最終更新日時 2011年03月06日 (日) 21時43分29秒
代数的整数論 005 (86-160)
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86 :132人目の素数さん:2007/04/02(月) 12:04:00
-1
87 :132人目の素数さん:2007/04/02(月) 12:05:00
-2
88 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/02(月) 21:43:43
√2 の連分数展開を求めてみる(展開の方法は >>41 参照)。
√2 = 1 + (√2 - 1) 1/(√2 - 1) = √2 + 1 = 2 + (√2 - 1)
よって √2 = [1, 2, 2, . . . ]
同様に
√3 = 1 + (√3 - 1) 1/(√3 - 1) = (√3 + 1)/2 = 1 + (√3 - 1)/2 2/(√3 - 1) = √3 + 1 = 2 + (√3 - 1)
よって √3 = [1, 1, 2, 1, 2, . . . ]
√5 = 2 + (√5 - 2) 1/(√5 - 2) = √5 + 2 = 4 + (√5 - 2) √5 = [2, 4, 4, 4. . . ]
√7 = 2 + (√7 - 2) 1/(√7 - 2) = (√7 + 2)/3 = 1 + (√7 - 1)/3 3/(√7 - 1) = (√7 + 1)/2 = 1 + (√7 - 1)/2 2/(√7 - 1) = (√7 + 1)/3 = 1 + (√7 - 2)/3 3/(√7 - 2) = √7 + 2 = 4 + (√7 - 2) √7 = [2, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 4, . . . ]
89 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/02(月) 22:37:17
命題 k ≧ 1 と c ≧ 1 を有理整数で c は 2k の約数とする。 このとき、 √(k^2 + c) = [k, 2k/c, 2k, 2k/c, 2k, . . ,]
証明 0 < c < 2k + 1 だから k < √(k^2 + c) < k + 1 よって √(k^2 + c) = k + (√(k^2 + c) - k)
k < √(k^2 + c) < k + 1 より 2k < √(k^2 + c) + k < 2k + 1
よって 1/(√(k^2 + c) - k) = (√(k^2 + c) + k)/c = 2k/c + (√(k^2 + c) - k)/c
c/(√(k^2 + c) - k) = √(k^2 + c) + k = 2k + (√(k^2 + c) - k)
以上から √(k^2 + c) = [k, 2k/c, 2k, 2k/c, 2k, . . ,] 証明終
90 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/02(月) 22:47:44
>>89 の簡単な応用例を挙げる。
k = 1, c = 1 √2 = [1, 2, 2, . . .]
k = 2, c = 1 √5 = [2, 4, 4, , . . .]
k = 2, c = 2
√6 = [2, 2, 4, 2, 4, . . .]
k = 3, c = 2 √11 = [3, 3, 6, 3, 6, . . .]
91 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/03(火) 20:46:13
>>88 の例はすべて循環連分数である。
√3 = [1, 1, 2, 1, 2, . . . ] は 1, 2 が繰り替えされている。 1, 2 を循環節といい、その長さは2である。
√7 = [2, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 4, . . . ] の循環節は 1, 1, 1, 4 であり、その長さは4である。
以上から循環連分数の定義は明らかだろうが正式には次のように定義する。
無限単純連分数 [k_0, k_1, . . . ] において n ≧ 0 と r ≧ 1 があり、i ≧ n のとき常に k_(i + r) = k_i となるとき これを循環連分数と呼ぶ。 k_n, . . . , k_(n + r -1) を循環節といい、r をその長さという。
n = 0 のとき純循環であるという。
92 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/03(火) 21:06:34
α = [k_0, k_1, . . . ] が循環連分数で k_n, . . . , k_(n + r -1) を 循環節に持つとする。 ここで、n ≧ 1 とし、 [k_0, k_1, . . . ] = [k_0, . . . , k_(n-1), β] とする。 ここで β = [k_n, k_(n+1), . . . ] である(>>77)。
このとき α = (p_(n-1)β + p_(n-2))/(q_(n-1)β + q_(n-2)) である(>>43, >>56)。 さらに β は純循環である。
よって循環連分数を調べるには純循環の場合が基本的である。
93 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/03(火) 22:20:25
α = [k_0, k_0, . . . ] が長さ1の純循環とする。 k_0 ≧ 1 に注意する。
α = [k_0, α] である。 つまり、α = k_0 + 1/α である。 よって α^2 - k_0α - 1 = 0 よって α は2次の無理数である。 さらに α > k_0 ≧ 1 である。
f(x) = x^2 - k_0x - 1 とおくと、 f(0) = -1 f(-1) = 1 + k_0 - 1 = k_0 ≧ 1 よって f(x) の α 意外の根 β は -1 < β < 0 となる。
94 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 17:29:03
r ≧ 2 とし、 α = [k_0, . . . , k_(r-1), . . . ] が長さ r の純循環(>>92)とする。 したがって, k_0 ≧ 1 である。 >>93 より α = (p_(r-1)α + p_(r-2))/(q_(r-1)α + q_(r-2)) ここで、q_0 = 1 とする。 α(q_(r-1)α + q_(r-2) = p_(r-1)α + p_(r-2) q_(r-1)α^2 + (q_(r-2) - p_(r-1))α - p_(r-2) = 0 よって α は2次の無理数である。
f(x) = q_(r-1)x^2 + (q_(r-2) - p_(r-1))x - p_(r-2) とおく。 f(0) = -p_(r-2) < 0 f(-1) = q_(r-1) - q_(r-2) + p_(r-1) - p_(r-2)
>>44 より r ≧ 3 のとき q_(r-1) = q_(r-2)k_(r-1) + q_(r-3) q_(r-1) - q_(r-2) = (k_(r-1) - 1)q_(r-2) + q_(r-3) ≧ q_(r-3) > 0 r = 2 なら q_(r-1) - q_(r-2) = q_1 - q_0 = k_1 - 1 ≧ 0
r ≧ 3 のとき p_(r-1) = p_(r-2)k_(r-1) + p_(r-3) p_(r-1) - p_(r-2) = (k_(r-1) - 1)p_(r-2) + p_(r-3) ≧ p_(r-3) > 0
r = 2 なら p_(r-1) - p_(r-2) = p_1 - p_0 = k_0k_1 + 1 - k_0 ≧ (k_1 - 1)k_0 + 1 > 0
以上から f(-1) = q_(r-1) - q_(r-2) + p_(r-1) - p_(r-2) > 0 よって α の共役 β は -1 < β < 0 である。
95 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 17:48:29
2次の実無理数 α とその共役 β に対して α > 1, -1 < β < 0 となるとき α を簡約された2次無理数という。
96 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 18:02:19
>>93 と >>94 より次の命題が得られる。
命題 純循環連分数は簡約された2次無理数である。
97 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 22:33:04
補題 α を簡約された2次無理数とし、k = [α] で k ≧ 1 とする。 ω = 1/(α - k) とおく。 つまり α = k + 1/ω である。 このとき ω も簡約された2次無理数である。
証明 過去スレ4の286より ω も2次無理数である。 よって α' を α の共役とすると ω' = 1/(α' - k) は ω の共役である。
0 < α - k < 1 だから ω > 1 である。 -1 < α' < 0 だから -1 - k < α' - k k - α' > 1 + k よって 1/(k - α') < 1/(1 + k) < 1 よって -1 < 1/(α' - k) < 0
ω' = 1/(α' - k) だから ω は簡約された2次無理数である。 証明終
98 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/05(木) 22:47:36
>>97 >α を簡約された2次無理数とし、k = [α] で k ≧ 1 とする。
α > 1 だから k ≧ 1 は自動的に満たされるので、この条件は不要であった。
99 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 13:40:14
α を簡約された2次無理数とする。 α を連分数に展開して、 α = [k_0, k_1, . . . ] とする。 n ≧ 0 に対して α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
>>77 より α = [k_0, . . . , k_(n-1), α_n] である。
同じく >>77 より α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] = [k_n, α_(n+1)] だから α_n = k_n + 1/α_(n+1) である。
よって >>97 と n に関する帰納法により各 α_n は 簡約された2次無理数である。
α = (p_(n-1)α_n + p_(n-2))/(q_(n-1)α_n + q_(n-2)) で p_(n-1)q_(n-2) - q_(n-1)p_(n-2) = (-1)^n である(>>43, >>44, >>57)。
過去スレ4の286 より α と α_n は同じ判別式(過去スレ4の276) をもつ。
これに関連して次の命題が成り立つ。
100 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 14:37:53
命題 同じ判別式 D を持つ簡略された2次無理数の個数は有限である。
証明 α を判別式 D の簡約された2次無理数とする。 α は ax^2 + bx + c の根とする。 ここで a, b, c は有理整数で a > 0, gcd(a, b, c) = 1 D = b^2 - 4ac である。
β を α の共役とする。 α は簡約された2次無理数だから >>95 より α > 1, -1 < β < 0 である。 よって α + β > 0 αβ < 0 である。
ax^2 + bx + c = a(x - α)(x - β) だから b = -a(α + β) c = aαβ である。
よって b < 0, c < 0 となる。
よって D = b^2 + 4|ac| よって b^2 < D だから b の取りうる値は有限個である。 4|ac| = D - b^2 だから a, c の取りうる値も有限個である。 証明終
101 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 15:05:11
命題 簡略された2次無理数は純循環連分数に展開される。
証明 α を判別式 D の簡約された2次無理数とする。 α を連分数に展開して、 α = [k_0, k_1, . . . ] とする。 n ≧ 0 に対して α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
>>99 より各 α_n は判別式 D の簡約された2次無理数である。 >>100 より相異なる α_n の個数は有限である。 よって α_n = α_m となる n < m がある。
n > 0 なら α_(n-1) = k_(n-1) + 1/α_n α_(m-1) = k_(m-1) + 1/α_m
よって α_(n-1) - α_(m-1) = k_(n-1) - k_(m-1) よって α'_(n-1) - α'_(m-1) = k_(n-1) - k_(m-1) ここで α'_(n-1), α'_(m-1) はそれぞれ α_(n-1) と α_(m-1) の 共役である。
各 α_n は簡約された2次無理数だから -1 < α'_(n-1) < 0 -1 < α'_(m-1) < 0 よって |α'_(n-1) - α'_(m-1)| = |k_(n-1) - k_(m-1)| < 1 k_(n-1) - k_(m-1) は有理整数だから 0 である。 よって α'_(n-1) = α'_(m-1) となる。 よって α_(n-1) = α_(m-1) である。 以上を繰り返せば α_0 = α_(m-n) となる。 よって α は純循環連分数に展開される。 証明終
102 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 17:52:04
補題 α を2次無理数とする。 p, q, r, s を有理数で、ps - qr ≠ 0 とする。 α = (pβ + r)/(qβ + s) とする。 つまり、β = (sα - r)/(-qα + p) とおく。
このとき β も2次無理数であり、 α' = (pβ' + r)/(qβ' + s) である。 ここで α' と β' はそれぞれ α と β の共役である。
証明 Q(α) は2次体である。σ ≠ 1 を Q(α) の自己同型とする。 σ(α) = α' である。
β ∈ Q(α) で β は有理数でないから β は2次無理数である。
α = (pβ + r)/(qβ + s) より σ(α) = (pσ(β) + r)/(qσ(β) + s)
σ(β) = β' だから α' = (pβ' + r)/(qβ' + s) である。 証明終
103 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 18:05:37
命題 α を2次の実無理数とする。 α を連分数に展開して、 α = [k_0, k_1, . . . ] とする。 n ≧ 0 に対して α_n = [k_n, k_(n+1), . . . ] とおく。
このとき、ある n_0 ≧ 0 があり n ≧ n_0 なら常に α_n は簡約された 2次無理数である。
証明 >>99 と同様にして、 α = (p_(n-1)α_n + p_(n-2))/(q_(n-1)α_n + q_(n-2)) である。 よって >>102 より β = (p_(n-1)β_n + p_(n-2))/(q_(n-1)β_n + q_(n-2)) となる。 ここで、β と β_n は α と α_n のそれぞれ共役である。
β_n = (q_(n-2)β - p_(n-2))/(-q_(n-1)β + p_(n-1))
右辺の分子と分母をそれぞれ変形すると q_(n-2)β - p_(n-2) = q_(n-2)(β - p_(n-2)/q_(n-2)) -q_(n-1)β + p_(n-1) = -q_(n-1)(β - p_(n-1)/q_(n-1)) となる。
よって β_n = -(q_(n-2)/q_(n-1))(β - p_(n-2)/q_(n-2))/(β - p_(n-1)/q_(n-1))
(続く)
104 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 18:21:43
>>103 の続き。
>>80 より n → ∞ のとき p_(n-2)/q_(n-2) → α p_(n-1)/q_(n-1) → α
よって (β - p_(n-2)/q_(n-2))/(β - p_(n-1)/q_(n-1)) → (β - α)/(β - α) = 1
(q_(n-2)/q_(n-1)) > 0 だから 十分大きい n に対して β_n < 0
α_n = k_n + 1/α_(n+1) よって >>102 より β_n = k_n + 1/β_(n+1) よって β_(n+1) = 1/(β_n - k_n)
|β_n - k_n| > 1 だから -1 < β_(n+1) < 0 α_(n+1) > 1 だから α_(n+1) は簡約された2次無理数である。 >>97 より m ≧ n + 1 なら α_m も簡約された2次無理数である。 証明終
105 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 18:26:27
定理(Lagrange) 2次の実無理数は循環連分数に展開される。
証明 >>101 と >>103 より明らかである。
106 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/07(土) 19:16:18
>>97 >ω' = 1/(α' - k) は ω の共役である。
これは >>102 から出る。 従って、>>102 は >>97 の前に出したほうが良かった。
107 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 01:21:03
補題 t ≠ 0 を有理数とする。 t を有限単純連分数(>>69)に展開して t = [k_0, . . . , k_(n-1)] とするとき、項数 n を偶数または奇数の どちらにも出来る。
証明 t = [k_0, . . . , k_(n-1)] において n = 1 のとき 即ち t = [k_0] のときは t = [k_0 - 1, 1] でもある。 よって n ≧ 2 と仮定してよい。
k_(n-1) = 1 なら [k_0, . . . , k_(n-1)] = [k_0, . . . , k_(n-2) + 1]
k_(n-1) > 1 なら [k_0, . . . , k_(n-1)] = [k_0, . . . , k_(n-1) - 1, 1]
いずれの場合も、項数を偶数または奇数のどちらにも出来る。 証明終
108 :132人目の素数さん:2007/04/08(日) 02:00:48
虚二次体と類数について教えて下さい
109 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 02:14:37
>>108
過去スレ4 に書いてあります。 過去スレ4は >>54 のリンク先で見れます。 そこはいつまで見れるかわからないのでパソコンに保存しておいたほうがよいです。
虚二次体とその類数についてさらに詳しいことはこの後にやる予定。
110 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 10:33:01
補題 β > 1 を実無理数とする。 α = (aβ + b)/(cβ + d) とする。 ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = ±1 であり、 c > d > 0 である。
このときある n ≧ 1 があり、 α = [k_0, . . . , k_(n-1), β] となる。 ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
証明 a/c を単純連分数(>>69)に展開して a/c = [k_0, . . . , k_(n-1)] とする。 >>107 より ad - bc = (-)^n と仮定してよい。
>>61 より [k_0, k_1, . . . , k_(n-1)] = p_(n-1)/q_(n-1) である。
ここで p_(n-1) = P(k_0, k_1, ... , k_(n-1)) q_(n-1) = P(k_1, ... , k_(n-1)) とおいた。
(続く)
111 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 10:36:21
>>110 の続き。
ad - bc = (-)^n だから gcd(a, c) = 1
>>57 より p_(n-1)q_(n-2) - q_(n-1)p_(n-2) = (-1)^n よって gcd(p_(n-1), q_(n-1)) = 1
a/c = p_(n-1)/q_(n-1) で c > 0, q_(n-1) > 0 だから a = p_(n-1) c = q_(n-1)
よって aq_(n-2) - cp_(n-2) = ad - bc a(d - q_(n-2)) = c(b - p_(n-2))
gcd(a, c) = 1 だから d ≡ q_(n-2) (mod c)
c > d > 0 c = q_(n-1) ≧ q_(n-2) > 0 よって |d - q_(n-2)| < c
d ≡ q_(n-2) (mod c) より d = q_(n-2) よって b = p_(n-2)
α = (aβ + b)/(cβ + d) = (p_(n-1)β + p_(n-2))/(q_(n-1)β + q_(n-2)) = [k_0, . . . ,k_(n-1), β] 証明終
112 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 16:33:36
命題 β を実無理数とする。 α = (aβ + b)/(cβ + d) とする。 ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = ±1 である。
このとき、ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、 α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω] β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω] となる。 ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 であり、 各 h_i も有理整数で i ≧ 1 のとき h_i ≧ 1 である。
即ち、α と β を無限連分数に展開したとき、それぞれのある項から 先の展開は一致する。
証明 cβ + d < 0 なら -cβ - d > 0 で α = (-aβ - b)/(-cβ - d) だから cβ + d > 0 と仮定してよい。
β を 無限連分数に展開して β = [h_0, h_1, . . . ] とする。 m ≧ 1 に対して ω_m = [h_m, h_(m+1), . . . ] とおく。
>>77 より β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω_m] である。 >>99 と同様にして、 β = (p_(m-1)ω_m + p_(m-2))/(q_(m-1)ω_m + q_(m-2))
(続く)
113 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 16:36:26
>>112 の続き。 α = (aβ + b)/(cβ + d) より、 α = (Aω_m + B)/(Cω_m + d)
ここで A = ap_(m-1) + bq_(m-1) B = ap_(m-2) + bq_(m-2) C = cp_(m-1) + dq_(m-1) D = cp_(m-2) + dq_(m-2) である。
C = cp_(m-1) + dq_(m-1) = q_(m-1)(cp_(m-1)/q_(m-1) + d)
m → ∞ のとき p_(m-1)/q_(m-1) → β だから cβ + d > 0 より十分大きい m に対して C > 0 である。
C = cp_(m-1) + dq_(m-1) = h_(m-1)(cp_(m-2) + dq_(m-2)) + cp_(m-3) + dq_(m-3)
上で述べたことより十分大きい m に対して cp_(m-3) + dq_(m-3) > 0 である。 このとき C = cp_(m-1) + dq_(m-1) > D = cp_(m-2) + dq_(m-2)
よって >>110 より このときある n ≧ 1 があり、 α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω_m] となる。 証明終
114 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 16:38:59
>>105 と >>112 の証明は高木の初等整数論講義を参考にした。
115 :132人目の素数さん:2007/04/08(日) 17:05:50
名無しで自分の隔離病棟スレを立てているんだねw
116 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 17:37:25
>>112 の逆が成り立つことは明らかだろうが、一応証明する。
命題 α と β を実無理数とする。 ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、 α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω] β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω] となるとする。 ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 であり、 各 h_i も有理整数で i ≧ 1 のとき h_i ≧ 1 である。
このとき、α = (aβ + b)/(cβ + d) となる。 ここで a, b, c, d は有理整数で ad - bc = ±1 である。
証明 α = [k_0, . . . , k_(n-1), ω] より α = (pω + r)/(qω + s) となる。 ここで p, r, q, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。 よって A = (p, r)/(q, s) とおけば、A ∈ GL_2(Z) であり、 α = Aω となる。
同様に β = [h_0, . . . , h_(m-1), ω] より β = (p'ω + r')/(q'ω + s') となる。 ここで p', r', q', s' は有理整数で p's' - q'r' = ±1 である。 B = (p', r')/(q', s') とおけば、B ∈ GL_2(Z) であり、 β = Bω となる。
従って、α = Aω = AB^(-1)ω となり AB^(-1) ∈ GL_2(Z) である。 証明終
117 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 17:59:59
>>116 >従って、α = Aω = AB^(-1)ω となり
従って、α = Aω = AB^(-1)β となり
118 :β ◆aelgVCJ1hU :2007/04/08(日) 18:09:04
呼んだか・・?
119 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/08(日) 19:46:47
>>112 >このとき、ある実無理数 ω と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
このとき、ある実無理数 ω > 1 と n ≧ 1, m ≧ 1 があり、
120 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/09(月) 22:34:11
補題 θ を簡約された2次無理数とし、 θ = (pθ + q)/(rθ + s) とする。 ここで p, q, r, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。
このとき (rθ + s)(rθ' + s) = ε である。 ここで θ' は θ の共役で ε = ps - qr = ±1 である。
証明 θ = (pθ + q)/(rθ + s) より、 θ(rθ + s) = pθ + q
rθ^2 + (s - p)θ - q = 0 よって θ は rx^2 + (s - p)x - q の根である。 よって rx^2 + (s - p)x - q = r(x - θ)(x - θ')
従って r(θ + θ') = p - s rθθ' = -q
(rθ + s)(rθ' + s) = r^2θθ' + rs(θ + θ') + s^2 = -qr + s(p - s) + s^2 = ps - qr = ε 証明終
121 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 12:51:05
>>120
証明からわかるように、θ は単に2次無理数であればよく、 簡約された2次無理数である必用はなかった。
122 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 15:16:24
命題(高木の初等整数論講義) θ を簡約された2次無理数とし、 θ = (pθ + q)/(rθ + s) とする。 ここで p, q, r, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。 さらに、rθ + s > 1 とする。
このときある n ≧ 1 があり、 θ = [k_0, . . . , k_(n-1), θ] となる。 ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
証明 E = rθ + s, E' = rθ' + s とおく。 >>120 より EE' = ps - qr = ±1 である。 |EE'| = 1 で E > 1 だから |E'| < 1 したがって、E - E' > 0 即ち r(θ - θ') > 0 θ は簡約された2次無理数だから、θ > 1, -1 < θ' < 0 である(>>95)。 よって、θ - θ' > 0 だから r > 0 である。 よって、rθ' + s > -r + s
EE' = 1 のとき E > 1 より 1 > E' > 0 よって r + 1 > r + E' 一方、上より E' > -r + s だから r + E' > s よって r + 1 > s よって r ≧ s
EE' = -1 のときは E > 1 より 0 > E' > -1 よって r > r + E' 一方 r + E' > s だから r > s (続く)
123 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 16:26:18
>>122 の続き。
EE' = 1 のとき E' > 0 すなわち rθ' + s > 0 だから s > -rθ' > 0 この場合 r ≧ s だったから r > s なら >>110 より本命題は従う。
EE' = -1 のとき 0 > E' > -1 一方 r > 0 で θ' < 0 だから s > rθ' + s よって s > - 1 即ち s ≧ 0 である。 r > s だったから s > 0 ならやはり >>110 より本命題は従う。
残るのは EE' = 1 で r = s > 0 の場合と EE' = -1 で r > s = 0 の場合である。
EE' = 1 で r = s > 0 なら、 pr - qr = 1 (p - q)r = 1 r > 0 だから r = 1 よって q = p - 1
θ = (pθ + p - 1)/(θ + 1) = (p(θ + 1) - 1)/(θ + 1) = p - 1/(θ + 1) = p - 1 + 1 - 1/(θ + 1) = p - 1 + θ/(θ + 1) = p - 1 + 1/(1 + 1/θ)
よって θ = [p - 1, 1, θ] となり、この場合も本命題は従う。
EE' = -1 で r > s = 0 なら、 ps - qr = -qr = -1 よって qr = 1 r > 0 だから r = q = 1 θ = (pθ + 1)/θ = p + 1/θ = [p, θ] よって、この場合も本命題は従う。 証明終
124 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/11(水) 20:28:21
>>123 >よって q = p - 1 > >θ = (pθ + p - 1)/(θ + 1) = (p(θ + 1) - 1)/(θ + 1) >= p - 1/(θ + 1) = p - 1 + 1 - 1/(θ + 1) >= p - 1 + > >よって θ = [p - 1, 1, θ] となり、この場合も本命題は従う。
ここは高木のように以下のようにしたほうが良かった。
よって p = q + 1 θ = ((q + 1)θ + q)/(θ + 1) = q + θ/(θ + 1) = q + 1/(1 + 1/θ) よって θ = [q, 1, θ] となり、この場合も本命題は従う。
125 :132人目の素数さん:2007/04/12(木) 06:33:11
Thomas Pietraho.
126 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/12(木) 12:41:15
θ を実2次無理数とする。 θ は2次多項式 ax^2 + bx + c の根である。 ここで a, b, c は有理整数で a > 0, gcd(a, b, c) = 1 である。 a, b, c は θ により一意に決まる。
2次方程式の根の公式よりθ = (-b ± √D)/2a である。 話を固定するため θ = (-b + √D)/2a と仮定する。 ここで D = b^2 - 4ac である。 D は θ の判別式である(過去スレ4の276)。 θ は実数と仮定したから D > 0 である。
D = b^2 - 4ac だから D ≡ b^2 (mod 4) である。
0^2 ≡ 0 (mod 4) 1^2 ≡ 1 (mod 4) 2^2 ≡ 0 (mod 4) 3^2 ≡ 1 (mod 4) よって D ≡ 0 (mod 4) または D ≡ 1 (mod 4) である。
θ は無理数だから D は平方数でない。 従って、過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R = [1, fω] の判別式になる。 D = (f^2)d である。 ここで f は有理整数 f > 0 であり d は Q(√m) の判別式である。
過去スレ4の587より I = [a, (-b + √D)/2] = [a, aθ] は R のイデアルである。
過去スレ4の592より I は可逆イデアルである。
127 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/12(木) 20:56:36
θ を実2次無理数とする。 θ は2次多項式 ax^2 + bx + c の根である。 ここで a, b, c は有理整数で a > 0, gcd(a, b, c) = 1 である。 a, b, c は θ により一意に決まる。
2次方程式の根の公式よりθ = (-b ± √D)/2a である。 話を固定するため θ = (-b + √D)/2a と仮定する。 ここで D = b^2 - 4ac である。 D は θ の判別式である(過去スレ4の276)。 θ は実数と仮定したから D > 0 である。
D = b^2 - 4ac だから D ≡ b^2 (mod 4) である。
0^2 ≡ 0 (mod 4) 1^2 ≡ 1 (mod 4) 2^2 ≡ 0 (mod 4) 3^2 ≡ 1 (mod 4) よって D ≡ 0 (mod 4) または D ≡ 1 (mod 4) である。
θ は無理数だから D は平方数でない。 従って、過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R = [1, fω] の判別式になる。 D = (f^2)d である。 ここで f は有理整数 f > 0 であり d は Q(√m) の判別式である。
過去スレ4の587より I = [a, (-b + √D)/2] = [a, aθ] は R のイデアルである。
過去スレ4の592より I は可逆イデアルである。
128 :132人目の素数さん:2007/04/12(木) 21:04:02
Googleがking仕様になったぞ 早く見てみろ
129 :132人目の素数さん:2007/04/12(木) 21:07:46
ax^2 + bx + c=0 の解はa,b,cの関数で、逆函数がある。 2つの2次曲線の交点が解だと、逆函数は存在しない。 でも2次曲線のx切片が2個決まれば、その2点を通る2次曲線は 無限にある。
130 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 12:06:28
>>127 の続き。
(1) m ≡ 1 (mod 4) のとき
ω = (1 + √m)/2 であり、d = m である(過去スレ3の768)。 D = (f^2)m より
(-b + √D)/2 = (-b + f√m)/2 = (-b - f + f(1 + √m))/2 = -(b + f)/2 + fω
D ≡ f^2 (mod 4) だから b^2 ≡ f^2 (mod 4) よって b^2 ≡ f^2 (mod 2) よって b ≡ f (mod 2) よって b + f ≡ 0 (mod 2) 即ち -(b + f)/2 は有理整数である。
(2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
ω = √m であり、d = 4m である(過去スレ3の768)。 D = 4(f^2)m より
(-b + √D)/2 = (-b + 2f√m)/2 = -b/2 + fω
D ≡ 0 (mod 4) だから b^2 ≡ 0 (mod 4) よって b ≡ 0 (mod 2) 即ち -b/2 は有理整数である。
131 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 16:58:24
>>130 の続き。
I = [a, (-b + √D)/2] = [a, aθ] = [a, c + fω] である。 ここで、 m ≡ 1 (mod 4) のとき c = -(b + f)/2 m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき c = -b/2
I = αI となる α ∈ Q(√m) があるとする。
過去スレ4の593より θ = (pθ + q)/(rθ + s) となる。 ここで p, q, r, s は有理整数で ps - qr = ±1 である。
逆に、ps - qr = ±1 となる有理整数 p, q, r, s があり、 θ = (pθ + q)/(rθ + s) とすると、過去スレ4の593より I = αI となる。 ここで、α = rθ' + s である。
I は可逆イデアルだから I = αI なら II^(-1) = αII^(-1) II^(-1) = R だから R = αR である。ここで R = [1, fω]。 よって αβ = 1 となる β ∈ R がある。 即ち α は R の単数である。
逆に α が R の単数なら αR = R だから I = RI = αRI = αI
132 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 17:02:38
過去スレ4の590より
R = {(x + y√D)/2 ; x ∈ Z, y ∈ Z, x ≡ yD (mod 2) } である。
従って、
D ≡ 0 (mod 4) のとき
R = {(u + v√D)/2 ; u ∈ Z, v ∈ Z, u ≡ 0 (mod 2) } である。
D ≡ 1 (mod 4) のとき
R = {(u + v√D)/2 ; u ∈ Z, v ∈ Z, u ≡ v (mod 2) } である。
α = (u + v√D)/2 が R の単数なら、 αα' = (u + v√D)/2 (u - v√D)/2 = (u^2 - Dv^2)/4 = ±1
逆に (u, v) が u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解なら u^2 ≡ Dv^2 (mod 4)
D ≡ 0 (mod 4) のとき u^2 ≡ 0 (mod 4) u ≡ 0 (mod 2)
D ≡ 1 (mod 4) のとき u^2 ≡ v^2 (mod 4) u ≡ v (mod 2)
よって、いずれの場合にも α = (u + v√D)/2 は R の元であり 従って R の単数である。
133 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 17:06:01
(u, v) が u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解なら (u, -v), (-u, v), (-u, -v) も同様である。 これ等には、それぞれ α', -α', -α が対応する。
u > 0, v > 0 なら D ≧ 2 だから α = (u + v√D)/2 ≧ (1 + √2)/2 > 1
以上から、次のことが分かった。 α を R の単数とすると、α, α', -α', -α のどれか一つは 1 より大きい。
134 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 17:27:10
>>133 を以下のように訂正する。
(u, v) が u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解なら (u, -v), (-u, v), (-u, -v) も同様である。 これ等には、それぞれ α', -α', -α が対応する。
u = 0 なら -Dv^2 = ±4 より v^2 = 1 または v^2 = 4 となり D = 4 または D = 1 となって矛盾。
v = 0 なら u^2 = 4 より u = ±2 となり α = ±1 である。
u > 0, v > 0 なら D ≧ 2 だから α = (u + v√D)/2 ≧ (1 + √2)/2 > 1
以上から、次のことが分かった。 α ≠ ±1 を R の単数とすると、α, α', -α', -α のどれか一つは 1 より大きい。
135 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 21:52:44
>>131 より θ = (pθ + q)/(rθ + s) なら rθ + s は R の単数である。 よって >>132 より rθ + s = (u + v√D)/2 となる。 ここで (u, v) は u^2 - Dv^2 = ±4 の有理整数解である。 p, q, r, s を u, v で表してみよう。
(u + v√D)/2 = rθ + s = r(-b + √D)/2a + s よって v = r/a よって r = av
u/2 = -rb/2a + s だから u/2 = -vb/2 + s s = (u + vb)/2
θ = (pθ + q)/(rθ + s) だから θ(rθ + s) = pθ + q これに θ = (-b + √D)/2a を代入して (u + v√D)/2 (-b + √D)/2a = p(-b + √D)/2a + q (-ub + (u - vb)√D + vD)/4a = 2p(-b + √D)/4a + q よって (-ub + vD)/4a = (4aq - 2pb)/4a -ub + vD = 4aq - 2pb
(u - vb)/4a = 2p/4a p = (u - bv)/2
-ub + vD = 4aq - 2pb = 4aq - (u - bv)b -b^2v + vD = 4aq q = v(-b^2 + D)/4a = -4acv/4a = -cv
以上から (p, q/(r, s) = ((u - bv)/2, -cv)/(av, (u + bv)/2)
136 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 22:08:52
>>122 >このときある n ≧ 1 があり、 >θ = [k_0, . . . , k_(n-1), θ] となる。 >ここで、各 k_i は有理整数で i ≧ 1 のとき k_i ≧ 1 である。
θ > 1 だから k_0 ≧ 1 でもある。
137 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/13(金) 22:44:28
命題 θ, R は >>126 同じとする。
A = (p_0, q_0)/(r_0, s_0) ∈ GL_2(Z) B = (p_1, q_1)/(r_1, s_1) ∈ GL_2(Z) で θ = Aθ θ = Bθ とする。
E_0 = r_0θ + s_0 E_1 = r_1θ + s_1 とおけば、>>131 より E_0, E_1 は R の単数である。
AB = C とすれば θ = Cθ である。 C = (p_2, q_2)/(r_2, s_2) ∈ GL_2(Z) E_2 = r_2θ + s_2 とおく。
このとき、E_0E_1 = E_2 である。
証明
E_0E_1 = (r_0θ + s_0)(r_1θ + s_1) = r_0θ(r_1θ + s_1) + s_0(r_1θ + s_1) = r_0(p_1θ + q_1) + s_0(r_1θ + s_1) = (r_0p_1 + s_0r_1)θ + (r_0q_1 + s_0s_1) = r_2θ + s_2 証明終
138 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/14(土) 00:52:14
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 θ を判別式 D の簡約された2次無理数とする。
>>127 において θ が簡約された2次無理数の場合を考える。
>>101 より θ は純循環連分数に展開される。 θ = [k_0, . . . , k_(n-1), θ] で、k_0, . . . , k_(n-1) が 最短の純循節とする。
θ = (p_(n-1)θ + p_(n-2))/(q_(n-1)θ + q_(n-2)) で p_(n-1)q_(n-2) - q_(n-1)p_(n-2) = (-1)^n である(>>43, >>44, >>57)。
θ > 1 で q_(n-1) > 0, q_(n-2) ≧ 0 だから E = q_(n-1)θ + q_(n-2) > 1 である。 >>131 より E は R の単数である。
α を R の単数で α > 1 とする。 α' も R の単数であるから >>131 より I = α'I である。 よって θ = (pθ + q)/(rθ + s) となる 有理整数 p, q, r, s で ps - qr = ±1 となるものがあり、 α' = rθ' + s である。 よって α = rθ + s である。 α > 1 だから >>122 より rθ + s はθの連分数展開から得られる。 よって >>137 より α = E^m となる m ≧ 1 がある。
139 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/14(土) 01:07:04
α を R の単数で α > 1 とする。 α' も R の単数であるから >>131 より I = α'I である。 よって θ = (pθ + q)/(rθ + s) となる 有理整数 p, q, r, s で ps - qr = ±1 となるものがあり、 α' = rθ' + s である。 よって α = rθ + s である。 α > 1 だから >>122 より rθ + s はθの連分数展開から得られる。 よって >>137 より α = E^m となる m ≧ 1 がある。
α を R の単数で 0 < α < 1 とすると、1/α > 1 だから >>138 より 1/α = E^m となる m ≧ 1 がある。 よって α = E^(-m) である。
α < 0 なら -α > 0 だから α ≠ -1 なら上でのべたことから -α = E^m となる m ≠ 0 がある。
以上から R の任意の単数は ±E^m, m ∈ Z と書ける。 E を R の基本単数と呼ぶ。
140 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/14(土) 01:12:10
>>138 >R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 >θ を判別式 D の簡約された2次無理数とする。
この部分は不要なので削除する。
141 :132人目の素数さん:2007/04/14(土) 04:10:00
16
142 :132人目の素数さん:2007/04/14(土) 04:11:00
17
143 :132人目の素数さん:2007/04/14(土) 04:12:00
16
144 :132人目の素数さん:2007/04/14(土) 04:13:00
15
145 :132人目の素数さん:2007/04/14(土) 04:14:02
14
146 :132人目の素数さん:2007/04/14(土) 04:15:00
13
147 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 10:13:27
連分数の理論を(2元)2次形式論と実2次体に応用するためには、 2次の無理数と2次形式と2次体のイデアルの3者の関係をはっきり させておいたほうが良い。 この関係は過去スレ4でもある程度扱ったが、ここではより詳しく 述べる。
ここで述べる定式化は Henri Cohen の A course in computational algebraic number thery から拝借した。
148 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 10:43:56
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 過去スレ4の586より D はある2次体 Q(√m) の整環 R の 判別式である。
I を R の分数イデアル(過去スレ2の677)とする。 即ち、Q(√m) の R-部分加群 I が次の条件を満たすとき I を R の 分数イデアルと呼ぶ。 1) I ≠ 0 2) Q(√m) の元 x ≠ 0 で xI ⊂ R となるものがある。
定義より、I = (1/α)J と書ける。 ここで J は R のイデアルで α は R の元である。
I のノルム N(I) を N(I) = N(J)/|N(α)| で定義する。
これが J と α の取り方によらないことは証明を要する。
149 :132人目の素数さん:2007/04/21(土) 10:57:54
糞
150 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:17:07
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 R = [μ, ν] を R のある基底による表示とする。 I = [α, β] を I のある基底による表示とする。 I ⊂ R だから α = pμ + qν β = rμ + sν と書ける。ここで p, q, r, s は有理整数である。 このとき N(I) = |ps - qr| である。
証明 I = [a, b + cfω] を I の標準基底 (過去スレ4の429) による 表示とする。 N(I) = ac である(過去スレ4の438)。
[μ, ν] の [1, fω] による変換行列を A とする。 つまり、(μ, ν)' = A(1, fω)' である。 ここで、(μ, ν)', (1, fω)' はそれぞれ列ベクトルを表す。
同様に [a, b + cfω] の [1, fω] による変換行列を B とする。 つまり、(a, b + cfω)' = B(1, fω)' である。 ここで、B = (a, 0)/(b, c) である。 同様に [α, β] の [a, b + cfω] による変換行列を C とする。
(α, β)' = C(a, b + cfω)' = CB(1, fω)' = CBA^(-1) (μ, ν)' 従って、P = (p, q)/(r, s) とおけば P = CBA^(-1) である。 det(A) = ±1, det(C) = ±1 だから |det(P)| = |det(B)| = ac = N(I) det(P) = ps - qr だから N(I) = |ps - qr| である。 証明終
151 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:30:20
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 R = [μ, ν] を R のある基底による表示とする。 I = [α, β] を I のある基底による表示とする。 I ⊂ R だから α = pμ + qν β = rμ + sν と書ける。ここで p, q, r, s は有理整数である。
このとき αβ' - α'β = (ps - qr)(μν' - μ'ν)
証明 (α, α')/(β, β') = (p, q)/(r, s) (μ, μ')/(ν, ν') である。
両辺の行列式をとればよい。 証明終
152 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:47:49
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
(αβ' - α'β)^2 は有理整数 > 0 であり、基底 α, β の 取り方によらない。
証明 I = [γ, δ] を I の別の基底による表示とする。 [α, β] の [γ, δ] による変換行列を P とすれば >>151 と同様にして αβ' - α'β = (ps - qr)(γδ' - γ'δ) 両辺を2乗して (αβ' - α'β)^2 = (ps - qr)^2 (γδ' - γ'δ)^2
det(P) = ±1 だから (αβ' - α'β)^2 = (γδ' - γ'δ)^2 証明終
153 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:54:18
定義 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 I = [α, β] を I のある基底による表示とする。
d(I) = (αβ' - α'β)^2 と書き、これを I の判別式という。 >>152 より、これは基底 α, β の取り方によらない。
d(I) を d(α, β) とも書く。
容易にわかるように d(R) は R の判別式に一致する。 さらに d(1, ω) は2次体 Q(√m) の判別式である。
154 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 11:59:03
補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、 I ≠ 0 を R のイデアルとする。
d(I) = (N(I)^2)d(R)である。
証明 定義(>>152) と >>150, >>151 より明らかである。
155 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 12:05:04
定義 α, β を2次体 Q(√m) の元とする。 Δ(α, β) = αβ' - α'β と書く。
156 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/21(土) 12:19:47
補題 α, β, γ を2次体 Q(√m) の元とする。
Δ(γα, γβ) = N(γ)Δ(α, β) である。
証明 Δ(γα, γβ) = γαγ'β' - γ'α'γβ = γγ'(αβ' - α'β) = N(γ)Δ(α, β) 証明終
157 :132人目の素数さん:2007/04/22(日) 04:10:00
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