最終更新日時 2011年03月06日 (日) 21時47分59秒
代数的整数論 005 (536-590)
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536 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 17:31:49
>>535 は間違いなので削除する。
537 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 17:40:57
ある2次体の判別式となるような有理整数を基本判別式という。 即ち次のどちらかを満たす有理整数 D を基本判別式という。
1) D ≡ 1 (mod 4) で D は平方因子を持たない。
2) D = 4m と書ける。 ここで m は平方因子を持たず m ≡ 2, 3 (mod 4) である。
538 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 19:38:27
D を基本判別式(>>537)とする。 f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。 ただし、D < 0 のときは f は正定値(過去スレの293)とする。
Πχ_p(f) = 1 を示そう。ここで p は D を割る素数全体を動く。 χ_p(f) は >>519 で定義したものである。
>>534 より f により固有に表現される数 n で D と素であるもの が存在する。 D < 0 のときは f は正定値だから n > 0 である。
539 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 19:53:34
まず D ≡ 1 (mod 4) の場合を考える。
D > 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。 Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = (n/D) である。
過去スレの895より (n/D) = (-1)^((D-1)/2)((n-1)/2)(D/n)
D ≡ 1 (mod 4) だから (n/D) = (D/n)
過去スレの717より D ≡ r^2 (mod 4n) となる有理整数 r が存在する。 よって n を割る素数 p に対して (D/p) = 1 である。 従って (D/n) = 1 である。 以上をまとめると Πχ_p(n) = (n/D) = (D/n) = 1
n = 2のとき。 Jacobi の記号の定義より Πχ_p(2) = (2/D) である。 過去スレの897より (2/D) = (-1)^((D^2 - 1)/8)
過去スレの717より D ≡ r^2 (mod 8) となる有理整数 r が存在するから。 D ≡ 1 (mod 8) である
よって (-1)^((D^2 - 1)/8) = 1 以上をまとめると Πχ_p(2) = (2/D) = (-1)^((D^2 - 1)/8) = 1
540 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:16:39
n > 0 で n が偶数のとき。
n = (2^s)k の形に書ける。ここで s ≧ 0 で k は奇数である。
Πχ_p(n) = Πχ_p(2)^s Πχ_p(k) である。
過去スレの717より D ≡ r^2 (mod 4n) となる有理整数 r が存在する。 従って、>>539 と同じ論法で Πχ_p(k) = 1 Πχ_p(2) = 1 となる。
従って、Πχ_p(n) = 1 である。
541 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:21:17
n < 0 のとき。
Πχ_p(n) = Πχ_p(-1)Πχ_p(-n)
>>539, >>540 と同様の論法より Πχ_p(-n) = 1 である。
Jacobi の記号の定義より Πχ_p(-1) = (-1/D) である。
過去スレの896より (-1/D) = (-1)^((D-1)/2)
D ≡ 1 (mod 4) だから (-1)^((D-1)/2) = 1 である。 よって Πχ_p(-1) = 1 である。 よって Πχ_p(n) = 1 である。
542 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:35:50
D < 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。 Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = (n/-D) である。
過去スレの895より (n/-D) = (-1)^((-D-1)/2)((n-1)/2)(-D/n)
-D ≡ 3 (mod 4) だから
(n/-D) = (-1)^((n-1)/2)(-D/n)
(-D/n) = (-1/n)(D/n)
過去スレの896より (-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
>>539 と同じ論法で (D/n) = 1 である。
以上をまとめると、 Πχ_p(n) = (n/-D) = (-1)^((n-1)/2)(-D/n) = (D/n) = 1
543 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 20:45:35
D < 0 で n = 2のとき。
Πχ_p(2) = (2/-D) である。
過去スレの895より (2/-D) = (-1)^((D^2 - 1)/8)
>>539 と同じ論法で (-1)^((D^2 - 1)/8) = 1 である。 よって Πχ_p(2) = 1 である。
D < 0 で n が偶数のとき。 >>540 と同じ論法で Πχ_p(n) = 1 である。
D < 0 だから f は正定値だから n は常に正である。 よって >>542 と上記で n のすべての場合を尽くしている。
544 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 21:06:54
次に D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 3 (mod 4) の場合を考える。
m = D/4 とおく。
D > 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。 Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/m) である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^(n-1)/2
過去スレの895より (n/m) = (-1)^((m-1)/2)((n-1)/2)(D/n)
m ≡ 3 (mod 4) だから (n/m) = (-1)^((n-1)/2)(m/n)
よって Πχ_p(n) = (m/n)
過去スレの717より D ≡ r^2 (mod 4n) となる有理整数 r が存在する。 よって m ≡ s^2 (mod n) となる有理整数 s が存在する。 よって (m/n) = 1 である。
以上から Πχ_p(n) = 1 である。
545 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 21:20:08
D > 0 で n = -1 のとき。 Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(-1) = χ_2(-1) (-1/m) である。
>>514 より χ_2(-1) = -1
過去スレの896より (-1/m) = (-1)^((m-1)/2)
m ≡ 3 (mod 4) だから (-1/m) = -1
よって Πχ_p(-1) = 1 である。
546 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 21:41:23
D < 0 の場合。
n > 0 で n は奇数のとき。 Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m) である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^(n-1)/2
過去スレの895より (n/-m) = (-1)^((-m-1)/2)((n-1)/2)(-m/n)
-m ≡ 1 (mod 4) だから (n/-m) = (-m/n)
一方 (-m/n) = (-1/n)(m/n)
過去スレの896より (-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
よって Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m) = (m/n) = 1
547 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 22:19:50
次に D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) の場合を考える。
m = D/4 m' = D/8 とおく。
D > 0 の場合。
n > 0 のとき。 このとき n は奇数である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/m') である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
m ≡ 2 (mod 8) だから m' ≡ 1 (mod 4) である。 よって過去スレの895より (n/m') = (m'/n) である。
よって Πχ_p(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n) である。
過去スレの895より897 (m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから (m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって Πχ_p(n) = 1 である。
548 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 22:27:55
D > 0 で n = -1 のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(-1) = χ_2(-1) (-1/m') である。
>>514 より χ_2(-1) = (-1)^((-1)^2 - 1)/8 = 1
過去スレの896より (-1/m') = (-1)^((m'-1)/2)
m ≡ 2 (mod 8) だから m' ≡ 1 (mod 4) である。 よって (-1/m') = 1
以上から Πχ_p(-1) = 1 である。
549 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:02:54
次に D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 6 (mod 8) の場合を考える。
m = D/4 m' = D/8 とおく。
D > 0 の場合。
n > 0 のとき。 このとき n は奇数である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/m') である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^((n - 1)/2 + (n^2 - 1)/8)
m ≡ 6 (mod 8) だから m' ≡ 3 (mod 4) である。 よって過去スレの895より (n/m') = (-1)^((n - 1)/2) (m'/n) である。
よって Πχ_p(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n) である。
過去スレの897より (m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから (m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって Πχ_p(n) = 1 である。
550 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:08:06
D > 0 で n = -1 のとき。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(-1) = χ_2(-1) (-1/m') である。
>>514 より χ_2(-1) = (-1)^((n - 1)/2 + (n^2 - 1)/8) = -1
過去スレの896より (-1/m') = (-1)^((m'-1)/2)
m ≡ 6 (mod 8) だから m' ≡ 3 (mod 4) よって (-1/m') = -1
以上から Πχ_p(-1) = 1 である。
551 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:25:26
D < 0 のとき。 f は正定値だから n > 0 である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m') である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^((n - 1)/2 + (n^2 - 1)/8)
過去スレの895より (n/-m') = (-1)^((-m'-1)/2)((n-1)/2)(-m'/n)
-m' ≡ 1 (mod 4) だから (n/-m') = (-m'/n)
一方 (-m'/n) = (-1/n)(m'/n)
過去スレの896より (-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
よって Πχ_p(n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
過去スレの897より (m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから (m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって Πχ_p(n) = 1 である。
552 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/06/30(土) 23:35:24
D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) の場合で D < 0 のときを述べていなかった。 f は正定値だから n > 0 である。
Jacobi の記号の定義(過去スレの535)より Πχ_p(n) = χ_2(n) (n/-m') である。
>>514 より χ_2(n) = (-1)^((n^2 - 1)/8)
過去スレの895より (n/-m') = (-1)^((-m'-1)/2)((n-1)/2)(-m'/n)
-m' ≡ 3 (mod 4) だから (n/-m') = (-1)^((n-1)/2)(-m'/n)
一方 (-m'/n) = (-1/n)(m'/n)
過去スレの896より (-1/n) = (-1)^((n-1)/2)
よって Πχ_p(n) = (-1)^((n^2 - 1)/8) (n/-m') = (-1)^((n^2 - 1)/8 + (n-1)/2) (-m'/n) = (-1)^((n^2 - 1)/8) (m'/n)
過去スレの897より (m/n) = (2/n)(m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8 (m'/n)
一方 (m/n) = 1 だから (m'/n) = (-1)^(n^2 - 1)/8
よって Πχ_p(n) = 1 である
553 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 06:57:17
申し訳ないが >>514, >>515 は削除する。 従って、これ等に関係する箇所も削除する。 例えば >>521 など。
554 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 07:35:40
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。
p が D を割る奇素数のとき、有理整数の集合 Z から {±1} への
写像χ_p を χ_p(m) = (m/p) により定義する。
ここで (m/p) は Legendre の記号(過去スレ3の746)である。
D を割る奇素数の全体を p_1, p_2, . . . , p_r とする。
ψ_1, ψ_2 を >>511 で定義したものとする。
D を以下のように場合別けして、χ_p, ψ_1, ψ_2 を要素とする列を 割り当てる。
1) D ≡ 1 (mod 4) のとき、χ_(p_1), . . . , χ_(p_r)
2) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 0 (mod 8) のとき χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_1, ψ_2
3) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 1, 5 (mod 8) のとき χ_(p_1), . . . , χ_(p_r)
4) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 2 (mod 8) のとき χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_2
5) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 3, 4, 7 (mod 8) のとき χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_1
6) D ≡ 0 (mod 4) で D/4 ≡ 6 (mod 8) のとき χ_(p_1), . . . , χ_(p_r), ψ_1ψ_2
これ等の列を判別式 D の種の指標系という。
555 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 10:14:50
判別式 D の種の指標系(>>554)を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
f = ax^2 + bxy + cy^2 を判別式 D の原始的2次形式とする。 ただし、D < 0 のときは f は正定値とする。
>>534 より f により固有に表現される数 m で D と素であるもの が存在する。
>>505 と >>513 より各 Φ_1(m), . . . , Φ_μ(m) は m の取り方に よらず一定である。 よって、これ等を Φ_1(f), . . . , Φ_μ(f) と書く。
g を f と同値な2次形式とすると g により表現される数全体は f のそれと一致する。 従って Φ_1(f), . . . , Φ_μ(f) は f の属す類 C のみで決まる。 よって、これ等を Φ_1(C), . . . , Φ_μ(C) とも書く。
二つの類はこの列が一致するとき同じ種(genus)に属すという。 これは同値関係であり、この同値類を判別式 D の種と呼ぶ (Gauss D.A. art.. 231)。
主類(>>523)の属す種を主種と呼ぶ。
556 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 11:54:59
補題 D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明 過去スレの895より (D/a) = (-1)^((D-1)/2)((a-1)/2)(a/D) (D/b) = (-1)^((D-1)/2)((b-1)/2)(a/D)
D ≡ 1 (mod 4) だから (D-1)/2 ≡ 0 (mnod 2) よって (D/a) = (a/D) (D/b) = (b/D)
a ≡ b (mod D) だから過去スレ4の891より (a/D) = (b/D) である。 証明終
557 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:05:26
補題 D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
補題 過去スレ4の892より (D/a) = (-1/a)(-D/a)
過去スレ4の896より (-1/a) = (-1)^(a-1)/2
過去スレ4の895より (-D/a) = (-1)^((-D-1)/2)((a-1)/2)(a/D)
-D ≡ 3 (mod 4) だから (-D/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/D)
よって (D/a) = (-1/a)(-D/a) = (a/D)
同様に (D/b) = (-1/b)(-D/b) = (b/D)
a ≡ b (mod D) だから過去スレ4の891より (a/D) = (b/D) である。
よって (D/a) = (D/b) である。 証明終
558 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:07:48
>>557 を以下のように訂正する。
補題 D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明 過去スレ4の892より (D/a) = (-1/a)(-D/a)
過去スレ4の896より (-1/a) = (-1)^(a-1)/2
過去スレ4の895より (-D/a) = (-1)^((-D-1)/2)((a-1)/2)(a/D)
-D ≡ 3 (mod 4) だから (-D/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/D)
よって (D/a) = (-1/a)(-D/a) = (a/D)
同様に (D/b) = (-1/b)(-D/b) = (b/D)
a ≡ b (mod D) だから過去スレ4の891より (a/D) = (b/D) である。
よって (D/a) = (D/b) である。 証明終
559 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:41:57
補題 D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 D = (2^α)m と書ける。ここで α ≧ 2、m は正の奇数である。 α は偶数とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明 α が偶数だから (D/a) = (m/a), (D/b) = (m/b)
過去スレ4の895より、 (m/a) = (-1)^((m-1)/2)((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((m-1)/2)((b-1)/2)(b/m)
m ≡ 1 (mod 4) なら (m/a) = (a/m), (m/b) = (b/m)
a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b)
m ≡ 3 (mod 4) なら (m/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((b-1)/2)(b/m)
D ≡ 0 (mod 4) で a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod 4) よって (-1)^((a-1)/2) = (-1)^((b-1)/2)
a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b) 証明終
560 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:48:51
補題 D > 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 D = (2^α)m と書ける。ここで α ≧ 2、m は正の奇数である。 α は奇数とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明 α は奇数だから (D/a) = (2/a)(m/a), (D/b) = (2/b)(m/b) 過去スレ4の895より、 (2/a) = (-1)^((a^2 - 1)/8) (2/b) = (-1)^((b^2 - 1)/8) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod 8) よって (2/a) = (2/b)、よって (m/a) = (m/b) を示せばよい。
過去スレ4の895より、 (m/a) = (-1)^((m-1)/2)((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((m-1)/2)((b-1)/2)(b/m)
m ≡ 1 (mod 4) なら (m/a) = (a/m), (m/b) = (b/m) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b)
m ≡ 3 (mod 4) なら (m/a) = (-1)^((a-1)/2)(a/m) (m/b) = (-1)^((b-1)/2)(b/m)
a ≡ b (mod 4) だから (-1)^((a-1)/2) = (-1)^((b-1)/2) a ≡ b (mod D) だから a ≡ b (mod m) よって (a/m) = (b/m) 即ち (m/a) = (m/b) 証明終
561 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:54:52
補題 D < 0 を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。 ここで (D/a) と (D/b) は Jacobi の記号(過去スレ4の890)である。
証明 D = -(2^α)m と書ける。ここで α ≧ 2、m は正の奇数である。
(D/a) = (-1/a)(-D/a) (D/b) = (-1/b)(-D/b) である。
-D ≡ 0 (mod 4) だから >>559 と >>560 より (-D/a) = (-D/b) である。 よって (-1/a) = (-1/b) を示せばよい。
過去スレ4の896より、 (-1/a) = (-1)^((a-1)/2) (-1/b) = (-1)^((b-1)/2)
a ≡ b (mod 4) だから (-1/a) = (-1/b) である。 証明終
562 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 12:57:55
>>556, >>558, >>559, >>560, >>561 をまとめると次の命題が得られる。
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 a と b を正の奇数で a ≡ b (mod D) とする。 このとき (D/a) = (D/b) である。
563 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 13:32:19
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
(Z/DZ)^* の任意の類 C に対して正の奇数 m を適当にとれば C = [m] と書ける。
証明 D ≡ 0 (mod 4) ならこれは明らかである。
よって D ≡ 1 (mod 4) とする。
(Z/DZ)^* の任意の類 C は [a] と書ける。 ここで a > 0 は D と素である。
a が奇数なら m = a とすればよい。
a が偶数なら m = a + nD とすればよい。 ここで n は奇数で a + nD > 0 となる任意の有理整数である。 証明終
564 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 13:39:26
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
(Z/DZ)^* から {±1} へのアーベル群としての準同型 χ を
以下のように定義する。
>>563 より (Z/DZ)^* の任意の類 C の代表として正の奇数 m が取れる。 χ(C) = (D/m) とする。 >>562 より χ(C) は m の取り方によらない。 これが アーベル群の準同型であることは Jacobi 記号の性質 (過去スレ4の892)から明らかである。
565 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 13:48:37
>>556, >>558, >>559, >>560, >>561, >>562 において a, b はそれぞれ D と素であることを仮定している。
566 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 14:21:58
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
D > 0 のとき χ([-1]) = 1 D < 0 のとき χ([-1]) = -1
証明 1) D > 0 で D ≡ 0 (mod 4) とする。
χ([-1]) = χ([D-1]) = (D/D - 1) = (D - 1 + 1/D - 1) = (1/D - 1) = 1
2) D > 0 で D ≡ 1 (mod 4) とする。 χ([-1]) = χ([2D-1]) = (D/2D - 1) = (2D - 1/D) = (-1/D) = 1
3) D < 0 で D ≡ 0 (mod 4) とする。
-D - 1 ≡ -1 (mod 4) だから χ([-1]) = χ([-D-1]) = (D/-D - 1) = (-(-D - 1) - 1/-D - 1) = (-1/-D - 1) = -1
4) D < 0 で D ≡ 1 (mod 4) とする。
-2D - 1 ≡ -1 (mod 4) だから χ([-1]) = χ([-2D-1]) = (D/-2D - 1) = (-1/-2D - 1)(-D/-2D - 1) = (-2D - 1/-D) = (-1/-D) =-1 証明終
567 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 14:33:39
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
D ≡ 1 (mod 8) のとき χ([2]) = 1 D ≡ 5 (mod 8) のとき χ([2]) = -1
証明 1) D > 0 のとき。
χ([2]) = χ([D + 2]) = (D/D + 2) = (D + 2/D) = (2/D) = (-1)^(D^2 - 1)/8
よって D ≡ 1 (mod 8) のとき χ([2]) = 1 D ≡ 5 (mod 8) のとき χ([2]) = -1
2) D < 0 のとき。 χ([2]) = χ([-D + 2]) = (D/-D + 2) = (-1/-D + 2)(-D/-D + 2) = (-D/-D + 2) = (-D + 2/-D) = (2/-D) = (-1)^(D^2 - 1)/8
よって D ≡ 1 (mod 8) のとき χ([2]) = 1 D ≡ 5 (mod 8) のとき χ([2]) = -1 証明終
568 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 15:24:14
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 m を D と素な奇数とする。
m が判別式 D のある原始的2次形式により固有に表現される (過去スレ4の701)ためには D が m を法として平方剰余になることが 必要十分である。
証明 m が判別式 D のある原始的2次形式により固有に表現されるなら 過去スレ4の717より D は m を法として平方剰余である。
逆に D ≡ b^2 (mod m) となる b があるとする。
m は奇数だから b が偶数なら b + m は奇数であり、 b が奇数なら b + m は偶数である。 よって D と b は偶奇が一致すると仮定してよい。 このとき D ≡ b^2 (mod 4m) となる。 b^2 - D = 4mc とする。
f(x, y) = mx^2 + bxy + cy^2 は判別式 D の2次形式で、 gcd(m, D) = 1 だから f は原始的である。 m = f(1, 0) だから m は f による固有に表現される。 証明終
569 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 15:45:43
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
D を割らない奇素数 p に対して χ([p]) = 1 となるためには p が判別式 D のある原始的2次形式により固有に表現されることが 必要十分である。
証明 χ の定義から χ([p]) = (D/p) である。 よって >>568 より明らかである。 証明終
570 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 21:08:35
命題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
m を D と素な有理整数で、判別式 D の原始的2次形式 f により 表現されるとする。ここで表現は必ずしも固有とは限らない。 さらに、D < 0 のときは f は正定値とする。
ことき χ([m]) = 1 である。
証明 f = ax^2 + bxy + cy^2 とする。 m は f で表現されるから m = as^2 + bst + ct^2 となる有理整数 s, t がある。d = gcd(s, t) とおくと、m = (d^2)n となる n があり n は f により固有に表現される。 χ([m]) = χ([d])^2 χ([n]) = χ([n]) である。 よって m は初めから f により固有に表現されると仮定してよい。
よって過去スレ4の717より D ≡ b^2 (mod 4m) となる有理整数 b が 存在する。
1) D ≡ 0 (mod 4) で m > 0 のとき。
m は D と素だから m は奇数である。 D ≡ b^2 (mod 4m) となる b があるから χ([m]) = (D/m) = (b^2/m) = (b/m)^2 = 1
(続く)
571 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 21:14:59
2) D ≡ 0 (mod 4) で m < 0 のとき。 D < 0 なら、仮定より f は正定値だから m < 0 とはならない。 よって D > 0 である。
m は D と素だから m は奇数である。 D ≡ b^2 (mod 4m) より D ≡ b^2 (mod -m) でもある。 よって χ([-m]) = (D/-m) = (b^2/-m) = (b/-m)^2 = 1
D > 0 だから >>566 より χ([-1]) = 1 である。 よって χ([m]) = χ([-1])χ([-m]) = χ([-1]) = 1
3) D ≡ 1 (mod 4) で m > 0 のとき。 m が奇数なら D ≡ b^2 (mod 4m) より χ([m]) = (D/m) = (b^2/m) = (b/m)^2 = 1
m が偶数なら m = (2^α)n, α ≧ 1, n ≧ 1 は奇数と書ける。 D ≡ b^2 (mod 4m) より D ≡ b^2 (mod n) である。 よって χ(n) = (D/n) = (b^2/n) = (b/n)^2 = 1
よって αが偶数なら χ([m]) = χ(2^α) χ(n) = χ(n) = 1
αが奇数なら χ([m]) = χ(2) χ(n) = χ(2)
D ≡ b^2 (mod 4(2^α)n) だから D ≡ b^2 (mod 8) よって D ≡ 1 (mod 8) である。 >>567 より χ(2) = 1 である。 よって χ([m]) = 1 である。 (続く)
572 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/01(日) 21:17:23
4) D ≡ 1 (mod 4) で m < 0 のとき。 D < 0 なら、仮定より f は正定値だから m < 0 とはならない。 よって D > 0 である。
m が奇数なら D ≡ b^2 (mod 4m) より χ([m]) = χ([-1])χ([-m]) = χ([-1]) = 1
m が偶数なら m = -(2^α)n, α ≧ 1, n ≧ 1 は奇数と書ける。 αが偶数なら χ([m]) = χ([-1])χ(2^α)χ([n]) = χ([-1]) = 1
αが奇数なら χ([m]) = χ([-1])χ(2)χ([n]) = χ(2)
D ≡ b^2 (mod 4(2^α)n) だから D ≡ b^2 (mod 8) よって D ≡ 1 (mod 8) である。 >>567 より χ(2) = 1 である。 よって χ([m]) = 1 である。 証明終
573 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 00:09:23
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。 f = x^2 - (D/4)y^2 を判別式 D の主形式(>>523)とする。 m と n が f により表現されるなら mn もf により表現される。
証明 m = u^2 - (D/4)v^2 となる有理整数 u, v がある。
>>500 より α= u + v(√D)/2 とおく N(α) = (u + v(√D)/2)(u - v(√D)/2) = u^2 - (D/4)v^2 = m
同様に n = z^2 - (D/4)w^2 となる有理整数 z, w がある。 β= z + w(√D)/2 とおく N(β) = (z + w(√D)/2)(z - w(√D)/2) = z^2 - (D/4)w^2 = n
nm = N(α)N(β) = N(αβ) である。
αβ = (u + v(√D)/2)(z + w(√D)/2) = uz + vwD/4 + (uw + vz)(√D)/2
よって N(αβ) = (uz + vwD/4)^2 - (D/4)(uw + vz)^2
よって nm は f により表現される。 証明終
574 :132人目の素数さん:2007/07/02(月) 04:10:01
45
575 :132人目の素数さん:2007/07/02(月) 04:11:00
44
576 :132人目の素数さん:2007/07/02(月) 04:12:00
43
577 :132人目の素数さん:2007/07/02(月) 04:13:00
42
578 :132人目の素数さん:2007/07/02(月) 04:14:01
41
579 :132人目の素数さん:2007/07/02(月) 04:15:00
40
580 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 07:48:43
命題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 f を判別式 D の主形式(>>523)とする。
即ち D ≡ 0 (mod 4) のとき f = x^2 - (D/4)y^2 D ≡ 1 (mod 4) のとき f = x^2 + xy + ((1 - D)/4)D
R を判別式 D 整環とする。
f で表現される有理整数の全体は { N(θ) ; θ ∈ R } と一致する。
証明
D ≡ 0 (mod 4) のとき b = 0 D ≡ 1 (mod 4) のとき b = 1 とおく。
>>242 より f には R = [1, (-b + √D)/2] が対応する。
α = 1 β = (-b + √D)/2 とおく。
>>248 より f(x, y) = N(xα - yβ) 証明終
581 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 07:53:20
>>580 より >>573 が直ちに得られる。 さらに D ≡ 1 (mod 4) の場合も証明される。
補題 D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。 f を判別式 D の主形式(>>523)とする。 m と n が f により表現されるなら mn もf により表現される。
証明 >>580 より明らかである。
582 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 08:02:54
>>580 >>R を判別式 D 整環とする。
R を判別式 D の整環とする。
583 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:15:13
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
>>581 より H は (Z/DZ)^* の部分群である。 さらに >>570 より H は Ker(χ) に含まれる。
584 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:21:10
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0, 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
集合 { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は Ker(χ)/H のある剰余類に含まれる。
証明 >>534 より f により固有に表現される数 n で D と素であるもの が存在する。
過去スレ4の716より f と同値な形式 g = (n, l, k) がある。 f と g がそれぞれ表現する数の全体は一致するから、 f の代わりに g を使ってもよい。 よって初めから、a は D と素であると仮定してよい。
m を D と素な有理整数で、f により表現されるとする。 よって m = f(u, v) となる有理整数 u, v がある。 α = au + (b + √D)v/2 とおく。
N(α) = (au + (b + √D)v/2)(au + (b - √D)v/2) = a^2u^2 + auv(b - √D)/2 + auv(b + √D)/2) + (4acv^2)/4 = a^2u^2 + abuv + acv^2 = am
α は判別式 D の整環の元である。 従って >>580 より [a][m] ∈ H a は D と素であると仮定したから >>570 より [a] ∈ Ker(χ) [m] ∈ [a]^(-1)H 証明終
585 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:39:27
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は Ker(χ)/H のある剰余類に一致する。
証明 >>584 より S ⊂ [a]^(-1)H よって逆の包含関係を証明すればよい。 >>584 の証明と同様の理由により a は D と素であると仮定してよい。 [m] ∈ [a]^(-1)H とする。 [a][m] ∈ H だから am ≡ u^2 - (D/4)v^2 (mod D) となる有理整数 u, v がある。
4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2 D ≡ 0 (mod 4) だから D = b^2 - 4ac より b は偶数である。 よって af(x, y) = (ax + (b/2)y)^2 - (D/4)y^2
w = v u ≡ az + (b/2)w (mod D) を満たす有理整数 z, w を取る。 a は D と素だから、このような z, w は存在する。 af(z, w) ≡ u^2 - (D/4)v^2 (mod D) am ≡ af(z, w) (mod D) よって m ≡ f(z, w) (mod D) よって [a]^(-1)H ⊂ S である。 証明終
586 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 10:51:59
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
χ: (Z/DZ)^* → {±1} を >>564 の準同型とする。
f = (a, b, c) を判別式 D の原始的2次形式とする。
さらに、D < 0 のときは f は正定値と仮定する。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
集合 S = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で f により表現される }
は Ker(χ)/H のある剰余類に一致する。
証明 >>584 より S ⊂ [a]^(-1)H よって逆の包含関係を証明すればよい。 >>584 の証明と同様の理由により a は D と素であると仮定してよい。 [m] ∈ [a]^(-1)H とする。
[a][m] ∈ H だから am ≡ u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2 (mod D) となる有理整数 u, v がある。
4(u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2) ≡ (2u + v)^2 (mod D) よって 4am ≡ (2u + v)^2 (mod D) 一方 4af(x, y) = (2ax + by)^2 - Dy^2
2u + v ≡ 2az + bw (mod D) を満たす z, w を取る(例えば w = 1 として z を求めればよい)。
4af(z, w) ≡ 4am (mod D) f(z, w) ≡ m (mod D) 証明終
587 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 11:23:04
補題
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 1 (mod 4) とする。
H = { [m] ∈ (Z/DZ)^* ; m は D と素で主形式により表現される }
とおく。
G = (Z/DZ)^* とおくと H = G^2 である。
証明
[m] ∈ H とする。 m = u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2 となる有理整数 u, v がある。
4(u^2 + uv + (1 - D)/4)v^2) ≡ (2u + v)^2 (mod D) よって [4m] ∈ G^2 である。 4 は D と素だから [m] ∈ G^2 である。 よって H ⊂ G^2 である。
逆に z を D と素な有理整数とすると、 z^2 は主形式 x^2 + xy + (1 - D)/4)y^2 により表現される (x = z, y = 0 とおけばよい)。 よって G^2 ⊂ H である。 証明終
588 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/02(月) 16:30:41
補題 D を平方数でない有理整数で、D = 2^(a + 2)m とする。 ここで a ≧ 4 で m は奇数である。
K = { [k] ∈ (Z/2^(a + 2)Z)^* ; k は D と素で判別式 D の主形式に
より表現される }
とおく。
G = (Z/2^(a + 2)Z)^* とおくと K = G^2 である。
証明 [k] ∈ K なら k = u^2 - (D/4)v^2 = u^2 - (2^a)mv^2 となる 有理整数 u, v がある。
k は奇数で、(2^a)mv^2 は偶数だから u は奇数である。 よって uz ≡ 1 (mod 2^(a + 2)) となる z がある。
(u - (2^(a-1))mvz)^2 = u^2 - (2^a)mvuz + (2^(2a - 2))(mvz)^2
a ≧ 4 だから 2a - 2 ≧ a + 2
よって (u - (2^(a-1))mvz)^2 ≡ u^2 - (2^a)mv (mod 2^(a + 2))
よって [k] ∈ G^2 である。 よって K ⊂ G^2 である。 逆の包含関係は明らかである。 証明終
589 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 09:05:10
補題
a ≧ 3 を有理整数とする。
G = (Z/(2^a)Z)^* から {±1} へのアーベル群としての準同型 δ、ε
を以下のように定義する。
δ([n]) = (-1)^((n - 1)/2) ε([n]) = (-1)^((n^2 - 1)/8)
このとき x ∈ G が x ∈ G^2 となるためには δ(x) = 1 かつ ε(x) = 1 が必要十分である。
証明 過去スレの834より (Z/(2^a)Z)^* の任意の元は [(-1)^s][5^t] と 一意に書ける。
((-1)^s)5^t ≡ (-1)^s (mod 4) だから δ([(-1)^s][5^t]) = 1 は s が偶数であることと同値である。
ε([5]) = -1 だから δ([5^t]) = 1 は t が偶数であることと 同値である。 以上から本補題の主張は明らかである。 証明終
590 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/03(火) 10:24:03
D を平方数でない有理整数で、D ≡ 0 または 1 (mod 4) とする。 判別式 D の種の指標系(>>554)を Φ_1, . . . , Φ_μ とする。
(Z/DZ)^* の元 [n] に (Φ_1(n), . . . , Φ_μ(n)) を対応させる
ことにより、(Z/DZ)^* から {±1}^μ へのアーベル群としての準同型
が得られる。
これを Φ と書く。
Φ : (Z/DZ)^* → {±1}^μ
