「シティ・アドベンチャー タッチ ミステリー・オブ・トライアングル」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

シティ・アドベンチャー タッチ ミステリー・オブ・トライアングル - (2020/09/29 (火) 21:27:48) の編集履歴(バックアップ)


CITY ADVENTURE タッチ MYSTERY OF TRIANGLE

【してぃー あどべんちゃー たっち みすてりー おぶ とらいあんぐる】

ジャンル アクション

対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 東宝
開発元 コンパイル
発売日 1987年3月14日
価格 4,900円(税抜)
判定 クソゲー
ポイント 擁護不可能なSHITTY ADVENTURE
原作と関係がなさすぎる羊頭狗肉ゲー
少年サンデー関連作品リンク


概要

あだち充氏による大人気青春野球ラブコメ漫画『タッチ』を原作としたゲーム。
『タッチ』のゲームは1987年1月にパソコンPC-8801シリーズ向けに発売されたアドベンチャーゲームの『タッチ』が最初であり、本作は2作目にして最後の作品となる。

ストーリー

ある日、みなみが買物に行こうと南風を出ると、パンチがすごいいきおいで飛びついてきました。パンチはみなみの服のそでをひっぱってはなしません。どうしたのだろうと思ったみなみは、パンチにひっぱられるままに犬小屋の前までやって来ました。

 いつもなら10ぴきの子犬たちで大さわぎの犬小屋が、今朝はとても静かです。不思議におもってみなみが犬小屋をのぞくと、いっぴきも子犬たちがいませんでした。みなみがあたりをみまわすと、大きなエサの皿をパンチが悲しそうにのぞきこんでいるのに気がつきました。みなみが、大きなエサの皿の底をのぞいてみると、なんとそこには、ポッカリと大きな穴があいていました。みなみは、この穴に子犬たちがおっこちてしまったのかな?と考えました。それにしても、この穴はいったいどこにつうじているのでしょうか?………………………  そうこうしているうちに、むこうからタッちゃんとカッちゃんがやって来ました。みなみは二人にいままでのいきさつを話しました。すると不思議そうにお皿をながめていたタッちゃんは、いったいこの皿はどうなっているんだろうと、持ちあげようとしました。みなみは、それを見てあわててタッちゃんを止めました。なぜなら、穴がなくなってしまうかもしれないと思ったからでした。

 結局三人は、子犬たちはいま食べざかりだから、たぶんこの穴に落ちたエサをおっかけて、この中に飛びこんだのだろうと考えました。三人がどうしようかとそうだんしていると、パンチが悲しそうにこちらを見ています。そのパンチにこたえるように、三人は顔をみあわせると、お皿の大きな穴の中に飛びこみました。  まるく光って見えるお皿の底はあっというまに点になり、そして見えなくなりました。

 とそのとき、ドスン!!と三人はしりもちをつきました。いたいおしりをさすりながら、三人が見たのは、自分たちの住んでいるまちでした。  ところがその町では、道のまん中を人形やおもちゃの自動車がうごきまわっているではないですか!  三人は、しばらく目を丸くしていましたが、目の前に子犬がいることに気づいて、あわてておいかけていきました。…………………

 はたして、三人はパンチの期待にこたえることが出来るでしょうか?それは、あなたのウデにかかっているのです! (説明書より抜粋)

特徴

  • いわゆるベルトアクションゲームであり、複数のマップがつながっている広大な世界を探索し、行方不明となったパンチの子犬を救出するのが目的。
    • 先へ進むのにアイテムの入手が必要等の条件がある場所もあるが、犬を探すのに決まった順番はない。
  • 操作キャラは達也と和也の二人。
    • 一人プレイ時はセレクトボタンで達也と和也のどちらを操作するか切り替える。操作していない方(と南)は自動でプレイヤーの後をついてくる。攻撃するともう一方も同時に攻撃をする。
      • 南が敵にぶつかると座り込んで泣き出す。南にはステータスが存在しないので、ダメージを受けると達也、和也の両方がダメージを受けてしまう。
      • 持てるアイテムに個数制限があるため、どちらのキャラで入手・使用するためや後述の経験値を稼ぐためにキャラを切り替えて進めて行く必要がある。
  • 体力兼お金のステータス
    • 画面には達也と和也それぞれに数字が表示されており、説明書ではステータス(体力)と表記されている*1
    • それぞれ個別に管理されており、敵を倒す事で増え、ダメージを受けたり買い物をすると減少する。
      • お金と体力で共用の為、扱いに気を付けないと買い物直後に敵に触れて即ゲームオーバーなんて事になったりもする。
      • 逆に言えば安全に戦える序盤の敵でしっかり稼いでおけば、アクションゲームが得意でないプレイヤーでもゲームオーバーになりにくい、ということでもある。
  • マップの建物に入ると買い物をしたりヒントを貰ったりできる。
    • 中には「、、、、」と無言の「せいんと」(この世界の住人)もいるが、この無言のせいんとがいる場所では不要なアイテムをあげる(捨てる)ことができる。
  • あいことば
    • いわゆるパスワード。いつでも確認する事が出来、ステータスやアイテムの入手状況を引き継いで再開できる。

問題点

タッチのゲームとして

  • 「異次元空間に落ちた飼い犬パンチの子どもを救うために達也、和也、南の3人が不思議なパラレルワールドを冒険する」という野球もラブコメも投げ捨てたストーリーと設定
    • 原田・松平・新田・西村・上杉家の両親・マスター・柏葉監督などの個性豊かな原作キャラは一切登場しない。主役3人とパンチ・仔犬のみである。
    • ちなみに説明書には「●子犬のつかまえかた」として、「子犬をつかまえたら、すかさず子犬に“タッチ”してください。」という記述がある。数少ないタッチ要素…というか、説明書を書く方も困ったのではないだろうか、これは…。
  • 「野球のボールを投げて(もしくは素手で)敵を倒して情報を入手し、謎を解いて10匹の子犬を救出していく」という『タッチ』に全くタッチできていないゲーム内容。まさかのアクションゲームである。
    • 猫も杓子も赤も緑も左から右に走る時代とは言え、『タッチ』なら野球ゲー、あるいは恋愛ADV等にすべきなのは誰でも気付くはず。また、アクションゲームを作るなら他にもっと良い題材があったはず。どうしてこうなった。*2
    • ちなみに飼い犬パンチの子どもは原作では2匹である。あとの8匹はどこから湧いて出たのか。もっと言うなら、原作では、パンチに子どもができる頃には、和也はもう鬼籍に入っている
    • 雑魚敵も戦車、ピエロ、風船、地中から出るドリルなど、原作とも野球とも一切関係のないものばかり。

アクションゲームとして

  • マッピング必須の広大なマップ
    • プレイ時間を長くという事で当時よくあった事ではあるが、FCゲームとしてはかなり広大なマップになっている。それだけなら悪いとも言えないが、似たような景色が多くマッピングなしでは迷うこと必至。
      • プレイヤーの助けになる全体マップやオートマッピングなどもなく、今自分がどこにいるのかもわからない事態に陥りやすい。
  • 探している犬が捕まえた数しか表示されない
    • 現在何匹の犬を捕まえたかは画面に表示されるが、どの犬を捕まえたかは表示されない。
      • ステージクリアタイプならいいのだが、どの犬からでも捕まえる事が出来る為、きちんとメモを取っておかないと自分が既に捕まえた犬もどこの犬だったのかわからなくなる。
  • ザコ敵が多い上に強すぎる。
    • プレイヤーに突進してくるものがほとんどである程度の数はこちらが攻撃をしていればノックバックで距離が離れるので被弾せず倒す事は出来る。
      • ただし、敵の体力が高めの物が多く、最初期のマップ以外の敵はなかなか倒れてくれない為アクションゲームなのに爽快感が全くない。まともに相手をしているといつまで経っても先に進めない。
    • しかもダメージを食らっても無敵時間が無いので大量に湧いてくると囲まれた挙句みるみるうちにごっそり体力が減らされていく。
      • 立ち位置によっては敵を達也と和也(または南)とピンポンしてどんどん減っていくこともある。
  • ヒントが少ない(もしくはない)
    • 犬捜索とボス撃破についてある程度のヒントはあるのだが、曖昧なヒントも多く、試行錯誤してアイテムやボスの撃破方法を探す必要がある。
      • 当時よくあった事ではあるが、結局は色々アイテムを買ってみて試してみるしかないのもゲームの単調さに拍車をかける。
      • 「燃やして倒せ」と言われるボスに効果のありそうなものが一つのショップに4つ並んでいるが、効果があるのはマッチのみでライターやランプは火がついているのにボスにまったく効果がない、など理不尽と思える所がある。
    • 一部はヒントがない物も有る。
      • 雑魚敵ではあるが風船は特定の武器を使わないとダメージが通らず、ゲーム中にその対処は示唆されない。
      • 一部の壁を攻撃する事でアイテムが出てくるのだが、武器を装備していると入手不可能。操作キャラのモーション的には変わらない為、これに引っかかってアイテムを入手できないなんて事もある。
  • 進め方次第でゲームクリアが不可能になる。
    • ある地点のボスはその時点までに子犬を8匹、つまりボス討伐で救出するのが9匹目ではないと最後の子犬のいる場所に入るアイテムをくれるセイントのいる建物に入れなくなるため、クリア不可能になる。
      • クリア不可能になったことを教えてくれるせいんとはおらず、クリア不可能になる危険がある警告も「子犬は8匹助けたかい」と言われるだけ。せめて「子犬を8匹助けてから近くのボスを倒せ」と教えてくれれば…
      • プレイ次第ではこのボスを2番目に倒す事もできてしまうため、スタートしてから自由に行動できるオープンワールドでこの仕様はかなり厳しい。
  • 南が邪魔
    • 南は上記仕様の関係でアクション画面では何の役にも立たず、敵にぶつかると座り込んで泣き出すので、テンポを阻害する要因にしかなっていない。ダメージの仕様も含めて邪魔者以外の何物でもない。
  • クソゲー最後の砦であるBGMも特に褒められる部分は無い。
    • 有名な『タッチ(アニメOP曲)』を改変した曲などが使われているが、アレンジが過ぎて原形を留めていない部分が多かったりループの繋ぎが不自然だったりする。
  • バグ
    • パスワードで何も入れずにスタートするとすぐにゲームオーバーになってしまうのだが、その後にコンティニューすると、敵が無敵になってしまう

評価点

  • タイトル画面やエンディングの絵が原作に忠実
    • エンディングでは当時放映していたアニメのアイキャッチのモーションを忠実に再現しており、ここだけは非常に凝っている。ファミコンでアニメーションするのは『イースII』くらいで非常に珍しい。
      • というかゲーム本編が上記のように完全に原作と別物のため、これくらいしか原作要素が無い
  • 当時としては類を見ないゲーム性。
    • 「用意されたマップのほとんどの場所に最初から行ける」という、オープンワールドとベルトスクロールアクションの組み合わせになっており、ステージも、市街地、公園、学校、建物内部、住宅地、森林、海岸、中国など豊富に用意されており奥行きは感じる。
      • 犬を集める為のヒントも完全とは言えないが各所でヒントをくれる為、当時のクソゲーにあったような謎解きの足掛かりすらないという事はない。
    • BGMも結構多い。
  • さらに二人同時の協力プレイができるという点。
    • 同様のゲームで二人同時プレイのできる『がんばれゴエモン2』や『ダウンタウン熱血物語』が発売されるのは本作から約2年後の89年、と考えると、当時としては高い技術力で作られており、原作人気に頼って適当に作られた作品では決してない。
      • ただし、後述の「開発中だった別のゲームにキャラをあてがっただけ」という説の可能性は否定できない。
  • ボス戦は似たり寄ったりだが、見た目は大きめでBGMも相まって戦っているという実感はある。

総評

ガワ替え疑惑が出るほどに原作要素は希薄。
ゲーム性も悪くない部分はあれどストレスの溜まる部分が多く、楽しめない時間の方が圧倒的に多い。
発売された当時は粗悪な版権ゲームが市場に溢れていて、「キャラゲーに名作無し」とまで言われていたが、その中でも最悪レベルの代物といえる。
とりあえず、原作が好きでこれを買ってしまった人は鉄橋の下で泣いていい。


余談

  • 「とあるパスワードを入力するとかなり先へ進めた状態から始められる」としてよく知られる裏技があるが…。
    + H3」下ネタ注意

    たつや:みなみにHしてしまいました
    かずや:みなみにHしてしまいました
    みなみ:TATUYAとHしてしまいました

    • …という性春真っ盛りな代物。もし意図的に仕込んだ物なら原作者や小学館側から訴えられても全くおかしくないレベル。
      このパスワードは当時ファミマガ別冊の『大技林』等で裏技として堂々と掲載されていたため、そのインパクトからユーザーに広く知れ渡っていた。
    • ただし元コンパイルスタッフによれば、この裏技は意図的に仕込んだものではなく偶然の産物であるとの事。
      有名な「ゆうてい(略)ほりいゆうじ(略)」のように、たまたま意味のある文章&強力パスワードとして噛み合ってしまったらしい。
      • 後にとあるユーザーの手でこのパスの詳細が解明された。解説は外部リンクを参照。
        簡潔に言うと実は上記のうち有効なのは達也の「みなみにHしてしまいました」の部分のみで、他の2つは無効パスワード扱い。
        しかも、このゲームはパスの整合性チェックが緩すぎるため、適当な文章でも高確率でそのまんま通ってしまうのである。
        達也のパスワードにしても偶然高ステータスのものが通ってしまっただけで、「みなみにRしてしまいました」という意味不明な文章でも通用してしまう。
        つまりパスワードを意図的に意味のある文章にしてしまえる自由度が非常に高いのである。
    • また、ネタにされるように「最強」かと言えば、そんな事もない。
      犬は10匹中7匹集まっているが、逆に言えばクリア直前というわけでもなく、何より自由度が高いゲームだけに残り3匹がどれか分からない
      • さらに致命的なことに前述の「9匹目に助けないと詰む子犬」を救出してしまっているため、ゲームクリアが不可能。
    • 達也の体力が3000まで上がっているが、これもFC時代で1時間もかからずに上げられる数値と考えるとそこまででもない。
      むしろ相方の和也は完全に初期ステータスのままであり、和也の体力が低すぎる方が面倒くさい。
    • 結論としてはこのパスワード自体はただの創作文章としか言えず、 本作への風評被害 以外の何物でもないということになる。
      • 多少パスワードをミスしても再開できるようにと言う開発の心遣いだったのかも知れないが、結果的に上記のような酷い文章が拡散されてしまい、
        「公式で仕込んだ最強パスワード」「原作者や小学館側から訴えられた」等の根拠のない噂が拡散されてクソゲー関係のサイト等で有名になってしまった。
      • 上記のようにゲームそのものが酷い内容であるのは確実で擁護できないぐらいどうしようもないのだが、
        意図しないパスワードで叩かれてしまう事例も多く見られるというある意味可哀想な事態にもなっている。
  • ガワ替え疑惑
    • ファミコンブーム時代には既成のゲームからキャラだけを挿げ替えて*3世に送り出されたキャラゲーが多かった。
      • 本作もタッチと全然関係ない内容から、開発中だったオリジナルゲームのキャラだけを何らかの理由で『タッチ』に挿げ替えたのではないかとも言われている。
  • 本作を原因に原作者のあだち充氏が激怒して、自分の漫画作品のゲーム化を一切許さなくなったという都市伝説が存在する。
    • こう言った噂が広まったのは、「原作:あだち充」の版権ゲームが非常に少ないのが原因だろう。
      • とはいえ、氏の有名なアニメ化作品には野球を題材にしたものが多く、必殺技の飛び交うバトル物の漫画やアニメと比べてゲーム化に向いていないのが一番の原因と思われる。
    • 本作以降も、PC88版『陽あたり良好!』が発売されたり、週刊少年サンデー×週刊少年マガジン創刊50周年記念のお祭りゲーム『サンデー×マガジン 熱闘!ドリームナイン』に『タッチ』『クロスゲーム』『H2』のキャラクターが出演したりしているので、少なくとも漫画作品のゲーム化を一切許さなくなった訳ではないのはたしかである。