最終更新日時 2011年03月06日 (日) 21時51分19秒
代数的整数論 005 (841-940)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1173998720/841-940
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841 :841:2007/07/22(日) 18:22:59
√(841) = 29
842 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 18:27:18
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式で a は奇数とする。
c が偶数のとき D ≡ 1 (mod 8) c が奇数のとき D ≡ 5 (mod 8) である。
証明 D = b^2 - 4ac より D ≡ b^2 (mod 4) D ≡ 1 (mod 4) だから b^2 ≡ 1 (mod 4) よって b は奇数である。 よって b ≡ 1, 3, 5, 7 (mod 8) よって b^2 ≡ 1 (mod 8)
c が偶数なら D = b^2 - 4ac ≡ b^2 (mod 8) よって D ≡ 1 (mod 8)
c が奇数なら a = 2n + 1 c = 2m + 1 として
b^2 - 4ac = b^2 - 4(2n + 1)(2m + 1) = b^2 - 4(4nm + 2n + 2m + 1) = b^2 - 16nm - 8n - 8m - 4 ≡ b^2 - 4 ≡ 1 - 4 ≡ 5 (mod 8) 証明終
843 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 21:38:54
>>839 の命題は f = ax^2 + bxy + cy^2 が原始的でなくても成り立つ。 これは、その証明で f の原始性を使ってないことからわかる。
844 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 22:08:37
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 8) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式で a は 2D と素とする。
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素 }
の元の個数は |D|φ(|D|) である。
証明 c が奇数なら >>842 より D ≡ 5 (mod 8) となって仮定に反する。 よって c は偶数である。 よって ax^2 + bxy + cy^2 = ax(x + by) + cy^2 が奇数であるためには ax(x + by) が奇数であることが必要十分である。 これは x と x + by が奇数と同値である。 これは x が奇数かつ y が偶数と同値である。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 が D と素であるためには 2ax + by が D と素であることが必要十分である。
y は偶数だから 0, 2, 4, . . . , 2|D| - 2 の |D| 個を取る。
D は奇数だから |D| 個の 1, 3, 5, . . . 2|D| - 1 は mod |D| の完全代表系である。
2a は D と素だから x がこれ等を動くとき 2ax + by も mod |D| の 完全代表系である。 よって、これ等の中に D と素なものが φ(|D|) 個ある。 よって (x, y) の個数は |D|φ(|D|) である。 証明終
845 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 22:46:55
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 5 (mod 8) とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の2次形式で a は 2D と素とする。
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素 }
の元の個数は 3|D|φ(|D|) である。
証明 c が偶数なら >>842 より D ≡ 1 (mod 8) となって仮定に反する。 よって c は奇数である。
x と y が偶数だと ax^2 + bxy + cy^2 も偶数となる。 よって ax^2 + bxy + cy^2 が奇数であるためには x と y の少なくとも ひとつが奇数であることが必要である。
逆に x ≡ 1 (mod 2) で y ≡ 0 (mod 2) なら ax^2 + bxy + cy^2 ≡ a ≡ 1 (mod 2)
x ≡ 0 (mod 2) で y ≡ 1 (mod 2) なら ax^2 + bxy + cy^2 ≡ c ≡ 1 (mod 2)
x ≡ 1 (mod 2) で y ≡ 1 (mod 2) なら ax^2 + bxy + cy^2 ≡ a + b + c ≡ 1 (mod 2)
以上から ax^2 + bxy + cy^2 が奇数であるためには x と y の 少なくともひとつが奇数であることが必要十分である。 (続く)
846 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/22(日) 22:48:33
>>845 の続き。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 が D と素であるためには 2ax + by が D と素であることが必要十分である。
y が偶数なら 0, 2, 4, . . . , 2|D| - 2 の |D| 個を取る。
D は奇数だから |D| 個の 1, 3, 5, . . . 2|D| - 1 は mod |D| の完全代表系である。
2a は D と素だから x がこれ等を動くとき 2ax + by も mod |D| の 完全代表系である。 よって、これ等の中に D と素なものが φ(|D|) 個ある。 よって、この場合 (x, y) の個数は |D|φ(|D|) である。
y が奇数なら 1, 3, 5, . . . , 2|D| - 1 の |D| 個を取る。 x が 0, 1, 2, . . . , 2|D| - 1 をとるとき 2ax + by は mod |D| の完全代表系を2回とる。 よって x の許される値は 2φ(|D|) 個である。 よって、この場合 (x, y) の個数は 2|D|φ(|D|) である。
以上から (x, y) の総数は 3|D|φ(|D|) である。 証明終
847 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 01:13:47
f = (a, b, c) を判別式 D < 0 の正定値な原始的2次形式とする。 さらに、a は 2D と素とする。
s を実変数として Σ1/f(x, y)^s を考える。 ここで (x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
ここで
S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) > 0 は 2D と素 }
U(f) = {σ ∈ SL_2(Z) ; (a, b, c)σ = (a, b, c) }
>>412 より U(f) は集合として
Pell+(D) = { (t, u) ∈ Z^2 ; t^2 - Du^2 = 4 } と同型である。
>>412 では D > 0 と仮定していたが、これが D < 0 の場合も 成り立つことは証明をみれば明らかである。
|D| ≦ 4 となるのは D = -3, -4 の場合だけであり、このとき 類数 h(D) = 1 であるので、この場合は除くことにする。
|D| > 4 のときは Pell+(D) = { (±2, 0) } である。
よって >>412 より U(f) = {±1} である。
848 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 01:30:00
>>847 の続き。
>>796 により s → 1+0 のとき lim (s - 1) Σ1/f(x, y)^s は t → ∞ のときの lim T/t に等しい。
ここで
T は集合 { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で (x, y) ∈ R(S(f)/U(f)) }
の元の個数である。
R(S(f)/U(f)) は S(f)/U(f) の完全代表系である。
(x, y) ∈ Z^2 と U(f) = {±1} の作用で同値なのは
(x, y) と (-x, -y) である。
f(x, y) = f(-x, -y) だから
T は集合 S(f, t) = { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で (x, y) ∈ S(f) }
の元の個数の 1/2 である。
f は正定値だから
S(f, t) = { (x, y) ; f(x, y) ≦ t で f(x, y) は 2D と素 }
である。
849 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 01:59:11
>>848 の続き。
D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = |D|/2 D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2|D| とおく。
(x, y) ∈ Z^2 で f(x, y) が 2D と素なら
即ち、(x, y) ∈ S(f) なら
x ≡ α (mod Δ)
y ≡ γ (mod Δ)
で (α, γ) ∈ { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 }
となる (α, γ) が一意に決まる。
このとき x = Δv + α y = Δw + γ となる有理整数 v, w が一意に決まる。
逆に、(v, w) ∈ Z^2 のとき x = Δv + α と y = Δw + γ とおくと、(x, y) ∈ S(f) となる。
850 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 08:48:24
f = (a, b, c) を判別式 D < 0 の正定値な原始的2次形式とする。 さらに、a は 2D と素とする。
s を実変数として級数 G(s, f) = Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで
(x, y) は S(f) = {(x, y) ∈ Z^2 ; f(x, y) は 2D と素 }
の元を動く。
D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = |D|/2 D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2|D| とおく。
(α, γ) ∈ { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 }
に対して、級数 G(s, f, α, γ) = Σ1/f(x, y)^s を考える。
ここで (x, y) = (Δv + α, Δw + γ) で (v, w) は Z^2 を動く。
>>849 より G(s, f) = ΣG(s, f, α, γ) である。
ここで右辺の和の (α, γ) は
集合 { (x, y) ∈ (Z/(2D)Z)^2 ; f(x, y) は 2D と素 } の元全体
を動く。
>>796 により s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f, α, γ) は
t → ∞ のときの lim T/t に等しい。
ここで
T は集合 { (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t } の元の
個数である。
851 :132人目の素数さん:2007/07/23(月) 08:56:45
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | | /  ̄ ̄ ̄ ̄ /_____ / /ヽ__// / やらないか / / / / / / / / ____ / / / / / / / / / / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
852 :132人目の素数さん:2007/07/23(月) 09:00:00
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | | /  ̄ ̄ ̄ ̄ /_____ / /ヽ__// / 頼むよクンマー / / / / / / / / ____ / / / / / / / / / / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
853 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 09:12:08
>>850 の続き。
ax^2 + bxy + cy^2 ≦ t は a(x/√t)^2 + b(x/√t)(y/√t) + c(y/√t)^2 ≦ 1 と同値である。
ξ = x/√t η = y/√t とおくと
ξ = (Δ/√t)v + α η = (Δ/√t)w + γ
(v, w) が Z^2 の元を動くと (ξ, η) は幅が h = Δ/√t の格子点 全体を動く。
よって T = |{ (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t }|
は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ t となる格子点 (ξ, η) の個数である。
D < 0 だから方程式 aξ^2 + bξη + cη^2 = t で定義される図形は 楕円である(すぐ後で復習する)。
この楕円の面積 S は (h^2)T = ((Δ^2)/t)T で近似され、 h → 0 のとき lim (h^2)T = S である。 よって t → ∞ のとき lim ((Δ^2)/t)T = S である。 よって lim T/t = S/Δ^2 となる。
854 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 09:17:30
訂正
>>853
>よって T = |{ (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t }|
>は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ t となる格子点 (ξ, η) の個数である。
>
>D < 0 だから方程式 aξ^2 + bξη + cη^2 = t で定義される図形は
>楕円である(すぐ後で復習する)。
よって T = |{ (v, w) ∈ Z^2 ; f(Δv + α, Δw + γ) ≦ t }|
は aξ^2 + bξη + cη^2 ≦ 1 となる格子点 (ξ, η) の個数である。
D < 0 だから方程式 aξ^2 + bξη + cη^2 = 1 で定義される図形は 楕円である(すぐ後で復習する)。
855 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 10:09:31
ここで対称行列の直交行列による対角化について復習する。 n ≧ 1 を有理整数とする。
X と Y を複素数を成分とした n 次の列ベクトルとしたとき (X, Y) は (X^)Y~ を表すとする。ここで X^ は X の転置行列、 Y~ は Y の複素共役を表す。
例えば n = 2 のとき、 X = (x_1, x_2)^ Y = (y_1, y_2)^ とすると、 (X, Y) = x_1(y_1)~ + x_2(y_2)~ である。
T を n 次の実対称行列とする。 X を n 次の列ベクトルとしたとき (TX, X) = (TX)^X~ = X^T^X~ = X^TX~ = (X, TX) である。
856 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 10:15:06
命題 n ≧ 1 を有理整数とする。 T を n 次の実対称行列とする。 T のすべての固有値は実数である。
証明 λ を T の固有値とする。 TX = λX となる n 次の列ベクトル X ≠ 0 がある。 (TX, X) = (λX, X) = λ(X, X) (X, TX) = (X, λX) = λ~(X, X)
>>855 より (TX, X) = (X, TX) だから λ(X, X) = λ~(X, X) (X, X) ≠ 0 だから λ = λ~ よって λ は実数である。 証明終
857 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:14:24
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 >>855 により V の元 x, y に対して内積 (x, y) が定義される。 (x, y) = 0 のとき x と y は直交するという。
W_1 と W_2 を V の部分ベクトル空間とする。 任意の x ∈ W_1 と 任意の y ∈ W_2 に対して (x, y) = 0 となるとき W_1 と W_2 は直交するという。
V の元の列 e_1, . . . , e_r が各 i で (e_i, e_i) = 1 で i ≠ j のとき (e_i, e_i) = 0 とるとき e_1, . . . , e_r を 正規直交系と呼ぶ。
W を V の部分ベクトル空間とする。 W の基底 e_1, . . . , e_r が正規直交系となるとき e_1, . . . , e_r を W の正規直交基底という。
V の元の列 x_1, . . . , x_k があるとき、それらで生成される V の部分ベクトル空間を <x_1, . . . , x_k> と書く。
以上の定義は V が n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間の 場合も同様に適用する。
858 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:27:42
補題 V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 V の元の列 e_1, . . . , e_r が正規直交系(>>857)であるとする。
x ∈ V - <e_1, . . . , e_r> とする。 このとき V の元 e_(r+1) があり、e_1, . . . , e_r, e_(r+1) が 正規直交系になり、 <e_1, . . . , e_r, x> = <e_1, . . . , e_r, e_(r+1)> となる。
y = x - (x, e_1)e_1 - . . . - (x, e_r)e_r とおく。 x ∈ V - <e_1, . . . , e_r> だから y ≠ 0 である。
1 ≦ i ≦ e_i のとき (y, e_i ) = 0 である。 よって e_(r+ 1) = y/√(y, y) とおけばよい。 証明終
859 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:32:45
訂正
>>857 >V の元の列 e_1, . . . , e_r が各 i で (e_i, e_i) = 1 で >i ≠ j のとき (e_i, e_i) = 0 とるとき e_1, . . . , e_r を >正規直交系と呼ぶ。
V の元の列 e_1, . . . , e_r が各 i で (e_i, e_i) = 1 で i ≠ j のとき (e_i, e_j) = 0 となるとき e_1, . . . , e_r を 正規直交系と呼ぶ。
860 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 11:56:06
命題(Gram-Schmidtの直交化法) V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 V の元の列 x_1, . . . , x_r が一次独立とする。
このとき正規直交系 e_1, . . . , e_r が存在して <x_1, . . . , x_r> = <e_1, . . . , e_r> となる。
証明 e_1 = x_1/√(x_1, x_1) とおく。 <e_1> = <x_1> で (e_1, e_1) = 1 である。
>>858 より <e_1, x_2> = <e_1, e_2> となる正規直交系 e_1, e_2 が ある。
これを繰り返せばよい。 証明終
861 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 12:18:53
V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。
W⊥ = { x ∈ V ; 任意の y ∈ W に対して (x, y) = 0 }
と書く。
明らかに W⊥ は V の部分ベクトル空間である。
W⊥ を W の直交補空間と呼ぶ。
862 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 12:28:10
命題 V を n 次の複素列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。 W⊥ を W の直交補空間とする(>>861)
V = W + W⊥ (直和) である。
証明 >>860 より W の正規直交基底 e_1, . . . , e_r が存在する。
x ∈ V のとき y = (x, e_1)e_1 + . . . + (x, e_r)e_r とおく。 各 i に対して (y, e_i) = (x, e_i) である。 よって (x - y, e_i) = 0 である。 よって x - y ∈ W⊥ である。 y ∈ W だから x = y + (x - y) ∈ W + W⊥ である。
z ∈ W ∩ W⊥ なら (z, z) = 0 となり z = 0 よって V = W + W⊥ (直和) である。 証明終
863 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:11:34
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。
f を W の一次変換で、任意の x, y ∈ W に対して (f(x), y) = (x, f(y)) となるとき f を W の対称変換と言う。
864 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:31:56
命題 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。
f を W の一次変換とする。
f が W の対称変換(>>863)なら、W の任意の正規直交基底に関する f の 行列は対称行列である。
逆に W のある正規直交基底に関する f の行列が対称行列なら f は対称変換である。
証明 e_1, . . . , e_r を W の正規直交基底とする。
この基底に関する f の行列を T = (a_(i, j)) とする。
f(e_j) = a_(1, j)e_1 + . . . + a_(r, j)e_r である。
よって (f(e_j), e_i) = a_(i, j) (e_j, f(e_i)) = a_(j, i)
よって a_(i, j) = a_(j, i) である。 即ち T は対称行列である。
逆に T が対称行列なら (f(e_j), e_i) = (e_j, f(e_i)) となって、 f は対称変換である。 証明終
865 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:36:45
命題 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 W を V の部分ベクトル空間とする。
f を W の対称変換とする。
f の固有値は全て実数である。
証明 >>860 より W は正規直交基底をもつ。 >>864 より、この基底に関する行列は対称行列である。 よって >>856 より f の固有値は全て実数である。 証明終
866 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:44:23
補題 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 f を V の対称変換(>>863)とする。
W を V の部分ベクトル空間で f(W) ⊂ W とする。 このとき f(W⊥) ⊂ W⊥ である。
ここで W⊥ は W の直交補空間(>>861)である。
証明 x ∈ W⊥ とする。y ∈ W のとき f(y) ∈ W だから (f(x), y) = (x, f(y)) = 0 よって f(x) ∈ W⊥ である。 証明終
867 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 13:50:31
命題
T を n 次の実対称行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
T の相異なる固有値を λ_1, . . , λ_r とする。
各 i に対して W_i = { x ∈ V; Tx = (λ_i)x } とおく。
各 W_i は V の部分ベクトル空間で、W_i ≠ 0 で i ≠ j なら W_i と W_j は直交する。
証明 >>856 より各 λ_i は実数だから W_i ≠ 0 である。 i ≠ j で x ∈ W_i, y ∈ W_j とする。
Tx = (λ_i)x Ty = (λ_j)y となる。
(Tx, y) = λ_i(x, y) (x, Ty) = λ_j(x, y)
T は対象行列だから >>855 より (Tx, y) = (x, Ty) である。 よって λ_i(x, y) = λ_j(x, y) よって (λ_i - λ_j)(x, y) = 0 λ_i ≠ λ_j だから (x, y) = 0 よって W_i と W_j は直交する。 証明終
868 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 14:04:29
命題
T を n 次の実対称行列とする。
V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
T の相異なる固有値を λ_1, . . , λ_r とする。
各 i に対して W_i = { x ∈ V; Tx = (λ_i)x } とおく。
各 W_i は V の部分ベクトル空間で、W_i ≠ 0 で i ≠ j なら W_i と W_j は直交し、 V = W_1 + . . . + W_r (直和) である。
証明 >>867 より i ≠ j なら W_i と W_j は直交する。
よって W_1 + . . . + W_(i-1) と W_i は直交する。 よって W_1 + . . . + W_(i-1) ∩ W_i = 0 である。 よって W = W_1 + . . . + W_r (直和) である。
>>862 より V = W + W⊥ (直和) である。
T(W) ⊂ W だから >>866 より T(W⊥) ⊂ W⊥ である。 よって T は W⊥ に対称変換 g を引き起こす。 W⊥ ≠ 0 なら >>865 より g は実固有値 μ をもつ。 これは T の固有値でもあるから μ はある λ_i と一致する。 よって W⊥ の元 x ≠ 0 で T(x) = (λ_i)x となるものがある。 x ∈ W_i であるが、これは V = W + W⊥ (直和) に反する。
よって W⊥ = 0 である。 よって V = W である。 証明終
869 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 14:21:19
T を n 次の実正方行列で (T^)T = E のとき T を直交行列という。 ここで T^ は T の転置行列で E は単位行列である。
870 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 14:36:26
T を直交行列とする。 (T^)T = E より det(T^)det(T) = det(T)^2 = 1 よって det(T) = ±1 である。 特に T は正則行列である。
よって T の逆行列 T^(-1) が存在する。 よって T^ = T^(-1) となる。 よって TT^ = E となる。
871 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 15:09:29
補題 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
x ∈ V として (x, y) = 0 が全ての y ∈ V で成り立てば x = 0 である。
証明 e_1, . . . , e_n を V の標準基底とする。 即ち e_i = (δ_(i, 1), , . . . , δ_(i, n))^ である。 ここで δ_(i, j) は Kronecker のデルタである。
x = (x_1, . . . , x_n)^ とする。 仮定より (x, e_i) = x_i = 0 である。
よって x = 0 である。 証明終
872 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 15:55:28
命題 T を n 次正方行列とする。 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
以下の条件は同値である。
1) T は直交行列である。 2) 任意の x ∈ V に対して (Tx, Tx) = (x, x) 3) 任意の x, y ∈ V に対して (Tx, Ty) = (x, y) 4) T の列ベクトルを x_1, . . . , x_n とすると、 これ等は正規直交系(>>857)である。
証明 1) ⇒ 2) : (Tx, Tx) = (Tx)^Tx = x^T^Tx = x^x = (x, x)
2) ⇒ 3) : (T(x + y), T(x + y)) = (Tx, Tx) + 2(Tx, Ty) + (Ty, Ty) (x + y, x + y) = (x, x) + 2(x, y) + (y, y) よって 2) から 2(Tx, Ty) = 2(x, y) よって (Tx, Ty) = (x, y)
3) ⇒ 1) : (Tx, Ty) = (Tx)^Ty = x^T^Ty = (x, T^Ty) = (x, y) よって (x, (T^T - E)y) = 0 x は任意だから >>871 より (T^T - E)y = 0 y は任意だから T^T - E = 0 よって T^T = E
(続く)
873 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 15:56:55
>>872 の続き。
3) ⇒ 4) : e_1, . . . , e_n を V の標準基底とする。 即ち e_i = (δ_(i, 1), , . . . , δ_(i, n))^ である。 ここで δ_(i, j) は Kronecker のデルタである。
Te_i = x_i である。 よって (x_i, x_j ) = (Te_i, Te_j) = (e_i, e_j) = δ_(i, j) x_1, . . . , x_n は正規直交系である。
4) ⇒ 3) : (x_i, x_j ) = (Te_i, Te_j) = δ_(i, j) よって (Te_i, Te_j) = (e_i, e_j) x = Σ(x_i)e_i y = Σ(y_j)e_j
(Tx, Ty) = Σ(x_i)(y_j)(Te_i, Te_j) = Σ(x_i)(y_j)(e_i, e_j) = Σ(x_i)(y_i) = (x, y)
証明終
874 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:31:00
命題 T を n 次の実対称行列とする。 直交行列 P が存在して P^(-1)TP が対角行列となる。
証明 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 e_1, . . . , e_n を V の標準基底とする。
T の相異なる固有値を λ_1, . . , λ_r とする。
各 i に対して W_i = { x ∈ V; Tx = (λ_i)x } とおく。
>>868 より V = W_1 + . . . + W_r (直和) である。
>>860 より各 W_i に正規直交基底 v_(i, 1), . . . , v_(i, n_i)
が存在する。>>867 より i ≠ j なら W_i と W_j は直交するから
これ等の正規直交基底は、全体として V の正規直交基底となる。
これを v_1, . . . , v_n と書く。
各 v_i は T の固有ベクトルだから T(v_i) = (μ_i)v_i と書ける。
ここで μ_i は λ_1, . . , λ_r のどれかである。
(続く)
875 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:32:38
>>874 の続き。
S を μ_1, . . . , μ_n を対角要素のもつ対角行列とする。 (T(v_1), . . . , T(v_n)) = (v_1, . . . , v_n)S と書ける。
一方 (T(e_1), . . . , T(e_n)) = (e_1, . . . , e_n)T である。
v_1, . . . , v_n を列にもつ行列を P とする。 (v_1, . . . , v_n) = (e_1, . . . , e_n)P である。 >>872 より P は直交行列である。
(v_1, . . . , v_n) = (e_1, . . . , e_n)P の両辺に T を左から 作用させるて (T(v_1), . . . , T(v_n)) = (T(e_1), . . . , T(e_n))P = (e_1, . . . , e_n)TP = (v_1, . . . , v_n)P^(-1)TP
一方 (T(v_1), . . . , T(v_n)) = (v_1, . . . , v_n)S だから P^(-1)TP = S である。 証明終
876 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:51:54
命題 T を n 次の実対称行列とする。 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。 T の固有値がすべて正であるためには V の任意の 0 でない元 x に 対して (Tx, x) > 0 が必要十分である。
証明 >>874 の証明により T の固有ベクトルからなる V の正規直交基底 v_1, . . . , v_n が存在する。 λ_i を T の固有値として T(v_i) = (λ_i)v_i とする。
V の任意の 0 でない元 x をとり、 x = (x_1)v_1 + . . . + (x_n)v_n とする。
(Tx, x) = (λ_1)(x_1)^2 + . . . + (λ_n)(x_n)^2
よって、各λ_i が正なら (Tx, x) > 0 である。
逆に V の任意の 0 でない元 x に対して (Tx, x) > 0 とする。 λ を T の固有値で v をその固有ベクトルとする。 (Tv, v) = λ(v, v) > 0 である。 (v, v) > 0 だから λ > 0 である。 証明終
877 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 19:53:38
>>876 の条件を満たす実対称行列を正値対称行列という。
878 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 20:10:08
そろそろこのスレの容量が危険水域になってるみたいですね。 容量超えるとまずいらしいです。 このスレの残りは軽く埋めたほうがいいかもしれない。
879 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/23(月) 21:02:35
命題 T を n 次の実対称行列とする。 V を n 次の実列ベクトル全体のなすベクトル空間とする。
x ∈ V のとき、 2次形式 (Tx, x) を T[x] と書いた(過去スレ4の277)。
T の固有ベクトルを重複度もこめて λ_1, . . . , λ_n とする。
このとき直交行列 P が存在して、変数変換 x = Py により T[x] = (TPy, Py) = y^P^T^Py = (P^TPy, y) = (P^)TP[y] = (λ_1)(y_1)^2 + . . . + (λ_n)(y_n)^2 となる。
ここで y = (y_1, . . . , y_n)^ である。
証明 >>874 より直交行列 P が存在して P^(-1)TP が対角行列となる。 P は直交行列だから >>870 より P^ = P^(-1) である。 証明終
880 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 01:52:47
P = (p, q)/(r, s) を2次の直交行列とする。 P の列は正規直交系であるから p^2 + r^2 = 1 q^2 + s^2 = 1 pq + rs = 0 である。
z = p + ir とおく。i = √(-1) である。 p^2 + r^2 = 1 だから z = exp(iθ) = (cos(θ) + isin(θ)) と書ける。
w = q + is とおく。ベクトル (p, r) と (q, s) は直交しているから w = exp(iθ ± π/2) である。
よって w = exp(iθ)exp(±π/2) = (cos(θ) + isin(θ))(±i)
よって w = -sin(θ) + i cos(θ) または w = sin(θ) - i cos(θ)
よって P = (cos(θ), -sin(θ))/(sin(θ), cos(θ)) または P = (cos(θ), sin(θ))/(sin(θ), -cos(θ))
A = (cos(θ), -sin(θ))/(sin(θ), cos(θ)) B = (cos(θ), sin(θ))/(sin(θ), -cos(θ)) T = (1, 0)/(0, -1)とおく。 B = AT である。 A は角度 θ の回転であり、T は x 軸を中心とした鏡映変換である。
881 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 02:11:53
ax^2 + bxy + cy^2 を2次形式とする。 ここで a, b, c は実数で D = b^2 - 4ac < 0 とする。 さらに a > 0 とする。
4a(ax^2 + bxy + cy^2) = (2ax + by)^2 - Dy^2
よって (x, y) ≠ (0, 0) なら ax^2 + bxy + cy^2 > 0 である。 よって >>876 より T = (a, b/2)/(b/2, c) の固有値 λ, μ は 正である。
>>879 より ax^2 + bxy + cy^2 は変数変換 (x, y)^ = P(v, w)^ により、 λv^2 + μw^2 となる。
ここで P は直交行列である。もし必要があれば P の列を交換して det(P) = 1 と出来る。このとき >>880 より P は原点を中心とした 回転である。 よって ax^2 + bxy + cy^2 = 1 で定義される図形は、楕円 λv^2 + μw^2 = 1 を回転させたものである。
882 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:34:01
a
883 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:34:37
b
884 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:35:09
c
885 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:35:40
d
886 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:36:10
e
887 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:36:44
f
888 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:37:23
g
889 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:38:20
h
890 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:38:55
i
891 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:39:30
j
892 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:40:13
k
893 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:40:50
l
894 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:41:24
m
895 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:41:55
n
896 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:42:47
o
897 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:43:18
p
898 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:43:48
q
899 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:44:23
r
900 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:45:01
s
901 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:45:32
t
902 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:46:03
u
903 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:46:55
v
904 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:47:28
w
905 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:47:58
x
906 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:49:21
y
907 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 03:50:00
z
908 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 04:10:00
25
909 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 04:11:00
24
910 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 04:12:00
23
911 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 04:13:01
22
912 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 04:14:00
21
913 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 04:15:00
20
914 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 10:19:52
a > 0, c > 0 として ax^2 + cy^2 = 1 で定義される曲線 C で 囲まれる領域の面積 S を求める。
C は楕円(a = c のときは円)である。
y = 0 のとき ax^2 = 1 だから x = ± 1/√a
y^2 = (1/c)(1 - ax^2) = (a/c)(1/a - x^2)
S = 4∫[0, 1/√a] √(a/c)√(1/a - x^2) dx = 4√(a/c)∫[0, 1/√a] √(1/a - x^2) dx
ここで 4∫[0, 1/√a] √(1/a - x^2) dx は 円 x^2 + y^2 = 1/a の 面積であるから π/a^2 である。
よって S = √(a/c)(π/a^2) = π√(1/ac)
915 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 10:28:55
ax^2 + bxy + cy^2 を2次形式とする。 ここで a, b, c は実数で D = b^2 - 4ac < 0 とする。 さらに a > 0 とする。
ax^2 + bxy + cy^2 = 1 で定義される曲線 C で 囲まれる領域の面積 S を求める。
>>881 より S は λx^2 + μy^2 = 1 で定義される曲線 D で 囲まれる領域の面積と同じである。 ここで λ, μ は対称行列 T = (a, b/2)/(b/2, c) の固有値である。
>>914 より S = π/√(λμ)
λμ = det(T) = ac - b^2/4 = (4ac - b^2)/4 = -D/4 = |D|/4 よって S = 2π/√|D|
916 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 10:53:55
>>853 の続きに戻る。
lim T/t = S/Δ^2 であったが、>>915 より S = 2π/√|D| よって lim T/t = 2π/(Δ^2)√|D| である。
>>850 より、これは s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f, α, γ) に等しい。 これは、(α, γ) に無関係である。
G(s, f) = ΣG(s, f, α, γ) である。
よって 集合 { (x, y) ∈ (Z/ΔZ)^2 ; f(x, y) は Δ と素 } の元の
個数を N(Δ) とすれば、
s → 1+0 のときの lim (s - 1) G(s, f) = 2πN(Δ)/(Δ^2)√|D| である。
N(Δ) の値は >>839, >>844, >>845 で求めてある。
>>848 より s → 1+0 のときの lim (s - 1) Σ1/f(x, y)^s = πN(Δ)/(Δ^2)√|D| である。 ここで (x, y) は S(f)/U(f) の代表系を動く。
917 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 11:20:50
D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 さらに |D| > 4 とする。即ち D = -3, -4 を除外する。
C(D) (>>605) の代表系を f_1, . . . , f_h とする。 ただし、各 f_i の第一係数は 2D と素とする。
このように取れることは、>>824 で示してある。
>>789 より
Σ1/f_1(x, y)^s + . . . + Σ1/f_h(x, y)^s = (Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
左辺の各和の (x, y) は S(f_i)/U(f_i) の代表系を動く。 右辺の各和の n は D と素な正の奇数全体を動く。 (D/n) は Jacobi の記号である。
この等式の両辺に (s - 1) を掛けて s → 1+0 のときの lim を取れば、
>>916 より
hπN(Δ)/(Δ^2)√|D| = lim (s - 1)(Σ1/n^s)(Σ(D/n)/n^s)
ここで h = |C(D)| である。
918 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 11:49:49
>>917 の続き
s → 1+0 のとき
lim (s - 1)(Σ1/n^s) = φ(Δ)/Δ lim Σ(D/n)/n^s = Σ(D/n)/n
となることを後で示す。
ここで、 D ≡ 0 (mod 4) のとき Δ = |D|/2 D ≡ 1 (mod 4) のとき Δ = 2|D| である(>>849)。
よって >>917 より
hπN(Δ)/(Δ^2)√|D| = φ(Δ)/ΔΣ(D/n)/n
>>839 より D ≡ 0 (mod 4) のとき N(Δ) = Δφ(Δ) よって hπ/√|D| = Σ(D/n)/n
>>844 より D ≡ 1 (mod 8) のとき N(Δ) = (Δ/2)φ(Δ/2) = (Δ/2)φ(Δ) よって hπ/2√|D| = Σ(D/n)/n
>>845 より D ≡ 5 (mod 8) のとき N(Δ) = 3|D|φ(|D|) = (3/2)Δφ(Δ/2) = (3/2)Δφ(Δ) よって h3π/2√|D| = Σ(D/n)/n
919 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 13:22:08
命題 a > 0, b > 0 を実数とする。 S = Σ1/(b + na)^s = 1/b^s + 1/(b + a)^s + 1/(b + 2a)^s + . . . は s > 1 のとき収束し、 s → 1+0 のとき lim (s-1)S = 1/a となる。
証明 ∫[b, ∞] (1/x^s) dx = 1/(s-1)b^(s-1) これは x 軸と直線 x = b および曲線 y = 1/x^s で囲まれる区域の 面積である。
b + na ≦ x ≦ b + (n+1)a のとき 1/(b + (n+1)a)^s ≦ 1/x^s ≦ 1/(b + na)^s
a/(b+(n+1)a)^s ≦∫[b+na, b+(n+1)a] (1/x^s) dx ≦ a/(b+na)^s この各項を n を 0 から ∞ まで変化させて加えると Σa/(b + (n+1)a)^s ≦ ∫[b, ∞] (1/x^s) dx ≦ Σa/(b + na)^s よって Σa/(b + (n+1)a)^s ≦ 1/(s-1)b^(s-1) ≦ Σa/(b + na)^s
Σa/(b + (n+1)a)^s ≦ 1/(s-1)b^(s-1) の両辺に a/b^s を加えると aS ≦ a/b^s + 1/(s-1)b^(s-1) よって S は s > 1 のとき収束する。
1/(s-1)b^(s-1) ≦ Σa/(b + na)^s より 1/(s-1)b^(s-1) ≦ aS 以上から 1/(s-1)b^(s-1) ≦ aS ≦ a/b^s + 1/(s-1)b^(s-1) この各項に (s-1)/a を掛けて 1/ab^(s-1) ≦ (s-1)S ≦ (s-1)/b^s + 1/ab^(s-1)
よって s → 1+0 のとき 1/a ≦ lim (s-1)S ≦ 1/a 即ち lim (s-1)S = 1/a 証明終
920 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 14:23:12
命題 r > 0 を有理整数として級数 S = Σ1/n^s を考える。 ここで n は r と素な正の有理整数全体を動く。
これは s > 1 のとき収束し、 s → 1+0 のとき lim (s-1)S = φ(r)/r となる。
証明 b を有理整数で r と素で 1 ≦ b < r とする。 >>919 より S(b) = 1/b^s + 1/(b + r)^s + 1/(b + 2r)^s + . . . は s > 1 のとき収束し、 s → 1+0 のとき lim (s-1)S(b) = 1/r となる。
S = ΣS(b) である。 b の個数は φ(r) だから s → 1+0 のとき lim (s-1)S = φ(r)/r となる。 証明終
921 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/24(火) 14:32:34
>>920 より >>918 の lim (s - 1)(Σ1/n^s) = φ(Δ)/Δ が証明された。
922 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:01:23
A
923 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:01:53
B
924 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:02:24
C
925 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:03:24
D
926 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:03:54
E
927 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:04:26
F
928 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:04:56
G
929 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:06:10
H
930 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:06:42
I
931 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:07:55
J
932 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:08:26
K
933 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:08:57
L
934 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:09:28
M
935 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:09:58
N
936 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:10:28
O
937 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:10:58
P
938 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:11:28
Q
939 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:12:32
R
940 :132人目の素数さん:2007/07/24(火) 15:13:04
S
