「真説サムライスピリッツ 武士道烈伝」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
真説サムライスピリッツ 武士道烈伝 - (2018/03/31 (土) 10:46:41) の編集履歴(バックアップ)
真説サムライスピリッツ 武士道烈伝
【しんせつさむらいすぴりっつ ぶしどうれつでん】
ジャンル
|
RPG
|
|
対応機種
|
ネオジオCD セガサターン プレイステーション
|
発売・開発元
|
SNK
|
発売日
|
1997年6月27日
|
定価
|
6,800円
|
判定
|
黒歴史
|
ポイント
|
格闘ゲームのRPG化として話題を呼ぶが… 延期に延期を重ねた発売時期 ロード多すぎ&長すぎ 練り込み不足なシステム
|
廉価版
|
【PS】PlayStation the Best:1998年7月23日/2,800円 ※表示定価は全て税抜
|
サムライスピリッツシリーズリンク
|
概要
-
対戦格闘ゲーム『サムライスピリッツ』をロールプレイングゲーム(RPG)とした作品。
-
当時サムスピシリーズの人気は高く、これに乗らんとばかりにRPG化が企画された。
-
SNKにはこれまでRPGを制作した経験がほとんど無く、ファンの間には期待と不安が高まっていた。
内容
-
ストーリーは初代『サムライスピリッツ』(以下初代)をベースとした「邪天降臨之章」と、『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』(以下真サム)をベースとした「妖花慟哭之章」の2本立て。
-
開発当初はもう一つシナリオが用意されていたのだが、これについては後述する。
-
主人公は「覇王丸」「牙神幻十郎」「ナコルル」「ガルフォード」「橘右京」「チャムチャム」の6人の中から選ぶ。
-
幻十郎のみそのキャラクター性から、「邪天降臨之章」ではパーティを組めない。
-
パーティ専用キャラクターとして「シャルロット」「千両狂死郎」「リムルル」も登場する。ただしNCD版では主人公によっては仲間に出来ないキャラもいる(例:ガルフォードは犬を連れているため、犬嫌いの狂死郎を仲間に出来ない)。
-
「妖花慟哭之章」ではRPGオリジナルキャラの「疾風の鈴音」が強制的にパーティに加入する。幻十郎も鈴音と二人旅をすることになる。
-
当初はネオジオCD専用ソフトとして開発されていたが、発売日が延期を重ねた間にSNKがSS・PSのサードパーティとなったために三機種で同時発売されることとなった。
-
機種ごとの違いはクリア後の特典で、NCD版は「緋雨閑丸」を主人公としたおまけシナリオ、SS版は黒子の質問コーナー、PS版は各サブキャラクターのショートストーリーとなっている。
-
なお、NCD版のおまけシナリオには、(厳密には時代背景が違うためそっくりさんだが)KOFシリーズのメインキャラクターである草薙京・八神庵の両名や麻宮アテナ、『龍虎の拳』のサカザキ兄妹など、他のシリーズのキャラクターが大量に登場している。
問題点
-
回数が多すぎる上、時間がとにかく長いロード
-
おそらくこれが最大の問題点。特にNCD版では、電源投下して起動した後の初戦闘やダンジョンの出入り直後などマップや敵の出現テーブルの入れ替えが起こった際には敵と遭遇してから戦闘画面へ移行するまでに1分ほどかかる。
-
更にエンカウント率も高いので、とにかくストレスが溜まること間違いない。
-
また、建物の中に入ろうとすると即ローディング、10秒以上も待たされる。
-
PS版のみ、PS2でプレイすることによって多少はストレスを感じなくなるだろう。
-
戦闘システムの問題
-
元々格闘ゲームだった作品のためか、本作では格闘ゲームのようなコマンド入力で奥義(格闘ゲームで言う必殺技、RPGで言えば魔法や特技)を出すことが出来る。
-
しかしRPGであることから、コマンド入力が苦手な人の為か奥義を画面から選択する一般的なRPGの方式も採用している(PS版はセレクト方式のみ)。
-
ここでの問題は、コマンド方式は失敗すれば奥義が出ないというデメリットはあるのに、成功して受けるメリットは皆無ということである。
-
RPGのプレイ時間は対戦格闘ゲームの比ではないため、いちいちコマンド入力していたら手が疲れてしまうし面倒くさい。
-
なので、普通にプレイするならコマンド方式は全く意味の無いシステムである。せめてコマンド方式なら消費気力(MPに該当するパラメータ)が低くなる、などとすれば存在意義もあっただろうに(一応NCD版のみ防御と回避を任意で出来るようになっていた)。
-
さらに戦闘自体も、ザコが意外と強くて殲滅に時間がかかる。
-
主人公のHPが900しか無いのに、200超ダメージを与えてくる敵がワラワラ出てくるバランスの悪さ。
-
またエンカウント率も高く、4、5歩に1回などという凄まじさ。
-
前述のロード時間の長さもあり、これで飽きてしまったプレイヤーも多い。
-
選択した主人公によっては、地獄を見ることになるバランス
-
「邪天降臨之章」の幻十郎は前述の通り誰ともパーティを組めないため、常に一人旅となる。一応能力は高めでオールラウンダーなのだが、一人旅のため状態異常にすこぶる弱く、麻痺でもしようものなら途端に敵のレイプが始まってしまう。もちろん即死攻撃を喰らえば終わりである。
-
本作では何らかの状態異常中には、状態異常攻撃への抵抗が無条件で消滅してしまうため、麻痺攻撃する敵がいる時に状態異常になるとそのまま連続麻痺して二度と復帰できないことも珍しくない。一人旅でこれを防ぐ方法は、とにかくレベルを上げて状態異常耐性を上げる以外に無い。
-
当然敵を倒すのにも苦労する。
-
「妖花慟哭之章」では疾風の鈴音が強制加入するので多少は楽になる。
-
一部キャラの扱い
-
主人公またはパーティキャラに選ばれなかったキャラの中には、扱いが悪い者も存在する。
-
中でも柳生十兵衛は、本シリーズでは人気が高いキャラであるにもかかわらずパーティキャラではない。
-
「妖花慟哭之章」の冒頭のイベントで敵の幹部に殺されてしまう。
-
シナリオが一本道過ぎる
-
「邪天降臨之章」「妖花慟哭之章」ともに、ほぼ完全に一本道。サブイベントは殆ど存在しない。
-
RPGでは必須の謎解きなども存在しないようなもので、単にストーリーをなぞるだけ。
-
RPG制作のノウハウの不足ぶりが浮き彫りとなった。
-
「スピリッツ」システムが中途半端
-
これは普通のRPGで言うところの属性値、アライメントにあたるもので、「攻撃的」なスピリッツと「慈悲的」なスピリッツの2極が存在する。怒り奥義を使用したり、選択肢で他者を傷つけるものを選ぶと「攻撃的」に近づき、敵を散らしたり、選択肢で他者を思いやるものを選ぶと「慈悲的」に近づく。
-
が、これが大きな意味を成すのは「邪天降臨之章」だけで、「妖花慟哭之章」ではほとんど意味がない。
-
一応、NCD版のみ相手の攻撃時にタイミングよくボタンを押した際の動作が異なるという点はあるのだが…。
-
ちなみにこの「スピリッツ」値、キャラクター毎の性格がきちんと反映されており、初期値が大きく違う。ナコルルは最も「慈悲的」であり、幻十郎は最も「攻撃的」である。そのため、幻十郎で「邪天降臨之章」をプレイしてグッドエンドを見たい際には、ある程度意識して敵を散らす必要がある。
-
没になったシナリオ
-
開発当初は前述の二つのシナリオの他に「魔都封滅之章」という、京都を舞台にしたRPGオリジナルシナリオが制作され、SNKのSS・PS参入により3機種での展開が決定してからは各機種版に3つのうち2つずつがそれぞれ異なる組み合わせで収録されるという予定で開発が進められていた。
しかし開発の遅れやハードの制約等により、急遽各ハード共に同じもの2本を収録して発売することが発表された。
-
各機種でクリア後のオマケ要素がそれぞれ異なるのは、機種毎に違いを出すという当初の企画の名残である。
-
一応NCD版のオマケシナリオが、上記の没シナリオの一部分のみを再現している。
-
ちなみに柴田亜美氏によるゲーム業界のレポート漫画「どきバグ」で、本作の発売前の告知で、この3機種に3種が2つずつの組み合わせで収録されて販売されることが宣伝されていたことがある。
-
その後の同漫画で、プロデューサーの高津氏が通天閣に登って「魔都封滅の話はすなァァーっ!!」と叫ぶ回があった。
-
それどころか、なんとゲーム中でも似たようなセリフを言う男がいる。とんだ自虐ネタである。
-
一部のキャラの声
-
本作はフジテレビとタイアップしていたためか、一部キャラの声優に芸能人やフジテレビの女子アナウンサーが起用されていた。
-
ただやはり声優の演技としては難があるものも多く、特にリムルルは酷い演技であった。
-
リムルルは『天サム』でもこの声。発売はこちらが先になってしまった。
-
またミヅキやアースクェイク、ズィーガー等、本シリーズから声優が変更されたキャラも多い。
評価点
-
ドット絵は秀逸。敵や味方の一つ一つのモーションや建物や背景までキメ細かく描かれている。この点はさすがSNKと言ったところ。
-
特定のキャラで特定の場所に行くと発生するイベント用の一枚絵も必見。特にドレス姿のシャルロットが拝めるのは本作ぐらいだろう。
-
おまけシナリオのみの登場である他シリーズのキャラクターのドット絵にも力が入っており、京の鬼焼きや庵の三段笑いなど印象的な動作がきっちり作り込まれている。
-
登場人物は『初』~『斬』までのほぼ全員が登場。ズィーガーや不知火幻庵など『剣』まで復活しなかった面々も登場するのはファンには嬉しい。
-
また『真』以降何かと不遇な扱いを受けている橘右京や当時は時代を先取りしすぎて人気がイマイチだったチャムチャムなどにもスポットを当ててる点でも本作は貴重な存在。
-
オリジナルキャラも特に違和感なく溶け込んでいる。
総評
アクション(特に当時は格ゲー)メインのメーカーであるSNKが製作したRPGということで話題を集めたが、元々RPG制作のノウハウが不足していた上に開発リソースの多くを格闘アクションに特化させていたことが災いし、度重なる発売延期とロードの長さ、バランスの悪さなどのマイナス点が現れてしまった。
特にロードの長いことで評判のNCDでRPGを作ることに無理があったといえよう。
その後『サムスピ』シリーズは当時の流行に乗ってポリゴン化した『侍魂~サムライスピリッツ~』がその年の内に登場するが、これもまたSNKの3D技術力の低さを露呈した駄作となってしまい、本作と共にシリーズ全体のイメージダウンに大きく貢献することとなってしまった。
余談
-
SNKプレイモアの公式サイトではトップページと「歴代演目」でサムスピシリーズを紹介しているが、本作は存在自体が一切触れられていない。