最終更新日時 2011年03月09日 (水) 20時52分43秒
代数的整数論 006 (126-190)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1185363461/126-190
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1185363461/126-190
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126 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 17:26:12
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 K を G の準コンパクトな閉集合とする。 K に含まれる Cauchy 列は K の点に収束する。 即ち K は完備(>>100, >>101)である。
証明 (x_n), n ∈ Z+ を K の元よりなる Cauchy 列とする。
>>123 より (x_n) は X の点 x に収束する部分点列を持つ。 K は閉集合だから x ∈ K である。
>>124 より x = lim x_n である。 証明終
127 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:29:36
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 K を G の全有界かつ完備な部分集合とする。 K は準コンパクトである。
証明 >>106 より K に含まれる任意の点列は Cauchy 点列を部分列に持つ。 K は完備だから K に含まれる Cauchy 点列は常に K の点に 収束する。
従って、K に含まれる任意の点列は K の点に収束する部分列を持つ。
>>120 より K は準コンパクトである。 証明終
128 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:30:10
定義 ハウスドルフ位相空間 X の各点がコンパクトな近傍をもつとき、 X は局所コンパクトであると言う。
129 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:30:42
命題 G を第一可算公理を満たす局所コンパクトアーベル群とする。 G は完備である。
証明 V を G の単位元のコンパクトな近傍とする。 (x_n) を Cauchy 点列とする。
n_0 ∈ Z+ があり、 任意の n, m ≧ n_0 に対して x_n - x_m ∈ V となる。
特に x_n - x_(n_0) ∈ V だから x_n ∈ x_(n_0) + V となる。
x_(n_0) + V はコンパクトだから >>123 より点列 (x_n), n ≧ n_0 は 収束する部分点列を持つ。
>>124 より (x_n), n ≧ n_0 は収束する。 従って、(x_n), n ∈ Z+ も収束する。 即ち、G は完備である。 証明終
130 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:33:11
定義 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。 Φ を X のフィルター(>>76)とする。 G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して V 程度に小さい(>>98) Φ の元があるとき Φ を X の Cauchy フィルターと言う。
X のフィルター基底(>>77) Φ_0 が生成する X のフィルターが Cauchy フィルターのとき Φ_0 を X の Cauchy フィルター基底と言う。
131 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:34:09
定義 X を 位相空間とする。 Φ を X のフィルター(>>76)とする。
X の点 x の近傍全体の作るフィルターが Φ に含まれるとき Φ は x に収束すると言う。 このとき x を Φ の極限点と言う。
X のフィルター基底(>>77) Φ_0 が生成するフィルターが x に 収束するとき Φ_0 は x に収束すると言う。 このとき x を Φ_0 の極限点と言う。
132 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:34:39
定義 X を位相空間とする。 Φ_0 を X のフィルター基底(>>77) とする。
X の点 x が任意の A ∈ Φ_0 の閉包に含まれるとき x を Φ_0 の接触点と言う。
133 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:35:38
定義 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。 Φ を X の Cauchy フィルター(>>130)とする。
Ψ ⊂ Φ となる X の Cauchy フィルター Ψ は Φ に限るとき Φ を X の極小 Cauchy フィルターと言う。
134 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:36:21
定義 G を位相アーベル群とする。 A を G の部分集合とする。 G の単位元 0 の近傍 V に対して V(A) を x + V 全体の共通集合とする。 ここで x は A の点全体を動く。
135 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:39:51
補題 G を位相アーベル群とする。 A を G の部分集合とする。 G の単位元 0 の対称近傍(>>92) V に対して A が V 程度に小さければ(>>98) V(A) は 3V = V + V + V 程度に小さい。
証明 x と y を V(A) の元とする。
x = a + v, a ∈ A, v ∈ V y = b + w, b ∈ A, w ∈ W と書ける。
x - y = a - b + v - w ∈ V + V + V よって V(A) は 3V 程度に小さい。 証明終
136 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 19:42:27
命題 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。 Φ を X の Cauchy フィルター(>>130)とする。 Φ_0 を Φ のフィルター基底とする。
V を G の単位元 0 の対称基本近傍系 Γ 全体を動かし、 M を Φ_0 の元全体を動かしたときの V(M) ∩ X 全体を Ψ_0 とする。
Ψ_0 は X の Cauchy フィルター基底(>>130)であり、 Ψ_0 が生成する X のフィルター Ψ は Φ に含まれる X の唯一の極小 Cauchy フィルター(>>133)である。
証明 M, N を Φ_0 の元とし、 V, W を Γ の元とする。
L ⊂ M ∩ N となる L ∈ Φ_0 と U ⊂ V ∩ W となる U ∈ Γ がある。
U(L) ⊂ V(M) ∩ W(N) である。
従って、 U(L) ∩ X ⊂ V(M) ∩ W(N) ∩ X である。
よって Ψ_0 は X の Cauchy フィルター基底である。
(続く)
137 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 20:27:01
>>135 より M が V 程度に小さければ V(M) ∩ X は 3V 程度に小さい。
よって Ψ_0 は X の Cauchy フィルター基底である。 M ⊂ V(M) ∩ X だから Ψ_0 ⊂ Φ である。
Δ を Cauchy フィルターで Δ ⊂ Φ とする。
任意の M ∈ Φ_0 V ∈ Γ に対して
V 程度に小さい N ∈ Δ がある。 Δ ⊂ Φ だから N と M は交わる。 よって N ⊂ V(M) ∩ X となり、V(M) ∩ X ∈ Δ となる。 よって Ψ_0 ⊂ Δ となる。
これは Ψ_0 が Φ に含まれる唯一の極小 Cauchy フィルター であることを意味する。 証明終
138 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 20:38:43
命題 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。 Φ を X の Cauchy フィルター(>>130)とする。 Φ_0 を Φ のフィルター基底とする。
Φ が X の 極小 Cauchy フィルターであるためには 任意の N ∈ Φ に対して M ∈ Φ_0 と G の単位元 0 の対称近傍 V があり、V(M) ∩ X ⊂ N となることが必要十分である。
証明 >>136 より明らかである。
139 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 20:57:02
命題 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。
x を X の点とする。 G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して (x + V) ∩ X の全体 Φ は X の 極小 Cauchy フィルターである。
証明 Φ がフィルターであることは明らかである。
G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して W + W ⊂ V となる 0 の対称近傍 W を取る。
W(x + W) = x + W + W ⊂ x + V
よって >>138 より Φ は極小 Cauchy フィルターである。 証明終
140 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 21:12:19
命題 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。
X の Cauchy フィルター基底 Φ_0 が X の点 x を接触点に持てば、 x は Φ_0 の極限点である。
証明 G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して W + W ⊂ V となる 0 の近傍 W がある。
Φ_0 はCauchy フィルター基底だから W 程度に小さい(>>98) M ∈ Φ_0 がある。
x + W と M は交わるから M の元 z があり、z - x ∈ W となる。 y ∈ M なら y - z ∈ W である。 従って、 y - x = y - z + z - x ∈ W + W ⊂ V よって y ∈ x + V 即ち M ⊂ x + V よって x は Φ_0 の極限点である。 証明終
141 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 21:26:26
命題 X を位相空間とする。 Φ と Ψ を X のフィルターで、Φ ⊂ Ψ とする。
Φ の極限点(>>131)は Ψ の極限点である。 Ψ の接触点(>>132)は Φ の接触点である。
証明 定義(>>131, >>132)より明らかである。
142 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 21:55:17
命題 G を位相アーベル群とする。 X を G の部分空間とする。 X の任意の Cauchy 点列が収束するとする。 このとき X の任意の可算な Cauchy フィルター基底も収束する。
証明 (F_n), n ∈ Z+ を可算な Cauchy フィルター基底とする。 (F_n) が生成するフィルターを Φ とする。 A_n = F_0 ∩. . . ∩F_n とする。 (A_n), n ∈ Z+ が生成するフィルターも Φ である。
各 A_n から点 x_n を取り出し点列 (x_n) を作る。 (A_n) は Cauchy フィルター基底だから (x_n) は Cauchy 点列(>>88) である。
B_n = {x_n, x_(n+1), . . . } とおく。
(B_n), n ∈ Z+ は X の可算なフィルター基底である。
(B_n) が生成するフィルターを Ψ とする。
B_n ⊂ A_n だから Φ ⊂ Ψ である。
点列 (x_n) は Cauchy 点列だから収束する。 従って (B_n) も収束する。 従って Ψ も収束する。 Ψ の収束点は Ψ の接触点だから >>141 より Φ の接触点でもある。 >>140 より、これは Φ の極限点である。 証明終
143 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 22:06:56
注意 >>142 では G での第一可算公理を仮定していない。
144 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 22:07:57
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 X を G の部分空間で完備(>>100)とする。
X の任意の Cauchy フィルターは X において収束する。
証明 (V_n), n ∈ Z+ を G の単位元の基本近傍系とする。
Φ を X の Cauchy フィルターとする。
A_n を V_n 程度に小さい(>>98) Φ の元とする。 (A_n), n ∈ Z+ は Cauchy フィルター基底である。 (A_n), n ∈ Z+ が生成する Cauchy フィルターを Ψ とする。 Ψ ⊂ Φ である。 >>142 より Ψ は収束するから Φ も収束する。 証明終
145 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 22:10:01
定義 G を位相アーベル群とする。 G の部分空間 X に含まれる Cauchy フィルター(>>130)が常に X の点に 収束するとき X を完備という。
146 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 22:11:14
>>144 より >>145 の定義は >>101 の定義と矛盾しない。
147 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 22:20:53
定義 G を位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
G のある元 S が存在して、 G の単位元の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して S(J) ∈ S + V となるとき、族 (x_i) は総和可能といい、 S をその和と呼ぶ。 このとき S = Σx_i と書く。
148 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 22:23:35
訂正 >>147 >G を位相アーベル群とする。
G を分離的(>>73)な位相アーベル群とする。
149 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 23:25:49
命題 X をハウスドルフ空間(>>83)とする。 X のフィルターが収束(>>131)するときその極限点は一意に決まる。
証明 Φ を X のフィルターで、x と y を Φ の極限点とする。 x ≠ y と仮定する。 x と y のそれぞれの近傍 V, W で交わらないものがある。
V と W は Φ の元だから V ∩ W も Φ の元であり空でない。 これは矛盾である。 証明終
150 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 23:37:35
命題 G を分離的(>>73)な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
族 (x_i) が総和可能なら、その和は一意に決まる。
証明 I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。
J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
J ∈ Φ(I) に対して Ψ(J) = {S(K): J ⊂ K, K ∈ Φ(I)} とおく。
Ψ_0 = {Ψ(J); J ∈ Φ(I)} は G のフィルター基底である。
族 (x_i) が総和可能で、その和が x であることと Ψ_0 が収束してその極限点が x であることは同値である。
G はハウスドルフ空間である(>>85)から >>149 より Ψ_0 の極限点は一意に決まる。 証明終
151 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/03(金) 23:49:47
命題(>>28 の一般化) G を分離的(>>73)な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。 K を集合として、φ : K → I を同型、即ち全単射とする。 族 (x_i) が総和可能(>>147) なら 族 (x_φ(k))) も総和可能であり、 Σx_i = Σx_φ(k) となる。
証明 S = Σx_i とする。 I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
同様に K の有限部分集合全体の集合を Φ(K) とする。 H ∈ Φ(K) に対して T(H) = Σx_φ(k) とおく。 ここで右辺の和の k は H の元全体を動く。 H が空集合のときは T(H) = 0 とする。 T(H) = S(φ(H)) である。
G の単位元の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して S(J) ∈ S + V となる。
H_0 = φ^(-1)(J_0) とおく。 H_0 ⊂ H となる H ∈ Φ(K) に対して J = φ(H) とおく。 φ は全単射だから J_0 = φ(H_0) である。 H_0 ⊂ H だから J_0 ⊂ J である。 よって S(J) = S(φ(H)) ∈ S + V 即ち、T(H) ∈ S + V これは S = Σx_φ(k) を意味する。 証明終
152 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 00:09:11
命題(>>29 の一般化) G を分離的な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。
G の単位元の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら S(K) ∈ V となる。
証明 W + W ⊂ V となる 0 の対称近傍 W がある。 J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して S(J) ∈ S + W となる。
J - J_0 = K とおく。 S(J) = S(J_0) + S(K) である。
S(K) = S(J) - S(J_0) = S(J) - S + S - S(J_0) ∈ W + W ⊂ V 証明終
153 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 00:36:08
定義(Cauchy の判定条件) G を分離的な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
次の条件を Cauchy の判定条件と言う。
G の単位元の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら S(K) ∈ V となる。
154 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 00:41:57
命題 G を分離的な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
(x_i) が総和可能なら G の単位元の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、i ∈ I - J_0 なら x_i ∈ V となる。
証明 >>152 より明らかである。
155 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 01:12:43
命題
X をハウスドルフ空間とする。
x を X の任意の点とする。
x のすべての近傍の共通部分は {x} である。
証明
x のすべての近傍の共通部分を Y とする。
y ∈ Y で y ≠ x とすると、
x の近傍 V で y を含まないものがあるから、これは矛盾である。
よって Y = {x} である。
証明終
156 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 01:23:39
命題 G を第一可算公理を満たす分離的な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
(x_i) が総和可能なら x_i ≠ 0 となる i の集合は高々可算である。
証明 (V_n), n ∈ Z+ を G の単位元の基本近傍系とする。
x_i が V_n に含まれないような i の集合を H_n とする。
>>155 より V_n 全体の共通部分は {0} であるから
x_i ≠ 0 となる i の集合 H は H_n の和集合となる。
>>154 より H_n は有限集合である。
従って H は高々可算である。
証明終
157 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 01:38:21
命題 G を分離的な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
J ∈ Φ(I) に対して Ψ(J) = {S(K): J ⊂ K, K ∈ Φ(I)} とおく。
Ψ_0 = {Ψ(J); J ∈ Φ(I)} は G のフィルター基底である。
(x_i), i ∈ I が Cauchy の判定条件(>>153)を満たせば、 Ψ_0 は Cauchy フィルター基底(>>130)である。
証明 G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して W + W ⊂ V となる 0 の対称近傍 W をとる。
Cauchy の判定条件(>>153)より J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら S(K) ∈ W となる。
J_0 ⊂ J なら K = J - J_0 とおくと S(K) = S(J) - S(J_0) ∈ W となる。
同様に J_0 ⊂ J_1 なら K_1 = J_1 - J_0 とおくと S(K_1) = S(J_1) - S(J_0) ∈ W となる。
よって S(J_1) - S(J) = S(J_1) - S(J_0) + S(J_0) - S(J) ∈ W + W ⊂ V よって Ψ_0 は Cauchy フィルター基底である。 証明終
158 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 01:45:44
命題(Cauchy の定理) G を分離的かつ完備な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
(x_i), i ∈ I が Cauchy の判定条件(>>153)を満たせば、 (x_i), i ∈ I は総和可能である。
証明
J ∈ Φ(I) に対して Ψ(J) = {S(K): J ⊂ K, K ∈ Φ(I)} とおく。
Ψ_0 = {Ψ(J); J ∈ Φ(I)} は G のフィルター基底である。
>>157 より Ψ_0 は Cauchy フィルター基底(>>130)である。 G は完備(>>145)だから Ψ_0 は収束する。 よって (x_i), i ∈ I は総和可能である。 証明終
159 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 02:31:11
命題(>>42の一般化) G を分離的かつ完備な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。
H を I の任意の部分集合とする。 H を添字集合とする部分族 (x_i), i ∈ H は総和可能である。
証明 >>152 より族 (x_i), i ∈ I は Cauchy の判定条件(>>153)を満たす。 即ち、G の単位元の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 K ∈ Φ(I) で J_0 ∩ K が空集合なら S(K) ∈ V となる。
L ∈ Φ(H) で (J_0 ∩ H) ∩ L = J_0 ∩ L が空集合なら S(L) ∈ V となる。 即ち、部分族 (x_i), i ∈ H もCauchy の総和可能判定条件を満たす。 従って、>>158 より (x_i), i ∈ H は総和可能である。 証明終
160 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 08:58:38
訂正
>>134 >V(A) を x + V 全体の共通集合とする。
V(A) を x + V 全体の和集合とする。 ここで x は A の点全体を動く。 即ち V(A) = A + V である。
161 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:11:37
命題
G を位相群とする。
Ψ_0 を G の単位元の基本近傍系とする。
A を G の空でない部分集合とする。
{VA ; V ∈ Ψ_0} の共通部分は A の閉包である。
証明
{VA ; V ∈ Ψ_0} の共通部分を B とする。
x ∈ B は 任意の V ∈ Ψ_0 に対して x ∈ VA と同値である。 これは任意の V ∈ Ψ_0 に対して V^(-1)x が A と交わることと 同値である。 これは x が A の閉包に属すことと同値である。 証明終
162 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:22:03
命題 G を位相群とする。 A を G の空でない部分集合とする。 V を単位元の任意の近傍とする。
このとき cls(A) ⊂ VA である。 ここで cls(A) は A の閉包を表す。
証明 >>161 より明らかである。
163 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:27:06
命題 G を位相群とする。 単位元の閉近傍全体は単位元の基本近傍系である。
証明 V を単位元の任意の近傍とする。 W^2 ⊂ V となる単位元の近傍 W がある。 >>162 より cls(W) ⊂ W^2 である。 証明終
164 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:33:34
命題(>>43の一般化) G を分離的かつ完備な位相アーベル群とする。 I を(可算とは限らない)任意の集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。 族 (x_i) は総和可能(>>25)とする。 S = Σx_i をその和とする。
(I_λ), λ ∈ L を I の任意の分割とする。 即ち I = ∪I_λ, λ ∈ L で λ ≠ μ なら I_λ ∩ I_μ は空集合 である。
>>159 より部分族 (x_i), i ∈ I_λ は総和可能である。 この和を S_λ とする。
族 (S_λ), λ ∈ L は総和可能で、その和 ΣS_λ は S = Σx_i に 等しい。
証明 K ∈ Φ(L) に対して T(K) = ΣS_λ とおく。 ここで右辺の和の λ は K の元全体を動く。 K が空集合のときは T(K) = 0 とする。
(続く)
165 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:35:18
即ち、G の単位元の任意の対称近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して S - S(J) ∈ V となる。
K_0 = {λ ∈ L ; J_λ = I_λ ∩ J_0 が空でない } とおく。
K を L の有限部分集合で K_0 ⊂ K とする。
>>163 より単位元の閉近傍全体は基本近傍系であるから S - T(K) ∈ cls(V) を示せばよい。
G の単位元の任意の対称近傍 W に対して 各 λ ∈ K に対して J_λ ⊂ H_λ ⊂ I_λ となる有限部分集合 H_λ が存在して S_λ - (H_λ) ∈ W となる。
J = ∪H_λ, λ ∈ K とおく。J は I の有限部分集合で J_0 を含む。
S(J) = ΣT(H_λ), λ ∈ K である。
S - T(K) = S - ΣS_λ = S - Σ(S_λ - T(H_λ)) - ΣT(H_λ) = S - S(J) - Σ(S_λ - T(H_λ)) ∈ V + nW
n は K の元の個数である。 W はいくらで小さく出来るから >>161 より S - T(K) ∈ cls(V) となる。 証明終
166 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:48:03
命題(総和記号の交換) G を分離的かつ完備な位相アーベル群とする。 L と M を任意の集合とする。
(x_(λ,μ)), (λ,μ) ∈ L×M を L×M を添字集合とする G の元の族とする。 (x_(λ,μ)) が総和可能なら
Σx_(λ,μ) = Σ(Σx_(λ,μ), μ ∈ M), λ ∈ L = Σ(Σx_(λ,μ), λ ∈ L), μ ∈ M
となる。
証明
L×M は ({λ}×M), λ ∈ L により分割される。
>>164 より Σx_(λ,μ) = Σ(Σx_(λ,μ), μ ∈ M), λ ∈ L
である。
同様に、(L×{μ}), μ ∈ M により分割される。
>>164 より Σx_(λ,μ) = Σ(Σx_(λ,μ), λ ∈ L), μ ∈ M
である。
証明終
167 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:54:56
命題(>>58の一般化) G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。
(I_λ), λ ∈ L を I の有限な分割とする。 即ち、L は有限集合で、I = ∪I_λ で λ ≠ μ なら I_λ ∩ I_μ は空集合である。
I_λ を添字集合とする部分族 (x_i), i ∈ I_λ は総和可能とする。 この和を S_λ とする。
このとき (x_i), i ∈ I は総和可能で S = Σx_i をその和とすると、S = ΣS_λ である。
証明
L = {1, 2} の場合に証明すれば十分である。
I_1 の有限部分集合全体の集合を Φ(I_1) とする。 H_1 ∈ Φ(I_1) に対して S_1(H_1) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は H_1 の元全体を動く。
同様に H_2 ∈ Φ(I_1) に対して S_2(H_2) を定義する。
(続く)
168 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 09:55:44
即ち、G の単位元の任意の対称近傍 V に対して J_1 ∈ Φ(I_1) があり、 J_1 ⊂ H_1 となる任意の H_1 ∈ Φ(I_1) に対して S_1 - S_1(H_1) ∈ V となる。
同様に J_2 ∈ Φ(I_2) があり、 J_2 ⊂ H_2 となる任意の H_2 ∈ Φ(I_2) に対して S_2 - S_2(H_2) ∈ V となる。
J_1 ∪ J_2 ⊂ H とする。
H_1 = H ∩ I_1 H_2 = H ∩ I_2 H = H_1 ∪ H_2
J_1 ⊂ H_1 J_2 ⊂ H_1
S(H) = S_1(H_1) + S_2(H_2) である。
S = S_1 + S_2 とする。
S - S(H) = S_1 - S_1(H_1) + S_2 - S_2(H_2) ∈ V + V 証明終
169 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 10:13:45
定義 位相群 G から位相群 G' への群としての準同型 f が連続なとき f を位相群としての射または単に射と言う。
170 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 10:33:27
(G_i), i ∈ I を I を添字集合とする位相群の族とする。
G = ΠG_i は自然に位相群となる。 これを示そう。
H_i = (G_i)×(G_i) とおく。
f_i : H_i → G_i を f_i(x, y) = xy^(-1) で定義する。 f_i は連続である。
H = ΠH_i とおく。
g: H → G を g((x_i, y_i)) = ((x_i(y_i)^(-1)) で定義する。
G から G_i への射影を p_i とする。 H から H_i への射影を q_i とする。
(p_i)g = (f_i)(q_i) である。
(f_i)(q_i) : H → G_i は連続である。 従って g も連続である。
一方、G×G は位相群として標準的に H に同型である。 この同型を φ とする。 即ち φ((x_i), (y_i)) = ((x_i, y_i))
gφ : G×G → G は連続である。
gφ(x, y) = xy^(-1) である。 従って G は位相群である。
171 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 10:55:31
(G_i), i ∈ I を I を添字集合とする位相群の族とする。 >>170 より G = ΠG_i は自然に位相群となる。
各 i ∈ I に対して p_i : G → G_i を射影とする。
(G, (p_i)) は次の性質 (P) を持つ。
H を位相群とし、各 i ∈ I に対して f_i : H → G_i を位相群としての射(>>169)とする。 このとき射 f: H → G で (p_i)f = f_i となるものが一意に存在する。
性質 (P) の証明は読者にまかす。
位相群 G' と各 i ∈ I に対して射 q_i : G' → G_i があり、 (G', (q_i)) が性質 (P) を持てば
射で α : G → G' で (q_i)α = p_i 射で β : G' → G で (p_i)β = q_i となるものがある。
このとき射の一意性から βα = 1, αβ = 1 となる。 従って G' は G と同型である。
172 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 11:17:51
命題 (X_i), i ∈ I を I を添字集合とする位相空間の族とする。 X = ΠX_i を直積とする。
各 i ∈ I に対して p_i : X → X_i を射影とする。
Φ を X のフィルター基底とする。
Φ が x に収束するためには各 i ∈ I に対して フィルター基底 p_i(Φ) が p_i(x) に収束することが必要十ウンである。
証明 Φ が x に収束するとする。 各 i ∈ I に対して V_i を p_i(x) の任意の近傍とする。 (p_i)^(-1)(V_i) は x の近傍だから M ⊂ (p_i)^(-1)(V_i) となる M ∈ Φ がある。 p_i(M) ⊂ V_i だから p_i(Φ) は p_i(x) に収束する。
逆に各 i ∈ I に対して p_i(Φ) が p_i(x) に収束するとする。
V を x の任意の近傍とする。
有限個の I の元 L = {i_1, . . . , i_n} と
各 k ∈ L に対して p_k(x) の近傍 V_k があり、
∩(p_k)^(-1)(V_k) ⊂ V となる。
各 k ∈ L に対して p_k(M_k) ⊂ V_k となる M_k ∈ Φ がある。 M ⊂ ∩M_k となる M ∈ Φ をとる。 M ∈ Φ で M ⊂ ∩(p_k)^(-1)(V_k) ⊂ V となる。 よって Φ は x に収束する。 証明終
173 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 11:44:59
命題 (G_λ), λ ∈ L を L を添字集合とする分離的な位相アーベル群の 族とする。 G = ΠG_λ は自然に位相アーベル群となる。 G は分離的である。
p_λ : G → G_λ を射影とする。
(x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。 (x_i) が総和可能であるためには各 λ に対して G_λ の元の族 (p_λ(x_i)), i ∈ I が総和可能であることが必要十分である。
このとき S_λ = Σp_λ(x_i) とすると S = (S_λ) は (x_i) の和である。
証明 J を I の有限部分集合とする。
S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元を動く。
p_λ(S(J)) = Σp_λ(x_i) である。 ここで右辺の和の i は J の元を動く。
このことと、>>172 より本命題の主張は直ちに出る。 証明終
174 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 12:08:12
命題 X, Y を位相空間とし、 f : X → Y を連続写像とする。
Φ を X のフィルター基底で x に収束するとする。 このときフィルター基底 f(Φ) は f(x) に収束する。
証明 f(x) の任意の近傍 V をとる。 f^(-1)(V) は x の近傍だから M ∈ Φ があり、 M ⊂ f^(-1)(V) となる。 よって f(M) ⊂ V である。 よって f(Φ) は f(x) に収束する。 証明終
175 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 12:13:17
命題 G と G' を分離的な位相アーベル群とする。 f : G → G' を位相群の射(>>169)とする。
(x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。 (x_i) が総和可能なら (f(x_i)) も総和可能であり、 f(Σx_i) = Σf(x_i) となる。
証明 i が I の有限部分集合 J の元を動くとき f(Σx_i) = Σf(x_i) となる。
これと >>174 より明らかである。 証明終
176 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 12:28:40
命題 G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_i), (y_i) を I を添字集合とする G の元の二つの族とする。
(x_i) と (y_i) は総和可能とする。
n を任意の有理整数とする。 このとき (-x_i), (n(x_i)), (x_i + y_i) はそれぞれ総和可能で
1) Σ(-x_i) = -Σx_i 2) Σn(x_i) = nΣx_i 3) Σ(x_i+ y_i) = Σx_i + Σy_i
となる。
証明 x → -x と x → nx は G から G への射である。
従って 1), 2) は >>175 から出る。
>>173 より (x_i, y_i) は G×G において総和可能であり、 その和は (Σx_i, Σy_i) である。
(x, y) に x + y を対応させる 写像 G×G → G は位相群の射だから >>175 より 3) が出る。 証明終
177 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 14:12:21
定義(>>45の一般化) G を分離的な位相アーベル群とする。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の Z+ を添字集合とする点列とする。
S_n = x_0 + x_1 + . . . + x_n とおく。
点列 (S_n) が収束するとき S = lim S_n を点列 (x_n) が定める級数の 和といい、 S = Σx_n と書く。
これは (x_n) が総和可能なときの和の記号と同じで紛らわしいので Bourbaki は Σ の代わりに太字の S を使っている。 しかし、このスレでは従来通りの記号を使うことにする。
178 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 14:30:40
命題 G を位相アーベル群とする。
X を G の部分空間とする。
Φ_0 を X のフィルター基底(>>77)で X の点 x に収束するとする。 このとき Φ_0 は Cauchy フィルター基底(>>130)である。
証明 G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して W + W ∈ V となる 0 の対称近傍 W を取る。
M ⊂ x + W となる M ∈ Φ_0 がある。 M - M ∈ W - W = W + W ⊂ V である。 よって Φ_0 はCauchy フィルター基底である。 証明終
179 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 14:31:55
定義 G を位相アーベル群とする。
X を G の部分空間とする。 (x_n), n ∈ Z+ を X の点列とする。
A_n = {x_n, x_(n+1), . . . } とおく。
X のフィルター基底(>>77) (A_n) が Cauchy フィルター基底(>>130)と
なるとき (x_n) を X の Cauchy 点列と言う。
180 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 14:35:38
命題 G を位相アーベル群とする。
X を G の部分空間とする。 (x_n), n ∈ Z+ を X の点列とする。
(x_n) が X の点 x に収束するとする。 このとき (x_n) は Cauchy 点列(>>179)である。
証明
A_n = {x_n, x_(n+1), . . . } とおく。
X のフィルター基底(>>77) (A_n) が は x に収束する。
従って >>178 より (A_n) は Cauchy フィルター基底(>>130)である。
従って (x_n) は Cauchy 点列である。
証明終
181 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 14:45:58
G を分離的な位相アーベル群とする。
X を G の部分空間とする。 (x_n), n ∈ Z+ を X の点列とする。 S_n = x_0 + x_1 + . . . + x_n とおく。
>>180 より 点列 (x_n) が定める級数が収束するためには 点列 (S_n) が Cauchy 点列であることが必要である。
これは G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して n_0 ∈ Z+ があり、 任意の n ≧ n_0 と p > 0 に対して
S_(n+p) - S_n = x_(n+1) + . . . + x_(n+p) ∈ V と
なることと同値である。
G が完備(>>145)なら、この条件は十分である。
182 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 15:38:21
G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_n), n ∈ Z+ を X の点列とする。
>>181 より 点列 (x_n) が定める級数が収束するためには lim x_n = 0 が必要である。
183 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 15:46:41
命題 G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_n), (y_n) を G の元の点列とする。
級数 Σx_n と 級数 Σy_n は収束するとする。。
m を任意の有理整数とする。 このとき級数 (-x_n), (m(x_n)), (x_n + y_n) はそれぞれ収束し、
1) Σ(-x_n) = -Σx_n 2) Σm(x_n) = mΣx_n 3) Σ(x_n+ y_n) = Σx_n + Σy_n
となる。
証明 -x と mx は G で連続であり、 x + y は G×G で連続なことから明らかである。
184 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 15:57:12
G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の点列とする。
m ∈ Z+ のとき (x_n), n ∈ Z+ の部分点列 (x_(n+m)), n ∈ Z+ の部分点列を考える。
級数 Σx_n と 級数 Σx_(n+m) は同時に収束する。
Σx_n = S_(m-1) + Σx_(n+m) であるから
m → ∞ のとき Σx_(n+m) → 0 である。
185 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:12:30
命題 G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の点列とする。
(x_n) が総和可能でその和を S とする。 このとき、級数 Σx_n は収束して S = Σx_n である。
証明 G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して J_0 ∈ Φ(Z+) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(Z+) に対して S(J) ∈ S + V となる。
S_n = x_0 + x_1 + . . . + x_n とおく。
J_0 に含まれる最大の有理整数 を n_0 とする。 n ≧ n_0 なら S_n ∈ S + V となる。 即ち S = lim S_n である。 証明終
186 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:16:02
定義 G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の点列とする。
N の任意の置換、即ち全単射 σ: N → N に対して 級数 (x_σ(n)), n ∈ Z+ が収束するとき (x_n), n ∈ Z+ により定義される級数は可換収束すると言う。
187 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:30:43
命題(>>48の一般化) G を分離的な位相アーベル群とする。 (x_n), n ∈ Z+ を G の元の点列とする。
(x_n), n ∈ Z+ により定義される級数が可換収束するためには (x_n) が総和可能であることが必要十分である。
このとき、(x_n) の和を S とすると、 N の任意の置換 σ に対して (x_σ(n)) により定義される級数は S に収束する。
証明 (x_n) が総和可能なら、>>151 より N の任意の置換 σ に対して (x_σ(n)) も総和可能で S = Σx_σ(n) となる。 >>185 より (x_σ(n)) により定義される級数も S に収束する。
逆に (x_n), n ∈ Z+ により定義される級数が可換収束するとする。 点列 (x_n) が総和可能でないとして矛盾を導く。
点列 (x_n) は Cauchy の判定条件(>>153) を満たさない。
G の単位元の任意の近傍 V があり、 任意の J ∈ Φ(Z+) に対して H ∈ Φ(Z+) で J ∩ H が空集合となり S(H) ∈ G - V となる。
(続く)
188 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:31:35
まず最初に J として空集合を取れば H_0 ∈ Φ(Z+) で S(H_0) ∈ G - V となるものがある。
次に J = H_0 として H_0 と交わらない H_1 で S(H_1) ∈ G - V と なるものがある。
次に J = H_0 ∪ H_1 として H_0 ∪ H_1 と交わらない H_2 で S(H_2) ∈ G - V と となるものがある。
これを続けると(厳密には数学的帰納法により)
Z+の有限部分集合の族 (H_n), n ∈ Z+ で以下の条件を満たすものが 存在する。
1) n ≠ m なら H_n と H_m は交わらない。 2) Z+ = ∪(H_n), n ∈ Z+ 3) 任意の n ∈ Z+ に対して S(H_n) ∈ G - V
点列 (x_n) を添字 n が H_0, H_1, . . . に現れる順に並べ変えた ものを (x_σ(n)) とする。
点列 (x_σ(n)) が定める級数は条件 3) より Cauchy の収束判定条件を 満たさない。 よって (x_σ(n)) が定める級数は収束しない。 これは仮定に反する。 証明終
189 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:37:57
定義 A を環であり同時に位相空間とする。 A が以下の条件を満たすとき位相環と言う。
1) A は加法に関して位相群である。 2) (x, y) に xy を対応させる写像 A×A → A は連続である。
190 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/04(土) 16:47:33
定義 K を(必ずしも可換でない)体であり同時に位相空間とする。 K が以下の条件を満たすとき位相体と言う。
1) K は位相環(>>189)である。 2) x に x^(-1) を対応させる写像 K^* → K^* は連続である。
ここで K^* = K - {0} は K の乗法群を表す。
