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ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝」を以下のとおり復元します。
//バカゲーでもないのに記事の書き方がネタに走ってるので全体修正
*ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝
【あーとおぶふぁいてぃんぐ りゅうこのけん がいでん】
|ジャンル|対戦格闘アクション|#amazon(B00014AWYY)|
|対応機種|アーケード(MVS)|~|
|発売・開発元|SNK|~|
|稼働開始日|1996年3月12日|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|意欲作だが地味&br()続編は絶望的で事実上の最終作&br()''・・・・すごい漢だ。''|~|
|>|>|CENTER:&color(black){龍虎の拳シリーズ}&br()[[龍虎の拳]]/[[龍虎の拳2]]/''&color(black){龍虎の拳 外伝}''|
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#contents(fromhere)
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**概要
人気格闘ゲームシリーズ『龍虎の拳』の3作目。~
本作以降シリーズ展開がされていない為、事実上の龍虎シリーズ最終作でもある。~
~
本作が外伝と銘打っているのは、本編主人公の同門でライバルの「ロバート・ガルシア」を主人公に据え、キャラもロバートとリョウ以外一新している為。~
主人公昇格にあわせて、ロバートは性能も初心者向けに、「リョウ・サカザキ」は中級者以上向けになっている。~
~
キャラクターについては[[公式サイト>http://game.snkplaymore.co.jp/event/virtual-console/artoffighting_gaiden/index_artoffighting_gaiden_j.html#chara]]を参照。

**システム
-弱・強などの攻撃使い分けは廃止されており、特定の通常技が繋がるコンビネーション、決まればラウンドを無視して勝利となるアルティメットKOが採用されている。
--コンビネーションは当時隆盛を誇っていた『[[バーチャファイター]]』『[[鉄拳>鉄拳シリーズ]]』などの3D格闘ゲームで採用されているシステムである。そのためか通常技を必殺技でキャンセルできない。
--更に''キャラクターの誕生日に強化される''という風変わりな仕様も搭載((通常は体力が1/4以下にならないと発動しないヒートモードが最初から発動した状態になっている。但し、誕生日システムはアーケード版のみの仕様で家庭用版では削除されている点に注意。例外としてPS2版はネオジオ版の仕様でありながらも本システムが搭載されている))。
--同時に必殺技の気力消費、挑発による気力減少、間合いによって拡大縮小するキャラクターは継続採用。

**評価点
-キャラクターはモーションキャプチャーを用いて描かれており、動きが非常に滑らか。勝利後のキャラクターアップもぬるぬると動く。
--キャラ選択画面からして動いており、後発の2D格ゲーと比べても高いレベルの描写力を実現している。

-ラスボス以外の全キャラクターに脱衣KO搭載。
--男キャラクター脱衣が嬉しいかと問われると微妙だが。
--ラスボスはムキムキの筋肉にズボン一丁という外見でこれ以上脱がせるわけにもいかないので、実質全キャラに搭載されていると言える。

-音楽の出来も素晴らしい。
--実は本作の曲は、厳密に言えば「GET HIGH(リョウ・サカザキのテーマ)」「MOJO(ロバート・ガルシアのテーマ)」の2曲しかない。他のキャラの音楽はこの2つのうちどちらかのアレンジバージョンとなっており、格闘ゲームの中でも珍しい造りとなっている。
--しかしそれ故に世界観的にも統一された楽曲となっており、さらにフュージョンテイストを大いに取り入れている。特に音質が劇的に向上するアレンジサントラは一聴の価値あり。ただし、出来のよさとゲームのマイナーさからプレミアが付いている。

-演出が良く独自の世界観を作りだしている。
--前作までもう一人の主人公というポジションにいながらも脇役に甘んじてきたロバートをメインに据えただけあり、今一つ地味な存在であった彼のキャラクターを掘り下げている。それにあわせてか、作品全体の雰囲気も彼同様キザでウエスタンな作風になっている。
---だがそのキザな雰囲気が全くそぐわないというわけではなく、CPU戦の演出・台詞がしっかりしていることもあり、キャッチコピーの「誰も知らない、もう一つの龍虎。」にふさわしい世界観を作りあげている。ただしキャラクター毎に格差はあり、主人公組(&デモのみ登場するユリ・サカザキ)は文句のないぐらいだが、それ以外はやや説明不足感がある。

-一部キャラクターの完成度が高い。
--後に『[[KOF>THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]』シリーズに登場し、そこそこではあるが人気を集める「藤堂香澄」の初登場作。極限流を敵視しリョウを追ってくるというキャッチーな設定と清楚な大和撫子といったデザインが受け、龍虎を代表する人気キャラの一人となった。
---後の『KOF』シリーズではおとなしめのキャラ性になっているが、今作ではかなり気が強くキャラが濃い、これは 「慣れない英語を辞書を片手に必死で喋ろうとしている」 事を表す為の演出である。
--そしてネタ人気の「不破刃(ふは じん)」
---まず見た目が忍者なのに上半身裸に頭巾。
---浮かせ用の技が''上から叩きつけるように当てる頭突き''なのに、バウンドも介さず相手を宙に打ち上げる。
---前作『[[龍虎の拳2]]』に登場した如月影二と同門であり、似た性能を持ちながらも見た目が下敷きの必殺技「流影陣」
---出が遅い・範囲は狭い・ガードされると反撃確定と性能は悪いが「''うおおおおおおお!''」の叫び声と共に放たれる「闘神翔」
---例え相手が女であろうと勝利台詞で言う「''・・・・すごい漢だ。''」
---敗北時のボイスがこれ以上ないほどやかましく、不破が死ぬたびに大音量でゲーセン内に響き渡る
--…と、様々な要因から一躍ネタキャラとして名が広まってしまい、このゲームは知らないが不破刃は知っているという人も少なくない。

//師範の説明はほどほどに……

**問題点
-モーションキャプチャーによる欠点
--滑らかな動きは実現できているものの、通常の格闘ゲームではカットする事で見た目の爽快感に繋がる中割が大量に存在している為、全体的に動きがもっさりして感じられる。
---当時話題になっていた『モータルコンバット』のモーションをイメージしてもらえると分かりやすい。
--挙動も現実に即したものだけに地味になってしまっており、特に一部の超必殺技は必殺技とは思えないほどに地味なものになってしまっている。
---レニィは「鞭を振り回しながらゆっくりと前進するだけ」、ロディは「オーラをまとって目一杯殴る」、シンクレアは「オーラをまとって剣で斬る」、香澄は「でかい重ね当てを溜めて出す」という地味さ。
//---しかしその龍虎乱舞も、従来であれば、無数の突き蹴りを高速で一呼吸のうちに食らわせるという爽快感があったのだが、今回は通常技のモーションが中割りたっぷりのもっさりなので相対的に乱舞ももっさりしている。
//モーションが滑らかなだけでスピード自体は『2』と大差なく、むしろ爽快感では『2』を上回るのでCOさせていただく。
--一方、ワイラーは仰向け状態からの起きあがり方が物凄く不自然。直立不動状態から足を伸ばしたまま上半身をあげたすぐ後に立ちあがるという、人体の構造上無理のある起きあがり方をする。普通、人間が起き上がって立ち上がるにはなんらかの形で膝を曲げる必要があるのだが、その部分がごっそりとカットされている為である。

-空中コンボを主体とするゲームバランスになっており、必殺技に独特のシステムを有した格闘ゲームであるにも関わらず、必殺技の存在価値が希薄。
--「空中でヒットさせた技は、通常時より威力が高くなる((実に1.25倍。))」という仕様があるため、あからさまに空中コンボのダメージ効率が良すぎる。ほとんどのキャラクターは最低でも体力4割を奪えてしまうぐらい攻撃力が高く、このため勝ちに拘ると「いかに空中コンボで高威力の連続技を叩き込むか」に集約されてしまい、ひたすら浮かせ技を狙う対戦に終始してしまう事も珍しくない。
--自キャラがピンチになり、超必殺技が使える状態になると「ヒートモード」に自動的に入り、攻撃力が1.2倍に上昇。この状態の空中コンボは更に強烈なダメージを叩き出す。

-「打撃・捌き・投げ」の3すくみで絶対の行動がないように調整したかったと思われるのだが、「打撃」が突出して強く、「投げ」「捌き」は弱くなってしまっているため、3すくみのリスクリターンが機能していない。
--「投げ」は一部キャラクターだけが持つコマンド投げを除き、しゃがんだ相手を投げる事ができない。立ちA攻撃の素早い本作では少し狙いにくく、ガードを崩す手段としては心許ない。
--「捌き」は上・中段のあらゆる打撃を無効化し、ダウンを取れる。こう書くと使い勝手が良いように思えるが、捌き自体はノーダメージで追い討ちを自分で行わなければならず、さらに追い討ち攻撃のダメージは非常に小さい。外した時にはかなりの隙があるのも難点。

-キャラクターも世界観構築的には良いのだが「藤堂香澄」と「不破刃」以外は特色が薄く、すこぶる地味。
--格闘ゲーム全体から見ると悪くは無いのだが…。特色の薄いキャラクターはモーションも地味な技が多く、より拍車がかかってしまっている。

-他にも人気キャラクターの「キング」や「タクマ・サカザキ」((まあ前作の本人のエンディングにおいて現役引退したのでプレイヤーキャラクターとして登場できなくなったのだが。))が未登場、ダメージを受けると顔が変形するという仕様も無くなっている。ユリはデモでのみ姿を見せる((当初はプレイヤーキャラクターとしての案もあったが、世界観を考慮して没になったらしい。))。

-対戦バランスもあまり褒められたものではない。
--主役であるロバートはほとんどの技の隙が大きく、かなり弱い部類。勝とうと思うなら、比較的隙が少なくリーチのある立ち蹴りでしつこく牽制し、カウンターで当たって浮いたら空中コンボを逃さず入れるぐらいしかやる事がない。
--カーマン・コールはその素早そうな外見とは裏腹に、立ちパンチの出が全キャラクターで一番遅い。このため技の打ち合いに弱く、素早い技を持つ相手には非常に苦労する。特に対ワイラーは物凄く相性が悪く、バクチで当身技か捌きを決めないと、相手の立ちパンチだけで完封されてしまうほど。さらに背が高く空中でのやられ判定が大きいため、カーマン限定の高威力連続技が存在してしまっている。折角追い詰めてもワンコンボから逆転されやすい。
--タイムリリースにより解放される本作の中ボスであるシンクレアは、非常に弱い。必殺技・通常技ともガードされると隙が大きかったり、出るまでが遅すぎる技しか持っておらず、唯一の高威力連続技の起点となる浮かせ技が異様に当てにくい。おまけに、このキャラクターだけ投げを持っていないためガードを崩しにくく、中下段の択も反応してガードを切り替えられると簡単に反撃を喰らってしまう。剣を持っているくせに特に遠距離戦が強いわけでもなく、近距離戦では弱すぎると、どうしようもない性能のキャラクターになってしまっている。
--逆に、同じくタイムリリースで解放されるラストボスのワイラーと、通常キャラクターのレニィは非常に強い。
---ワイラーはリーチのある立ちパンチからの浮かせコンビネーションが強く、適当に振り回して当たったら立ちパンチを連打する(あるいは、必殺技のブラック・アウトを入れる)だけのお手軽連続技が猛威を奮う上、通常投げを食らわない特性を持つ((投げようとすると弾き飛ばして無効にしてしまう。しかもそこからワイラー側の浮かせコンビネーションが繋がってしまう始末。))ため一部キャラクターはほとんど詰んでしまう。下段攻撃と超必殺技が無い、追い討ち攻撃が使いにくく一部キャラクターにはヒット後に反撃確定と言う欠点があるが、それでも強い。((以上の説明で気がついたかもしれないが、ワイラーで同キャラ戦をやると双方相手の立ちガードを崩すのが困難(必殺技削りかめくりのみ)というひどい勝負になる。))
---レニィは素早い立ちパンチ、異常に出が早く相手をよろめかせる事のできる「プッシュ・インパクト」が強く、そこからの連続技はややテクニカルなものの、即死を狙えるほどに強烈。下段は一つしかないが出が早くリーチがあるため崩しに使うには充分。ワイラーと違い超必殺技も使えるため、お手軽さでこそ劣るがポテンシャルは相当に高く、最強への可能性を秘めている。
--ちなみに人気の不破刃は中の上といったところである。((ただし、上位キャラのワイラーとの相性はよかったりする。))

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**総評
格闘ゲームとしての出来は悪くない。~
だがシリーズ独自のシステムを生かしきれない仕様・地味な動きから人気は出ず、多くの伏線をばらまいたまま、シリーズは本作で終焉を迎える事になってしまった。~
しかし、その雰囲気やキャラクターの魅力は本物であり、実際に魅せられた者がいるのもまた確かである。「誰も知らない、もう一つの龍虎」の言葉通り、人知れずながらも美麗な輝きを持っていた作品だったのかもしれない。

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**余談
-藤堂香澄のエンディングでは香澄の母、つまり藤堂竜白の妻が登場し、藤堂竜白が物語に絡み日本が舞台となる続編を匂わせるような話が繰り広げられたが、結果はご存知の通り本作が今のところシリーズ最終作となっている。
--実際はさらなる続編製作の動きもあったようだが、SNKの倒産によって開発チームが独立してしまったことにより、実現には至らなかった。

-不破刃のネタ人気について
--元々上記のインパクトでプレイヤーに強烈な印象を残していたキャラではあるのだが、ネット普及後、とあるファンサイトでこのキャラクターを面白おかしく取り上げ、またその動画がニコニコ動画に転載され大人気を博した事で、ファンからは''『不破師範』''の愛称で親しまれる程にネタ人気が出る事となった。
---この人気を受けてか、『KOF12』のデモシーンで謎のピックアップ登場を果たしている。


**家庭用移植
-''ネオジオROM版''(1996年4月26日、SNK)
--当然ながらアーケード版のほぼ完全移植な出来。ただし本体に時計機能がないため誕生日のキャラの性能が上がるシステムはカットされている。

-''ネオジオCD版''(1996年6月14日、SNK)
--この辺りからネオジオのROM容量がかなり大きくなってきており、恒例の極悪ロードはもちろんの事、ハードスペックの限界でグラフィック周りも劣化してしまい評価は芳しくない。グラフィックの劣化はネオジオCD版のゲームの中でも特に顕著でキャラクターの最大時のサイズがROM版の最小時サイズくらいになりもはや別物と化している。
--その代わりにシンクレアおよびワイラーのCPU戦で会話デモとエンディングが追加されていたり、ストーリー時の台詞・演出が多少増えていたりする。
--また、CD版はROM版にはないオプションモードがあり、カラーエディットやスピード・攻撃力を変更・デモ鑑賞機能などが利用できる。ワイラー&シンクレアも最初から使用可能。
--デモを飛ばせるオプション項目やキャラクターセレクト画面の簡易版が用意されていたりと、ローディングの長さにはスタッフも苦慮していた模様。
--CD版は通常版の他に、ロバート・ガルシアが持っているコインを原寸大に再現したものが付属した限定版も同時発売されている。

-''PS2版『NEOGEO オンラインコレクション 龍虎の拳 ~天・地・人~』''(2006年5月11日、SNKプレイモア)
--プレイステーション2で発売されたオムニバス集。ネオジオROM版のほぼ完全移植であるため、CD版限定のシンクレア&ワイラーのデモなどは収録されていない。PS2本体の時計機能に連動しキャラクターの誕生日に性能が上がるMVS版のシステムが再現されている。
---クレジット制限が廃止されてフリープレイとなっている。またメモリーカードによるデータセーブは使用できない。
--PS3でもPS2アーカイブスにて配信されている。

-''バーチャルコンソール版''(2011年8月23日)(900ポイント)
--ネオジオROM版の完全移植。

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