「何を見てるの?」 窓から、庭の垣根に咲いている花を眺めている私に、あなたはそう訊きました。とまどい気味の声だったのは、あなたがプロポーズしてくれている最中に私がよそ見なんかしていたからでしょう……そう、私が初めてこの家を訪れ、ご両親に紹介してもらい、昼食の後あなたの部屋にあがって『この家、気にいってくれたなら、一緒に住まないか』という言葉を聞いた時でした。仕方がありません。気恥ずかしくてそらした視線がその花を……花の色を捉えてしまったのですから。
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