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キングダム ハーツ バース バイ スリープ - (2020/01/25 (土) 13:41:02) の編集履歴(バックアップ)



キングダム ハーツ バース バイ スリープ

【きんぐだむ はーつ ばーす ばい すりーぷ】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2010年1月9日
定価 6,090円
プレイ人数 1人(~6人 ※マルチプレイ時)
判定 良作
キングダム ハーツ シリーズ・関連作品リンク?

ストーリー

キーブレードマスター・エラクゥスのもとで日々修行に励むキーブレード使いの3人、ヴェントゥス・アクア・テラは彼から
もう一人のマスター、ゼアノートの失踪と世界に起こる変化を告げられる。
それぞれの思惑で冒険の旅に出る3人はやがて世界を脅かす陰謀、そして災いに巻き込まれていく…
そう、全ての運命に―「偶然」などなかったのだ

(パッケージ裏、取扱説明書より抜粋、一部改)

概要

キングダム ハーツII』(以下KHII)の続編(というより外伝)として発表された三部作*1のひとつ。その中でも本作は本編と結びつきが強く、『II』『IIFM』のシークレットムービーで描かれていたのは本作である*2
三部作の最後に発表され、その中でも最もスペックの高いハードである事を活かし、本編に近い操作性とグラフィック、ボリュームを備えている。ディレクターの野村哲也氏は「ソラが主人公でないからナンバリングをつけなかっただけで、ボリュームや密度の濃さはPS2の時と大差ない」と語っている。前作『キングダム ハーツ 358/2 Days』(以下Days)の評価からか出来を不安視が多く、その一方で期待する声も強かった。

物語は『キングダム ハーツ』(以下KHI)の約10年前を描き、『KHI・II』のキャラの数多くが過去の姿で登場する。本編の時代には闇に飲まれて崩壊していた世界も舞台となり、本編で明かされなかった残りのセブンプリンセスのステージ(シンデレラ、白雪姫など)、更に『リロ&スティッチ*3』のステージも登場する。

主人公は新キャラの「テラ」「ヴェントゥス」「アクア」の3人で、1人につき1つずつストーリーがある。最初はヴェントゥス視点から始まり、テラ、アクアと切り替えて行くが、オープニングイベントが終わると誰でプレイするか選択する。
全てのストーリーが同じ時間軸で多少前後しつつ並行して進む為、全員でクリアする事でストーリーの全貌が判るようになっている。並行して進めても、順番に進めても問題ないが、野村氏は並行プレイは推奨していない。また、条件を満たす事によって真のラスボスとの対決とストーリーの結末を描く「ラストエピソード」がプレイ可能になる。


評価点

画質・ムービー

  • PS2にも負けず劣らず、PSP最高クラスの美しさ。
    • OPムービーは一見の価値アリ。服や武器の装飾、氷に至るまで非常に美しい。
    • ちなみにOPの主人公3人はマントを羽織っているが、本編ではマントの処理が追いつかないためゲーム中3人はマントを羽織っていない。
    • コンフィグでバッテリーの消耗を犠牲にして、更に画質を向上させることが出来る。

戦闘面:デッキコマンドシステム

従来のRPGっぽいコマンドから一転、本作では一つの技をコマンドとしてはめ込み、組み合わせたコマンドを一つのデッキとして戦う。

  • これによりMP制は廃止され、一度使ったコマンドはそのコマンドのリロードゲージが溜まるまで使えなくなった。
  • コマンドをずっと使っているとレベルが上がり、より強力になる。レベルが上限に達すれば「コマンドをマスターした」ことになる。
  • レベルの高いコマンド同士を合成すると、新しいコマンドを作れる*4。ここで「~の結晶」を一緒に合成してアビリティを付与する事が可能(結晶なしでもアビリティがつくことはある)。
    • コマンドをマスターした時にその付与してあるアビリティを覚えることが可能。その後はそのコマンド自体を付けなくても覚えたアビリティを自在に付ける事が可能。
    • コマンドはわりと簡単にレベルアップするので、どんどん育てて合成することが出来る。
  • 使いこなせば比較的早い段階で「ラストリーヴ」や「コンボリーヴ」など貴重なアビリティを覚えることができるのも今作の特徴の一つ。その結晶こそレアだが。
  • コマンドは敵が戦闘後に落としたものを拾ったり、ショップで購入したりできる。
    • コマンドチャージで作り出したコマンドはその後店でも販売されるが、落としたコマンドを使えばお金いらずのコマンドチャージが重宝する場面も多い。
    • 中にはショップで販売されないコマンドもあるものの、資金さえあればコマンドを買った方が手っ取り早い、という点では店ももちろん便利。
  • コマンド使用も十字キーと△のみ。とっつきにくさは排除されている。
    • 通常攻撃、コマンド攻撃を続けてゲージがたまるとコマンドスタイルが変化する。条件がそろわなければ「フィニッシュコマンド」という強力な一撃を放つ。
    • たとえば肉弾攻撃技を使っていれば肉弾攻撃に特化したスタイルに、ファイア系魔法を使っていれば炎を纏ったスタイルに変わる。
    • 「ダークインパルス」や「ウィングブレード」などド派手かつ強く、カッコいいスタイルが好評を得ている。
  • またデッキは最大三つまで作り置きしておく事が可能。場面場面で切り替える事も可能。
  • なお、通常攻撃は従来通り○ボタンで行われる。これまで「たたかう」を○ボタンで決定するという体裁で攻撃という事になっていたが本作の戦闘においては純粋に通常攻撃という物である。

戦闘面:シュートロックコマンド

L+Rボタン長押しで発動。一人称視点になり敵に照準をあわせることで、周りの敵を一掃する破壊力のコマンドを使う。

  • 発動中は無敵なのでピンチの時にも使いやすい。
  • ただロックオン数がMAXでないと技のパフォーマンスは低下してしまう。
    • 身の安全が計れるタイミングでしっかりロックオンを果たす事で、発動が可能と言う意味では正に必殺技と言う扱いに近い。
    • MAXロックオンのあとはボタン連打、タイミング良くボタンを押せ、次々に出てくるボタンを押し間違えるな、と言った追加入力をこなすことで狙えるダメージが増える。
  • 加えてフォーカスゲージと呼ばれるゲージが無いとロック時間が短くなる。
    • なおフォーカスゲージはアイテムを使用するか、敵にダメージを与える、敵からダメージを受ける(要ダメージアスピルのアビリティ)と回復する。
    • 反面コマンドレベルが低いうちにはロックする時間が長くかかり、ボタン入力をミスるとダメージも低くなってしまう。練習とコマンドレベル上げは必須と言える。
  • 爽快感の無さは『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』(以下CoM)『Days』でしばしば指摘されていただけに、「携帯機ならではの不満」を取り除くことに成功した。

その他の追加点

  • D-link(ディメンションリンク)
    • 後述の通り、問題点が多いものの、システムの発想自体は高く評価されている。
      • ただ、使い難さも相まって役立つ場面があまり無い。一応三人の主人公の一人、ヴェントゥス編の最終決戦ではこのシステムが演出上大きな意味を持つ。
  • ゲームオーバー時の「リトライ」の追加。
    • 消費したアイテムはリトライ後も戻らないが、強敵相手に失敗してもやり直しやすくなった。以前はセーブポイントから再スタートだったためストレスが緩和されている。
  • ミニゲーム「コマンドボード」
    • いわいる双六ゲーム。『桃太郎電鉄』『いただきストリート』の簡易版といった感じ。
    • 止まったマスにお金を払った上で自分のパネルを置き、次にそのパネルの上に他のキャラが止まったら通行料を支払わせる仕組み。
    • もう一度自分がそのパネルに止まれば、お金を払うことによってレベルを上げ、通行料とパネルの買い取り値段を多くする事が可能。
    • ちなみにパネルは自分が使えるコマンド。相手からコマンドを買い取ったり、元々置いてあるコマンドを買い取ったりすればそのコマンドは自分の物になる。
    • なおコマンドを買い取ったりレベルを上げたりした時に使ったお金は、そのコマンドの経験値に加算される。上手く利用すれば普通にバトルするよりも経験値を稼ぐことが可能。
    • シンプルな分遊びやすく本編以上に嵌る人は嵌ってしまう。
  • マルチプレイに対応する「ミラージュアリーナ」
    • 最大3人で一緒にボスなどを倒すモードで、協力してボス達を倒すモード。本作のやり込み要素の一つである。
    • それぞれのデッキを用いて強力なボス達を倒していく共闘感を味わえる。
    • 他にも対戦やレースなど他の通信要素も充実している。

ストーリー

  • 外伝作品ながら物語の起因にせまる。3人ともそれぞれ全く違う個性的なEDを辿る。
  • 個性的ではあるが3人のEDはどれも重く、結構悲惨なEDを迎えるキャラもいる。そこを-ポイントか+ポイントと取るかは、人による。
    • 未来に起きる出来事の始まりと言う意味では、様々な問題がこのEDから端を発している事になる。
  • ただ、『KHII』に続く為に悲しいエンディングとなった『Days』に比べれば、未来に希望の持てる展開にはなっている。
  • ディズニーワールドの冒険も主人公が3人いるために、様々なキャラのサイドからストーリーが進み面白い。
    • 時間軸にはやや無理のある設定もあるが、それを差し引いても高い質でまとまっている。

音楽

  • 音楽面ではもともと高いクオリティを誇っているKHシリーズだが、本作もかなりの好評を得ている。重いシーンが多いため激しい曲、しんみりとした曲などが多い。 
    • OP、EDテーマは『KHI』『CoM』の「光」が三度起用。従来ではOPはニューゲーム時にのみ流れたが、今回はゲーム起動時にも流れるため、何度でも見ることができる。
    • シリーズ通して担当している下村女史に加え、石元氏(代表作:『すばせか』『DFFシリーズ』など)と関戸氏(代表作:『半熟英雄』『ラスト レムナント』など)も参加した。
    • 「下村節っぽくない…」とすぐに気付くファンもいたようだ。ちなみに今作はシリアスなシーンが多いため作曲も大変苦労された様子。 
    • 各エピソードのラストバトルでは、過去作のBGMのアレンジが入っている等、強いこだわりが伺える。

問題点

システム面

戦闘面で、細かい問題点がいくつかある。

  • カメラワークについて。
    • 一作目の雰囲気を少し引き継いだためか、カメラ操作が(初期設定だと)『KH』と同じ仕様になった。少々操作キャラに寄っていて悪く言うと戦況が見づらく、『KHII』のような柔軟な視点操作できない。
    • ボタン配置を考えるとこうなるのは仕方がないが、この変更と後述の仕様により、戦闘が少しやりづらくなってしまった。
  • ロックオンについて。
    • 従来は操作キャラの向きに合わせて「オートロック*5」が対象に動く仕様が施されていない。つまり、主人公の視点の目の前に敵がいるにも関わらず、横にも後ろにも対象に「オートロック」が動いてしまい、本来狙いたい対象に「ロックオン」がしづらくなってしまった。
      • この仕様は特に雑魚戦等の複数相手だとかなりじれったい。前にいる敵に攻撃しようとロックオンしたら後ろにいる敵に剣を振っていた、前にいる敵が攻撃しようとしているのでロックオンしてガードしようとしたら後ろの敵に向かってガードしてダメージを受けてしまった、なんて事もザラである。
  • 空中アクションについて。
    • 通常攻撃において従来では攻撃を当てやすくするため前へホップしていたが、本作ではスライドしながら詰めていくがその飛距離も弱まっている。
    • また、これまでは地上に比べて空中だと通常攻撃が速くなるよう調整がされていたが本作ではさほど違いは無いうえ、アクションを終えて落下体制へ移るまでその場に留まる形で僅かな硬直が生まれる。
      • あまり気にする程の事でもないが従来の操作性と若干異なるこれらの仕様で、これまであった空中戦の爽快感が削がれてしまっておりスキも生まれている為これまでの感覚でいると思わぬタイミングで攻撃を食らう事も。
  • 以上は従来作との違いである。
  • 様々あるスタイルチェンジの中で、発動条件が分かり易い物と分かり難いものが存在する。
    • サンダー系のスタイルに変身しようと思ったら、全く別のスタイルにチェンジと言う事もある。
    • 各コマンドスタイルの説明文で、このようなコマンドを使うと変身しますと書いてあるが、それ以外のコマンドでもゲージが溜まるのでどのコマンドでどのスタイルに変化するのか分かり辛いところがある。
  • そこで、意図した変身にならない点への対策として「アイス」と言うアイテムがある。シナリオを進めて行くと途中アイス屋さんが存在し、レア敵が落とす合成アイテム「フレーバー」を渡す事で多種多様な「アイス」を作ってくれる。
    • 作ってくれる「アイス」はデザイナー達が食べ過ぎておなかを壊したと言う程、アイス屋に足繁く通い研究したと言うだけあって、どれも非常においしそうな上ディズニーキャラをあしらったデザインであるので、実際ディズニーランドに販売されていたとしてもおかしくないと言っても良い程の出来映え。
    • このアイスはその種類毎に決まったスタイルに変化する。サンダー系のスタイルにチェンジするアイスを食べれば、ゲージがすぐに満タンになり、サンダー系のスタイルに変身出来る。
    • なかにはこのアイスを使用することでしか変身できないスタイルがある。ただ発動条件が完全にランダムで、安定して使う事が非常に難しい。
    • "サンダー系のアイスを食べて攻撃しよう!"→ランダムでそのスタイルに変身、と言うあまり嬉しくない場面での変身もある。ちなみにどのスタイルに変身しても戻るコマンドは無い。
    • これはあくまで、自分がなりたかったスタイルと違う物になって素直に喜べるかと言う問題である。流石に前作のアンチフォームのように邪険にされる事は無いが、その分すごく強いという訳でもない辺り(見た目は少し面白いものの)特徴が少し弱いと言える。
    • ただ、そのスタイルはミニゲームの景品となっているので、入手そのものは(普通にクリアするうえなら)必須ではない。
  • スタイルチェンジが任意で発動できない。
    • フィニッシュゲージが溜まると自動的にスタイルが切り替わる。この切り替えの際に持続中の技が解除されてしまう難点がある。
    • 例としてマグネ系の魔法があげられる。使用すると自分の頭上に輝く菱形の光体を設置。光体から一定の範囲内に居る敵を引き寄せ、持続ダメージを与える魔法。なのだが、これを発動中にコマンドチェンジすると光体が消えてしまう。
    • ストーリーモードでは魅せプレイに一役買うが、隠しボス等強敵相手だと「重要な局面でスタイルが変わってやられた」という事故に近い現象が間々ある。
  • ゲージが溜まると通常攻撃ボタンが勝手にフィニッシュコマンドに変化してしまう。
    • スタイルチェンジかフィニッシュかはゲージが溜まり切るまでは分からない。結果フィニッシュを決めないと通常攻撃が行えなくなる。
    • 相手に攻撃を当てずしばらく時間が過ぎればゲージが勝手に減り出し、0になればまた通常攻撃が可能になる。つまり"通常攻撃を行いながら隙を見て強力なフィニッシュを叩き込む"と言う戦法がそもそも立て難い。
    • また前述の通りスタイルチェンジを行うとそのスタイルの持続時間とフィニッシュ技を放つ時間が一緒になってしまう。
    • "強力なスタイルの通常攻撃を連発して敵にダメージを与えたい"→"しかし通常攻撃をしまくればフィニッシュゲージが溜まりフィニッシュ技を放たざるを得なくなる"→"でも攻撃してゲージを稼がないとスタイルを維持出来ない"という軽いジレンマに陥る事もある。
    • といってもこれは『KHII』では殆ど見られなかった問題点と言う訳で、戦い難さは気にならないと言う人は気にならない。
  • 空中でのフィニッシュ技が一つしかない。
    • 殆どの場合、上空に居る敵にフィニッシュ技を決めようとしても、地上に降りて発動してしまう。他にも遠距離に放つフィニッシュは、同じ地上に居る遠距離に向けてしか飛んでいかない。全キャラで使える「ヒールストライク」というフィニッシュ技のみ例外で、空中発動に対応している。

これらはアビリティやコマンド、アイテムでどうにかなる物が無いため一層不満が強い。
強制や運が絡むせいで、プレイヤーの手に委ねられる要素が少ないことも不満を強めている。

D-link(ディメンションリンク)

  • 「つながり」というテーマに合わせた、遠く離れた仲間の力を借りて戦うシステム。敵を倒すことで手に入るかけらを集めればさらに強い技が使えるようになる。
    • しかし、ゲージが満タンのとき以外は使用不可能で、マップ移動すると勝手に効果が途切れてしまい、連続して使用が不可能になってしまう。
    • しかもゲージ回復用アイテムはデッキに組み込まなければ戦闘中に使用できない。貴重なコマンド枠をこれに費やすのは厳しいものがある。
    • 前作の『KHII』でも"ドライヴ"や"しょうかん"が、ゲージに依存する形だった物の、こうした欠点は見られなかった*6ので、本作のD-linkの仕様はいささか不便と言える。
  • 珍しくマレフィセントなどの悪役キャラのの力を借りることもできる。決して「使えない」わけではないので使うかどうかはプレイヤーのキャラ愛による。
  • 白雪姫のコマンド名が7人の小人にちなんでいるなど、各キャラのデッキは個性的なものになっている。また、各キャラのデッキでしか使えないコマンドもある。
  • かけらを最大二つ入手する事でアビリティも最大二つまで付与される。例えば素早い攻撃が得意なヴェントゥスとLinkした際には付与アビリティにヘイストが存在し、通常攻撃が素早くなる。
    • ただこのアビリティは名前だけは確認出来る物の、効果までは確認出来ない(その場所にカーソルを合わせる事が出来ない)為効果が何かは自分で探って行く必要がある。端から見て分からない物もあるためかなり分かり辛い。
    • その割にはステータス画面の攻撃力や防御力と、割とどうでも良い方にはカーソルが合わせられると言う謎仕様となっている。
  • 肝心な所で使う事が不可能になるため更に影が薄くなっている。

キャラの格差

  • 本作は複数人プレイ可能なキャラで、それぞれに特性を付けてキャラクターごとの差を出している。しかしシステムや戦闘面で格差が生まれている。
  • 「アクア」は通常攻撃では中距離からの突き攻撃で距離を詰められる上、コンボに持って行くことが出来る。
    • またアクアの持つ「ホイールロール」は回避後硬直がほとんどなく、移動距離や無敵時間も程よい長さで、彼女のみミドルからの「突き→回避(距離を置く)→突き→回避」と言うヒット&アウェイが可能。
    • さらにアクアには他のキャラにないガードコマンドである「リフレク」が使える。これによりテラとヴェントゥスは前面しかガードできないものの、アクアならば全方位ガードが可能になる。
    • 弱点としては、装備が不十分な序盤においては攻撃力と防御力が低水準なこと。だからヒット&アウェイ戦法がそもそも危険なのだが、コマンドが揃い能力も成長する中盤以降は解消される。全体としては、移動手段が遅いことがある。PSPにしてはなかなか広いMAPな分、「ホイールロール」のみで移動すると時間を食う。
  • 「ヴェントゥス」は一言で言えば前作のソラに近い。
    • 序盤こそ器用貧乏で無個性にも思えるが、高機動力と強力なカウンター技の数々、攻防一体の回復アビリティ、正真正銘の最強シュートロック、MAP上の高速移動が可能な「スーパーグライド」等を完備しており、アクア以上に使い易いと評するプレイヤーも。
  • 反面もう一人の主人公「テラ」は力強さが売りで、一撃が重く強い、典型的なパワータイプのキャラである。
    • ただ逆に言えば動作がもっさりしており、中距離の突き等無く、つかつかと近づいておもむろに振りかぶって攻撃と言う戦法になる。はっきり言ってしまえば、レベルアップで埋まらない「動作がもっさり」という欠点は致命的。上記回避手段の硬直時間と共に、「テラが三人で最弱」と評される原因でもある。
    • 更に専用の回避コマンドは高速ダッシュにより大きく距離を開ける(詰める)物だが、回避後硬直が長いので、ヒット&アウェイには向かない。というより、強敵相手だとこの硬直時間の所為で死にまくる。『KHII』のエアスライドはボタンを押す強弱によって移動距離を調整出来る点が強みだったが、本作のスライドは移動距離が一定であり、敵との間合いが図り難い点も辛い。
      • ただし、仕切り直しや移動時、マップギミックの回避には役立つ。
    • 更にアビリティ「EXPダブルアップ」(経験値2倍)を発動できるミッキーのディメンションリンクがテラのみ使用不能でレベル上げに他キャラの文字通り2倍の手間が掛かるという、地味ながらとんでもない冷遇も。ただしテラがミッキーと出会えないのはストーリー上やむを得ない必然でもあるのだが…。
    • また序盤でこそ大きい攻撃力の差だが、他二名も数値の成長や強力なカウンター、コマンド技の入手によって簡単に埋まる。更に、中盤を過ぎると手に入る、フィールド上の敵を全て消し飛ばせる強力な魔法コマンド「メガフレア」には物理攻撃力は関係無く、これについては魔法力の高いアクアはその恩恵をかなり受けやすい。

その他

  • ステータスを強化する要素が非常に乏しい
    • 今作では防具やアクセサリーの要素は一切なく、プレイヤーキャラのステータスを強化する方法は武器の変更か一部のアビリティの効果(最大HP、属性耐性)のみ。
      つまり基本的にキャラクターの強化はレベルアップに頼らざるを得ない。特に防御力はレベルアップ以外で上げる手段が一切なく、最大HPの強化にも限度があるため、敵の無属性攻撃の被ダメが大きすぎて難しい、という場合は素直にレベル上げをするしかない。
  • 低レベルプレイが難しい
    • 制限時間内に倒す敵、固い敵の増加、ボス戦でのダメージ補正の調整など細かい部分で難しくなっている。前述の通り今作は装備品などでステータスを強化しにくくなっているのも大きな要因。
      • そのため『KHII FM+』にて低レベルプレイをしてきたプレイヤーからは残念に思う声も多くあがった。
  • ストーリーが短い。一人当たり10時間くらいで終わる。
    • 三人分の合計なら相応のプレイ時間であるが、それぞれ10時間分ではあるため従来のような長大な物語を楽しむとは少し趣向が異なる。
    • ゲーム自体はやり込み要素を含めれば50時間弱は遊べるのでボリュームが薄いという訳ではなく十分遊べる。
  • 武器が壁に弾かれる。
    • 敵が壁際にいる際に通常攻撃を行うと、攻撃よりも弾かれモーションが優先されてしまいダメージを与えられない。イライラの元だが、魔法などはちゃんと当たるので避ける事は可能。
  • ロードが長い
    • ムービーもちょくちょく入ってくるため尚更そう感じることが多い。
    • メディアインストールで緩和できるレベルである。メディアインストールを行わないと単なる戦闘中のスタイルチェンジにも数秒の時間を要する事もあり、ストレスの緩和には必須といえるだろう。
    • ただし、インストール容量も相応に大きい。メモリースティックDuoの空き容量には注意。
  • 『Days』とは違いFFキャラは登場したが少なめ。モーグリ、ザックスのみ。
    • しかし存在感はかなり大きい。ザックスはそこの世界のディズニー主人公を差し置いてD-Link出来る人物である。
    • もっとも、その主人公は今作は「修行中の見習い戦士」であり、ザックスが選ばれるのも妥当な線である。
  • ミラージュアリーナ
    • 3人ごとに別のデータを使用するため、3人分やりこもうとすると少なくとも3周する必要がある。
    • 仕方ない部分だがラグがそこそこ発生するため爽快感のあるアクションを妨げられる場合がある。
    • ここでの戦闘ではオンラインはもちろんオフラインでもポーズできない。
  • ストーリーに関して
    • シリアス寄りのシナリオであり、後半~終盤にかけて暗い展開が多い。最終的に主人公達の活躍で事件は収束するが、一概にハッピーエンド、とは言い辛い。上述の通り主人公3人は全員重い結末を迎える。
    • これも上述したが絶望で終わるわけではなく、未来に希望が持てる結末ではある。また、この結末を迎えてしまった彼らの「痛みをいやす」ことが本作以降のシリーズのキーワードになっており、後のシリーズ作品では(『Days』の面々も含めて)彼らの救済にも動く事になる。
    • 方向性がシリアス過ぎたせいかストーリーに関して「ディズニー側からお叱りを受けてしまった」というエピソードもある。
    • ただし、ディズニーキャラ関連は明るく纏まっているので安心してほしい。

その後の展開

  • インターナショナル版である『ファイナルミックス』が発売(下記参照)。

キングダム ハーツ バース バイ スリープ ファイナルミックス

【きんぐだむ はーつ ばーす ばい すりーぷ ふぁいなるみっくす】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2011年1月20日
定価 6,090円
判定 良作

概要(FM)

  • 第一作より続く伝統の、日本国外で発売された欧米版物を再び日本語に戻した上で追加要素を加えた増補版で、FFシリーズにおけるインターナショナル版。
  • そのためキャラクターの台詞は全編英語で、日本語字幕が出るというスタイルである。この辺も従来のファイナルミックスと同じ。
  • シリーズお馴染み、新たなる敵キャラ、追加ムービー、アビリティや追加ギミック等が加えられ、従来の物には修正が加えられている。

主な追加点

  • 追加の敵キャラと、それにより「アンヴァースミッション」と呼ばれるミニゲームの追加。
    • 一度クリアしたステージのどこかにあるシンボルを調べると特殊なミッション付きで敵を倒せと言う指示が出る。(時間内に多くの敵を倒せ、点数を多く稼げ等)
    • 一部のミッションでは、見事好評価を得ると追加された新コマンド「イリュージョン~」が手に入る。
    • そのミッション中で戦ったアンヴァースに一定時間変身出来ると言う特殊なコマンドで、変身中はそのアンヴァースの行動が可能。
    • 更なる隠しボスの追加と、その戦う場所が無印では取り逃すと手に入らない宝箱の回収の救済措置を兼ねている。
  • その他にも多数のミッションが追加。
    • レーシングミニゲーム「ランブルレーシング」では新しいコースの追加。リズムゲームの「リズミックアイス」には新曲が追加。
      • 特にリズミックアイスは元々曲が二種類しかなかったので、全部で5曲になり遊びの幅は確かに増えた。
  • ミラージュアリーナに追加要素。
    • ミラージュアリーナでしか戦えない敵が追加。ディズニー作品の「ピノキオ」に登場する巨大クジラ「モンストロ」や謎の鎧姿のキーブレード使いたちと戦えるように。
    • また新たなるフレンドコマンドが追加。一人で使うのではなく、仲間達と使う事で強力な攻撃になる「バンドルボルテージ」「ユニオンラッシュ」が追加。
      • もっとも「ユニオンラッシュ」は隙こそ大きいものの無敵時間が長く、ヒット数も多いので、一人でも使えないわけではない。
      • 前作では三人の仲間が揃って使えるコマンドは一つだけだったので、更に増えたコマンドで戦えるようになった。
    • なお、当たり前と言えば当たり前であるが無印との互換通信は不可能である。
  • 新キーブレードが追加。
    • 既存の隠しボスを倒すと手に入る「ヴォイドギア」、新規隠しボスを倒すと手に入る「ノーネーム」「クラウンアンリミット」と、シークレットエピソードでのみ使える「マスターキーパー」が追加された。
  • 『KHII FM+』より追加された最高難易度「クリティカルモード」がこちらにも実装。この難易度でのみ経験値が入らなくなるアビリティ「EXPゼロ」の追加。
    • これに伴い、無印版ではレベルが低いと攻撃が通らなかった敵に最低ダメージ値が設定され、より低レベルプレイを簡単に目指す事が出来るようになった。
  • D-linkキャラの追加
    • キャプテンダークことディズニーキャラのピートとディメンションリンクが可能になった。
  • 引き継ぎ要素
    • 前作無印版で獲得した種々のトロフィーにより様々な要素を手に入れられる。「お金を沢山稼いだ」=序盤からお金をある程度持っている等。
    • これにより、序盤から新たなる戦闘スタイル「リズムミキサー」が最初から使えるようにもなれる。
  • ステッカーアルバム
    • 各ワールドに散らばる王冠を取るとステッカーが手に入り、アルバムに貼付ける事で点数が加算。上手に貼付けるとポイントを多めにゲット出来、一定以上ポイントが入ると様々なアイテムやコマンド等が手に入る。
  • クリア後のシークレットエピソードの追加。
  • コマンドボードのシステム等を若干修正。
  • 他にもムービーは細かい所が作り直されている。

問題点(FM)

  • クリティカルモードでは低レベルクリアを目指す場合、中盤以降は敵の防御力を上回ることができなくなり、通常は固定で1ダメージしか与えられなくなるのでプレイし難くなる。
    • こちらが強化出来るのはキーブレードの交換による攻撃力の増加や、新しいコマンドの装備、アビリティの追加と言う形が可能だが、効果が少ない。
    • 前作のIIのファイナルミックスでは初めてシステムが搭載された際に、アビリティやアイテムの他にもダメージが1.2倍になる補正や、敵に与えられるダメージの最低値がバトルレベルに合わせて上昇していくなど、難しいながらもプレイが出来るように制作者側もバランス配慮をしていた。そう言った補正が一切無いこの点は純粋に前作よりも劣化したシステムとして、やり込み派のプレイヤーを落胆させた。
    • 最もこれらの補正が無い事については主人公一人から三人に増え、容量が少なくなったからとする理由もある。*7
  • 装備コマンドの格差 (低レベルプレイの場合)
    • こちらの攻撃力依存のコマンドはダメージが1になるため使う意義が薄くなり、結果的に出の速い足を止める効果のあるコマンドなどに固定されてしまい、せっかくのデッキ作成の自由度がかなり狭まってしまう。
      • 特に「テラ」は即死効果のあるデジョンやザンテツケンが使えるので、ほとんどその2つ以外使わない*8
      • 3人共通で使えるコマンドをメインに使う場合も、割合ダメージが可能な「スナイプバーニング」かマグネ系のみに偏ってしまう。
    • ボスやミラージュアリーナの敵は即死が効かないボスが多いので、やはり「スナイプバーニング」に偏ってしまう。
    • ミラージュアリーナではアリーナレベルが上がると、シュートロックを使わないと満足にダメージが与えられない。更にレベルが上がるとシュートロックでもダメージが与えられなく成る程固いボスが出て来る。
    • そのため低レベルプレイのソロでのミラージュアリーナ制覇はかなり厳しい内容となっている。また追加ボスも非常に厳しい*9
  • バグ
    • 追加ボスの一人「アーマーオブザマスター」「謎の男」は 棒立ちのまま何もして来なくなるバグ が存在する為、そこに嵌めればタコ殴りするだけで倒せてしまう。また「謎の男」撃破後、ムービーが無限ループするバグも存在する。
    • 他にも新規に追加したムービーに同じキャラが二人いる等と言うバグ(というか製作ミスに近い)も存在する。
  • 無印の「ゲージ満タン時の自動スタイルチェンジ」「それによる魔法の効果の消失」「空中で出せるフィニッシュが少ない」「マップを移動するとD-linkの効果が切れる」「ミラージュアリーナでのポーズ不可」といった点は修正されなかった。
  • D-linkを発動すればその瞬間にライフが全回復するようになった。
    • しかし逆にライフが全回復するようになったが為、テラとのD-linkアビリティ「オーバードライブ(ライフ25%以下で攻撃力アップ)」が扱いづらくなった。
    • 『KHII』にもライフ低下とともに発動するアビリティはあったが、あちらは装備していれば常時発動してくれるお守りのような扱いでもあった。

キングダム ハーツ HD 2.5 リミックス

【きんぐだむ はーつ えいちでぃー にいてんご りみっくす】

対応機種 プレイステーション3
発売日 2014年10月2日
価格(税別) 6648円
判定 良作(『BbSFM』のみ)

概要(HD)

  • ファイナルミックスをベースにしたHDリマスター移植版。
  • 『KH2FM』『Re:coded』と同時収録している。『Re:coded』は映像のみ。
  • HD化はPSP版の開発をしたスクエニ大阪チームがあらためて担当。
  • 初回特典として『キングダム ハーツ χ』で使用可能なシリアルコードが付属していた。

特徴・変更点(HD)

  • ゲームシステムはファイナルミックスと同様。元々携帯機で発売されたゲームのため、様々な点で据え置き機の仕様に変更されている。
  • 操作方法がPS3のコントローラー用に変更。
    • カメラ操作がLボタンRボタン移動から右スティック移動になった。
    • 初期設定ではコマンドをL2・R2で回転できるうえ、シュートロックもR1ボタンのみで可能と、操作性が大きく向上。
  • 音声は日本語。
    • シアターでは日本語と英語の切り替えが可能。フェイシャルモーションも新たに作られた。
  • 背景や主要キャラクター、キーブレードの造形等のCGをHD向けにフルリメイクしグラフィックが向上。1080p出力に対応。
  • 「EXPゼロ」を装備した際のバランス調整。
    • 最低ダメージの補正がかかっており、FMの頃よりもダメージが通りやすくなった。
  • スタイルチェンジ時等に、「デトネ系」や「マグネ系」といった魔法による設置物が消滅しなくなった。
  • ミラージュアリーナの仕様変更。
    • 本作ではマルチプレイが廃されシングルプレイ専用となった。
      • それに伴い、敵のAIやステータスなどミッションのバランスが見直された。
      • フレンドコマンドを利用した場合のメダル報酬アップは廃止されたが、特定の条件を満たしてミッションをクリアすることでより多くの報酬を得られる「ボーナスチャレンジ」が追加された。
      • フレンドコマンド「フレンドエスナ」が削除された。共闘キャラクターがステータス異常になることがないためと思われる。
  • トロフィー機能に対応。
  • サウンドが5.1chサラウンドに対応。音楽の一部を生楽器に差し換えて再録している。
  • ゲームをクリアするとPS3用のカスタムテーマが手に入る。
  • メディアインストール機能は削除されたため、人によってはロード時間は増加。スタイルチェンジ、Dリンクでイライラする可能性大

総評

外伝作品ながら、これほど完成度の高いものになったのは前4作で試行錯誤を重ねた末、システムを煮つめた結果である。
『CoM』『II』から形を変えて登場しているシステムが多いことからそのことが見て取れる。
だが特に戦闘面には細かい粗も点在しているため、まだ改善の余地は十分にある。今後のシリーズで完成度の向上が期待されている。
シナリオはシリーズ中最も古い時代の出来事を描くため、新規層であってもストーリーで困惑することはない。むしろ本編『KHI・II』がより分かりやすくなるだろう。 一方『IIFM』で追加されたあのムービーの意味とは? このキャラクターの正体とは? と言う謎がこの作品で明かされると言う流れだったので、
『IIFM』をやりこんだ古参層こそ楽しみにしていた物であるのも間違いない。
特に「留まりし思念」と戦った人程、テラでプレイし「アルテマキャノン」等が使えた時は感動を覚えたのではないだろうか。
年末年始に発売されたため売上を大きく伸ばし、新規層を取り込む一因になった。
ただ他の作品の同じFINAL MIX版として見ると、システム面での修正がほとんど無い点や、新規のシステムとムービーの方に不具合が多数存在する等、かなり欠点も目立っている。これからのシリーズに期待と不安も同時に感じさせている状況である。


余談

  • 重要なキャラの一人マスター・エラクゥスは「FFの生みの親」坂口氏に似ているとよくいわれる。
    • そしてエラクゥスという名前自体「エラクゥス→ERAQUS→SQUARE→スクウェア」ではないかと言われていたり…。
    • DISNEY→YENSID→イェン・シッド」のように、ディズニーキャラにもアナグラムで生まれたキャラがいるためリスペクトとも見て取れる。
  • 「KH本編より前の時代を描く」ため当初はFFVIIIのラグナが出る予定だったがその後『DDFF』に出演が決定。
    結果『クライシス コアFFVII』で主人公を務めたザックスが出演することになった。
  • FM版では特典として『ディシディア デュオデシム』で使えるキャラコスのプロダクトコードが同封されている。
    • このデュオデシムで使える特典コード付きという要素は『The 3rd Birthday』でもあったものである。
  • FINAL MIX版のシークレットエピソードはいかにも続きがありそうな終わり方になっている。
    • これは、本作の続編となる『キングダム ハーツ0.5』*10の構想があった為であるが、実現には至らず後に発売された『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』収録の『キングダム ハーツ0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』にて部分的に描かれる事になった。