最終更新日時 2011年03月09日 (水) 22時08分06秒
代数的整数論 007 (301-375)
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301 :132人目の素数さん:2007/08/30(木) 15:09:25
>>281
すみません。質問、いいでしょうか?
>U×V の形の集合の有限個の共通部分全体は Y×Z の開集合の >基底である。 >従って、Y×Z の任意の開集合 W に対して h^(-1)(W) ∈ Φ である。
とありますが、Y×Z の任意の開集合 W は、U×V の形の開集合の 「一般には非可算個の」合併ですよね? だから、h^(-1)(W) も、h^(-1)(U×V) (∈ Φ )の形の集合の 非可算個の合併である可能性がありますね?
これが可算個の合併であれば、確かに h^(-1)(W) ∈ Φ となりますが、 非可算個の場合は、どうやって証明するのでしょう?
ひょっとしたら、私が何か見落としているのかもしれませんが、 宜しくお願いします。
302 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 16:13:25
>>301
確かにおかしいですね。 Y と Z はそれぞれ開集合の可算基底を持ってないと駄目ですね。 有難うございました。
R は開集合の可算基底を持ってるので、>>283 は成り立ちます。
303 :132人目の素数さん:2007/08/30(木) 16:15:27
>>302
やっぱりそうでしたか。 ご返答、ありがとうございました。
304 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 18:29:05
命題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とし、 f : X → [0, +∞] を可測関数とする。
次の条件を見たす可測で有限な単関数(>>298) f_n が存在する。
1) 0 ≦ f_1 ≦ f_2 ≦ . . . ≦ f 2) 任意の x ∈ X において、n → ∞ のとき f_n(x) → f(x)
証明 任意の整数 n > 0 に対して、 区間 [0, n) を 1/2^n 等分する。 即ち、 [0, n) = ∪[k/2^n, (k+1)/2^n), k = 0, 1, ..., (2^n)n - 1
f_n : X → [0, +∞) を次のように定義する。
f(x) ∈ [k/2^n, (k+1)/2^n) ⊂ [0, n) のとき f_n(x) = k/2^n f(x) ∈ [n, +∞] のとき f_n(x) = n
f_n は単関数であり、>>300 より可測である。
[0, n+1) の分割は [0, n) の分割の細分になっている。 従って、f_n ≦ f_(n+1) である。
f(x) = +∞ のとき、任意の n で f_n(x) = +∞ だから n → ∞ のとき f_n(x) → +∞
f(x) < +∞ のとき、 f(x) < n となる限り |f(x) - f_n(x)| ≦ 1/2^n である。 よって、n → ∞ のとき f_n(x) → f(x) 証明終
305 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 18:51:42
定義 X を集合とし、f : X → [-∞, +∞] を任意の写像とする。
f^(+) = sup{f, 0}
f^(-) = sup{-f, 0}
と書く。
f = f^(+) - f^(-) |f| = f^(+) + f^(-) である。
(X, Φ) が可測空間(>>211)で、f が可測(>>213)なら、 >>295 より、f^(+) と f^(-) も可測である。
306 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 20:01:24
補題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とする。 f を X 上の単関数(>>298)とする。
α ≠ 0 を(有限)実数とする。 f が可測なら、αf も可測な単関数である。
証明 >>277 より αf は可測である。
αf が単関数であることは明らかである。 証明終
307 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 20:17:27
命題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とする。 f と g を X 上の可測で有限な単関数(>>298)とする。 f + g も可測で有限な単関数である。
証明
f(X) - {0} = {a_1, . . . , a_n}
g(X) - {0} = {b_1, . . . , b_m} とする。
A_i = {x ; f(x) = a_i}, 1 ≦ i ≦ n
B_j = {x ; g(x) = b_j}, 1 ≦ j ≦ m とおく。
>>300 より、 A_i ∈ Φ, B_j ∈ Φ である。 A = ∪A_i, B = ∪B_j とおく。
A ∪ B = (A - B) ∪ (A ∩ B) ∪ (B - A) これは、A ∪ B の直和分割である。
x ∈ X - (A ∪ B) のとき f(x) = g(x) = 0 であり、f(x) + g(x) = 0
x ∈ A - B のとき x ∈ A_i となる i が唯一つ存在し、 f(x) = a_i, g(x) = 0 である。よって、f(x) + g(x) = a_i
x ∈ B - A のとき x ∈ B_j となる j が唯一つ存在し、 f(x) = 0, g(x) = b_j である。よって、f(x) + g(x) = b_j
x ∈ A ∩ B のとき x ∈ A_i となる i が唯一つ存在し、 x ∈ B_j となる j が唯一つ存在する。 f(x) = a_i, g(x) = b_j である。 よって、f(x) + g(x) = a_i + b_j 以上から f + g は可測で有限な単関数である。 証明終
308 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 20:31:26
命題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とし、 f : X → [0, +∞] を可測関数とする。
可測で有限な単関数(>>298) の列 (f_n) が存在し、 任意の x ∈ X において、n → ∞ のとき f_n(x) → f(x)
証明 >>305 より、f = f^(+) - f^(-) である。
f^(+) ≧ 0, f^(-) ≧ 0 だから >>304 より、可測で有限な単関数(>>298) の列 (g_n) と (h_n) が 存在し、
任意の x ∈ X において、 n → ∞ のとき g_n(x) → f^(+) n → ∞ のとき h_n(x) → f^(-) となる。 よって、n → ∞ のとき g_n(x) - h_n(x) → f^(+) - f^(-) である。
>>306 より、-h_n(x) は可測で有限な単関数である。 よって、>307 より、g_n(x) - h_n(x) も可測で有限な単関数である。
f_n(x) = g_n(x) - h_n(x) が求めるものである。 証明終
309 :132人目の素数さん:2007/08/30(木) 20:40:26
>>308
たびたびすみません。 f : X → [0, +∞] だから、f = f^(+) ではないですか? おそらく、仮定は f : X → [-∞, +∞] ではないかと思われます。
310 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 20:45:11
命題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とし、 f と g を X から(有限)数直線 R = (-∞, +∞) への写像とする。
f と g が可測(>>213)なら、 f + g も可測である。
証明 >>308 より、可測で有限な単関数(>>298) の列 (f_n) と (g_n) が 存在し、任意の x ∈ X において、 n → ∞ のとき f_n(x) → f(x) n → ∞ のとき g_n(x) → g(x) となる。
よって、 n → ∞ のとき f_n(x) + g_n(x) → f(x) + g(x) である。
>>307 より、f_n(x) + g_n(x) は可測である。
f + g = lim sup(f_n + g_n) である(>>289)から >>295, >>296 より f + g は可測である。 証明終
311 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 20:47:06
>>309
その通りです。 有難うございました。
312 :132人目の素数さん:2007/08/30(木) 20:47:55
クンマー大好き 僕も代数がんばるぞ
313 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 20:53:29
>>310 は >>280 の拡張である。
しかし、証明方法はだいぶ違う(>>285 参照)。 この方法は、現代数学概説 II によった。
Halmos の Measure theory は >>310 を >>280 と同様の方法で 証明しているが、私はその証明がよく理解出来ない。
314 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 21:13:52
命題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とする。 f と g を X 上の可測で有限な単関数(>>298)とする。 fg も可測で有限な単関数である。
証明
f(X) - {0} = {a_1, . . . , a_n}
g(X) - {0} = {b_1, . . . , b_m} とする。
A_i = {x ; f(x) = a_i}, 1 ≦ i ≦ n
B_j = {x ; g(x) = b_j}, 1 ≦ j ≦ m とおく。
>>300 より、 A_i ∈ Φ, B_j ∈ Φ である。 A = ∪A_i, B = ∪B_j とおく。
A ∪ B = (A - B) ∪ (A ∩ B) ∪ (B - A) これは、A ∪ B の直和分割である。
x ∈ X - (A ∪ B) のとき f(x) = g(x) = 0 であり、f(x)g(x) = 0
x ∈ A - B のとき x ∈ A_i となる i が唯一つ存在し、 f(x) = a_i, g(x) = 0 である。よって、f(x)g(x) = 0
x ∈ B - A のとき x ∈ B_j となる j が唯一つ存在し、 f(x) = 0, g(x) = b_j である。よって、f(x)g(x) = 0j
x ∈ A ∩ B のとき x ∈ A_i となる i が唯一つ存在し、 x ∈ B_j となる j が唯一つ存在する。 f(x) = a_i, g(x) = b_j である。 よって、f(x)g(x) = (a_i)(b_j) 以上から fg は可測で有限な単関数である。 証明終
315 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 21:17:47
命題 (X, Φ) を可測空間(>>211)とし、 f と g を X から(有限)数直線 R = (-∞, +∞) への写像とする。
f と g が可測(>>213)なら、 fg も可測である。
証明 >>308 より、可測で有限な単関数(>>298) の列 (f_n) と (g_n) が 存在し、任意の x ∈ X において、 n → ∞ のとき f_n(x) → f(x) n → ∞ のとき g_n(x) → g(x) となる。
よって、 n → ∞ のとき f_n(x)g_n(x) → f(x)g(x) である。
>>314 より、(f_n)(g_n) は可測である。
fg = lim sup(f_n)(g_n) である(>>289)から >>295, >>296 より fg は可測である。 証明終
316 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 21:40:34
定義 (X, Φ) を可測空間(>>211)とする。
Φ から [0, +∞] への関数 μ が次の条件をみたすとき、 μ を (X, Φ) 上の測度または、Φ 上で定義された測度と言う。
1) φ を空集合としたとき、μ(φ) = 0
2) (A_n), n = 1, 2, ... を Φ の集合列で、 n ≠ m のとき 常に A_n と A_m は交わらないとする。 このとき μ(∪A_n) = Σμ(A_n)
317 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/30(木) 21:54:54
>>316 の 2) の性質を完全加法性または σ-加法性と言う。
測度の与えられた可測空間を測度空間と言う。
(X, Φ) を可測空間、μ をその上の測度としたとき、 この測度空間を (X, Φ, μ) で表すことがある。
318 :Kummer ◆p5Ne5aK0Lg :2007/08/31(金) 03:58:49
∩_∩ ( ・( ェ)・) < おやすみ Kummer ( O┬O ≡◎-ヽJ┴◎ キコキコ
319 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 04:23:38
測度の例
後で示すように有用な測度(例えば Lebesgue 測度)を構成するのは やや面倒である。
ここでは、簡単な例を挙げる。
1) 集合 X の任意の部分集合 E に対して E が無限集合なら μ(E) = ∞、有限集合ならその要素の個数を μ(E) とする。
2) 集合 X の任意の点 x_0 を固定する。 X の部分集合 E が x_0 を 含めば μ(E) = 1, x_0 を含まなければ μ(E) = 0 とする。
320 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 04:37:01
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
A_1, . . . , A_n ∈ Φ で i ≠ j のとき A_i ≠ A_j なら μ(A_1 ∪ . . . ∪ A_n) = μ(A_1) + . . . μ(A_n)
証明 >>316 の 2) において、A_(n+1) = A_(n+2) = . . . = 空集合 とすれば よい。
321 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 04:40:14
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
A, B ∈ Φ で A ⊂ B なら μ(A) ≦ μ(B)
証明 B = A ∪ (B - A) で A と B - A は交わらない。 >>320 より μ(B) = μ(A) + μ(B - A) μ(B - A) ≧ 0 だから μ(A) ≦ μ(B)
322 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 04:42:36
>>320
お邪魔します。
>i ≠ j のとき A_i ≠ A_j なら
とありますが、 i ≠ j のとき A_i と A_j が交わらない なら と訂正すべきでは?
323 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 04:57:18
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
(A_n), n = 1, 2, ... を Φ の集合列で、 A_1 ⊂ A_2 ⊂ . . . なら n → ∞ のとき μ(A_n) → μ(∪A_n)
証明 A = ∪A_n とおく。
A = A_1 ∪ (A_2 - A_1) ∪ (A_3 - A_2) ∪ . . . (直和分割) よって、μ(A) = μ(A_1) + μ(A_2 - A_1) + . . .
一方、n ≧ 2 のとき、 μ(A_n) = μ(A_1) + μ(A_2 - A_1) + . . . + μ(A_n - A_(n-1) よって、n → ∞ のとき μ(A_n) → μ(A) 証明終
324 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 04:58:17
>>322
有難うございます。 その通りです。
325 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 05:21:51
補題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
A, B ∈ Φ で A ⊃ B とする。 μ(A) < +∞ なら μ(A - B) = μ(A) - μ(B)
証明 A = B ∪ (A - B) と直和分割される。
>>320 より μ(A) = μ(B) + μ(A - B) である。 μ(A) < +∞ だから μ(A - B) = μ(A) - μ(B) である。 証明終
326 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 05:26:10
>>325 で μ(A) < +∞ の仮定は必要である。
μ(A) = μ(B) = +∞ なら μ(A) - μ(B) は定義されない。
327 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 05:40:52
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
(A_n), n = 1, 2, ... を Φ の集合列で、 A_1 ⊃ A_2 ⊃ . . . で、μ(A_1) < +∞ とする。
n → ∞ のとき μ(A_n) → μ(∩A_n)
証明 B_n = A_1 - A_n とおく。 B_1 ⊂ B_2 ⊂ . . . である。 >>323 より n → ∞ のとき μ(B_n) → μ(∪B_n)
μ(A_1) < +∞ だから >>325 より、 μ(B_n) = μ(A_1) - μ(A_n) である。
∪B_n = A_1 - ∩A_n で μ(A_1) < +∞ だから >>325 より、 μ(∪B_n) = μ(A_1) - μ(∩A_n)
よって、 μ(A_1) - μ(∩A_n) = lim (μ(A_1) - μ(A_n)) = μ(A_1) - lim μ(A_n)
よって、 μ(∩A_n) = lim μ(A_n) 証明終
328 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 07:02:37
定義 (X, Φ, μ) を測度空間(>>317)とする。
μ(A) = 0 となるような A ∈ Φ を(μ に関する)零集合と言う。
329 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 07:41:32
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
(A_n), n = 1, 2, ... を Φ の集合列とすると、
μ(∪A_n) ≦ Σμ(A_n)
である。
証明 B_1 = A_1 B_2 = A_2 - A_1 . . . B_n = A_n - (A_1 ∪ . . . ∪ A_(n-1)) とおく。
A = ∪A_n とおけば、 A = ∪B_n となり、これは A の直和分割である。
よって μ(A) = Σμ(B_n)
B_n ⊂ A_n だから >>321 より μ(B_n) ≦ μ(A_n) よって μ(A) ≦ Σμ(A_n) 証明終
330 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 07:45:51
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
μに関する零集合(>>328)全体は σ-集合環(>>197)である。
証明 μに関する零集合全体を Ψ とする。
空集合は Ψ に属すから Ψ は空ではない。
A_n ∈ Ψ, n =1 , 2, ... とする。 >>329 より、 μ(∪A_n) ≦ Σμ(A_n) = 0 よって、∪A_n ∈ Ψ である。
A, B ∈ Ψ なら >>321 より μ(A - B) ≦ μ(A) = 0 よって、A - B ∈ Ψ である。 証明終
331 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 08:26:43
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
A と B を X の(可測とは限らない)任意の集合とする。
A△B (>>191)がμに関する零集合(>>328)に含まれるとき
A ~ B (μ) または A ~ B と書く。 A ~ B (μ) は同値関係である。
証明 1) A ~ A は明らかである。
2) A ~ B なら B ~ A も明らかである。
3) A ~ B かつ B ~ C とする。 A ~ C を示せばよい。
A△B ⊂ N B△C ⊂ M となる零集合 N と M がある。 即ち、 (A - B) ∪ (B - A) ⊂ N (B - C) ∪ (C - B) ⊂ M
A - C ⊂ (A - B) ∪ (B - C) ⊂ N ∪ M C - A ⊂ (C - B) ∪ (B - A) ⊂ N ∪ M
よって、A△C = (A - C) ∪ (C - A) ⊂ N ∪ M >>330 より N ∪ M は零集合である。即ち、A ~ C 証明終
332 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 08:43:00
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。
X から R~ = [-∞, +∞] への(可測とは限らない)写像全体を F(X, R~) と書く。
f, g ∈ F(X, R~) で、{x ; f(x) ≠ g(x) } が零集合(>>328)に
含まれるとき、
f ~ g (μ) または f ~ g または f = g (a.e.) と書く。
f ~ g (μ) は同値関係である。
証明 1) f ~ f は明らかである。
2) f ~ g なら g ~ f も明らかである。
3) f ~ g かつ g ~ h とする。 f ~ h を示せばよい。
f(x) = g(x) かつ g(x) = h(x) なら f(x) = h(x) である。
よって、
{x ; f(x) ≠ h(x) } ⊂ {x ; f(x) ≠ g(x) } ∪ {x ; g(x) ≠ h(x) }
仮定より、
{x ; f(x) ≠ g(x) } ⊂ N
{x ; g(x) ≠ h(x) } ⊂ M
となる零集合 N と M がある。
よって、{x ; f(x) ≠ h(x) } ⊂ N ∪ M
>>330 より N ∪ M は零集合である。即ち、f ~ h
証明終
333 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 08:47:30
>>331
現代数学概説 II(岩波書店) では {x ; f(x) ≠ g(x) } が零集合のとき
f ~ g と定義しているが、これは間違いである。
何故なら f, g ∈ F(X, R~) のとき {x ; f(x) ≠ g(x) } は
可測とは限らないからである。
334 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 08:48:12
>>333
>>331 でなく >>332
335 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 09:49:28
>>333
Kummer さん、おはようございます。
質問、と言うか、確認です。
現代数学概説の定義:
> {x ; f(x) ≠ g(x) } が零集合のとき
が生きるのは、
測度空間 (X, Φ, μ) が完備であれば、(簡単のために X ∈ Φ とする)
よいわけですね?
ここでは「完備性」を仮定していないため、「零集合に含まれる」
と言う定義をするのですよね?
些細な点で恐縮ですが m(_ _)m
336 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 09:52:50
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とする。 X から R~ = [-∞, +∞] への(可測とは限らない)写像全体を F(X, R~) と書く。
f, g ∈ F(X, R~) のとき、f ~ g である(>>332)ためには、 [-∞, +∞] の任意の部分集合 S に対して f^(-1)(S) ~ g^(-1)(S) となる(>>331)ことが必要十分である。
証明
必要性。
f ~ g とする。
[-∞, +∞] の部分集合 S に対して
x ∈ f^(-1)(S)△g^(-1)(S) なら、 f(x) ≠ g(x) である。
よって、f^(-1)(S)△g^(-1)(S) ⊂ {x ; f(x) ≠ g(x) }
よって、f^(-1)(S) ~ g^(-1)(S)
(続く)
337 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 09:53:57
>>336 の続き。
十分性。 [-∞, +∞] の任意の部分集合 S に対して f^(-1)(S) ~ g^(-1)(S) とする。
r が全ての有理数を動くとき、
{x ; f(x) < g(x) } = ∪ {{x ; f(x) < r } ∩ {x ; r ≦ g(x) }
= ∪ ({{x ; f(x) < r } - {x ; g(x) < r })
⊂ ∪ ({{x ; f(x) < r } △ {x ; g(x) < r })
仮定から、
{{x ; f(x) < r } △ {x ; g(x) < r } ⊂ N_r となる零集合がある。
よって、
{x ; f(x) < g(x) } ⊂ ∪ N_r
>>330 より ∪ N_r は零集合である。
同様にして、{x ; f(x) > g(x) } も零集合に含まれる。
よって、
{x ; f(x) ≠ g(x) } = {x ; f(x) < g(x) } ∪ {x ; f(x) > g(x) }
も零集合に含まれる。
即ち、f ~ g である。
証明終。
338 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 09:59:08
>>335
(X, Φ, μ) が完備でも、 {x ; f(x) ≠ g(x) } は
可測とは限らないんで、f ~ g を、
{x ; f(x) ≠ g(x) } が零集合と定義するのはまずいんじゃないですかね?
339 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 10:02:36
>>335
あ、いいですね。
(X, Φ, μ) が完備なら、{x ; f(x) ≠ g(x) } が零集合に含まれる
のと、{x ; f(x) ≠ g(x) } が零集合であることは同値ですから。
340 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 10:10:34
>>335
もう分かってると思いますが、私は積分論には詳しくないんですいよ。 というか解析は詳しくないです。 だからと言って代数とか幾何に詳しいというわけでもないですが。
Haar 測度をこのスレで使うんで勉強を兼ねてやってるわけです。
341 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 10:14:05
>>339 , >>338
有難うございます。
342 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 10:18:05
>>340
そうでしたか。 すると、ここでの積分論は、Haar 測度を経由して、 本来の代数方面につながるわけですか?
Kummer さんが代数に詳しくない、と言うのは、 私などから見れば謙遜に思えますよ。
343 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 10:33:33
>>342 >すると、ここでの積分論は、Haar 測度を経由して、 >本来の代数方面につながるわけですか?
そうです。 p-進体 Q_p は過去スレ006の554から局所コンパクトなので Haar 測度が 入ります。
344 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 10:41:02
>>343
なるほど。ありがとうございます。
345 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 10:45:06
現代数学概説 II(岩波書店) では f ~ g で f が可測なら g も可測であるということを定理に 掲げているが、これも (X, Φ, μ) が完備でないと成り立たない ように思う。
346 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 10:51:28
>>345
はい。おっしゃるとおりです。
f, g が、X の部分集合の特性関数である場合を考えれば、 >f ~ g で f が可測なら g も可測である と言う条件は、 (X, Φ, μ) が完備であることと同値です。
347 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 10:53:35
>>345
(X, Φ, μ) が完備とは、任意の零集合のすべての部分集合が 零集合となることを言う。
測度空間の完備性については後で詳しくやる予定。
348 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 10:55:52
>>346
有難うございます。
349 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 12:13:39
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とし、 X から R~ = [-∞, +∞] への(可測とは限らない)写像全体を F(X, R~) と書く。
(f_n) と (g_n), n ≧ 0 を F(X, R~) に属す関数列とする。
各 n に対して f_n ~ g_n (>>332) なら sup(f_n) ~ sup(g_n) である。
証明 f = sup(f_n) g = sup(g_n) とおく。
{x; f(x) ≠ g(x)} ⊂ ∪{x; f_n(x) ≠ g_n(x)}
である。
各 {x; f_n(x) ≠ g_n(x)} は零集合に含まれるから >>330 より
{x; f(x) ≠ g(x)} も零集合に含まれる。
即ち、f ~ g である。
証明終
350 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 12:35:10
定義 測度空間 (X, Φ, μ) において X の部分集合 A と、 A の点に関するある命題 P が与えられたとする。
ある零集合 N ⊂ A があり、 A - N の各点 x で P が成り立つとき、 P は、ほとんど至る所(almost everywhere) A で成り立つという。
「ほとんど至る所」を a.e. と略す場合がある。
351 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 12:52:30
定義 (X, Φ, μ) を測度空間とし、 X から R~ = [-∞, +∞] への(可測とは限らない)写像全体を F(X, R~) と書く。
(f_n), n ≧ 0 を F(X, R~) に属す関数列とする。
(f_n) がほとんど至る所(>>350)収束するとき、(f_n) の極限関数 f = lim (f_n) を次のように定義する。
(f_n) が収束する点 x では f(x) = lim f_n(x) とし、 (f_n) が収束する点 x では f(x) = 0 とする。
352 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 13:15:48
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とし、 X から R~ = [-∞, +∞] への(可測とは限らない)写像全体を F(X, R~) と書く。 (f_n) と (g_n), n ≧ 0 を F(X, R~) に属す関数列とする。
各 n に対して f_n ~ g_n (>>332) で、 (f_n) がほとんど至る所(>>350)で収束するなら、 (g_n) もほとんど至る所で収束し、lim (f_n) ~ lim (g_n) となる。
証明 F = lim sup(f_n) G = lim sup(g_n) f = lim inf(f_n) g = lim inf(g_n) とおく。
>>349(及び同じように証明される inf に関する同様の命題) より F ~ G、f ~ g となる。
(f_n) は、ほとんど至る所で収束するから、 ほとんど至る所で F = f である。 即ち、F ~ f である。
>>332 より ~ は同値関係であるから、 G ~ g である。 即ち、(g_n) はほとんど至る所で収束する。
lim (f_n) ~ F で、lim (g_n) ~ G だから lim (f_n) ~ lim (g_n) である。 証明終
353 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 14:41:51
現代数学概説 II(岩波書店) では
(f_n), n ≧ 0 が可測関数列で、ほとんど至る所で収束するなら lim f_n (>>351)も可測であると書いてある(演習問題になっている)。
これはどうなんですかね? これも無条件では成り立たない様に思えるんですけど。 反例があるのかどうか分からないですが。
(X, Φ, μ) が完備なら、成り立つことは次のように分かります。
(f_n) が収束しない点の集合を N として、 N の各点で 0、N の外で f_n と一致する関数を g_n とすれば、 f_n ~ g_n なので、g_n は可測になる。 >>352 より lim (f_n) ~ lim (g_n) となる。 (g_n) は X の各点で収束するから可測である。 従って、lim (f_n) も可測になる。
354 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 14:45:30
訂正
>>353 >(g_n) は X の各点で収束するから可測である。
(g_n) は X の各点で収束するから、lim (g_n) も可測である。
355 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 15:04:30
命題 (X, Φ, μ) を測度空間とし、 X から有限数直線 R = (-∞, +∞) への(可測とは限らない)写像全体を F(X, R) と書く。
f_1, f_2, g_1, g_2 を F(X, R) の元とし、 f_1 ~ g_1, f_2 ~ g_2 とする。
このとき、
f_1 + f_2 ~ g_1 + g_2 (f_1)(f_2) ~ (g_1)(g_2)
である。
証明 零集合 N の外で f_1 = g_1 とし、 零集合 M の外で f_2 = g_2 とする。
零集合 N ∪ M の外で f_1 = g_1 かつ f_2 = g_2 である。
従って、N ∪ M の外で、 f_1 + f_2 = g_1 + g_2 (f_1)(f_2) = (g_1)(g_2) である。
よって、 f_1 + f_2 ~ g_1 + g_2 (f_1)(f_2) ~ (g_1)(g_2) である。 証明終
356 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 19:06:03
定義 (X, Φ) を可測空間とする。
E を X の(必ずしも可測でない)部分集合とする。
>>260 より Φ|E = { A ⊂ E; A ∈ Φ} は σ-集合環(>>197)である。
従って (E, Φ|E) は可測空間となる。
f を E を含むある集合 F から [-∞, +∞] への (必ずしも可測でない)写像とする。 f の定義域を E に制限した関数 f|E が (E, Φ|E) で可測であるとき、 f は E において可測であると言う。
357 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 19:15:10
命題 (X, Φ) を可測空間とする。 f を X から [-∞, +∞] への可測写像とする。
E ∈ Φ のとき f|E は、E において可測(>>356)である。
証明 f は可測(>>213)だから、[-∞, +∞] の任意の開集合 U に対して、 S(f) ∩ f^(-1)(U) ∈ Φ である >>273 より、E ∩ S(f) ∩ f^(-1)(U) ∈ Φ である よって、f|E は、E において可測である。 証明
358 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 19:35:47
命題 (X, Φ) を可測空間とする。 E を X の(必ずしも可測でない)部分集合とする。
f を E から [-∞, +∞] への写像とする。
g を X から [-∞, +∞] への写像で、E において f と一致し、 E の外で 0 となるものとする。
f が E において可測(>>356)であることと、 g が X において可測であることは同値である。
証明 S(g) ∩ g^(-1)(U) ⊂ S(g) ⊂ E S(f) = S(g) であるから、 S(g) ∩ g^(-1)(U) = S(f) ∩ f^(-1)(U) である。
よって、本命題の主張が得られる。 証明終
359 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 19:39:31
>>358 から E 上で可測な関数は常に X 上で可測な関数の制限と なっていることが分かる。
しかし、E が可測でない限り、この逆は言えない。
360 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 19:48:03
(X, Φ) を可測空間とする。 E を X の可測な部分集合とする。
E 上で可測な関数 f の積分 ∫[E] f dμをこれから定義する。
積分 ∫[E] f dμ は、∫f dμ とも ∫[E] f(x) dμ(x) とも ∫f(x) dμ(x) とも書く。
361 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 19:49:27
訂正
>>360 >(X, Φ) を可測空間とする。
(X, Φ, μ) を測度空間とする。
362 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 19:52:42
>>353
Kummer さん、こんばんは。 さて、貴兄の疑問ですが、少々注意を要します。
>(f_n), n ≧ 0 が可測関数列で、ほとんど至る所で収束するなら >lim f_n (>>351)も可測であると書いてある(演習問題になっている)。
とありますが、この主張の条件のもとでは、lim f_n (x) は、 すべての x ∈ X に対して存在するわけではないのです。 つまり、零集合 N ∈ Φ が存在して、x ∈ X - N に対してのみ、 lim f_n (x) が存在すると仮定されているのです。 一方で、x ∈ N に対しては、極限 lim f_n (x) の存在は、 保証されていないのです。
ですから、この記述の意味するところは、関数 g : X → R~ を、 g(x) = lim f_n (x) ; if x ∈ X - N g(x) = 0 ; if x ∈ N とおいたとき、g が可測になる、と言う意味だと思われます。 (完備性は、仮定しなくても良いです。 この g は、>>353 の lim g_n と同値です)
363 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 20:16:17
>>362
すみません。>>351 の定義を失念していました。 たしかに、 f_n (x) が収束しない点の全体を M とおくと、 M は可測でないかもしれません。 しかし、X ∈ Φ であれば、結論は肯定的です。
F(x) = limsup f_n (x),
H(x) = liminf f_n (x)
とおくと、f_n が可測だから、F, H も可測になります(>>296)。
したがって、M = { x ∈ X | F(x)>H(x) }
も可測になり、lim f_n (x) も可測になります(>>275)。
ここで完備性は使っていません。
364 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/31(金) 20:23:02
>>362
御回答、有難うございます。 しばらくこの件について考えさせてください。
365 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 20:23:59
>>363
たびたびスミマセン。補足です。
>>363 の M は、X ∈ Φ を仮定しなくても、可測になります。
なぜなら、S(f_n) = {x ∈ X | f_n (x) ≠ 0},
S = ∪ S(f_n) (合併は、n についてとる)
とおくと、S ∈ Φ で、M = M ∩ S となり、
>>275 より、M ∩ S ∈ Φ です。
非常に微妙ですね。
366 :132人目の素数さん:2007/08/31(金) 21:30:19
念のため、混乱防止柵を設けて起きます。
(f_n) を、X から R~ への写像族とします。
f_n (x) がほとんどいたるところの x について収束する というとき、ある零集合 N ∈ Φ の外側の x ∈ X については、 f_n (x) が収束する。 x ∈ N については、 f_n (x) は収束するかもしれないし、 収束しないかもしれない。
一方、f_n (x) が収束しない x の全体を M とおくと、 M ⊆ N だが、f_n についての可測性の仮定の無い状態では、 M ≠ N かもしれない。
しかし、各 f_n が可測のとき、>>363, >>365 で見たように、 M 自身が零集合になる。
367 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 00:44:18
>>366
有難うございます。 大変、勉強になりました。
なお、蛇足かもしれませんが次の補題を書いておきます。 g_n を M で 0, X - M で f_n と一致する関数とすれば、 g_n は、この補題により可測になります。 lim f_n を >>351 のように定義すれば、 lim g_n = lim f_n となり、lim f_n は可測になります。
補題 (X, Φ) を可測空間とし、f : X → [-∞, +∞] を可測関数とする。 A ∈ Φ とし、写像 g : X → [-∞, +∞] を次のように定義する。
x ∈ A のとき g(x) = 0 x ∈ X - A のとき g(x) = f(x)
このとき g は可測である。
証明 S(g) ⊂ X - A だから、S(g) = S(f) - A ∈ Φ
U を [-∞, +∞] の開集合とする。
S(g) 上では f = g だから、
S(g) ∩ {x ; g^(-1)(U) } = S(g) ∩ {x ; f^(-1)(U)}
>>273 より、この右辺は可測である。 よって、>>213 より g は可測である。 証明終
368 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 00:49:37
訂正
>>367
>S(g) ∩ {x ; g^(-1)(U) } = S(g) ∩ {x ; f^(-1)(U)}
S(g) ∩ g^(-1)(U) = S(g) ∩ f^(-1)(U)
369 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 10:18:49
定義 X を集合、A をその部分集合とする。 A の特性関数を χ_A と書く。 即ち、 x ∈ A のとき χ_A(x) = 1 x ∈ X - A のとき χ_A(x) = 1
370 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 10:24:08
補題 X を集合とする。
M と N を部分集合、a, b を有限実数とする。
このとき、次の等式が成り立つ。
aχ_M + bχ_N = aχ_(M - N) + (a + b)χ_(M ∩ N) + bχ_(N - M)
(aχ_M)(bχ_N) = abχ_(M ∩ N)
証明 自明である。
371 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 10:37:43
定義 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 Σ(a_i)χ_(M_i) の形の関数を R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の単関数または Φ-単関数 と言う。
ここで、a_i は有限実数、M_i ∈ Φ で Σ(a_i)χ_(M_i) は有限和である。
372 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 10:52:44
命題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の単関数(>>371)全体 E(Φ) は 和と積とスカラー倍に関して閉じている。 即ち、R 上の(必ずしも単位元もつとは限らない)代数である。
証明 明らかに、E(Φ) は和とスカラー倍に関して閉じている。
Σ(a_i)χ_(M_i) ∈ E(Φ) Σ(b_j)χ_(N_j) ∈ E(Φ) とする。
>>370 より
(Σ(a_i)χ_(M_i))(Σ(b_j)χ_(N_j)) = Σ(a_i)(b_j)χ_(M_i)χ_(N_j) = Σ(a_i)(b_j)χ_(M_i ∩ N_j) ∈ E(Φ)
証明終
373 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 11:23:34
補題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の任意の単関数(>>371) は M_1, . . . , M_n を互いに交わらない Φ に属す集合とし、 Σ(a_i)χ_(M_i) と書ける。
証明 >>370 より、M と N を部分集合、a, b を有限実数とすると、 aχ_M + bχ_N = aχ_(M - N) + (a + b)χ_(M ∩ N) + bχ_(N - M)
これから明らかである。
374 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 11:39:51
命題 X を集合とし、Φ をその上の集合環(>>189)とする。 R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の任意の単関数(>>371) f は M_1, . . . , M_n を互いに交わらない Φ に属す集合とし、 f = Σ(a_i)χ_(M_i) (1 ≦ i ≦ n) と一意に書ける。 ここで、a_i ≠ 0 で、i ≠ j なら a_i ≠ a_j である。
証明 M と N を Φ の集合で交わらないなら χ_(M ∪ N) = χ_M + χ_N である。
よって、任意の a ∈ R に対して、 aχ_M + aχ_N = aχ_(M ∪ N) となり、M ∪ N ∈ Φ である。
よって、命題のように、f = Σ(a_i)χ_(M_i) と書けることは、 >>373 より明らかである。
f(X) - {0} = {a_1, . . . , a_n} で
M_i = f^(-1)(a_i) であるから一意性も明らかである。
証明終
375 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/09/01(土) 11:45:11
(X, Φ) を可測空間(>>211)とする。 f を X 上の有限な単関数(>>298)とする。
>>300 と >>374 より、f が可測であることと、 f が R = (-∞, +∞) に値をとる Φ上の単関数(>>371)であることは 同値である。
