最終更新日時 2011年03月09日 (水) 20時56分28秒
代数的整数論 006 (191-270)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1185363461/191-270
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1185363461/191-270
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191 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:56:13
ここまで来たら一様空間について述べたほうがいいだろう。 一様空間が数学科の学部学生の常識になっていないことが 残念である。
言うまでもないかもしれないが、この辺りは全て Bourbaki の受売り である。
192 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 17:14:49
定義 X を集合とする。 V と W を X×X の部分集合としたとき、
V^(-1) = {(x, y) ∈ X×X ; (y, x) ∈ V }
VW = {(x, y) ∈ X×X ; (x, z) ∈ W, (z, y) ∈ V となる z がある}
x ∈ X のとき
V(x) = {y ∈ X ; (x, y) ∈ V}
A ⊂ X のとき
V(A) = ∪{V(x) ; x ∈ A}
とする。
193 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 17:18:36
>>192 において
V^2 = VV V^3 = (V^2)V と書く。
同様に n ≧ 1 に対して V^n が定義される。
194 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 19:53:00
定義
X を集合とする。
Δ = {(x, x) ; x ∈ X } と書く。
Δ を X×X の対角線集合と言う。
X×X の部分集合の集合 Φ で以下の条件を満たすものが与えられたとき Φ を X の一様構造と言う。
1) V ∈ Φ なら Δ ⊂ V 2) V ∈ Φ を含む X×X の部分集合は Φ に属す。 3) V ∈ Φ, W ∈ Φ のとき V ∩ W ∈ Φ 4) V ∈ Φ のとき V^(-1) ∈ Φ 5) V ∈ Φ のとき WW ⊂ V となる W ∈ Φ がある。
Φ の元を X の近縁と言う。 V ∈ Φ で (x, y) ∈ V のとき x と y は V 程度に近いと言う。
一様構造の与えられた集合を一様空間と言う。
195 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 20:02:33
定義 X を集合とする。 Φ を X の一様構造とする。 Φ の部分集合 Φ_0 で Φ の任意の元 V に対して W ⊂ V となる W ∈ Φ_0 があるとき Φ_0 を一様構造 Φ の基本近縁系と言う。
196 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 20:10:19
X を集合とする。 X×X の部分集合の集合 Φ_0 が X の一様構造の基本近縁系で あるためには Φ_0 が以下の条件を満たすことが必要十分である。
1) V ∈ Φ_0 なら Δ ⊂ V 2) V, V' ∈ Φ_0 のとき W ⊂ V ∩ V' となる W ∈ Φ_0 がある。 3) V ∈ Φ_0 のとき W ⊂ V^(-1) となる W ∈ Φ_0 がある。 4) V ∈ Φ_0 のとき WW ⊂ V となる W ∈ Φ_0 がある。
197 :king氏ね:2007/08/04(土) 20:15:32
>>196 元気か?
198 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 20:22:39
命題 X を一様構造 Φ をもつ一様空間とする。
x ∈ X のとき、V ∈ Φ に対する V(x) (>>192) 全体を x の近傍系と する X の位相構造が一意に存在する。
証明 任意の V ∈ Φ に対して W^2 ⊂ V となる W ∈ Φ をとる。 y ∈ W(x) のとき即ち (x, y) ∈ W のとき (y, z) ∈ W なら (x, z) ∈ W^2 ⊂ V だから W(y) ⊂ V(x) である。 すなわち V(x) は y の近傍である。
残りは容易なので読者にまかす。 証明終
199 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 20:27:56
距離空間 (X, d) は一様空間である。
実数 ε > 0 に対して V(ε) = { (x, y) ∈ X×X ; d(x, y) ∈ ε}
とおく。
V(ε) 全体は基本近縁系となる。
200 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 20:37:53
G を位相群とする。
V を G の単位元の任意の近傍としたとき
V_r = {(x, y) ∈ X×X ; yx^(-1) ∈ V }
とおく。
V_r 全体は基本近縁系となる。
V_r(x) = Vx であるから、この一様構造は G の位相を引き起こす。
この一様構造を G の右一様構造と言う。
同様に
V_l = {(x, y) ∈ X×X ; x^(-1)y ∈ V }
とおくと、V_l 全体は基本近縁系となる。
この一様構造を G の左一様構造と言う。
V_l(x) = xV だから、この一様構造も G の位相を引き起こす。
G が位相アーベル群の場合、右一様構造と左一様構造は一致する。
201 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 20:52:39
X を集合、R を X の同値関係とする。
C を R のグラフ、即ち C = {(x, y) ∈ X×X ; xRy } とする。
Δ ⊂ C, C^2 = C^(-1) = C である。 したがって、C だけで X の一様構造の基本近縁系となる。
R として等値関係、即ち C = Δ をとると、この一様構造の近縁とは Δ を含む X×X の任意の部分集合である。 この一様構造を X の離散一様構造という。 この一様構造を持った空間を離散一様空間と言う。
202 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 21:16:21
X を一様空間、V を X の近縁で V = V^(-1) となるものとする。 このとき V を対称近縁と言う。
V を X の任意の近縁としたとき V ∩ V^(-1) は対称近縁である。 従って、対称近縁全体は X の基本近縁系になる。
203 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 21:47:59
命題 X を一様空間、A を X の部分集合、V を X の対称近縁とする。 V(A) (>>192) は A の近傍である。即ち V(A) の内部は A を含む。
cls(A) = ∩{V(A); V は X の対称近縁全体} となる。
ここで cls(A) は A の閉包を表す。
証明 V(A) が A の近傍であることは明らかである。
B = ∩{V(A); V は X の対称近縁全体} とおく。
x ∈ cls(A) とする。 これは、任意の対称近縁 V に対して V(x) ∩ A が空でないことと同値である。
V は対称だから、y ∈ V(x) と x ∈ V(y) は同値である。 従って、上は x ∈ V(A) と同値である。 即ち x ∈ B と同値である。 証明終
204 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 22:36:44
命題 X を一様空間、M を X×X の部分集合、V を X の対称近縁とする。 VMV は M の X×X における近傍である。
cls(M) = ∩{VMV; V は X の対称近縁全体} となる。
ここで cls(M) は M の閉包を表す。
証明 (x, y) ∈ VMV とは (p, q) ∈ M があり、(x, p) ∈ V, (q, y) ∈ V 即ち V が対称だから (x, y) ∈ V(p)×V(q) V(p)×V(q) は (p, q) の近傍だから VMV は M の X×X における 近傍である。
(x, y) ∈ cls(M) とは任意の対称近縁 V に対して V(x)×V(y) と M が交わることと同値である。
これは (p, q) ∈ M があり (x, y) ∈ V(p)×V(q) と同値である。 これは上で見たように (x, y) ∈ VMV と同値である。
従って
cls(M) = ∩{VMV; V は X の対称近縁全体} となる。
証明終
205 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 22:57:37
命題 X を一様空間とする。 X の近縁の内部全体は基本近縁系になる。 X の近縁の閉包全体も基本近縁系になる。
証明 V を X の任意の近縁とする。 W^3 ⊂ V となる対称近縁がある。
>>204 より W^3 は W の近傍だから V の内部は W を含み X の 近縁である。 よって X の近縁の内部全体は基本近縁系になる。
>>204 より W ⊂ cls(W) ⊂ W^3 ⊂ V
従って cls(W) は X の近縁であり、V に含まれる。 よって X の近縁の閉包全体は基本近縁系になる。 証明終
206 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 23:48:10
命題
X と Y を位相空間とする。
V が X×Y の閉集合なら、任意の x ∈ X に対して
V(x) = {y ∈ Y; (x, y) ∈ V } は Y の閉集合である。
証明
y ∈ Y に (x, y) を対応させる写像 f: Y → {x}×Y は
位相同型である。
V ∩ {x}×Y は {x}×Y の閉集合で、その f による逆像が
V(x) である。
よって V(x) は閉集合である。
証明終
207 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 23:50:25
命題 X を一様空間とする。 X の任意の点 x の閉近傍全体は基本近傍系である。
証明 V を X の任意の近縁とする。 >>205 より X の閉近縁 W で W ⊂ V となるものがある。 >>206 より W(x) は x の閉近傍で V(x) に含まれる。 証明終
208 :king氏ね:2007/08/05(日) 00:42:36
>>207 元気か?
209 :1stVirtue ◆.NHnubyYck :2007/08/05(日) 03:23:19
Reply:>>208 お前に何が分かるというのか?
210 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 08:46:09
定義 ハウスドルフ位相空間 X が次の性質をもつとき正則であるという。
X の任意の点の閉近傍全体はこの点の基本近傍系になる。
211 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 09:19:00
命題 位相空間 X において次の条件は同値である。
1) X の任意の点の閉近傍全体はこの点の基本近傍系になる。
2) X の任意の閉集合 A と A に含まれない任意の点 x に対して x の近傍と A の近傍で交わらないものがある。
証明 1) ⇒ 2) A が閉集合で x が A に含まれないなら x ∈ V ⊂ X - A となる x の閉近傍がある。 V と X - V はそれぞれ x と A の近傍で交わらない。
2) ⇒ 1) U を x の開近傍とする。 x の近傍 V と X - U の近傍 W で交わらないものがある。 cls(V) ⊂ U 証明終
212 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 09:24:29
命題
X を一様空間とする。
X の任意の点 x に対して {x} が閉集合となるなら
X は正則(>>210)である。
証明 >>207 より X の任意の点 x の閉近傍全体はこの点の基本近傍系になるから X がハウスドルフであることを言えばよい。 これは、>>211 より明らかである。 証明終
213 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 09:25:43
ハウスドルフ一様空間は分離一様空間とも言う。
214 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 09:41:07
命題 X を一様空間とする。 X がハウスドルフ空間であるための条件は、X の近縁全部の共通集合が X×X の対角集合 Δ であること。
証明 >>205 より X の閉近縁全体は基本近縁系である。 従って、X の近縁全部の共通集合が X×X の対角集合 Δ なら Δ は閉集合である。 >>84 より X はハウスドルフ空間である。
逆に X がハウスドルフ空間であるとする。 X×X の点 (x, y) が Δ に含まれないなら x ≠ y だから y が V(x) に含まれないような近縁 V がある。 このとき (x, y) は V に含まれないから X の近縁全部の共通集合は Δ である。 証明終
215 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 09:56:02
定義 一様空間 X から一様空間 Y への写像 f に関して、 Y の任意の近縁 V に対して X の近縁 W が存在して (x, y) ∈ W なら (f(x), f(y)) ∈ V となるとき f を一様連続であると言う。
これは g = f×f としたとき Y の任意の近縁 V に対して g^(-1)(V) が X の近縁になることと同値である。
216 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 09:58:05
命題 一様連続写像は連続である。
証明 定義(>>215)から明らかである。
217 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 10:00:40
命題 f: X → Y g: Y → Z が一様連続のとき gf: X → Z も一様連続である。
証明 定義(>>215)から明らかである。
218 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 10:05:33
f: X → Y g: Y → X が一様連続で、 gf = 1 fg = 1 となるとき X と Y は(一様空間として)同型であると言う。
このとき f と g は同型写像または同型射または単に同型と言う。
219 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 10:17:14
X を集合とする。
X の一様構造(>>194)全体は包含関係で順序集合になる。 X の一様構造 α と β に対して α ⊂ β のとき α ≦ β と書く。 このとき α は β より荒いと言い、β は α より細かいと言う。
α ≦ β で α ≠ β のとき α < β と書く。 このとき α は β より真に荒いと言い、β は α より真に細かい と言う。
220 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 10:46:43
X を集合とする。 X の一様構造の族 (α_i), i ∈ I があるとする。 ここで I は任意濃度の集合である。
I の任意の有限部分集合 K をとる。 各 k ∈ K に対して V_k を α_k の任意の近縁として ∩V_k の全体を α(K) ととする。 K を変化させたときの α(K) の全体を β_0 とする。
このとき β_0 は基本近縁系になる。 これは次の事実に注意すれば明らかである。
V と W が X×X の部分集合のとき (V ∩ W)^(-1) = V^(-1) ∩ W^(-1) (V ∩ W)^2 ⊂ V^2 ∩ W^2
β_0 が生成する一様構造を β とすれば β = sup(α_i) 即ち β は (α_i), i ∈ I の上限である。
221 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 11:10:53
X を集合とする。 X の一様構造全体には最も細かいものがある。 それは X の離散一様構造(>>201)である。
X の一様構造全体には最も荒いものがある。 それは X×X だけを近縁に持つ一様構造である。
222 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 11:19:14
X を集合とする。 X の一様構造 α と β に対して α ∩ β は一様構造とは限らない。 これは α ∩ β において >>194 の 5) が成り立つとは限らないから である。
しかし inf(α, β) は存在する。 それは γ ≦ α, γ ≦ β となる一様構造 γ 全体の上限である。 X×X だけを近縁に持つ一様構造は α, β より荒いから このような γ は存在する。 従って、sup(γ) 即ち inf(α, β) も存在する。
同様に X の一様構造の任意の族 (α_i), i ∈ I に対して その下限 inf(α_i) が存在する。 それはすべての i ∈ I に対して γ ≦ α_i となる一様構造 γ 全体の 上限である。
223 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 12:03:26
X を集合とする。
X の分割 X = (A_λ), λ ∈ L 全体と X の同値関係全体は1対1に対応する。
X の分割 X = (A_λ), λ ∈ L に対応する同値関係が 定める一様構造(>>201) を分割 (A_λ) が定める一様構造という。
X の有限分割 X = A_1 ∪. . . ∪A_n が定める一様構造全体の 上限を X の有限分割の一様構造と言う。
X の有限分割 π = (A_i) に対して V_π = ∪(A_i)×(A_i) とおく。
V_π 全体が X の有限分割の一様構造の基本近縁系となる。
実際、X の有限分割 π' = (B_j) に対して A_i と B_j が交わるような C_ij = A_i ∩ B_j 全体は X の有限分割 π'' となり V_π'' ⊂ V_π ∩ V_π' となる。
224 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 12:20:17
X を集合、Y を一様空間とし、 f: X → Y を写像とする。
V を Y の近縁とし W = g^(-1)(V) とする。 W^(-1) = g^(-1)(V^(-1)) W^2 = g^(-1)(V^2)
よって、Y の近縁の g = f×f による逆像全体は基本近縁系となる。 これが定める X の一様構造を Y の一様構造の f による逆像と言う。
この一様構造は f を一様連続にする X の一様構造の中で最も荒いもの である。 即ち f を一様連続にする X の一様構造全体の下限である。
225 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 12:25:17
命題 X を集合、Y を一様空間とし、 f: X → Y を写像とする。
X に f による Y の一様構造の逆像(>>224)である一様構造を与える。
Z を一様空間とし、g: Z → X を写像とする。
g が一様連続であるためには fg が一様連続であることが 必要十分である。
証明 一様連続の定義(>>215) と一様構造の逆像の定義(>>224)から 明らかである。
226 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 12:36:46
定義 X を一様空間とし、A を X の部分集合とする。 X の一様構造の標準単射 A → X による逆像(>>224)を X の一様構造を A に導入した一様構造と言う。
A に導入した一様構造により A を一様空間と見たとき A を X の部分一様空間と言う。
227 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 12:54:53
命題 X を集合、(Y_i), i ∈ I を一様空間族とし、 各 i ∈ I に対して f_i : X → Y_i を写像とする。 このとき X の一様構造で各 f_i を一様連続にする最も荒い一様構造が 存在する。
各 i に対して、g_i = (f_i)×(f_i) とし、V_i を X の近縁として (g_i)^(-1)(V_i) の形の集合の有限個の共通部分全体が、この一様構造の 基本近縁系である。
証明 Y_i の一様構造の f_i による逆像(>>224) を α_i とする。 族 (α_i), i ∈ I の上限が求めるものである。
後半は一様構造の逆像の定義(>>224)と >>220 より明らかである。 証明終
228 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 12:57:27
定義 X を集合、(Y_i), i ∈ I を一様空間族とし、 各 i ∈ I に対して f_i : X → Y_i を写像とする。 このとき X の一様構造で各 f_i を一様連続にする最も荒い一様構造が 存在する(>>227)。
この一様構造を写像族 (f_i) から X に導入された一様構造と言う。
229 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 13:06:13
命題 X を集合、(Y_i), i ∈ I を一様空間族とし、 各 i ∈ I に対して f_i : X → Y_i を写像とする。 写像族 (f_i) から X に導入された一様構造(>>228)により X を一様空間とみなす。
Z を一様空間で g: Z → X を写像とする。 g が一様連続であるためには各 (f_i)g が一様連続になることが 必要十分である。
証明 写像族 (f_i) から X に導入された一様構造の定義(>>228)から明らか である。
230 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 13:31:35
定義 (X_i), i ∈ I を一様空間族とし、X を 積集合 = ΠX_i とする。 各 i ∈ I に対して p_i : X → X_i を射影とする。 写像族 (p_i) から X に導入された一様構造(>>228)により X を一様空間とみなす。
このとき X を一様空間族 (X_i) の積と言う。
231 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 13:34:10
一様空間族 (X_i) の積(>>130)から定まる位相は 各 X_i の位相の積である。
232 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:10:46
命題 X を一様空間族 (X_i), i ∈ I の積(>>230)とし、 p_i : X → X_i を射影とする。
Y を一様空間とし、f: Y → X を写像とする。 f が一様連続であるためには各 (p_i)f が一様連続であることが 必要十分である。
証明 一様空間族 (X_i), i ∈ I の積の定義(>>230) と >>229 より明らかである。
233 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:20:44
命題 X を一様空間族 (X_i), i ∈ I の積(>>230)とし、 p_i : X → X_i を射影とする。
Y を一様空間とし、 各 i に対して f_i: Y → X_i を一様連続写像とする。
このとき一様連続写像 f: Y → X で f_i = (p_i)f となるものが一意に存在する。
証明 y ∈ Y のとき f(y) = (f_i(y)) により写像 f : Y → X を定義する。 f_i = (p_i)f だから >>232 より f は一様連続である。
一様連続写像 g: Y → X で f_i = (p_i)g とする。 y ∈ Y のとき p_i(g(y)) = f_i(y) だから f(y) = g(y) 即ち f = g である。 証明終
234 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:23:02
>>233 は一様空間族 (X_i) の積 X が一様空間の圏における (X_i) の積であることを示している。
235 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:29:52
定義(>>98の一般化) X を一様空間、V を X の近縁、 A を X の部分集合とする。 A×A ⊂ V のとき A を V 程度に小さい集合という。
236 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:32:55
定義(>>130の一般化) Φ を一様空間 X のフィルター(>>76)とする。 X の任意の近縁 V に対して V 程度に小さい(>>235) Φ の元があるとき Φ を X の Cauchy フィルターと言う。
237 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:36:41
定義(>>88の一般化)
一様空間 X の点列 (x_n), n ∈ Z+ に対して
A_n = {x_n, x_(n+1), . . . } とおく。
(A_n) が Cauchy フィルター(>>236)の基底となるとき (x_n) を
Cauchy 点列と言う。
238 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:46:49
補題 x を一様空間 X の点とする。 対称近縁(>>202) V に対して V(x) は V^2 程度に小さい。
証明 y と z を V(x) に含まれる点とする。 (y, x) ∈ V (x, z) ∈ V だから (y, z) ∈ V^2 である。 証明終
239 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 14:58:13
命題(>>178の一般化) 一様空間 X の収束フィルターは Cauchy フィルター(>>236)である。
証明 V を X の任意の近縁とする。 W^2 ⊂ V となる対称近縁 W がある。
フィルター Φ が x に収束すれば Φ は W(x) を含む。 >>238 より W(x) は W^2 程度に小さく、従って V 程度にも小さい。 証明終
240 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 15:43:25
命題 f : X → Y を一様連続とする。 X の Cauchy フィルターの基底 Φ_0 の f による像は Y の Cauchy フィルターの基底である。
証明 V を Y の任意の近縁とする。 x の近縁 W があり (x, y) ∈ W なら (f(x), f(y)) ∈ V となる。 Φ_0 は Cauchy フィルターの基底だから、W 程度に小さい Φ_0 の 元 M がある。f(M) は f(Φ_0) の元で V 程度に小さい。 よって f(Φ_0) は Cauchy フィルターの基底である。 証明終
241 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 15:46:45
定義(>>133の一般化)
Φ を一様空間 X の Cauchy フィルター(>>236)とする。 Ψ ⊂ Φ となる X の Cauchy フィルター Ψ は Φ に限るとき Φ を X の極小 Cauchy フィルターと言う。
242 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 15:57:39
補題(>>135の一般化) X を一様空間とする。 M を X の部分集合とする。 X の対称近縁(>>202) V に対して M が V 程度に小さければ(>>235) V(M) は V^3 程度に小さい。
証明 x と y を V(M) の元とする。
M の元 p, q で (x, p) ∈ V (q, y) ∈ V となるものがある。
(p, q) ∈ V だから
(x, y) ∈ V^3 である。 証明終
243 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:05:45
命題(>>136の一般化) X を一様空間とする。 Φ を X の Cauchy フィルター(>>236)とする。 Φ_0 を Φ のフィルター基底とする。
V を X の対称近縁全体を動かし、 M を Φ_0 の元全体を動かしたときの V(M) ∩ X 全体を Ψ_0 とする。
Ψ_0 は X の Cauchy フィルターの基底であり、 Ψ_0 が生成する X のフィルター Ψ は Φ に含まれる 唯一の極小 Cauchy フィルター(>>241)である。
証明 M, N を Φ_0 の元とし、 V, W を 対称近縁とする。
L ⊂ M ∩ N となる L ∈ Φ_0 と U ⊂ V ∩ W となる対称近縁 U がある。
U(L) ⊂ V(M) ∩ W(N) である。
よって Ψ_0 は X のフィルター基底である。
(続く)
244 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:06:55
>>242 より M が V 程度に小さければ V(M) は V^3 程度に小さい。
よって Ψ_0 は X の Cauchy フィルター基底である。 M ⊂ V(M) だから Ψ_0 ⊂ Φ である。
Γ を Cauchy フィルターで Γ ⊂ Φ とする。 任意の 対称近縁 V に対して V 程度に小さい N ∈ Γ がある。 任意の M ∈ Φ_0 に対して Γ ⊂ Φ だから N と M は交わる。 よって N ⊂ V(M) となり、V(M) ∈ Γ となる。 よって Ψ_0 ⊂ Γ となる。
これは Ψ_0 が Φ に含まれる唯一の極小 Cauchy フィルター であることを意味する。 証明終
245 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:09:56
命題(>>138の一般化) X を一様空間とする。 Φ を X の Cauchy フィルター(>>236)とする。 Φ_0 を Φ のフィルター基底とする。
Φ が X の 極小 Cauchy フィルター(>>241)であるためには 任意の N ∈ Φ に対して M ∈ Φ_0 と 対称近縁 V があり、V(M) ⊂ N となることが必要十分である。
証明 >>243 より明らかである。
246 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:19:49
命題(>>139 の一般化) X を一様空間とする。 x を X の点とする。 X の任意の近縁 V に対して V(x) の全体 Φ は X の 極小 Cauchy フィルターである。
証明 Φ がフィルターであることは明らかである。
X の任意の近縁 V に対して W^2 ⊂ V となる対称近縁 W を取る。
y ∈ W(W(x)) なら z ∈ W(x) があり (y, z) ∈ W 従って、y ∈ (W^2)(x) ⊂ V(x) 即ち W(W(x)) ⊂ V(x)
よって >>245 より Φ は極小 Cauchy フィルターである。 証明終
247 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:25:23
>>246 は次のように証明したほうが良い。
Ψ を x を含む X の部分集合全体とする。
Ψ は Cauchy フィルターである。
{{x}} は Ψ の基底である。
>>243 より Φ は極小 Cauchy フィルターである。
248 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:33:39
命題(>>140 の一般化) X を一様空間とする。 X の Cauchy フィルターの基底の接触点(>>132)は極限点である。
証明 Φ_0 を X の Cauchy フィルターの基底で x をその接触点とする。
任意の近縁 V に対して W^2 ⊂ V となる対称近縁 W がある。
Φ_0 は Cauchy フィルターの基底だから W 程度に小さい M ∈ Φ_0 がある。
M は W(x) と交わるから y ∈ M のとき (y, x) ∈ W^2 ⊂ V よって M ⊂ V(x) よって x は Φ_0 の極限点である。 証明終
249 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 16:38:54
定義(>>145 の一般化) 任意の Cauchy フィルターが収束する一様空間を完備空間という。
250 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 17:23:07
命題 完備空間(>>249)の閉部分空間は完備である。
証明 X を完備空間、A をその閉部分空間とする。 Φ を A の Cauchy フィルターとする。 >>240 より Φ は X のCauchy フィルターの基底である。 X は完備だから Φ は X の点 x に収束する。 A は閉集合だから x は A の点である。 従って Φ は A において x に収束する。 証明終
251 :132人目の素数さん:2007/08/05(日) 17:52:41
∩___∩ | ノ ヽ / ● ● | Kummer──!! | ( _●_) ミ 彡、 |∪| 、`\ / __ ヽノ /´> ) (___) / (_/ | / | /\ \ | / ) ) ∪ ( \ \_)
252 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 21:02:34
命題 X をハウスドルフ空間とする。 X のフィルターが収束すればその極限点は一意に決まる。
証明 X のフィルター Φ が x と y に収束し x ≠ y とする。 X はハウスドルフ空間だから x と y のそれぞれの近傍 V, W で 交わらないものがある。
一方、x と y は Φ の極限点だから V と W は Φ に含まれる。 従って V と W は交わる。 これは矛盾である。 証明終
253 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 21:04:52
命題 分離一様空間の完備部分空間は閉部分空間である。
証明 X を分離一様空間、A をその完備部分空間とする。 A が閉部分空間でないする。
x ∈ cls(A) - A をとる。 x の近傍全体のなすフィルター Φ を A に制限したもの Φ|A は A の Cauchy フィルターの基底である。
A は完備だから Φ|A は A の点 y に収束する。 一方、Φ|A は X におけるフィルターの基底でもあり x に収束する。
X はハウスドルフだから >>252 より x = y である。 これは矛盾である。 証明終
254 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 21:26:20
命題 X を位相空間族 (X_i), i ∈ I の積とし、 p_i : X → X_i を射影とする。
Φ を X のフィルターとする。 x を X の点とし、全ての i でフィルター基底 p_i(Φ) が p_i(x) に 収束するなら Φ は x に収束する。
証明 V を x の近傍とする。 I の有限部分集合 K があり 各 k ∈ K に対して p_i(x) の近傍 V_k があり ∩(p_i)^(-1)(V_k) ⊂ V となる。 各 k ∈ K に対して p_k(Φ) が p_k(x) に収束するから (p_i)^(-1)(V_k) ∈ Φ である。 従って、∩(p_i)^(-1)(V_k) ∈ Φ である。 よって V ∈ Φ である。 証明終
255 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 21:35:30
命題 任意の完備一様空間族 (X_i), i ∈ I の積(>>230) X は完備である。
証明 p_i : X → X_i を射影とする。 Φ を X の Cauchy フィルターとする。
>>240 より各 i ∈ I で p_i(Φ) は X_i の Cauchy フィルターの 基底である。 X_i は完備だから p_i(Φ) は X_i の点 x_i に収束する。 x = (x_i) とすれば >>254 より Φ は x に収束する。 証明終
256 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 21:59:05
命題 X を一様空間とし A をその部分一様空間(>>226)とする。 x を A の閉包の点とする。 x の近傍全体のなすフィルター Φ を A に制限したもの Φ|A は A の極小 Cauchy フィルター(>>241)の基底である。
証明 M ∈ Φ|A とする。 X の近縁 V があり M = V(x) ∩ A となる。 W^2 ⊂ V となる対称近縁 W を取る。
N = W(x) ∩ A とする。
y ∈ W(N) なら (z, y) ∈ W となる z ∈ N がある。 (x, z) ∈ W だから (x, y) ∈ W^2 ⊂ V 従って y ∈ V(x) 即ち W(N) ⊂ V(x) よって W(N) ⊂ M である。
>>245 より Φ|A は A の極小 Cauchy フィルターの基底である。 証明終
257 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 22:16:03
命題 X を分離かつ完備な一様空間とし Y をその部分一様空間(>>226)で X = cls(Y) とする。
Y の極小 Cauchy フィルター(>>241)全体をΩとする。
X は完備だから Y の極小 Cauchy フィルター(>>241)は X において 極限点を持つ。
X は分離だから >>252 よりこの極限点は一意にきまる。
従って Ω の元にその極限点を対応させることにより 写像 f: Ω → X が得られる。
この f は全単射である。
証明 >>256 より X の点 x に対して x の近傍全体のなすフィルター Φ を Y に 制限したもの Φ|Y は Y の極小 Cauchy フィルターの基底である。
x に Φ|Y が生成する Y の極小 Cauchy フィルターを対応させる ことにより 写像 g: X → Ω が得られる。
明らかに f と g は互いに逆写像である。 証明終
258 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 22:19:28
私見によれば Bourbaki の一様空間論で最もわかりにくいところは 極小 Cauchy フィルターに関する部分である。
しかし、>>257 によれば極小 Cauchy フィルターの意義がはっきりする。
259 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 23:19:24
命題 X を一様空間とし Φ と Ψ をフィルターとする。 Φ と Ψ が同じ極限点を持てば X の任意の近縁 V に対して V 程度に小さい部分集合(>>235)を共有する。
証明 Φ と Ψ の共通の極限点を x とする。
X の任意の近縁 V に対して W を W^2 ⊂ V となる対称近縁とする。 M ∈ Φ と N ∈ Ψ をそれぞれ W(x) に含まれる部分集合とする。
>>238 より W(x) は W^2 程度に小さい。
M ∪ N ⊂ W(x) だから M ∪ N も W^2 程度に小さい。 従って M ∪ N は V 程度に小さい。 しかも M ∪ N は Φ にも Ψ にも含まれる。 証明終
260 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/05(日) 23:43:40
命題 X を一様空間とし Φ と Ψ を Cauchy フィルターとする。 Φ と Ψ が X の任意の近縁 V に対して V 程度に小さい(>>235)部分集合を共有するなら Φ と Ψ は同一の極小 Cauchy フィルターを含む。
証明 Φ に含まれる極小 Cauchy フィルターを ξ とする。 V を X の任意の近縁とし、M を Φ の任意の元とする。
Φ と Ψ は V 程度に小さい部分集合 N を共有する。 N と M は交わるから x ∈ N ∩ M とする。
N は V 程度に小さいから y ∈ N なら (x, y) ∈ V である。 従って y ∈ V(x) ⊂ V(M) 即ち N ⊂ V(M) 従って V(M) は Ψ に含まれる。
>>243 より ξ ⊂ Ψ である。 証明終
261 :king氏ね:2007/08/05(日) 23:53:26
∩___∩ | ノ ヽ / ● ● | Kummer──!! | ( _●_) ミ 彡、 |∪| 、`\ / __ ヽノ /´> ) (___) / (_/ | / | /\ \ | / ) ) ∪ ( \ \_)
262 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 07:40:44
命題 X を一様空間とし、Φ を X の極小 Cauchy フィルターとする。 Φ の任意の元 M の内部は空でない。
証明 >>243 より X の近縁 V と N ∈ Φ があり V(N) ⊂ M となる。 V(N) は V(x), x ∈ N の合併集合だからその内部は空でない。 証明終
263 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 07:55:03
命題 X を一様空間とし、Y をその密な部分空間とする。 Y の任意の Cauchy フィルターが X で収束するなら X は完備である。
証明 X の任意の極小 Cauchy フィルター Φ が収束することを言えばよい。
>>262 より Φ の任意の元 M の内部は空でない。 従って、Φ の元と Y の交わり全体 Φ|Y は Y における Cauchy フィルターの基底となる。
仮定より Φ|Y は X の点 x に収束する。 Φ|Y が X で生成するフィルターは Φ より細かく x を極限点に持つ。 >>141 より Φ は x を接触点に持つ。 >>248 より Φ は x に収束する。 証明終
264 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 08:29:23
命題 f と g を 位相空間 X からハウスドルフ空間 Y への連続写像とする。 f(x) = g(x) となる x の全体 Z は X の閉集合である。
証明 h(x) = (f(x), g(x)) により写像 h : X → Y×Y を定める。 h は連続である。
Δ を Y×Y の対角線集合とすると、>>84 より Δ は Y×Y の 閉集合である。
Z = h^(-1)(Δ) であるから Z は閉集合である。 証明終
265 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 08:31:41
命題(等式延長の原理) f と g を 位相空間 X からハウスドルフ空間 Y への連続写像とする。 f(x) = g(x) となる x の全体 Z が X で密なら f = g である。
証明 >>264 より明らかである。
266 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 09:07:36
定理(連続延長の原理) X を位相空間とし、Y をその密な部分集合とする。 Z を正則空間(>>210)とする。 h を写像 Y → Z とする。
h が連続写像 f : X → Z に拡張できるためには h が次の条件 (E) を満たすことが必要十分である。
(E) X の任意の点 x に対して x の近傍と Y の交わり全体のなす フィルタ-基底を Φ としたとき h(Φ) は Z で収束する。
このとき f は一意に決まる。
証明 f の一意性は等式延長の原理(>>265)から出る。
(E) が必要なことは >>174 から直ちに出る。
(E) が十分なことを証明する。
X の任意の点 x に対して x の近傍と Y の交わり全体のなす フィルタ-基底を Φ とする。
(E) より h(Φ) は Z で収束するが、 Z はハウスドルフだから >>149 より h(Φ) の極限点は一意に決まる。 これを f(x) とする。
f が連続であることを示せば良い。
(続く)
267 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 09:08:23
V を f(x) の Z における閉近傍とする。 h(Φ) は f(x) に収束するから x の X での開近傍 W で h(W ∩ A) ⊂ V となるものがある。
z ∈ W のとき W は z の近傍だから f(z) ∈ cls(h(W ∩ A)) ⊂ V となる。 ここで cls(h(W ∩ A)) は h(W ∩ A) の閉包を表す。
従って f(W) ⊂ V である。
Z は正則(>210)だから X の任意の点の閉近傍全体はこの点の 基本近傍系になる。
従って f は連続である。 証明終
268 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 10:05:21
命題 X を位相空間とし、A をその密な部分集合とする。 U を X の空でない開集合、V = U ∩ A とする。
このとき、cls(V) = cls(U) である。
ここで cls(V), cls(U) はそれぞれ U, V の X における閉包である。
証明 V ⊂ U だから cls(V) ⊂ cls(U) である。
x ∈ cls(U) とする。 x の任意の開近傍 W に対して W ∩ U は空でない。 A は密だから W ∩ U ∩ A = W ∩ V も空でない。 これは x ∈ cls(V) を意味する。 従って cls(U) ⊂ cls(V) である。 証明終
269 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 10:21:18
命題 X を一様空間とし、A をその密な部分集合とする。 A の近縁の X×X における閉包全体は X の基本近縁系である。
証明 V を X の任意の近縁とする。 >>205 より T ⊂ V となる X の閉近縁 T がある。 >>205 より U ⊂ T となる X の開近縁 U がある。 W = U ∩ A×A は A の開近縁である。
A×A は X×X で密だから >>268 より cls(W) = cls(U) である。
T は閉集合だから cls(U) ⊂ T である。 従って cls(W) ⊂ V である。 証明終
270 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/06(月) 10:27:11
命題 X と Y を位相空間とし、f : X → Y を連続写像とする。 X の任意の部分集合 A に対して
f(cls(A)) ⊂ cls(f(A)) となる。
証明 明らかである。
