最終更新日時 2011年03月06日 (日) 22時43分08秒
代数的整数論 006 (56-125)
元スレ: http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1185363461/56-125
ログ元: http://2se.dyndns.org/test/readc.cgi/science6.2ch.net_math_1185363461/56-125
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56 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 13:38:31
次の命題は >>52 と対称的であり、証明も同様である。
命題 R- を x ≦ 0 となる実数 x 全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R- の元の族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
集合 { S(J) ; J ∈ Φ(I) } が有界なら
族 (x_i) は総和可能(>>25)であり、
Σx_i = inf{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } である。
証明
S = inf{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } とおく。
任意の ε> 0 に対して S ≦ S(J_0) < S + ε となる J_0 ∈ Φ(I) がある。
J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して S ≦ S(J) ≦ S(J_0) < S + ε である。 よって |S - S(J)| < ε となる よって、族 (x_i) は総和可能であり、その和は S である。 証明終
57 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 13:45:13
命題 R- を x ≦ 0 となる実数 x 全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R- の元の族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して A(J) = Σ|x_i| とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは A(J) = 0 とする。
集合 { A(J) ; J ∈ Φ(I) } が有界なら
族 (x_i) は総和可能であり、
A = sup{ A(J) ; J ∈ Φ(I) } とすると、
Σx_i = -A である。
証明 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
S = inf{ S(J) ; J ∈ Φ(I) } とおく。
S = -A である。
>>56 から族 (x_i) は総和可能であり、 Σx_i = -A である。 証明終
58 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 14:16:44
命題 F を実数体 R または複素数体 C とする。 G を F 上の r 次元数ベクトル空間 F^r とする(r ≧ 1)。
(x_i), i ∈ I を G の元の I を添字集合とする族とする。
(I_λ), λ ∈ L を I の有限な分割とする。 即ち、L は有限集合で、I = ∪I_λ で λ ≠ μ なら I_λ ∩ I_μ は空集合である。
I_λ を添字集合とする部分族 (x_i), i ∈ I_λ は総和可能とする。 この和を S_λ とする。
このとき (x_i), i ∈ I は総和可能で S = Σx_i をその和とすると、S = ΣS_λ である。
証明
L = {1, 2} の場合に証明すれば十分である。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
I_1 の有限部分集合全体の集合を Φ(I_1) とする。 H_1 ∈ Φ(I_1) に対して S_1(H_1) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は H_1 の元全体を動く。
同様に H_2 ∈ Φ(I_1) に対して S_2(H_2) を定義する。
(続く)
59 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 14:18:25
任意の ε> 0 に対して J_1 ∈ Φ(I_1) があり、 J_1 ⊂ H_1 となる任意の H_1 ∈ Φ(I_1) に対して |S_1 - S_1(H_1)| < ε となる。
同様に J_2 ∈ Φ(I_2) があり、 J_2 ⊂ H_2 となる任意の H_2 ∈ Φ(I_2) に対して |S_2 - S_2(H_2)| < ε となる。
J_1 ∪ J_2 ⊂ H とする。
H_1 = H ∩ I_1 H_2 = H ∩ I_2 H = H_1 ∪ H_2
J_1 ⊂ H_1 J_2 ⊂ H_1
S(H) = S_1(H_1) + S_2(H_2) である。
S = S_1 + S_2 とする。
|S - S(H))| ≦ |S_1 - S_1(H_1)| + |S_2 - S_2(H_2)| < 2ε 証明終
60 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 14:19:49
訂正
>>59 >J_2 ⊂ H_1
J_2 ⊂ H_2
61 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 14:38:44
命題 R を実数全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R の元の族とする。
(x_i) が総和可能であることと、(|x_i|) が総和可能であることは 同値である。
証明 x_i ≧ 0 となる i ∈ I の集合を I_1 とする。 x_i < 0 となる i ∈ I の集合を I_2 とする。
(x_i), i ∈ I が総和可能とする。 >>42 より部分族 (x_i), i ∈ I_1 と部分族 (x_i), i ∈ I_2 も 総和可能である。 このとき (|x_i|), i ∈ I_2 も総和可能である。
よって >>58 より (|x_i|), i ∈ I は総和可能である。
逆に (|x_i|), i ∈ I が総和可能とする。 >>42 より部分族 (|x_i|), i ∈ I_2 も総和可能である。 このとき >>57 より (x_i), i ∈ I_2 も総和可能である。 よって >>58 より (x_i), i ∈ I は総和可能である。 証明終
62 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 14:56:51
命題 R を実数全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R の元の族とする。
(x_i) が総和可能であることと、(x_i) の有限部分和の全体が有界な ことは同値である。
証明 (x_i), i ∈ I が総和可能であるとする。
x_i ≧ 0 となる i ∈ I の集合を I_1 とする。 x_i < 0 となる i ∈ I の集合を I_2 とする。
>>42 より部分族 (x_i), i ∈ I_1 と部分族 (x_i), i ∈ I_2 も 総和可能である。
よって I_1 の有限部分集合に関する (x_i) の部分和の集合と I_2 の有限部分集合に関する (x_i) の部分和の集合は それぞれ有界である。
よって I の有限部分集合に関する (x_i) の部分和の全体は 有界である。
(続く)
63 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 14:57:51
逆に (x_i) の有限部分和の全体が有界とする。
I_1 の有限部分集合に関する (x_i) の部分和の集合と I_2 の有限部分集合に関する (x_i) の部分和の集合は それぞれ有界である。
>>52 より (x_i), i ∈ I の部分族 (x_i), i ∈ I_1 は 総和可能である。
>>56 より (x_i), i ∈ I の部分族 (x_i), i ∈ I_2 は 総和可能である。
>>58 より (x_i), i ∈ I は総和可能である。 証明終
64 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 15:29:04
命題 R を実数全体の集合とする。 R^n を R 上の n 次元数ベクトル空間とする(n ≧ 1)。
I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする R^n の元の族とする。
(x_i) が総和可能であることと、(|x_i|) が総和可能であることは 同値である。
証明 i ∈ I に対して x_i = (x_(i,1), x_(i,2), . . . , x_(i,n)) とする。
>>50 より (x_i) が総和可能であることと、各 λ, 1 ≦ λ ≦ n に 対して族 (x_(i,λ)), i ∈ I が総和可能であることは同値である。
一方、>>61 より、族 (x_(i,λ)), i ∈ I が総和可能であることと 族 (|x_(i,λ)|), i ∈ I が総和可能であることは同値である。
不等式 |x_(i,λ)| ≦ |x_i| ≦ |x_(i,1)| + |x_(i,2)| + . . . + |x_(i,n)| と >>55 より (|x_i|) が総和可能であることと、 各 λ, 1 ≦ λ ≦ n に対して族 (|x_(i,λ)|), i ∈ I が 総和可能であることは同値である。 証明終
65 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 15:36:20
命題 C を複素数全体の集合とする。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする C の元の族とする。
(x_i) が総和可能であることと、(|x_i|) が総和可能であることは 同値である。
証明 R を実数全体の集合とする。 C はアーベル群として R^2 と同一視できる。
x ∈ C のとき x の絶対値 |x| は x ∈ R^2 とみたときのノルム |x| と 一致する。
よって本命題は >>64 の n = 2 の場合とみなすことが出来る。 証明終
66 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 15:41:41
命題 C を複素数全体の集合とする。 C^n を C 上の n 次元数ベクトル空間とする(n ≧ 1)。
I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする C^n の元の族とする。
(x_i) が総和可能であることと、(|x_i|) が総和可能であることは 同値である。
証明 R を実数全体の集合とする。 C^n はアーベル群として R^(2n) と同一視できる。 x ∈ C^n のとき x のノルム |x| は x ∈ R^(2n) とみたときの ノルム |x| と一致する。
よって本命題は >>64 の n が偶数の場合とみなすことが出来る。 証明終
67 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 16:10:56
命題 F を実数体 R または複素数体 C とする。 G を F 上の r 次元数ベクトル空間 F^r とする(r ≧ 1)。 I を高々可算な集合とする。 (x_i), i ∈ I を I を添字集合とする G の元の族とする。
I の有限部分集合全体の集合を Φ(I) とする。 J ∈ Φ(I) に対して S(J) = Σx_i とおく。 ここで右辺の和の i は J の元全体を動く。 J が空集合のときは S(J) = 0 とする。
Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (F_n), n ∈ Z+ を I の F-近似列(>>31) とする。
族 (x_i) が総和可能で、その和を S とする。
このとき S = lim S(F_n) である。
証明 G のある元 S が存在して、 任意の ε> 0 に対して J_0 ∈ Φ(I) があり、 J_0 ⊂ J となる任意の J ∈ Φ(I) に対して |S - S(J)| < ε となる。
J_0 ⊂ F_(n_0) となる n_0 ∈ Z+ がある。
n ≧ n_0 のとき F_(n_0) ⊂ F_n だから |S - S(F_n)| < ε となる。
よって S = lim S(F_n) である。 証明終
68 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 18:19:38
命題 C を複素数全体の集合とする。 L と M を高々可算な集合とする。
(x_λ), λ ∈ L (y_μ), μ ∈ M をそれぞれ総和可能な C の元の族とする。
このとき (x_λy_μ), (λ,μ) ∈ L×M も総和可能で Σx_λy_μ = (Σx_λ)(Σy_μ) となる。
証明 H ⊂ L と K ⊂ M をそれぞれ L と M の有限部分集合とする。
(|x_λ|) の H における部分和を X(H) (|y_μ|) の K における部分和を Y(K) (|x_λy_μ|) の H×K における部分和を Z(H×K) とする。
Z(H×K) = X(H)Y(K) である。
>>65 より (|x_λ|), λ ∈ L は総和可能である。
よって集合 { X(H) ; H ∈ Φ(L) } は有界である。
同様に集合 { Y(K) ; K ∈ Φ(M) } は有界である。
よって集合 { Z(H×K) ; H ∈ Φ(L), K ∈ Φ(M) } は有界である。
L×M の任意の有限部分集合は H×K の形の有限部分集合に含まれる。 よって >>65 より (x_λy_μ), (λ,μ) ∈ L×M は総和可能である。
(続く)
69 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 18:21:34
(続く)
(F_n), n ∈ Z+ を L の F-近似列(>>31) とする。 (G_n), n ∈ Z+ を M の F-近似列 とする。 >>33 よりこのような近似列は存在する。
(x_λ) の F_n における部分和を S_n (y_μ) の G_n における部分和を T_n とする。
(x_λy_μ) の F_n×G_n における部分和を U_n とする。
U_n = (S_n)(T_n) である。
>>67 より Σx_λ = lim S_n Σy_μ = lim T_n
Σx_λy_μ = lim U_n
lim U_n = lim (S_n)(T_n) = (lim S_n)(lim T_n) 証明終
70 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/07/31(火) 18:38:36
注意
>>69 において (x_λy_μ), (λ,μ) ∈ L×M が総和可能であることが わかれば、 Σx_λy_μ = (Σx_λ)(Σy_μ) は以下のようにしても証明できる。
λ∈ L に対して L×M の部分集合 {λ}×M を考える。
L×M は ({λ}×M), λ∈ L により分割される。
>>43 より、 Σx_λy_μ = Σ(Σx_λy_μ, μ ∈ M), λ∈ L となる。
この右辺は Σ(x_λΣy_μ) = (Σx_λ)Σy_μ) に等しい。
71 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:01:23
今まで述べた R^r または C^r における総和可能な族の理論は 分離かつ完備な位相アーベル群に値をもつ族の場合にほとんど そのまま拡張できる。 これを述べよう。
72 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:05:17
定義 G を群であり同時に位相空間とする。
μ : G×G → G を μ(x, y) = xy により定義される写像とする。 ν : G → G を ν(x) = x^(-1) により定義される写像とする。
μ と ν が連続なとき G を位相群と言う。
73 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:07:55
定義 G を位相群(>>72)とする。
G の単位元を e とする。
{e} が閉集合のとき G を分離的な位相群という。
74 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:19:56
G を位相群とし、a を G の元とする。 写像 L_a : G → G を L_a(x) = ax で定義する。
b = a^(-1) とおくと、 L_aL_b = L_bL_a = 1 である。
L_a も L_b も連続だから L_a は位相同型である。
写像 R_a : G → G を R_a(x) = xa で定義する。 b = a^(-1) とおくと、 R_aR_b = R_bR_a = 1 である。
R_a も R_b も連続だから R_a は位相同型である。
x と y を G の元とする。 a = yx^(-1) とすれば L_a(x) = y である。
即ち G の任意の2点は G の位相同型写像により移る。
75 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:30:37
定義 X を集合とする。 X の部分集合からなる集合 Ψ が以下の条件を満たすとき Ψ を X のフィルターと言う。
1) Ψ には空集合は含まれない。 2) A ∈ Ψ で A ⊂ B ⊂ X なら B ∈ Ψ 3) A ∈ Ψ, B ∈ Ψ なら A ∩ B ∈ Ψ
76 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:40:55
>>75 を以下のように修正する。
定義 X を集合とする。 X の部分集合からなる集合 Ψ が以下の条件を満たすとき Ψ を X のフィルターと言う。
1) Ψ は空ではない。 2) Ψ には空集合は含まれない。 3) A ∈ Ψ で A ⊂ B ⊂ X なら B ∈ Ψ 4) A ∈ Ψ, B ∈ Ψ なら A ∩ B ∈ Ψ
77 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:42:57
定義 X を集合とする。 X の部分集合からなる集合 Ψ が以下の条件を満たすとき Ψ を X のフィルター基底と言う。
1) Ψ は空ではない。 2) Ψ には空集合は含まれない。 3) A ∈ Ψ, B ∈ Ψ なら C ⊂ A ∩ B となる C ∈ Ψ がある。
78 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:46:14
Ψ_0 を X のフィルター基底とする。 Ψ_0 の元を含むような X の部分集合全体は X のフィルター Ψ である。
このとき Ψ を Ψ_0 から生成されたフィルターと言う。 Ψ_0 は Ψ のフィルター基底と言う。
79 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:51:21
X の空でない部分集合の列 A_0 ⊃ A_1 ⊃ . . . があるとき
集合 {A_0, A_1, . . . } はフィルター基底である。
このようなフィルター基底は数学の各分野でよく現れる。
80 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 12:58:19
定義 X を位相空間とする。
x ∈ X のとき x の開近傍 U とは X の開集合で x ∈ U となるものを言う。
x の近傍 V とは X の部分集合で x のある開近傍 U を含むものを言う。
81 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 13:02:40
X を位相空間とする。
x ∈ X のとき x の近傍全体は X のフィルターである。 このフィルターの基底(>>78)を x の基本近傍系と言う。
82 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 13:25:57
命題 G を位相群とし、a を G の元とする。 V が G の単位元 e の基本近傍系(>>81)全体を動くとき、 aV と Va はそれぞれ a の基本近傍系全体を動く。
証明 写像 L_a : G → G を L_a(x) = ax で定義する。 写像 R_a : G → G を R_a(x) = xa で定義する。
>>74 より L_a と R_a は位相同型である。
L_a(e) = a R_a(e) = a
これから、命題の主張は明らかである。 証明終
83 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 13:41:07
定義 X を位相空間とする。
X の任意の相異なる2点 x, y に対して、 x と y のそれぞれの近傍 V, W で交わらないものがあるとする。
このとき X をハウスドルフ空間と言う。
84 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 13:54:54
命題
Y を位相空間とする。
Y がハウスドルフ空間(>>83)であるためには Y×Y の
対角集合 Δ = {(x, x) ; x ∈ Y } が閉集合であることが
必要十分である。
証明 Y がハウスドルフ空間とする。
(x, y) ∈ Y - Δ なら x と y のそれぞれの近傍 V, W で 交わらないものがある。 このとき V×W と Δ は交わらない。
V×W は Y×Y における (x, y) の近傍である。 よって Y - Δ は開集合である。 即ち Δ は閉集合である。
逆も同様である。 証明終
85 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:00:40
命題 G を分離的(>>73)な位相群とする。 G はハウスドルフ空間である。
即ち G の任意の相異なる2点 x, y に対して、 x と y のそれぞれの近傍 V, W で交わらないものがある。
証明
>>84 より対角集合 Δ = {(x, x) ; x ∈ G } が閉集合であることを
示せばよい。
写像 f: G×G → G を f(x, y) = xy^(-1) により定義する。 f は連続である。
G の単位元を e とする。
xy^(-1) = e なら x = y だから Δ = f^(-1)({e}) である。
{e} は閉集合で f は連続だから Δ は閉集合である。
証明終
86 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:08:13
定義 X を位相空間とする。 X の各点が高々可算な基本近傍系(>>81)を持つとき、 X は第一可算公理を満たすと言う。
87 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:14:03
G を位相アーベル群とする。 このとき、特に断らない限り G の算法は加法とする。 即ち G の元 x と y の算法は x + y で表す。
88 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:17:00
定義 G を位相アーベル群とする。
Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n) を Z+ を添字集合とする G の点列とする。
G の単位元 e の任意の近傍 V に対して n_0 ∈ Z+ があり、 任意の n, m ≧ n_0 に対して x_n - x_m ∈ V とする。
このとき (x_n) を Cauchy 点列と呼ぶ。
89 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:24:24
定義 X を位相空間とする。
Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n) を Z+ を添字集合とする X の点列とする。
X の元 x があり、xの近傍 V に対して n_0 ∈ Z+ があり、 任意の n ≧ n_0 に対して x_n ∈ V とする。
このとき (x_n) は x に収束すると言い、 x = lim x_n と書く。
90 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:30:46
命題 X をハウスドルフ位相空間(>>83)とする。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n) を Z+ を添字集合とする X の点列とする。
(x_n) が x に収束する(>>89)なら x は点列(x_n)により一意に決まる。
即ち x = lim x_n y = lim x_n なら x = y である。
証明 X はハウスドルフだから x ≠ y なら x と y のそれぞれの近傍 V, W で交わらないものがある。
n_0 ∈ Z+ があり、 任意の n ≧ n_0 に対して x_n ∈ V かつ x_n ∈ W となる。 これは V, W は交わらないという仮定にはんする。 証明終
91 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 14:42:59
G を位相アーベル群とする。 G の算法が加法のとき G の単位元は 0 で表す。
92 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/01(水) 15:01:37
定義 G を位相群とする。 G の単位元 e の近傍 V が V = V^(-1) となるとき V を 対称な近傍と言う。
93 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 08:08:03
訂正
>>89 >X の元 x があり、xの近傍 V に対して
X の元 x があり、xの任意の近傍 V に対して
94 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 08:21:08
命題 G を位相群とする。 G の単位元 e の基本近傍系で対称な近傍(>>92)のみからなるものが 存在する。
証明 V を e の任意の近傍とする。 V ∩ V^(-1) は e の対称な近傍である。 よってこのような形の近傍全体が求めるものである。 証明終。
95 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 08:40:22
命題 G を位相アーベル群とする。 Z+ を n ≧ 0 となる有理整数 n の集合とする。 (x_n) を Z+ を添字集合とする G の点列とする。
(x_n) が G のある点 x に収束する(>>89)なら、 (x_n) は Cauchy 点列(>>88)である。
証明 (x, y) に x + y を対応させる写像 G×G → G は連続だから 0 の任意の近傍 V に対して W + W ⊂ V となる 0 の近傍 W がる。 >>94 より W は対称としてよい。
x = lim x_n だから n_0 ∈ Z+ があり、 任意の n, m ≧ n_0 に対して x_n ∈ x + W, x_m ∈ x + W となる。 このとき x_n - x_m ∈ W - W = W + W ⊂ V である。
従って、(x_n) は Cauchy 点列である。 証明終
96 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 08:44:32
定義 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 G の任意の Cauchy 点列(>>88)が収束するとき G を完備な位相アーベル群と言う。
97 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 08:50:23
点列の代わりにフィルターをとることにより第一可算公理を満たさない 位相アーベル群に対しても完備性が定義できる。 しかし我々は当面、完備な位相アーベル群を考える場合常に 第一可算公理を仮定することにする。
98 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:12:26
定義 G を位相アーベル群とする。
G の部分集合 A と単位元 0 の近傍 V に対して A - A ⊂ V となるとき A を V の程度に小さい集合と言う。
99 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:17:44
定義 G を位相アーベル群とする。 G の部分集合 A が単位元 0 の任意の近傍 V に対して V の程度に小さい集合からなる有限被覆をもつとき、 A を全有界と言う。
即ち 0 の任意の近傍 V に対して G の部分集合 A_1, . . ., A_n があり A ⊂ A_1∪ . . . ∪A_n で各 A_i は A_i - A_i ⊂ V となる。
100 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:22:21
定義 G を位相アーベル群とする。 G の部分集合 A に含まれる Cauchy 点列(>>88)が常に A の点に 収束するとき A を完備という。
101 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:25:03
訂正
>>100 >G を位相アーベル群とする。
G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。
102 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:41:56
命題 G を位相アーベル群とする。 G のコンパクトな部分集合は全有界(>>99)である。
証明 K を G のコンパクトな部分集合とする。 V を 0 の任意の近傍とする。
W - W ⊂ V となる 0 の任意の近傍 W をとる。
x を K の点全体を動かすと x + W の全体は K の被覆になる。 K はコンパクトだから K の有限個の点 x_1, . . . , x_n があり x_1 + W , . . , x_n + W が K の被覆になる。
各 x_i + W は x_i + W - (x_i + W) = W - W ⊂ V だから V の程度に小さい(>>98)。 よって K は全有界である。 証明終
103 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:45:29
訂正
>>102 >G のコンパクトな部分集合は全有界(>>99)である。
G の準コンパクトな部分集合は全有界(>>99)である。
104 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 09:49:31
位相空間 X の任意の開被覆が有限部分被覆をもつとき、 X を準コンパクトと言う。
準コンパクトなハウスドルフ空間をコンパクトな空間と言う。
105 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 10:06:10
命題 X を第一可算公理(>>86)を満たす位相空間とする。 X の任意の点 x は W_0 ⊃ W_1 ⊃ . . . となる基本近傍系(>>81) (W_n) を持つ。
証明 (V_n) を x の高々可算な基本近傍系とする。
W_0 = V_0 W_1 = V_0 ∩ V_1 W_2 = V_0 ∩ V_1 ∩ V_2 . . . とおけばよい。 証明終
106 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 10:36:34
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 G の全有界(>>99)な部分集合に含まれる任意の点列は Cauchy 点列を部分列に持つ。
証明 A をG の全有界)な部分集合とし、 α = (a_n) を A に含まれる点列とする。
>>105 より G の単位元のとなる基本近傍系 (V_n) で V_0 ⊃ V1 ⊃ . . . となるものがある。
各 V_i に対して A_(i,1), . . . A_(i,n_i) を V_i の程度に小さい集合からなる A の 被覆とする。
ある k_0 にたいして a_n ∈ A_(0,k_0) となる n は無限個ある。 従って α = (a_n) の部分点列 α_0 = (a_(n, 0)) で A_(0,k_0) に 含まれるものがある。
同様に α_0 の部分点列 α_1 = (a_(n, 1)) で A_(1,k_1) に 含まれるものがある。
帰納的に任意の m ∈ Z+ に対して α_m = (a_(n, m)) が定義される。
(続く)
107 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 10:38:12
β = (a_(n, n)) が Cauchy 点列であることを示せばよい。
G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して V_k ⊂ V となる k ∈ Z+ がある。
α_k = (a_(n, k)) は V_k 程度に小さい集合(>>98)に含まれる。 従って、任意の n, m ≧ k に対して a_(n, n) - a_(m, m) ∈ V_k ⊂ V である。 証明終
108 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 11:37:45
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。
A を G の部分集合で次の性質を持つとする。 A に含まれる任意の点列は G のある点に収束する部分点列を持つ。
このとき A は全有界(>>99)である。
証明 A が全有界でないとする。 単位元 0 のある近傍 V があり、A は V の程度に小さい集合からなる 有限被覆を持たない。
W - W ⊂ V となる 0 の任意の近傍 W をとる。
A の任意の元を a_0 とする。 a_0 + W は V の程度に小さい。 よって a_1 ∈ A - (a_0 + W) となる a_1 がある。
a_1 + W も V の程度に小さいから、 a_2 ∈ A - ((a_0 + W) ∪ (a_1 + W)) となる a_2 がある。
以下同様にして点列 (a_n) が定まる。
点列 (a_n) の作り方から n > m のとき a_n - a_m は W に含まれない。
従って、点列 (a_n) は Cauchy 点列を部分点列として持たない。 よって >>95 より点列 (a_n) は収束する部分点列を持たない。 これは仮定に反する。 証明終
109 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 11:40:47
証明をからわかるように、 >>108 において G は第一可算公理(>>86)を満たす必要はなかった。
110 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 11:50:14
定義 X を位相空間とする。 X の高々可算で稠密な部分集合があるとき、X は可分であるという。
111 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 12:08:55
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 G の全有界(>>99)な部分集合は、部分位相空間として 可分(>>110)である。
証明 A を G の全有界な部分集合とする。
(V_n), n ∈ Z+ を G の単位元の基本近傍系とする。
各 V_i に対して A_(i,1), . . . A_(i,n_i) を V_i の程度に小さい集合からなる A の 被覆とする。
x_(i,1) ∈ A_(i,1) x_(i,2) ∈ A_(i,2) . . . x_(i,n_i) ∈ A_(i,n_i) を任意にとる。
B_i = {x_(i,1), . . . , x_(i,n_i)} とおく。
A の任意の元 x に対して x ∈ A_(i,k) となる A_(i,k) がある。 このとき x ∈ x_(i,k) + V_i である。
B_i 全部の和集合を B とする。 B は高々可算である。
G の単位元の任意の近傍 V に対して V_n ⊂ V となる V_n を取る。 A の任意の元 x に対して x ∈ b + V_n となる b ∈ B_n がある。 これは B が A で稠密(dense)なことを意味する。 証明終
112 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 12:31:35
定義 X を位相空間とする。 X の開集合の高々可算個の集合 Φ があり、 X の任意の開集合 が Φ に属す開集合の和集合として表されるとき X は第ニ可算公理を満たすと言う。
113 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 14:21:26
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。 X を G の部分集合で、G の部分位相空間として可分(>>110)とする。 X は G の部分位相空間として第ニ可算公理(>>112)を満たす。
証明 >>105 より G の単位元の基本近傍系 (V_n) で V_0 ⊃ V1 ⊃ . . . となるものがある。 さらに各 V_n は対称としてよい。
X は高々可算で稠密な部分集合 Y を持つ。
x ∈ X のとき U_n(x) = (x + V_n) ∩ X とおく。
Φ = { U_n(y) ; n ∈ Z+ , y ∈ Y } とする。
Φ は高々可算な集合である。
(続く)
114 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 14:22:03
U を X の任意の開集合とする。 x を U の任意の元とする。
x ∈ U_n(x) ⊂ U となる n ∈ Z+ がある。
V_m + V_m ⊂ V_n となる m ∈ Z+ がある。 m はいくらでも大きく出来るから m ≧ n としてよい。
Y は X において稠密だから y ∈ U_m(x) となる y ∈ Y がある。 これは y - x ∈ V_m と同値である。 V_m は対称だから x - y ∈ V_m である。 即ち x ∈ U_m(y) である。
z ∈ U_m(y) なら z - y ∈ V_m
従って z - x = z - y + y - x ∈ V_m + V_m ⊂ V_n
即ち z ∈ U_n(x) よって U_m(y) ⊂ U_n(x) よって x ∈ U_m(y) ⊂ U_n(x) ⊂ U 即ち U は U_m(y) の形の集合の和集合である。 証明終
115 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 14:38:59
命題 G を位相アーベル群とする。
A を G の部分集合で次の性質を持つとする。 A に含まれる任意の点列は Cauchy 点列を部分列に持つ。
このとき A は全有界(>>99)である。
証明 >>108 の証明から明らかである。
116 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 14:41:49
命題 G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。
A を G の部分集合とする。 A が全有界(>>99)であることと、 A に含まれる任意の点列は Cauchy 点列を部分列に持つことは 同値である。
証明 >>106 と >>115 より明らかである。
117 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 15:30:22
命題 X を位相空間とする。 X のな任意の可算開被覆が有限部分被覆を常にもつとする。
このとき X の任意の点列 (x_n), n ∈ Z+ は収束する部分点列を持つ。
証明 X の任意の可算開被覆 (U_n), n ∈ Z+ をとる。 (U_n) が有限部分被覆を持たないとする。
各 n ∈ Z+ に対して x_n ∈ X - (U_0 ∪ U_2 . . . U_n) となる x_n がある。
点列 (x_n), n ∈ Z+ が収束する部分点列 (x_kn), n ∈ Z+ を持つと する。
x = lim x_kn とする。
x ∈ U_m となる m ∈ Z+ がある。 x = lim x_kn だからいくらでも大きな kn があり x_kn ∈ U_m となる。 これは kn ≧ m のとき x_kn が U_m に含まれないことに矛盾する。 証明終
118 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 15:33:52
>>117 は以下のように修正する。
命題 X を位相空間とする。 X の任意の点列 (x_n), n ∈ Z+ は収束する部分点列を持つとする。 このとき X の任意の可算開被覆は有限部分被覆をもつ。
証明 X の任意の可算開被覆 (U_n), n ∈ Z+ をとる。 (U_n) が有限部分被覆を持たないとする。
各 n ∈ Z+ に対して x_n ∈ X - (U_0 ∪ U_2 . . . U_n) となる x_n がある。
点列 (x_n), n ∈ Z+ が収束する部分点列 (x_kn), n ∈ Z+ を持つと する。
x = lim x_kn とする。
x ∈ U_m となる m ∈ Z+ がある。 x = lim x_kn だからいくらでも大きな kn があり x_kn ∈ U_m となる。 これは kn ≧ m のとき x_kn が U_m に含まれないことに矛盾する。 証明終
119 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 15:56:02
命題 X を第ニ可算公理(>>112)を満たす位相空間とする。 このとき X の任意の開被覆は高々可算な部分被覆をもつ。
証明 Φ を X の開集合の高々可算な基底とする。
(V_λ), λ ∈ Λ を X の開被覆とする。
U ∈ Φ のとき U ⊂ V_λ となる λ ∈ Λ があるような U の集合を Φ’と書く。
x を X の任意の点とする。 x ∈ V_λ となる λ ∈ Λ がある. このとき x ∈ U ⊂ V_λ となる U ∈ Φ’がある。 従って、Φ’は X の被覆である。
U ∈ Φ’のとき U ⊂ V_λ となる λ があるから、その一つを 選んでそれを λ(U) と書く。
U ⊂ V_λ(U) だから (V_λ(U)), U ∈ Φ’も X の被覆である。 これが求める部分被覆である。 証明終
120 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 16:10:04
命題(Heine-Borel) G を第一可算公理を満たす位相アーベル群とする。
X を G の部分集合とする。 X の任意の点列 (x_n), n ∈ Z+ は X の点に収束する部分点列を 持つとする。
このとき X の任意の開被覆は有限部分被覆をもつ。 即ち X は準コンパクトである。
証明 >>108 より X は全有界である。
>>111 より X は可分(>>110)である。
>>113 より X は G の部分位相空間として第ニ可算公理(>>112)を 満たす。
>>119 より X の任意の開被覆は高々可算な部分被覆をもつ。
>>118 より X の任意の可算開被覆は有限部分被覆をもつ。 証明終
121 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 16:33:35
命題 X を第一可算公理を満たす位相空間で、 X の任意の可算開被覆は有限部分被覆をもつとする。
A_0 ⊃ A_1 ⊃ . . . を X の可算なフィルター基底(>>79)とする。
このとき X の点 x で x ∈ ∩cls(A_n), n ∈ Z+ となるものがある。 ここで cls(A_n) は A_n の閉包である。
証明 ∩cls(A_n) が空集合とする。
V_n = X - cls(A_n) とおく。 X = ∪V_n である。
仮定から X = V_n1 ∪. . . ∪ V_nr となる。 即ち cls(A_n1)∩. . . ∩cls(A_nr) は空集合である。 従って A_n1 ∩. . . ∩ A_nr も空集合である。
A_n1 ∩. . . ∩ A_nr は A_n1, . . ., A_nr のどれか一つと 一致するから空集合ではない。 これは矛盾である。 証明終
122 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 16:35:27
>>121 の証明からわかるように X は第一可算公理を満たす必要は なかった。
123 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 16:45:43
命題 X を第一可算公理を満たす位相空間で、 X の任意の可算開被覆は有限部分被覆をもつとする。
このとき X の任意の点列 (x_n), n ∈ Z+ は X の点に収束する 部分点列を持つ。
証明
A_n = {x_n, x_(n+1), . . . } とおく。
A_0 ⊃ A_1 ⊃ . . . を X の可算なフィルター基底(>>79)である。
>>121 より X の点 x で x ∈ ∩cls(A_n), n ∈ Z+ となるものがある。
x の基本近傍系を (V_n) とする。
x ∈ cls(A_0) だから x_k(0) ∈ V_0 となる x_k(0) ∈ A_0 がある。 x ∈ cls(A_k(0)) だから x_k(1) ∈ V_1 となる x_k(1) ∈ A_k(0) がある。
同様にして x_k(n) ∈ V_n となる x_k(n) ∈ A_k(n) がある。
k(0) ≦ k(1) ≦ . . . ≦ k(n) ≦ k(n+1) ≦ . . . である。
従って x = lim x_k(n) である。 証明終
124 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 17:06:44
命題 G を位相アーベル群とする。
(x_n), n ∈ Z+ を Cauchy 列とする。
(x_n), n ∈ Z+ が収束する部分点列 (x_k(n)) を持つなら (x_n) も収束する。
証明 x = lim x_k(n) とする。
G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して W + W ⊂ V となる 0 の近傍 W がある。
n_0 ∈ Z+ があり、 n ≧ n_0 なら x_k(n) - x ∈ W n, m ≧ n_0 なら x_n - x_m ∈ W
n ≧ n_0 だから k(n) ≧ k(n_0) で k(n_0) ≧ n_0 だから k(n) ≧ n_0 である。
よって x_n - x_k(n) ∈ W
よって x_n - x = x_n - x_k(n) + x_k(n) - x ∈ W + W ⊂ V 即ち x = lim x_n である。 証明終
125 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2007/08/02(木) 17:16:15
命題 G を位相アーベル群とする。 G の準コンパクトな部分集合は全有界である。
証明 K を G の準コンパクトな部分集合とする。
G の単位元 0 の任意の近傍 V に対して W - W ⊂ V となる 0 の近傍 W がある。
族 (x + W), x ∈ K は K の開被覆である。 K は準コンパクトだから K の有限個の点 x_1, . . . , x_n があり、 x_1 + W, . . . , x_n + W は K の被覆である。 各 x_i + W は V の程度に小さい(>>98)。 従って K は全有界である。 証明終
