最終更新日時 2011年03月06日 (日) 22時17分30秒
代数的整数論 006 (1-55)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1185363461/-55
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1185363461/-55
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1185363461/-55
1 :132人目の素数さん:2007/07/25(水) 20:37:41
Kummer ◆g2BU0D6YN2 が代数的整数論を語るスレです。
内容についてわからないことがあったら遠慮なく 質問してください。 その他、内容についてのご意見は歓迎します。 例えば、誤りの指摘、証明の改良など。
過去スレ #001 http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1126510231 #002 http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1132643310 #003 http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/ #004 http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1164286624/ #005 http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1173998720/
2 :132人目の素数さん:2007/07/25(水) 20:41:57
クメール
3 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/25(水) 20:49:19
過去スレ5の974で判別式 D が負の場合の類数公式として h = ((√|D|)/π)L(1, χ) が得られた。 L(1, χ) の計算が残っているが、これは後回しにすることにして、 今度は判別式 D が正の場合を扱うことにする。
4 :132人目の素数さん:2007/07/25(水) 21:18:18
D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a > 0 とする。
R を実2次体 Q(√D) の判別式 D の整環とする。 R = [1, (D + √D)/2] である(過去スレ4の585)。
ax^2 + bxy + cy^2 は原始的だから、過去スレ4の592より I = [a, (-b + √D)/2] は R の可逆イデアルである。
α = a β = (-b + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a(-b + √D)/2 - a(-b - √D)/2 = a√D > 0 だから I の基底 a, (-b + √D)/2 の向き(過去スレ5の188)は正である。
過去スレ5の251より f(x, y) = N(xα - yβ)/N(I) である。
m ≠ 0 を有理整数で m = f(x, y), m = f(x', y') となる (x, y) ∈ Z^2 と (x', y') ∈ Z^2 があるとする。
N(xα - yβ)/N(I) = N(x'α - y'β)/N(I) = m であるから N(xα - yβ) = N(x'α - y'β) である。
λ = xα - yβ, μ = x'α - y'β とおけば N(λ) = N(μ) である。
m ≠ 0 だから λ ≠ 0, μ ≠ 0 である。
5 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/25(水) 21:52:45
>>4 を以下のように修正する。
D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a > 0 とする。
R を実2次体 Q(√D) の判別式 D の整環とする。 R = [1, (D + √D)/2] である(過去スレ4の585)。
ax^2 + bxy + cy^2 は原始的だから、過去スレ4の592より I = [a, (-b + √D)/2] は R の可逆イデアルである。
α = a β = (-b + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a(-b + √D)/2 - a(-b - √D)/2 = a√D > 0 だから I の基底 a, (-b + √D)/2 の向き(過去スレ5の188)は正である。
過去スレ5の251より f(x, y) = N(xα - yβ)/N(I) である。
m ≠ 0 を有理整数で m = f(x, y) となる (x, y) ∈ Z^2 が あるとする。
N(xα - yβ)/N(I) = m である。
λ = xα - yβ とおく。 m ≠ 0 だから λ ≠ 0 である。
6 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/26(木) 00:00:29
>>5 の続き。
εを R の単数で N(ε) = 1 とする。
N(ελ) = N(λ) であるから N(ελ)/N(I) = m である。
ελ ∈ I であるから ελ = x'α - y'β となる有理整数 x', y' がある。 よって f(x', y') = N(x'α - y'β)/N(I) = m である。
過去スレ5の413より ε = (t + u√D)/2 と書ける。 ここで (t, u) は t^2 - Du^2 = 4 の有理整数解である。
このとき (x', y') を (x, y) と (t, u) で表す式を求めよう。
7 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/26(木) 01:18:34
>>6 の続き。 λ = xα - yβ = ax + (b - √D)y/2 ε = (t + u√D)/2
だから
ελ = ((t + u√D)/2)(ax + (b - √D)y/2)) = ax(t + u√D)/2 + ((tb - uD)y + y(bu - t)√D)/4 = (2axt + (tb - uD)y)/4 + (2axu + y(bu - t))√D/4
これが ax' + (b - √D)y'/2 となるべきだから、 y' = -axu + y(t - bu)/2 とおく。
(b - √D)y'/2 = -abux/2 + by(t - bu)/4 + axu√D/2 - y(t - bu)√D/4 = -abux/2 + by(t - bu)/4 + (2axu + y(bu - t))√D/4
よって ax' + (b - √D)y'/2 = ax' - abux/2 + by(t - bu)/4 + (2axu + y(bu - t))√D/4 = (2axt + (tb - uD)y)/4 + (2axu + y(bu - t))√D/4
よって ax' - abux/2 + by(t - bu)/4 = (2axt + (tb - uD)y)/4
よって ax' = (2axt + (tb - uD)y)/4 + abux/2 + by(bu - t)/4 = axt/2 + abux/2 + (b^2yu - uDy)/4 = axt/2 + abux/2 + (b^2 - D)uy/4 = axt/2 + abux/2 + 4acuy/4 = axt/2 + abux/2 + acuy = a((t + bu)x/2 + cuy)
8 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/26(木) 01:26:54
>>7 の続き。
よって x' = (t + bu)x/2 + cuy y' = -aux + y(t - bu)/2
行列 T = ((t + bu)/2, cu)/(-au, (t - bu)/2) とおくと、 (x', y')^ = T(x, y)^ となる。 ここで、記号 ^ は転置を表す。
過去スレ5の412より φ(t, -u) = T である。
U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) } とおくと、
T ∈ U(f) である。
φ(t, -u) = T より T は ε = (t + u√D)/2 の共役 ε' = (t - u√D)/2 に対応する。
9 :132人目の素数さん:2007/07/26(木) 16:17:02
またこのスレか。TeXでも数式ワープロでもいいからpdf にしてくれ。
10 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/27(金) 11:47:28
補題 C > 0, ε > 1 を実数とする。
C ≦ ε^n < εC となる有理整数 n が一意に存在する。
証明 C ≦ ε^n < εC とする。
対数関数 log(x) は単調増加だから、この不等式は log(C) ≦ n log(ε) < log(ε) + log(C) と同値である。
これを書き直すと、 (n-1)log(ε) < log(C) ≦ n log(ε)
log(ε) > 0 だから (n-1) < log(C)/log(ε) ≦ n
このような有理整数 n は一意に存在する。 証明終
11 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/27(金) 14:39:37
D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a > 0 とする。
R を実2次体 Q(√D) の判別式 D の整環とする。 R = [1, (D + √D)/2] である(過去スレ4の585)。
ax^2 + bxy + cy^2 は原始的だから、過去スレ4の592より I = [a, (-b + √D)/2] は R の可逆イデアルである。
>>5 より f(x, y) = N(ax + (b - √D)y/2)/N(I) である。
N(I) = a だから af(x, y) = (ax + (b - √D)y/2)(ax + (b + √D)y/2)
m > 0 を有理整数で m = f(x, y) となる (x, y) ∈ Z^2 が あるとする。
am = (ax + (b - √D)y/2)(ax + (b + √D)y/2)
A = ax + (b - √D)y/2 とおく。 A の共役 A' は A' = ax + (b + √D)y/2
(続く)
12 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/27(金) 14:43:51
E を R の単数で N(E) = 1 とする。
>>6 より AE は ax' + (b - √D)y'/2 と書ける。
B = ax' + (b - √D)y'/2 とおく。 即ち、B = AE 両辺の共役をとって B' = A'E'
E' = 1/E だから B'/B = (A'/A)E^(-2)
ε を R の単数で N(ε) = 1 かつ ε > 1 となる最小のものとする。 E = ±ε^n と書ける。
よって E^(-2) = ε^(2n) と書ける。
am = AA' > 0 だから A'/A > 0
C = A/A' とおけば >>10 より C ≦ ε^(2n) < (ε^2)C
即ち 1 ≦ (A'/A)ε^(2n) < ε^2 となる有理整数 n が一意に存在する。
13 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/27(金) 15:37:47
>>12 の続き。
A = ax + (b - √D)y/2 A' = ax + (b + √D)y/
B = ax' + (b - √D)y'/2 B' = ax' + (b - √D)y'/2 であった。
B'/B = A'/A とする。 即ち、B'/A' = B/A
よって B/A = t は実数である。 B = At N(B) = N(At) = N(A)t^2
一方 N(B) = N(A) だから t^2 = 1 よって t = ±1 である。 即ち B = ±A
このことと、>>12 から
集合 S(m, f) = { (x, y) ∈ Z^2 ; m = f(x, y) } を
群 U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) }
で類別した集合 S(m, f)/U(f) の代表系として
次の条件を満たす (x, y) の集合が取れる。
1) (x, y) ∈ S(m, f) 2) ax + (b - √D)y/2 > 0 3) 1 ≦ (ax + (b + √D)y/2)(ax + (b - √D)y/2) < ε^2
14 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/27(金) 15:41:27
訂正
>>13 >B' = ax' + (b - √D)y'/2 >であった。
B' = ax' + (b + √D)y'/2 であった。
15 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 10:36:56
訂正
>>13 >3) 1 ≦ (ax + (b + √D)y/2)(ax + (b - √D)y/2) < ε^2
3) 1 ≦ (ax + (b + √D)y/2)/(ax + (b - √D)y/2) < ε^2
16 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 10:55:13
D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的な2次形式で a > 0 とする。 さらに、a は 2D と素とする。
s を実変数として級数 G(s, f) Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで (x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
ここで
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) }
>>13 より S(f)/U(f) の代表系として以下の条件をみたす (x, y) の 集合 R(f) が取れる。
1) (x, y) ∈ S(f) 2) ax + (b - √D)y/2 > 0 3) 1 ≦ (ax + (b + √D)y/2)/(ax + (b - √D)y/2) < ε^2
af(x, y) = (ax + (b + √D)y/2)(ax + (b - √D)y/2) だから 3) から af(x, y) > 0 となる。 a > 0 だから f(x, y) > 0 である。 従って、1) は次の条件 1') に変えてよい。
1') (x, y) ∈ Z^2 で f(x, y) は 2D と素
17 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 11:19:53
>>16 の続き。
D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = D/2 D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2D とおく。
(α, γ) ∈ { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 }
に対して、級数 G(s, f, α, γ) = Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで (x, y) = (Δv + α, Δw + γ) で (v, w) ∈ Z^2 であり、
さらに、以下の条件を満たす。
ax + (b - √D)y/2 > 0
1 ≦ (ax + (b + √D)y/2)/(ax + (b - √D)y/2) < ε^2
過去レス5の849 より G(s, f) = ΣG(s, f, α, γ) である。
ここで右辺の和の (α, γ) は
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は Δ と素 } の元全体
を動く。
過去レス5の849は D の符号に無関係に成り立つことは明らかである。
過去レス5の796 により s → 1+0 のときの
lim (s - 1) G(s, f, α, γ) は t → ∞ のときの lim T/t に等しい。
ここで
T は集合 { (x, y) ∈ Z^2 ; x ≡ α (mod Δ), y ≡ γ (mod Δ),
f(x, y) ≦ t,
ax + (b - √D)y/2 > 0,
1 ≦ (ax + (b + √D)y/2)/(ax + (b - √D)y/2) < ε^2 }
の元の個数である。
ε は R の単数で N(ε) = 1 かつ ε > 1 となる最小のものである。 R は2次体 Q(√D) の判別式 D の整環である。
18 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 11:40:37
>>17 の続き。
ax^2 + bxy + cy^2 ≦ t は a(x/√t)^2 + b(x/√t)(y/√t) + c(y/√t)^2 ≦ 1 と同値である。
ξ = x/√t η = y/√t とおくと
ξ = (Δ/√t)v + α/√t η = (Δ/√t)w + γ/√t
(v, w) が Z^2 の元を動くと (ξ, η) は幅が h = Δ/√t の格子点 全体を動く。
よって T は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ 1 となる格子点 (ξ, η) で、 aξ + (b - √D)η/2 > 0, 1 ≦ (aξ + (b + √D)η/2)/(aξ + (b - √D)η/2) < ε^2 } をみたすものの個数である。
19 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 11:49:51
>>18 の続き。
aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ 1 aξ + (b - √D)η/2 > 0 1 ≦ (aξ + (b + √D)η/2)/(aξ + (b - √D)η/2) < ε^2
で定義される (ξ, η) 平面の領域の面積を B とする。
t → ∞ のとき、従って h = Δ/√t → 0 のとき (h^2)T → B である。 (h^2)T = Δ^2/t だから t → ∞ のとき lim T/t = B/Δ^2
よって lim T/t を求めるには B を計算すればよい。
20 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 11:55:30
>>19 の続き。
(√a)X = aξ + (b - √D)η/2 (√a)Y = aξ + (b + √D)η/2 とおく。
この変換の行列式は (a(b + √D)/2 - a(b - √D)/2)/(√a)^2 = a√D/a = √D である。
(√a)X(√a)Y = aXY = a(aξ^2 + bξη + cη^2) ≦ a
よって 0 < XY ≦ 1
さらに、 aξ + (b - √D)η/2 > 0, 1 ≦ (aξ + (b + √D)η/2)/(aξ + (b - √D)η/2) < ε^2 } から
X > 0 1 < Y/X ≦ ε^2
よって 0 < XY ≦ 1 X > 0 1 < Y/X ≦ ε^2 で定義される (X, Y) 平面の領域の面積を C とすると、 C = (√D)B である。
21 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 14:38:21
>>20 の続き。
X = r cos(θ) Y = r sin(θ) と極座標で表す。
これの Jacobi 行列式は r である。 よって
C = ∫∫rdrdθ = ∫(∫rdr)dθ = ∫(r^2)/2 dθ
右辺の r は双曲線 XY = 1 の上にある。 この r を θ で表してみよう。
直線 Y = tan(θ)X と 双曲線 XY = 1 の交点 (X, Y) の r を求める。 tan(θ)X = 1/X より X^2 = 1/tan(θ) Y^2 = 1/X^2 だから r^2 = X^2 + Y^2 = tan(θ) + 1/tan(θ)
よって C = ∫(r^2)/2 dθ = (1/2)∫(tan(θ) + 1/tan(θ)) dθ
x = tan(θ) とおく。 dx = (1 + tan^2(θ))dθ よって C = (1/2)∫(x + 1/x)/(1 + x^2) dx = (1/2)∫(1/x)dx この積分の範囲は [1, ε^2] である。
よって C = log(ε) である。 よって B = log(ε)/√D である。
22 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 15:08:09
>>21 の続き。
>>19 より t → ∞ のとき lim T/t = B/Δ^2 よって t → ∞ のとき lim T/t = log(ε)/(Δ^2)√D
>>17 より s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f, α, γ) = log(ε)/(Δ^2)√D
G(s, f) = ΣG(s, f, α, γ) だから
s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f) = N(Δ)log(ε)/(Δ^2)√|D|
である。
ここで N(Δ) は集合 { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 }
の元の個数である。
N(Δ) の値は過去スレの839, 844, 845 で求めてある。 即ち D ≡ 0 (mod 4) のとき N(Δ) = Δφ(Δ) D ≡ 1 (mod 8) のとき N(Δ) = (Δ/2)φ(Δ/2) = (Δ/2)φ(Δ) D ≡ 5 (mod 8) のとき N(Δ/2) = (3/2)Δφ(Δ/2) = (3/2)Δφ(Δ)
過去スレの917と同様に hN(Δ)log(ε)/(Δ^2)√|D| = lim (s - 1)(Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
右辺の各和の n は D と素な正の奇数全体を動く。 ここで h = |C(D)| = |F_0(D)/SL_2(Z)| である。 F_0(D) は判別式 D の原始的な2次形式の集合である。
23 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/28(土) 15:25:33
>>22 の続き。
hN(Δ)log(ε)/(Δ^2)√|D| = lim (s - 1)(Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s) この右辺の極限は過去スレと同様に求まる。
即ち、過去スレの920 より lim (s - 1)(Σ1/n^s) = φ(Δ)/Δ である。
過去スレの973 より D ≡ 0 (mod 4) のとき lim(s → 1) Σ(D/n)/n^s = L(1, χ)
D ≡ 1 (mod 8) のとき lim(s → 1) Σ(D/n)/n^s = (1/2)L(1, χ)
D ≡ 5 (mod 8) のとき lim(s → 1) Σ(D/n)/n^s = (3/2)L(1, χ)
よって、いずれの場合も h = (√D/log(ε))L(1, χ)
24 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:29:42
L(1, χ) を計算する前に、過去スレで証明をしていなかった級数に 関する命題の証明を行う。
まず級数論の基本事項を復習する。
25 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:30:51
定義(Bourbaki) G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 R^r は実数体上の r 次元数ベクトル空間であり、 C^r は複素数上の r 次元数ベクトル空間である。
x ∈ G のとき |x| は x のノルム即ち、 x = (x_1, . . , x_r) のとき |x| = (|x_1|^2 + . . . + |x_r|^2)^(1/2) とする。
I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
G のある元 S が存在して、 任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |S - S(J)| < ε となるとき、族 (x_i) は総和可能といい、 S をその和と呼ぶ。 このとき S = Σx_i と書く。
26 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:32:09
命題 I を高々可算な集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。
族 (x_i) が総和可能なら、その和は一意に決まる。
証明 S と T が族 (x_i) の和とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |S - S(J)| < ε となる。
同様に J_1 ∈ Φ(I) があり、 J_1 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |T - S(J)| < ε となる。
J = J_0 ∪ J_1 とすれば |S - S(J)| < ε かつ |T - S(J)| < ε となる。
|S - T| = |S - S(J) + S(J) - T| ≦ |S - S(J)| + |S(J) - T| ≦ ε + ε = 2ε
ε> 0 はいくらでも小さく出来るから S = T である。 証明終
27 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:32:42
注意 I が有限集合のとき 族 (x_i) は常に総和可能であり、 その和は通常の有限和に等しい。
28 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:36:38
命題 I を高々可算な集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。 K を集合として、φ : K → I を同型、即ち全単射とする。 族 (x_i) が総和可能(>>25) なら 族 (x_φ(k))) も総和可能であり、 Σx_i = Σx_φ(k) となる。
証明 S = Σx_i とする。 I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
同様に K の有限部分集合全体の集合を Φ(K) とする。 H ∈ Φ(K) に対して T(H) = Σx_φ(k) とおく。 ここで右辺の和の k は H の元全体を動く。 H が空集合のときは T(H) = 0 とする。 T(H) = S(φ(H)) である。
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |S - S(J)| < ε となる。
H_0 = φ^(-1)(J_0) H = φ^(-1)(J) とおく。 J_0 ⊂ J だから H_0 ⊂ H である。 φ は全単射だから J = φ(H) である。 よって |S - S(φ(H))| < ε 即ち、|S - T(H)| < ε これは S = Σx_φ(k) を意味する。 証明終
29 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:41:21
命題 I を高々可算な集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら |S(K)| < ε となる。
証明 任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |S - S(J)| < ε/2 となる。
K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合とする。
J_0 ⊂ J_0 ∪ K だから |S - S(J_0 ∪ K)| < ε/2 となる。
J_0 ∩ K は空集合だから S(J_0 ∪ K) = S(J_0) + S(K) よって |S(K)| = |S(J_0 ∪ K) - S(J_0)| = |S(J_0 ∪ K) - S + S - S(J_0)| = |S(J_0 ∪ K) - S| + |S - S(J_0)| < ε/2 + ε/2 = ε 証明終
30 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:42:14
命題 I を可算無限集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 i ∈ I - J_0 なら |x_i| < ε となる。
証明 >>29 より明らかである。
31 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 17:42:56
X を集合とする。 X の有限部分集合全体の集合を Φ(X) とする。 Φ(X) の元の列 (F_n), n ≧ 0 は次の条件を満たすとき X の F-近似列という。
1) F_0 ⊂ F_1 ⊂ . . . ⊂ F_n ⊂ F_(n+1) ⊂ . . .
2) 任意の F ∈ Φ(X) に対して F ⊂ F_n となる n がある。
32 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 18:01:56
>>31 の定義は杉浦の解析入門Iから拝借した。
33 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 18:08:53
補題 I を高々可算な集合とする。 I の F-近似列(>>31)が存在する。
証明 I が有限集合のときは任意の n に対して F_n = I とすれば (F_n) は I の F-近似列である。
よって I は可算無限集合と仮定してよい。
Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。
I は可算無限集合だから同型 ψ : Z+ → I が存在する。
n ∈ Z+ のとき J_n = {0, 1, . . . , n} とおく。
F_n = ψ(J_n) とすとする。
F_0 ⊂ F_1 ⊂ . . . ⊂ F_n ⊂ F_(n+1) ⊂ . . . は明らかである。
任意の F ∈ Φ(I) に対して J = ψ^(-1)(F) とする。 J は有限集合だから J ⊂ J_n となる n ∈ Z+ がある。 ψ(J) ⊂ ψ(J_n) である。 即ち F ⊂ F_n である。 証明終
34 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 18:13:41
命題(Cauchy の総和可能判定条件) I を高々可算な集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら |S(K)| < ε となるとする。
このとき、族 (x_i) は総和可能(>>25)である。
証明 >>33 より I の F-近似列 (F_n) が存在する。 任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(X) で J_0 ∩ K が空集合なら |S(K)| < ε/2 とする。
J_0 ⊂ F_m となる m ≧ 0 がある。 n ≧ m なら (F_n - F_m) ∩ J_0 は空集合だから |S(F_n - F_m)| < ε/2 である。
F_n = F_m ∪ F_n - F_m で F_m と F_n - F_m は交わらないから S(F_n) = S(F_m) + S(F_n - F_m) 即ち S(F_n - F_m) = S(F_n) - S(F_m) である。 よって |S(F_n) - S(F_m)| < ε/2 である。
(続く)
35 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/30(月) 18:14:31
同様に n' ≧ m なら |S(F_n') - S(F_m)| < ε/2 である。 よって |S(F_n) - S(F_n')| = |S(F_n) - S(F_m) + S(F_m) - S(F_n')| = |S(F_n) - S(F_m)| + |S(F_m) - S(F_n')| < ε/2 + ε/2 = ε
よって (S(F_n)) は Cauchy 列である。 よって S = lim S(F_n) が存在する。
即ち、任意の ε> 0 に対して k ≧ 0 があり、 n ≧ k のとき |S - S(F_n)| < ε である。
仮定より J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(X) で J_0 ∩ K が空集合なら |S(K)| < ε となる。
(F_n) は I の F-近似列だから J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して J ⊂ F_n となる n がある。 n はいくらでも大きくできるから n ≧ k としてよい。
J_0 と (F_n - J) は交わらないから S(F_n - J) < ε である。
S(F_n) = S(J) + S(F_n - J) よって S(F_n) - S(J) = S(F_n - J)
|S - S(J)| = |S - S(F_n) + S(F_n) - S(J)| = |S - S(F_n)| + |S(F_n - J)| < ε + ε = 2ε よって 族 (x_i) は総和可能である。 証明終
36 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 04:10:00
15
37 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 04:11:00
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38 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 04:12:00
13
39 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 04:13:00
12
40 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 04:14:00
11
41 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 04:15:00
10
42 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 08:08:48
命題 I を高々可算な集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。
H を I の任意の部分集合とする。 H を添字集合とする部分族 (x_i), i ∈ H は総和可能である。
証明 >>29 より族 (x_i), i ∈ I は Cauchy の総和可能判定条件を満たす。 即ち、任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら |S(K)| < ε となる。
L ∈ Φ(H) で (J_0 ∩ H) ∩ L = J_0 ∩ L が空集合なら |S(L)| < ε となる。 即ち、部分族 (x_i), i ∈ H もCauchy の総和可能判定条件を満たす。 従って、>>34 より (x_i), i ∈ H は総和可能である。 証明終
43 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 08:56:14
命題 I を高々可算な集合とする。 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。 S = Σx_i をその和とする。
(I_λ), λ ∈ L を I の任意の分割とする。 即ち I = ∪I_λ, λ ∈ L で λ ≠ μ なら I_λ ∩ I_μ は空集合 である。
>>42 より部分族 (x_i), i ∈ I_λ は総和可能である。 この和を S_λ とする。
族 (S_λ), λ ∈ L は総和可能で、その和 ΣS_λ は S = Σx_i に 等しい。
証明 I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
L の有限部分集合全体の集合を Φ(L) とする。 K ∈ Φ(L) に対して T(K) = ΣS_λ とおく。 ここで右辺の和の λ は K の元全体を動く。 K が空集合のときは T(K) = 0 とする。
(続く)
44 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 08:57:28
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |S - S(J)| < ε となる。
K_0 = {λ ∈ L ; J_λ = I_λ ∩ J_0 が空でない } とおく。
K を L の有限部分集合で K_0 ⊂ K とする。 |S - T(K)| < ε を示せばよい。
任意の δ> 0 に対して 各 λ ∈ K に対して J_λ ⊂ H_λ ⊂ I_λ となる有限部分集合 H_λ が存在して |S_λ - T(H_λ)| < δ となる。
J = ∪H_λ, λ ∈ K とおく。J は I の有限部分集合で J_0 を含む。
S(J) = ΣT(H_λ), λ ∈ K である。
|S - T(K)| = |S - ΣS_λ| = |S - Σ(S_λ - T(H_λ)) - ΣT(H_λ)| = |S - S(J) - Σ(S_λ - T(H_λ))| < ε + nδ
n は K の元の個数である。 δ> 0 はいくらで小さく出来るから |S - T(K)| ≦ ε となる。 証明終
45 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 09:31:12
定義 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の Z+ を添字集合とする点列とする。
S_n = x_0 + x_1 + . . . + x_n とおく。
点列 (S_n) が収束するとき S = lim S_n を点列 (x_n) が定める級数の 和といい、 S = Σx_n と書く。
これは (x_n) が総和可能なときの和の記号と同じで紛らわしいので Bourbaki は Σ の代わりに太字の S を使っている。 しかし、このスレでは従来通りの記号を使うことにする。
46 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 09:47:49
命題 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の Z+ を添字集合とする点列とする。
(x_n) が総和可能で、その和を S とする。 このとき (x_n) が定める級数も収束し S = Σx_n である。
証明 >>25 の記号を使う。
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(Z+) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(Z+) に対して |S - S(J)| < ε となる。
J_0 に含まれる元の最大値を n_0 とする。
n ∈ Z+ のとき I_n = {0, 1, . . . ,n} とする。
S(I_n) = x_0 + x_1 + . . . + x_n である。
n ≧ n_0 なら J_0 ⊂ I_n だから |S - S(I_n)| < ε となる。
これは級数 Σx_n が収束し S = Σx_n であることを示している。 証明終
47 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 09:53:40
G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の Z+ を添字集合とする点列とする。 (x_n) は総和可能でその和を S とする。
σ : Z+ → Z+ を全単射とする。
>>28 より点列 (x_σ(n)) も総和可能で、その和は S になる。
しかし、点列 (x_n) が定める級数が収束しても点列 (x_σ(n)) が 定める級数が収束するとは限らない。
48 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 10:23:37
命題 G を R^r または C^r とする(r ≧ 1)。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の Z+ を添字集合とする点列とする。
任意の全単射 σ : Z+ → Z+ に対して点列 (x_σ(n)) が定める級数が 収束するなら点列 (x_n) は総和可能である。
このとき S を点列 (x_n) の和とすれば、任意の σ に対して S = Σ(x_σ(n)) となる。
証明 点列 (x_n) が総和可能でないとして矛盾を導く。 点列 (x_n) は Cauchy の総和可能判定条件(>>34) を満たさない。
従って、ある ε > 0 があり 任意の J ∈ Φ(Z+) に対して H ∈ Φ(Z+) で J ∩ _H が空集合となり |S(H)| ≧ ε となるものがある。
(続く)
49 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 10:25:05
まず最初に J として空集合を取れば H_0 ∈ Φ(Z+) で |S(H_0)| ≧ ε となるものがある。
次に J = H_0 として H_0 と交わらない H_1 で |S(H_1)| ≧ ε となるものがある。
次に J = H_0 ∪ H_1 として H_0 ∪ H_1 と交わらない H_2 で |S(H_2)| ≧ ε となるものがある。
これを続けると(厳密には数学的帰納法により)
Z+の有限部分集合の族 (H_n), n ∈ Z+ で以下の条件を満たすものが 存在する。
1) n ≠ m なら H_n と H_m は交わらない。 2) Z+ = ∪(H_n), n ∈ Z+ 3) 任意の n ∈ Z+ に対して |S(H_n)| ≧ ε
点列 (x_n) を添字 n が H_0, H_1, . . . に現れる順に並べ変えた ものを (x_σ(n)) とする。
点列 (x_σ(n)) が定める級数は条件 3) より Cauchy の収束判定条件を 満たさない。 よって (x_σ(n)) が定める級数は収束しない。 これは仮定に反する。
(x_n) が総和可能なとき、任意の全単射 σ : Z+ → Z+ に対して S = Σ(x_σ(n)) となることは >>46 と >>47 より明らかである。 証明終
50 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 11:21:39
命題 F を実数体 R または複素数体 C とする。 G を F 上の r 次元数ベクトル空間 F^r とする(r ≧ 1)。 各 i, 1 ≦ i ≦ r に対して pr_i : G → F を i 番目の射影写像とする。 即ち x = (x_1, . . . , x_r) を G の元としたとき、 pr_i(x) = x_i である。
L を高々可算な集合とする。 (x_λ), λ ∈ L を G の元の L を添字集合とする族とする。 (x_λ) が総和可能であるためには各 i に対して F の元の族 (pr_i(x_λ)), λ ∈ L が総和可能であることが必要十分である。
このとき S = (S_1, . . ., S_r) である。 ここで S は族 (x_λ)), λ ∈ L の和であり、 各 S_i は族 (pr_i(x_λ)), λ ∈ L の和である。
証明 (x_λ) が総和可能であるとする。
L の有限部分集合全体の集合を Φ(L) とする。 J ∈ Φ(L) に対して S(J) = Σx_λ とおく。 ここで右辺の和の λ は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
各 i, 1 ≦ i ≦ r と J ∈ Φ(L) に対して S_i(J) = Σpr_i(x_λ) とおく。ここで右辺の和の λ は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S_i(J) = 0 とする。
(続く)
51 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 11:26:09
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(L) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(L) に対して |S - S(J)| < ε となる。
x ∈ G のとき |pr_i(x)| ≦ |x| である。 よって |pr_i(S) - pr_i(S(J))| ≦ |S - S(J)| < ε となる。
一方 pr_i(S(J)) = S_i(J) である。 よって族 (pr_i(x_λ)), λ ∈ L は総和可能で、その和は pr_i(S) である。 S_i = pr_i(S) だから S = (S_1, . . ., S_r) である。
逆に各 i, 1 ≦ i ≦ r に対して族 (pr_i(x_λ)), λ ∈ L が 総和可能で、S_i をその和とする。
任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(L) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(L) に対して |S_i - S_i(J)| < ε となる。 この J_0 は各 i に対して共通に取れる。
pr_i(S(J)) = S_i(J) だから |S_i - pr_i(S(J))| < ε となる。
x ∈ G のとき |x| ≦ |pr_1(x)| + . . . + |pr_r(x)| である。
よって S = (S_1, . . ., S_r) とおくと、 |S - S(J)| ≦ Σ|S_i - pr_i(S(J))| < rε となる。
よって (x_λ), λ ∈ L は総和可能で、その和は S である。 証明終
52 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 12:08:37
命題 R+ を非負実数全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R+ の元の族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
集合 { S(J) ; J ∈ Φ(I) } が有界なら
族 (x_i) は総和可能(>>25)であり、
Σx_i = sup{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } である。
証明
S = sup{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } とおく。
任意の ε> 0 に対して S - ε < S(J_0) ≦ S となる J_0 ∈ Φ(I) がある。
J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して S - ε < S(J_0) ≦ S(J) ≦ S である。 よって |S - S(J)| < ε となる よって、族 (x_i) は総和可能であり、その和は S である。 証明終
53 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 12:45:07
命題 R+ を非負実数全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R+ の元の族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。
(F_n), n ∈ Z+ を I の F-近似列(>>31) とする。
数列 (S(F_n)) が有界なら、族 (x_i) は総和可能(>>25)であり、
Σx_i = sup{ S(F_n) ; n ∈ Z+ } である。
証明
T = sup{ S(F_n) ; n ∈ Z+ }
S = sup{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } とする。
任意の J ∈ Φ(I) に対して J ⊂ F_n となる n ∈ Z+ がある。 S(J) ≦ S(F_n) ≦ T だから S ≦ T である。 任意の F_n に対して S(F_n) ≦ S だから T ≦ S である。 よって S = T である。 >>52 から族 (x_i) は総和可能であり、その和は T である。 証明終
54 :132人目の素数さん:2007/07/31(火) 13:01:33
スレ立て者に礼をいわないは馬鹿が書き込むスレはここか
55 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 13:08:14
命題 R+ を非負実数全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), (y_i), i ∈ I を I を添字集合とする R+ の元の二つの族と する。 各 i に対して x_i ≦ y_i とする。
(y_i) が総和可能なら (x_i) も総和可能で Σx_i ≦ Σy_i である。
x_k < y_k となる k ∈ I があれば Σx_i < Σy_i である。
証明 I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
同様に J ∈ Φ(I) に対して T(J) = Σy_i とおく。
任意の J ∈ Φ(I) に対して S(J) ≦ T(J) である。
よって sup{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } ≦ sup{ T(J) ; J ∈ Φ(I) } < ∞
即ち Σx_i ≦ Σy_i である。
x_k < y_k となる k ∈ I があるとする。
Σx_i = x_k + Σ'x_i である。
ここで Σ'x_i は I' = I - {k} に関する和である。
同様に Σy_i = y_k + Σ'y_i である。
x_k < y_k, Σ'x_i ≦ Σ'y_i だから x_k + Σ'x_i < y_k + Σ'y_i である。 証明終
