ドーブル(ポケモン)

登録日:2010/04/07 Wed 02:50:46
更新日:2025/08/24 Sun 10:57:39
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ドーブルとは、『ポケットモンスター』シリーズのポケモンの一種である。

■データ


全国図鑑No.0235
分類:えかきポケモン
英語名:Smeargle
高さ:1.2m
重さ:58.0kg
タマゴグループ:りくじょう
性別比率:♂50♀50

タイプ:ノーマル
特性:マイペース(こんらん状態にならない。いかくを受けない)
  /テクニシャン(威力60以下の技の威力が1.5倍になる)
隠れ特性:ムラっけ(毎ターン終了時にどれか1つの能力が2段階上がり、上がった能力以外のどれかの能力が1段階下がる)

HP:55
攻撃:20
防御:35
特攻:20
特防:45
素早さ:75
合計:250

努力値:素早さ+1

通称「画伯」。


■概要


ベレー帽を被り、先端が筆のような形をした長い尻尾をもつ、二足歩行の白いのようなポケモン。
尻尾の先から色のついた分泌液が出るので、それを絵描きのようにあちこちにマークを描き、縄張りをアピールする。
マークの数はなんと5000種類以上にも及び、珍しいマークはマニアの間で高値で取引されるという。
分泌液の色はドーブルごとに決まっているほか、感情によって色合いが変化していく。
大人になると仲間から背中に足跡のマークをつけられるとか。


■ゲームでのドーブル


『金・銀』および『クリスタル』では、「つながりの洞窟」を経由することで行ける「アルフの遺跡」の草むらに生息している。
『クリスタル』では夜には出現しないので注意。
リメイクのHGSSでは「サファリゾーン」の草原エリアにも生息。

エメラルド』ではバトルフロンティア内にある洞窟「アトリエのあな」に生息。
ポケモンコロシアムではダークポケモンとして登場。

DPtでは212番道路でポケトレを使用すると出現。
プラチナのみ208番道路でもポケトレを使用すると出現するようになった。

BWでは大量発生時のみ5番道路に出現。

XYでは7番道路に生息しているほか、ノーマルタイプのフレンドサファリの候補に入っている。

SMUSUMでは2番道路に生息。


最も多くの技を覚えるポケモンといえば?全てのわざマシンを使える幻のポケモンミュウ。そう初代では思われていた。
ところが、こいつの登場でその座は奪われた……。

ドーブルの真価は、専用技の「スケッチ」。
これは、相手の使った技をずっと自分が使えるようになるというもの。ものまねとは違い、バトル終了後も使用可能で残る。
うまく相手を合わせれば、たとえ伝説のポケモンの専用技だろうが、文字通り全ての技を使いこなすことができる。
ダブルバトルなら簡単に習得可能。
その代わり、レベルアップで覚える技はスケッチのみであり、わざマシン・ひでんマシン・教えわざ・タマゴわざといった他の手段では覚えられる技が存在しない。

その為捕獲要員としては最高クラス。
「キノコのほうし」や「みねうち」、相手を水タイプにしてしまう「みずびたし」、自滅技を封じる「ふういん」、相手を逃さない「くろいまなざし」等々…捕獲に必要な技の数々を一匹かつどのような組み合わせでもカバー可能。
種族値の低さからレベル100に育っていても全体的な能力は低く、火力&耐久不足感は終始付きまとうが、それらを差し引いても並のポケモンより捕獲面で大いに役立つ事に変わりはない。


また、タマゴグループが「りくじょう」なので、りくじょうに属する他のポケモンとドーブル♂を組ませれば、全てのタマゴ技を覚えさせられる。
そのためメタモンの次に廃人に利用されているポケモンだろう。
しかし何故か わざわざコイツを経由しないと遺伝できない技もチラホラあったりした
ルカリオの「コメットパンチ」、ダイケンキの「せいなるつるぎ」、ムーランドの「サイコファング」、カモネギの「であいがしら」etc...
もうちょっと遺伝先を考えた方が良いのでは
第8世代ではドーブルが参戦しなかったが、タマゴ技を後天的に覚えられるようになったため心配無用。上述の遺伝にドーブルが必須だった技についても、いずれも習得方法や遺伝経路が変更されている。

スカーレット・バイオレット』でも当初は登場していなかったが、「あつまれ!歴代のパートナー」という『藍の円盤』での御三家全登場を紹介する映像にてしれっと彼彼女に紛れ込んで登場。無事内定を勝ち取った。

覚えられる技が非常に広いことから、ポケモンの技の話をするときは「これを覚える(両立する)ポケモンはドーブル以外だとこいつしかいない」という前置きにもたびたび使われることになった。
なんかカードゲームの例外をいちいち説明するせいでテンポ削ぐ説明文みたいになっちゃっている。

何でも「スケッチ」で習得できるのかというと、そこは世代や作品によって異なる。
初登場の第2世代では「へんしん」をスケッチできなかったり、「じばく」「だいばくはつ」に関しても、当時は相手の技を不発にさせる手段がないためスケッチすることができなかった。
続く第3世代でも「へんしん」をしたポケモンへ直後に「スケッチ」を使っても対象不在扱いでスケッチできず、一風変わった方法を用いないと「へんしん」はスケッチできなかったりもした。

SVでは野生戦で「へんしん」を使うと必ず失敗するようになった。
これは長らく、野生のドーブルに「へんしん」をスケッチさせ、目当てのポケモンに変身させてから逃走することで、変身後のポケモンがシンボルとして残り、そのポケモンとエンカウントできるという増殖バグがあったためである。

■対戦でのドーブル


まさしく全ての技を覚えられるので、組み合わせは無限大。
しかし種族値は低いので行動保証のために「きあいのタスキ」を所持していることが多い。
襷が登場するより前の世代では「せんせいのツメ」「たべのこし」「オボンのみ」「カムラのみ」等の使用率が高めだった。

初登場となった第2世代では、絶妙な素早さや技の豊富さ、努力値システムの違いによる最低限の耐久力が合わさりかなり強力なポケモンであった。
素早さはパルシェンやエアームド、レベル55バンギラスなど中堅どころに先手が取れるラインであり、先手で「キノコのほうし」や「みちづれ」を打てる点が美味しい。
耐久力も大抵の攻撃は一発耐えられるラインであり、下手に攻撃してしまうと「カウンター」や「ミラーコート」で返されかねず、かと言って補助技を使っても「アンコール」の可能性も有るという厄介な存在であった。

そのポテンシャル自体は昔からよく知られていたが、2007年の公式大会では優勝者がレベル1のドーブルを使用して度肝を抜いた。
当時すでに「タスキがむしゃらコラッタ」で常識化していたレベル1構成だが、それはあくまでシングルバトルの話だし一発ネタにすぎない。
ダブルバトルというまったく違う環境、しかも公式大会という異次元の世界でレベル1のポケモンを用いて優勝したという話は、とても華々しく合理的なものであった。この辺は後のパチリスの話によく似ている。
後にダブルバトル勢の間でこのドーブルの弱点を補強した「レベル1ウリムー」構築が開発されるも、まったく結果が残せていない。

種族値はあまりにも低い(特に攻撃面)ため、基本的には種族値に頼らない変化技を駆使していくことになる。
基本的には「ちょうはつ」や「みがわり」に弱く、そもそも眠らせられないと機能しない場合も多い。
ただし今ほど種族値がインフレしていない頃は、適度に高い素早さと「キノコのほうし」のおかげでやりたい放題できたポケモンでもあった。

いわゆる上級者向けのポケモンであり、フルアタを好む小学生では使いこなせない。
一方でトレーナーからすればすべてのサポート技を覚えられるこいつは「常に奇襲を仕掛けるようなもの」と、あまり面白いポケモンではなかった。
キノコのほうしやダークホールを元の所有者よりうまく使う姿は、口さがない人には「催眠トレパク野郎」とまで罵倒されたのである*1
いくらなんでも言っていいことと悪いことがあるが、その後第7世代でダークライ以外が繰り出すと必ず失敗するという、名実ともにダークライ専用技の扱いになったダークホールの扱いを見るに、これくらい罵られても仕方ないのかもしれない。
なにせダークライの立場からすれば、それまでドーブルが使って大暴れしていたことで、ねむり自体の弱体化、使用禁止措置、命中率低下とものすごい弱体化という代償を負わされたんだもの。
特性のナイトメアはこのことを予期していた……?



主に使われる技

  • キノコのほうしorダークホールorあくまのキッス
本家を差し置いて最速の胞子使い。対策も多いというより対戦では対策必須、DPtまではそれはそれは猛威を振るった。
ダークホールは第5世代では公式ルールで使用禁止技扱い、第7世代以降は前述の通りダークライ専用技なので、スケッチしたところで不発*2になるだけ。
キノコのほうしは第6世代以降くさタイプと特性「ぼうじん」持ちには無効になった。
あくまのキッスはそれらにも通り、命中率も「ねむりごな」と同程度にはある。

  • ニードルガードorトーチカ
攻撃から身を守りつつ、接触攻撃してきた相手に妨害を仕掛ける(ニードルガードはダメージ、トーチカはどく状態)。
ムラっけ発動の補助などに使われる。
「キングシールド」や「かえんのまもり」でも良いが変化技は防げない。

必中の一撃必殺
おそらく最メジャーで対人ではまず警戒されるが、CPU戦では一方的に立ち回ることができ、バトルフロンティアで勝ち進むことも可能。
催眠技と併用する場合が多く、「くろいまなざし」なんかも。
第6世代までは無効タイプのない「ぜったいれいど」が安定だった。
しかし、第7世代以降はこおりタイプには無効、かつこおりタイプ以外が使うと命中率が下がるようになったので一概に一択とは言えなくなった。
もちろん、がんじょうで無効化される。

タスキ潰しなどに。怯ませる「ねこだまし」、接触せず無効のない「こおりのつぶて」、優先度が高いタイプ一致「しんそく」、ダブル以上で「まもる」を解除できる「フェイント」辺りか。だがダメージは当然微々たるもの。「テクニシャン」があっても焼け石に水。
じょおうのいげんビヒッドボディサイコフィールドには無効化される。

「からをやぶる」がなかった時期はもっぱら「こうそくいどう」を後続に渡した。バトンできなさそうと判断したら「みちづれ」にシフトできて隙がない。
特性「ムラっけ」や技「ジオコントロール」を後続に繋ぐなど、通常なら出来ない組み合わせも可能だが、あまり使われない。
ちなみにこの技を覚えたドーブルをポケスタ金銀で使うと、「バトンタッチ」が本来覚えられない不正な技として判定される。
(単なるプログラムミス。バトンタッチドーブルを使うこと自体は可能)

  • このゆびとまれ
味方への攻撃やちょうはつを防ぐことで、場作りの技を確実に発動させることができる。

いかにステータスが低くとも、さすがにタイプ一致爆破は脅威。
習得には「しめりけ」などを利用。
WCS2019ではなんとジュニアカテゴリの決勝戦で使用された。
相方をあかつきネクロズマにして味方へのダメージを防ぎ、「きあいのタスキ」で耐えた相手にとどめを刺すという運用だった。

  • へんしん
相手のステータスをコピーすることで種族値の低さを補う。
また、封印+変身で相手の技を完封する「封印変身ドーブル」という凶悪コンボも有名。
始動まで2ターンかかるのが欠点だが、努力値の振り方や「きあいのタスキ」である程度補うことが可能。

  • みちづれ
強引にもっていく。牽制にも。
しかし、第7世代では連続して使えなくなった。

  • ワイドガード/ファストガード
主に伝説戦ダブルバトルで使われることの多い技。
伝説ポケモンは全体技が多く、このゆびとまれと合わせることで驚異的なサポート性能を見せる。

  • カウンター/ミラーコート/メタルバースト
紙耐久なのでタスキと組み合わせれば確実に1匹落とせる。
メタルバーストのみ優先度が0なので不発しやすいことに注意。

  • がむしゃら
タスキに加えて上記の先制技と組み合わせればこちらでも自分より早い相手をほぼ確実に1匹落とせる。
こちらは倒したあとに遅いポケモンが出てきたなら2回打つことも出来る。
上述のレベル1ドーブルのメインウェポン。

レベル1で「トリックルーム」下での最速を狙う型。
自身が始動役となるほか、上記の「がむしゃら」でアタッカーを務めることも可能。
上記の封印変身ドーブルに覚えさせておけば始動役を潰せる為、相手のトリパを完封可能。トリパの遅さが仇となった。



etc...

■ポケモン不思議のダンジョンでのドーブル


「スケッチ」によって自由に技がコピー出来るのもあり、通常ダンジョンで使う分にはかなりの強ポケ。
どのポケモンも各種ドーピングで能力をMAXにできるという外伝作品なので、本家ポケモンシリーズではまず出来ないドーブル単騎無双も可能である。
レベルリセットダンジョン? …そちらはノーコメントで

青の救助隊・赤の救助隊

ストーリー上では「とおぼえの もり」の依頼クリアで仲間になってくれる他、野生個体も「にしの どうくつ」にて出現。
依頼加入する個体の初期レベルは5とクソザコだが、本作のドーブルはレベルアップのスピードが早いためにレベル補正を受けやすく、能力の伸びも全体的に良いので特に問題なし。
なお、この依頼加入ドーブルは通称「旗描きドーブル」と呼ばれる特殊な個体であり、救助隊基地のフラッグを1日単位かつ決められた順番で描き直してくれる能力を持つ。

「スケッチ」はポケダンシリーズにおいても「正面にいる相手が最後に使った技をコピーし、習得する」効果となっている。
そのため、技構成の自由度が他のポケモン達よりも抜きん出ており、大抵の事は「ドーブルでおk」になってしまう。
部屋全体攻撃の「こなゆき」「ぎんいろのかぜ」「ねっぷう」を覚えさせるだけでも十分強いが
それら攻撃を数ターン必中にできる「こころのめ」や「ロックオン」を習得・連結させるのも良い。
攻撃だけでなく「くろいきり」や「リフレッシュ」などでサポート役を担当させる事もできるし、「そらをとぶ」や「なみのり」を覚えさせれば秘伝技のみを入場条件とするダンジョンにも単騎突入できるぞ。

もし他のポケモンをドーブルより率先して使うのであれば自身のタイプ・かしこさの上げやすさ・移動タイプ・特性を考慮する事になる。
ドーブル自身はノーマルタイプと弱点は少ないが、好物の「しろいグミ」が揃えにくいのと単タイプである事が災いし、かしこさを上げ辛いというデメリット有り。
移動タイプの優劣については、かしこさスキルが全ポケモンで同じの本作では誰でも空中移動&壁を壊しながら自由に移動出来てしまう事から無いに等しい。どうせみんなパルキアになる

ドーブルの所有特性は「マイペース」。悪くはないのだが、かしこさスキル「うらぎらない」の存在から半ば空気であり探索面で有用とは言い難い。
この点においては技の命中が+2段階される「ふくがん」バタフリーや、探索面でストレスフリーを提供する「しろいけむり」コータス、追加効果による事故を防ぐ「りんぷん」ドクケイル&モルフォン達には劣るか。

時・闇・空の探検隊

仕様変更により、やや弱体化。
……というのも、かしこさグループがポケモン毎にグループ分けされるようになった事で誰もがパルキア化空中移動出来なくなったり、罠対策が不完全または皆無となったポケモンが続出したためである。
そんな本作のドーブルは「空中移動は出来るが罠対策は不完全」という位置づけ。
「すいすいあるく」こそ引き続き習得可能だが「わなはずし」という何とも微妙な罠対策スキルしか覚えない事から、探索適正が下がった。

しかし「スケッチ」による技構成の自由度は前作と変わらず。
適当な全体攻撃技を覚えさせるだけでもやはり強く、クレセリアの専用技である「みかづきのまい」をうまく使えば永久機関を作れたりもする。
ドーブルが所属するかしこさグループのスキルには「たげい」があり、所持技全てのPPが+5増える事から技を使って戦いやすい点はメリットと言えるだろう。

第四世代準拠によりドーブルの特性に「テクニシャン」も追加されたが、該当技を活用しないのであれば無意味であり空気。

救助隊DX

『青・赤の救助隊』のリメイク作品だが、かしこさスキルは廃止。自前で空中移動ができなくなったため、探索面での不便さがより際立つように。
「大体ドーブルでおk」にならなくなったのは「限られたポケモンだけでなく他のポケモンも使わせる」という意味では良い事なのかもしれないが……
その一方で特性「マイペース」は混乱時に味方への攻撃誤射を防げる事から有用性がぐーんと上がり、普通にドーブルを使うのであれば「マイペース」一択となるだろう。

「スケッチ」は相変わらず大抵の技をコピーできるが『大型ポケモンが使う技はスケッチできない』ようになった。
ルギアの「エアロブラスト」とか、レックウザの「ガリョウテンセイ」など実用性はともかく何でも覚えられなくなったのは寂しいところである。
なお、本作の「せいなるほのお」は部屋全体攻撃に強化されており、こちらはホウオウ以外にエンテイも覚えてくれるため、エンテイを経由すればドーブルでも「スケッチ」可能。

「遠吠えの森」のイベント依頼経由で仲間になる「旗描きドーブル」はリメイクである本作でも健在。今回は呼ぶと即座に描き直してくれる上、デザインも自由に選べる。






「スケッチ……それが貴様の能力か……!」

「驚くことはない。これらは全て偽物だ。お前の言う、取るに足らない存在だ」

「だがな、偽物が本物に敵わない、なんて道理はない。お前が本物だというのなら、悉くを凌駕して、その存在を叩き堕とそう」



「行くぞ唯一王――努力値の貯蔵は充分か」





ドーブル「マイペースでテクニシャンはエ●ゲ主人公の特権です」
???「ならば…タヒね!!」

しかし…こいつを(いつまで経っても)覆せないまま、つらにも過去を覆されることに………

ドーブル の スケッチ!▼
アニヲタ の 追記・修正 を スケッチした!▼

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最終更新:2025年08月24日 10:57

*1 もちろん冗談交じり。ただ当時はそういった「トレパク」の話題が多く、スケッチで他のポケモンの技をパクる絵師というそのまんますぎるモチーフがハマりまくっていた。

*2 第7世代ではスケッチ出来るが技としては使えない、SVではスケッチ自体が出来ない