最終更新日時 2011年03月06日 (日) 21時45分05秒
代数的整数論 005 (231-290)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1173998720/231-290
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1173998720/231-290
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1173998720/231-290
231 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 13:17:22
αα' = (pγ + qδ)(pγ' + qδ') = γγ'p^2 + (γδ' + δγ')pq + δδ'q^2
αβ' + βα' = (pγ + qδ)(rγ' + sδ') + (rγ + sδ)(pγ' + qδ') = γγ' pr + γδ'ps + δγ'qr + δδ'qs + γγ' rp + γδ' rq + δγ'sp + δδ'qs = 2γγ' pr + (γδ'+ δγ')(sp + qr) + 2γγ' qs
ββ' = (rγ + sδ)(rγ' + sδ') = γγ'r^2 + (γδ' + δγ')rs + δδ's^2
従って a = kp^2 - lpq + mq^2 b = 2kpr - l(sp + qr) + 2mqs c = kr^2 - lrs + ms^2
従って >>184 より σ = (-p, r)/(q, -s) おくと σ ∈ SL_2(Z) で (k, l, m)σ = (a, b ,c)
232 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 13:30:57
>>231 を以下のように訂正する。
αα' = (pγ + qδ)(pγ' + qδ') = γγ'p^2 + (γδ' + δγ')pq + δδ'q^2
αβ' + βα' = (pγ + qδ)(rγ' + sδ') + (rγ + sδ)(pγ' + qδ') = γγ' pr + γδ'ps + δγ'qr + δδ'qs + γγ' rp + γδ' rq + δγ'sp + δδ'qs = 2γγ' pr + (γδ'+ δγ')(sp + qr) + 2γγ' qs
ββ' = (rγ + sδ)(rγ' + sδ') = γγ'r^2 + (γδ' + δγ')rs + δδ's^2
従って a = kp^2 - lpq + mq^2 b = -2kpr + l(sp + qr) - 2mqs c = kr^2 - lrs + ms^2
従って >>184 より σ = (-p, r)/(q, -s) おくと σ ∈ SL_2(Z) で (k, l, m)σ = (a, b ,c)
233 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 14:06:35
定義 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 判別式 D の正定値(過去スレ4の293)原始2次形式の集合を (F_0)+(D) と書く。
これは過去スレ4の405と異なることに注意しておく。
234 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 14:13:02
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 判別式 D の2次形式の集合を F(D) と書いた(>>184)。
I = [α, β] を R の分数イデアルとし、 α, β の向き(>>188)は正とする。 >>228, >>232 より f(α, β; x, y) が属す F(D)/Γ の類は α, β の 取り方によらない。
>>220 より I が可逆分数イデアルのときは f(α, β; x, y) は 原始的である。
D < 0 のときは (αα')/N(I) > 0 だから f(α, β; x, y) は 正定値である。
235 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/04/30(月) 14:21:39
δ ≠ 0 を Q(√m) の元とする。
δI = [δα, δβ] も R の可逆分数イデアルである。
f(δα, δβ; x, y) = N(xδα - yδβ)/N(δI) = (N(δ)/|N(δ)|)f(α, β; x, y)
従って、N(δ) > 0 なら f(δα, δβ; x, y) = f(α, β; x, y) である。
Q(√m) が虚2次体のときは常に N(δ) > 0 である。
よって、I に f(α, β; x, y) が属す (F_0)+(D)/Γ の類を対応させる ことにより 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が得られる。
Q(√m) が実2次体のときは N(δ) > 0 なる δ で生成される 単項イデアル δR 全体のなす群 P+(R) で I(R) を類別した 狭義のイデアル類群 Cl+(D) を考える(>>227)。
このとき、I に f(α, β; x, y) が属す F_0(D)/Γ の類を対応させる ことにより 写像 ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ が得られる。
236 :KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2007/04/30(月) 15:23:18
talk:>>230 私がやってみよう。1次元~226次元線形空間の226倍写像。
237 :132人目の素数さん:2007/04/30(月) 17:44:47
それよりkingとくんまーの白熱した議論が見たい
238 :KingOfUniverse ◆667la1PjK2 :2007/04/30(月) 18:06:42
talk:>>237 だが、何の議論をすればいいのだ?
239 :132人目の素数さん:2007/04/30(月) 18:54:16
>>238 人の脳を読む能力を悪用する奴を潰す必要性について
240 :132人目の素数さん:2007/05/01(火) 01:53:40
>>238 ゴミは消えろ
241 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/02(水) 20:32:42
再び >>232(即ち >>228の続き)を以下のように訂正する。
f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I) に α = pγ + qδ β = rγ + sδ を代入すると
f(α, β; x, y) = N(x(pγ + qδ) - y(rγ + sδ))/N(I) = ((xp - yr)γ - (-xq + ys)δ)/N(I) = f(γ, δ; xp - yr, -xq + ys)
従って (a, b, c) = (k, l, m)σ
ここで σ = (p, -r)/(-q, s) ∈ SL_2(Z)
242 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 11:07:24
>>235 の続き。
D < 0 のとき ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ
D > 0 のとき ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ
が定義された。
それぞれの逆写像 ψ_FI を定義しよう。
D < 0 の場合。 (a, b, c) ∈ F_0+(D) のとき
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2] } と定義する。
D > 0 の場合。 (a, b, c) ∈ F_0(D) のとき
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2]α } と定義する。
ここで α は sign(N(α)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
例えば
a > 0 のときは α = 1
a < 0 のときは α = √m とすればよい。
以上の定義が2次形式類の代表 (a, b, c) の取り方によらないことを 証明しよう。
243 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 11:32:01
D < 0 の場合。 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) の定義が (a, b, c) ∈ F_0+(D) の取り方によらないことは、 過去スレ4の598で証明されている。
D > 0 の場合を考える。
f = (a, b, c) ∈ F_0(D) のとき
Ψ(f) = { [a, (-b + √D)/2]α } ∈ Cl+(D) と定義する。
ここで α は sign(N(α)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) の定義が (a, b, c) ∈ F_0(D) の取り方によらないことを証明するには、 任意の σ ∈ SL_2(Z) に対して Ψ(fσ) = Ψ(fσ) を証明すればよい。
過去スレ4の269より SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って Ψ(fS) = Ψ(f) と Ψ(fT) = Ψ(f) を証明すればよい。
244 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 11:51:16
>>185 より (a, b, c)S = (a, 2a + b, a + b + c)
よって
Ψ(fS) = { [a, -a + (-b + √D)/2]α }
= { [a, (-b + √D)/2]α }
= Ψ(f)
>>184 より (a, b, c)T = (c, -b, a) だから
Ψ(fT) = { [c, (b + √D)/2]β }
ここで sign(N(β)) = sign(c)
I = [a, (-b + √D)/2] J = [c, (b + √D)/2] θ = (-b + √D)/2 とおく。
θ'I = [a(-b - √D)/2, ac] = a[(-b - √D)/2, c] = a[c, (b + √D)/2] = aJ よって I = (a/θ')J Iα = (a/θ')Jα = (aα/θ'β)Jβ
N(θ') = ac だから
N(aα/θ'β) = (a^2)N(α)/acN(β) = aN(α)/cN(β) > 0
よって
Ψ(fT) = { Jβ } = { Iα } = Ψ(f)
証明終
245 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 12:03:49
D < 0 の場合。 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) の定義が (a, b, c) ∈ F_0+(D) の取り方によらないことは、 過去スレ4の598で証明されているが、 >>244 と同様にも証明される。 つまり、>>244 の I = (a/θ')J は D < 0 の場合もそのまま成り立つ。
246 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 12:10:38
>>243 の証明の基本アイデアつまり、 SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される 事実を利用する方法は Buell の Binary quadratic forms から借りた。
このアイデアを知るまでは証明がどうしてもうまくいかなかった。
247 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 17:55:36
命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 >>235 で 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が >242 で 写像 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) が定義された。
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明 (a, b, c) ∈ F_0+(D) とする。
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2] } である。
I = [a, (-b + √D)/2] α = a β = (-b + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
>>228 において (αα')/N(I) = a^2/a = a -(αβ' + βα')/N(I) = (ab)/a = b (ββ')/N(I) = ac/a = a
だから N(xα - yβ)/N(I) = a^x^2 + bxy + cy^2 である。 従って (ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。 証明終
248 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:02:25
>>247 を以下のように訂正する。
命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 >>235 で 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が >242 で 写像 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) が定義された。
(ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。
証明 (a, b, c) ∈ F_0+(D) とする。
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2] } である。
I = [a, (-b + √D)/2] α = a β = (-b + √D)/2 とおく。
-Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
>>228 において (αα')/N(I) = a^2/a = a -(αβ' + βα')/N(I) = (ab)/a = b (ββ')/N(I) = ac/a = a
だから N(xα - yβ)/N(I) = a^x^2 + bxy + cy^2 である。 従って (ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。 証明終
249 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:16:34
命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 >>235 で 写像 ψ_IF : Cl(D) → (F_0)+(D)/Γ が >242 で 写像 ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) が定義された。
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明 >>207 より Cl(D) の代表として原始イデアル I が取れる。 >>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。 ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a β = b + (D + √D)/2 とおく。 -Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
>>228 において (αα')/N(I) = a^2/a = a -(αβ' + βα')/N(I) = -a(2b + D)/a = -2b - D (ββ')/N(I) = (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a
よって
ψ_IF({ I }) = { (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) }
ψ_FI({ (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) })
= { [a, b + (D + √D)/2] }
よって (ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。 証明終
250 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:21:25
>>248 と >>249 より D < 0 のとき (F_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
このことは過去スレ601と602でも証明されている。
251 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:40:54
命題 R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 >>235 で 写像 ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ が >242 で 写像 ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) が定義された。
(ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。
証明 (a, b, c) ∈ F_0(D) とする。
ψ_FI({ (a, b, c) }) = { [a, (-b + √D)/2]δ } である。
ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
I = [a, (-b + √D)/2]δ α = aδ β = (-b + √D)δ/2 とおく。
-Δ(α, β) = aδ'(-b + √D)δ/2 - aδ(-b - √D)δ'/2 = N(δ)a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
>>228 において (αα')/N(I) = N(δ)a^2/|N(δ)||a| = sign(N(δ))sign(a)a = a
-(αβ' + βα')/N(I) = N(δ)(ab)/|N(δ)||a| = sign(N(δ))sign(a)b = b
(ββ')/N(I) = N(δ)ac/|N(δ)||a| = sign(N(δ))sign(a)c = c
よって (ψ_IF)(ψ_FI) = 1 である。 証明終
252 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:47:26
命題 R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 >>235 で 写像 ψ_IF : Cl+(D) → F_0(D)/Γ が >242 で 写像 ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) が定義された。
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明 >>207 より Cl+(D) の代表として原始イデアル I が取れる。 >>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。 ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a β = b + (D + √D)/2 とおく。 -Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
>>228 において (αα')/N(I) = a^2/a = a -(αβ' + βα')/N(I) = -a(2b + D)/a = -2b - D (ββ')/N(I) = (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a
よって
ψ_IF({ I }) = { (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) }
ψ_FI({ (a, -2b - D, (b^2 + bD + (D^2 - D)/4)/a) })
= { [a, b + (D + √D)/2]δ }
ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の
元である。
a > 0 だから δ = 1 とできる。
よって
(ψ_FI)(ψ_IF) = 1 である。
証明終
253 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 18:49:23
>>251 と >>252 より D > 0 のとき F_0(D)/Γ と Cl+(D) は集合として同型である。
254 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/03(木) 23:15:20
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
Qd = { (-b + √D)/2a ; a > 0, D ≡ b^2 (mod 4a) } とおいた(>>214)。
Qd の元で原始的(>>221)なもの全体を Qd_0 と書いた(>>223)。
即ち
Qd_0 = { (-b + √D)/2a ∈ Qd ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
θ = (-b + √D)/2a ∈ Qd_0 のとき 過去スレ4の592より [a, (-b + √D)/2] は R の可逆イデアルである。
g(θ) を [a, (-b + √D)/2] の属す Cl+(D) (>>227) の類とする。 ただし、D < 0 のときは Cl+(D) は Cl(D) を意味するとする。
σ ∈ SL_2(Z) のとき g(σθ) = g(θ) を示そう。
過去スレ4の269より SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って g(Sθ) = g(θ) と g(Tθ) = g(θ) を証明すればよい。
255 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 13:36:04
>>254 は没とする。
理由は Qd は SL_2(Z) の作用で閉じていないため。
256 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 15:54:10
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 を その判別式とする。
Q(D) = { (-b + √D)/2a ; D ≡ b^2 (mod 4a) } とおく。
即ち Q(D) は判別式 D に属す2次無理数(過去スレ596) の集合である。
Q_0(D) = { (-b + √D)/2a ∈ Q(D) ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
とおく。
即ち Q_0(D) は判別式 D に属す原始的な2次無理数(過去スレ596) の 集合である。
Q_0(D) は左 SL_2(Z)-集合である。
g(θ) を [a, (-b + √D)/2]δ の属す Cl+(D) (>>227) の類とする。 ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の 元である。
σ ∈ SL_2(Z) のとき g(σθ) = g(θ) を示そう。
過去スレ4の269より SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って g(Sθ) = g(θ) と g(Tθ) = g(θ) を証明すればよい。
257 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 16:08:05
Sθ = θ + 1 = (2a - b + √D)/2a
[a, (2a - b + √D)/2] = [a, a + (-b + √D)/2] = [a, (-b + √D)/2]
よって g(Sθ) = g(θ) である。
Tθ = -1/θ = -2a/(-b + √D) = -2a(-b - √D)/4ac = (b + √D)/2c
よって
g(Tθ) = { [c, (b + √D)/2]γ } である。
ここで γ は sign(N(γ)) = sign(c) となる Q(√m) の任意の
元である。
((-b - √D)/2)[a, (-b + √D)/2] = [a(-b - √D)/2, ac] = a[(b + √D)/2, c]
よって I = [a, (-b + √D)/2] J = [c, (b + √D)/2] とおくと
θ' I = aJ I = (a/θ')J Iδ = (a/θ')Jδ = (aδ/θ'γ)Jγ
N(θ') = ac だから N(aδ/θ'γ) = a^2N(δ)/acN(γ) = aN(δ)/cN(γ) > 0 よって I と J は Cl+(D) の同じ類に属す。
即ち g(Tθ) = g(θ) である。 よって >>256 の最後の主張が証明された。
258 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 16:14:59
>>256 より g(θ) は θ の属す Q_0(D)/Γ の類できまり、 その代表元 θ の取り方によらない。
よって写像 ψ_QI: Q_0(D)/Γ → CL+(D) が定義される。
259 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 16:37:16
CL+(D) の任意の類 { I } をとる。ここで I は R の可逆分数イデアル
である。
I = [α, β] で α, β の向きは正とする。 このような基底 α, β が存在することは >>201 からわかる。
>>228 と同様に f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
>>197 より a = (αα')/N(I) b = -(αβ' + βα')/N(I) c = (ββ')/N(I) とおけば、f(α, β; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
h(x) = ax^2 + bx + c とおく。
N(I)αh(β/α) = α'β^2 - αββ' - α'β^2 + αββ' = 0 よって h(β/α) = 0 である。 よって β/α は D に属す2次無理数である。
260 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 17:21:36
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より α = pγ + qδ β = rγ + sδ となる有理整数 p, q, r, s で ps - qr = 1 となるものがある。 θ = β/α μ = δ/δ とおく。
θ = β/α = (rγ + sδ)/(pγ + qδ) = (r + sμ)/(p + qμ) よって μ = (pθ - r)/(-qθ + s)
よって μ と θ は Q_0(D)/Γ の同じ類に属す。
τ ∈ Q(√m) で N(τ) > 0 とする。 τI = τ[α, β] = [τα, τβ] で Δ(τα, τβ) = τατ'β' - τβτ'α' = N(τ)Δ(α, β) だから τα, τβ の向きは正である。 さらに τβ/τα = β/α である。
以上から写像 ψ_IQ: CL+(D) → Q_0(D)/Γ が
ψ_IQ({ I }) = {β/α} で矛盾なく定義されることがわかった。
261 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 17:49:14
命題 R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式 とする。 >>258 で 写像 ψ_QI: Q_0(D)/Γ → CL+(D) が定義された。 >260 で 写像 ψ_IQ: CL+(D) → Q_0(D)/Γ が が定義された。
(ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明 θ = (-b + √D)/2a ∈ Q_0(D) とする。
I = [a, (-b + √D)/2]δ とおく。 ここで δ は sign(N(δ)) = sign(a) となる Q(√m) の任意の 元である。
ψ_QI({ θ }) = { I } である。
α = a β = (-b + √D)/2 とおく。
I = [δα, δβ] である。
Δ(δα, δβ) = δαδ'β' - δβδ'α' = N(δ)Δ(α, β) = -N(δ)a√D < 0
よって δα, δβ の向きは正である。
δβ/δα = β/α である。
従って、ψ_IQ({ I }) = { θ } である。
よって (ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明終
262 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:07:36
命題 R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式 とする。 >>258 で 写像 ψ_QI: Q_0(D)/Γ → CL+(D) が定義された。 >260 で 写像 ψ_IQ: CL+(D) → Q_0(D)/Γ が が定義された。
(ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。
証明 >>207 より Cl+(D) の代表として原始イデアル I が取れる。 >>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。 ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a β = b + (D + √D)/2 とおく。 -Δ(α, β) = a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
β/α = (2b + D + √D)/2a
よって
ψ_IQ({ I }) = { (2b + D + √D)/2a })
a > 0 だから
ψ_QI({ (2b + D + √D)/2a })) = { [a, b + (D + √D)/2] }
よって (ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。 証明終
263 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:09:30
>>261 と >>262 より D > 0 のとき Q_0(D)/Γ と Cl+(D) は集合として同型である。
264 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:25:21
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 を その判別式とする。
Q+(D) = { a > 0, (-b + √D)/2a ; D ≡ b^2 (mod 4a) } とおく。
これは >>214 の Qd と同じものである。
即ち Q+(D) は判別式 D に属す2次無理数(過去スレ596) で 複素上半平面にあるものの集合である。
(Q_0)+(D) = { (-b + √D)/2a ∈ Q+(D) ; gcd(a, b, (b^2 - D)/4a) = 1 }
とおく。
即ち (Q_0)+(D) は Q+(D) に属す原始的な2次無理数(過去スレ596) の 集合である。
これは >>223 の Qd_0 と同じものである。
(Q_0)+(D) は左 SL_2(Z)-集合である。
θ = (-b + √D)/2a ∈ (Q_0)+(D) のとき
g(θ) を [a, (-b + √D)/2] の属す Cl(D) の類とする。
σ ∈ SL_2(Z) のとき g(σθ) = g(θ) を示そう。
過去スレ4の269より SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って g(Sθ) = g(θ) と g(Tθ) = g(θ) を証明すればよい。
265 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:26:44
Sθ = θ + 1 = (2a - b + √D)/2a
[a, (2a - b + √D)/2] = [a, a + (-b + √D)/2] = [a, (-b + √D)/2]
よって g(Sθ) = g(θ) である。
Tθ = -1/θ = -2a/(-b + √D) = -2a(-b - √D)/4ac = (b + √D)/2c
b^2 - 4ac < 0 b^2 < 4ac a > 0 だから c > 0 である。
よって
g(Tθ) = { [c, (b + √D)/2] }
((-b - √D)/2)[a, (-b + √D)/2] = [a(-b - √D)/2, ac] = a[(b + √D)/2, c]
よって I = [a, (-b + √D)/2] J = [c, (b + √D)/2] とおくと
θ' I = aJ I = (a/θ')J
よって I と J は Cl(D) の同じ類に属す。
266 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:29:09
>>265 より g(θ) は θ の属す (Q_0)+(D)/Γ の類できまり、 その代表元 θ の取り方によらない。
よって写像 ψ_QI: (Q_0)+(D)/Γ → CL(D) が定義される。
267 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/04(金) 18:49:01
CL(D) の任意の類 { I } をとる。ここで I は R の可逆分数イデアル
である。
I = [α, β] で α, β の向きは正とする。 このような基底 α, β が存在することは >>201 からわかる。
>>228 と同様に f(α, β; x, y) = N(xα - yβ)/N(I) とおく。
>>197 より a = (αα')/N(I) b = -(αβ' + βα')/N(I) c = (ββ')/N(I) とおけば、f(α, β; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 である。
h(x) = ax^2 + bx + c とおく。
N(I)αh(β/α) = α'β^2 - αββ' - α'β^2 + αββ' = 0 よって h(β/α) = 0 である。 よって β/α は D に属す2次無理数である。
Im(β/α) = (β/α - β'/α')/2 = (βα' - αβ')/2αα' = (βα' - αβ')/2N(α)
α, β の向きは正だから (βα' - αβ')/√D > 0
α は虚2次体 Q(√m) の元だから αα' = N(α) > 0 である。 よって Im(β/α)/√D = (βα' - αβ')/2N(α)√D > 0 よって β/α は複素上半平面にある。
268 :クマーさんを応援する人:2007/05/04(金) 20:56:58
こんにちは。
269 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 00:54:53
>>267 の続き。
>>250 より (F_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
この同型で { (a, b, c) } は { I } と対応するから
(a, b, c) は原始的である。
>>267 より β/α は ax^2 + bx + c の根だから β/α は 原始的である。
よって β/α は (Q_0)+(D) の元である。
270 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 00:55:57
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より α = pγ + qδ β = rγ + sδ となる有理整数 p, q, r, s で ps - qr = 1 となるものがある。 θ = β/α μ = δ/δ とおく。
θ = β/α = (rγ + sδ)/(pγ + qδ) = (r + sμ)/(p + qμ) よって μ = (pθ - r)/(-qθ + s)
よって μ と θ は (Q_0)+(D) の同じ類に属す。
τ ≠ 0 を Q(√m) の元とする。 τI = τ[α, β] = [τα, τβ] で Δ(τα, τβ) = τατ'β' - τβτ'α' = N(τ)Δ(α, β) N(τ) > 0 だから τα, τβ の向きは正である。 さらに τβ/τα = β/α である。
以上から写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が
ψ_IQ({ I }) = {β/α} で矛盾なく定義されることがわかった。
271 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:04:00
命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 をその判別式 とする。 >>266 で 写像 ψ_QI: (Q_0)+(D)/Γ → CL(D) が定義された。 >260 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
(ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明 θ = (-b + √D)/2a ∈ (Q_0)+(D) とする。
I = [a, (-b + √D)/2] とおく。
ψ_QI({ θ }) = { I } である。
α = a β = (-b + √D)/2 とおく。
Δ(α, β) = αβ' - βα' = -a√D < 0
よって α, β の向きは正である。
β/α = (-b + √D)/2a = θ
従って、ψ_IQ({ I }) = { θ } である。
よって (ψ_IQ)(ψ_QI) = 1 である。
証明終
272 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:06:55
>>271 >>260 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
>>270 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
273 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:10:04
命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 をその判別式 とする。 >>266 で 写像 ψ_QI: (Q_0)+(D)/Γ → CL(D) が定義された。 >>270 で 写像 ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ が定義された。
(ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。
証明 >>207 より Cl(D) の代表として原始イデアル I が取れる。 >>210 より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。 ここで a > 0, 0 ≦ b < a
α = a β = b + (D + √D)/2 とおく。 Δ(α, β) = -a√D だから I の基底 α, β の向き(>>188)は正である。
β/α = (2b + D + √D)/2a
よって
ψ_IQ({ I }) = { (2b + D + √D)/2a })
a > 0 だから
ψ_QI({ (2b + D + √D)/2a })) = { [a, b + (D + √D)/2] }
よって (ψ_QI)(ψ_IQ) = 1 である。 証明終
274 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 01:12:24
>>271 と >>273 より D < 0 のとき (Q_0)+(D)/Γ と Cl(D) は集合として同型である。
275 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:01:18
D < 0 のとき >>248 と >>249 より ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D) は同型である。
>>271 と >>273 より ψ_IQ: CL(D) → (Q_0)+(D)/Γ は同型である。
よって ψ_FQ = IQ(ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は 同型である。
このとき (a, b, c) ∈ (F_0)+(D) の類には (-b + √D)/2a の類が 対応する。
276 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:07:44
>>275 >よって >ψ_FQ = IQ(ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は 同型である。
277 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:08:27
>>275 >よって >ψ_FQ = IQ(ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は >同型である。
よって ψ_FQ = (ψ_IQ)(ψ_FI) : (F_0)+(D)/Γ → (Q_0)+(D)/Γ は 同型である。
278 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 10:10:42
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 D > 0 のとき >>251 と >>252 より ψ_FI : F_0(D)/Γ → Cl+(D) は同型である。
>>261 と >>262 より ψ_IQ : CL+(D) → Q_0(D)/Γ は同型である。
よって ψ_FQ = (ψ_IQ)(ψ_FI) : F_0(D)/Γ → Q_0(D)/Γ は 同型である。
このとき (a, b, c) ∈ F_0(D) の類には (-b + √D)/2a の類が 対応する。
279 :132人目の素数さん:2007/05/05(土) 13:30:17
挨拶にシカトするなんて糞 はじめから見てるが、この書き込んでるやつ馬鹿もいいところだろ。
うんこ以下
280 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 19:50:46
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D < 0 をその判別式 とする。
>>220 より同型
φ_FI : F_0(D)/Γ_∞ → I(R)/Q^* × {±1}
が存在する。
φ_FI は >>243 の同型 ψ_FI を引き起こす。
ψ_FI : (F_0)+(D)/Γ → Cl(D)
281 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 20:07:26
R = [1, fω] を実2次体 Q(√m) の整環とし、D > 0 をその判別式 とする。
P+ = {αR ; α ∈ Q(√m), N(α) > 0 } とおく。
完全列
1 → P+ → K^*/(R^*)+ → {±1} → 1
が存在する。
ここで K = Q(√m) であり、
(R^*)+ = { α ∈ R^* ; N(α) > 0 } である。
K^*/(R^*)+ → {±1} は α ∈ K^* に sign(N(α)) を対応させる
ことにより引き起こされる。
P~ = K^*/(R^*)+ とおく。
(I, s) ∈ I(R) × {±1} と、[β] ∈ P~ に対して
[β](I, s) = (βI, s(sign(N(β)))) と定義する。
ε ∈ (R^*)+ のとき (εI, s(sign(N(ε)))) = (I, s) だから [β](I, s) は [β] ∈ P~ のみで決まる。
よって商集合 (I(R) × {±1})/P~ が定義される。
>>220 の同型
φ_FI : F_0(D)/Γ_∞ → I(R)/Q^* × {±1}
は同型
F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~ を引き起こすことを示そう。
282 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 20:22:44
[ (a, b, c) ] ∈ F_0(D)/Γ のとき
[([a, (-b + √D)/2], sign(a))] ∈ (I(R) × {±1})/P~
が代表 (a, b, c) の取り方によらないことを示す。
ここで、[ (a, b, c) ] は (a, b, c) が属す F_0(D)/Γ の類を表す。
同様に、[([a, (-b + √D)/2], sign(a))] は (I(R) × {±1})/P~ の
類を表す。
f = (a, b, c) ∈ F_0(D) のとき
Ψ(f) = [([a, (-b + √D)/2], sign(a))] ∈ (I(R) × {±1})/P~
とおく。
過去スレ4の269より SL_2(Z) は S = (1, 1)/(0, 1) と T = (0, -1)/(1, 0) で生成される。
従って、いつものように Ψ(fS) = Ψ(f) と Ψ(fT) = Ψ(f) を証明すればよい。
>>185 より (a, b, c)S = (a, 2a + b, a + b + c)
よって Ψ(fS) = [([a, -a + (-b + √D)/2], sign(a))] = Ψ(f)
283 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/05(土) 20:29:31
>>184 より (a, b, c)T = (c, -b, a) だから Ψ(fT) = [([c, (b + √D)/2], sign(c))]
I = [a, (-b + √D)/2] J = [c, (b + √D)/2] θ = (-b + √D)/2 とおく。
θ'I = [a(-b - √D)/2, ac] = a[(-b - √D)/2, c] = a[c, (b + √D)/2] = aJ よって I = (a/θ')J
N(θ') = ac だから N(a/θ') = a/c
Ψ(fT) = [((a/θ')[c, (b + √D)/2], sign(c)sign(N(a/θ')))] = [([a, (-b + √D)/2], sign(c)sign(a/c))] = [([a, (-b + √D)/2], sign(a))] = Ψ(f)
284 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 07:16:12
(I, s) ∈ I(R) × {±1} とする。
即ち、I は R の可逆分数イデアルであり、s = ±1 である。
I = [α, β] で、α, β は正に向き付けられているとする(>>188)。
>>197 で f(α, β, s; x, y) = sN(xα - syβ)/N(I) とおいた。 f(α, β, s; x, y) ∈ F_0(D) である。
I = [γ, δ] で、γ, δ の向きも正とする。
>>189 より α = pγ + qδ β = rγ + tδ となる有理整数 p, q, r, t で pt - qr = 1 となるものがある。
f(α, β, s; x, y) = sN(xα - syβ)/N(I) に α = pγ + qδ β = rγ + tδ を代入すると
f(α, β, s; x, y) = sN(x(pγ + qδ) - sy(rγ + tδ))/N(I) = s((xp - ysr)γ - s(-xsq + yt)δ)/N(I) = f(γ, δ; xp - ysr, -xq + yst)
従って (a, b, c) = (k, l, m)σ
ここで σ = (p, -sr)/(-sq, t) ∈ SL_2(Z)
285 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 07:43:24
δ ∈ K^* として [δ](I, s) = (δI, s(sign(N(δ))) を考える(>>281)。
δI = [δα, δβ] であり、 Δ(δα, δβ) = δαδ'β' - δβδ'α' = N(δ)Δ(α, β)
まず N(δ) > 0 の場合を考える。
Δ(δα, δβ) = Δ(α, β) だから δα, δβ の向きは正である。
f(δα, δβ, s(sign(N(δ)); x, y) = sN(xδα - syδβ)/N(δI) = (N(δ)/N(δ))sN(xα - syβ)/N(I) = sN(xα - syβ)/N(I) = f(α, β, s; x, y)
N(δ) < 0 とする。
Δ(δα, δβ) = -Δ(α, β) だから δα, -δβ の向きは正である。
f(δα, -δβ, s(sign(N(δ)); x, y) = -sN(xδα - syδβ)/N(δI) = -(N(δ)/|N(δ)|)sN(xα - syβ)/N(I) = sN(xα - syβ)/N(I) = f(α, β, s; x, y)
286 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:07:13
>>282, >>283 より
写像 Ψ_0 : F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~
が
Ψ_0( [ (a, b, c) ] ) = [ ([a, (-b + √D)/2], sign(a)) ]
により定義される。
>>284 より
写像 Ψ_1 : (I(R) × {±1})/P~ → F_0(D)/Γ
が
Ψ_1( [ (I, s) ] ) = [ f(α, β, s; x, y) ]
により定義される。
287 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:16:09
(a, b, c) ∈ F_0(D) のとき Ψ_0( [ (a, b, c) ] ) = [ ([a, (-b + √D)/2], sign(a)) ]
a > 0 のとき α = a β = (-b + √D)/2 s = sign(a) = 1 とおく。
Δ(α, β) = -a√D だから α, β の向きは正である。
s(αα')/N(I) = a -(αβ' + βα')/N(I) = b s(ββ')/N(I) = c
よって f(α, β, s; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2
a < 0 のとき α = -a β = (-b + √D)/2 s = sign(a) = -1 とおく。
Δ(α, β) = a√D だから α, β の向きは正である。
s(αα')/N(I) = a -(αβ' + βα')/N(I) = b s(ββ')/N(I) = c
よって f(-α, β, s; x, y) = ax^2 + bxy + cy^2
以上から Ψ_1Ψ_0 = 1 である。
288 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:48:13
[ (I, s) ] ∈ (I(R) × {±1})/P~ とする。
即ち、I は R の可逆分数イデアルであり、s = ±1 である。
>>207 より qI が原始イデアルとなるような有理数 q ≠ 0 がある。 よって I は原始イデアルと仮定してよい。
>>210より I = [a, b + (D + √D)/2] と書ける。 ここで a, b は有理整数で a > 0 である。
α = a β = b+ (-b + √D)/2 とおく。 Δ(α, β) = -a√D だから α, β の向きは正である。
s(αα')/N(I) = sa -(αβ' + βα')/N(I) = b s(ββ')/N(I) = sc
となる。 ただし、 c = (ββ')/N(I) とおいた。
よって f(α, β, s; x, y) = sax^2 + bxy + scy^2
Ψ_1( [ (I, s) ] ) = [ (sa, b, sc) ]
Ψ_0( (sa, b, sc) ] = [ ([sa, (-b + √D)/2], sign(sa)) ] = [ (I, s) ]
よって Ψ_0Ψ_1 = 1 である。
289 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 08:51:59
>>287, >>288 より
Ψ_0 と Ψ_1 は互いに逆写像であり、
Ψ_0 : F_0(D)/Γ → (I(R) × {±1})/P~
は集合としての同型である。
290 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/05/06(日) 09:14:03
写像 Φ_0 : (I(R) × {±1})/P~ → Cl+(D)
を Φ_0( [ (I, s) ] ) = [ δI ] で定義する。
ここで δ ∈ K^* は s = sign(N(δ)) となる任意の元である。
写像 Φ_1 : Cl+(D) → (I(R) × {±1})/P~
を Φ_1( [ I ] ) = [ (I, 1) ] で定義する。
Φ_1Φ_0( [ (I, s) ] ) = Φ_1( [ δI ] ) = [ (δI, 1) ] = [ (I, sign(N(δ))) ] = [ (I, s) ]
よって Φ_1Φ_0 = 1
他方、 Φ_0Φ_1( [ I ] ) = Φ_0( [ (I, 1) ] ) = [ I ]
よって Φ_0Φ_1 = 1
以上から
Φ_0 : (I(R) × {±1})/P~ → Cl+(D)
は集合としての同型である。
