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マリオカートWii - (2019/10/19 (土) 07:56:30) の編集履歴(バックアップ)


マリオカートWii

【まりおかーとうぃー】

ジャンル アクションレースゲーム
対応機種 Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 2008年4月10日
定価 5,524円(税別)
プレイ人数 1~4人
(Wi-Fi対戦時:2~12人)
セーブデータ 4個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
備考 「Wiiハンドル」1個同梱
判定 なし
ポイント Wiiハンドルで直感的操作
充実したWi-Fi対戦
ロスポイントの多さで爽快感が消滅
バイク強すぎ、カート弱すぎ
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

万人向けレースゲームの定番『マリオカート』シリーズ第6作。
本作ではWiiリモコンをハンドルのように傾けてカーブを曲がる直感的な操作が可能になった。
また『マリオカートDS』に続きWi-Fiランダム対戦に対応しており、レーティングシステムも初搭載されている。

ちなみにWiiリモコン用のアタッチメント「Wiiハンドル」が1つ付属している。


特徴・評価点

  • 総勢25人のプレイヤーキャラクター
    • これまでのシリーズ最多となる25人から選べる。隠しキャラの中にはこれまでの『マリオ』のパーティーゲームでは登場しなかった意外な人選も含まれている。
      • 強いて言えばベビィ系が完全新規を含め4人もいる点がやや偏り気味と言えるか。
    • またMiiをプレイヤーキャラクターとして選択することも可能。能力は設定された身長と体重によって変化する。
  • Wiiハンドルによる直感的操作
    • 本作はWiiリモコンを横持ちで左右に傾けることによりハンドル操作を行うことができる。本体にはアタッチメント「Wiiハンドル」が付属しており、Wiiリモコンを横持ちの状態で取り付けることで、より持ちやすく、Bボタン(ジャンプボタン)を押しやすくなる。
      • これまでレースゲームをプレイしていると、カーブでコントローラーや自分の体まで一緒に傾けてしまうという光景はよくあったが、本作では実際にコントローラーを動かすことで操作が可能になった。これにより、ゲーム初心者でも直感的なプレイが可能になり、Wiiのコンセプトであったプレイの間口の拡大に成功した。
    • 他にもヌンチャク、クラシックコントローラー、GCコントローラによる従来通りのスティック操作にも対応している。Wiiハンドル操作とスティック操作の感覚はかなり異なるため、別作品をプレイしているような新鮮な感覚となる。
      • カジュアルに対戦する時はWiiハンドル、ストイックにタイムアタックを繰り返す時はコントローラー、とプレイスタイルによって使い分けることができる。
      • 基本的にはWiiハンドルのほうが操作がアバウトになるので難易度は高くなる。だがWi-Fi対戦などではハンドル操作の場合はハンドルのアイコンが付くため、あえてハンドル操作で上位を狙うというプレイも可能。
  • 新マシン「バイク
    • 本作ではマシンをカートの他にバイクからも選ぶことができる。
    • バイクには「ウィリー」という独自アクションがあり、Wiiハンドルを振る(コントローラーの場合はボタン操作)ことでスピードが上がるウィリー状態になる。
    • 性能や操作感覚がカートとは別物で、爽快感のある走りを楽しめると好意的な意見もあるが、本作のバイクには致命的な問題点がある(後述)。
  • ドリフトとミニターボの仕様
    • 初心者用の設定として「オートドリフト」がある。これはハンドルを切るだけで自動でドリフト状態になり、スピードを落とさずにカーブを曲がることができるというもの。ただしミニターボはできなくなる。
    • もちろん従来のジャンプから発動する「マニュアルドリフト」モードもある。
    • 本作のミニターボは『スーパーマリオカート』『アドバンス』と同様、一定時間ドリフトし続けていると火花の色が変わり、ドリフトを解除するとターボするという仕様。曲がる方向にハンドルを切ると速く色が変わりやすくなる。
      • このため『DS』で問題となった「直線ドリフト」(直線上で蛇行しながらドリフトとミニターボを繰り返す走り方)はできない、もしくはやりにくくなっている。
  • COM戦におけるライバルキャラクターの仕様の変更
    • 本作からライバルが常時固定ではなくなり、1レース目は初期順位の上位3名、2レース目以降はドライバーズポイントの上位3名がライバルとなるように変更された。初代『スーパーマリオカート』や『アドバンス』に近い形と言える。
  • 充実したWi-Fi機能
    • Wi-Fi対戦では最大12人でレースを走ることができる。『64』や『ダブルダッシュ!!』の4人*1、『DS』の8人を大きく上回る人数で、非常に賑やかかつ激しいレースを楽しめる。
      • ローカルプレイだと画面が分割されて狭くなってしまうが、Wi-Fi対戦だと広い画面を1人で使うことができるため、ゲームとしても相性が良い。
    • 『DS』と同じくフレンド対戦だけでなくランダム対戦にも対応。またレーティングシステムも採用されている。
    • 通常のVSモードに加えて、バトルモードも12人でプレイ可能。バトルモードは2種類あるゲームが交互に行われる。
    • フレンド関係が飛躍的に向上しており、対戦中のフレンドがいれば、その次のレースからその対戦部屋に参加可能。
      • VS・バトルモード共に、自分のフレンドが対戦している部屋に「合流」で参加することが出来る。(そのため、部屋のLVが上昇傾向にある)
      • Wi-Fiに繋いで自分が走っていないときは、フレンドコード交換相手のコードも確認でき、オンライン状態も見ることが出来る。
      • また、フレンド限定部屋を作った際の部屋主が出来ることは多く、部屋主とさえコード交換していれば誰でも入ることが出来る。
      • フレンド限定部屋の中でコード未交換状態の気に入ったプレイヤーがいれば、レース終了後等にその人にコード交換依頼をすることも可能。
    • 2014年5月20日に任天堂がWi-Fiコネクションを終了したため、オンライン対戦は不可能になった。
    • シリーズで初めて世界規模のタイムアタックランキングがゲーム上で行われていた。
      • 各コースのトップクラスのリプレイを誰でも閲覧&ダウンロード可能。
      • 自分のゴースト(タイムアタックのリプレイデータ)をフレンドコードを交換している者同士でやり取りができる。
      • フレンド、国内、世界のランキングと比較して自分のタイムのおおよそのランキング位置を見ることも可能。
    • 公式大会」が定期的に行われていた。
      • 内容は特定コースを特殊な状況で走るタイムアタックであるが、入賞するとMii及びそのMiiの名前がランキングに掲載される。
  • BGMの変化の追加
    • 本作から、BGMがシーンや周回数によって変化するようになった。
    • 特に、ノコノコみさきやクッパキャッスルでは3回もBGMが変わる。激しく変化する本作のコースにおいては楽しい仕掛けである。
  • ボイスバリエーションの増加
    • これまではレース終了時、アイテム使用時とシーンごとに1種類か多くて2~3種類しかなかったが、今作ではすべてのシーンに複数種類のボイスが付くようになった。
      • とりわけ落下時のボイスは「奈落に落ちた時」、「水中に落ちた時」、「溶岩に落ちた時」で別々のボイスが当てられている。レースの臨場感が増した他、キャラクターの個性がより強調されて賑やかなレースを楽しむことができる。

問題点

  • 強すぎるハングオンバイク
    • バイクの中には「スーパーバウザー」や「マッハバイク」など、「ハングオンタイプ」と呼ばれる特殊な仕様のマシンが存在する。
      • 通常のカートやバイクはドリフト開始時に外に膨らむ性能なのだが、ハングオンの場合は逆に内に鋭く切れ込むように曲がる。このためインコースをつくことができ、通常のマシンよりも大きく有利な仕様である。
    • また、本作のみ停止した状態でアクセル+ブレーキをしばらく同時押しすると「スピンターン」状態になり、ターボをかけてスタートすることができてしまう。
      • これにより加速性能がほぼ無意味となり、加速が低いことが多い、スピードに優れたマシンが非常に有利に。
      • さらに本作にはキャラクターごとにマシン性能に若干上乗せするプラス補正があり、最高速が2段階強化される「ファンキーコング」と「デイジー」が有利に。
    • ハングオンは最高速が高いマシンも多いので、上記の仕様も併せて「速い・曲がる・重い」と欠点のない最強マシンになってしまっている。
    • この結果、高レートの対戦になると「ファンキーコング」+「スーパーバウザー」(通称「ファンバウ」)と「デイジー」+「マッハバイク」(通称「デジマ」)以外の組み合わせは全くと言っていいほど見かけなくなる。
      • 本作では内部仕様として各マシン・各ドライバーにそれぞれ一定の能力が割り振られており、それらを合算して総合能力が決まるのだが、その総合能力が無駄なく組み合わさっているのが前述の2つである。逆に言うと上記の組み合わせでないと勝負にならないことも。
    • さらにバイク特有のアクション「ウィリー」が時間をかけて加速していくとはいえ、発動するだけで最高速度が15%上がると強力すぎるのも拍車をかけている。
      • 比較対象を挙げると、ミニターボは20%、ジャンプアクションは30%、キノコやダッシュボードは40%の補正かつ下限あり。ウィリーと重なった場合は倍率が加算され(ウィリー+ミニターボなら35%の補正)、ウィリー+キノコorダッシュボードなら上限速度まで上がる。
      • 一応ウィリー中はほとんどステアリング操作が効かなくなるため長い直線でしか使えない、接触時に大きく弾き飛ばされる、という弱点があるのだが、ウィリーはジャンプで簡単に解除できるため、実質的にデメリットがほとんどない。回数制限などもなく連続して使うことも可能。したがって、激しいカーブ以外では常にウィリーで走るというプレイが可能になってしまい、ウィリーができないカートとの差が大きく広がることになった。
    • 一応カートにも長い時間ドリフトし続けると通常のミニターボよりもさらに効果の高いミニターボを出せる「スーパーミニターボ」という固有のアクションがあるにはあるのだが、長いカーブがなければ発動することが出来ず、その長い時間に見合った効果が得られるわけでもないため、バイクほどの有効性が無い。
    • 以上のアンバランスな性能差から、「ファンキーバイクWii」と揶揄されることになってしまった。
      • この反動か、同じ重量区分のキャラそれぞれに個性を与える仕様は、本作が最後となった。
    • 「マリオカート」なのにカートが活躍できないというバランス調整に不満を持ったプレイヤーが多かった。また本作の2つの目玉要素である「バイク」と「Wiiハンドル」はそれぞれ合致しておらず、チグハグな印象も受ける。
  • ロスポイントの多さ
    • コースから落下するポイントも多く、コースを完全に把握しておかないとすぐに落ちてしまうため、差が付きやすい。
      • また落下点が多い故にアイテムの影響が非常に大きい。アイテム→落下→大幅ロスはもはや日常茶飯事。レースとは一体何なのか。
      • 基本的にアイテム攻撃を受けると例えダッシュ板等の上であろうとダメージを受けそのまま落下してしまうので、全体的にアイテムの効果が強力になっており、運要素が強く実力があっても意味をなさない。
    • 本作ではグランプリモードで1つ星以上を収めないと解禁されない隠しキャラがいるが、運要素の強さから高難易度のモードで好成績を収めるのが難しくなっている。
    • 上記の仕様からシリーズでおなじみの1位だけをほぼ確実に被弾させる「トゲゾーこうら」や全体に強大な効果のある「サンダー」が今までよりも脅威になっており、それを利用した嫌がらせが出てくる程。
    • 「POWブロック」を使われた場合、直線上の時はウィリー動作連打で何とかなるが、カーブ近くでは操作が不安定、崖際だと最悪落下してしまうことも。
  • 凶悪すぎるアイテム
    • キラー」:順位が5つ上がるまで持続するようになった上に、出現率が異常なまでに引き上げられた。
      • 出現範囲は9位以下で同時に出現するのは1体のみだが、10位で7.5%、11位で22.5%、12位に至っては35%の確率で出現する。要するにキラーがいない方が珍しいのである。
    • きょだいキノコ」:新アイテム。スターと同じ無敵系アイテムでありながら4位でも出現する
      • 大きくなるために攻撃範囲もスターより広く、踏みつぶされた時のロスも非常に大きい。
      • スターとキラーのみ通常通り喰らう、サンダーを使われたり電気に当たると元の大きさに戻るという欠点はあるものの、この出現範囲でこの効果は強力すぎる。
    • POWブロック」:これも新アイテム。発動した際に自分より上位にいる相手全体に効果がある。出現範囲は5~9位。
      • タイミングに合わせてウィリー動作を行えばスピードロスは回避できるが、アイテム持ちの場合はそれを失う点は変わらない。要するにジャンプ中や無敵でも無い限り、完全には回避することができないのである。
    • カミナリぐも」:これまた新アイテムで、シリーズ唯一のハズレアイテム。入手した瞬間に不気味な効果音ともに自動的に発動する。
      • 所持している間はダート無視&最高速・加速が上昇したりするプラス効果が地味ながら存在するが、プラス効果が切れる際、その代わりに速度減少(0.7倍)のマイナス効果を10秒間及ぼす。また、マイナス効果を受けた際に所持アイテムを全て落としてしまうため、他プレイヤーから攻撃されやすい点も。
      • 他人に擦り付けたりすればいいのだが、そんなにうまくいくとは限らず、大概は「邪魔」なアイテムにしかならない。とくに曲がらないマシンとの相性は最悪(妙な速度上昇があるため操作しづらくなる)。
      • 出現する順位は3~8位。挙句の果てに3人以下の対戦だと最下位で出る*2。ただでさえ逆転性の低い低人数のレースが、余計に逆転しづらくなってしまっている。
      • また、Wi-Fi対戦ではラグにより、当たってないのにカミナリぐもが移る、逆に当たったのにカミナリぐもが移らないといった現象がたびたび発生し、非常にストレスが溜まる。
    • この他、こうらなどを被弾した時の硬直時間が長くなり、復帰までに時間がかかるようになった。
  • 「ジャンプアクション」のゴリ押し
    • とにかくジャンプによって進むコースが多く、走っているという感覚が薄い。数が多い分1つ1つの作りが適当になっているコースもある。
    • 本作ではこれを行うと着地するまで徐々に減速していくため、ジャンプアクションをしない方が良いという機能しないジャンプギミックまで存在するという有様。
  • バトルモードのオンラインレート(BR)がVSモードに比べてかなり上げにくい。
    • バトルモードでは全試合2チーム制のチームバトルなので、ポイントを稼いでチームに貢献したうえで自チームを勝利に導かなければならない。
    • 自分のレートによっては、全メンバー中で1位の成績であっても自チームが敗北してしまうとレートが下がる場合もある。
    • チームの勝利が鍵ということで、勝利するために相手側の高得点者を狙い打ちにするなどの戦略が必要になってくる。
  • 嫌がらせ・チートプレイの横行
    • 上記した様に今作はアイテムが非常に強力な為、それを利用してひたすらアイテムボックスの位置で待機してアイテムだけを延々と連発してレースを台無しにするプレイヤーが大量に発生する結果になった。
      • これらはチート等とは違い、不正を行っている訳ではないので公式側で処罰する事も出来ずやる側にデメリットが無い為オンラインの過疎化にも影響した。
    • 上記いやがらせ以外にもアイテム固定(スターやトゲゾーこうら等)でずっとプレイヤーを操作不可能状態にするようなチートプレイヤーもDS版に負けず劣らず非常に多かった。
      • しかし、公式側では全く対処等がされずほったらかしでやりたい放題なため、嫌がらせと相まって無法地帯と化した。
  • 「グランプリ」が1人プレイ専用モードに
    • 従来の据え置きのマリオカート作品では全て2人プレイでも「グランプリ」を遊ぶことが可能であったのだが、ポイント評価制の導入が原因なのかどうかは不明だが、本作では完全に1人プレイ専用のモードになってしまい、遊びの幅が狭まってしまった。
  • 多人数プレイにおけるフレームレートの低下
    • 2人以下で遊ぶ場合は60fpsだが、3人以上で遊ぶとCOMのあり・なし問わず30fpsに落ちてしまう。
      • また、2人以上で遊んでいる場合は相手キャラクター・マシンや、コース上の大半のオブジェクトのアニメーションが無くなってしまう。

総評

新要素のバイクはマンネリ打破の発想は良かったものの、圧倒的な性能差から練り込み不足を感じてしまう。
また、タイムロスの多さから走る爽快感が大きく減少してしまったバランスも擁護できない所。

大幅に増えたキャラクター数やレース・バトル共にバラエティ豊かなコース、個性の強いアイテムなど「マリオ」を題材としたパーティゲームらしさは確実に進化している反面、「カート」という要素がバイクに潰されたり、特定のキャラクターと乗り物の強力な組み合わせばかりが横行してしまったり、レース面が壊滅してしまっているのは頂けない。
友達を集めて「パーティゲーム」として楽しみたいなら、一考の価値のある作品ではある。


余談

  • 本作は全世界で3,700万本以上の売上(全Wiiソフトで2位*3)を記録し、 「世界一売れたレースゲーム」 としてギネス世界記録に認定されている。