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スーパーファミコン ドラゴンクエストIII そして伝説へ… - (2023/04/07 (金) 15:47:58) の編集履歴(バックアップ)



本項目では『ドラゴンクエストIII』のスーパーファミコン版とゲームボーイ版、スマートフォン版をベースとし移植された3DS/Switch/PS4版の紹介をしています。



スーパーファミコン ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

【すーぱーふぁみこん どらごんくえすとすりー そしてでんせつへ】

ジャンル RPG
高解像度で見る
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 エニックス
開発元 ハートビート
アルテピアッツァ
発売日 1996年12月6日
定価 8,700円
セーブデータ 3個
判定 良作
ポイント FC版の完全版
性格システムによりキャラメイク性がアップ
システム面は女性至上主義の傾向が強い
公式サイト
ドラゴンクエストシリーズ

概要

かつて日本中を熱狂させ、国産RPGのテンプレートとでも言うべきスタイルを確立した傑作『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。
あれから8年の時を経たDQ3も、先人である『ドラゴンクエストI・II』と同じように当時の最新技術でのリメイクが行われた。
当時直近の最新作であった『ドラゴンクエストVI 幻の大地』のゲームエンジンを流用して作られた本作『SFCDQ3』はその舞台をスーパーファミコンに移してもなお、変わらぬ面白さを誇っている。
なお、本作はのちのシリーズのリメイクを手掛ける事となるアルテピアッツァのデビュー作でもある。

ちなみに、頭の「スーパーファミコン」まで含めて正式タイトルである。下記のGBC版も同様。


主な改良点・変更点

よりユーザビリティに配慮した『VI』のシステムを取り入れると共に、1988年には実現できなかった要素も多数投入されている。

仲間・職業

  • 仲間の名前の変更が可能になった。後述の「ふくろ」の名前も変更できる。
    • 「ああああ」のようなふざけた名前や下品な言葉をつけると呪われてしまい、再度変更するには多額のゴールドが必要になるのも『VI』同様。
  • FC版では男性の使い回しだった女性勇者にも個有のグラフィックが付き、会話の内容も若干変更された。
  • 新職業「盗賊」が登場。
    • 行動順だけでなく防御にも大きく影響する重要な能力値である素早さが成長しやすく、MPも成長する。レベルが上がっていくとマップ上のアイテムが落ちている場所がわかる「レミラーマ」や、エリア内のアイテムの数がわかる「とうぞくのはな」等が使用できる。更に敵アイテムのドロップ率が上がる。
  • 商人と遊び人が『VI』に準拠した特技(本作では呪文扱い)を習得できるようになり、レベルアップでMPも成長するようになった。
    • 遊び人の戦闘中の遊びのバラエティが50種類に増え、中には戦闘に役立つ遊びも覚えるようになった(FC版でもデータ上はかなりの数の遊びが存在していたが、実際に覚えるのは8種類だけだった)。ただしレベル17以降は自分を麻痺させたり、仲間の動きを封じたりといったデメリットのある遊びもするようになる。
    • FC版ではできなかった、他の職業から遊び人への転職も解禁されている。遊び人は特殊なアイテムなしで賢者へ転職できる唯一の職であるため、遊び人を経由することにより、勇者以外なら誰でも何人でも賢者を目指せるようになった。
    • 商人には「せいぎのそろばん」「まほうのまえかけ」など、強力な商人専用装備も追加された。またイエローオーブ関連のイベントの後、別れた商人が仲間に復帰できるようになった。
  • 勇者にも「VI」にあった会話記録機能「おもいだす」が追加された。

システム・アイテム

  • 『性格』要素の追加により、キャラクターメイキング性がアップ。レベルアップ時に上がる能力値に影響し、特定のアイテムによって変更する事が出来たり、イベントによって変更されることもある。
    • ゲーム開始時にプレイヤーの簡単な性格診断が行われ、その結果によって勇者の性格が決定される。診断結果はかなりの数が用意されており、性格に対して評価がされるが、なかには辛辣なものも。
    • 他の仲間たちも登録時に5種類の種を5つまで使用し、ある程度好みのキャラクターに作成する事が可能。そのときの能力の上昇具合に応じて性格も決定される。
      • 今作では各キャラごとに長所をさらに伸ばしたり、短所を補うよう能力が伸びやすい性格に変えるという選択肢も用意されているのがポイント。
  • コマンドインターフェースも『VI』基準となったが、更に改良が加えられより使いやすくなった。
    • 効率は悪くなるが自動で全回復してくれる「まんたん」コマンド、持っている鍵に応じて触れるだけで開く扉などの便利システムも踏襲されている。
    • 便利ボタンの割り当てが『V』や『I・II』と同様のXボタンに戻り、代わりに会話を覚えるボタンがYボタンとなった。『VI』とは配置が逆になった形になる。
      • SFCの従来作と同じく便利ボタンはLボタンでも代用可能。なお、『VI』同様にRボタンには地図が割り当てられている。
  • ルイーダの酒場で仲間を入れ替える際にセーブが行われなくなった。手っ取り早くセーブするために利用していた人も多かったせいか*1、そのすぐ隣にセーブ役の人が新たに配置されている。
  • 道具欄が拡大され、1人の持ち運べるアイテムが8個から12個へ増加した。
    • さらに1種類につき99個まで、何種類でもアイテムを入れられる「ふくろ」を持てるようになり、道具欄を圧迫せずに常時あらゆるアイテムを持ち歩けるようになった。
      • これに伴って「預かり所」はゴールドだけを扱う「ゴールド銀行」に変更された。
    • ふくろの中身を50音順や種別順にソートすることが可能となったり、所持品同様のサブコマンドが出るようになったため、ふくろから出さずに直接使用できるなど快適性も更に向上した。以降のシリーズ作品でもこれらのシステムは引き継がれている。
  • お店で一度に最大9個のまとめ買いが可能になった。また道具屋だけでなく、武器防具屋での売却も可能となった。
  • 『IV』以降のアイテム・システムも色々と導入されている。以下はほんの一例。
    • フィールドマップを確認できる地図アイテム。
    • 収集アイテム「ちいさなメダル」と、数に応じて便利アイテムに交換してくれる「メダルおじさん」。
  • 武器や防具のパラメータがかなり変更されている。また新装備も大量に追加。
    • レーベの村の「聖なるナイフ」のように販売場所も変更されている物もある。
    • 鞭系の武器は複数の敵を攻撃できるように変更された。敵全体を攻撃できるブーメラン系の武器も追加。その代わり、これらの武器は会心の一撃が出ない。
    • 装飾品・アクセサリーにあたるアイテムは、1人1つまでしか装備できなくなった。
      • 一方で、FC版にはほんの数種類しかなかった装飾品も大量に増加。その大半は装備している間だけ性格が変化するという効果も持つため、一時的に性格を変更したい場合にも使用できる。
  • 武闘家専用の武器や防具はFC版にはほとんど無かったが、本作ではほぼ解消された。
    • 「魔獣の爪」「闇の衣」といったストーリー後半以降も使える武器・防具が追加。
    • 「黄金の爪」は、FC版では「所持しているだけで敵のエンカウント率が大幅に上昇」するため実用に向かなかったが、本作では「ピラミッド内の宝箱から黄金の爪が持ち出されている時に限り、ピラミッド内のみエンカウント率が高くなる」ように変更された。持ち出しに成功すれば武闘家の武器として活用できる。
      • 一方、ピラミッドで黄金の爪を手に入れてから全滅すると、黄金の爪は没収されてしまうようになった。FC版の「全滅技」テクニック*2は、黄金の爪に限りだが封じられた形になっている。
  • FC版ではレアだった一部アイテムの中にも、本作では入手しやすくなったものがある。
    • 敵の落とす宝箱からでしか手に入らなかったアイテムの一部が、その他でも入手できるようになった。
    • クリア後の話になるが、本来ならイベントアイテムとして手放すことになる「ガイアの剣」と「変化の杖」が再入手できるようになった。
      • これにより、「変化の杖」が必要なエルフの隠れ里での買い物も、いつでも可能になった(FC版ではバグ技を利用しない限りは杖を所持できる一定期間内のみ)。
  • 最大HP(MP)が「レベルアップの際に体力(賢さ)の2倍になるように上昇」に計算式が変更。
    • これにより、FC版では計算式の都合上あまり効果的ではなかった体力の種と賢さの種も本作では有用なものとなった。
    • ただし今度は命の木の実と不思議な木の実の使用に気を付ける必要が出てきてしまった。使用してその場は最大HP(MP)が上がっても「体力(賢さ)の2倍>最大HP(MP)」になるまでレベルアップしても最大HP(MP)が上昇しないことになる。
      • 使用するなら体力(賢さ)がカンストした後か、もしくはボス戦の直前などで最大HP(MP)を「前借り」するような形で使うことになる。

フィールド

  • ダンジョン含めた建物内での移動速度がフィールド移動時の2倍となり、探索のストレスを緩和している。
  • タンスやツボだけでなく、本棚なども調べられるようになった。
    • アイテムや性格を変える本が入手できることもある。その部屋の住人の性格に見合った品が置かれている事が多く、ちょっとした演出として機能している。
  • 井戸の中に入ることもできるようになった。中の住民から話を聞けたり、アイテムが置かれていることも。
  • クリア後の隠しダンジョンと隠しボスが追加。

戦闘

  • パーティアタックで混乱状態を確実に治せるようになった(FC版でも治療可能だが、極めて低確率だった)。
  • 指定された目標が既に倒れていた際、自動的に別の敵を攻撃してくれるオートターゲットが導入された。ただし通常攻撃のみで、呪文やアイテムの使用は空振りになる。
  • FC版ではボスのHPを高く設定できなかったため、HPの毎ターン自然回復が導入されていたが、ほとんどのボスのHPが高く再設定され、自然回復は一部のボスを除いて消滅した。
  • 味方の戦力面でのパワーアップを考慮し、敵のパラメータや行動パターンがいくつか変更された。雑魚、ボス共に攻撃力が1~2割程度上昇したモンスターがいる。ボスでは後述のようにHPが大幅に上昇したモンスターがいる。
    • 例えば雑魚敵のキャタピラーは、本作ではスクルトを適度に使用するようになり、登場してすぐの段階ではヒャドやルカニなどを使わないと倒しにくくなっている。
    • ボスではボストロールとやまたのおろちとバラモスブロスのパワーアップ。ボストロールはHPが5倍になり、2回行動し、ルカナンも使用する*3。やまたのおろちはHPが6倍になり、ラリホーが1戦目では効きづらくなり、2戦目は完全に無効。バラモスブロスはHPが2.5倍になり、最大3回行動をする様になった。
      • ただし、やまたのおろちはFC版と比べて燃え盛る火炎の頻度が下がっている。
    • バラモスは完全2回行動では無くなった事、行動の順番が変更され「激しい炎+メラゾーマ」というコンボが無くなった事、マホトーンで呪文を封じてもそれに対応せずバシルーラを無駄に唱える様になり火力面で弱体化したが、一方で自動回復はそのままにHPが3倍弱にアップしたため、耐久面は大幅に強化されている。
    • ラスボスに関しても順当な強化が行われ、「光の玉」使用後においては凍える吹雪の発動確率が引き上げられた。呪文耐性はダウン、自動回復は削除されたがその分HPは1023→4700と4倍超になっている*4

イベント

  • 主人公とオルテガ関連性を絡めたイベントの強化
    • FC版では容量の都合で文字列のみだったタイトル画面が、勇者の生誕とオルテガの足取りをたどるオープニングデモと一体化した形で正式に実装された。
      • このオープニングデモの出来もよい。ムオルでの療養やネクロゴンド火山での決闘など、文字で語られるだけだった伝説がしっかり映像化されている。
      • ネクロゴンド火山の決闘のデモは疑似的ではあるもののシリーズ初の3D演出となっている。なおこの決闘デモはFC海外版OPで実装されていたものをベースにした物。
    • オープニングデモから伏線を張る形で、勇者専用の頭防具「オルテガのかぶと」も追加された。ムオルの村で、FC版でもらえたみずでっぽうと差し替えの形で入手できる。
    • 主人公と関連するイベントもFC版のオートで行う通常戦闘システムを絡めたイベントから専用イベントに変更されている。
    • さらにクリア後のやりこみ要素にオルテガ関連のイベントもある。
  • ロマリアの王さまイベント、バラモス撃破後の海賊のアジトでは女性勇者専用のイベントが追加されている。
  • FC版ではシャンパーニの塔でのイベントはクリアする必要がなかったが、SFC版ではカンダタを倒しておかないとバハラタ東の洞窟にカンダタが出現せず先に進めないなど、シナリオ関係のフラグが修正されている。
  • ゲーム本編に関係ないミニゲームとして、すごろく場が登場。挑戦には「すごろく券」が必要で、道中やゴールで貴重なアイテムを入手できる。
  • 格闘場は町ごとに構造や登場人物が変わるようになった(ロマリアだけFC版と同じマップ・人物)。予想が的中したときにはファンファーレも鳴る。
    • 掛け金自体も増加し、よりハイリスク・ハイリターンな賭博性高い物になった。ファンファーレは倍率が高くなるほど長く豪華になっていく。
  • オリビアの岬における『あいのおもいで』の使用について、FC版では戻されてる最中に使う必要があったがSFC版では戻されきった後でも一歩も動かなければ使用してイベントが起こるようになった。

グラフィック・音楽

  • グラフィック面は非常に高いレベルに仕上がっている。一見特に気にならなくても、よく見ると確かに手をかけて作っていることが読み取れる「自然さ」が本作の魅力。
    • 『VI』と同じく戦闘中の敵アニメーションが追加されたが、今回はモーションが更に進化し、全ての敵のアクションに効果音が付いた*5。味方の攻撃エフェクトもかなり豪華になっている。
    • 宝箱やタンスなどからアイテムを入手した際にアイテムのグラフィックが表示される演出が『VI』ではちいさなメダルなど一部のアイテムのみだったが、今作では全てのアイテムで行われるようになった。
  • 音楽は『VI』のサウンドドライバを使用しており、SFC最高レベルの音質を実現している。全ての曲がオーケストラアレンジに近い豪華仕様になった。
    • 新曲も多数追加された。FC版では容量の制約上、用意できなかった中ボス用のBGMが追加され、アレフガルドの城・街・洞窟では『I』で使われた曲の新音源アレンジが流れる。
    • 町、村、城のBGMにも夜間用のアレンジバージョンが追加。目覚める前のノアニールのBGMにも良アレンジが施されている。昼間のテドンは全滅時の曲に変更され、より恐怖感を煽る。

賛否両論点

  • 町やダンジョンの宝箱から取得できるアイテムが大幅に見直され、FC版より豪華なアイテムが入手できるようになった。
    • FC版(というよりFC時代のDQシリーズ)では宝箱の中身がかなり貧相な傾向があった。
      • 『III』では特に序盤~中盤が顕著で、鍵付きの扉やバリアーに守られたお城の宝物庫や、魔物の出現するトラップの仕掛けられたピラミッド奥の宝部屋の中であろうと、
        数十~数百ゴールドの小銭や「やくそう」「キメラの翼」といった価値の低い消費アイテムくらいしか手に入らない場面も多く、勇んで宝探しをしてもガッカリさせられることも多かった。
    • SFC版ではこれらの序盤の宝箱からも 強力な武器・防具・装飾品といった目に見えてパーティの強化に繋がるアイテムが多数手に入るようになり、探索の楽しみが大きく向上した。
  • 一方で、こうした調整の結果、特に中盤以降に装備品の供給過剰が起こりやすいバランスとなってしまっている。
    • 不要なものを売却していくだけでお金にもかなり余裕ができるようになり、結果として「装備品に乏しい代わりにお金がほとんどかからない武闘家」「戦闘終了後に取得できるGが増額する商人」といった一部の職業のアドバンテージも薄れてしまっていたりと、良くも悪くもFC版とはやりくりのバランス感覚が大きく異なっている。
  • 性格が、道具の効果やNPCとの会話中の選択肢などで簡単に変えられる。
    • 主人公の性格決定イベントは今作の一つの見どころであるが、特に意識せずにゲームを進行すると、すごろくで止まったマスのイベントでころっと性格変わってたり…。
  • 性格診断において選んだ選択肢によってはプレイヤーが怪物を操作するパターンが存在する。しかしそのパターンは怪物を操作してやれる事が子供を含めた町の住民を任意で焼き殺すというこの怪物の操作を除いた本作や本シリーズの前後の作品で信じられた価値観に真っ向から反するものとなっている。しかもなるべく町の住民を殺さないように進めようとしても最低でも1人は住民を焼き殺さなくてはならない。さらにゲーム開始時から下述の「ごうけつ」になるにはこの怪物のパターンを経由しなければならずこの怪物のパターンになるのも比較的難しくない。

問題点

  • 追加要素での異様な女性優遇が目立っており、「女尊男卑」と形容されるほどである。
    • 全ての能力値成長率にプラス補正がかかる性格「セクシーギャル」は女性限定で、男性にそれと同等の成長率を持つ性格は無い。
      • とりあえずセクシーギャルにしておけば性格による成長率のマイナスは考えずに済む。性格変更装飾品も最大3個手に入るので途中からの活用もしやすい。
      • 体力の伸びは少なく、最も伸びるのが素早さと賢さであることからセクシーギャルが最良とは言えない職ももちろんあるが、全パラメーターへ一定水準以上のプラス補正が掛かる性格であることから、特別レアな条件もなく全46種類ある性格ほとんどの上位互換のようになってしまっているのが問題といえる。
      • しかし、様々なプレイをされた結果、マイナス補正の無い「セクシーギャル」が前述のようにシステムの意義へ疑問のあるものでことに違いはないものの、魔法使いですら前衛を張れなくはないほど体力が劇的に伸びマイナス部分もやりくりが可能、性別条件もない「タフガイ」が一番の壊れorバランスブレイカーというのが現状の評価であり、ゲーム開始時全員「タフガイ」にしておけばかなり楽な進行が可能となる。*6難点は勇者の性格診断でなるには面倒なイベントがあることくらい。「タフガイ」で少し足りなくなったステータスを埋めるタイミングで「セクシーギャル」へ変更することもかなり有用なので、女性優位なことに変わりはない。
    • セクシーギャルばかりに目が行きがちだが、同じく女性限定である前衛向け性格「おとこまさり」もなかなか強力。
      • この場合、男性では「ちからじまん」か「ごうけつ」が選択肢になるが、「ちからじまん」だと力のプラス補正が同等で、マイナス補正の面で不利なため完全下位互換。「ごうけつ」なら力のプラス補正は少し大きいが、マイナス補正がとても厳しい。
    • 性別専用装備が大幅に増えた。女性用には勇者専用装備の「光の鎧」をも凌駕する性能の「光のドレス」が存在し、また序~中盤においても有用な女性装備がかなり追加されている。代表的なものに呪文ダメージ軽減の「マジカルスカート」など。
      • 特に光のドレスのぶっ壊れっぷりは凄まじい。入手できるのは終盤で意図的に寄り道をしないといけないが、最強の防御力を誇るだけでなく全職業で装備可能。加えて敵のブレスや呪文のダメージを2/3に軽減するという、この時期の作品としては破格の耐性も持つ。
      • しかもパーティードレス以外の女性専用防具は女性ならどの職でも装備可能なので利便性の面でも優遇されている。
      • 一方、男性側の追加品はパッとしない。それ故に、多くの職業において「男性である」というだけで女性に比べて守備力&耐性にかなりの格差が出ることになり、裏ボス戦などで明らかに不利になる。特に男武闘家は耐性を持つ防具を一切装備できないという有様。
    • 性格や装備を抜きにしたキャラクターの能力は男女とも違いが無いため、全員女性のパーティで挑んだ方が強く、冒険を楽に進められる。
    • さらにイベント面でも「女勇者でのみ発生するイベント」が追加された。逆に男勇者でのみ発生するイベントは存在しない。それどころか、男勇者でそのイベントの場所へ行くと「男だってことに胡坐をかくな」と説教される始末である。
      • 「男性キャラでのみ」ならアッサラームのぱふぱふが存在し、そして「女性キャラのみ」のイベントは存在しないのでもあるが…。
  • 中盤以降の攻撃呪文の存在意義が低下した。
    • 複数攻撃武器・全体攻撃武器が加わったことにより、多数を攻撃できるという呪文のメリットが薄れた。これらの武器では会心の一撃が出ないという制限こそあるが、攻撃呪文でも会心の一撃は出ないので救いになっているとは言い難い。攻撃力が低めのブーメランはまだしも、中盤以降のムチ系は強力。クリア後の入手ではあるが「破壊の鉄球」も強力無比。
      • ただし中盤までは敵のHPが低く、上記武器の装備可能職の力ステータスが低いことや、時期の割に防御力の高いモンスターも多いことから攻撃呪文は普通に有効である。ブーメランやムチは次の対象へダメージ減衰が掛かるため、複数対象へのダメージの安定度も(モンスター側の耐性で邪魔されない限り)攻撃呪文のほうが上である。
    • 能力成長面からの問題もある。本作では性格にもよるが、勇者や戦士の力がレベルアップだけで上限の255まで伸びる。このため最終的には、呪文でダメージを稼ぐ必要性が薄くなりがち。
      • 力が上限に達するほどまで成長させるのはやりこみの域、と思われるがそれなりに育った盗賊連れてテドン周辺で数時間戦っていると力の種が思っているよりはずっと稼げる。
  • 防具も計算式の関係上、序盤は揃える価格と手間に見合った効果が得られるとは言い難い。
    • 各所で良質な装備が拾えてしまうため初回プレイはともかく、再プレイ時だと防具は殆ど買わずに進めることができてしまう。
    • 値段と性能と登場時期の噛み合わないものも複数登場したため、FC版から存在した防具の中には使い道が無くなってしまったものもそれなりにある。
  • 格闘場において、常に善戦するモンスターに極めて高い倍率が付く組み合わせがいくつかある。
    • 出場する他のモンスターと互角か若干弱い程度なので毎回勝てるとは限らないが、倍率から想像される弱さとは裏腹にかなり安定して勝ち上がれる。
      • なお、レベルと強さが見合っていないモンスター自体はFC版の時点でも存在していた。リメイクにより更に顕著となっただけ。
    • 負けるモンスターの方に熱心なファンがいて、正しい倍率にならないのだという独自解釈でもしておこう。
    • オリジナルの格闘場は旨味が少なかったので、その意味では改善されている。
  • 『VI』にも存在した不具合だが、呪文で攻撃力や防御力などを上下させた後に装備を変更すると、変化したはずの数値が初期化されてしまう。
    • これを逆手にとり、敵が放ったルカニ等の不利な呪文効果を解除すると言う戦術も存在するが、どちらにせよ正常な仕様とは言い難いだろう。
  • 装備すると体力が上がる装飾品があるが、装備した事でアップした体力には何の効果も無い。
    • 一方で賢さが上がる装飾品の場合、レベルアップ時のMP上昇値には影響しないが、呪文習得の速さには影響するので、(呪文を全て習得済みでないキャラにとっては)無意味ではない。
  • 前述したように「まんたん」の効率が悪い。恐らくは最大4人パーティという点を考慮せずに『VI』のルーチンを流用している。
    • 具体的には全体回復の「ベホマラー」を乱発する傾向がある。各自に単体全回復の「ベホマ」を使えば済む場合でも、たとえ1人パーティであろうと「ベホマラー」を連発する。
      • 消費MPは「ベホマ2回<ベホマラー1回」および「ベホマ4回<ベホマラー2回」なので無駄が多い。ベホマラーを覚えたらコマンドごと封印してもいいほどである。
  • アイテムを売ったり捨てたりしようとすると、「それを手放すと二度と手に入らないかもしれないが良いのか?」という警告のセリフが出ることがあるが、店売り品なのに警告されたり、逆に個数限定品なのに警告されなかったりするので、当てにできない。
    • 商人に鑑定させた場合も、これと同じ基準で「店に売るのはもったいない」というセリフが出たり出なかったりする。
  • 危険度の高いバグも存在。
    • 特に危険なのは「まほうのかぎ」を袋から袋に入れるという行動。アイテム数が変化する他にデータが消滅する危険性が高い。行動自体に意味はないが、操作ミスで実行してしまう可能性はありうる。
      • ゲーム中一度限りしか実行できないが、手順によっては任意のアイテムが増殖可能。ただし、一度増殖を行った状態で以降セーブすると確実にセーブデータが消えるという甚大なデメリットがある。このため通常プレイでは実用性が無いが、タイムアタック等で使われることがある。
      • 一応、袋から袋に入れた直後に「ふくろせいり」をした場合は正常な状態に戻り、セーブしても安全なデータになるが、増殖したアイテムも元に戻ってしまうため無意味。うっかり実行してしまった場合のリカバリー方法ではあるが、増殖アイテムを既に移動や使用などしてしまった場合は手遅れである。
      • なお、性格判断で入力した「まことの名前」が9文字以上だった場合はバグ発生対象がまほうのかぎではなく別のアイテムに変化する。バグを避ける場合は8文字以下にしておくのが無難。
  • 敵キャラ「あやしいかげ」に擬態している敵は、FC版とは違いモンスターNO.ではなくモンスターレベルによって決まるように変更された。
    しかし後半に出現するはずの「おどるほうせき」「まほうおばば」はモンスターレベルが低く設定されている*7ため、早い段階で擬態している場合があり、FC版の「エビルマージ」と似たような問題が起こっている。
  • 以下は実質無害、あるいは知らなければ気にならないバグである。
    • 本作で追加された防具「オルテガのかぶと」は商人に調べさせると「特殊な効果がある」と説明されるが、実際には装備しても特別な効果は付与されない。
      • 主人公の父オルテガの遺品であり、商人の鑑定結果でも「特殊な効果」となっていることからそれを期待して最後まで装備していたプレイヤーも多いと思われる。
    • すごろく場の「?」マスで発生することがある性格変更イベントで「へこたれない」という性格に変わる事があるが、このイベント以外ではなれない性格である。
      • ランダムという関係上、なれる確率は非常に低く*8、意図してこの性格に変わろうとしたらまさにリアルで「へこたれない」精神が必要。
      • また、もし運良くなれたとしても成長率は「ふつうのひと」とまったく同じ(補正無し)で、この性格での特殊台詞等も一切用意されていないため、わざわざ苦労してなったところでメリットは一切無い。
      • 後のWii移植版の公式ガイド及びみちくさ冒険ガイドでは、「すごろく場でしかなれないレアな性格」として、まるでなれたらラッキーなものであるかのように紹介されている。実用性は0であるが。
      • Vジャンプのゲーム攻略のコーナーにおいても「すごろくで『へこたれない』という性格になったのですがどういう効果があるのですか?」といった様な質問が届いた際に、「なかなかなれない性格なのでかなり強くなれる」といった回答がなされていた。実際のところは、上に記してある通りな訳だが…。
      • なかなかなれないと言った意味では、見事に引き当てられたら周りに自慢出来るモノなのかもしれないが。
    • パラメータの「かしこさ」をカンストの255まで育ててしまうと、以後はレベルアップしても呪文を覚えられなくなる。
      • もっとも、意図的に賢さの種を集中投与するドーピングをしない限り、このような事態にはまずならない。また勇者以外ならばこの状態に陥っても、転職することによりパラメーターを意図的に半減することで回避できるので実用上はあまり困らない。
      • その勇者についても非常に特殊なプレイを自ら行わない限りはまず起こりえない。勇者がこの事態へと陥るのは、意図的にずっと生き返らせず棺桶へ入れっぱなしにして他の仲間で種をかき集め、集中して勇者に投与したという限定的な状況だけである。
      • 通常プレイではほぼ影響しないバグであるため、意図したものではないだろうが、結果的に「チートで強引にパラメータをカンストさせた者だけが泣きを見る」仕様となっている。
  • ラスボスであるゾーマの「いてつくはどう」使用時の戦闘アニメーションがかっこ悪い。

総評

『ドラゴンクエストIII』のオリジナル版は完成度が高いと同時に未完成な面も持ち合わせていた作品であり、本作はその「完全版」として確かな評価を得ることになった。
女性優遇、全体攻撃武器の登場、その結果として特定職の冷遇など、ゲームバランス上見逃し難い点が複数生じているが、やり込みなどをせず通常クリアを目指す程度でならば、そこまで気になる程ではないだろう。
性格システムの導入により、より一層感情移入できるキャラクターを作り、グラフィック・インターフェースが大幅改善された新たなる冒険を楽しむ事ができる筈だ。
現在ではWiiにも移植されているので、今からでもJRPGの「古典」をぜひ楽しんでみてほしい。

余談とその後

  • 本作の「勇者1人旅」は単純明快かつそこまで困難ではない縛りプレイとして、「縛りの見本・入門」としてよく取り上げられる。
    • レベル上げの簡単さ(獲得経験値が4人パーティの4倍)や装備品購入の為の資金稼ぎをほとんど行う必要が無いため、1人旅で挑めばむしろ進行がスムーズになる面もある。麻痺や即死、ボストロールやバラモスゾンビなどの物理攻撃特化型ボスや、バラモスの自動回復にどう対処するかが関門となる。
    • なお、オリジナルであるFC版ではバラモスの自動回復が本作よりも強いので(その分HPは低めだが)、1人旅は非常に難しい攻略となる。
  • 本作初出の装備品は「アサシンダガー」「ホーリーランス」「ミスリルヘルム」など、どことなくFF的なネーミングである。
  • 上述の様にFC版の時点では他の職業から遊び人には転職出来なかった訳であるが、4コママンガ劇場において「歴戦の戦士が自由な遊び人に憧れて転職する」「メンバー全員が遊び人に転職してしまったので旅芸人一座と思われてしまい、勇者はそのマネージャーと勘違いされる」等といったネタがあったりした。掲載されていたのはまだリメイク版が発売される前なので、当時にこのネタは成立しないことになるのだが…。逆に僧侶(男)が賢者になり若返った様に見えると仲間に言われているのを羨ましく思った魔法使い(男)が、自分も賢者になると言ったもののもう「悟りの書」が無いので、遊び人になる決意をして「なれねーよ」と突っ込まれるネタもあったりした。
  • 2009年には携帯電話版が配信された。本作ベースの移植だが、AI戦闘が追加されるなどの独自要素もある。
    • しかし、おもいだす、すごろく場、GBC版のモンスターメダル(後述)といった追加要素が悉く削除されたり、バラモス戦BGMが機種によっては通常戦闘の曲になってしまったりと、中途半端にFC版に準拠しているところもある。
  • 2014年にはスマートフォン版(i OS/Android)が配信。
    • 追加要素が削除された携帯電話版をそのまま移植。
    • しかし、追加要素の削除によりある強力な防具が数量限定となり、皮肉にもSFC版で問題となっていた女尊男卑が幾分か解消された形となった。
    • 2017年にはこのスマホ版を再移植する形で3DS/PS4版が配信される。さらにその後、Switchにもこちらのバージョンが移植された。
  • 2011年9月15日発売のWii『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』に収録されている。
    • バーチャルコンソールの諸作品とは違って、SFC版はWiiリモコン単体でも遊べ、中断セーブが消えない(Wiiリモコン単体で遊ぶ際には、地図表示は「-」ボタン、便利ボタンはAボタンに割り当てられている)。クラシックコントローラとGCコントローラはボタン配置と名称が若干違うが、SFCとほぼ同じように使える。
  • 本作はエニックス最後のスーパーファミコン用ソフトでもある。

ゲームボーイ ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

【げーむぼーい どらごんくえすとすりー そしてでんせつへ】

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 エニックス
開発元 トーセ
発売日 2000年12月8日
定価 6,400円
セーブデータ 3個+中断データ1個
※中断データは再開後に自動消去
判定 良作
ポイント SFC版の完全版
ダウンスペック機への移植ながら非常に高レベルの移植作

概要(GB)

SFC版をベースとした移植作品。
GBCソフトにしては高価ではあったが、SFCよりスペックが劣るにも拘らずマップやモンスターのグラフィックのレベルは高い。
更にはSFC版同様にモンスターがアクションするなど、GBCの底力を発揮したと言えるほどのクオリティを誇っている。

SFC版からの追加・変更点

  • モンスターメダル
    • モンスターとの戦闘が終わった後に一定の確率で落とすコレクション要素。最初は銅のメダルしか落とさないが、倒したモンスターの銅メダルを手に入れた後に銀のメダルを落とすようになり、さらに銀メダルを手に入れると金のメダルを落とすようになる(ボスモンスターのメダル等は第1の隠しダンジョンのボスから入手できる)。
      • また銀メダルは(ゲーム内で)銅メダル2枚と交換可能だが、金メダルと交換してもらうことはできない。
    • モンスターメダルは冒険の書とは別の専用データである「メダルの書」に記録される。なお、メダルの書は3つの冒険の書で共有する完全な独立データとなっており、ゲームをセーブしなくてもメダルは入手した瞬間にセーブされる。また通信交換を行う事も出来るため、複数人で集める事を前提とした要素と言える。
    • モンスターメダル収集自体は純粋なやり込み要素であり、意識して集めなくてもストーリー進行に影響はないがクリア後に銅メダルと銀メダルの収集に関するイベントがある。それに関しては後述する。
  • 第2の隠しダンジョン
    • 隠しボス撃破に成功後、ある条件を満たすとモンスターメダルに関する第2の隠しダンジョンに行くことができる。
      • 途中でメダルを集めないと進めない場所があり、クリアするには第2の隠しダンジョンにのみ登場するモンスターの物を除く全ての銅メダルと銀メダルを集める必要がある。
      • 「ミミックや中ボス等特定の場所でしか戦えないモンスターは、第2のダンジョンの最初のフロアで雑魚として登場」「はぐれメタル等の討伐しにくいモンスターや一部ボスの特殊メダルは隠しボスのごほうびで貰える」「銅のメダル2枚と銀のメダルを交換できる場所がある」等の救済措置はあるものの、基本的にモンスターメダルをドロップする運が重要なので難易度は想像以上に高い。
    • 第2の隠しボスが追加。
      • 25ターン以内で倒すと新武器が手に入る。攻撃力は『VIII』経験者でもビックリの160、誰でも装備可能で武闘家でも攻撃力上昇、道具でギガデインの効果と、まさしく本作を極めた証として名に恥じない性能となっている。
  • ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』に準じた変更点として、画面に対して若干敵のサイズが小さくなった。そのため「ソードイド4体出現」など、SFC版ではあり得なかった組み合わせが出てくる。
  • BGMはGB音源に編曲されているが、一部の曲はリメイク版に準拠している。音質もGBながらそれなりに良質であり、原曲を損ねない忠実なアレンジとなっている。
  • 全職業の中でも女勇者のみGB移植に伴い公式イラストが一目で女性とわかる露出の多い衣装に差し替えられていて、男勇者との違いも明確となった。
  • ゲームバランスの再調整
    • 自然回復を持つボスキャラがさらに少なくなっていたり、僧侶の力が成長しやすくなり、盗賊がアイテムを盗む確率が上がっているなど、全体的に難易度は低下している。
    • 混乱した敵のブレスでメタル系を一撃で倒せる、ラスボスに対してベホマで大ダメージを与えられる等、ファミコン版の仕様に戻った部分もある。
    • 「まんたん」のルーチンも改善。「ベホマラー」を乱発せず、最小のMPで完全回復を試みるようになった。
    • 一方でメダル集めの為なのか、エンカウント率が上昇しているエリアがいくつもあり、局所的に見ればSFC版より難易度が上がっている場所もある。
      • モンスターの行動ルーチン変更についても既存のハメパターンが通用しなくなっている箇所がある。
  • 「はやぶさのけん」を装備した状態で「ドラゴラム」を唱えると、1ターンに2回炎を吐けるようになる。
    • 仕様だとすると唐突かつシリーズにも例が見られない変更なので、恐らくはバグと思われる。
  • イベント飛ばしになりかねない行動に制限
    • バハラタの街に向かうアッサラーム東の洞窟の先への移動が、シャンパーニの塔のイベントクリアが必須となった。
  • 「オルテガのかぶと」に補助効果追加
    • ラリホー・マヌーサ・ルカニ系の呪文成功率を半減させるという特殊効果が追加されている。本作に登場する防具でこれらの効果を持つのは唯一無二。
      • 前述通りSFC版では特別なメッセージが出ながらも効果がなく、さらにこれらの特殊効果は元々はSFC版公式ガイドブックに記載されていた内容と一致しているため、本来付与されるはずの状態異常耐性をSFC版当時は設定し忘れており、GBC版で正式採用したものと思われる。
    • しかし、携帯電話版およびそれをベースとした後述の移植版では再び削除されているため、これらの耐性を持つ防具は後にも先にもGBC版のこの兜ただ1つとなっている。
  • その他、一部BGMのイントロの追加・削除、画面サイズに合わせた地形の変更や台詞の一部編集などが行なわれている。

評価点(GB)

  • 「中断の書」の実装。ゲーム中断時とエンディング後は自動的にタイトル画面に戻る*9
    • RPGのシステムでは概ねセーブするための場所があり、そこまで歩かなくてはならない作品が普通である中、いつでもその場でセーブし、その場から復帰出来るようになるのはプレイヤーとして有り難い。
  • 画質は劣るものの、オープニングデモやラストダンジョンのあのイベントもきっちり再現されている。
  • 戦闘画面は背景なしであるものの、敵もちゃんとアニメーションしてくれる。

問題点(GB)

  • 敵討伐時におけるアイテムドロップとモンスターメダルの入手がかち合う。
    • ドロップアイテムを入手できた場合、その戦闘でモンスターメダルは入手できない。メダルが欲しい場合盗賊がいると入手率が僅かだが落ちる事になる。
  • ダーマ神殿で転職した際、装備の自動更新は行われない。
    • SFC感覚でプレイすると裸一貫で戦闘に突入する可能性があるため注意。

総評(GB)

GBCでもSFCに負けない作品が出せる事を証明した移植作。ゲームボーイという制約もあり手が入っている部分がある他、価格帯も同ハードの作品としては割高だが、作品が丸ごと移植されていると考えればむしろ安いほど。

今この移植を買うのはコレクション目的にしかならないが、時代に対し移植として素晴らしいものが出た事を評価したい。


余談(GB)

  • モンスターメダルは本作限りの要素となり、後続のシリーズには踏襲されていない。
  • GBC版特有のバグとして、「キメラバグ」と呼ばれる現象がある。他作品でいえば「セレクトバグ」に近い。ちなみに海外版では修正されている。
    • 詳細は省くが、非常に簡単な手順でパーティメンバーのステータスを変更したり、アイテム増殖・生成などやりたい放題にできてしまう。本編未使用の音楽が聴けるサウンドテストなども可能。
    • 当然ながら、ステータスやアイテムを変更することでゲームバランスが崩壊したり、フラグ管理がめちゃくちゃになり不具合が起こる可能性はある。もちろんフリーズなども起こり得るため、実践は自己責任で。
  • 第2の隠しダンジョンに登場した新出のモンスターは長らく日の目を見る事はなかった。
    • しかし、2008年に配信された『バトルロード MOBILE』を皮切りに裏ボスのグランドラゴーンなど数匹の魔物が出演し始め、『モンスターパレード』に再登場したダースギズモは2015年になって本家『X』で復活する快挙を成し遂げる。
      • 現在も各種ソーシャルゲームに登場しているGBC版オリジナルモンスターが確認されており、今作が忘れられた訳ではないようだ。

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(3DS/Switch/PS4)

【どらごんくえすとすりー そしてでんせつへ】

ジャンル RPG
対応機種 Nintendo Switch
ニンテンドー3DS
プレイステーション4
メディア ダウンロード専売
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ビー・トライブ
発売日 【3DS/PS4】2017年8月24日
【Switch】2019年9月27日
定価 【3DS/PS4】1,620円(税8%込)
【Switch】1,650円(税10%込)
セーブデータ 3個+中断データ1個+オートセーブ1個
※中断データは再開後も保持
判定 良作
劣化ゲー
ポイント すごろく場など追加点の多くが削除
ゲームテンポは全体的に向上

スマートフォン版(実質的なベースは携帯電話版)の『III』を横画面固定と一般的なゲームパッド操作向けに最適化したもの。基本部分は先発の『I』『II』同様。

特徴・評価点

  • グラフィックがスマホ版と同様のものとなった。
    • 3DS版『I』『II』はキャラが大きく背景ドットが粗く表示されていたが、3DS版『III』はキャラが小さく背景がドットバイドットで表示されている。
  • 他の点もスマホ版基準となり遊びやすくなった。
    • コマンドに「さくせん」コマンドが登場、「そうび」「せってい」「ちゅうだん」がそちらのサブコマンドに。
      • 「たびのこころえ」というチュートリアルを確認可能。
  • 3DS版では地図を手に入れると、常に下画面に表示される。ボタン一つで拡大も出来る。
  • ルーラの消費MPが1になった。
  • オートセーブ機能を搭載。うっかりセーブを忘れてしまっても安心。
  • メッセージスピードがSFC版よりも高速化。
  • DS版『4』以降の近年に発売されたドラクエリメイク作品の多くでは、調べられる床の位置があらかじめ光っている、いわゆる「オートレミラーマ」とも言うべき仕様が施されていたのだが、『2』の火の紋章といった謎解きの内容が極端にヌルくなってしまう点が批判されてしまったのか今作では廃止されていて、床の仕様がDS版4以前の様にパッと見では調べられるかどうか分からない物に一律で戻った。
    • これに伴い、DS版の天空シリーズなどでは空気同然になっていたレミラーマの呪文も再び日の目を見る事になった。
  • AI戦闘が導入され、各キャラ別に「さくせん」を立てる事が出来るようになるなど戦闘のテンポが向上した。
    • 戦闘コマンド「そうび」が「どうぐ」に再統合され各キャラ4コマンドのみになり、「にげる」は全体コマンドのみになった。
    • パーティアタックが削除された。
  • ラーミアの飛行速度を変えることが出来るようになった。
  • BGMが『XI』と同様のオーケストラアレンジに変更。FC版や過去のリメイクに無かったイントロも追加されている。

賛否両論点(3DS/Switch/PS4)

  • 調べられる何かがある場所に立つとフキダシが表示されるなど、謎解きの意味合いが薄れている。
    • 過剰に難解だった一部の探索要素が緩和されたともいえる。一部、台無しに近くなった部分(マイラアレとか)や、かえって分かりにくくなった部分もあるが。
  • すごろく場の削除に伴い、一部の装備品が一個だけしか手に入らない限定品となった。
    • 運の要素が少なからず影響するすごろくの代わりに、確実に手に入るようになったのでやりこみ度と快適性のトレードオフという感じか。ただしブーメランのように入手タイミングが大幅に遅くなった*10例も。
  • システムとAIが一部かみ合ってない所がある。
    • 転職システムがある都合上、「力の強い僧侶」なども普通に作れてしまうが「耐性に穴があるならザキ系で一撃必殺を狙いだす」などというDQ4のクリフトとは違った方向のザキ系へのこだわりを見せることもある。
    • ただし基本的には頭がよく、かなり効率よく戦ってくれるのも事実。「ザコ戦では補助呪文を節約する」「非消耗の回復アイテムがあると回復は同格の呪文よりそっちを優先にする」「ターン中にマホカンタを掛けた敵が居ると単体呪文に切り替える」など、はっきり体感できる利点も多い。
    • そしてもちろん、「入力の手間が少なくて済む」という最大のメリットも享受できる。本作では通常プレイの範囲内でも大量の呪文を習得するため、これらをかなり賢く使い分けてくれるAIはとても頼りになる。
    • 確率系の要素においてプレイヤーの直感には反するような「正解」を選ぶ、やりこみの域まで育ててしまうとAIの判断が最適手とは言えなくなってくる、といった難点と、入力の手間が大きく省ける快適性やそれなり以上の賢さと、どちらを重視するかといったところにはなるだろう。
    • なお、AIが気に入らないなら従来通り「命令させろ」を選ぶことも可能である。これも個別に指定できるため、特定のキャラクターだけを自分で動かすこともできる。
    • ちなみに主人公である勇者をAI操作にすることも可能。仲間の方を手動で操作し、勇者の仲間視点プレイなんて遊び方も楽しめる。

問題点(3DS/Switch/PS4)

  • グラフィックの違和感
    • キャラクターやモンスターがイラスト調なので浮いている。
      • 3DS版でも浮いているのだが、PS4版のイラストは高画質すぎて余計に浮いてしまっている。
    • マップ上のグラフィックもバラバラ。キャラクター・モンスターはイラスト調なのに対してマップはバリバリのドット絵のためこちらも浮いている。
      • 3DS版だとキャラが潰れて表示されている。
    • 全体的にチープなグラフィックなのに対して、文字フォントが綺麗すぎるためこれもまた浮いてしまっている。
    • ただし『I』『II』ほど露骨におかしな画面ではない。こと同一画面の中での違和感は、最低限のものとなっている。
    • 戦闘中のモンスターはイラスト調の一枚絵になってしまったが、アニメーションしなくなった分、戦闘のテンポが大きく改善されていたりもする。
      またイラストとしての出来そのものは悪くない。
  • SFC版やGB版にあったBGMが削除
    • オープニングで使われた「まどろみの中で」、アレフガルドの洞窟で流れる「洞窟」などが削除されてしまっている。
    • すごろく場が無くなったので、「ローリング・ダイス」も当然削除。
    • さらに、オルテガへ捧げられたレクイエムである「回想」も削除され、汎用の戦闘曲になってしまっている。
      • すぎやまこういち氏はFC版が発売された後、「オルテガの最期の戦いの場面でフツーの戦いの音楽にしてしまったのは大失敗。レクイエムを流すべきだったと、大いに反省している」と言っていたが…。
  • 元となるスマホ版がガラケー版ベースの移植という事もあり、SFC・GBC版にあったオープニングやすごろく場、モンスターアニメや「おもいだす」機能、精霊の泉などが削除されてしまっている。前述したグラフィックの違和感もこの点に起因する。
    • これにより、すごろく場で買えたり拾えたアイテムや景品はちいさなメダルの景品や、宝箱などから入手するように変更されている。すごろく券のドロップもFC版と同じ物に戻された。
    • スーの村の村人が通常の村人たちと同じ外見となり、各職でバリエーションがあった女性キャラの水着グラも1種類のみと、半端な所でFC版を踏襲しているのも同じ。

総評(3DS/Switch/PS4)

先発の『I』『II』同様、良くも悪くもスマホ版のベタ移植であるが、一旦追加された要素がほぼごっそり抜け落ちた点は痛い。

その一方でゲームスピードは高速化され、AI戦闘が導入された事もあり、全体的なテンポは向上している。また諸々の改善点により、操作も楽になっている。
そして削除された要素についても、結果としてゲームバランスの改善につながっている面がなくはない。
このため完全な劣化とはなっておらず、発売時点で最も快適に遊べる『III』だという評価も可能。

同期の『I』『II』とは違い、露骨に目立つような難点はないので、現行機種でプレイしたい人はもちろん、好みによっても十分に選択肢へ入るだけの完成度は保っている。

セールで頻繫に値引き販売されるため、価格が気になるという人は、安売りを待ってみるというのも有りだろう。