 >>812 より明らかである。
814 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 01:58:30 ]
>>812 の逆を考える。
p を素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 g を mod p^n の原始根(>>811)とする。
r = (p^(n-1))(p - 1) とおく。
g^r ≡ 1 (mod p^n) である。 g^r = 1 + h(p^n) となる h ∈ Z がある。 h が p で割れないとする。
g mod p^(n + 1) の (Z/(p^(n+1))Z)^* における位数を d とする。
g^d ≡ 1 (mod p^(n + 1)) よって g^d ≡ 1 (mod p^n) よって d は (p^(n-1))(p - 1) の倍数である。 一方、d は (p^n)(p - 1) の約数である。 よって d は r = (p^(n-1))(p - 1) または rp = (p^n)(p - 1) である。 d = r とすると g^r ≡ 1 (mod p^(n + 1)) となって h が p で割れることになり 仮定に反する。 よって d = (p^n)(p - 1) となり g は mod p^(n + 1) の原始根である。
815 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 02:01:49 ]
補題 p を奇素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 g を mod p の原始根で g^p - 1 は p^2 で割れないとする。 g は mod p^n の原始根でもある。
証明 >>814 より明らかである。
816 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 02:10:17 ]
訂正
>>813 >g は mod p の原始根でもあり g^p - 1 は p^2 で割れない。
g は mod p の原始根でもあり g^(p-1) - 1 は p^2 で割れない。
817 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 02:11:15 ]
訂正
>>815 >g を mod p の原始根で g^p - 1 は p^2 で割れないとする。
g を mod p の原始根で g^(p-1) - 1 は p^2 で割れないとする。
818 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 07:43:35 ]
p を奇素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 a を mod p の原始根で a^(p-1) - 1 は p^2 で割れるとする。
a^(p-1) ≡ 1 (mod p) だから a^(p-1) - 1 = ph となる h ∈ Z がある。 仮定より h は p で割れる。
a と mod p で合同な有理整数 b で b^(p-1) - 1 は p^2 で割れない ようなものがあるかどうかを調べる。
a ≡ b (mod p) だから b = a + pt となる t ∈ Z がある。 2項定理より b^p = a^p + (p^2)t + (p(p-1)/2)(p^2)t^2 + ... よって b^p ≡ a^p (mod p^2)
よって b^p - b ≡ a^p - b (mod p^2)
一方 a^(p-1) = 1 + ph だから a^p = a + pah である。 よって a^p - b = a + pah - (a + pt) = p(ah - t)
よって b^p - b ≡ p(ah - t) (mod p^2)
よって ah - t が p で割れなければ、b^p - b は p^2 で割れない。 従って、b^(p-1) - 1 は p^2 で割れない ah ≡ 0 (mod p) だから t として 1 を取ればよい。 つまり、b = a + p が求めるものである。
819 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 07:46:46 ]
補題 p を奇素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 a を mod p の原始根で a^(p-1) - 1 は p^2 で割れるとする。 このとき b + p は mod p^n の原始根である。
証明 >>818 で証明されている。
820 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 07:52:53 ]
命題 p を奇素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 (Z/p^nZ)^* は巡回群である。
証明 >>815(及び>>817) と >>819 から明らかである。
821 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 07:58:28 ]
>>820 の証明は Dirichlet の整数論講義から借りた。 この証明は、発見的であり自然である。 他でよく見られる証明は、整理されすぎていて舞台裏が見えにくい。
822 名前:KingOfUniverse ◆667la1PjK2 [2007/03/04(日) 08:34:07 ]
talk:>>771 何やってんだよ?
823 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/04(日) 09:10:00 ]
30
824 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/04(日) 09:11:00 ]
29
825 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/04(日) 09:12:00 ]
28
826 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/04(日) 09:13:00 ]
27
827 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/04(日) 09:14:00 ]
26
828 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/04(日) 09:15:00 ]
25
829 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 10:17:44 ]
補題 p を素数として n ≧ 1 を有理整数とする。 a ≡ b (mod p^n) なら a^p ≡ b^p (mod p^(n+1)) である。
証明 a = b + cp^n とする
二項定理より a^p = (b + cp^n)^p = b^p + cp^(n+1) + (p(p-1)/2)(c^2)p^2n + ... よって a^p ≡ b^p (mod p^(n+1)) 証明終
830 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 11:02:16 ]
補題 n ≧ 3 を有理整数とする。 5^(2^(n-3)) ≡ 1 + 2^(n-1) (mod 2^n) である。
証明 n に関する帰納法を使う。 n = 3 のときは正しい。
ある n ≧ 3 に対して 5^(2^(n-3)) ≡ 1 + 2^(n-1) (mod 2^n) が正しいとする。
>>829 より、 5^(2^(n-2)) ≡ (1 + 2^(n-1))^2 (mod 2^(n+1))
ここで (1 + 2^(n-1))^2 = 1 + 2^n + 2^(2n - 2)
2n - 2 ≧ n + 1 だから
5^(2^(n-2)) ≡ 1 + 2^n (mod 2^(n+1)) 証明終
831 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 11:18:47 ]
補題 n ≧ 3 を有理整数とする。 a を任意の奇数とすると、 a^(2^(n-2)) ≡ 1 (mod 2^n) である。
証明 n に関する帰納法を使う。 n = 3 のときは正しい。
ある n ≧ 3 に対して a^(2^(n-2)) ≡ 1 (mod 2^n) が正しいとする。
>>829 より a^(2^(n-1)) ≡ 1 (mod 2^(n+1)) 証明終
832 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 11:23:16 ]
補題 n ≧ 3 を有理整数とする。
5 mod 2^n の (Z/2^nZ)^* における位数は 2^(n-2) である。
証明 >>830 と >>831 より明らかである。
833 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 11:38:03 ]
補題 n ≧ 3 を有理整数とする。 任意の有理整数 k ≧ 0 に対して 5^k ≡ -1 (mod 2^n) とはならない。
証明 5^k ≡ -1 (mod 2^n) と仮定する。
5^k ≡ -1 (mod 4) である。
一方 5 ≡ 1 (mod 4) だから 1 ≡ -1 (mod 4) となって矛盾である。 証明終
834 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 11:44:34 ]
命題 n ≧ 3 を有理整数とする。 G = (Z/2^nZ)^* とおく。 a と b をそれぞれ mod 2^n における -1 と 5 の剰余類とする。 a で生成される G の部分群を K とし、 b で生成される G の部分群を H とする。 |K| = 2 |H| = 2^(n-2) であり G = K × H (直積)である。
証明 |G| = 2^(n-1) と >>832 と >>833 より明らかである。
835 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/04(日) 11:58:05 ]
>>800 の証明は以下のようにしたほうが明快だろう。
>>789 より N が素数 p のベキ p^m の場合に証明すればよい。 G における x^(p^(m-1)) = 1 の解の個数は p^(m-1) 以下である。 よって g^(p^(m-1)) ≠ 1 となる g ∈ G がある。 g が G の生成元である。 証明終
836 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/05(月) 16:04:00 ]
23
837 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/05(月) 16:05:00 ]
22
838 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/05(月) 16:06:00 ]
21
839 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/05(月) 16:07:00 ]
20
840 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/05(月) 16:08:00 ]
19
841 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/05(月) 16:09:00 ]
18
842 名前:132人目の素数さん [2007/03/06(火) 10:42:57 ]
modular form no ii hon oshiete!!!
843 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 13:08:24 ]
>>795 の >>789 を使わない証明を思いついた。
命題 G を有限アーベル群とする。 p を |G| を割る素数とすると G は位数 p の元をもつ。
証明 G の位数に関する帰納法を使う。
G の元 x ≠ 1 の位数 m が p で割れるとする。 m = pt とする。x^t の位数は p だから、この場合は命題は 証明された。
G の元 x ≠ 1 の位数 m が p で割れないとする。 x で生成される部分群を H とする。 G/H の位数は p で割れるから帰納法の仮定より G/H は位数 p の元を もつ。その元の任意の代表を y とする。 y^p ∈ H だから (y^p)^m = 1 である。よって y の位数は pm の 約数である。 よって、y の位数が p で割れないとすると、y^m = 1 となる。 このとき y mod H の位数は m の約数となり p で割れない。 これは矛盾である。 よって y の位数は p で割れる。 よって y の適当なべきの位数は p である。 証明終
844 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 20:29:06 ]
補題 H と K をそれぞれ位数 n と位数 m の巡回群とする。 G = H × K を直積とする。
gcd(n, m) ≠ 1 なら G は巡回群ではない。
証明 gcd(n, m) ≠ 1 だから、n と m はある素数 p で割れる。 >>795 より H と K はそれぞれ位数 p の部分群をもつ。 これらは明らかに異なる。
一方、G が巡回群なら位数 p の部分群はただ一つである。 よって G は巡回群ではない。 証明終
845 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 20:31:41 ]
>>844 は間違いではないが、次のように訂正する。
補題 H と K をそれぞれ位数 n と位数 m のアーベル群とする。 G = H × K を直積とする。
gcd(n, m) ≠ 1 なら G は巡回群ではない。
証明 gcd(n, m) ≠ 1 だから、n と m はある素数 p で割れる。 >>795 より H と K はそれぞれ位数 p の部分群をもつ。 これらは明らかに異なる。
一方、G が巡回群なら位数 p の部分群はただ一つである。 よって G は巡回群ではない。 証明終
846 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 20:35:27 ]
命題 H と K をそれぞれ位数 n と位数 m の巡回群とする。 G = H × K を直積とする。
G が巡回群であるためには gcd(n, m) = 1 が必要十分である。
証明 >>805 と >>845 より明らかである。
847 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 20:39:11 ]
補題 p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。 (Z/p^nZ)^* の位数は p = 2 で n = 1 を除いて偶数である。
証明 |(Z/p^nZ)^*| = (p^(n - 1))(p - 1) より明らかである。
848 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 20:58:06 ]
命題 N ≧ 2 を有理整数とする。 (Z/NZ)^* が巡回群となるのは、以下の場合のみである。
N = 2, 4, p^n, 2p^n
ここで p は奇素数で n ≧ 1 である。
証明 N の素因数分解を N = Π q^r とする。
中国式剰余定理(前スレ1の341)より Z/NZ = Π Z/(q^r)/Z である。 よって >>612 より (Z/NZ)^* = Π (Z/(q^r)/Z)^* である。
>>820 より p が奇素数で n ≧ 1 のとき (Z/p^nZ)^* は巡回群である。
>>834 より (Z/2^nZ)^* は n ≧ 3 のときは巡回群でない。 一方、 (Z/2Z)^* と (Z/4Z)^* 明らかに巡回群である。
以上の事実と >>847 と >>845 より本命題の主張は明らかである。 証明終
849 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/06(火) 21:19:02 ]
アーベル群の基本定理と >>845 から >>800 の別証明が得られる。 この証明は高木の「代数的整数論」にある証明(p.34)と同じである。
>>800 の別証明
アーベル群の基本定理から G は巡回群の直積である。 G が巡回群でないとすると >>846 よりある素数 p があり、 G は位数 p の部分群2個 の直積を部分群として含む。 すると x^p = 1 の G における解の個数は p^2 以上となり 仮定に反する。 証明終
850 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/07(水) 21:12:09 ]
補題 n ≧ 1 と m ≧ 1 を有理整数とする。 d = gcd(n, m) とおく。 a を有理整数とする。
合同方程式 nx ≡ a (mod m) に解があるためには a が d で割れる ことが必要十分である。 このとき x^n = a 解の個数は d である。
証明 nb ≡ a (mod m) となる b ∈ Z があるとする。 nb - a = mk となる k ∈ Z がある。 a = nb - mk である. よって a ≡ 0 (mod d) である。
逆に a ≡ 0 (mod d) とする。 a = d(a ') と書ける。
n と m は d で割れるから n = d(n ') m = d(m ') と書ける。 よって nx ≡ a (mod m) は (n ')x ≡ a ' (mod m ') と同値である。 gcd(n ', m ') = 1 だから (n ')x ≡ a ' (mod m ') は mod m ' で唯一の解 b ' を持つ。
nx ≡ ny (mod m) なら、n(x - y) ≡ 0 (mod m) よって n '(x - y) ≡ 0 (mod m ') よって x ≡ y (mod m ')
これから nx ≡ a (mod m) の解は b ', b ' + m ', ..., b ' + (d - 1)m ' の d 個である。 証明終
