いかく(ポケモン)

登録日:2020/03/24 (火) 20:07:05
更新日:2024/01/02 Tue 18:05:51
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登場 したとき 威嚇して 相手を 委縮させ 相手の 攻撃を 下げて しまう。


『いかく』とは、ポケットモンスターシリーズに登場する特性の1つである。初出は第3世代ことポケットモンスター ルビー・サファイア


効果

場に出たとき、相手のこうげきを1段階下げる。
また、手持ちの先頭にいるとき、自分よりレベルが5以上低いポケモンの出現率が0.5倍になる。

解説

相手の攻撃を下げるというシンプルにして強力な効果。
条件も「場に登場したとき」と手軽なもの。

相手の攻撃ランクが-1ということは物理で受けるダメージを2/3倍にするということなので、所有ポケモンは物理耐久が1.5倍あるも同然。
また仲間が受けるダメージまで軽減できる。ターン消費無しで。
さらに、「場に出たとき発動する・メッセージが出る」という特性は基本的に素早さ順にメッセージが出るため、相手次第で素早さの判定にも使える。
効果を発揮した後も「とんぼがえり」「ボルトチェンジ」で交代すれば再利用もしやすい。

と、ここまで書いただけでも強いことがわかるが、この特性が真価を発揮するルールがある。
それはダブルバトルや、第5・6世代に存在したトリプルバトルといった、複数匹がバトル場にいるルール。
何とこのいかく、複数匹に効果があるのだ。
ダブルバトルなら相手全員。トリプルなら自分の目の前とその隣*1
しかも、技「スキルスワップ」や特性『トレース』『レシーバー』などによって「特性が『いかく』になった」という状況でも発動するので、そのようなギミックを使いやすいダブルやトリプルとはこの点でも良相性。
それゆえに、ダブルやトリプルではいかくは大きなカギを握る特性となっている。

どういうことかと言うと、
  • 「いかくだから」という理由でダブルでの採用率が上昇
  • 「いかくメタの特性だから」という理由でダブルでの(ry
  • 「いかく持ちと相性がいい」「いかく持ちに強い」という(ry
  • シングルでは物理型のポケモンがダブルだと特殊型
などが普通にありうる。

というか「『いかく』のせいで物理は(特にダブルだと)特殊より不利」とまで言われてきた。
まあこの点については他に状態異常の「やけど」や接触技メタである『さめはだ』『ゴツゴツメット』などの存在、
および特殊技にサブウェポンとして便利な「めざめるパワー」があるという要因もあるが。

ただ、物理技の先制技増加、第6世代における特殊技の威力下方修正、条件付きで特防を大きく上げる『とつげきチョッキ』の登場などによりこの辺は改善されつつある。
ちなみに『いかく』に比べるとワンテンポ遅れるが、ダメージを与えつつ確定で特攻を下げる全体攻撃技 「むしのていこう」「バークアウト」 も登場。

ついでにフィールド上でも効果があり、レベルの低いポケモンを出にくくする・乱入バトルで仲間を呼ばれやすくするなど何かと便利。


所有するポケモン

やはりというか何というか、強面のポケモンが目立つ。
★は隠れ特性

お腹にある顔のような模様で威嚇できる。
「へびにらみ」「たくわえる」「とぐろをまく」など、耐久向けの技もそろう。

ダブルではかなりよく見るポケモン。
特に第7世代初期など、環境次第ではトップクラスの人気になることも。
ガオガエンの隠れ特性解禁前は『いかく』+「バークアウト」使いの代表格だった。
高水準な種族値に「しんそく」など豊富な技を持つ。

第1世代環境の星。
威嚇に加えて素早さや技レパートリーはあるので、かつての勢いは無いが使えない……わけではないといったところ。

良タイプと良種族値、豊富な技で第4世代以降安定した強さと人気を持つ。
いかくを使い終わっても、メガシンカすれば特性を『かたやぶり』に変えられる。
ただ第8世代初期では下記の『ミラーアーマー』や『ビビりだま』等の存在から『じしんかじょう』の方が人気だったか。

第6世代でフェアリーになった
『いかく』と相性が良い物理寄りの耐性、および「じゃれつく」+「じしん」の範囲がアイデンティティ。

パッとしない種族値+タイプだが、アタッカーもサポートもこなせる。
最大の特徴は唯一『いかく』と「スキルスワップ」を両立できる存在であることか。
場に出てすぐ味方に対して「スキルスワップ」を使えば2連続、相方も『いかく』持ちなら4連続威嚇も可能。
対戦相手と自分の『いかく』を交換することで味方の『まけんき』『かちき』持ちを強化もできる。
他の特性『おみとおし』『そうしょく』も何かと便利。

「ねこだまし」「ワイドガード」「ファストガード」「てだすけ」などを備える、ダブル適性がかなり高いポケモン。
かつてのトリプルバトルでは使用率トップも珍しくないという相当な人気を誇った。

序盤ポケモンゆえ種族値が低めであり、あく物理アタッカーとしてもアブソルがちらつくが、『いかく』と「いかりのまえば」「あくび」で差別化はできる。

顔は比較的かわいいが、大きな目玉模様で相手を威嚇できる。
いかくポケ唯一のむしタイプ
いかくと相性の良い「とんぼがえり」に加え、「ちょうのまい」「バトンタッチ」と便利な技も多い。
第7世代で種族値が40も増えた。

こちらも顔はかわいいが、角にある凶悪な口で威嚇できる。
いかくポケ唯一のはがねタイプ
種族値は残念だが、第6・7世代でははがね/フェアリーの優秀な耐性と超火力メガシンカを手にし、受けでも攻めでも強豪の仲間入り。

『いかく』ポケトップクラスの合計種族値である600族にして、『いかく』ポケ唯一のドラゴンタイプ
技もタイプも良いものを持っており、ダブルではいつも人気。
さらにメガシンカで攻撃性能を強化できる。
シングルでもダブルでも、様々な戦法で活躍する強豪。

攻撃面は火力も範囲も優秀であるが、メイン技が「すてみタックル」「ブレイブバード」「インファイト」と耐久を削るものばかりであるため、
『いかく』による受けは役立つ。
隠れ特性である『すてみ』もなかなか良い。

「ボルトチェンジ」と両立できるのが便利。
物理受けも物理アタッカーもこなせる。
アタッカー運用なら『こんじょう』とは選択になるが。

種族値こそまずまずだが、「でんじは」「アシッドボム」「みちづれ」など技は十分そろっている。
第4世代までの『すいすい』を活かした雨パ要員とは違う道に。

『すなかき』を活かした砂パ要員でなければ基本的に『いかく』だろう。
種族値のバランスや技にも恵まれている。

分類が「いかくポケモン」。
弱点は多いが、固有の複合タイプといかくで独自の立ち位置に。
『いかりのつぼ』は専用サポーターが必要であり、『じしんかじょう』は相手を倒さなければ発動しないため、基本はこれか。

耐久寄りアタッカーとして『いかく』は有難い特性。
「りゅうのまい」「ビルドアップ」などの積み技も使いやすくなる。
ダブルなら「ねこだまし」と両立出来る点が便利。

まさかの『いかく』持ち伝説
驚異的なこうげきに加え、『いかく』と相性が良い「とんぼがえり」もあるのでダブルでは警戒必須のポケモン。
第7世代ではシングルでもダブルでも見ない日は無いほどの暴れっぷり。

メガシンカ必須だが、『いかく』持ち最速。
レントラー同様「ボルトチェンジ」での交代もできる。
「オーバーヒート」などほのお技があるでんきタイプという点も希少。

初めての『いかく』持ち御三家
「ねこだまし」「とんぼがえり」「すてゼリフ」を備え、ダブル適性が非常に高い。
また『いかく』+「バークアウト」使いの中ではそこそこの特攻とタイプ一致補正のおかげで威力が高め。
いかくガオガエンが入手可能になって以降の第7世代ダブルはまさにガオガエンを中心に回ったと言ってもいい。

種族値が同タイプのムクホークにすべて劣る。
『いかく』でつかうならば『すてゼリフ』などの小技で差別化を図ることになるだろう。
もちろん、『はりきり』や夢特性の『こんじょう』、『ちからずく』など他の特性もあるので無理に『いかく』に拘る必要はない。

こちらは逆にすべての種族値が同じあくタイプのグラエナに勝る(もっとも、グラエナはパルデア地方に入国してないが)。
『くらいつく』という自身と敵ともに交代を許さないわざを持ち、こうげきの下がった相手を逃さない立ち回りが可能。
他にも元専用特性の『ばんけん』は『いかく』による攻撃力低下を無効化し、逆に攻撃を一段階上げる事ができる他、強制的に交代させられない効果を持つ。

ケンタロスが姿を変えて戻ってきた。かくとうタイプを獲得し、更にほのおタイプ、みずタイプのすがたも得た他、原種よりも防御力が10上がった。


2022年12月現在、『いかく』持ちがいないタイプはくさこおりエスパーいわゴースト
また第8世代で登場したポケモンはいない。
ここまででわかる通り、「他の特性と選択」という状況こそあるが「『いかく』が選択肢にならない」という所有ポケモンはまずいないと言ってよい。
ちなみにヤケモン経験者が8種もいる。「耐久を補う」「交代を多用する」というコンセプトとも合致するしね。

ただ、こうして見ると種類自体は多いのだが、それは同時に競合が激しいということでもある。
事実、第8世代におけるダブルバトルでの使用率はガオガエンと霊獣ランドロスが圧倒的ツートップな上、2匹両方採用も珍しくないため他のいかくポケは肩身が狭かった。


対策

ここからは、『いかく』に対抗できる特性・道具などを紹介したい。
いかく自体ここまで見たように強力なので、対抗策は結構多い。
第8世代に至っては、『いかく』をピンポイントで止める特性まで登場。

  • 特殊アタッカーを使う
『いかく』そのものへの対策としては一番手っ取り早いか。攻撃ダウンが意味をなさなくなるため。
「バークアウト」「かいでんぱ」への注意は必要だが、どちらも使用できるポケモンはある程度限られており、対人戦に出るポケモンとなるとさらに絞られる。
ただし耐久型の攻撃力削りやダブルバトルの補助技の選択肢としては十分有用なので、使えるポケモンを覚えて警戒しよう。

  • かいりきバサミ
相手からの攻撃ダウンを受け付けない特性。
「それだけ?」と思うかもしれないが、「『いかく』を無効にできる」という点でこれでも十分評価が高い。
防御ダウンを受け付けない『はとむね』とコレの評価を分けたのはいかくと言っても過言ではない。

相手からの全ての能力ダウンを受け付けない特性。
『かいりきバサミ』の上位互換で、もちろんこれを持つ物理アタッカーはダブルで強い。
『メタルプロテクト』はソルガレオ専用特性

  • トレース
自身は攻撃ダウン自体を受けてしまうものの、『いかく』をコピーしたことで新たに得たことになり相手に『いかく』を返すことができる。
ダブルバトルで『いかく』を『トレース』できれば2体に返せるのも大きい。

能力のアップダウンが逆になる。
そのため、『いかく』されると逆に攻撃が1段階上がる。
デメリットを受け付けないどころかむしろ『いかく』持ちはカモ。

  • まけんき
能力を下げられると、攻撃を2段階上げる。
差し引きで1段階アップなので、これも『いかく』持ちをカモにできる。

  • かちき
能力を下げられると、特攻を2段階上げる。
攻撃ダウン自体は受けてしまうが、『いかく』持ちをカモにできる特性その3。

  • ミラーアーマー
アーマーガア専用特性
全ての能力ダウンを受け付けず、相手に跳ね返してしまう。
つまり『いかく』した方の攻撃が下がる。
いかく持ちはメガライボルトや両刀可能なウインディやボーマンダなどを除いて物理型が多く、『いかく』持ちをカモにできる特性その4。
歴代のいかく対策と比べてもかなり脅威度が高い。
ただし、ダブルバトルでは『トレース』と違って『いかく』持ちにしか返せないのが難点。

  • きもったま/せいしんりょく/どんかん/マイペース
第8世代で、「『いかく』を受けつけない」という効果が追加された。
ここまでピンポイントな効果を追加される辺り、いかに『いかく』が警戒されているかがわかる。

  • ばんけん
上述したマフィティフの元専用特性。
わざや持ち物による強制交代を弾く『きゅうばん』のような効果、さらに『いかく』による攻撃ダウンを無効化して逆に攻撃を上げてしまう、いわば対『いかく』ピンポイントの『まけんき』効果を持つ。
ここまでピンポイントな効果のとくせいができてしまう辺り、どれほど『いかく』が警戒されているか……
DLC「翠の仮面」ではイイネイヌも隠れ特性として得た。

  • 急所確定技
急所が発生すれば、自身の攻撃ダウンを無視してダメージを与えられる。
特にウーラオスの「あんこくきょうだ」「すいりゅうれんだ」には注意したい。

  • びびり/ビビリだま
『いかく』されると素早さが1段階上がる(びびりは第8世代より)。
攻撃ダウン自体は受けてしまうが、特殊型なら純粋に便利。

  • しろいハーブ
能力の下降を一度だけリセットする。
但し、「オーバーヒート」などの使用後能力ダウンする技を連射する目的で持たせた時にいかくを受けるとそちらで消費させられてしまうため注意。

  • だっしゅつパック
能力ダウンを受けると交代する。
『いかく』対策のためだけにこれらを持たせるケースは少ない。
むしろこれらを持った特殊アタッカーが『いかく』持ちに出くわして無駄に消費し兼ねない。


ポケモン不思議のダンジョンシリーズ

習得ポケモンは上述の本家と同じ。
効果は「攻撃力のステータスダウン」ではなく「隣接する敵からの物理攻撃によるダメージを減らす」であり、この特性があるポケモンは単純に物理に対して打たれ強くなる。

数にモノを言わせてくる敵側は、この特性を巧みに活用している。
HPの高さもあってなかなか倒れてくれないケンタロスや、早めに倒さないとステータスダウンを仕掛けてくるグランブル、拘束技を得意とするアーボックなど、『いかく』のおかげで高耐久を身につけ厄介さに拍車をかけるポケモンも多い。

一方、不思議のダンジョンシリーズは単純な防御力だけでは打開できない場面も多いため、味方側の特性としては微妙。
特に「マグナゲート」以降の作品では、どのポケモンも特性を1種類しか身につけていない*3ため、『いかく』持ちは仲間から弾かれたり特性を変更されたりしてしまうことも。
「超」以降は物理遠距離技が増えたのも向かい風である。


New ポケモンスナップ

アーボックにリンゴをぶつけた際に怒ったモーションをするが、これを撮影した際のデフォルトタイトルが「いかくちゅう」となっている。

また、アーボックをリンゴで上手く誘導してサーチを当てて目を覚ました状態のフシギバナのところまで誘導すると、
二匹が向かい合い、アーボックがいかくを行う。(これも、撮影時にいかくちゅうというタイトルになる)
このいかくの効果はてきめんであるらしく、フシギバナは一目散に逃げだし水辺まで移動する。
アーボックよりはるかに体が大きいフシギバナでも委縮するくらいなのだから、本家で「こうげきが下がる」のも頷ける。

撮影時のタイトルが「いかくちゅう」となるポケモン自体は他にも多数。
お馴染みのクチートの他にも、ヘルガーサザンドラ、なんとオオタチにもいかくのモーションがある。
解釈するならば、野生生物であるポケモンたちが威嚇行動をとること自体は珍しくもないが、それが相手の攻撃力を下げる特性と呼ばれるほど効果的になるポケモンは数少ないということだろう。


追記修正は威嚇されてからお願いします。

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最終更新:2024年01月02日 18:05

*1 つまり端からもう片方の端までは影響しない

*2 くさタイプのみ

*3 旧作では、特性が2種類あるポケモンはその両方を持っていた