最終更新日時 2011年03月06日 (日) 21時50分11秒
代数的整数論 005 (751-840)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1173998720/751-840
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1173998720/751-840
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1173998720/751-840
751 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 09:59:22
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: Z → {±1} を >>747 の写像とする。
R を判別式 D の整環とする。
f を R の導手(過去スレ4の423)とする。
p を奇素数とする。
1) χ(p) = 1 のとき。 pR = PP' となる。ここで P は R の素イデアルで P' は P の共役で P ≠ P' である。 2) χ(p) = -1 のとき。 pR は R の素イデアルである。 3) χ(p) = 0 で gcd(p, f) = 1 のとき。 pR = P^2。ここで P は R の素イデアルで P = P' である。
証明 χ(p) = 1 なら χ(p) = (D/p) = 1 である。 >>741 と >>748 より 1) が成り立つ。 χ(p) = -1 なら χ(p) = (D/p) = -1 である。 >>742 より 2) が成り立つ。 χ(p) = 0 で gcd(p, f) = 1 のとき。 >>740 より 3) が成り立つ。 証明終
752 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 10:01:20
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: Z → {±1} を >>747 の写像とする。
R を判別式 D の整環とする。
f を R の導手(過去スレ4の423)とする。
1) χ(2) = 1 のとき。 2R = PP' となる。ここで P は R の素イデアルで P' は P の共役で P ≠ P' である。
2) χ(2) = -1 のとき。 2R は R の素イデアルである。
3) χ(2) = 0 で gcd(2, f) = 1 のとき。 2R = P^2。ここで P は R の素イデアルで P = P' である。
証明 χ(2) = 1 なら >>567 より D ≡ 1 (mod 8) である。 >>743 より 1) が成り立つ。
χ(2) = -1 なら >>567 より D ≡ 5 (mod 8) である。 >>746 より 2) が成り立つ。
χ(2) = 0 で gcd(2, f) = 1 のとき。 >>744, >>745, >>749 より 3) が成り立つ。 証明終
753 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/16(月) 17:02:50
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 R を判別式 D の整環とする。 θ = (D + √D)/2 とおく。 過去スレ4の585より R = [1, θ] である。
本シリーズでは以前は R の基底表示として R = [1, fω] を使っていた。 ここで R は2次体 Q(√m) の整環とし、 m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、 m ≡ 2, 3 (mod 4) なら、ω = √m である。
しかし、この表示は m ≡ 1 (mod 4) と m ≡ 2 , 3 (mod 4) の場合を 別々に扱う必要がある。 従って R = [1, θ] の方が理論的取り扱いには便利である。
754 :132人目の素数さん:2007/07/17(火) 04:10:00
59
755 :132人目の素数さん:2007/07/17(火) 04:11:00
58
756 :132人目の素数さん:2007/07/17(火) 04:12:00
57
757 :132人目の素数さん:2007/07/17(火) 04:13:00
56
758 :132人目の素数さん:2007/07/17(火) 04:14:00
55
759 :132人目の素数さん:2007/07/17(火) 04:15:00
54
760 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 04:10:00
53
761 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 04:11:00
52
762 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 04:12:00
51
763 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 04:13:00
50
764 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 04:14:00
49
765 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 04:15:00
48
766 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 11:59:45
>>723 を書いた時点では類数公式を高木の初等整数論講義にある ように Dedekind のζ関数を使って証明しようとしていた。 しかし、【Dirichletの整数論講義】に従って類数公式を 導いたほうがよいと考え直した。 この方法を学ぶことにより、解析数論の創始者であるDirichlet の発想を 直接知ることが出来る。 なぜ、最初からこの方法にしなかったかというと、私自身 Dirichlet の方法がよく分からなかったから(苦笑
従って、>>723 以降で調べた有理素数 p の整環 R における分解法則 は、当面必要ない。 しかし、後で必要になるだろう。
767 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 12:20:22
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 >>605 で判別式 D の2次形式の類集合 C(D) を定義した。 【Dirichletの整数論講義】に従って類数 |C(D)| を求める公式を 導くことが当面の目標である。
まず、与えられた判別式 D の2次形式 f が数 m を表現する 仕方を詳しく調べることにする。
768 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:18:41
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。 さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
有理整数 m は正の奇数で D と素とする。
過去スレ717より m が (a, b, c) により固有に表現される(>>701)なら、 D ≡ n^2 (mod 4m) となる有理整数 n が存在する。
よって D = n^2 - 4ml となる有理整数 l が存在する。
(m, n, l) は判別式 D の2次形式である。 m > 0 だから D < 0 のとき正定値である。
過去スレ4の702より (a, b, c)σ = (m, l, k) となる σ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) が存在する。 このとき (p, r) が m = ax^2 + bxy + cy^2 の固有な解である。
過去スレ4の732 より、このようなσで相異なるものは相異なる解を 与える。
769 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:22:34
>>768 の続き。
τ = (p, q)/(r, s) ∈ SL_2(Z) で (a, b, c)τ = (m, l, k) とする。
(a, b, c)τσ^(-1) = (m, l, k)σ^(-1) = (a, b, c) 即ち U = τσ^(-1) は (a, b, c) を固定する。 τ = Uσ である。
逆に U ∈ SL_2(Z) で (a, b, c)U = (a, b, c) とすれば、τ = Uσ とおいたとき、 (a, b, c)τ = (m, l, k) である。
>>406 で U(f) = {U ∈ SL_2(Z) ; fU = f } と書いた。
>>413 より U(f) と (R^*)+ は集合として同型である。
これが群としても同型であることは容易にわかる。
770 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:24:29
>>769 の続き。
U = (α, β)/(γ, δ) ∈ U(f) とする。
τ = Uσ = (pα + rβ, qα + sβ)/(pγ + rδ, qγ + sδ) となる。
このとき (pα + rβ, pγ + rδ) は f(x, y) = m の固有な解である。
U(p, r)' = (pα + rβ, pγ + rδ)' である。 ここで (p, r)' , (pα + rβ, pγ + rδ)' はそれぞれ列ベクトルを 表す。
よって群 U(f) は S_0(m, f) に作用する。
ここで、S_0(m, f) は f(x, y) = m の固有な解の集合である。
即ち S_0(m, f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) = m, gcd(x, y) = 1 }
である。
771 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:27:00
訂正:
>>768 >(a, b, c)σ = (m, l, k) となる
(a, b, c)σ = (m, n, l) となる
772 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 17:39:44
訂正:
>>769
(m, l, k) は (m, n, l) の間違いである。
773 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 19:40:29
>>770 の続き。
S_0(m, f) はすぐ後でわかるように有限である。 R_0(m, f) = |S_0(m, f)| と書く。
2次形式 f と g が同値なら明らかに S_0(m, f) = S_0(m, g) である。
>>605 で定義した C(D) の代表系を f_1, . . . , f_h とする。
R_0(m) = R_0(m, f_1) + . . . + R_0(m, f_h) と書く。
R_0(m) を計算するため補題を用意する。
774 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 20:16:58
補題
G を群とし、X と Y を 左 G-集合(過去スレ4の388)とする。
g ∈ G, (x, y) ∈ X × Y のとき g(x, y) = (gx, gy) と
定義することにより X × Y は左 G-集合になる。
S を X × Y の G-不変(過去スレ4の391)な部分集合とする。
x ∈ X に対して
G_x = { g ; gx = g }
Y_x = { y ∈ Y ; (x, y) ∈ S } と書く。
S/G は有限集合とする。 このとき |S/G| = Σ|Y_x/G_x| である。ここで和の x は X/G の代表系全体を 動く。 対称的に |S/G| = Σ|X_y/G_y| である。ここで和の y は Y/G の代表系全体を 動く。
証明 写像 p: S/G → X/G を p([(x, y)]) = [x] により定義する。
[(a, b)] ∈ p^(-1)([x]) とする。 ga = x となる g ∈ G がある。 gb = y とおく。 [(a, b)] = [(x, y)] である。
写像 φ : p^(-1)([x]) → Y_x/G_x を φ([(a, b)]) = [y] で定義する。 φが全単射であることは容易にわかる。 よって |S/G| = Σ|Y_x/G_x| である。 証明終
775 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:01:48
命題(Zagier の数論入門) D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 m を正の奇数で D と素とする。 R_0(m) を >>773 で定義したものとする。
R_0(m) は x^2 ≡ D (mod 4m) の解を mod 2m で類別した個数に等しい。
証明
G = SL_2(Z)
X = { 判別式 D の原始的2次形式で D < 0 のときは正定値 }
Y = { (x, y) ∈ Z^2 ; gcd(x, y) = 1}
S = { (f, z) ∈ X × Y ; f(z) = m }
とおく。
>>774 より |S/G| = Σ|Y_f/G_f| である。 ここで和の f は X/G = C(D) の代表系全体を動く。
Y_f = { (x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) = m, gcd(x, y) = 1}
G_f = U(f)
よって Y_f/G_f = S_0(m, f) R_0(m, f) = |Y_f/G_f| である。 よって R_0(m) = |S/G| である。 (続く)
776 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:08:25
>>775 の続き。
z = (1, 0) ∈ Y とおく。 (p, r) ∈ Y のとき gcd(p, r) = 1 だから ps - rq = 1 となる 有理整数 s, q がある。 g = (p, q)/(r, s) ∈ G で gz = (p, r) である。 よって Y/G は一点 [z] からなる。
>>774 より |S/G| = |X_z/G_z| である。
G_z = {(1, r)/(0, 1) ; r ∈ Z } である。
X_z は 第一係数が m となる f ∈ X の集合である。
(m, b, c) ∈ X とすると、 D = b^2 - 4mc, b^2 ≡ D (mod 4m) である。
逆にこの条件が満たされるとする。 b^2 ≡ D (mod m) で D と m は互いに素だから b と m も互いに素である。 よって (m, b, c) は原始的である。
よって
X_z = { (m, b, c) ; D = b^2 - 4mc, b^2 ≡ D (mod 4m) }
g = (1, r)/(0, 1), r ∈ Z のとき (m, b, c)g = (m, b + 2mr, mr^2 + br + c)
よって
|X_z/G_z| = |{ b mod 2m; b^2 ≡ D (mod 4m) }|
証明終
777 :132人目の素数さん:2007/07/18(水) 22:21:51
なにやってるんですか?
778 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:48:03
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 m を正の奇数で D と素とする。 R_0(m) を >>773 で定義したものとする。
R_0(m) = 2^μ である。 ここで μ は m の相異なる素因数の個数である。
証明 >>775 より R_0(m) は x^2 ≡ D (mod 4m) の解を mod 2m で類別した個数に等しい。
D ≡ 0 (mod 4) のとき。
b^2 ≡ D (mod 4m) とすると、 b は偶数だから b = 2n と書ける。 n^2 ≡ D/4 (mod m) となる。
逆に n^2 ≡ D/4 (mod m) なら 2n は x^2 ≡ D (mod 4m) の解である。
n ≡ n' (mod m) と 2n ≡ 2n' (mod 2m) は同値である。
以上から R_0(m) は x^2 ≡ D/4 (mod m) の解の mod m での個数である。
過去スレ4の933 より x^2 ≡ D/4 (mod m) の解の個数は、 2^μ である。 よって R_0(m) = 2^μ である。
(続く)
779 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 22:51:06
>>778 の続き。
D ≡ 1 (mod 4) のとき。
過去スレ4の933 より x^2 ≡ D (mod 4m) の解の個数は、 2^(μ+1) である。 よって ^2 ≡ D (mod 4m) の解を mod 2m で類別した個数は 2^μ である。 よって R_0(m) = 2^μ である。 証明終
780 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/18(水) 23:46:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
s > 1 を実数として級数 ΣR_0(m)/m^s を考える。
ここで R_0(m) は >>773 で定義したものとする。 和は D と素な正の奇数 m で x^2 ≡ D (mod 4m) に解があるもの 全体を動く。
s > 1 のとき、この級数が収束することは後で示す。
>>778 より ΣR_0(m)/m^s = Σ(2^μ)/m^s である。
P(D) = { p は奇素数 ; gcd(D, p) = 1, (D/p) = 1 }
とおく。
収束の問題は別にして、形式的に
ΣR_0(m)/m^s = Π(1 + 2/p^s + 2/p^(2s) + 2/p^(3s) + . . .)
となることは見やすい。
ここで、p は P(D) の元全体を動く。
これは Euler の積公式(後で厳密に証明する)
Σ1/n^s = Π(1 + 1/p^s + 1/p^(2s) + . . .) = Π1/(1 - 1/p^s)
の類似である。
ここで、s > 1 であり、n は有理整数 n ≧ 1 全体を動き、 p は全ての素数を動く。
781 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 08:48:39
訂正
>>773 >S_0(m, f) はすぐ後でわかるように有限である。 >R_0(m, f) = |S_0(m, f)| と書く。
S_0(m, f)/U(f) はすぐ後でわかるように有限である。 R_0(m, f) = |S_0(m, f)/U(f)| と書く。
782 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 09:06:53
Dirichlet の類数公式の証明はやや長いので、その概要を説明して おいたほうが良いだろう。
>>773 と >>781 より R_0(m) = R_0(m, f_1) + . . . + R_0(m, f_h) ここで、R_0(m, f_i) = |S_0(m, f_i)/U(f_i)| である。
よって ΣR_0(m)/m^s = ΣR_0(m, f_1)/m^s + . . . + ΣR_0(m, f_h)/m^s
>>770 より
S_0(m, f_i) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f_i(x, y) = m, gcd(x, y) = 1 }
よって ΣR_0(m, f_i)/m^s = Σ1/f_i(x, y)^s
ここで、右辺の和の (x, y) は、S_0(m, f_i)/U(f_i) の代表系を 動き、m は D と素な正の奇数を動く。 このとき、D は mod 4m で平方剰余であるという条件は 自動的に満たされることに注意しておく。
>>778 より ΣR_0(m)/m^s = Σ(2^μ)/m^s だから、
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
783 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 09:21:58
>>782 の続き。
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
s → +1 のとき lim 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim Σ(2^μ)/m^s も同様である。これを臨時的に B と書こう。
よって hA = B となる。 これから h = B/A となって、類数 h が求まる。
かなり大雑把だが、これが Dirichlet の基本アイデアである。
784 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 09:26:53
>>783 全体を以下の様に訂正する。
>>782 の続き。
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
s → +1 のとき lim (s - 1) 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim (s - 1)Σ(2^μ)/m^s も同様である。これを臨時的に B と書こう。
よって hA = B となる。 これから h = B/A となって、類数 h が求まる。
かなり大雑把だが、これが Dirichlet の基本アイデアである。
785 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:11:41
>>780 の続きに戻る。
ΣR_0(m)/m^s = Π(1 + 2/p^s + 2/p^(2s) + 2/p^(3s) + . . .)
p は P(D) = { p は奇素数 ; gcd(D, p) = 1, (D/p) = 1 }
の元を動く。
この右辺の因子を変形する。
1 + 2/p^s + 2/p^(2s) + 2/p^(3s) + . . . = 1 + (2/p^s)/(1 - 1/p^s) = (1 - 1/p^s + 2/p^s)/(1 - 1/p^s) = (1 + 1/p^s)/(1 - 1/p^s)
よって ΣR_0(m)/m^s = Π(1 + 1/p^s)/(1 - 1/p^s)
この右辺は Π(1 + 1/q^s)/(1 - (D/q)/q^s) と書ける。 ここで q は D と素な奇素数を動く。
786 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:22:07
>>785 の続き。
(1 + 1/q^s)/(1 - (D/q)/q^s) の分母、分子に 1 - 1/q^s を掛ける。
(1 - 1/q^(2s))/(1 - 1/q^s)(1 - (D/q)/q^s) = (1 - 1/q^s)^(-1)・(1 - (D/q)/q^s)^(-1)/(1 - 1/q^(2s))^(-1)
よって P = Π1/(1 - 1/q^s) Q = Π1/(1 - 1/q^(2s)) R = Π1/(1 - (D/q)/q^s) とおくと、
ΣR_0(m)/m^s = PR/Q となる。
Euler の積公式と同様に
P = Σ1/n^s Q = Σ1/n^(2s) R = Σ(D/n)/n^s となる。 ここで n は D と素な正の奇数を動く。
(D/n) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
787 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:39:14
>>786 の続き。
ΣR_0(m)/m^s = PR/Q
であった。
>>782 より
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = Σ(2^μ)/m^s
よって
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = PR/Q
よって ΣQ/f_1(x, y)^s + . . . + ΣQ/f_h(x, y)^s = PR
各 ΣQ/f_i(x, y)^s を変形する。 Q = Σ1/n^(2s) であった
よって ΣQ/f_i(x, y)^s = Σ1/((n^2)f_i(x, y))^s = Σ1/(f_i(nx, ny))^s
ここで、両辺の和の (x, y) は、S_0(m, f_i)/U(f_i) の代表系を 動き、m は D と素な正の奇数を動く。 n は D と素な正の奇数を動く。
S_0(m, f_i) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f_i(x, y) = m, gcd(x, y) = 1 }
である。
788 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 10:55:30
>>787 の続き。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。 さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
m を D と素な正の奇数として、
S(m, f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) = m }
とおく。
即ち、S(m, f) は f(x, y) = m の固有とは限らない解の集合である。 この集合に >>406 で定義した U(f) が作用することは明らかである。
(x, y) ∈ S(m, f) のとき n = gcd(x, y) として、 x = nx', y = ny' とする。
f(x, y) = (n^2)f(x', y') = m で m は D と素だから、 n も D と素である。 さらに m は奇数だから n も奇数である。
以上から ΣQ/f_i(x, y)^s = Σ1/(f_i(x, y))^s となる。
ここで右辺の (x, y) は S(m, f_i)/U(f_i) の代表系を動く。
789 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 11:14:50
>>788 の続き。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。 さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
S(f) = ∪ S(m, f) とおく。 ここで m は D と素な正の奇数全体を動く。
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
である。
明らかに S(f) には U(f) (>>406) が作用する。
>>788 の等式 ΣQ/f_i(x, y)^s = Σ1/(f_i(x, y))^s
の右辺の (x, y) は S(f_i)/U(f_i) の代表系を動く。
>>787 より ΣQ/f_1(x, y)^s + . . . + ΣQ/f_h(x, y)^s = PR
ここで P = Σ1/n^s R = Σ(D/n)/n^s
よって Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = (Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
各和の (x, y) は S(f_i)/U(f_i) の代表系を動く。 右辺の各和の n は D と素な正の奇数全体を動く。
790 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 14:02:59
次の命題は >>534 を少し拡張したものである。
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式とする。 r ≠ 0 を任意の有理整数とする。 f により表現される数で r と素であるものが無数に存在する。
証明 r を割る素数の集合を P と書く。
A = a を割らない p ∈ P の積。 C = a を割って c を割らない p ∈ P の積。 B = a と c を割る p ∈ P の積。 とおく。
a を割らない p ∈ P が存在しないときは A = 1 とおく。 C, B も同様である。
gcd(A, C) = gcd(A, B) = gcd(C, B) = 1 である。 任意の p ∈ P は A, C, B のどれかを割ることに注意しておく。
n と m を任意の有理整数として、 x = (ABn + 1)C y = (BCm + 1)A とおく。
(続く)
791 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 14:03:45
>>790 の続き。
p ∈ P で A ≡ 0 (mod p) のときは、 y ≡ 0 (mod p) だから ax^2 + bxy + cy^2 ≡ ax^2 (mod p) x ≡ C (mod p) だから ax^2 は p で割れない。 よって ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。
p ∈ P で C ≡ 0 (mod p) のときは、 x ≡ 0 (mod p) だから ax^2 + bxy + cy^2 ≡ cy^2 (mod p) y ≡ A (mod p) だから cy^2 は p で割れない。 よって ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。
p ∈ P で B ≡ 0 (mod p) のときは、 ax^2 + bxy + cy^2 ≡ bxy (mod p)
ax^2 + bxy + cy^2 は原始的だから b は p で割れない。 x ≡ C (mod p) だから x は p で割れない。 y ≡ A (mod p) だから y は p で割れない。 よって ax^2 + bxy + cy^2 は p で割れない。
以上から ax^2 + bxy + cy^2 は r と素である。 証明終
792 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 14:59:39
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a > 0 とする。
r ≠ 0 を任意の有理整数とする。 f により固有に表現される数 m で r と素で m > 0 となるものが 存在する。
証明 f により表現される数 m で r と素で m > 0 となるものの存在を 示せばよい。 なぜなら f(x, y) = m のとき gcd(x, y) = n として x = nx', y = ny' とすれば、 f(x, y) = (n^2)f(x', y') > 0 f(x', y') > 0 は r と素で gcd(x', y') = 1 だからである。 これは D < 0 のときは、f(x, y) は常に正だから >>790 より明らかである。
よって D > 0 と仮定する。 >>790 の証明より n と m を任意の有理整数として、 x = (ABn + 1)C y = (BCm + 1)A とすれば f(x, y) は r と素である。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 a > 0 だから |2ax + by| > (√D)|y| 即ち |2a(x/y) + b| > √D となれば f(x, y) > 0 となる。 A > 0, B > 0, C > 0 だから n → ∞ のとき x → ∞ となるから、これは明らかである。 証明終
793 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 17:15:55
訂正
>>783 >s → +1 のとき lim (s - 1) 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で >f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim (s - 1) Σ1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
794 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 17:18:16
訂正
>>784 >s → +1 のとき lim (s - 1) 1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で >f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
s → +1 のとき lim (s - 1) Σ1/f_i(x, y)^s は D のみに関係する定数で f_i によらない。これを臨時的に A と書こう。
795 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 17:54:20
定義 複素数の数列 a_1, a_2, . . . に対して
Σa_n/n^s を数列 (a_n) に関する Dirichlet 級数と呼ぶ。
s は複素変数で n^s = exp(log(n)s) である。
796 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/19(木) 18:09:23
次の命題の証明は後で行う。
命題 Σa_n/n^s を Dirichlet 級数(>>795)とする。 s は実変数とする。
m → ∞ のとき lim (a_1 + . . . + a_m)/m = c とする。ここで c は有限値である。
このとき、任意の δ > 0 に対して Σa_n/n^s は 区間 [1 + δ, ∞) で一様収束し、区間 (1, ∞) で連続関数となる。
さらに、s → 1 + 0 のとき lim (s - 1)Σa_n/n^s = c である。
797 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:39:17
A
798 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:39:48
B
799 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:40:19
C
800 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:40:50
D
801 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:41:21
E
802 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:41:52
F
803 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:42:23
G
804 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:42:54
H
805 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:48:11
I
806 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:50:50
J
807 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:51:21
K
808 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:51:52
L
809 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:52:23
M
810 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:52:54
N
811 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:53:25
O
812 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:53:56
P
813 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:54:27
Q
814 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:56:04
R
815 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:56:35
S
816 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:57:06
T
817 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:57:37
U
818 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:58:08
V
819 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:58:39
W
820 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 02:59:40
X
821 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 03:00:11
Y
822 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 03:00:42
Z
823 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/20(金) 10:33:08
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 C(D) (>>605) の任意の類は第一係数が正の2次形式を含む。
証明 D < 0 のときは自明である。 よって、 D > 0 と仮定する。
>>348 より C(D) の任意の類は簡約2次形式 (a, b, c) を含む。 >>335 より ac < 0 である。
a > 0 なら証明は終わる。
a < 0 なら ac < 0 だから c > 0 である。 >>434 より (a, b, c) の右に隣接している簡約2次形式 (c, b', a') がただ一つ存在するから、それを取ればよい。 証明終
824 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/20(金) 10:37:49
>>789 の続き。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。 さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。 >>823 より a > 0 と仮定してよい。
Σ1/f(x, y)^s を考える。 (x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
ここで
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) }
>>792 より f により固有に表現される数 m で 2D と素で m > 0 と なるものが存在する。 過去スレ4の716より、ある有理整数 l, k があり (a, b, c) と (m, l, k) が同値になる。
よって初めから a > 0 で a は 2D と素と仮定する。
825 :132人目の素数さん:2007/07/20(金) 21:52:54
α
826 :132人目の素数さん:2007/07/21(土) 04:10:00
37
827 :132人目の素数さん:2007/07/21(土) 04:11:01
38
828 :132人目の素数さん:2007/07/21(土) 04:12:00
37
829 :132人目の素数さん:2007/07/21(土) 04:13:00
36
830 :132人目の素数さん:2007/07/21(土) 04:14:00
35
831 :132人目の素数さん:2007/07/21(土) 04:15:00
34
832 :132人目の素数さん:2007/07/22(日) 04:10:00
33
833 :132人目の素数さん:2007/07/22(日) 04:11:00
32
834 :132人目の素数さん:2007/07/22(日) 04:12:00
31
835 :132人目の素数さん:2007/07/22(日) 04:13:00
30
836 :132人目の素数さん:2007/07/22(日) 04:14:00
29
837 :132人目の素数さん:2007/07/22(日) 04:15:00
28
838 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 16:50:13
>>824 の続き。
>>784(及び >>794) に従って、 s → 1+0 のとき lim (s - 1) Σ1/f(x, y)^s を求めるのが当面の目標 である。
>>796 により t を正の実数として、
t → ∞ のときの lim T/t を求める必要がある。
ここで
T は集合 { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で (x, y) ∈ R(S(f)/U(f)) }
の元の個数である。
R(S(f)/U(f)) は S(f)/U(f) の完全代表系である。
lim T/t を求める準備として、
D ≡ 0 (mod 4) のとき
集合 { (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 ; f(x, y) は D と素}
D ≡ 1 (mod 4) のとき
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素}
の元の個数を求める必要がある。
839 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 18:03:09
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a は D と素とする。
集合 { (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 ; f(x, y) は D と素}
の元の個数は (|D|/2)φ(|D|/2) である。
証明 D = b^2 - 4ac より D ≡ b^2 (mod 4) D ≡ 0 (mod 4) だから b^2 ≡ 0 (mod 4) よって b は偶数である。 b = 2b' とおく。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 より af(x, y) = (ax + b'y)^2 - D'y^2 となる。ここで D' = D/4 とおいた。
y が偶数のとき。 af(x, y) ≡ (ax + b'y)^2 (mod 2D')
f(x, y) が 2D' と素であるためには ax + b'y が 2D' と素であることが必要十分である。 a は 2D' と素だから x が mod 2D' の完全代表系を動くとき、 ax + b'y も mod 2D' の完全代表系を動く。 よって ax + b'y が 2D' と素になるような x mod 2D' は φ(2|D'|) 個ある。 よって (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 で y が偶数の組は |D'|φ(2|D'|) 個である。 (続く)
840 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 18:09:02
>>839 の続き。
y が奇数のとき。 af(x, y) = (ax + b'y)^2 - D'y^2 よって af(x, y) ≡ (ax + b'y)^2 (mod D')
D' が偶数なら af(x, y) が D' と素であることと af(x, y) が 2D' と素であることは 同値である。 よって ax + b'y が 2D' と素であることと同値である。 よって (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 で y が奇数の組は |D'|φ(2|D'|) 個である。
D' が奇数なら f(x, y) が 2D' と素であるためには (ax + b'y)^2 - D'y^2 が奇数で D' と素であることが必要十分である。 D'y^2 は奇数だから、これは ax + b'y が偶数で D' と素であることと 同値である。 これは、ax + b'y ≡ m (mod 2D') のとき m が偶数で D' と素である ことと同値である。
x が mod 2D' の完全代表系を動くとき、ax + b'y も同様である。 0, 1, . . . , 2|D'| - 1 の中で偶数は 0, 2, 4, . . . , 2(|D'| - 1) の |D'| 個である。 この中で奇数 |D'| と素なものは φ(|D'|) 個である。 φ(2|D'|) = φ(2)φ(|D'|) = φ(|D'|) であるから、 (x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 で y が奇数の組は |D'|φ(2|D'|) 個である。
以上から、(x, y) ∈ (Z/(D/2)Z)^2 の組は全体で 2|D'|φ(2|D'|) 個である。 証明終
