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WACCA - (2020/03/09 (月) 03:19:05) の編集履歴(バックアップ)


オンライン配信によるゲーム内容更新が不定期に行われるため、必ずしも本記事の内容が最新の内容に対応しているとは限りません。
本記事は2020年1月22日時点(『WACCA S』アップデート以前)を基準としています。
『WACCA S』に関する記述は2020年4月23日以降にお願いします。


WACCA

【わっか】

ジャンル リズムアクションゲーム
対応機種 アーケード
発売・開発元 マーベラス
稼働開始日 2019年7月18日
料金 1クレジット:100円
VIPメンバー特典(30日分):300円
判定 なし
ポイント 輪っかのような筐体
楽曲解禁のハードルが低く遊びやすい


概要

ハードコア系音楽レーベル「HARDCORE TANO*C(ハードコアタノシー)」との協業によって生み出された、マーベラス初となるアーケード音ゲー。
「音と光が旋回する、新体験リズムゲーム」というコンセプトと「ワッカで遊ぶタノシー!リズムゲーム登場!」というキャッチコピーを掲げ、AC音ゲーへの参入を果たした。


システム・特徴

  • 最大の特徴は、円形の画面を360度囲むように配置されたタッチパネル「ワッカコンソール」。
    • 楽曲プレイ時には画面奥から手前に流れてくるノーツに合わせ、このコンソール上でタップ・スライドといった操作を行う。
    • 他社作品の経験者に対しては「『CHUNITHM』の操作方法でプレイする『maimai』」とでも例えればイメージしやすいだろう。
  • 譜面難易度はNORMAL・HARD・EXPERTの3種類。
    • EXPERT譜面を遊ぶには、HARD譜面でレートSランク以上を達成するか、アイテム「EXオープンチケット」を消費する必要がある。
      • EXオープンチケットはログインボーナスで1日1枚確実に貰えるが、使用期限が存在している為過剰な溜めこみはできない。また複数人でのマルチプレイ中はチケットを使用できない点にも注意。
  • ノーツは2019年11月時点で5種類存在している。
    • コンソールをタップして回収する「ノーマルノーツ」、長いノーツの形状に合わせてコンソールを長押しする「ホールドノーツ」等は他音ゲーでもおなじみであろう。
    • スライド操作によって回収するノーツは時計周り・反時計回りのどちらかへのスライドで回収可能な「スライドノーツ」の他、手前・奥のどちらかにスライドさせて回収する「スナップノーツ」も存在している。
      • スライド操作で回収するノーツは、操作すべき方向に応じた色分けがなされている。橙色は時計回り、緑色なら反時計回り、青は手前方向、そして赤だと奥方向へのスライド…といった具合に覚えておくと楽。
    • タイミングを合わせてタップせずとも、ノーツが流れてくる箇所に手や指を置きっぱなしにしていれば回収可能な「チェインノーツ」なるものも存在している。ノーマルノーツでは操作が追いつかない程に細かく音を拾っている場合、このノーツが使われる事が多い。
    • デフォルトの状態では一部ノーツが模様の付いた「ボーナスノーツ」となっており、回収時に特殊な演出が発生する。回収方法自体は他ノーツと同様。
  • ノーツ回収時の判定は良い順にMarvelous・Great・Good・Miss(回収失敗)の4種類。
    • 全ノーツをMarvelous判定で回収できればスコア理論値の1,000,000点を達成可能。その際にはスコア評価が「All Marvelous」となり、レートもSやAといったアルファベットによるランク付けではなく「MASTER」という特別なものになる。
      • 他のスコア評価はMiss無しでノーツ全回収を達成した際の「Full Combo」と、Miss判定5個以下の「Missless」。Full ComboまたはAll Marvelousを達成できた場合のみ、楽曲選択時に表示されるクリアマークにその旨が記載される。
    • Miss判定を出さずにノーツ回収を成功させ続ければコンボが加算されていくが、此方はスコアに影響を与えない。一定コンボ以上でスコアにボーナスといった要素も無い。
  • クリア条件はノーツ回収時に上昇するノルマゲージを、一定量まで上昇させる事。良い判定であればあるほどゲージ上昇幅も大きくなり、理論値を達成するとゲージが満タンまで溜まる。
    • ノルマ達成時は画面中央部分が黄色く変化し「このまま最後まで!」というボイスが流れる。最初の内はこれらを目安にすると良いだろう。
    • ボーナスノーツは通常ノーツよりも回収時のゲージ上昇幅が大きくなる。まずクリアを狙うのであれば、模様付きのノーツは可能な限り逃さないようにしたい。
    • ノルマゲージの目標値は譜面難易度によって変化する。NORMAL譜面だとゲージ半分にも満たない量でノルマ達成可能だが、最高難度のEXPERT譜面では8割以上まで上昇させる必要がある。
  • ナビゲートキャラ「エリザベス」…と、エリマキトカゲのあいつ。
    • メインイラストはLAM氏、デフォルメイラストはみずは氏、エリザベスのCVは大西沙織女史が担当。
    • エリザベスはプレイヤーの先輩としてナビゲーターを務める、カレーライスが好物のDJガールという設定。外見共々奇をてらい過ぎず、かといって媚び過ぎたりもしていない、ちょうどいい塩梅となっている。
    • エリマキトカゲの方は「ワッカコンソールの形がエリマキっぽい」という理由で生まれたらしく、名前は現在も募集中とのこと。マイページから設定可能なアイコンにおいても「あいつ」呼ばわりである。

評価点

キャッチコピーに偽り無し、タノシく音楽にノれる操作性

  • “DJ的な動き”を音楽ゲームに取り入れようと試行錯誤を重ねた果ての閃きから誕生したというワッカコンソール。これに触れて手を滑らせるだけで直感的に操作できる為、比較的手軽に、そして気持ちよくリズムアクションに没入できる。
    • 基本的にノーツはワッカコンソールに触れる事で回収するものしか存在せず、画面上の情報もそこまで煩雑にはなり難い。間口の広さは『太鼓の達人』『jubeat』等と並びAC音ゲー中でもトップクラスと評して差し支えない。
  • だからといって決して本作全体の難易度が温い訳ではなく、高難度の譜面ではそれこそ本物のDJ並に高速、正確、そして大胆なコンソール操作が要求されるようになってくる。
    • 特にボス曲とされる「Exitium」「Invisible Frenzy」については、それぞれ「Laurが本気で腕を殺しに来た」「インフレという略称は伊達ではない」とまで評される程。ゴリラ音ゲー熟練者にとってのやり応えも十分に有している。

タノシさを更に盛り上げる演出

  • 譜面が流れてくるレーンの形状が変化する事があるが、特定のノーツ回収時の操作に合わせた形状変化だったり、操作とは関係無い箇所がリズムに合わせて変化したりと豊富なパターンを見せる。
  • 勿論、収録楽曲それぞれに応じた譜面演出も多数存在している。
    • 案の定ホールドノーツで腕を大回転させる操作を要求してくる「回レ!雪月花」EXPERT譜面や、終盤におけるプレイヤーの動きがどう見てもPVに合わせて踊っているようにしか見えない「太陽系デスコ」EXPERT譜面などが分かりやすいか。
  • ワッカコンソールには高精度LEDが搭載されており、レーンの形状変化やノーツを回収した際の操作などに合わせて様々な発光パターンを見せる。後ろから見ているだけでも演出の変化を楽しめるというのは、ギャラリー勢が発生する事もあるAC音ゲー作品においては相当な強みと言える。
  • 流石に全曲という訳ではないが、プレイ中画面の中央部分にMVを映す事ができる楽曲もあったりする。
    • 該当楽曲の大半はPVの存在するVOCALOID楽曲だが、中にはアニメのノンクレジットOPが流れる「かくしん的☆めたまるふぉ~ぜっ!」や、舞台での全キャストによる歌唱シーンがそのまま流れる「Singin'☆Shine!*2」といったものもある。
    • HARDCORE TANO*Cによる提供楽曲の一部にもMVが用意されている。ジャケ絵のキャラやエリザベスを前面に押し出した内容だったり、音楽ツアーで楽曲を披露した際の映像だったり、嘗てのBEMANI芸人よろしくTANO*Cメンバーが体を張ったものだったり。
      • 隠し楽曲「Ever Free (Raw Edit)」のMVでは、歌唱部分においてカラオケ風の字幕が追加される。…歌えとでもいうのか?
    • MVを流すかどうかは任意であり、デフォルトではプレイ開始前にMVを流してもいいか確認してくる。プレイ終了時の設定画面やマイページでは自動的にMVを流す、若しくは常時MVを流さないようにする事も可能。
      • MVの内容に気を取られてAll Marvelousを逃してしまった…という悲劇が起こりにくいよう配慮されているのは、やり込み派にとっては嬉しいポイントであろう。

流石のHARDCORE TANO*C、聴き応え抜群のオリジナル楽曲

  • HARDCORE TANO*Cによる提供楽曲は2020年1月時点で40(+1)曲、うち書き下ろし楽曲は18(+1)曲。何れの楽曲もクオリティは折り紙つきである。
    • 中でもUSAO氏の書き下ろし楽曲「Knight Rider」は、YouTubeのHARDCORE TANO*C公式チャンネルにおいて僅か4ヶ月でチャンネル内の動画再生数1位を奪取してしまう程の好評を博した*3。2020年1月時点でも、本作を代表する楽曲の一つとして扱われている。ツイッター以外完璧な男の二つ名は伊達ではなかった。
    • The 8th KAC楽曲コンテストにおいて、恐らくはアーティスト名が原因で落選した「BATTLE NO.1」もちゃっかり収録してしまった。本作収録にあたって新たにMassive New Krewの担当パートが追加された為、公募版の音源よりも若干演奏時間が長くなっている。
  • 更には、奇行派ブロガー兼WebライターのARuFa氏とまさかのコラボ。ARuFa氏に加えてt+pazolite&かめりあという、ある意味最強のトリオによる書き下ろし楽曲「ぼくの夢、メチャクソ無限湧き」を収録した。
    • ARuFa氏の知名度頼みのネタ曲と侮るなかれ。氏が述べた通りのアップテンポでバキバキでゴリゴリなのにポップな仕上がりの楽曲と、腕を大きく素早く動かす必要がある譜面の相乗効果により(楽曲のノリが合うならば)脳汁がドバドバ出る事請け合いである。
  • 楽曲選択時やメニュー画面で流れるBGMは、REDALiCE氏が手がけている。曰く「作風を知っている人であれば、おっ?と思えるようなBGMも用意している」との事。
  • 稼動時点での書き下ろし楽曲は全てHARDCORE TANO*Cのメンバーによるものであったが、2019年11月以降はHiTECH NINJA氏の「Utopia feat. shully」や、C-Show氏の「Stratoliner」等、HARDCORE TANO*Cメンバー以外の書き下ろし楽曲も収録されつつある。今後は多方面からのアーティストの参戦にも期待したい。

版権楽曲も、アニメ/POPとVOCALOID楽曲は粒揃い

  • アニメ・版権POP方面では「残酷な天使のテーゼ」「シュガーソングとビターステップ」「POP TEAM EPIC」等の定番曲や、「ウマーベラス」「五等分の気持ち」「ファティマ」といった音ゲー界隈ではあまり見ない楽曲まで揃えている。
    • 中でも三浦大知氏の「EXCITE」収録は、同曲が主題歌として使われた『仮面ライダーエグゼイド』のファンを中心に話題を呼んだ。宝生永夢ゥ!
      • 音ゲー作品全体を見渡しても、本作収録時点で同曲が収録されていたのは『太鼓の達人』位しか無かった*4。よくもまぁ財団B*5が収録を許したものである。
  • VOCALOID楽曲で特に目立つのはDECO*27氏の楽曲。稼動開始時点において氏の最新楽曲であった「スクランブル交際」「乙女解剖」を稼動直後からプレイ可能となっている*6
    • 他にも「千本桜」「ロキ」「マトリョシカ」「エイリアンエイリアン」といった音ゲー界隈でも有名な楽曲から、稼動開始時点では収録作品の少なかった「アカリがやってきたぞっ」「気まぐれメルシィ feat. 初音ミク」まで、要点をしっかり抑えた楽曲ラインナップとなっている。
  • これらの定番版権楽曲だけでなく、HARDCORE繋がりでか、ノルウェーのHardstyleアーティスト「Da Tweekaz」の楽曲「Jägermeister」が追加されてたりする。このあたりはHARDCORE TANO*Cのセンスが光る。

細かい所まで気軽に調整可能な設定

  • 楽曲・難易度選択後の最終確認画面では、楽曲毎にノーツ速度は勿論、画面中央部分の明度(マスク濃度)も調節する事が可能。
    • 筐体で300円余計に支払いVIPメンバーになれば、判定のタイミングも自分に合わせて調節できる。
  • プレイ終了時の設定画面では上述したMV関連の設定に加え、ノーツ回収時のSEの種類、演奏中のワッカコンソールの発光パターン、判定表示位置、判定詳細(FAST/LATE)の表示、スコア表示方式(加点or減点)の切り替え、お手本となるガイド音(アンサー音)のON/OFF切り替え、一定数以上のMissで強制終了するかどうか…といった具合に、多種多様な設定を調整できる。
    • 特に最も気になる「判定タイミングの速い/遅い」については、一曲プレイごとに直前のプレイの「FAST/SLOW判定統計」を見た上で再設定が可能。
    • 公式サイトから利用可能なマイページでは、これらに加えてボーナスノーツの有無も設定可能。こちらでは制限時間を気にせずに設定を弄る事ができる上に、WACCAのプレイデータを保存さえしていれば無料で利用可能と至れり尽くせり。
    • 此方もVIPメンバーになる事で、BGM・SEのボリュームやレーンの濃度、コンボ表示の有無といった要素まで設定可能となっている。
    • プレイ中のエリザベスのボイスも、VIPメンバーになっていればON/OFFの切り替えができてしまう。筐体の設定画面でOFFにすると流れる、エリザベスの不機嫌な台詞を聴きたいが為にこの設定を弄りまくるプレイヤーも存在している…らしい。

AC音ゲーでも屈指の、楽曲解禁の手軽さ

  • 本作における隠し楽曲解禁の条件は、1曲分のプレイ終了後に獲得できるWACCAポイント(WP)を消費して解禁できる。
    • 1日1回、最初のプレイ時にWPが多く貰えるログインボーナスを活用すれば、相当な速度でWPが溜まっていく。更にはアップデートによって消費WP量が大幅に低下した為、大半の隠し楽曲解禁においては1回プレイするだけで消費した分のWPを取り戻せる。
      • ボス曲的な立ち位置にある「Exitium」「Invisible Frenzy」は消費WPも多いが、これは実力の伴わないプレイヤーが早期解禁してしまう事態を防ぐ為にも止むを得ない処置であろう。
    • ゲーム終了時に貰える経験値を溜めて、プレイヤーレベルを一定まで上げる事により始めて解禁できるようになる楽曲も存在しているが、レベル5まで上げてしまえば全ての楽曲を解禁可能。
      • 此方も1日1回、最初のプレイ時にログインボーナスで経験値が多く貰えるようになる為、数日程度のプレイであっさりと達成できてしまう。
      • こちらもアップデートによる条件緩和前はレベル13まで上げる必要があったが、この時点でも定期的なプレイを続けていれば難なく達成可能な程度であった。
  • 一定期間中の機会を逃すと解禁不能、若しくは無条件解禁まで大幅に待たされる破目に陥ってしまうというケースも2020年1月時点では存在しておらず、始めたてのプレイヤーでも条件さえ満たせば即座に全隠し楽曲をプレイ可能となっている。AC音ゲー作品としては、地味ながらも強力な評価点と言えるだろう。

賛否両論点

アニメ/POP・VOCALOID・HARDCORE TANO*C楽曲以外の収録曲ラインナップ

  • この頁の記述は2020年1月時点の情報に基づいている。最新の内容とは異なる場合もある点に留意されたし。
  • 他ゲーム作品からの収録楽曲は、厳密にカウントするのであれば『ルーンファクトリー4スペシャル』の「この想いを乗せて」と、スマホゲーム『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』の「集結の華々」、そして『幕末Rock』の「What's this?」のみ。
    • マーベラスが関わった作品のBGMには、当wikiを始めとする各所で高い評価を得ている楽曲も多い。本作収録を切っ掛けにそれらのBGMや、ひいては作品自体の再評価に繋げるという手もあっただけに、その機会を十分活かしきれていると言い難い状況にはどうしても歯痒さを覚えてしまう。
  • HARDCORE TANO*C以外の音楽レーベルやBMS楽曲…要は「バラエティ」ジャンルに分類される楽曲も、此処までに名前の挙がった楽曲を除くと2019年10月末までは未来茶レコードの「ゲームオーバー(feat. TORIENA)」とおなじみ「conflict」、そしてコラボに乗じて収録したARuFa氏のキャラソン「こんにちは、ARuFaです。」の3曲程度しか無かった。
    • 11月中旬以降はSnail's House氏の「Pixel Galaxy」やxi氏の代名詞「FREEDOM DiVE↓」を収録したり、REDALiCE氏の趣味によって「『エキセントリック少年ボウイ』のテーマ」の原曲収録を達成したり等、状況が大分改善されつつある。
  • 本作における楽曲のジャンル区分では「2.5次元」なるものが存在しているが、この区分に当てはまる楽曲は「Singin'☆Shine!」と「Over the sweat and tears*7」の2曲のみ。
    • こうした舞台で用いられた劇中歌の収録は、ゲーム作品と同時に舞台・ミュージカルの制作も手掛けるマーベラスならではの強みであり、WACCAのセールスポイントの一つと評せるだろう。とはいえ舞台音源のみならず映像まで収録する都合上、各方面の権利調整が途方もなく面倒な事は容易に想像可能ではある。
  • そして他AC音ゲーでは最早お馴染みとなっている東方Projectアレンジ楽曲は、2019年10月10日の追加収録まで1曲も収録されていなかった。
    • HARDCORE TANO*Cメンバーが生み出した東方Projectアレンジ楽曲には「taboo tears you up」等有名なものも多く、それ故に稼動直後のアレンジ楽曲未収録という事態には首を傾げるプレイヤーも少なくなかった。
    • 第6回博霊神社例大祭では「チルノのパーフェクトさんすう教室」や「待チ人ハ来ズ。」「WARNING×WARNING×WARNING」といったアレンジ楽曲群を先行プレイ可能となっており、その後2019年10月のアップデートによって正式収録された。今後はアレンジ楽曲が増えていくものと思われる。
    • 恐らくは国内最大規模の東方Project作品オンリーイベントである博霊神社例大祭において、東方Projectアレンジ楽曲の本作初収録を大々的に宣伝する事で知名度アップを図ろうという魂胆だったのかもしれないが、若年音ゲーマー層への訴求力に欠ける状態で稼動開始からの長期間を過ごしてしまった感は否めない。
      • せめて10月のアップデートで追加収録した楽曲の内、圧倒的な知名度を誇る「ナイト・オブ・ナイツ」「Bad Apple!! feat. nomico」のどちらかだけでも、稼動直後から遊べるようにしておいた方が良かったのではないだろうか。

称号・アイコン等の収集要素

  • 本作ではプレイ中に条件を満たす事で、称号や缶バッジ風のアイコンを獲得できる。入手したアイテムはプレイ終了時の設定画面、若しくはマイページで各種設定と同様に選択し、プレイヤーネームと一緒に表示させる事が可能。
    • ノーツ回収時のSEとワッカコンソールの発光パターンも、デフォルト以外のものについては称号・アイコンと同様の方法で入手可能となっている。
  • 入手条件については設定画面から確認できる*8ので、確認を怠りさえしなければ入手条件が分からずに詰むという事は無い。邪道を厭わないのであれば、先人の調べた情報を攻略サイトで収拾するという手もある。
    • 但し一部ではあるが、狙ってプレイしないと入手は困難を極めると言わざるを得ないような条件が設定されているものや、入手条件の詳細が不明、若しくは物理的に入手困難となっているものが幾つか存在している。
+ アイテムの入手条件
  • 難易度HARD以上、MISS1回、その上で他の全ノーツをMarvelous判定で回収してクリアすれば手に入る「いあつ」アイコンは、狙ってプレイしなければ入手困難なアイテムの代表例と言えるだろう。
  • レートD(ノーツを一切回収しない)取得で手に入る、その名もズバリ「放置プレイ」なるアイコンもある。入手するのであれば他プレイヤーの迷惑にならないよう、人の少ない時間帯に挑戦するようにしたい。
  • 楽曲の全譜面を1回以上クリアする事で獲得可能な「楽曲ジャケット絵を使用したアイコン」もあるが、対象となっているのはHARDCORE TANO*Cの手がけた書き下ろし楽曲*9と、9種類の既存楽曲のみ。
    • 対象となっていないHARDCORE TANO*Cの既存楽曲については順次ジャケ絵アイコンが実装されていくものと思われるが、一方で他版権曲のジャケ絵アイコン実装は厳しいだろうと推測されている。
  • 「凄く速い楽曲」を50回プレイすると「スピード狂」という称号を取得可能だが、この「凄く速い楽曲」の基準についての情報がどこにも存在していない。入手にはとりあえず速そうな楽曲を手当たりしたい触っていく他無い。
  • 本作の体験会やHARDCORE TANO*Cのイベントに来場する事でしか入手できない称号も幾つか存在している。地方民涙目。
  • ノーツ回収時のSEとワッカコンソールの発光パターンについては、ほぼ全てのアイテムにおいてアイコン・称号を収集する過程で達成可能な条件が設定されている。
    • 唯一の例外がSE「ハードコアキック」。期間限定イベントの最中にノーツ速度を最速にした状態でプレイするという、どのアイコン・称号とも重複せず、イベント攻略の過程で入手可能とも言い難い特殊な条件を満たす必要があった。
    • コンソール発光パターン「A.I.ピンク」も特殊な入手条件であったが、こちらは期間限定イベント開催中に新規収録された楽曲3種類を全てプレイすれば入手可能。余程の天邪鬼でもなければ余裕を持って達成できる条件であった。
  • 今の所アイコンや称号、発光パターンは普通にプレイする上で一切影響を与えないコレクション要素に留まっている。入手できないが為に通常プレイに何らかの支障を来たす事はほぼ無いと言ってしまっても良いだろう。
    • 強いて挙げるならば、ノーツSEについては(プレイヤー次第ではあるが)精度に多少影響してくる可能性がある点と、マイページ上で獲得した称号のパーツを入れ替えて「自分だけのオリジナル称号」をカスタマイズできる機能を存分に楽しむ事ができない点ぐらいのものか。

大量に手に入る割には、上限も使い道も少ないWP

  • WPの上限は9999。評価点でも触れた通りWPが溜まりやすいのもあって、こまめにプレイしていればすぐにカンストしてしまう。
    • 但しWPの上限を増やすと、それはそれで解禁に大量のWPを必要とする楽曲の増加にも繋がり、結果楽曲解禁難度のインフレを招きかねないという懸念もある。
  • WP消費の方法が楽曲解禁しか存在せず、一通り解禁し終えるとWPの使い道が無くなってしまう。これもWPがカンストしやすい一因であろう。

VIPメンバーの恩恵について

  • プレイ時に追加で300円支払い、登録画面で手続を済ませる事で30日間VIPメンバーになれるのだが、その恩恵は上述した設定機能の解放を除くと「アップデートで追加される楽曲を1日早く遊べる(例外あり)」「WPを多く貰えるようになる」「ログインボーナスでのWP・経験値増加量が更に増える」以上。
    • 設定機能については、音ゲーにおいて重要な部分の大半はVIPメンバーにならずとも利用可能。その他の恩恵についても、300円分余計に支払うだけの価値があるかと言われると疑問が残る。
    • 態々VIPメンバーとなった一部プレイヤーからの「恩恵が無さ過ぎる、金返せ」という意見は決して否定できない。できれば無料で使える機能を制限して課金を迫るのではなく、VIPメンバーになった際の魅力的なメリットを増やす方向での改善を期待したい。
      • しかしこれは裏を返せば、ワンコインのみのプレイでも機能制限に悩まされる事無く、気軽に本作を楽しめるという事でもある。昨今プレイヤーからの搾取に走ってしまいがちなアーケードゲーム界隈においては、極めて良心的な作風と評価できる。

問題点

低身長、若しくは腕の短いプレイヤーには辛い筐体設計

  • ワッカコンソールがやや高めに設置されている為、プレイヤーの身体構造次第ではあるが「手がコンソール上部に届かない」という事態も発生しうる。
    • REDALiCE氏曰く「コンソールは奥の方が径が小さいので、意識して奥の方をタッチする」ようにすればプレイしやすくなる、との事。
    • どうしても手が届かないプレイヤーの為に、専用の踏み台を用意してくれているゲームセンターもある。困った際は店員さんに問い合わせてみるのも一つの手かもしれない。

細かい部分で不親切なUI

  • 初作ゆえに荒削りな部分の存在は致し方ない面もあるが、それを差し引いてもUI面において不親切さを訴える声が目立つ。
  • 特に致命的と思われるのが、筐体上での項目選択のし辛さ。基本的に項目の選択はコンソールのスライド操作で行う為、思い通りの箇所にカーソルを止めにくい。
    • 決定やキャンセルはコンソールの特定箇所をタッチすれば可能である為、項目選択についても同様の操作にできない訳ではないと思われるのだが…。
  • 他にも、本作を本格的にやりこもうとすると目立ってくるタイプの粗が妙に多い。
    • ノーツ速度の調節や判定タイミングの調整は楽曲・難易度選択後の最終確認画面でなければ行えないが、一度最終選択画面に進むと楽曲・難易度の選び直しはできない。
      • これについては「難易度選択後にキャンセルできないのは、他社の音ゲーもキャンセル不能となっている作品が多いので仕方ないが、それならば速度や判定の調整は難易度決定の前にやらせてほしい」という意見もある。
    • 選曲画面では特定の楽曲についてFull Combo・All Marvelousを達成したかどうかしか確認できず、詳細なレートについては一段階進んだ難易度選択画面でしか確認できない。
      • こちらは難易度を決定する前ならキャンセル可能ではあるが、確認だけの為に決定→キャンセル操作を繰り返すのは少々面倒臭い。
      • ハイスコアについても難易度選択画面でないと確認できない…と思いきや、実は選曲画面でもクリアマークの上に小さくハイスコアが表示されていたりする。
    • 「現在何曲目のプレイか」についての表示がよりにもよって演奏中の画面にしか存在せず、選曲画面において何曲目かを知る手段はエリザベスのボイス以外に存在していない。
    • 選曲画面において名前順や難易度順、未解禁楽曲or未クリア楽曲のみといった具合の楽曲ソート機能を使えるが、何故かレートやスコアによるソートは不可能となっている。
    • 楽曲プレイ後のリザルト画面において、出したスコアとハイスコアとの比較が行われない。事前にハイスコアを記憶しておかなければ、記録更新できたかどうかの判断は困難を極める。
    • 判定詳細(FAST/LATE)は、どういう訳かホールドノーツでは設定に関わらず表示されない。ノーツ回収のタイミングを修正しようにも早すぎたのか遅すぎたのか判別できないというのは、All Marvelous狙いのプレイングにおいては不便極まりない。

ガイド音(アンサー音)のズレ

  • 処理落ちの影響なのか、タップ時のノーツ回収判定とガイド音の鳴るタイミングにズレが存在している。
    • 設定からガイド音をOFFにできる為、最悪OFFにしてしまえば普通にプレイする分には問題ない。しかし、ガイド音を頼りにノーツ回収の精度上げを行うプレイヤーにとっては死活問題である。
    • ガイド音の音量は小さめとなっており、ガイド音機能をONにしているにも拘らずズレに気付かなかった…と言うより、そもそもガイド音が鳴っている事にすら気付かなかったプレイヤーも存在してはいる。
      • ちなみにガイド音はON/OFF切り替えのみで、ボリュームの調節は残念ながら不可能。

どうにもやり込み要素に乏しい

  • 他社音ゲー作品と比較すると、どうしてもやり込み要素の乏しさが目だってしまう。
    • 収録楽曲の総数は稼動開始時点では51曲。完全新規作品という事情は無い訳ではないが、やり込み派からすると若干物足りない数字である事は否めない。
      • 楽曲収録ペースの遅さを指摘されるケースも多いが、最初の追加楽曲収録は稼動開始から2週間以内、以降の楽曲追加ペースも半月~1ヶ月毎に4~5曲。これは(セガ以外の)他社作品と比較しても遅いとは言えない。
      • 収録ペースの遅さを批判する意見に対しては「隔週未満のペースで何らかのコラボ案件や追加楽曲を持ってくる、セガ音ゲー作品(特に『CHUNITHM』)の更新頻度に慣らされすぎではないか」という指摘がある点にも留意されたし。
      • マーベラス側のマンパワー不足を示唆する情報が一部コミュニティにおいて確認されており、これ以上のペースアップは難しいと思われる。
    • イベント開催は稼動直後のサントラ入手キャンペーンも含めると月1回ペースでの開催となっており、こちらも決して少ないという訳ではない。
      • 但し、初期はイベントとイベントの間に2週間以上の空白期間ができるなど、日程面で若干詰めの甘さが見られた。
      • イベント面ではむしろ、只管通常プレイを重ねて称号・アイコンなどの収集要素を獲得するだけという内容の単調さが問題視されている。とはいえイベント内容を凝ったものにしてしまうと、それはそれでプレイにおける手軽さが失われかねない為、解決の難しい問題ではある。
    • プレイモード選択時に「ステージアップトライアル」という選択肢があるのだが、結局このモードは本バージョンの稼働期間中には実装されなかった。
+ 2019年12月時点で改善が見られた問題点。ネタバレ要素にも触れています

タノシさに水を差しかねない、コンソールの不安定な動作

  • 本作稼動直後から「確かにノーツに合わせてコンソールを操作したのに、謎のすっぽ抜けが発生してMissになってしまった」というプレイヤーの悲鳴が相次いでいた。
  • 稀に一部筐体において、コンソールの左右半分が操作できないというとんでもない状態に陥るケースも報告されていた。
  • 不具合の発見当初こそ再起動や基盤交換という力技での対処が成されていたが、その後運営によって不具合の原因が特定され、稼動直後と2019年9月の2回に分けて対策アップデートが行われた。
    • これらのアップデート以降、不具合報告の頻度は劇的に低下している。

NGワードの厳しさ

  • ネームエントリーのNGワードの基準が不明瞭。
    ごく普通の単語を入力したつもりが、何故かNGワードに引っかかってしまいエントリーできないという報告が挙がっていた。
    • こちらはVer.1.00.02での禁止ワード変更により対処された模様。

物理的に入手不能であった称号

  • 各都道府県毎に、その都道府県のゲームセンターで1回以上プレイすれば入手可能なご当地称号があるのだが、2019年12月までは鳥取県には本作を稼動させているゲームセンターが存在していなかった。その為にご当地称号「鳥取県といえば梨」と、中国地方の5県全てでプレイした際に手に入る称号「中国覇者!」、そして全国制覇時の称号「全クリしました」が物理的に取得不能であったのである。
    • 音ゲー不毛の地としてネタにされがちな島根県ですら、本作を稼動させているゲームセンターが2店舗あるというのに…。
  • 2019年12月中旬になって鳥取県内で本作を稼動させてくれるゲーセンが現れ、物理的に称号を入手不能な状態は漸く解消された。
    • …のだが、今度は条件を満たしていても称号「全クリしました」を取得できないというバグが発覚。こちらはVer.1.00.06へのアップデートにより無事修正された。尚修正前に条件を満たしてしまったプレイヤーに対しても、遠隔操作で称号を付与する事により対処したとの事。

総評

大手の競合メーカーがしのぎを削りあう、まさにアーケード作品屈指の激戦区と言っていい音ゲー界隈に
直感的にノれる操作性と高クオリティの楽曲群、そしてワンコインで存分に楽しめる手軽さを武器として殴り込みをかけた本作。

現状における最大のネックは、UI面の粗とガイド音のズレ。此処さえ改善すれば良作たりえるポテンシャルは十分秘めている。
当初は一部筐体においてコンソールの動作が不安定となっていたが、こちらは無事対処され、現在は安心して遊べるようになっている。
やり込み要素の乏しさについても、今後作品の展開が続いていけば、ボリュームの増加に伴う改善が期待できるだろう。

近所のゲームセンターで本作が稼動しているのであれば、音と光の旋回を体感してみる価値は十分にある。


余談

  • タイトルの候補にネタ枠として「穴ザー環ールド(アナザーワールド)」があったことが4Gamer.のインタビューで語られている。
  • 『maimai』程必須という訳では無いものの、コンソール上で手を滑らせるという操作の都合上、やはり手袋はあった方が便利。
    • 勿論手袋をしないプレイヤーに全く配慮していないという訳ではない。コンソールの手触りは誕生時から改良に次ぐ改良を重ねており、手袋未着用の状態でもHARD譜面の高スコアを狙う程度であれば十分な滑りを体感できる。
      • …流石にEXPERT譜面になると、手袋着用による精度向上と指先保護が無いと厳しい譜面も多くなってくるが。
      • コンソール誕生当初の手触りはREDALiCE氏曰く「ザラザラしていて、手を滑らせる度に指紋が取れていくように感じた」との事。もしそのまま世に出ていれば、プレイには手袋が必須だったであろう事は想像に難くない。
  • イベント期間中、特定の楽曲を遊んでいるとゲーム終了時の画面が特別なものに変化する事がある。
    • ARuFa氏が自身のブログで良く使う「それではさようなら。」で締めたり、LAM氏描き下ろしの霊夢と魔理沙が出てきたり、HARDCORE TANO*Cメンバーがプレイヤーのランキング入りを賞賛してくれたりと、バリエーションは中々に豊富。
  • 本機の映像を外部のディスプレイ出力に繋ぐと、楽曲プレイ中、 実機で見える範囲の外に プレイ中の曲、難度、ハイスピード設定、そして判定詳細のリアルタイムカウントが表示される。外部出力でなければ見えない表示が隠されているのは前代未聞のことだが、稼働当日にこの仕様が判明した際のREDALiCE氏曰く「デバッグの消し忘れ等ではない」「いろんなシーンで使って欲しい」とのことで、大会やプレイ動画の分析用などを意図したものの模様。
  • 本作で開催されたHARDCORE TANO*Cコラボイベント「アルティメット・ タノシー!!!!!!!!!!」において、同レーベルのマスコットキャラ「DORO*C」の特技がラップという、意外すぎるプロフィールが判明した。
    • イベント開催中のゲーム終了画面でDORO*C本人が言及する他、イベントの2週間前に配信されたスマホアプリ『TANO*C GAME SUPER』での立ち絵を使い回したイベント報酬のアイコンでも、特技のラップを披露する彼女の勇姿を確認可能。
    • ちなみに後付などではなく、元からあった設定…らしい。
  • 『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』からの楽曲収録に伴い、同作でも本作とのコラボイベントが開催された。
    • ドロップアイテムを集めて希少品と交換できるクエストの他にも、コラボガチャを回せばおまけとして「エリザベスのコスプレをした奈落」「他キャラに着せ替え可能なエリザベスの制服と髪型」「アクセサリー扱いのあいつ」を確実に入手可能であった。
  • 他社音ゲーを意識しているのかは不明だが、楽曲・難易度選択後の最終確認画面において確認できるノーツデザイナー(譜面製作者)名義をよく見てみると、楽曲の内容に絡めたネタ名義となっているケースがある。
    • 楽曲によっては「レッドアリス」「とぱぞ」など、HARDCORE TANO*Cメンバーの名前も確認できる。これにネタ名義が加わるとカオス度アップ。例えば「ぼくの夢、メチャクソ無限湧き」EXPERT譜面のノーツデザイナー名義は「爆破する側に回りたいとぱぞ」だったりする。だがとぱぞ爆発しろ
  • 大型アップデートによるシリーズ新作『WACCA S』が、2020年1月23日より稼働開始している。